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l211 プライニング ノルベルト [email protected] 2014414

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l211 数学と論理学 第1回

プライニング ノルベルト[email protected]

2014年4月14日

自己紹介

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数学と論理学

目的

数学的な考え方は現代の科学技術の奥深くまで浸透している。そして高度な抽象性を持つ数学の概念が思いもかけない形で応用されることもある。数学と論理学の発展を振り返りこれらのことを明らかにするとともに、現代の数学の流れについてもふれてみたい。

    数学と論理学の基本的な概念の理解を目標とする。

内容

(1) 数学の基本概念の形成、(2) 数学的真理をどのように考えるか、 (3) 数理論理学の誕生、(4) 現代数学の流れとその課題、などについて概説する。

講義スケジュール

月5時限 水4時限

4/14 数学の例 4/16 数学とは何

4/21 証明とは何 4/23 帰納法

4/28 整数論 4/30 論理学

5/05 GW 5/07 幾何学

5/12 公理的方法 5/14 無限の概念

5/19 関数と極限 5/21 グラフ理論

5/26 計算モデル 5/28 ホーア論理

6/02 21世紀の数学 6/04 余裕

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評価

I 課題

I レポート (70%)

I 講義における議論への貢献 (30%)

連絡など

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プライニング ノルベルト

[email protected]

総合研究実験棟 3FC2-302a

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学生のバック・グラウンド

数学と論理学に対しての考え

中高学校時代を思い出しながら、数学に対しての最初の思い出とは何か下記の陳述から2つを選んで下さい。

1. 数学は面白い。2. 数学はつまらない。3. これから数学はもっと大切になる。4. 今日この頃、新しい発見がない。5. 見えなくても、数学はどこでも使われている。6. 数学は要らない。役に立たない。

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本日の目的

I 20世紀の発見

I 数学の便利さ

I 歴史

第一例

フェルマーの最終定理

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a

bc

ピタゴラスの定理

a2 + b2 = c2

ピタゴラスの定理の解

a = 1, b = 2 → c =√5 = 2.23607 . . .

特別の解 a = 3, b = 4 → c = ? 5

整数の解

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フェルマーの最終定理

ピエール ド フェルマー Pierre de Fermat

I フランス人、1607/8–1665I 整数論、解析学、特に解析幾何学

I 素人の数学者 (?)証明があまりないか証明を伝えていない

Source: Wikipedia

ディオファントスの算術Source: Wikipedia

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ディオファントス方程式

I 整係数

I 多変数

I 高次不定方程式

一次方程式

ax + by = c かつ a, b, cは整数 (∈ Z)

a, b, cの条件は? – cはaとbの最大公約数の倍数

ピタゴラスの定理

2次方程式x2 + y2 = z2

ディオファントス方程式ならば、可解である:(3, 4, 5)等

3次方程式x3 + y3 = z3

???n次方程式

xn + yn = zn

???

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フェルマーの推測

1637年フェルマーはディオファントスの算術の余白に

Cubum autem in duos cubos, aut quadratoquadratum induos quadratoquadratos, et generaliter nullam in infinitumultra quadratum potestatem in duos eiusdem nominis fas estdividere cuius rei demonstrationem mirabilem sane detexi.Hanc marginis exiguitas non caperet.

立方数を2つの立方数の和に分けることはできない。4乗数を2つの4乗数の和に分けることはできない。一般に、冪(べき)が2より大きいとき、その冪乗数を2つの冪乗数の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。

フェルマーの推測

その意味は

推測

n > 2の場合は、xn + yn = znの方程式は整数の解がない。

1995年やっとアンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles)は証明を見つけた。

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フェルマーの推測の証明の歴史

xn + yn = zn

証明のためnは素数が足りる

I n = 4: FermatI n = 3: Euler (1770)I n = 5: Legendre, Dirichlet (∼1825)I n = 7: Lamé (1839)I 1993年まで全ての素数 < ∼ 4.000.000I . . .Wiles

ワイルズの証明

I 1955年:谷山・志村予想I 1984年:ellliptic curveの関係I 1986年:Ken Ribet, epsilon conjectureI 1986年からワイルズは一人で証明を探しているI 1993年6月:Issac Newton Institute for Mathematical

Sciencesで3日間のうちに発表I 1993年8月:いろんな間違いが見つけられたI 1993–1995: Richard Taylorと一緒に修正I 1995年5月:Annals of Mathematics

フェルマーから358年。。。

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現在における影響

暗号化

I 楕円曲線暗号(elliptic curve cryptography)I ECDSA – 楕円曲線DSA (elliptic curve digital signature

algorithm)I Dual EC DRBG Dual Elliptic Curve Deterministic Random

Bit GeneratorI 因数分解

フェルマーとワイルズSource: Wikipedia

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第二例

四色定理

いかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗るには4色あれば十分だという定理である。

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四色定理の歴史

I 1840年:Möbius 推測

I 1890年:Heawood 五食定理

I 1870-1890年:いろんな正しくない証明

I 1976年:Appel and Haken コンピューター用な証明

初めて数学の定理の証明でコンピュータが使われていた!

証明の方法

Step 1全ての地図を有限の種類に分割(最初1936個)

伝統的な数学

Step 2一つの代表が四色で色がぬれるならば、この分類の全ての個々の地図が四色で色がぬれる。

伝統的な数学

Step 3一つずつ代表を選んで、四色で塗る。

コンピューター・プログラム

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その後

I いろんな間違いが発生したから、1989年修正してまた出版された

I 1996年:もっと早いアルゴリズム

I 種類の減量

I 2005年:Coq 定理証明支援系 ー 検証

I まだ数学者は不満である

現在の影響

定理証明支援系言語の開発

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第三例

ゲーデルの不完全性定理

ダフィット・ヒルベルト

David Hilbert

I 1862–1943

I ドイツ数学者

I ヒルベルトの23の問題

I 1920年:ヒルベルト・プログラム数学におけるすべての普遍妥当な論理式を機械的に導出可能とする公理系と推論法則を構築する計画をいう。ヒルベルト計画とも呼ばれる。

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クルト・ゲーデル

Kurt GödelI 1906–1978

I オーストリア・ハンガリー帝国

I ヒルベルトの講義一階述語論理の完全性の問題

I 1930年:一階述語論理の完全性定理の証明(24歳)

I 1931年:不完全性定理の証明(25歳)

I 1939-40年:ロシアー日本ー北米のPrinceton

不完全性定理のアイディア

このスライドの枠の中の文は正しくない

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もう少し公式的に

I Gは一階述語論理のは命題

I Gの意味「Gは証明できない」という

I Gの証明はできるかできないかどちらだろう?

I Gは証明できるとしたら、Gは正しい。

I Gは正しいとしたら、「Gは証明できない」というのは正しい

I 矛盾、だから、Gは証明できない。

不完全性定理の結論

I 停止性問題 Halting problem

I ヒルベルト・プログラムの終了自動的に証明できない。

I paraconsistent logics

I いろんな独立の公理・推測・定理

I 数学論理学者がまだ必要!

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まとめ

I 数学はまだ生きている

I 20世紀はよく「数学の世紀」と言われている

I 簡単な問題なのに、深い数学が現れる

I 影響が強い

I 楽しい!

次の講義学校と大学の数学 ー 計算から証明まで