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デジタル政府 英国の事例Phil Brunkard

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行政のデジタル化 –英国での経験と反省から革新的なアプローチの必要性を提唱

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行政デジタル化 –フレームワーク

人 プロセス

• ユーザーである市民が最も重要• 市民にとっては、対応している部門がどこかは関係ない。サービ

スを利用したいだけ。異なる場所で同じ情報を何度も提供したくない。“ワンスアンドオールルール”一度伝えた情報は、関連するすべての担当者に伝達される必要がある。

• 市民にとって行政サービスは選択肢ではなく、必須のもの。この種のサービスは困った時に必要になることが多く、そしてその多くは、一生に一度しか必要ないサービス。こうしたサービスを、できるだけ効率的で手間のかからないものにする。

• 設計デザインの重要性 | ユーザー中心、フレンドリーな設計• ユーザー・エクスペリエンス、ユーザーストーリー、成果がポイ

ント• システムの基本姿勢 – 目的を明確化

• 市民(ユーザー)の観点の需要と価値を考える• 無駄をなくす – 市民にとって価値のある業務と

価値のない業務の選別• 簡単、俊敏な導入、使い勝手のよさ

組織 情報/技術

• Centre of Excellence for Digital Services Transformation (行政デジタル化司令塔)の設立• 強力な政治トップダウン支援(内閣府に司令塔組織を設置)• 設計とIT予算を一元管理• 行政デジタル化プログラム推進のための資金調達、

提供機関• 外部の専門家:カルチャーの融合 – デジタル | 行政機関

• 改革プロジェクトに多種多様な部門を組み込み、関与させる。デジタル革新遂行のためにはサービス設計以上に、組織編制がカギ。

• コラボレーション、コンサルティング、イノベーションのための民間のIT事業者を取り込む

• デジタルサービス標準化• デジタル | 技術設計| デザイン思想の原則• サービス指向の重要性• オープンソース標準化• 共通のデータ資産としてのデータ共有ポリシー確立• データセキュリティを最小にしデータプライバシーを最大強化。自己認

証 – クラウドセキュリティの原則

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人:行政機関とは?

行政デジタル化の大原則:行政側が国民や事業者が必要としているものを考えるのではなく、国民や事業者が行政サービスに何を求めているのかをまず知ろうとする努力!

期待:国民と事業者の期待値• 行政サービスを利用して行政手続きを達成すること

(例:選挙のための登録、車両の課税状況確認、付加価値税の支払いなど)

• 関連部門との折衝は望んでいない• できるだけ早く、簡単に• 銀行や小売店と同等レベルのサービス

ニーズ:以下を理解する必要性 -• ユーザーは誰か• ユーザーはどんな行政手続きを何のためにしているのか

• 手続きをすることでどんな変化が生活におこるのか• 手続きをする中で直面する問題• 単なる「典型的な」ユーザー群だけみていて十分な理解は得られない

Researching user needs and context – Source GDS

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組織:Government Digital Service(政府デジタルサービスを内閣府に設置)

目的:各部門が枠を超え協力して行政機関の(デジタルな)革新を行い、ユーザーのニーズに対応できるように支援する

責任範囲:• ベストプラクティス先例づくり• 共通サービスの導入を推進• 適切な技術の選択を促す• デジタルサービスのスタンダード化• 行政府内でデジタル化、データ化、技術機能導入を指揮

• 各行政府横断のIT基盤とツールの開発/保守/運用• デジタル標準とポリシー作りと運用• ITサービスの予算管理と承認

デジタル、技術、データの中核的研究拠点として、異なる部門との協働によって、それぞれの改革を支援。基盤、標準、デジタルサービスの構築を協力して支援する。

• 常にユーザーのニーズから始まっている。• 敏捷性の高いサービス、 設計思想の原則化がすべての作業の大前提。

• 2015年11月に、 500名のスタッフ、4年で4億5千万ポンドの投資をした。

「Government Digital Serviceの創設は、最後の内閣の語られなかった成果の1つだ。」

現状結果:おおむね成功といえるが課題、批判、疑念も残る

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組織:コラボレーション、コンサルティング、イノベーションのため、民間IT事業者を取り込む

業界非営利団体設立

• 様々なIT企業が協力して画期的なデジタルサービスを推進し、公共サービスの向上を図る

• サービス向上と、共通目的達成に情熱もつ企業で非営利組織を立ち上げる

• サプライヤの総合的な力を結集し、さらによい市場をつくる

• 事例)英国の行政機関でのBTの貢献https://www.innopsis.org/who-we-are/history/

IT市場へコンサルティング依頼状

広く一般に、または信頼できるITサプライヤ向けにコンサルティング依頼状を公開、プロのアドバイス、指導、意見を募った• デジタル化戦略アプローチ• デジタル化の推進要因とデジタル化がもたらすビジネスチャンス

• 実現要因と相互依存要因• 課題、問題とリスク• 優先順位

以下のいずれかによって推進すべき• 内閣府に設置されたGovernment Digital Service組織• 業界非営利団体の設立

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プロセス:ユーザー中心の設計

顧客

b) デジタルとアナログの通信手段• 電子メール、SMS、Web、ソーシャルメディア、電話、郵便、キオスク

c) 共通のデジタルサービス• Gov.UK (Webサイト)• ユーザー認証• 金融決済• 各種通知

d) ユーザー向けのデジタルサービス• 選挙のための登録• 学生ローン• 介護者報酬• 自動車免許証の確認• 市民からの苦情• 刑務所訪問予約• 所得税/租税経理• 査証• 市民からのクレーム• 特許更新• 重複している支払い• 土地の登記• パスポート• 車両管理• など

a) 顧客• 国民• 事業者• パートナー等

e) 行政部門• 労働年金• 運輸• 教育• 司法裁判• など

顧客のニーズを何より重視

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プロセス: システムの基本姿勢 – 目的を明確化行政サービスの費用を、エンドツーエンドかつ体系的に把握

行政サービス

• パスポート• 査証• 介護者報酬• 市民からの苦情• 学生ローン• 税金勘定• 重複している支払い

• ユニバーサルクレジット

• など

無駄な作業の例• 繰り返し、多数の申請書に記入させられる

• 手順が多すぎる• 重複した、繰り返しの多いチェック作業• 間違った情報の流れ• 複数のチーム間でのやり取りと引継ぎ• 顧客を一元表示できない• 目標達成に向けて組織が適切に機能しない

• 混乱を招く通信内容• 縦割り化された作業

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プロセス:デジタル調達のための調達ルートを統一(調達ポリシーと共に)

G-Cloudフレームワーククラウドベースのサービスを提供するサプライヤと行政機関の間での合意

クラウド・ホスティング公共機関に対して、クラウドに移行できないシステムのための物理的なデータセンターのスペースを提供する。

枠組みの合意:• ネットワークサービス• IT製品• ITサービス• 法人向けソフトウェアソリューション• エンタープライズアプリケーションサポートサービス

• マネージドEメール

特性• 複数の「ロット」を構成• 単一または複数のサプライヤ• 契約期間全体での特定の購入(コールオフ)条件を設定する。

• 通常は契約ではなく、枠組み合意のための交渉を行い、最終的には公的な調達ルールに従う。

• サプライヤが国レベル、または大規模なコラボレーション契約への参加できるようサポート

• 通常は、ポリシーや購買ガイドラインを担当しているCommercial Services部門が単独で管理

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IT – デジタルトランスフォーメーション成功のための構成要素デジタルサービス標準

1. ユーザーニーズを理解2. 継続的にユーザーを研究3. 複数の分野に精通したチーム4. 敏捷な技法を取り入れる5. 常に改善6. ツールとシステムの評価7. セキュリティとプライバシーの問題を理解す

る8. 新しいソースコードはすべて開示する9. オープンスタンダードと共通のプラットフォ

ームを使用する10. エンドツーエンドのサービスをテストする11. オフラインになった場合に備える12. ユーザーの初回成功率を高める13. 一貫性のあるユーザーエクスペリエンス(

GOV.UK)14. 利用を促進15. パフォーマンスデータの収集16. パフォーマンスインジケータの特定17. パフォーマンスデータの報告18. 関係機関とのテスト

デジタル化のための7つの原則1. デフォルトがデジタル2. ユーザー最優先3. 過去の経験から学び継続改善4. セキュリティー信頼性高いネットワークを構築する5. あらゆる縦割り障害を取り除く6. 技術系リーダーがイノベーション発揮できる環境作り7. すべてを自分でやろうとしないこと(そうしようとしてもできない)

テクノロジー導入の際の原則1. ユーザーニーズ、目的、機能の定義2. 相互互換性3. オープン化(オープンデータ原則、オープンソース)4. セキュリティ向上(クラウドセキュリティ原則、行政の

セキュリティポリシー)5. クラウド優先ポリシーの導入6. アクセス可能にする(多種多様なユーザーへの対応)7. 共有と再利用8. 行政機関向けの共通ソリューション/基盤を使用9. デジタルサービス標準に準拠10. Greening Government ICT戦略を遵守11. 調達戦略の明確化(ビジネス観点と技術面)12. デモとエンドツーエンドのサービス13. 行政機関横断で調達ルート統一(フレームワークやデジ

タル市場など)14. 理にかなった契約の締結(GDSガバナンスの遵守)

クラウドセキュリティの原則「14の要点」

1. 行き交うデータの保護2. 資産保護/障害耐性3. 利用者の区分4. ガバナンス5. 運用セキュリティ6. 人的セキュリティ7. 安全な開発8. サプライチェーンのセキュリティ9. 利用者の安全な管理10. IDと認証11. 外部インタフェースの保護12. 安全なアドミニ管理13. 監査14. サービスの安全な利用

クラウドサービスの利用者は、どの原則を重視すべきか、そしてどの程度、保証が必要なのかを判断しなければならない。クラウドサービスのプロバイダは、公共サービスの利用者にサービスを提示する場合に、この種の原則を検討する必要がある。これによって、利用者は情報に基づき、自分のニーズに合ったサービスを選択できる。

Source: GDS

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Gov.UK

Government Digital Service(GDS) - Government as a Platform(GaaP)

ネットワークインフラストラクチャサービスクラウド&ホスティングインフラストラクチャサービス

決済エンジン

ERPシステム レガシ

ーシステム

ソーシャルメディア その他

の機関

シェアード型アナリティクス(分析)ツール

データストア 部門1 .. n 国民 イベント

共通のサービス開発プラットフォーム&統合ハブ

サードパーティのWebサービス

共通のプレゼンテーション&オーケストレーションサービス共通のデジタルプラットフォーム

サードパーティのオープンデータ

フェデレーテッドWebサービス

行政府各部門

行政府各部門

Gov.UKVerify

国民からのアクセス媒体

オープンAPI

セキュリティガバナンス

サービス管理

Gov.UKNotify

Gov.UKPay

• 市民がデジタルサービスを使用した時点から、記録システムに戻るまでの効率を向上

• デジタルプロジェクト実施のための共通フレームワーク:オープンなシステム、標準、APIに基づくITアーキテクチャ

• システム共有に向けた動きをサポート• 既存の大量取引システムの完全性、安定性、信頼性を保護

• ITシステムと、それを稼働する部門の間の相互運用性向上を促進

• 新しいオープンシステムとアジャイルデリバリ技法により、サービスの設計変更をスピードアップ。システム設計の考え方にアジャイルソフトウェア開発コンセプトを適用することで、大規模で高額な移行プロジェクトを実施しなくても、デジタル化の反復と導入を迅速に行うことができる

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GaaP – 共通のプラットフォーム

プラットフォーム

説明 利点 ステータス

Gov.UK (Web) 300以上の行政機関と外郭団体のWebサイトを15か月以内で統合したプラットフォーム

2つの主要なWebサイトを変更するだけで、年間6千万ポンド以上の削減効果があった。

ユーザーにとってもシンプルになった。61%が新しいBusiness Linkセクションで作業を完了。古いWebサイトでは46%だった。

2012年に運用開始

Gov.UK (Verify) 行政のオンラインサービス利用時に、承認済みのID認証企業を使用して利用者自身が迅速、安全に認証を行う方法。

市民の処理速度を向上 – 7日を7分以内に短縮。安全 – 情報を一元的に保存しない。

1年目で3,650万ポンドを削減

多数の行政機関でのサービス向けに納入実績があり、今後もさらに予定されている

Gov.UK (Notify) 行政サービスチームによるユーザーへのメッセージ、電子メール、レターの送信をサポートして、常に最新の情報を簡単に提供できるようにする

人と行政機関のやり取りを改善し、数百件の不要な電話やレターを回避する。たとえば介護担当者の報酬を処理しているチームでは、対象者に申請書受領を知らせる電子メールを送信することで、不要な通話を40%近く削減した。コスト削減 - 電子メールは無料。テキストメッセージは2ペンス。一方、行政機関のコールセンターへの電話は、最大12ポンドかかる(エージェントの作業時間も含む)

パブリック「ベータ」ステータス - 特定の条件下で、特定のライブサービスを公用利用できる。パスポート申請、学生ローン。

Gov.UK (Pay) GOV.UK Payによって決済サービスプロバイダとの技術的な統合を行い、中央政府全体でオンライン支払いを受けるためのサービスがシンプルになる。また、政府側の処理コストも削減する。

支払いを受けるための行政サービスがこれまでよりもシンプル、簡単、迅速になる。クレジットカードやデビットカードなど、オンラインで支払いを受けるための選択肢が増える。手作業での決済処理の必要性を減らすことで、効率を向上。

「ベータ」段階。行政機関の各部門の「ベータ」パートナー:• Companies House• Environment Agency(環境庁)

• Home Office• Ministry of Justice(法務省)

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Gov.UK

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Public Services Network(Government digital servicesの基礎)

ボーダーゲートウェ

デジタルマーケットプレース(G-Cloud)サービス

Secured PSN(NSF)サービス

セキュリティオーバーレイ

PSN

インターネット

中央政府のユーザー

モバイル機能、IoT

利用者自身で必要な保証レベルを決定する –サービスプロバイダはガイダンスを提供(クラウドセキュリティの原則)

地方政府のユーザー

警察&刑事司法機関のユーザー

PSNサービスプロバイダ

PSNとは信頼性の高い共有インフラ。PSNに接続可能な組織数は増え続けており、こうした組織が相互に、または使用/共有可能なクラウドベースサービスおよびホステッドサービスに対して、公共サービスを提供している。