okiエンジニアリングの事業概要 -...
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組立工程に於ける静電気測定の事例紹介
デバイス評価事業部
ESD対策技術ワークショップ
2018.11.28(WED) 13:00~13:40
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本社 氷川台
OKIエンジニアリングの事業概要
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西東京試験センタ 2015年2月開所本庄テクノセンタ
部品情報ブランチ
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2018年4月1日現在
組 織
代表取締役社長柴田 康典
代表取締役社長 柴田康典取締役 小出勝義取締役 今井康雄取締役 菊池秀克
社長
事業支援部
経理部
総務部
取締役会
管理部門個別事業部門
環境(事)
EMC(事)
システム評価(事)
信頼性解析(事)
信頼性関連事業部門 環境関連事業部門
■ 創 立 1973年12月 6日
■ 社 名 沖エンジニアリング株式会社
■ 資 本 金 1億円 (沖電気工業100%)
■ 社 員 数 150名(2018年4月現在)
会社概要
【企業ビジョン】信頼性評価・解析と環境システム・成分分析を基軸に
社会の“安全・安心”と“環境保全”に貢献する
デバイス評価(事)
部品情報(事)
計測(事)
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事業概要
■部品情報事業部電子部品の技術/環境情報調査サービス-製造中止情報調査 -代替品調査-REACH/RoHS対応調査
電子部品の情報検索サイトCOINServ®-Net(コインサーブネット)
COINServ はOKIの登録商標です
■環境事業部環境システム
排ガス処理装置、純水製造・排水処理装置、高精度地震予測装置
化学分析・環境測定環境分析、有害物質分析、化学的評価分析、アウトガス分析電子部品の劣化、故障の原因となる化学物質の分析・評価
■EMC事業部EMC試験
車載、医療、情報機器など各種製品分野の規格に対応製品安全試験
医用機器、計測制御機器、情報機器などCE自己適合宣言、認証取得等のサポート
EMC:Electromagnetic Compatibility(電磁的両立性)
■信頼性解析事業部故障解析・良品解析・元素分析
ロックイン赤外線発熱解析(LIT)、X線CT観察、デキャップ
LIT:Lock-in Thermal Emission
■デバイス評価事業部半導体デバイス特性評価スクリーニング、FPGAのダイナミックバーンイン、AECQ100試験
電源モジュール評価ESD保護トータルサービスデバイスESD耐性評価、静電気トラブル対策/工程改良方法提案
FPGA:Field Programmable Gate ArrayAEC:Automotive Electronics CouncilESD:Electrostatic Discharge(静電気放電)
■計測事業部計測器の校正
電気計測機器、光計測機器、ICテスタ、測長器などJCSS計測器校正認定事業者ISO/TS16949、UL規格対応
JCSS:Japan Calibration Service System
■システム評価事業部信頼性評価・実装評価・環境試験
部品(IC、電子部品、基板)、ユニットなどの特性評価、耐環境試験
特性測定・評価各種部品の電気特性、LEDの光特性など
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信頼性評価の対応分野と技術ソリューションOKIエンジニアリングはエレクトロニクス分野を中心に各種信頼性試験、特性評価・分析サービスをそれぞれの分野に精通したエンジニアが45年を超える実績と経験で幅広く対応しています。
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ISO/IEC17025認定試験所技術の変化:OKIエンジニアリングの技術技術革新半導体
モジュール
基板(多層)
基本的性能の品質確保
微細化高密度高集積
高耐圧高機能
モジュール化
最先端の半導体チップのプロセス・ルールは14nmから7nmへ
高耐環境性
使用環境での品質確保
良品解析[プロセス診断]部品の状態や欠陥の観察から、将来故障に至る危険性を推定非破壊解析,X線CT, SAT,SEM,TEM,FIB構造解析部品・材料等の正確な解析・分析の為には微細構造を観察したり、元素を分析する非破壊解析,X線CT, SAT,SEM,TEM,FIB実装技術評価はんだ技術評価(強度試験)イオンマイグレーション,ウィスカ信頼性試験[電気的特性評価]高温動作寿命,高温高湿バイアス試験,温度サイクル試験,熱衝撃,パワーサイクル試験, ESD試験、振動,衝撃などの試験前後での電気的特性スクリーニング様々な状況や条件の中から必要なものを選出する品質確認試験電子部品の模倣品検査市場流通品調査ESD[静電気放電]ESD(静電破壊)試験,ラッチアップ試験
品質確認のための故障解析
パワーデバイスロジックLSIメモリアナログIC,LCR,LEDMOSFET,バイポーラIGBT
1 振動試験2 ランダム振動試験3 複合振動試験4 連続衝撃試験(バンプ試験)5 衝撃試験6 落下衝撃試験(梱包落下)7 自然落下衝撃試験8 剛球落下衝撃試験9 打鍵試験
10 引張・圧縮試験11 高温・低温/引張・圧縮試験12 屈曲試験13 電磁式曲げ試験
機械環境試験1 高温試験2 低温試験3 温度サイクル試験4 急速温度サイクル試験5 恒温恒湿試験6 高温高湿サイクル試験7 熱衝撃試験(気相)8 熱衝撃試験(液相)9 結露試験
10 蒸気加圧試験11 Air HAST試験12 減圧試験
温湿度環境試験1 耐候性試験(サンシャインカーボンアーク式)2 耐候性試験(キセノンアーク式)3 耐候性試験(赤外線照射)4 耐候性試験(UVリンカー)5 オゾン試験6 ガス腐食試験(1種~4種)7 ガスサイクル腐食試験8 シロキサン曝気試験9 アンモニア曝気試験
10 硝酸曝気試験11 オイルバス試験12 耐薬品性試験13 塩水噴霧試験14 塩水噴霧サイクル試験15 酸性雨試験16 キャス試験17 耐水試験(JIS)18 IPX1試験、IPX2試験19 IPX3試験、IPX4試験、IPX4K試験20 IPX5試験、IPX6試験、IPX6K試験21 IPX7試験、IPX8試験22 IPX9試験、IPX9K試験23 塵埃試験(JIS)24 耐塵試験(IP)25 アイスウォーター衝撃試験(浸漬)26 アイスウォーター衝撃試験(スプラッシュ)27 燃焼試験(グローワイヤ)28 燃焼試験(ニードルフレーム)29 燃焼試験(UL94)
屋外環境(特殊環境)試験
54種類
高温、高湿、振動、衝撃、ほこり、水、薬品、火、ガス、オゾン、太陽光、気圧
日本最高レベルの解析環境
あらゆる解析を想定した検査設備と技術を所持
故障解析(非破壊解析から破壊解析をし、内部解析まで対応し故障個所を特定する)必要な技術:電気・熱・光学等各種特性評価、樹脂開封(内部状態確認)、接続部クラックボイド等観察、異物・腐食観察、断面研磨観察、各種プル・シェア強度試験、発熱解析、界層解析、元素分析、ESD試験、水分・残留ガス分析、アウトガス分析、などLIT,EPMA,X線CT,SAT,SEM,TEM,FIB,レーザー開封器,FT-IR,多機能ボンドテスタ等を複合的に使用
電磁環境における規格試験での品質確保
日本最高レベルのEMC試験所EMC規格試験から、車載規格、製品安全規格までiNARITE認
定技術者が対応
日本最高レベルの試験環境
あらゆる使用環境を想定した試験環境を所持
10m法電波暗室(2基)、3m法電波暗室(1基)、シールドルーム(2基)、ノイズ試験室(2基)、車載暗室(4基)、リバブレーションチャンバー(1基)
国際規格ISO/IEC、欧州規格EN、北米規格ANSI、日本規格JIS、そしてメーカー個別規格要求の試験まで対応。大型ターンテーブル5mφ、地下ピット、排水、排ガス設備完備
EMC試験
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大型複合サイクル試験機
パワーサイクル試験装置
良品解析、LSIプロセス診断、電子部品、実装基板
電気的特性評価(次世代パワー半導体、メモリデバイスなど)、電源モジュールのベンチマーキング、AEC-Q100対応各種試験、スクリーニング、ESD/LU試験
IECQ独立試験所、温度・湿度/熱衝撃/振動/衝撃特殊環境試験(塵埃/ガス/IP試験など)
実装評価、はんだ接続評価、熱過渡解析、劣化診断
ロックイン発熱解析(LIT)、透過X線観察、超音波探査(SAT)など非破壊検査走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線マイクロ分析(EPMA)、赤外分光分析(FT-IR)、など
製造業のプロセスに対応したOEGの技術サービス(お役立ちシーン)
半導体製造排ガス処理、排水処理、環境測定、排水・排ガスの分析、高精度地震動予測装置
JAB認定サイトで測定、専任技術者による対策支援車載EMC、薬機法対応試験、CEマーキング取得支援
部品DB構築、部品情報調査(含有物質情報)
計量法に基づくJCSS登録、測定器DB管理
部品情報調査(製造中止情報、代替品など)
《製造不良》 《市場故障》
《確認試験》
《規格試験》
《chemSHERPA・部品供給》《購入品選定》
《環境負荷低減》
《計測器管理》
《認定取得》
《認定取得》
特性評価デバイス・モジュール
特性評価
良品・故障解析
信頼性・環境試験
EMC/製品安全試験
部品情報調査
環境システム
計測器校正
《購入品選定》
《確認試験》
《確認試験》
赤字太字:法規制等対応
《購入品選定》
レーダーパルス試験装置
ロックイン発熱解析装置
《含有化学物質情報》RoHS/REACH対応分析
赤外分光分析(FT-IR)
chemSHERPA:Chemical infomation Sharing and Exchange under Reporting Partnership in supply chain
企画 試作設計 認定 アフター製造
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認定資格
◎作業環境測定機関登録登 録:1977年5月2日登録番号:東京労働基準局 13-12作業環境測定法施行規則別表第1号(鉱物性粉塵)/第3号(特定化学物質)第4号(金属類)/第5号(有機溶剤)
◎ISO 9001の認証登録登 録:1997年4月21日登録番号:QC97J1001(JACO)対 象:本社(東京)及びサービス拠点(蕨、本庄、東久留米)
◎IECQ独立試験所の認定取得(ISO/IEC17025:2005による)
認 定:1988年11月29日認定番号:IECQ-L JQAJP 13.0002
◎計量法に基づく登録事業者および国際MRA対応認定事業者初回登録日:平成7年6月21日登録番号:0055登録に係る区分:電気(直流、低周波)、電気(高周波)、時間
◎ISO 14001の認証登録登 録:1997年2月25日登録番号:EC99J2072
◎JAB試験所認定取得(ISO/IEC 17025:2005による)認定:2010年7月6日(電磁両立性)認定:2016年6月21日
(医療用電気機器)認定番号:RTL03100
◎計測器の校正機関として国際標準のA2LA認定初回登録日:2018年3月7日認定番号:4727.01
[国際資格]
[国内資格]◎計量証明事業登録
登 録:1993年11月1日登録番号:東京都計量検定所 595号
濃度(大気、水及び土壌中の物質の濃度)東京都計量検定所 910号 音圧レベル
◎特定建設業の許可登 録:1983年12月5日許可番号:東京都知事許可 特27第68027号
CERT#4727.01
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住所 東京都練馬区氷川台3-20-16交通 メトロ有楽町線/副都心線「氷川台」下車
本社
信頼性評価・解析半導体・ESD評価化学分析
拠点所在地
本庄
蕨東久留米 氷川台
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住所 埼玉県蕨市中央1-16-8 OKIシステムセンター内交通 JR京浜東北線「蕨駅」下車
部品情報部品情報ブランチ
住所 埼玉県本庄市小島南4-1-1 OKI本庄工場内交通 JR高崎線「本庄駅」下車または、JR上越新幹線「本庄早稲田駅」下車
環境試験北関東試験センタ
EMCセンタ
計測センタ
本庄テクノセンタ
EMC/安全
EMC試験環境試験
機器校正
住所 東京都東久留米市八幡町1-1-12機械振興協会技術研究所内交通 西武池袋線「東久留米」または「清瀬」下車 バス10分
西東京試験センタ 信頼性試験
部品情報データベース
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お問い合わせをお待ちしております
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1. 1 静電気と半導体デバイス
ESD対策技術ワークショップ
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1-1-1. 静電気とは
・物質が正又は負の電荷をもつこと・静電容量(C)によって、電圧(V)が変化する
V=Q/C [Q:電荷量]・蓄積される電荷量には限界がある
3x106 V/m2.66x10-5 C/m2 (空気中/常温常圧)
・電荷の瞬間的な移動なので、感電はしない(10kV程度に帯電しても電撃を感じるだけ。雷は別)・発火原因になるので注意が必要(ガス爆発、粉塵爆発などの危険のある作業エリアでは、静電気放電に細心の注意を払う)
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1-1-2. 人体はどれくらい帯電するか静電気発生源 静電電圧
相対湿度
10~20%相対湿度
65~90%じゅうたん上を歩く人 35000V 1500Vビニール床上を歩く人 12000V 250Vベンチで作業する人 6000V 100Vビニールの覆い 7000V 600Vベンチから取り上げたポリバッグ 20000V 1200Vポリウレタンフォームを詰めた椅子 18000V 1500V
MIL-HDBK-263より湿度によって、帯電電圧が一桁変わる(温湿度管理が重視される理由)
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1-1-3. 人体はどれくらい帯電するか
・電撃を感じるのは k~ kVを超えたあたり
【実験】 どれくらいから電撃を感じるか実際に試してみる
人体帯電用高電圧電源
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1-1-4. デバイスのHBM耐性と電撃
デバイス
帯電した人体
ESD
デバイスのHBM耐性は1k~2kV
1k~2kVでは電撃を感じない
本人が気づかないうちに、
デバイスを壊してしまうデバイスに余計なストレスを与えないような環境を整える
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1-1-5. 身近な静電気と対策
ドアノブに触れた時の電撃・歩行によって人体が帯電し、金属(低抵抗体)に触れた時に、電荷が急激に移動する(火花放電)
・放電時に皮膚の感覚細胞=痛点が刺激を受け、痛みを感じる
・歩行時に摩擦が起きるのは、履き物と床面なので、歩き方や履き物で帯電量が変わる
・湿度の低い冬場に多い
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1-1-6. 身近な静電気と対策
・人体から放電させなければ、痛みを感じない「金属(硬貨やカギ)で一旦ノブに触れてから握る」・ハンカチや布製手袋では効果はない(布目の隙間から火花放電が起こり電撃を受ける)
皮膚からの放電(痛い) 金属間での放電(痛くない)
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1-2. 静電気の発生とデバイスの取り扱い
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1-2-1. 静電気の発生メカニズム
摩擦帯電2種類の異なる物質を摩擦させた時に、一方に正極、もう一方に負極の静電気が発生する現象。金属どおしを摩擦しても、電荷は発生する。
誘導帯電ある導体の近傍に、帯電した物体が存在する時
に、(その導体自身が帯電していなくても)あたかも 帯電しているかのように電位が観測される現象。
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帯電列
(+)
(-)
人体
ガラス
マイカ(雲母)
ポリアミド
羊毛
絹
アルミニウム
紙
綿
鋼鉄
木材
硬質ゴム
ポリエステル
ポリエチレン
ポリ塩化ビニル
PTFE(テフロン)
帯電列では、2種の材料が離れているほど帯電量は大きくなる
帯電列の例
2つの物体が離れた状態
両者が接触し、一方から電子が移動(他方にはホールが残る)
正極と負極の静電気に帯電する
1-2-2. 摩擦帯電 (帯電列)
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1-2-3. 摩擦帯電 (帯電列)実際に摩擦帯電を起こす
帯電列
(+)
(-)
人体
ガラス
マイカ(雲母)
ポリアミド
羊毛
絹
アルミニウム
紙
綿
鋼鉄
木材
硬質ゴム
ポリエステル
ポリエチレン
ポリ塩化ビニル
PTFE(テフロン)
紙(パルプ)
ストロー
表面電位計による電位測定
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1-2-4 摩擦帯電と静電気放電(ESD)帯電した絶縁体に半導体部品やプリント基板が接触してもESDは発生しない
半導体部品
プリント基板
帯電した絶縁体
金属端子と接触した部分の電荷しか移動ない
導体(半導体・基板)
絶縁体
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1-2-5 摩擦帯電と静電気放電(ESD)帯電した導体に半導体部品やプリント基板が接触するとESD発生
帯電した導体(人体)から接地導体(デバイス・基板)へ全電荷が移動する
半導体デバイス(プリント基板)
帯電した人体
ESD
導体(半導体・基板) 人体(導体)
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作業エリアで使用されるもの(1):人の指先 (写真無し)(2):指サック (ゴム製)(3):木綿手袋(4):QFP梱包用パレット (カーボン練り込み樹脂)(5):梱包材 (化粧箱の中敷き)(6):化粧箱(7):ピンクエアキャップ (小粒タイプ)(2) (3) (4) (5)
(6) (7)写真省略
(1)
(1) (2) (3) (4) (5)
(6)(7)(8)作業エリアに持ち込んではいけないもの
(1):アクリルケース (フロッピディスクケース)(2):クリアファイル (透明タイプ)(3):ボールペン (軸透明タイプ)(4):紙 (コピー用紙)(5):透明エアキャップ (小粒タイプ) (6):梱包材 (灰色スポンジ)(7):梱包材 (繭玉入りポリ袋)(8):ダンボール箱 (オレンジ色)
両者を擦りあわせた時にどのくらいの摩擦静電気が発生するか?
1-2-6. 摩擦帯電 (実験)
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縦列の各素材に発生した電圧
columnrow
Fingertip Finger cot
Cotton groves
Pallet for QFP
Cushion inner box
Paper box
Pink air-cap
Acrylic case -20V -20V -20V 0V +110V -20V +20VPaper holder -30V -140V -30V -20V -20V -20V -20VBall point pen
0V 0V -10V 0V +200V -200V 0V
Paper for copy
-10V -10V -10V 0V 0V 0V 0V
Clear air-cap -120V below-3.3kV
-2.2kV -300V below-3.3kV
below-3.3kV
-2.3kV
Ash-colored sponge
over+3.3kV
over+3.3kV
over+3.3kV
over+3.3kV
over+3.3kV
over+3.3kV
+700V
Air bag with cocoon ball
+200V -2.3kV -500V +200V -700V -2kV -2.3kV
Containerpaper box
0V -10V -10V -10V -10V -10V -10V
21.0℃/57.2%RH
1-2-7. 摩擦帯電 (結果)
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[結果]・紙以外の殆どの素材は帯電する。・梱包材は帯電しやすい・殆どの梱包材は、負極に帯電する
(相手の物質から電子を奪い取りやすい)
1-2-8. 摩擦帯電 (結果)
デバイスの周りに帯電し易い素材を持ち込まない。→デバイス破壊を引き起こす原因になる(誘導帯電)
絶縁素材から直接電荷が移動するわけではない電位差を持った導体どおしが低抵抗で接触した時に危険な放電が発生する
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1-2-9 誘導帯電 (誘導電位)
Ca
Cx
Cb
物体 : A電荷量 : Q
デバイス : B電荷量 :Q=0
物体 A の帯電電位;Va=Q/Ca
デバイス Bの誘導電位 ;Vb=Va*[Cx/(Cx+Cb)]
=Q/Ca*[Cx/(Cx+Cb)]
Cx が Cbよりも十分に大きい時 (例えばA とB が接触している時) 、デバイスBには電荷が存在しなくても、デバイスBの電位(Vb) は、物体 Aの電位 (Va)と殆ど等しくなる。
Ca : 物体Aと大地アースとの静電容量Cb : デバイスBと大地アースとの静電容量
導体絶縁体
負極に帯電
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-14kVに摩擦帯電した椅子
帯電していない基板(0kV)-8kVに誘導帯電した基板
静電容量が大きいプリント基板でも、誘導帯電を起こす(椅子の座面と同じ電位にはならないが、kVオーダーの誘導帯電を受ける)
1-2-10 誘導帯電 (基板の誘導電位)
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1-2-11 誘導帯電と静電気放電(ESD)
金属製ピンセット
物体Aによってデバイスや基板が誘導帯電している時に、(接地)金属に接触すると、
中和電荷が急激に流れ込む(ESD発生)
Ca
Cx
Cb
物体 : A電荷量 : Q
デバイス : B電荷量 :Q=0
Ca : 物体Aと大地アースとの静電容量Cb : デバイスBと大地アースとの静電容量
導体絶縁体 導体
中和電荷流入
接近
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表面電位測定(誘電分極と容量分圧)・静電気測定では誘電分極と容量分圧の両方を混同して混乱するケースがしばしば見られる
帯電物(電荷+Q、+1kV)
-Q
+Q
①帯電物とデバイスとの間には、コンデンサが形成されていて、
②帯電物に近い側に、等量の-Qの電荷があつまる
③反対側に、残りの+Qの電荷が集まる
+Q
このように考えると、このデバイスの電位は0Vになってしまう。実際には、帯電物に近いプラス電圧が観測されるはずなのに、何故か?
0V
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帯電物(電荷+Q、+1kV)
・誘電分極は起こるが、電荷+Qの全部ではない(容量分圧で決まるごく一部でしかない)
-q
+q
①帯電物とデバイスとの間には、コンデンサが形成されていて、
③はじき出せた分に見合う-qの電荷が引き寄せられる
②大地アースとの静電容量にはじき出せる分の電荷+qが遠去けられる
+q
誘電分極は、C2側で決まる。C2はCxよりも一般にかなり小さいので、僅かしか分極せず、デバイスの電位は帯電物の電位と殆ど等しくなる。
Cx
C2
≒1kV
-q
表面電位測定(誘電分極と容量分圧2)
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高電圧電源
表面電位計
EMI ロケータ(放電電磁波検出器)
被験者(1)
(2)
(3)
測定プローブ
金属板
帯電した人体が手にした道具には何Vの電圧が誘導されるか?
(1) 被験者が左手に道具を持ち、右手で高電圧電源の出力端子に触れて、自身の電位を所定の電位に上昇させる(2) 別な人が、道具の先端の電位を表面電位計で測定する(3) 被験者は右手を高電圧電源から放し、左手に持った道具を金属板 に接触させ、静電気放電の有無をEMIロケータで確認する。
1-2-12. 誘導帯電 (実験)
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基板組立作業エリアで用いられる道具類
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)(9)
(10) (11)
(12)
(1): 金属製ピンセット(2): セラミックピンセット(3): ボールペン
(軸透明)(4): シャープペンシル(5): バキューム・ピック
(ペンシル型)(6): バキューム・ピック
(注射器型)(7): ドライバ
(樹脂製グリップ)(8): 精密ドライバ(9): 半田コテ
(接地無し)(10): カッター
(樹脂製ホルダ)(11): カッター
(金属製ホルダ)
(12): EMI ロケータ
1-2-13. 誘導帯電 (実験品目)
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各道具の誘導電位と放電(EMI)の有無
人体の帯電電位/ 道具の誘導電位/放電(EMI)の有無
-2200V EMI -1200V EMI +1100V EMI +2000V EMI金属製ピンセット -1700V Yes -830V Yes +920V Yes +1660V Yesセラミックピンセット -1980V No -1100V No +1070V No +1700V Noボールペン -1700V No -880V No +990V No +1750V Noシャープペンシル -1520V Yes -870V No +1000V Yes +1490V Yesバキューム・ピック(ペンシル型,注射器型)
-2000V-1600V
NoNo
-1080V-880V
NoNo
+950V+900V
NoNo
+1730V+1230V
NoNo
ドライバ (樹脂グリップ) -1880V Yes -1080V Yes +900V Yes +1700V Yes精密ドライバ (金属) -2000V Yes -1040V Yes +950V Yes +1700V Yes半田コテ -1900V Yes -900V No +920V Yes +1600V Yesカッター (樹脂ホルダ) -2000V Yes -1080V Yes +1020V Yes +1700V Yesカッター (金属ホルダ) -1800V Yes -980V Yes +950V Yes +1700V Yes
1-2-14. 誘導帯電 (結果)
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1-2-15 静電気と放電現象(まとめ)
・電位差を持った導体どおしの接触により静電気放電が発生する
・帯電した絶縁体どおしや絶縁体と導体が接触しても静電気放電は発生しない
・帯電した絶縁体に近接した導体に(接地された)導体が接触すると静電気放電が発生する
・半導体デバイスやプリント基板にとって帯電した絶縁体が近接する状態が起りやすい(半導体デバイスのパッケージ帯電、プリント基板の帯電、収納ケースの帯電など)
・グリップ部分が金属製でない道具でも、帯電した人体が手に持った時には、人体とほぼ同じ電位がその先端に誘導される
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1-2-16. 誘導帯電 (想定される放電1)
人体が帯電していたら、金属ピンセットでデバイスの端子
に触れると放電する
人体の帯電防止(導電靴、リストストラップ)
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1-2-17. 誘導帯電 (想定される放電2)
人体が帯電していたら、デバイスを基板やソケットに装着した時に放電する
人体の帯電防止(導電靴、リストストラップ)
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1-2-18. 誘導帯電 (想定される放電3)
クリアファイルが帯電していると、箱ごとデ
バイスが誘導帯電し、金属ピンセットで端子に触れると放電する
作業エリアに帯電物を持ち込まない(導電マット、専用トレー内でデバイスを取り扱う)
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1-2-19. 誘導帯電 (放電防止するには)
リストストラップを正しく装着し、人体の電位を0(ゼロ)ボル
トに保つ
リストストラップの日常点検も重要(断線チェック)コードがアースから外れないような止め金具も重要
バンドを締めていない(効果無し)
手で握る(不安定)
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1-2-20. 誘導帯電 (放電防止するには)
デバイスやボードを取り扱う時は、静電気対策用導電マット上で行う
人体が帯電していても、
セラミックピンセットであれば放電電しない。デバイスが帯電し
ている時も同じ
金属性の治工具類は危険な放電の対象物になるので、出来るだけ使用を避ける
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静電気保護作業エリアの構成
床(未対策)
作業台(未対策)
保管棚(未対策)
椅子(未対策)
台車(未対策)
保管容器(未対策)
アース(未設置)
包装材(プラスチック)
未対策の作業エリア(非EPA)
導電床
作業台(導電マット)
保管棚(導電マット)
椅子(対策品)
台車(対策品)保管容器(導電性)
アース
表示
除電器(イオナイザ)
リストストラップ導電靴作業衣服も対象
対策済の作業エリア(EPA)
万全を期したつもりEPA(ESD Protected Area)でも静電気障害のリスクが存在する
未対策の作業エリアには静電気トラブルの危険が多数存在する
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静電気トラブル再現実験と工程調査
トラブル発生品
静電破壊試験による再現品
同一症状
静電気トラブル対策手順
故障再現故障再現帯電過程/放電過帯電過程/放電過
程の調査破壊モデルの特定破壊モデルの特定 工程対策の提案工程対策の提案
人体帯電モデルマシンモデル
帯電体誘導モデルボード帯電モデル
デバイス帯電モデルチップ帯電モデル
非ESD破壊(EOS破壊)
電気的オーバーストレス発生工程調査
人員・機器の帯電量調査/放電検出
製造工程内の帯電物調査ボード/デバイス/チップの帯電調査/放電検出
電気的オーバーストレス要因の排除
帯電の抑制
危険な放電の回避
人員・機器の接地
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微細化プロセスの進展(ゲート酸化膜の薄膜化)→従来のブレークダウン特性を利用した保護素子では、
保護対象であるゲート酸化膜の破壊を防げない
→デバイスメーカ側からESD耐性の設計目標値を引き下げる提案JEDEC JEP-155A-01 2012;HBM/MM
HBM試験の設計目標値:2kV→1kVMM試験:200V→30V(※)
JEDEC JEP-157 2009;CDMCDM試験は500Vから250V
※MM試験:ESD認証試験に用いない提案JEITA: ED4701/302 (2013)で削除JEDEC:JEP172 2014で適用除外を提案AEC:Rev-H(2014)で失効
デバイスメーカの製造工程や、デバイスユーザによる電子機器へのLSI組み込み工程での静電気対策が一層重要になる
おわりに
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ご清聴頂き有難う御座いました。
□ デバイス評価事業部営業グループ
□ 加藤 且宏
□ TEL:03-5920-2366□ E-mail:[email protected]□ URL:http://www.oeg.co.jp/
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