「同僚性」を高める校長のリーダーシップ ·...

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巻頭言・地区だより 論文さりながら 特別寄稿経営研 文芸事務局日誌 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ 北海道中学校長会 副会長 中 村 勝 治 学校現場では,今後10年間に,教員全体の34%, 20万人弱の教員の大量退職が予定され,文部科学 省も危機感をもって教員養成について,改革の方 向性を打ち出しています。 私が36年前,新採用で勤務した学校は,教職員 が40名弱の中規模校でしたが,20代~30代の教員 が5,6名と少なく,7割以上が45歳以上の教員で した。その当時の「ひしめく40代」という言葉が今 でも記憶に残っています。戦後,第一次ベビーブー ムに生まれた世代(団塊の世代)に対応するために 大量に採用された先生方でした。 私は,この学校で過ごした5年間で,様々な先生 方から,多くのことを学びました。特に印象に残っ ているのが,同じ学年で隣り合わせにいた先輩教師 でした。自分の年齢の2倍以上の先生でしたが,教 師としてのイロハを学びました。 「空き時間は必ず先輩の授業を見に行くこと」, 「放課後は,どんな教室掲示をしているか各教室を 見て回ること」,極めつけは,「先輩の先生方が何 かしていたら,『私手伝いますか』と必ず声をかけ ること」。同じ学年を組んだ2年間,この先輩教師 から言われ続けた言葉です。 この時のこの学校の教師は,実に個性的な教員 の集まりでした。「一言で子どもを集中させる教 師」「子どもを生き生きと動かす教師」「毎日休み 時間子どもと遊ぶ教師」…。会議等では激しく議論 しますが,「互いのよさはわかっている」という大 人の教職員集団でした。学校行事や公開研究会な どでは,意見の相違を乗り越えて一つになって取り 組んでいました。 そこには,個性の強い教職員集団を束ね,適材 適所な配置でチームとして学校を動かしていた当 時の校長の「巧みなしかけと手腕」がありました。 業務の多忙化や保護者のニーズの多様化ととも に,大量退職により学校現場の世代間の意識の違 いが,同僚性や協働意識に影響を与えるのではな いかと危惧されています。 校長が自ら同僚から学ぶ姿勢を率先して示すと ともに,教職員と積極的に関わりながら,個々の長 所や自校の強みを探し,めざす学校づくりに向けた 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個 性を生かし,同僚性を高めながら,新採用教員が育 つ学校づくりをめざしたいと願う今日この頃です。 353 平成28年7月22日発行 「3代目 旭橋」旭川市東明中学校 明田 靖則 「啄木が愛した大森浜と臥牛山の異名をもつ函館山」函館市立湯川中学校 小川  弘

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Page 1: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

巻頭言・地区だより

論文・さりながら

特別寄稿・経営研

文芸・事務局日誌

大 会 案 内

「同僚性」を高める校長のリーダーシップ北海道中学校長会 副会長 中 村 勝 治

 学校現場では,今後10年間に,教員全体の34%,

20万人弱の教員の大量退職が予定され,文部科学

省も危機感をもって教員養成について,改革の方

向性を打ち出しています。

 私が36年前,新採用で勤務した学校は,教職員

が40名弱の中規模校でしたが,20代~30代の教員

が5,6名と少なく,7割以上が45歳以上の教員で

した。その当時の「ひしめく40代」という言葉が今

でも記憶に残っています。戦後,第一次ベビーブー

ムに生まれた世代(団塊の世代)に対応するために

大量に採用された先生方でした。

 私は,この学校で過ごした5年間で,様々な先生

方から,多くのことを学びました。特に印象に残っ

ているのが,同じ学年で隣り合わせにいた先輩教師

でした。自分の年齢の2倍以上の先生でしたが,教

師としてのイロハを学びました。

「空き時間は必ず先輩の授業を見に行くこと」,

「放課後は,どんな教室掲示をしているか各教室を

見て回ること」,極めつけは,「先輩の先生方が何

かしていたら,『私手伝いますか』と必ず声をかけ

ること」。同じ学年を組んだ2年間,この先輩教師

から言われ続けた言葉です。

 この時のこの学校の教師は,実に個性的な教員

の集まりでした。「一言で子どもを集中させる教

師」「子どもを生き生きと動かす教師」「毎日休み

時間子どもと遊ぶ教師」…。会議等では激しく議論

しますが,「互いのよさはわかっている」という大

人の教職員集団でした。学校行事や公開研究会な

どでは,意見の相違を乗り越えて一つになって取り

組んでいました。

 そこには,個性の強い教職員集団を束ね,適材

適所な配置でチームとして学校を動かしていた当

時の校長の「巧みなしかけと手腕」がありました。

 業務の多忙化や保護者のニーズの多様化ととも

に,大量退職により学校現場の世代間の意識の違

いが,同僚性や協働意識に影響を与えるのではな

いかと危惧されています。

 校長が自ら同僚から学ぶ姿勢を率先して示すと

ともに,教職員と積極的に関わりながら,個々の長

所や自校の強みを探し,めざす学校づくりに向けた

強いリーダーシップの発揮が求められています。 

 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

性を生かし,同僚性を高めながら,新採用教員が育

つ学校づくりをめざしたいと願う今日この頃です。

353平成28年7月22日発行

「3代目 旭橋」旭川市東明中学校 明田 靖則「啄木が愛した大森浜と臥牛山の異名をもつ函館山」函館市立湯川中学校 小川  弘

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Page 2: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (3)平成28年7月22日 発行

「鉄心石腸」の信念を貫く

小樽市・桜町中 黒 川 裕 之 小樽市中学校長会は,福田信正(菁園中)会長のもと,新会員2名を迎え13名でスタートした。平成24年度から,本会が策定した学力向上改善策「小樽スタンダード」の推進を基軸とし,教員の意識改革と指導力の向上を目指して取組を進めて来た。今年度は市教委から昨年度に引き続き提示された「小樽市学校教育推進計画【23の指針】」を学校経営に反映するべく,校長会として横のつながりを大切にしながら取り組んでいる。その方策の一つ,ミドルリーダー育成のための校長会主催の研修会も3年目を迎え,教職員の育成が徐々に実を結びつつある。どのような場面にあっても「鉄心石腸」を貫き,一歩一歩着実な改善を目指したい。 【活動方針】 (要約)1 職能向上のため,組織的共同研究を進め,学校経営の充実発展を図る。

2 信頼と秩序ある教育の創造にむけ,学校間の連携を密にし,諸問題の解決に努める。

3 教育条件の整備・充実を図る活動を行う。4 関係機関・諸団体との連携を密にし,協力体制の強化に努める。

仲間意識と報連相を大切に「一人一人の校長を支える」校長会

後志・蘭越中 橋 本 直 樹 後志小中学校長会は19町村の小中学校長64名の会員で組織されている。今年度は村井満会長の下,一人一人の校長・現場を支え,必要なことはしっかりと意見具申し,変化を恐れずに新たなことにも積極的に取り組む校長会を目指す。 保護者・地域の負託と信頼に応えるとともに,後志教育の一層の充実・発展に寄与すべく諸課題に取り組んでいる。 【活動内容】1 学校経営の充実 2 教育課程の充実3 生徒指導・特別支援教育の充実4 研究活動の充実 5 教職員の資質向上6 教育諸条件の整備 7 教職員の処遇改善8 校長会組織の強化と活動の充実 【活動の重点】1 学力の向上を目指した「学力向上の後志学校教育プラン」の充実と活用推進

2 教頭・ミドルリーダーの育成を目指した研修等の推進

3 町村教育委員会と校長会との連携強化4 教職員の法令遵守に向けた管理職研修の推進

未来を築き,ともに社会を創る力を育む札幌市中学校教育

札幌市・常盤中

 札幌市中学校長会は4月に新入会員22名を迎え,大塚伸一会長の下,今年度の活動をスタートさせた。 本会は,「札幌市教育振興基本計画」及び「札幌市学校教育の重点」を踏まえ,「自立した札幌人」の育成を目指し,「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」等の推進に向け,組織的,機能的に取り組んでいる。 平成29年度は,北海道から札幌市への教職員給与負担等の移譲の年であり,札幌市中学教育発足70年の年に当たる。今年度は「準備とイノベーション」をキーワードに,組織の改編や規約改正,記念誌の発行等の準備に精力的に取り組んでいく。 【活動の重点】1 校長会組織・運営の強化と研修の充実2 学校経営の改善と充実3 学校経営の条件整備と教職員の待遇改善4 教育関係機関や諸団体との連携強化 【研究活動】 『未来を築き,ともに社会を創る力を育む札幌市中学校教育』を研究基本主題とした3年次研究の1年目にあたり,7部会で研究の充実を図っていく。

「新たな時代を切り拓く『生きる力』を育成する学校教育の確立」をめざして

石狩・中央中 出 村 好 孝若 松 尚 代 石狩管内小中学校長会は,新会員18名を迎え,5市1町1村103名で活動をスタートした。 本会は,教育改革の理念を踏まえた適正な学校経営を進め,学校力向上等の具体的な取組を推進している。その柱となるのは,市町村単位,A・B二つのブロック,そして春季・秋季の全体研修であり,これらを通して校長としての職能向上に努めている。関係機関や団体との連携も大事にしながら,石狩の風土に根ざした教育を推進していく。 【活動方針】1 信頼される学校経営のもと,管内教育の安定と

 充実・発展に努める。2 職能向上をめざす研修活動の推進と教職員の

資質向上に努める。3 管内の教育諸課題を把握し,その解決に努める。4 教育諸条件の整備・充実と教職員の処遇改善や

福利厚生の推進に努める。5 組織の強化と実態に即した会務の推進に努める。6 会員相互の交流活動の推進に努める。7 平成29年度北海道中学校長会教育研究大会石

狩(千歳)大会の成功に向け,準備に当たる。

第353号(2) 平成28年7月22日 発行

心豊かにたくましく生きるオホーツクの子の育成を目指してオホーツク・網走第一中 古 川 幸 宏

 オホーツク管内小中学校長会は,小規模校の統廃合が進み,5名減の132名となった。 このような中,4月9日に総会を開催し,硯将隆新会長のもと,10名の採用校長を迎え,創意と英知を結集して管内教育の充実・発展を目標に掲げ,今年度の活動方針を次のように設定した。また,管内の課題である学力向上に向けたアピール宣言を発出し具体的課題解決に一丸となって取り組んでいる。 【活動方針】 (要約)1 校長の使命を自覚し,識見を高め,指導力を培うとともに,時代の要請に対応できる主体的な組織を確立し,管内教育の充実・発展に努める。

2 職能研修を充実し,会員相互の協力・信頼関係を一層深化させ,信頼と秩序に基づく課題解決型学校運営への改善・充実に努める。

3 オホーツク教育局をはじめとする教育関係団体諸機関や諸団体と連携を図り,管内教育をめぐる諸課題と具体的解決策を明確にし,その解決に努める。

4 第44回オホーツク管内小中学校長教育研究大会に会員一人一人が主体的に参加し,校長の職能向上と大会の成功に努める。

チームねむろの力を結集し,リーダーシップを発揮する校長会運営をめざして

根室・北斗小 坂 内 克 裕 根室管内小中学校校長会は4月の定期総会で,髙田秀康会長が就任し平成28年度がスタートした。今年度は根室管内の小中学校が44校となった。会員数の減少をプラス思考に転じチーム根室で結束し,校長として経営能力を高める研修の充実を重点に校長会運営を行う。そして,各校長がリーダーシップを存分に振るうことで,根室の子供たちが心豊かに成長を遂げることを目途とする。 【運営方針】1 教育をめぐる課題を的確に捉え,各校長がリーダーシップを発揮できるよう情報提供や解決策の提案に積極的に取り組む。

2 信頼される公教育の確立を図るために,教職員の創意を活かした教育推進に努める。

3 行政や道小中校長会との連携を強化し,地域に開かれた学校経営改善充実に取り組む。

4 校長として常に研鑽に励み,教職員の資質やモラール(協働意欲)の向上に努める。

5 会員相互の連帯意識を高め,信頼関係を基盤にした組織の強固な体制作りと校長会の主体性の確立に努める。

校長相互が強い連帯意識をもち,今日的諸課題に積極的に取り組む校長会

釧路市・美原中

 釧路市中学校長会は,梅本会長のもと,新会員6名(新採用2名)を加えた15名の会員で,今年度の活動をスタートした。今年度も釧路市教育推進基本計画や釧路市教育行政方針を具現化するため,校長相互が強い連帯意識をもち,今日的な諸課題に積極的に取り組む校長会を目指していきたい。 【活動方針】(要約)1 危機管理意識の醸成及び危機管理への対応を

継続的に取り組む。2 喫緊の課題である「学力向上」,「体力向上」に向けた積極的な取組を推進する。

3 服務規律の適正化に努め,秩序ある学校運営を推進する。

4 自らの研鑚と教職員の資質向上を高める工夫と意識改革に努める。

5 職能,専門性を高める研修を組織的に推進する。6 諸課題に対し情報共有し,一枚岩で取り組む。7 会の独自性を発揮し,効果的組織運営に努める。

8 行政及び関係機関との連携を密にし,学校運営上必要な諸課題の整備促進に努める。

9 組織の充実と会員相互の結束強化,親睦を図る。

調和のある学校運営を目指して

釧路・富原中 米 塚 孝 治大 森   伸 釧路校長会は,管理職の大幅交代期となり,15名の採用校長を迎えました。釧路管内の小学校長27名,中学校長18名,小中併置校長5名の総勢50名で構成されています。今年度,川嶋和久会長を中心に,釧路校長会の理念「調和のある学校運営を目指して」の5項目の方針を確認し活動を開始しました。 【運営方針】(要約)1 「釧路の風土に根ざす学校づくり」を進め,研修

活動の充実を図り諸課題の解決に努める。2 地域や保護者の信頼や期待に応え,「子どもたちや教職員が明るく,楽しく学べる環境づくり」を志向する学校経営に努める。

3 学習指導要領の趣旨を生かし,「生きる力」を育む教育課程を編成・実施・評価し,改善を図りながら自校の課題解決に努める。

4 教育関係諸団体と町村校長会との連携協力を密にし,教育の動向や情報の共有化と諸課題の解決に向け迅速に行動するよう努める。

5 円滑な学校経営を目指し,釧路校長会綱領の趣旨に基づき,会員個々の意識を高め相互の絆を一層深められるよう努める。

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Page 3: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (3)平成28年7月22日 発行

「鉄心石腸」の信念を貫く

小樽市・桜町中 黒 川 裕 之 小樽市中学校長会は,福田信正(菁園中)会長のもと,新会員2名を迎え13名でスタートした。平成24年度から,本会が策定した学力向上改善策「小樽スタンダード」の推進を基軸とし,教員の意識改革と指導力の向上を目指して取組を進めて来た。今年度は市教委から昨年度に引き続き提示された「小樽市学校教育推進計画【23の指針】」を学校経営に反映するべく,校長会として横のつながりを大切にしながら取り組んでいる。その方策の一つ,ミドルリーダー育成のための校長会主催の研修会も3年目を迎え,教職員の育成が徐々に実を結びつつある。どのような場面にあっても「鉄心石腸」を貫き,一歩一歩着実な改善を目指したい。 【活動方針】 (要約)1 職能向上のため,組織的共同研究を進め,学校経営の充実発展を図る。

2 信頼と秩序ある教育の創造にむけ,学校間の連携を密にし,諸問題の解決に努める。

3 教育条件の整備・充実を図る活動を行う。4 関係機関・諸団体との連携を密にし,協力体制の強化に努める。

仲間意識と報連相を大切に「一人一人の校長を支える」校長会

後志・蘭越中 橋 本 直 樹 後志小中学校長会は19町村の小中学校長64名の会員で組織されている。今年度は村井満会長の下,一人一人の校長・現場を支え,必要なことはしっかりと意見具申し,変化を恐れずに新たなことにも積極的に取り組む校長会を目指す。 保護者・地域の負託と信頼に応えるとともに,後志教育の一層の充実・発展に寄与すべく諸課題に取り組んでいる。 【活動内容】1 学校経営の充実 2 教育課程の充実3 生徒指導・特別支援教育の充実4 研究活動の充実 5 教職員の資質向上6 教育諸条件の整備 7 教職員の処遇改善8 校長会組織の強化と活動の充実 【活動の重点】1 学力の向上を目指した「学力向上の後志学校教育プラン」の充実と活用推進

2 教頭・ミドルリーダーの育成を目指した研修等の推進

3 町村教育委員会と校長会との連携強化4 教職員の法令遵守に向けた管理職研修の推進

未来を築き,ともに社会を創る力を育む札幌市中学校教育

札幌市・常盤中

 札幌市中学校長会は4月に新入会員22名を迎え,大塚伸一会長の下,今年度の活動をスタートさせた。 本会は,「札幌市教育振興基本計画」及び「札幌市学校教育の重点」を踏まえ,「自立した札幌人」の育成を目指し,「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」等の推進に向け,組織的,機能的に取り組んでいる。 平成29年度は,北海道から札幌市への教職員給与負担等の移譲の年であり,札幌市中学教育発足70年の年に当たる。今年度は「準備とイノベーション」をキーワードに,組織の改編や規約改正,記念誌の発行等の準備に精力的に取り組んでいく。 【活動の重点】1 校長会組織・運営の強化と研修の充実2 学校経営の改善と充実3 学校経営の条件整備と教職員の待遇改善4 教育関係機関や諸団体との連携強化 【研究活動】 『未来を築き,ともに社会を創る力を育む札幌市中学校教育』を研究基本主題とした3年次研究の1年目にあたり,7部会で研究の充実を図っていく。

「新たな時代を切り拓く『生きる力』を育成する学校教育の確立」をめざして

石狩・中央中 出 村 好 孝若 松 尚 代 石狩管内小中学校長会は,新会員18名を迎え,5市1町1村103名で活動をスタートした。 本会は,教育改革の理念を踏まえた適正な学校経営を進め,学校力向上等の具体的な取組を推進している。その柱となるのは,市町村単位,A・B二つのブロック,そして春季・秋季の全体研修であり,これらを通して校長としての職能向上に努めている。関係機関や団体との連携も大事にしながら,石狩の風土に根ざした教育を推進していく。 【活動方針】1 信頼される学校経営のもと,管内教育の安定と

 充実・発展に努める。2 職能向上をめざす研修活動の推進と教職員の

資質向上に努める。3 管内の教育諸課題を把握し,その解決に努める。4 教育諸条件の整備・充実と教職員の処遇改善や

福利厚生の推進に努める。5 組織の強化と実態に即した会務の推進に努める。6 会員相互の交流活動の推進に努める。7 平成29年度北海道中学校長会教育研究大会石

狩(千歳)大会の成功に向け,準備に当たる。

第353号(2) 平成28年7月22日 発行

心豊かにたくましく生きるオホーツクの子の育成を目指してオホーツク・網走第一中 古 川 幸 宏

 オホーツク管内小中学校長会は,小規模校の統廃合が進み,5名減の132名となった。 このような中,4月9日に総会を開催し,硯将隆新会長のもと,10名の採用校長を迎え,創意と英知を結集して管内教育の充実・発展を目標に掲げ,今年度の活動方針を次のように設定した。また,管内の課題である学力向上に向けたアピール宣言を発出し具体的課題解決に一丸となって取り組んでいる。 【活動方針】 (要約)1 校長の使命を自覚し,識見を高め,指導力を培うとともに,時代の要請に対応できる主体的な組織を確立し,管内教育の充実・発展に努める。

2 職能研修を充実し,会員相互の協力・信頼関係を一層深化させ,信頼と秩序に基づく課題解決型学校運営への改善・充実に努める。

3 オホーツク教育局をはじめとする教育関係団体諸機関や諸団体と連携を図り,管内教育をめぐる諸課題と具体的解決策を明確にし,その解決に努める。

4 第44回オホーツク管内小中学校長教育研究大会に会員一人一人が主体的に参加し,校長の職能向上と大会の成功に努める。

チームねむろの力を結集し,リーダーシップを発揮する校長会運営をめざして

根室・北斗小 坂 内 克 裕 根室管内小中学校校長会は4月の定期総会で,髙田秀康会長が就任し平成28年度がスタートした。今年度は根室管内の小中学校が44校となった。会員数の減少をプラス思考に転じチーム根室で結束し,校長として経営能力を高める研修の充実を重点に校長会運営を行う。そして,各校長がリーダーシップを存分に振るうことで,根室の子供たちが心豊かに成長を遂げることを目途とする。 【運営方針】1 教育をめぐる課題を的確に捉え,各校長がリーダーシップを発揮できるよう情報提供や解決策の提案に積極的に取り組む。

2 信頼される公教育の確立を図るために,教職員の創意を活かした教育推進に努める。

3 行政や道小中校長会との連携を強化し,地域に開かれた学校経営改善充実に取り組む。

4 校長として常に研鑽に励み,教職員の資質やモラール(協働意欲)の向上に努める。

5 会員相互の連帯意識を高め,信頼関係を基盤にした組織の強固な体制作りと校長会の主体性の確立に努める。

校長相互が強い連帯意識をもち,今日的諸課題に積極的に取り組む校長会

釧路市・美原中

 釧路市中学校長会は,梅本会長のもと,新会員6名(新採用2名)を加えた15名の会員で,今年度の活動をスタートした。今年度も釧路市教育推進基本計画や釧路市教育行政方針を具現化するため,校長相互が強い連帯意識をもち,今日的な諸課題に積極的に取り組む校長会を目指していきたい。 【活動方針】(要約)1 危機管理意識の醸成及び危機管理への対応を

継続的に取り組む。2 喫緊の課題である「学力向上」,「体力向上」に向けた積極的な取組を推進する。

3 服務規律の適正化に努め,秩序ある学校運営を推進する。

4 自らの研鑚と教職員の資質向上を高める工夫と意識改革に努める。

5 職能,専門性を高める研修を組織的に推進する。6 諸課題に対し情報共有し,一枚岩で取り組む。7 会の独自性を発揮し,効果的組織運営に努める。

8 行政及び関係機関との連携を密にし,学校運営上必要な諸課題の整備促進に努める。

9 組織の充実と会員相互の結束強化,親睦を図る。

調和のある学校運営を目指して

釧路・富原中 米 塚 孝 治大 森   伸 釧路校長会は,管理職の大幅交代期となり,15名の採用校長を迎えました。釧路管内の小学校長27名,中学校長18名,小中併置校長5名の総勢50名で構成されています。今年度,川嶋和久会長を中心に,釧路校長会の理念「調和のある学校運営を目指して」の5項目の方針を確認し活動を開始しました。 【運営方針】(要約)1 「釧路の風土に根ざす学校づくり」を進め,研修

活動の充実を図り諸課題の解決に努める。2 地域や保護者の信頼や期待に応え,「子どもたちや教職員が明るく,楽しく学べる環境づくり」を志向する学校経営に努める。

3 学習指導要領の趣旨を生かし,「生きる力」を育む教育課程を編成・実施・評価し,改善を図りながら自校の課題解決に努める。

4 教育関係諸団体と町村校長会との連携協力を密にし,教育の動向や情報の共有化と諸課題の解決に向け迅速に行動するよう努める。

5 円滑な学校経営を目指し,釧路校長会綱領の趣旨に基づき,会員個々の意識を高め相互の絆を一層深められるよう努める。

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Page 4: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (5)平成28年7月22日 発行

「日本一丁寧なあいさつ」ができる生徒を育てる

知内町立知内中学校 楢 山   聡

 3年前,私が知内中学校に新任校長として赴任し

たての頃,驚くことの多い毎日でしたが,その中で

も一番驚いたのが町民の皆さんの「あいさつ」でし

た。道路ですれ違うとき,役場のロビーで,温泉で

も,すべての人があいさつしてくれます。実はここ

知内町は,町をあげてあいさつを奨励しているので

した。もちろん,知内中学校の105名の生徒も大きな

声であいさつをします。しかし,生徒によってあい

さつをする声や態度に「温度差」もあり,全校生徒

がきちんとあいさつをしたり,相手への思いが伝わ

るあいさつをしたりできるよう,あいさつ運動をも

う一歩進めたいと考えるようになりました。

 ちょうどその頃,生徒指導部から「日本一丁寧な

あいさつ」を目指す運動を始めるという提案があり

ました。この新しいあいさつ運動は,立ち止まって

お辞儀をしながらあいさつをするというものです。

はじめは,何度も立ち止まるので,なかなか前へ進

めない生徒もいました。また,おもしろがってあい

さつをしていた生徒も,学校を訪れたいろいろな方

から褒められるので,徐々に本当に日本一を目指そ

うという気持ちになり,お辞儀の仕方やあいさつの

声に,これまでとは違う落ち着きや元気さ,心のゆ

とりのようなものを感じるようになってきました。も

ちろん教職員も率先垂範を忘れず,生徒と一緒に

実践しています。

 この運動を始めてからすべての生徒が,丁寧なあ

いさつを実践するようになり,温度差を感じなくな

りました。これは,あいさつという心の問題をお辞

儀という行動様式として具現化したため,全員が取

り組みやすくなったのだと思います。また,生徒は

学校の外でも日本一丁寧なあいさつを実践するの

で,至る所で評判となりました。今では,町内の小

学校でもこのあいさつ運動に取り組むようになりま

した。また,渡島管内のいくつかの中学校でも実践

しているようです。さらに,町長が中学生のあいさ

つに惚れ込み,今年度から町役場でも「日本一丁寧

なあいさつ」運動が始まりました。

 自分たちの始めた運動がみんなに認められ,ひろ

がりをみせているという経験は,長い人生でもそう

あることではありません。生徒たちには,その当事

者としての誇りと自信をもって堂々と,そして周り

の人に優しく生きていってほしいと願っています。

初任時代の思い出…あれから幾星霜

帯広市立清川中学校 杉 本 光 瞬

 今から30数年前の新卒5年目の頃であったろうか,40日間ほど海外研修の機会を与えていただいたことがあった。この時の様々な体験は教師としての見聞を広めたばかりでなく,その後の教職人生にとって何事にも代え難い貴重な勉強となった。子どもたちと接する上で,たいへん多くのことを学んだ。 その頃,昭和50年代後半は生徒指導の困難な時代であり,いわゆる「荒れた学校」の話題に事欠かない時代であった。私が初任で勤務した学校は道東の港町にある新設3年目の学校であった。独特な時代背景もあったのだろうけれど,様々な面で混乱した中で荒廃する子どもたちの姿を何度も見てきた。さらに学級経営や生徒指導で悩み苦しむ教職員の姿も見ることが多かった。 今思い返すと荒廃していたのは子どもたちではなく,世の中であったのだろうとつくづく思う。「軽薄短小」という言葉に代表されるように,1980年代はバブルに向かって突き進む一見華やかな時代ではあったが,どこかに儚さを予感できる実態のない栄華が蔓延していた。その中で子どもたちの心も大きく影響されていたのだと思う。

 当時日本の好景気とは対照的に,イギリスは堅実で落ち着いた空気感が漂っていた。ホームステイ先の家庭の生活も,とても質素で贅沢とはほど遠いものであった。しかしその生き方は豊かで,鮮やかな色彩を感じるものであった。 ホストファミリーの主(あるじ)は,かなり「しつけ」の厳しい方であったが,普段はたいへん紳士的で子どもの話をよく聞き,適切なアドバイスを与える場面を多く見ることがあった。ある時,主は私に「子どもは扱われたように振る舞う。子どもとして扱えば子どものように振る舞う。大人として扱えば大人のように振る舞う。」と話してくれた。 英国紳士という言葉のあるイギリスであるが,子ども時代から紳士となるべく厳しく教育する中で,言い伝えられてきた言葉なのであろうか。 振り返って自分の学校での姿勢はどうであったろう。教師としての立場であるから一定のけじめはあるにせよ,一つの人格として尊重し対応していたであろうか。帰国後,何度も問い直しては教師としてのよすがとなる,私にとっては意味深い忘れられない言葉となった。

第353号(4) 平成28年7月22日 発行

校長の役割 ~教職員の資質・能力の向上と地域・校種間連携~

下川町立下川中学校 田 丸 直 樹

〈論 文〉

1 はじめに 下川町は,町の総面積の90.6%を占める豊かな緑

と河川などの自然環境や多雪寒冷という冬期間の厳

しい気象風土などを生かした官民一体となった町づ

くりで全国の注目を集めている。特に平成20

(2008)年に「環境モデル都市」の認定を受け,再

生可能エネルギーによるエネルギー完全自給を図

り,誰もが活躍の場をもち,安心して暮らせる社会

を構築する構想の下,まちづくりが推進されてい

る。その流れの中で,幼・小・中・高各1校の特色を

生かし,「環境教育」を核とした各校の連携が進め

られ,保護者や地域,関係機関などが一体となっ

て,子どもたちの育成に努めようという風土が根付

き,学校教育に対して比較的協力的な雰囲気があ

る。

2 学校経営を進めるにあたって 学校経営を進める上で,地域の特性や管理職を

除く教職員の年齢構成(新採用・2校目の教員が約

7割)などから,とりわけ,方針や重点目標を教職

員や保護者・地域にわかりやすく提示すること,直

接生徒の指導に当たる教職員の資質や能力の向上

を図ることが大切であると考えている。

3 具体的な方策 ⑴ 教職員の資質・能力の向上

① 学校評価のまとめと提示

経験の浅い教職員が多いことから,なかなか具体

的な実践に結びつかないことも多いと感じていた。

そこで,各種評価のまとめ・分析の際には,課題と

解決のための手立てについて,より具体的に提示す

るよう指示し,具体例を示すようにさせた。また,学

校経営方針を提示するにあたっても,指導の重点

に,できるだけ具体的な手立てを例示するよう心が

けた。そのことによって,教育活動に対しての教職

員の意識の高揚を図ることができた。ここでの校長

の役割は,経験の少ない教職員に具体的な活動例

を示すことで,気づきを促し,経験値を高めていく

ことにあると考える。

② 協働意識の高揚

教職員の自己評価から,細かな情報交流の必要性

や全体の動きが見えないなどの反省があった。ま

た,職員会議等の提案に対して,同じ分掌や学年か

ら平気で質問が出ることも多々あった。自分の役割

を果たすことで一杯一杯になっていることも考えら

れるが,やはり,経験の少なさからくる事例である

と感じた。そこで,あらゆる事案について,学校全

体で取り組むこと,分掌や学年で事前に十分検討を

重ねることを促し,意識改革を図るようにした。協

働意識の高揚を図ることも校長の役割として,大切

な要素の1つであると感じている。

③ 全員が担任

 地域の実情により,学級経営を学ぶ機会はさほど

多くはない。そこで,各学年に,比較的経験を積ん

でいる教員を配置し,「全員が担任」の合言葉のも

と,朝・帰りの会や給食指導など学級での活動場面

には,全教員が教室に行くようにさせている。その

ことによって,お互いに学ぶ意識が出てきており,

資質・能力の向上につながっている。ここでの校長

の役割は,教員の配置の工夫と意識付けという事に

なるであろう。

⑵ 地域・校種間連携

① 地域との連携

 地域全体が一体となり,子どもたちの健全育成に

努めようという雰囲気があることから,さまざまな

会合で多くの方と交流する機会がある。そういった

機会を通して,学校の取組についての御理解や御

協力をお願いすることも校長の大切な役割である。

本校では,従前より,町の「森林環境教育」に基づ

く,「炭焼き学習」を行っているが,実施にあたっ

て,NPO法人や森林組合の方の支援をいただいて

いる。また,作成した木炭を町行事で活用いただく

など,地域と密着した取組になっている。校長が道

筋を付け,具体は教員が進めるようにしている。

② 校種間連携

 教員間の連携として,特に教員の教科指導力の向

上を目指し,従前より,小学校との間で,校長・教

頭も含めた全教員が,それぞれの学校で授業参観

を行い,感想を述べ合うなどの交流を図るようにし

ている。昨年度から,3校の校長主導で高校とも同

様の交流を行い,資質・能力の向上に努めている。

4 おわりに 地域や学校規模等により,それぞれの学校が抱

える課題もさまざまであり,解決のために果たすべ

き校長の役割も,その時々の状況によって変わって

くるであろう。今後も研鑽に励み,校長としての役

割を果たしていけるよう努めたい。

16-070231.indd 4 2016/07/14 13:23

Page 5: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (5)平成28年7月22日 発行

「日本一丁寧なあいさつ」ができる生徒を育てる

知内町立知内中学校 楢 山   聡

 3年前,私が知内中学校に新任校長として赴任し

たての頃,驚くことの多い毎日でしたが,その中で

も一番驚いたのが町民の皆さんの「あいさつ」でし

た。道路ですれ違うとき,役場のロビーで,温泉で

も,すべての人があいさつしてくれます。実はここ

知内町は,町をあげてあいさつを奨励しているので

した。もちろん,知内中学校の105名の生徒も大きな

声であいさつをします。しかし,生徒によってあい

さつをする声や態度に「温度差」もあり,全校生徒

がきちんとあいさつをしたり,相手への思いが伝わ

るあいさつをしたりできるよう,あいさつ運動をも

う一歩進めたいと考えるようになりました。

 ちょうどその頃,生徒指導部から「日本一丁寧な

あいさつ」を目指す運動を始めるという提案があり

ました。この新しいあいさつ運動は,立ち止まって

お辞儀をしながらあいさつをするというものです。

はじめは,何度も立ち止まるので,なかなか前へ進

めない生徒もいました。また,おもしろがってあい

さつをしていた生徒も,学校を訪れたいろいろな方

から褒められるので,徐々に本当に日本一を目指そ

うという気持ちになり,お辞儀の仕方やあいさつの

声に,これまでとは違う落ち着きや元気さ,心のゆ

とりのようなものを感じるようになってきました。も

ちろん教職員も率先垂範を忘れず,生徒と一緒に

実践しています。

 この運動を始めてからすべての生徒が,丁寧なあ

いさつを実践するようになり,温度差を感じなくな

りました。これは,あいさつという心の問題をお辞

儀という行動様式として具現化したため,全員が取

り組みやすくなったのだと思います。また,生徒は

学校の外でも日本一丁寧なあいさつを実践するの

で,至る所で評判となりました。今では,町内の小

学校でもこのあいさつ運動に取り組むようになりま

した。また,渡島管内のいくつかの中学校でも実践

しているようです。さらに,町長が中学生のあいさ

つに惚れ込み,今年度から町役場でも「日本一丁寧

なあいさつ」運動が始まりました。

 自分たちの始めた運動がみんなに認められ,ひろ

がりをみせているという経験は,長い人生でもそう

あることではありません。生徒たちには,その当事

者としての誇りと自信をもって堂々と,そして周り

の人に優しく生きていってほしいと願っています。

初任時代の思い出…あれから幾星霜

帯広市立清川中学校 杉 本 光 瞬

 今から30数年前の新卒5年目の頃であったろうか,40日間ほど海外研修の機会を与えていただいたことがあった。この時の様々な体験は教師としての見聞を広めたばかりでなく,その後の教職人生にとって何事にも代え難い貴重な勉強となった。子どもたちと接する上で,たいへん多くのことを学んだ。 その頃,昭和50年代後半は生徒指導の困難な時代であり,いわゆる「荒れた学校」の話題に事欠かない時代であった。私が初任で勤務した学校は道東の港町にある新設3年目の学校であった。独特な時代背景もあったのだろうけれど,様々な面で混乱した中で荒廃する子どもたちの姿を何度も見てきた。さらに学級経営や生徒指導で悩み苦しむ教職員の姿も見ることが多かった。 今思い返すと荒廃していたのは子どもたちではなく,世の中であったのだろうとつくづく思う。「軽薄短小」という言葉に代表されるように,1980年代はバブルに向かって突き進む一見華やかな時代ではあったが,どこかに儚さを予感できる実態のない栄華が蔓延していた。その中で子どもたちの心も大きく影響されていたのだと思う。

 当時日本の好景気とは対照的に,イギリスは堅実で落ち着いた空気感が漂っていた。ホームステイ先の家庭の生活も,とても質素で贅沢とはほど遠いものであった。しかしその生き方は豊かで,鮮やかな色彩を感じるものであった。 ホストファミリーの主(あるじ)は,かなり「しつけ」の厳しい方であったが,普段はたいへん紳士的で子どもの話をよく聞き,適切なアドバイスを与える場面を多く見ることがあった。ある時,主は私に「子どもは扱われたように振る舞う。子どもとして扱えば子どものように振る舞う。大人として扱えば大人のように振る舞う。」と話してくれた。 英国紳士という言葉のあるイギリスであるが,子ども時代から紳士となるべく厳しく教育する中で,言い伝えられてきた言葉なのであろうか。 振り返って自分の学校での姿勢はどうであったろう。教師としての立場であるから一定のけじめはあるにせよ,一つの人格として尊重し対応していたであろうか。帰国後,何度も問い直しては教師としてのよすがとなる,私にとっては意味深い忘れられない言葉となった。

第353号(4) 平成28年7月22日 発行

校長の役割 ~教職員の資質・能力の向上と地域・校種間連携~

下川町立下川中学校 田 丸 直 樹

〈論 文〉

1 はじめに 下川町は,町の総面積の90.6%を占める豊かな緑

と河川などの自然環境や多雪寒冷という冬期間の厳

しい気象風土などを生かした官民一体となった町づ

くりで全国の注目を集めている。特に平成20

(2008)年に「環境モデル都市」の認定を受け,再

生可能エネルギーによるエネルギー完全自給を図

り,誰もが活躍の場をもち,安心して暮らせる社会

を構築する構想の下,まちづくりが推進されてい

る。その流れの中で,幼・小・中・高各1校の特色を

生かし,「環境教育」を核とした各校の連携が進め

られ,保護者や地域,関係機関などが一体となっ

て,子どもたちの育成に努めようという風土が根付

き,学校教育に対して比較的協力的な雰囲気があ

る。

2 学校経営を進めるにあたって 学校経営を進める上で,地域の特性や管理職を

除く教職員の年齢構成(新採用・2校目の教員が約

7割)などから,とりわけ,方針や重点目標を教職

員や保護者・地域にわかりやすく提示すること,直

接生徒の指導に当たる教職員の資質や能力の向上

を図ることが大切であると考えている。

3 具体的な方策 ⑴ 教職員の資質・能力の向上

① 学校評価のまとめと提示

経験の浅い教職員が多いことから,なかなか具体

的な実践に結びつかないことも多いと感じていた。

そこで,各種評価のまとめ・分析の際には,課題と

解決のための手立てについて,より具体的に提示す

るよう指示し,具体例を示すようにさせた。また,学

校経営方針を提示するにあたっても,指導の重点

に,できるだけ具体的な手立てを例示するよう心が

けた。そのことによって,教育活動に対しての教職

員の意識の高揚を図ることができた。ここでの校長

の役割は,経験の少ない教職員に具体的な活動例

を示すことで,気づきを促し,経験値を高めていく

ことにあると考える。

② 協働意識の高揚

教職員の自己評価から,細かな情報交流の必要性

や全体の動きが見えないなどの反省があった。ま

た,職員会議等の提案に対して,同じ分掌や学年か

ら平気で質問が出ることも多々あった。自分の役割

を果たすことで一杯一杯になっていることも考えら

れるが,やはり,経験の少なさからくる事例である

と感じた。そこで,あらゆる事案について,学校全

体で取り組むこと,分掌や学年で事前に十分検討を

重ねることを促し,意識改革を図るようにした。協

働意識の高揚を図ることも校長の役割として,大切

な要素の1つであると感じている。

③ 全員が担任

 地域の実情により,学級経営を学ぶ機会はさほど

多くはない。そこで,各学年に,比較的経験を積ん

でいる教員を配置し,「全員が担任」の合言葉のも

と,朝・帰りの会や給食指導など学級での活動場面

には,全教員が教室に行くようにさせている。その

ことによって,お互いに学ぶ意識が出てきており,

資質・能力の向上につながっている。ここでの校長

の役割は,教員の配置の工夫と意識付けという事に

なるであろう。

⑵ 地域・校種間連携

① 地域との連携

 地域全体が一体となり,子どもたちの健全育成に

努めようという雰囲気があることから,さまざまな

会合で多くの方と交流する機会がある。そういった

機会を通して,学校の取組についての御理解や御

協力をお願いすることも校長の大切な役割である。

本校では,従前より,町の「森林環境教育」に基づ

く,「炭焼き学習」を行っているが,実施にあたっ

て,NPO法人や森林組合の方の支援をいただいて

いる。また,作成した木炭を町行事で活用いただく

など,地域と密着した取組になっている。校長が道

筋を付け,具体は教員が進めるようにしている。

② 校種間連携

 教員間の連携として,特に教員の教科指導力の向

上を目指し,従前より,小学校との間で,校長・教

頭も含めた全教員が,それぞれの学校で授業参観

を行い,感想を述べ合うなどの交流を図るようにし

ている。昨年度から,3校の校長主導で高校とも同

様の交流を行い,資質・能力の向上に努めている。

4 おわりに 地域や学校規模等により,それぞれの学校が抱

える課題もさまざまであり,解決のために果たすべ

き校長の役割も,その時々の状況によって変わって

くるであろう。今後も研鑽に励み,校長としての役

割を果たしていけるよう努めたい。

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Page 6: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (7)平成28年7月22日発行

平成28年度 地区別教育経営研究大会計画

道中経営部・道小経営部

地 区 開催地 形 態会  場

開 催 日 程 担  当  者

宗 谷

上 川

日 高

後 志

旭 川 中

小 樽

根 室

釧路・釧路市

旭 川 小

渡島・函館

札 幌 中

留 萌

石 狩

十勝・帯広

胆 振

オホーツク

空 知

檜 山

札 幌 小

稚内市

旭川市

新ひだか町

倶知安町

旭川市

小樽市

中標津町

釧路市

旭川市

北斗市

札幌市

羽幌町

北広島市

幕別町

登別市

北見市

岩見沢市

乙部町

札幌市

稚内総合文化センター

と き わ 市 民 ホ ー ル

新 ひ だ か 町 公 民 館

ホ テ ル 第 一 会 館

神 楽 公 民 館

小樽ジブラルタ生命ビル

トーヨーグランドホテル

釧路教育研究センター

上川教育研修センター

総合文化センターかなで~る

ホテルライフォート

中 央 公 民 館

石狩教育研修センター

幕別町百年記念ホール

市 民 会 館

端 野 町 公 民 館

ホ テ ル サ ン プ ラ ザ

乙 部 町 町 民 会 館

ホテルライフォート

7月27日㈬

8月2日㈫

8月3日㈬

8月3日㈬

8月4日㈭

8月8日㈪

8月24日㈫

8月26日㈮

9月5日㈪

9月6日㈫

9月 7日㈬

9月27日㈫

10月4日㈫

10月5日㈬

10月6日㈭

10月6日㈭

10月6日㈭

10月17日㈬

7月28日㈫

8月4日㈫

8月5日㈬

8月5日㈬

8月6日㈭

8月6日㈭

8月17日㈪

8月18日㈫

9月2日㈬

9月2日㈬

9月7日㈪

9月8日㈫

9月29日㈫

9月29日㈫

10月1日㈭

10月6日㈫

10月6日㈫

10月7日㈬

10月19日㈪

9:00~11:30

13:00~14:30

9:00~12:00

13:00~15:45

13:30~14:55

13:00~15:00

9:00~12:00

13:00~16:00

13:15~15:00

12:50~16:00

13:00~15:00

10:00~15:15

13:30~16:00

13:00~16:40

10:00~12:15

13:00~16:30

13:00~16:30

14:00~16:45

本間 一臣

岩城  功

深掘 美紀

本田 明美

田中 義彦

加藤 満幸

中原 英雄

青木  悟

鐘ヶ江義道

竹嶋  充

橋本 敏昭

永沼慧久男

橋本  悟

塚原 雄二

松橋  忍

中谷 浩一

柳館  融

田澤 利行

小川 以心

共 催

共 催

共 催

共 催

中 独

共 催

共 済

共 催

小 独

共 催

中 独

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

小 独

稚内市・稚内東中

美瑛町・美瑛小

様似町・様似中

真狩村・御保内小

旭川市・神楽中

小 樽 市 ・ 幸 小

中標津町・俵橋小

白糠町・庶路中

旭川市・新富小

北斗市・茂辺地小中

札幌市・東月寒中

遠別町・遠別小

江別市・上江別小

新得町・屈足中

苫小牧市・北星小

北見市・留辺蘂中

由仁町・由仁小

せたな町・北檜山小

札幌市・新琴似小

月日(曜) 時  程 氏  名 勤 務 校

10月7日㈮~10月8日㈯

9:15~16:309:00~11:50

第353号(6) 平成28年7月22日 発行

バトンリレー・つながる成長

教育長

初山別村教育委員会

村 田 繁 光

街の小さな美術館

館 長

岩見沢市絵画ホール・松島正幸記念館

白 井 万壽子

(特別寄稿)

 今年の運動会が6月初旬,さわやかな青空の下で

盛大に開催された。本村の運動会は,保育所,小学

校及び中学校による合同大運動会として,長い歴史

を積み重ねてきた実績があり,その歴史を受け継ぎ

ながら開催されている。最上級生である中学3年生

がチームリーダーとして紅組・白組をまとめ,小学

生,中学生はそれぞれ選手と競技スタッフの両方を

担いながら,一つの運動会をつくり上げている。 

 特に,運動会の花形種目である「保小中紅白リ

レー」にあっては,全員が選手として出場し,保育

所から小学校,中学校へとバトンの受け渡しが行わ

れる様子は,子どもたちのつながりやそれぞれの段

階での成長を一番感じる場面であり,応援の保護者

や地域住民が一体となった時間である。

 本村では義務教育9年間を見通した教育活動を

推進している。子どもたちの学力や体力向上を図る

ため,小学校と中学校のスムーズな接続や相互の連

携を深め,9年間を見通した教育を実践して,それ

ぞれの「よさ」を生かした連携に取り組んでいる。

 具体的な実践では,小学校と中学校のつながりや

それぞれの発達段階,9年間で成長した姿を明確に

した指導計画の作成,そして小学校と中学校,保育

所との交流を通して連携を深めることにより,保・

小・中間のギャップの緩和やコミュニケーション能

力の向上,保護者や地域との協働関係の強化に取り

組んでいる。

 こうした取組を通して,それぞれの役割を確認

し,相互の信頼と連携を図ることで,子どもたち一

人一人が安心して成長していくことができるのでは

ないかと考える。そして,伝統のバトンに託された

熱い思いが,学校・家庭・地域とのつながりをより

強固なものにし,次代へバトンがつながっていくこ

とを願っている。

 どの時代でも多くの課題が押し寄せる中,子ども

たちに「たくましく生きる力」を育成するためには,

学校が一体となった組織的な力である「学校力」の

向上が不可欠であると考える。校長の力強いリー

ダーシップのもと,教職員一人一人が学校の教育方

針やその目標を十分に理解して,それぞれの専門性

を最大限に発揮するとともに一致協力して学校運営

に積極的に参加するようにするなど,学校のすべて

の教職員がつながりを大切にし,成長する学校づく

りを進められることを期待している。

 本館は,当初,北海道教育大学岩見沢校で講師

として後進の指導に当たっていた洋画家松島正幸

(独立展会員)画伯から絵画の寄贈を受け,松島正

幸絵画ホールとして市民会館別館に設置された。

 その翌年,岩見沢警察署の移転に伴い,旧岩美

沢警察署の建物を歴史的文化遺産として保存する

とともに,新たに寄贈された作品を加え松島絵画の

常設展示及び市芸術文化振興のための文化施設と

して平成2年8月26日に開館されたものである。

 建物は警察署として,昭和7年に北海道で3番目

に立てられた鉄筋コンクリート造の歴史ある建造物

で,外観は少し地味で一見して美術館には見えな

い。しかし,一歩中に足を踏み入れると,そこは,

レトロな雰囲気の厳粛な展示の空間が広がってい

る。重厚な扉や石の階段,柱や壁のタイルは当時の

まま時が止まっているかのようだ。展示室は1階が

松島正幸記念館として松島画伯の作品の数々が展

示され,その魅力を余すことなく伝えている。少し

ひんやりとした石の階段を上って二階へあがると,

岩見沢のゆかりの作家の作品が訪れる人を待って

いる,知る人ぞ知る街の小さな美術館である。最近

では,道内外の作家の作品も積極的に企画展示し,

多くの方に楽しんでもらっている。

 現在,松島正幸作品約231点,郷土ゆかりの作家

等の作品約224点,計455点ほど収蔵しており,その

数は年々増加している。常設展や収蔵作品展,企画

展の他に,「絵と音の世界」として芸術的な雰囲気

の中で楽しむミニコンサートを年間9回ほど開催

し,市民や周辺住民の皆様に喜ばれている。

 最近では,子どもたちの鑑賞教育にも力を入れ,

当館収蔵作品をオリジナルアートカードにし,鑑賞

力を高める教材として作成し,北海道教育大学の学

生たちと共に活用を図っている。また,学年の発達

に応じた鑑賞学習プログラムを作成し,市内の子供

たちが本物の芸術作品を鑑賞しながら美術に興味

をもち,鑑賞力や表現力を高めていく教材として授

業づくりの取組も行っている。

 館長として2年目を迎えた。嬉しいことに来館者

数が少しずつではあるが増加している。これからも

皆様から愛される美術館を目指し,より良い運営に

取り組んでいきたいと考えている。岩見沢にお越し

の際はぜひ一度足を運んでいただきたい。

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Page 7: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号 (7)平成28年7月22日発行

平成28年度 地区別教育経営研究大会計画

道中経営部・道小経営部

地 区 開催地 形 態会  場

開 催 日 程 担  当  者

宗 谷

上 川

日 高

後 志

旭 川 中

小 樽

根 室

釧路・釧路市

旭 川 小

渡島・函館

札 幌 中

留 萌

石 狩

十勝・帯広

胆 振

オホーツク

空 知

檜 山

札 幌 小

稚内市

旭川市

新ひだか町

倶知安町

旭川市

小樽市

中標津町

釧路市

旭川市

北斗市

札幌市

羽幌町

北広島市

幕別町

登別市

北見市

岩見沢市

乙部町

札幌市

稚内総合文化センター

と き わ 市 民 ホ ー ル

新 ひ だ か 町 公 民 館

ホ テ ル 第 一 会 館

神 楽 公 民 館

小樽ジブラルタ生命ビル

トーヨーグランドホテル

釧路教育研究センター

上川教育研修センター

総合文化センターかなで~る

ホテルライフォート

中 央 公 民 館

石狩教育研修センター

幕別町百年記念ホール

市 民 会 館

端 野 町 公 民 館

ホ テ ル サ ン プ ラ ザ

乙 部 町 町 民 会 館

ホテルライフォート

7月27日㈬

8月2日㈫

8月3日㈬

8月3日㈬

8月4日㈭

8月8日㈪

8月24日㈫

8月26日㈮

9月5日㈪

9月6日㈫

9月 7日㈬

9月27日㈫

10月4日㈫

10月5日㈬

10月6日㈭

10月6日㈭

10月6日㈭

10月17日㈬

7月28日㈫

8月4日㈫

8月5日㈬

8月5日㈬

8月6日㈭

8月6日㈭

8月17日㈪

8月18日㈫

9月2日㈬

9月2日㈬

9月7日㈪

9月8日㈫

9月29日㈫

9月29日㈫

10月1日㈭

10月6日㈫

10月6日㈫

10月7日㈬

10月19日㈪

9:00~11:30

13:00~14:30

9:00~12:00

13:00~15:45

13:30~14:55

13:00~15:00

9:00~12:00

13:00~16:00

13:15~15:00

12:50~16:00

13:00~15:00

10:00~15:15

13:30~16:00

13:00~16:40

10:00~12:15

13:00~16:30

13:00~16:30

14:00~16:45

本間 一臣

岩城  功

深掘 美紀

本田 明美

田中 義彦

加藤 満幸

中原 英雄

青木  悟

鐘ヶ江義道

竹嶋  充

橋本 敏昭

永沼慧久男

橋本  悟

塚原 雄二

松橋  忍

中谷 浩一

柳館  融

田澤 利行

小川 以心

共 催

共 催

共 催

共 催

中 独

共 催

共 済

共 催

小 独

共 催

中 独

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

共 催

小 独

稚内市・稚内東中

美瑛町・美瑛小

様似町・様似中

真狩村・御保内小

旭川市・神楽中

小 樽 市 ・ 幸 小

中標津町・俵橋小

白糠町・庶路中

旭川市・新富小

北斗市・茂辺地小中

札幌市・東月寒中

遠別町・遠別小

江別市・上江別小

新得町・屈足中

苫小牧市・北星小

北見市・留辺蘂中

由仁町・由仁小

せたな町・北檜山小

札幌市・新琴似小

月日(曜) 時  程 氏  名 勤 務 校

10月7日㈮~10月8日㈯

9:15~16:309:00~11:50

第353号(6) 平成28年7月22日 発行

バトンリレー・つながる成長

教育長

初山別村教育委員会

村 田 繁 光

街の小さな美術館

館 長

岩見沢市絵画ホール・松島正幸記念館

白 井 万壽子

(特別寄稿)

 今年の運動会が6月初旬,さわやかな青空の下で

盛大に開催された。本村の運動会は,保育所,小学

校及び中学校による合同大運動会として,長い歴史

を積み重ねてきた実績があり,その歴史を受け継ぎ

ながら開催されている。最上級生である中学3年生

がチームリーダーとして紅組・白組をまとめ,小学

生,中学生はそれぞれ選手と競技スタッフの両方を

担いながら,一つの運動会をつくり上げている。 

 特に,運動会の花形種目である「保小中紅白リ

レー」にあっては,全員が選手として出場し,保育

所から小学校,中学校へとバトンの受け渡しが行わ

れる様子は,子どもたちのつながりやそれぞれの段

階での成長を一番感じる場面であり,応援の保護者

や地域住民が一体となった時間である。

 本村では義務教育9年間を見通した教育活動を

推進している。子どもたちの学力や体力向上を図る

ため,小学校と中学校のスムーズな接続や相互の連

携を深め,9年間を見通した教育を実践して,それ

ぞれの「よさ」を生かした連携に取り組んでいる。

 具体的な実践では,小学校と中学校のつながりや

それぞれの発達段階,9年間で成長した姿を明確に

した指導計画の作成,そして小学校と中学校,保育

所との交流を通して連携を深めることにより,保・

小・中間のギャップの緩和やコミュニケーション能

力の向上,保護者や地域との協働関係の強化に取り

組んでいる。

 こうした取組を通して,それぞれの役割を確認

し,相互の信頼と連携を図ることで,子どもたち一

人一人が安心して成長していくことができるのでは

ないかと考える。そして,伝統のバトンに託された

熱い思いが,学校・家庭・地域とのつながりをより

強固なものにし,次代へバトンがつながっていくこ

とを願っている。

 どの時代でも多くの課題が押し寄せる中,子ども

たちに「たくましく生きる力」を育成するためには,

学校が一体となった組織的な力である「学校力」の

向上が不可欠であると考える。校長の力強いリー

ダーシップのもと,教職員一人一人が学校の教育方

針やその目標を十分に理解して,それぞれの専門性

を最大限に発揮するとともに一致協力して学校運営

に積極的に参加するようにするなど,学校のすべて

の教職員がつながりを大切にし,成長する学校づく

りを進められることを期待している。

 本館は,当初,北海道教育大学岩見沢校で講師

として後進の指導に当たっていた洋画家松島正幸

(独立展会員)画伯から絵画の寄贈を受け,松島正

幸絵画ホールとして市民会館別館に設置された。

 その翌年,岩見沢警察署の移転に伴い,旧岩美

沢警察署の建物を歴史的文化遺産として保存する

とともに,新たに寄贈された作品を加え松島絵画の

常設展示及び市芸術文化振興のための文化施設と

して平成2年8月26日に開館されたものである。

 建物は警察署として,昭和7年に北海道で3番目

に立てられた鉄筋コンクリート造の歴史ある建造物

で,外観は少し地味で一見して美術館には見えな

い。しかし,一歩中に足を踏み入れると,そこは,

レトロな雰囲気の厳粛な展示の空間が広がってい

る。重厚な扉や石の階段,柱や壁のタイルは当時の

まま時が止まっているかのようだ。展示室は1階が

松島正幸記念館として松島画伯の作品の数々が展

示され,その魅力を余すことなく伝えている。少し

ひんやりとした石の階段を上って二階へあがると,

岩見沢のゆかりの作家の作品が訪れる人を待って

いる,知る人ぞ知る街の小さな美術館である。最近

では,道内外の作家の作品も積極的に企画展示し,

多くの方に楽しんでもらっている。

 現在,松島正幸作品約231点,郷土ゆかりの作家

等の作品約224点,計455点ほど収蔵しており,その

数は年々増加している。常設展や収蔵作品展,企画

展の他に,「絵と音の世界」として芸術的な雰囲気

の中で楽しむミニコンサートを年間9回ほど開催

し,市民や周辺住民の皆様に喜ばれている。

 最近では,子どもたちの鑑賞教育にも力を入れ,

当館収蔵作品をオリジナルアートカードにし,鑑賞

力を高める教材として作成し,北海道教育大学の学

生たちと共に活用を図っている。また,学年の発達

に応じた鑑賞学習プログラムを作成し,市内の子供

たちが本物の芸術作品を鑑賞しながら美術に興味

をもち,鑑賞力や表現力を高めていく教材として授

業づくりの取組も行っている。

 館長として2年目を迎えた。嬉しいことに来館者

数が少しずつではあるが増加している。これからも

皆様から愛される美術館を目指し,より良い運営に

取り組んでいきたいと考えている。岩見沢にお越し

の際はぜひ一度足を運んでいただきたい。

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Page 8: 「同僚性」を高める校長のリーダーシップ · 強いリーダーシップの発揮が求められています。 私も当時の校長を目標に,一人一人の教職員の個

第353号(8) 平成28年7月22日 発行

劇団四季から考える幕別町立札内東中学校 校長 髙 山 亮 司

 劇団四季のミュージカルが大好きだ。ディズ

ニー好きで『美女と野獣』を見たことがきっかけと

なり,すっかり虜になってしまった。

 経営という観点から四季の魅力について調べ,

考えてみた。四季は『演劇のすばらしさ,生きる喜

びを観客に届ける』が経営理念であり,具体目標は

『観客に喜んで帰っていただくこと』である。四季

の全ての活動がここに収斂される。『脚本の台詞を

一言もおろそかにせず観客に届ける』ために『四

季メソッド』に代表される独自の育成法が確立さ

れ,理念と目標の徹底した共有の成果として顧客

満足度一位を成し遂げ,経営理念を見事に実現し

ている。

 なぜ,経営理念の実現という難題を四季は成し

遂げられるのだろうか。かつて四季で主役を演じ,

現在は組織のコンサルティング研修を担当してい

る男性は,『観客の感動を創造するための方法論

が確立されていること』が一番の理由だとしてい

る。洗練された方法論に基づいた研修システムを

用いた鍛錬により,自分自身の進化に驚くほどだと

いう。成長のための方程式を与え鍛える。また,稽

古の際に元代表の浅利慶太氏は,『何のためにや

るのか』『舞台を通して生きる喜びを顧客に価値と

して提供する』ことを何度も繰り返して伝えていた

そうである。明確なゴールイメージの共有とそれに

向けた研修システムが最大限機能していることが

理由であるというわけだ。感動が生まれる理由を感

覚として曖昧にせず,感動させる表現の仕方を徹

底的に形式化させることが「四季の文化」であると

述べている。社会貢献にも積極的に取り組み,高

いプロ意識と自尊心を身につけた人間的にも技術

的にも成長した俳優が,持てる技術を披露する。た

ゆまぬ努力と前進が何度見ても感動を呼び起こし

てくれるのである。顧客満足度が高いのも当然であ

る。

 松下幸之助氏も『企業経営の成否の50%は経営

理念の浸透度で決まり,残りの30%は社員のやる

気を引き出す仕組みづくりで決まり,残りの20%は

戦略・戦術である』と述べている。学校経営も同様

であろう。年度当初の所信表明にとどまらず,日常

の教育活動に経営方針をいかに落とし込むか。四

季に負けず,教育のプロをいかに育てるか。『学校

の文化』として,先輩と後輩がお互いに学びあう中

で伸び続けていくような環境づくりに努めたい。

10:00

8 :25

10:30

9 :00

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4

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15

. 北海道PTA連合会 第1回役員会

等(赤岩、三浦)

道中研上川・旭川大会表敬訪問(赤

岩、古谷、木谷、高橋)

事務局研修会(事務局員)

小中合同研修会(五役)、小中合同

事務局研修会(事務局員)

小中合同学習会(事務局員)

KKR札幌

上川教育局等

ばらと北1条ビル

ライフォート札幌

月 日曜 業      務 時間 場 所

 全日中第1回理事会で全日中会長より緊急提案され、

承認された「被災地(熊本県)の学校教育再建」を支援

する募金活動に際し、道中では熊本県に対して義援金

60万円を運営基金より拠出、振込いたしました。

 地区理事の皆様の承認の上で拠出させていただきま

したが、被災県の復興を心より御祈念申し上げます。

平成28年度 第67回全日本中学校長会研究協議会宮城大会 開催要項

●研究協議会主題

 ●期    日 ●会    場

●日    程

社会を生き抜く力を身に付け,

未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育

 平成28年10月19日㈬・20日㈭・21日㈮ 仙台サンプラザホール・仙台サンプラザホテル

仙台ガーデンパレス・メルパルク仙台・

ホテルレオパレス仙台

19日㈬

第1日

20日㈭

第2日

21日㈮

第3日

受付

全日中常任理事会

歓迎の集いレセプション

全日中理事会

9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

受付

受付

全体協議会運営委員会

分科会運営委員会

8分科会(8会場)

受付

受   付

受   付

アトラクション

全 体 会

閉 会 式

開 会 式

文科省説明

全体協議会

移動・朝食

受付

お 知 ら せ

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