土木工学実験(コンクリート分野 平成25年度版) -...

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土木工学実験 平成 25 年度版 <1> 2013.4.11 土木工学実験(コンクリート分野 平成 25 年度版) 1.目的 コンクリートを構成するセメント,骨材などの物理的性質に基づいてコンクリートの配合設計を行う. さらに鉄筋コンクリートはり(RCはり)を設計・作製し,載荷実験を行うことでRCはりの変形およ び破壊性状について調べ,講義・演習で学習した内容について理解を深めることを目的とする. 2.実験項目 実験は次の4項目に分け,1回に1項目ずつ行う. 実験予定時間 (あくまでも予定である) テーマA:骨材試験・鉄筋引張試験 (13:0017:00) テーマB:配合設計 (13:0017:00) テーマC:RCはりの作製 (13:0017:00) テーマD:RCはりの載荷実験 (13:0017:00) 3.提出物 ・実験の目的,方法,結果,考察を「レポート」にまとめ て所定の期日までに提出する. ・ 「レポート」は感想文 ではない.(レポートの書き方を解説した書籍は多数ある,自習すること) ・感想文は受け取らない. ・必ず指定された書式の表紙(ガイダンスで配布した【別紙1】)をつけ,実験テーマ,学籍番号, 氏名,提出日,提出時刻,実験の目的,結果,その実験で学んだ内容を簡潔にまとめ,記載する. ・必要事項の記載がない・不足がある場合,不備があるとし,提出したと見なさない 4.実験の準備および後始末 事前に材料・器具の準備が必要になるので,実験実施前の月,火,水もしくは前週末に実施すること を担当教職員もしくは TA(ティーチングアシスタント)に申し出て,指示に従い,必要な量に余裕を上乗 せし準備する.また実験翌日以後にも実施しなければならない試験項目もあるため,その場合も準備の 時も同様にその旨を事前連絡してから行う.これらの準備や後作業は班の中で任意に分担を決めて行う. 次の表に主な準備や後作業の項目を示す. 4-1 事前説明および準備・作業日程の概略 テーマ 実施前週~火 (実験当日) A 事前説明 試験用試料の採取・準備 実験実施 測定・片づけ B 事前説明 骨材準備 実験実施 キャッピング,脱型,型枠掃除 C 事前説明 骨材準備/配筋図/鉄筋加工 実験実施 キャッピング,脱型,型枠掃除 D --- 載荷試験準備・強度試験(前日) 実験実施 事前説明・準備等を実施する時間は,受講者の希望に沿うように努めるが,教職員の都合もあるので, 班で希望する時間の候補を 23 通り用意し ,実施予定日の前週までに担当教員に相談すること .実施 希望当日あるいは直前の相談は教職員・TA の都合がつかないことが多いため受け付けない. 実験に関する連絡事項は 8 号館(建設学科棟)1 階エントランスの掲示板に掲示する.注意して見てお くこと.掲示されている内容は「周知」とする.「知らなかった」は通用しない. 5.教科書・参考書・実験実施時の注意事項 1) 教科書:新土木実験指導書,コンクリート編(第三版),村田,岩崎編,技報堂出版 上記の書籍記載の内容に沿って実験を行うので,各自で注文し,入手すること. 事前に読み,内容をしっかり把握すること. 実験の内容については実験実施前週もしくは実施週の月曜日または火曜日に口頭試問を行う. 試問の内容に答えられない場合,実験に対する意欲がないものと判断し,実験参加をお断りする. (欠席扱いとし,当然ながら,単位は認定されない.) 2) 参考書 下記以外にも探せば図書館・書店に多数あるので,自分で探すこと. 担当教員側から特に指定しない.いずれもほぼ同内容が記載されている.

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Page 1: 土木工学実験(コンクリート分野 平成25年度版) - …mmaruoka/pdf/datasheet/con...土木工学実験 平成25年度版  2013.4.11 土木工学実験(コンクリート分野

土木工学実験 平成 25 年度版 <1>

2013.4.11

土木工学実験(コンクリート分野 平成 25 年度版) 1.目的

コンクリートを構成するセメント,骨材などの物理的性質に基づいてコンクリートの配合設計を行う.

さらに鉄筋コンクリートはり(RCはり)を設計・作製し,載荷実験を行うことでRCはりの変形およ

び破壊性状について調べ,講義・演習で学習した内容について理解を深めることを目的とする. 2.実験項目

実験は次の4項目に分け,1回に1項目ずつ行う. 実験予定時間 (あくまでも予定である) テーマA:骨材試験・鉄筋引張試験 (13:00~17:00)

テーマB:配合設計 (13:00~17:00) テーマC:RCはりの作製 (13:00~17:00) テーマD:RCはりの載荷実験 (13:00~17:00) 3.提出物

・実験の目的,方法,結果,考察を「レポート」にまとめて所定の期日までに提出する. ・ 「レポート」は感想文ではない.(レポートの書き方を解説した書籍は多数ある,自習すること) ・感想文は受け取らない. ・必ず指定された書式の表紙(ガイダンスで配布した【別紙1】)をつけ,実験テーマ,学籍番号,

氏名,提出日,提出時刻,実験の目的,結果,その実験で学んだ内容を簡潔にまとめ,記載する. ・必要事項の記載がない・不足がある場合,不備があるとし,提出したと見なさない.

4.実験の準備および後始末

事前に材料・器具の準備が必要になるので,実験実施前の月,火,水もしくは前週末に実施すること

を担当教職員もしくは TA(ティーチングアシスタント)に申し出て,指示に従い,必要な量に余裕を上乗

せし準備する.また実験翌日以後にも実施しなければならない試験項目もあるため,その場合も準備の

時も同様にその旨を事前連絡してから行う.これらの準備や後作業は班の中で任意に分担を決めて行う. 次の表に主な準備や後作業の項目を示す.

表 4-1 事前説明および準備・作業日程の概略

テーマ 実施前週~火 月 火 水 木(実験当日) 金 土 A 事前説明 試験用試料の採取・準備 実験実施 測定・片づけ B 事前説明 骨材準備 実験実施 キャッピング,脱型,型枠掃除

C 事前説明 骨材準備/配筋図/鉄筋加工 実験実施 キャッピング,脱型,型枠掃除

D --- 載荷試験準備・強度試験(前日) 実験実施 事前説明・準備等を実施する時間は,受講者の希望に沿うように努めるが,教職員の都合もあるので,

班で希望する時間の候補を 2~3 通り用意し,実施予定日の前週までに担当教員に相談すること.実施

希望当日あるいは直前の相談は教職員・TA の都合がつかないことが多いため受け付けない. 実験に関する連絡事項は 8 号館(建設学科棟)1 階エントランスの掲示板に掲示する.注意して見てお

くこと.掲示されている内容は「周知」とする.「知らなかった」は通用しない.

5.教科書・参考書・実験実施時の注意事項

1) 教科書:新土木実験指導書,コンクリート編(第三版),村田,岩崎編,技報堂出版 上記の書籍記載の内容に沿って実験を行うので,各自で注文し,入手すること. 事前に読み,内容をしっかり把握すること. 実験の内容については実験実施前週もしくは実施週の月曜日または火曜日に口頭試問を行う. 試問の内容に答えられない場合,実験に対する意欲がないものと判断し,実験参加をお断りする.

(欠席扱いとし,当然ながら,単位は認定されない.) 2) 参考書 下記以外にも探せば図書館・書店に多数あるので,自分で探すこと.

担当教員側から特に指定しない.いずれもほぼ同内容が記載されている.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <2>

・鉄筋コンクリート工学(岡村甫,市ヶ谷出版社)・・・「鉄筋コンクリート工学」の教科書 ・土木材料実験(国分正胤編 技報堂出版) ・土木材料実験指導書[2011 年改訂版],土木学会(他の年度でもほぼ同内容) ・土木材料Ⅱ(村田,長瀧,菊川共著 共立出版) ・コンクリート構造(田辺忠顕ほか,朝倉書店) ・2007 年制定 コンクリート標準示方書 規準編(土木学会)(最新版は 2010 年版) ・JIS 規格 各種(附属図書館蔵書・開架・禁帯出,ハンドブックとして出版されている)

3) 実験実施当日 ・実験の当日は 13:00 までに実験棟東側に集合する. ・服装(上着,ズボン,靴)は汚れてもよく動きやすいものを着用のこと.靴は安全靴や長靴が望ましい.

汚れても良く,足先全体を保護できるもので,濡れても滑らないものであることが必要. ・不適切な服装の場合,実験に参加できない.また,服装が汚れた等のクレームは受けない.このよ

うな場合,準備・心構えの欠如,実験参加の意欲および資格なしとし,以後の実験参加はお断りす

る. ・粉塵・ほこりがでる実験もあるため,必要と思う場合,防塵マスク等を持参すること. ・軍手・マスクなどの保護具は各自で用意する.(実験室内にあっても無断で使わないこと) ・必要であれば石鹸などを持参すること. ・サンダル履きは厳禁.スカート,半ズボンなど,肌が露出する服装は避けること. いずれも,危険であり,けがをする可能性が高いため. ・実験の準備・後始末を怠った場合,実験を中止する.この場合,実験は行わなかったものとする. ・実験を行う際は「建設工学安全心得」に従い,禁止項目は絶対に行ってはならない. ・実験で使用する機械および器具以外のものには触れないこと. ・機械あるいは器具が壊れた場合は速やかに担当者に連絡すること.連絡が無く,事後に判明した場

合はグループで弁済してもらう. 4) 出席・レポート

・出席は実験実施前に毎回確認する.場合によっては実施中・後にも確認する. ・欠席した場合は,不合格となる.(公欠・忌引きなどを除く) ・事前説明に参加しなかった場合,そのテーマの実験参加は認めない.==>内容の理解不足となる ・レポートの内容についての確認は厳密に行う. ・不十分な内容のレポートは受理せず不合格とする. ・1回でも未提出の場合は不合格とする. ・レポートの提出期限については,実験内容により異なるが,次の通りとする.

表 5-1 レポート提出期限

テーマ 内容 レポート提出期限 A 骨材試験・鉄筋の特性 実施翌々週の火曜日 12:30 まで B コンクリートの配合試験 強度試験実施の翌週火曜日 12:30 まで C RCはり作製 テーマ D と併せて提出 D RCはり載荷試験 テーマ D の実施翌々週の火曜日 12:30 まで

(ここには原則を示す.実験実施日が木曜日以外であった場合,別途指示する.)

・期限,時間に遅れた場合,未提出と同等の扱いとし,評価しない. (すなわち,本実験の単位はない)

・提出予定日が祝祭日・授業のない日であっても,提出期限は延長しないので注意すること. ・休日が連続する場合でも,例外は認めない.自主的に考え,スケジュール管理を行うこと.

5) 実験内容に関する問い合わせ

実験(コンクリート)に関する質問は担当教員またはTAまで.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <3>

表 5-2 平成 25 年度前期の実験のスケジュール 4/11 4/18 4/25 5/2 5/16 5/23 5/30 6/6 6/13 6/20 6/27 7/4 7/11 7/18 7/25

A 1 2 3 4 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

B ・ ・ ・ ・ 1 2 3 4 (1) (2) (3) (4) ・ ・

C ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ス ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

コン B の圧縮強度試験に関しては,実施4週(材齢 28 日)後のあき時間に行う. 目安として( )付きの日程とし,随時決定する。

表 5-3 平成 25 年度後期の実験のスケジュール 10/3 10/10 10/17 10/24 10/31 11/7 11/14 11/21 12/5 12/12 12/19 12/26

A ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 理解度 ・

B ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 確認 ・

C 1 2 3 4 ・ ・ ・ ・ ・ ・ テスト ・

D ・ ・ ・ ・ 1 2 3 4 ・ ・ ・

6) 成績の評価について レポートの採点は,4テーマ分を合計し,合計 100 点とする. テーマ別に配点を次のように定める.いずれのテーマも配点の 60%以上得点した場合に合格とする.

A:25 点,B:31 点,C:19 点,D:25 点 評価項目は,テーマ別に定めており,別紙「自己評価シート」に記載している.レポートには,この評

価項目に関する記述がすべて含まれていなければならない. また,「自己評価シート」の評価項目に従い,レポートの出来について提出前に自己採点すること.自

己採点結果が配点の 60%を下回る場合は明らかに不合格となる「不完全なレポート」である.この状態で

の提出は認めず,不合格とする レポートが合格の場合,再提出の必要はない.しかし,指摘事項については自身で修正し,妥当であ

るか評価しておくことで,期末の理解度確認テストの対策になると思われる. レポート提出が期限に間に合わなかった場合,そのテーマのレポートは評価しない。=>不合格とする. やむを得ない正当な理由以外で欠席した場合,該当するテーマの評価はしない. やむを得ず欠席する場合には,あらかじめ担当教員に欠席届を提出する必要がある.(所定の様式あり) 病欠の場合,診断書など病欠に相当する事由を記載した証明書の提出が必要.(学則に規定) 7)実験に関する資料について レジュメなど,本実験に関する資料は,材料研究室・丸岡のホームページから PDF ファイルとして

ダウンロードできるようにしてあるので,注意しておくこと. (修正ファイル,データシートなどもここからダウンロードできる.) URL http://www.cc.utsunomiya-u.ac.jp/~mmaruoka/index.htm

なお,ファイルのデータは不具合がないように事前に検証しているものの,完全ではない場合がある.

不具合などを発見した場合は,担当教員に連絡すること.

注意事項終わり. ――― memo ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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土木工学実験 平成 25 年度版 <4>

6.各実験の内容

6.1. テーマA:骨材試験/鉄筋の引張試験(結果の整理)

このテーマでは,細骨材 1 種類,粗骨材 2 種類に関する試験を分担し同時に行う。 事前に班内で3組に分かれて実験を行う。組分けは任意とする。 レポートには各グループで担当した実験内容についてのみ記述する.自身が担当しなかった内容に関

しては記述する必要はない.しかし,後に実施する実験で必要な情報となるため,相互に情報交換・確

認しておくこと。 引張試験:実験は実施しないが,試験結果データの整理を行い,降伏強度・弾性係数を求める. 6.1.1 骨材試験

(1) 目的 コンクリート試験において使用する骨材についての試験を行う. 得られた結果は今後の試験において用いる. コンクリートの配合を決定する際に大変重要であるので慎重に実験を行うこと. 細骨材と粗骨材を担当する組に分かれるため,それぞれに該当する事項を確認しておくこと。

(2) 試料 細骨材:1種類 栃木県鬼怒川産川砂 →細骨材担当班 粗骨材:2種類 茨城県笠間産砕石 2005,粒径 5~20mm →粗骨材担当班① 同 砕石 1505,粒径 5~15mm →粗骨材担当班②

(3) 試験項目 ・ ふるい分け試験 ・ 密度・吸水率試験 ・ 含水率・表面水率試験(表面乾燥飽水状態の試料を用い,他の試験結果の精度を検証する)

(4) 試験手順 図 6-1 および図 6-2 に示す手順に従い,各試験を行う.詳細な試験方法については教科書・実験指

導書および JIS 規格に従う.十分に予習し,準備しておくこと. (5) レポートの内容について

各試験について,試験方法(簡略に),試験結果,考察を必ず書くこと.グラフ等を書くとよい. グラフは正確に書くこと.ふるい分け曲線に土木学会が示す標準粒度範囲も併せて図示すること. 試験結果はデータシートに記入し,提出すること.コピーは不可とする.

レポートとして必要なデータ(基本的にデータシートを利用して良い) 細骨材:密度・吸水率試験 ふるい分け試験 含水率・表面水率試験(密度・吸水率試験における表乾状態が正しいかどうか検証する) 粗骨材:密度・吸水率試験 ふるい分け試験 含水率・表面水率試験(密度・吸水率試験における表乾状態が正しいかどうか検証する) 各試験項目に対する考察は必ず記述すること.感想文であってはならない.

配付資料等からのコピー&ペーストは不可とする(著作権に触れるため).減点対象となる. レポートに必要な図表は自作すること.

レポートの書き方については,数多くの書籍が市販されているので,そちらを参考にすること。 データのまとめ方についても決まりがあるので各自で自習しておくこと。有効数字の考え方などが 間違っている場合,減点の対象となるので注意すること。これも JIS 規格である。

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土木工学実験 平成 25 年度版 <5>

サンプル採取

5mmふるいにとどまる試料を用意する(水洗)

粗骨材

試料を2分し、それぞれを1回分の試料とする

突き棒による締め固め

試料の質量を測定

四分法にて密度・吸水率および含水率測定用試料

に分ける

絶乾状態にする

容器の容積を測定

サンプル採取

実績率測定方法

5mmふるいにとどまる試料を用意する

表面のゴミ・汚れを水洗いで取り除く

24時間吸水させる

表乾状態とする

試料を二分する

試料の質量測定

試料をかごに入れ、水中質量を測定

100~110℃で乾燥する

室温まで冷やし質量を測定する

密度・吸水率測定方法

サンプル採取

ふるい分け試験方法

絶乾状態にする

室温まで冷やす室温まで冷やす

実験前日まで

実験当日

実験翌日

縮分し試料を二分する

呼びの大きいふるいから順にふるう

各ふるいに留まる試料の質量を測定・記録

ふるい分け前の試料質量を測定・記録

試料A 試料B試料A 試料B

図 6-1 試験の手順 粗骨材

図 6-2 試験の手順 細骨材

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土木工学実験 平成 25 年度版 <6>

6.1.2 鉄筋の引張試験 (実際に実験は行わないが、実施方法は下記の通りである)

(1)目的 後の実験で使用する鉄筋の応力-ひずみ関係および弾性係数を得るため,鉄筋の引張試験を実施し,

所定の荷重における鉄筋の引張ひずみを測定する. (2)試験方法

JIS Z 2241-1998「金属材料引張試験方法」に従う. 試験に使用する鉄筋は SD295A D10 を 2 本とする. 引張試験中に鉄筋の引張ひずみおよび引張荷重を測定することにより,応力-ひずみ関係を求める. 鉄筋の弾性係数,降伏ひずみ,降伏強度,引張強度を算出する.

(3)試験手順 a) 基本的には JIS Z 2201,JIS Z 2241 に従う. b) 試料となる鉄筋の準備,ひずみゲージの貼付方法

試料中央部分にはひずみゲージを貼付する必要がある.手順の概略は次の通り. 用意するもの: 試料の鉄筋(SD295A, D10), 鉄筋切断機, けがき棒, ポンチ, ハンマー, 紙やすり(#80 適量),

ウエス布, アセトン(適量), ひずみゲージ, ゲージ用接着剤(CN), ひずみゲージ(2枚/試験片), 2本平行ビニール線(3m/本/ゲージ), 布ガムテープ, ピンセット, テスター, はんだごて, はんだ, ・・・など

①使用する鉄筋の中から 60cm 分を2本採取する.(切り出す) このとき,試験片は圧延マーク (その鉄筋の種類を示す印があり,節が規格通りに配置されて

いない部分) のない部分を用いる. ②鉄筋の中央位置を定め,これを中点とし,標点距離を測り,ポンチなどで印を付ける. 標点は識別の容易さから,リブ(軸方向に連続している突起)の上に打つこと.

CL2D 2D

AB BC C

:8D標点距離

DDつかみ位置 つかみ位置

: ~破断位置の区分 A C

: ポンチなどにより印を付ける位置 図 6-3 標点の位置と破断位置の区分 (D:鉄筋呼び径) JIS Z 2201 2 号試験片

③中央部の節をヤスリで切削し,ひずみゲージを貼付する.裏表2カ所必要.

サンプルを万力で固定し,金属加工用棒ヤスリなどでふしを荒削りしたのち,帯状にカットし

たサンドペーパーを用いて表面を平滑にする.布にアセトンを染み込ませ,ゲージ貼付部分の

ゴミ,汚れ,油分をふき取る.

CLひずみゲージ貼付位置この部分が

じゃまになる

CL不要部分を削る

CL

ゲージ貼付部分より少し大きめに紙やすり等で磨く

図 6-4 ふしの切削,ゲージ貼付部分の整形

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土木工学実験 平成 25 年度版 <7>

④ゲージ貼付部分を清掃した後,貼付位置を鉛筆などで正確に印する. ⑤ゲージ貼付位置に正確にゲージをあてがい,ゲージ貼り付けようのセロハンをかぶせ,

セロハン上から指の腹でゲージを押さえつけるようにする. ⑥鉄筋とセロハンの間から,ゲージの位置をめがけて少量の接着剤を流し込む. 接着剤が乾くまで(1~2 分程度)指で押さえておく.(ずれないように気をつけること)

ゲージ貼附位置を鉛筆などで印する

ゲージ貼附位置切削部分

ゲージの印を鉄筋の印に合わせ,

セロハン紙をかぶせる 図 6-5 ゲージの貼付位置

⑦接着剤が乾燥したら,静かに指をはなし,セロハンをはがす. 接着剤に埋もれたゲージのリード線をピンセットなどで静かに引き剥がす. ⑧2 線平行リード線を 3m 程度に切り,片端は 5mm 程度,もう片端は 20mm 程度の長さの心線を

むき出しにする. ⑨短い心線の方をゲージのリード線につなぐ.このとき平行ビニール線をガムテープで鉄筋に

固定しておくとよい.平行線の心線にゲージのリード線を巻き付け,はんだ付けする. 確認のため,平行線の片端での導通を確認する. (抵抗 120±3Ω程度) リード線,平行ビニール線の心線が鉄筋に直接ふれないように注意すること.

ガムテープで平行線を固定し,

心線にゲージのリード線を巻き

付ける→はんだ付け

ガムテープで固定

ゲージ 平行線

図 6-6 リード線の処理方法

c) 試料となる鉄筋の試験機への取り付け方法(基本的には担当教員またはTAの指示の元に実施) ①試験機は実験棟建築コース側の万能試験機(最大荷重 2000kN{200tf})を使用する. 試験機の操作などは担当教員またはTAが行うので,指示に従うこと. ②つかみ治具(チャック)が棒鋼用になっていることを確認する.平板用などの場合は交換する. ③上側と下側のクロスヘッドの位置を試験に適した高さに調整する. 上側クロスヘッドの最下面が,床から 1.5m 程度の高さになると操作,観察がしやすい. ④上側クロスヘッドのチャックに鉄筋を噛ませる.鉄筋が垂直になるように調整する. 噛ませる際に,つかみ間隔をしるした点がチャックの一番下面と同一高さになるようにする. ⑤下側クロスヘッドの位置を上下させ,チャックに噛ませた際にチャックの最上面とつかみ間隔を

しるした位置が同一面になるようにする.このとき,鉄筋はチャックの中心位置にあることを確

認する.(図 6-8,図 6-9 参照) ⑥負荷がかからない状態で試験機の操作盤のゼロ調整を行う.操作盤の目盛りのリセット. ⑦ひずみ測定機(データロガー)にひずみゲージからのビニール線をつなぐ.正常にひずみが計測で

きているか確認し,荷重がゼロのときのひずみを計測しておく. ⑧上側クロスヘッドのハンドルを動かないように押さえたまま,下側クロスヘッドのハンドルを勢

いをつけて回し,チャックを噛ませる.この状態のまま,試験機の油圧バルブを操作し,荷重を

かける.荷重計とひずみが正常に変化していることを確認した後,上下のハンドルから手を離す.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <8>

上部クロスヘッド

下部クロスヘッド

上部ライナー

上部チャック チャック締め付け板 試験片飛び上がり防止板

上部チャックホルダー

上部ハンドル

下部ハンドル

下部ライナー

下部チャック 厚板取付け板

試験片

チャック締め付け板

上部チャックホルダー

試験片噛ませ位置(詳細別記)

図 6-7 鉄筋試験片固定装置

上部チャック

上部チャックホルダー

下部チャックホルダー

下部チャック

試験片 つかみ位置 チャックとつかみ

位置を合わせる つかみ位置

(a)正常な位置 (b)物理的に(a)が無理な場合

チャックとつかみ位置

の距離を均等にする

図 6-8 鉄筋固定位置(詳細図)

d)荷重とひずみの関係の測定 ①試料の鉄筋が降伏すると予想される荷重を事前に算出しておく. 異形鉄筋の断面積は公称断面積を用いてよい. ②降伏荷重に達するまでに,最低 20 点の測定ができるように,事前に測定間隔を定める. (載荷試験は鉄筋降伏までは荷重にて制御するため) ③試験機を操作し,引張荷重を所定の速度でかける. (事前に載荷速度を算出しておくこと.) ④降伏荷重付近になるとひずみが急激に変化するので,適当な間隔でデータロガーの測定スイッチ

を押し,荷重およびひずみを計測する.荷重とひずみの計測は,鉄筋の破断あるいはひずみゲー ジが切断するまで行う.

⑤荷重は鉄筋が破断するまでかけ続ける. 破断時に,鉄筋の試料片が試験機からはずれて落下するので気をつけること. 破断後,試験機の油圧バルブを「RETURN」側に戻すか,操作盤の「RETURN」キーを押す. 試験機の下部部分(ラム)が試験前の位置に戻ることを確認しておく. データロガーからビニール線をとりまずし,試料片を試験機からとりはずす. 操作盤の最大荷重を読みとる.読みとり後,リセットする. ⑥次の試験片をセットする.c)-④に戻る. ⑦試験終了の場合,試験機の周囲を清掃する. ⑧試験機を試験前の状態にし,操作盤上の油圧ポンプのスイッチを切り,操作盤側面の電源を切る. d)試験後の試験片について ①破断した試験片を用い,所定の測定項目について計測を行う. (4) レポートについて 予想される降伏荷重および破断荷重をあらかじめ計算し,これらを導出した根拠を示すこと。

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土木工学実験 平成 25 年度版 <9>

試験における測定結果については,データシートに記入し,提出すること.コピーは不可とする. 得られた荷重―ひずみ関係を応力-ひずみ関係に計算し直しグラフを作成する. 設計に用いる応力-ひずみの関係との比較のため,グラフにその関係を書き入れる。 ひずみについては,1組の測定値(ひずみゲージ2個分)について平均をとる. ひずみ値が明らかにおかしいと判断した場合,担当教員に問い合わせること. グラフ中に,降伏点などの各種変曲点についてわかるように記入すること. グラフは2本の試験片について1つでよい.体裁については,データシートを参照すること. 6.1.3 テーマAにおけるレポート評価の基準

① グループで担当した骨材試料に関する試験結果のみを詳細にまとめ,グループで1つのレポー

トを作成する.鉄筋の引張試験は個人別にレポートを作成する(データ整理を行う). ② 試験方法,出典,参考文献などを正確に記載していること

なお,試験方法に関しては,「JIS.....に準拠して行った」等と簡潔に記載してよい. 万が一,記載の試験方法に合致していない場合は,但し書きを忘れないこと.

③ 所定のデータのとりまとめ方に従い,指示された項目について正確に記述されていること.数

値の取り扱いについても十分に気をつけること.(有効数字などにも注意する) ④ グラフなどが適切に描かれていること.軸の説明,目盛りの数値の表記を適切に行う. ⑤ 各試験項目について適切な考察が書かれていること.「・・・・と思われる。」と記載した場合、そ

の裏付けとなる情報も記載すること。曖昧な情報や憶測のみで説明を終わらせないこと。「人為

的ミス」「確認不足」に類する記述がある場合,考察とは認めない.このような記述をしないで

すむように十分に気をつけて実験を実施すること. ⑥ 文字が丁寧であること、HB より濃い芯で手書きとする.

実験項目別の評価点は次の通り。

表 6.1.1 評価項目一覧:テーマ A 細骨材試験 グループレポート 配点 個人レポート 配点

密度・吸水率試験 結果自体はデータシートで

提出する(数値は手書き)

試験方法 ◎ 1 数値の取扱いについて ◎ 1 計算方法について ◎ 1 実験精度について ◎ 2 考察 ◎何かあれば記載 1 ふるい分け試験 結果自体はデータシートで

提出する(数値は手書き)

試験方法 ◎ 1 数値の取扱いについて ◎ 2 計算方法について ◎ 1 実験精度について ◎ 1 粒度分布のグラフ ◎Excelなど利用可,手書き可 2 粗粒率の計算 ◎ 2 考察 ◎何かあれば記載 1

引張試験(個人レポート) こちらはPCで作成可 試験方法 ◎ 1 鉄筋の種類と記号の意味 ◎ 1 応力-ひずみ曲線(グラフ) ◎ 3 降伏強度算出 ◎ 2 弾性係数算出 ◎ 2

合計 16 9 合格ライン 10 5

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土木工学実験 平成 25 年度版 <10>

6.2. テーマB:配合設計

(1) 目的 RC はりの設計・作製に必要なコンクリートの配合設計に用いる水セメント比を決定するために,セ

メント水比と所定材齢のコンクリートの圧縮強度との関係を求める.各種強度試験は 28 日後以降に行

う(空き時間を利用し各種強度試験を行う.実施の目安となる日は 3 ページ目に記述済み). (2) 試験項目 ・フレッシュコンクリート性状:スランプ,・空気量,コンクリート温度 ・硬化コンクリート性状 :圧縮強度,曲げ強度,割裂引張強度(28 日後以降) (3) コンクリートの配合条件

許容するスランプの範囲:8.0~18.0cm 配合計算では 12cm とする。 許容する空気量の範囲:5.0%以下 配合計算では 2.0%とする.特に調整はしない 高性能AE減水剤:セメント質量に対して 0.10~0.3%添加する。(各班で任意に決める) 水セメント比:各班別に表 6-1 の通りとする. 班内で3グループに分かれ,それぞれのグループが1配合ずつ責任を持って担当する。一部・数名

の学生だけが複数の配合計算・作業を行う等の行為は認めない。 ただし,1配合について計算を行う組の学生がそのまますべての作業を行うのではなく,他の組に

役割分担を指示し,共同で作業を行うこと。 圧縮強度試験については,20℃水中(標準)養生および 20℃気中養生の2種類の養生を行い,養生条

件の違いによる強度発現性についても検討する。 各強度試験は材齢 28 日経過後に行う.(授業の空き時間を利用して実施する) 用いるセメントは普通ポルトランドセメントとし,密度は 3.15g/cm3とする. 使用骨材の表乾密度,粗粒率などの配合計算に必要なデータは「テーマA」の結果を用いること.

(4) 予習項目 上記に示す試験の試験方法について(特に,スランプ試験,空気量試験方法について) コンクリートの示方配合設計の方法および配合の補正方法について フレッシュコンクリートの性質について 硬化コンクリートの性状について

(5)試験の手順 試験の流れを図 6-10 に示す. コンクリートの練り混ぜには一軸パン型ミキサを用いる.

1回の試験練り(1バッチ)の練混ぜ量は,試験体作製に必要な容量を計算し,空気量測定(約 7L)・ス

ランプ測定(約 5L)に使用する量を加え,さらに 1.2 倍以上の容量とする.あらかじめ計算しておく.空

気量試験に使用したコンクリート試料を強度試験用供試体の作製に再利用してはならない. 粗骨材は粒径が 5mm~20mm の粗骨材 2005(大)と,5mm~15mm の粗骨材 1505(小)がある.実験

では,これらを適切な比率で混合して使用する.これは,粗骨材の粒度分布の変化がコンクリートのフ

レッシュ性状に影響を及ぼすため,粒度変化の影響を排するための方法である.配合試験の際には,適

切な粒度分布となるように混合割合を検討すること.(事前説明の時点で混合割合を示すこと.テーマ

Aのふるい分け試験結果を利用する,適切な粒度であることが示されれば,いずれか一方(おそらく 2005の方)のみを使用してもよい) 骨材の水分管理は,コンクリートの種々の性状へ大きな影響を及ぼす.このため,注意して行うこと.

作業中に乾燥しすぎた場合は,霧吹き等を用い適切な状態まで加湿して水分量に変化を生じないように

調整する. 表 6.2.1 各班別水セメント比の設定値 表 6.2.2 強度試験別型枠の寸法と本数および養生方法 班 配合1 配合2 配合3 試験名 型枠 数量 養生方法

1 55.5% 48.5% 43.2% 圧縮強度試験 φ10×20 5 本/配合 水中 2 54.5% 48.4% 42.1% 5 本/配合 気中 3 53.5% 48.6% 41.5% 曲げ強度試験 □10×10×40 3本/配合 水中 4 56.5% 51.2% 44.8% 割裂引張強度試験 φ15×17** 3本/配合 水中 **:型枠はφ15×h17cm の円柱型枠を使用する

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土木工学実験 平成 25 年度版 <11>

図 6-10 本来のコンクリート配合試験のフロー

(6)レポートの内容と評価基準 各試験について,試験方法,試験結果,考察を必ず記述すること. 前提として丁寧に書かれていて見やすいこと. HB より濃い芯で手書きとする,ワープロは不可.

◎グループレポート:W/C 一条件につきグループレポートを1つ作成する. コンクリートの試験練りは,W/C の条件毎に1回のみ実施する. 配合計算: 計画配合(示方配合) 粒度や表面水の補正後の現場配合,実際の計量値を記し,配合修正値は根拠とした条件も記す. 現場配合での試験練りの結果,フレッシュコンクリート性状の試験結果を記す 表 6-3 に示すような配合表を用いてまとめてもよい.

試験練りの結果を元に、適切なフレッシュ性状を得ることができると推定される配合(計画配合) を修正計算方法、試験練りの結果から類推し求める.

各種強度試験:結果はデータシートを使用しまとめる. ◎個人レポート 圧縮強度試験:W/C3条件のデータを元に,セメント水比(C/W)と圧縮強度c’の関係を求める.(横軸

にセメント水比(C/W),縦軸の圧縮強度(単位:N/mm2)をとり,c’=a(C/W)+b の形の1次式の形で回帰

式を求める.) 引張試験,曲げ試験については圧縮強度との関係を検討し(近似曲線を求める),教科書の記述との相

違・合致点を記述すること.(実験結果と教科書記載の理論式(設計式)の圧縮強度~引張強度、圧縮強度

~曲げ強度の関係をそれぞれ求め,これらに関する考察を述べる.) グラフの作成は PC を利用してもよい.(近似直線1本について実験値が 3 点であるので,手計算も

可能である.)

2013.5.20

一部差し替え・訂正

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土木工学実験 平成 25 年度版 <12>

表 6.2.3 評価項目一覧:テーマ B

評価項目 内容 グループレポート 配点 個人レポート 配点

配合計算

使用材料の諸元 ○ 1 ○値のみ記述 配合条件、目標値 ○実施条件のみ 1 ○値のみ記述 計画配合 ○実施条件のみ 3 ○結果のみ記述 現場配合(算出根拠) ○実施条件のみ 2 ――― フレッシュ性状結果 ○実施条件のみ 1 ○結果のみ記述 目標値となる

修正配合(計画配合) ―― ○実施条件のみ

計算根拠・過程を含む 3

強度試験 以下は考察が必要

圧縮強度 強度試験のデータ整理 ○実施条件のみ 2 養生条件の比較・検討 ○実施条件のみ 1 W/C の影響に関する検討 ◎3 条件のデータを利用 3 目標強度 30および 50N/mm2

を得るための計画配合(フレ

ッシュの補正を含めた検討)

◎2 条件を手順に従い求め,

実験結果の傾向から,適切な

修正を予測・検討する

4

曲げ強度 強度試験のデータ整理 ○実施条件のみ 1

W/C の影響に関する検討 ◎3 条件のデータを利用 2 圧縮強度との関係 ◎ 1 理論式との比較 ◎ 1

割裂引張強度 強度試験のデータ整理 ○実施条件のみ 1

W/C の影響に関する検討 ◎3 条件のデータを利用 2 圧縮強度との関係 ◎ 1 理論式との比較 ◎ 1

グループ分合計 13 個人分合計 18

合格ライン 8 11

いずれも手書きでの作成レポートのみ可とする(グラフ部分は PC 利用可)

※ グループ・個人レポートのいずれにも,必ず自己評価シートに必要事項を記述し,レポートに添付すること。

レポートに含まれるべきおおよその内容を以下に示す.

【グループ分】

表紙

自己評価シート

実験目的・方法

材料諸元・条件・目標値

データシート

配合表・試験結果

各種強度試験結果

【個人グループ分】

表紙

自己評価シート

実験目的・方法

材料諸元・条件・目標値(値のみ)

データシート

配合表・試験結果(値のみ)

修正配合について(計算過程を含む)

各種強度試験結果

3種類のデータを総合した考察

圧縮強度(養生の違いを含む)

曲げ強度

割裂引張強度

╗すべての║記載が ║あること║ ║ ║ ╝

2013.5.20

一部差し替え・訂正

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土木工学実験 平成 25 年度版 <13>

6.2 付録 コンクリートの強度試験・目標強度を満たすためのコンクリートの配合計算

実験テーマ:コンBにて成形したコンクリート供試体についての各種強度試験を行う。 a) 事前準備

(1) 圧縮強度試験 供試体端面の研磨 圧縮強度試験用供試体はコンクリート打ち込み面お

よび型枠底面から荷重をかけることにより試験を行う。

この際、コンクリート打ち込み面は供試体成型時に軽

くならした程度なので平滑度が足りない。そこで供試

体の端面を平滑にする必要がある。 平滑にする手段としては、①キャッピング、②研磨

の2種類がある。今回は②研磨を行う。 研磨に使用する機材は、実験棟の建築学コース側に

あるのでこれを借用する。 研磨作業についての手順は作業の段階で指示する。 借用した機器は使用後きちんと清掃し,カバーを掛

けてロープで固定しておくこと. [参考]キャッピングについては、教科書「新土木実験指

導書・コンクリート編」p.133 に記載されているので一

読しておくこと. キャッピングと研磨それぞれの方法について特徴・メリット・デメリットを調べておくこと.

b) 圧縮強度試験 基本的に、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて行う。 (1) 強度試験前の準備

1)コンクリート打ち込み面以外の面に供試体に番号を付ける。油性ペンなどで記入すると良い。 2)供試体の寸法・質量測定 供試体の直径および高さを,それぞれ 0.1mm および 1mm まで計測する。直径は供試体高さの中

央の位置において、互いに直交する2方向について測定し,平均値を求め,これを直径 dとする。 質量は供試体の表面に余分な水分が無い状態で 0.1g まではかる。 (乾燥しすぎると強度へ影響するため注意する.また,気中養生の供試体に関しては,研磨時以

外はなるべく水分との接触を避けるようにし,研磨後,すぐに水分を拭い乾燥させること。) [参考] 質量と寸法から見かけの単位体積質量を計算する。この値が他と比較して大きく異なる場合には、

供試体成型時に内部に空隙が残っているなどの原因が考えられる。このような空隙は、圧縮強度低

下の原因となる。また、同一配合の供試体で、圧縮強度に大きなばらつきが生じている場合には、

内部に残存した空隙によるものであるという可能性もある。 (2) 強度試験

1)圧縮強度試験は、圧縮強度試験機を使用して行う。(ここで使用する試験機の最大荷重:1000kN) 2)想定される最大荷重が試験機の指示範囲の 20~100%となる範囲で使用する.同一試験機で指示

範囲を変えることができる場合には,それぞれの指示範囲を個別に指示範囲と見なす. 圧縮強度σc’=40N/mm2とすると、予想される最大荷重 Pmaxは、 Pmax=σc’×Ac=40×(100.02π/4)≒314160N≒314kN (直径が 100.0mm の場合) したがって、荷重容量は 500kN で試験が可能と判断できる。

3)供試体の上下端面および圧縮試験機の加圧板の圧縮面を刷毛・布などで清掃する。 4)供試体を供試体直径の 1%以内の誤差でその中心軸が加圧版の中心と一致するように置く。試験機

の加圧板と供試体の端面とは直接密着させ、その間にクッション材を入れてはならない。 5)供試体の衝撃を与えないように、一様な速度で荷重を加える.荷重を加える速度は、圧縮応力度

の増加が毎秒 0.6±0.4N/mm2になるようにする。 [計算例]荷重を増す速度の大まかな目安を求めておく. 荷重応力度の増加割合 毎秒 0.2N/mm2 0.2×7854=1570.8N/sec=1.6kN/sec

毎秒 0.6N/mm2 0.6×7854=4712.4N/sec=4.7kN/sec 毎秒 1.0N/mm2 1.0×7854=7854.0N/sec=7.8kN/sec

荷重速度は 0.6±0.4N/mm2/sec の範囲で任意とし、各班で定める。 6)供試体が急激な変形をはじめた後は、荷重を加える速度の調整を中止して荷重を加え続ける。

約200

mm

約100m

m約

100m

m 直径は高さの中央付近で1方向とその直角方向で測る

高さは任意の位置とその対角方向で測る

図 供試体寸法の測定位置の概略

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土木工学実験 平成 25 年度版 <14>

7)供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数字3けたまで読みとる。

(3) 試験結果の整理 1) 圧縮強度

圧縮強度は次の式によって算出し、四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。

2

2

d

Pf c

ここに、 cf :圧縮強度(N/mm2), P:圧縮強度試験により求めた最大荷重(N)

2) 見掛け密度 見掛け密度は次の式によって算出し、四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。

2

2

d

h

m

ここに、ρ:見掛け密度(kg/m3) m:供試体の質量(kg) h:供試体の高さ(m) d:供試体の直径(m)

(4) レポートに記載の事項 下記の測定事項について配合別・供試体別に一覧表にまとめる。 なお圧縮強度については、供試体3本の圧縮強度の平均値および標準偏差などを求め、記載すること。

a) 試験年月日 b) 配合名 c) 配合条件 d) 材齢 e) 養生方法および養生温度

f) 供試体の番号 g) 供試体の直径 h) 供試体の高さ供試体質量 i) 見掛け密度 j) 最大荷重

k) 圧縮強度 l) 欠陥の有無およびその内容 m) 供試体の破壊状況 n) 供試体 3 本の圧縮強度の平均値 o) 標準偏差

c) 曲げ強度試験

コンクリートの曲げ強度試験は、基本的に JIS A 1106「コンクリートの曲げ試験方法」に準じて行う。 (1)事前準備

1) 供試体に番号をつける。油性ペンなどで記入するとよい。 2) 供試体の高さ、幅、長さおよび質量を測定する。なお、質量は供試体の余剰水をウエスなどでふ

き取ったあとに測定する。 3) 供試体の見掛け密度は上記方法に従って測定した質量を,測定した寸法から計算より求めた体積

で除して求める。 4) 供試体に、試験機に設置するのに必要な印を油性ペンなどでつける。

[参考] 圧縮強度の場合と同様に、同一配合で見掛け密度に大きなばらつきがある場合、曲げ強度はば

らつく傾向がある。また、見掛け密度が小さい場合、供試体内部に余分な空隙があると考えられ、

この部分で破壊する可能性が高いので気をつけること。 (2)曲げ強度試験

1) 曲げ強度試験は 3 等分点載荷で行う。図を参照. 2) 試験機は、試験時の最大荷重が力指示計の 20~100%の範囲で使用する。同一試験機で指示範囲

を変えることができる場合には、それぞれの指示範囲を別個の指示範囲とみなす。 【参考】最大荷重の上限に近いと予想される場合には,指示範囲を変更する.

3) スパンは断面一辺の長さの公称値の 3 倍とする。(本試験では,100×3=300mm とする.) 4) 供試体は、コンクリートを型枠に詰めた時の側面を上下の載荷面とし、支承の幅の中央に置き、

スパンの 3 等分点に上部載荷装置を接触させる。この場合、載荷装置の接触面と供試体の面との

間のどこにも隙間が認められないようにする。 5) 供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加える。荷重を加える速度は、ふち応力度の

増加率が毎秒 0.06±0.04N/mm2 になるように調整し、最大荷重に至るまでその増加率を保つよ

うにする。 [参考] 荷重速度の目安は次の通りとなる。

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土木工学実験 平成 25 年度版 <15>

供試体が□100×100×400mm の時、h=100mm、b=100mm、l=300mm として、 P=fbbh

2/l=0.02×100×1002/300=66.7N(荷重速度:0.02N/mm2として) 荷重速度は毎秒 0.06±0.04N/mm2の範囲で,各班で任意に決定する。

6) 供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数字3桁まで読む。 7) 破壊断面の幅は 3 カ所において 0.1mm まで測定し、その平均値を四捨五入によって有効数字 4

桁に丸める。 8) 破壊断面の高さは 2 カ所において 0.1mm まで測定し、その平均値を四捨五入によって有効数字

4 桁に丸める 試 験 体 中 央

100m m 100m m100m m

供 試 体

← 載 荷 点 →

← 支 点 支 点 →

こ の よ うに 印 を 付 け る

支 承 治 具

載 荷 治 具

コ ン ク リ ー トの打 ち 込 み 面

図 曲げ強度試験体と載荷方法

(3) 計算

1)供試体が引張側表面のスパン方向の中心線の 3 等分点の間で破壊したときは、曲げ強度を次の式

によって算出し、四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。

2bh

Plf b

ここに、 bf :曲げ強度(N/mm2) P:試験機の示す最大荷重(N)

l:スパン(mm) b:破壊断面の幅(mm) h:破壊断面の高さ(mm)

2) 供試体が引張側表面のスパン方向の中心線の3等分点の外側で破壊した場合には、その試験 結果を無効とする。

(4) レポートに記載の事項 下記の測定事項について配合別・供試体別に一覧表にまとめる。なお、曲げ強度については、供試体3

本の曲げ強度の平均値および標準偏差などを求め、記載すること。

a) 試験年月日 b) 配合名 c) 配合条件 d) 材齢 e) 養生方法および養生温度 f) 供試体の番号 g) 供試体の長さ

h) 供試体の幅 i) 供試体の高さ j) 供試体質量見掛け密度 k) スパン l) 破壊断面の幅 m) 破壊断面の高さ n) 最大荷重

o) 曲げ強度 p) 供試体の破壊状況 q) 欠陥の有無およびその内容 r) 供試体 3 本の曲げ強度の平均値 s) 標準偏差

d) 割裂引張強度試験 コンクリートの割裂引張試験は、JIS A 1113「コンクリートの割裂引張試験方法」に準じて行う。

(1)事前準備 1) 供試体に番号をつける。油性ペンなどで記入するとよい。 2) 供試体の直径を 2 カ所以上で 0.1mm まで測定し、その平均値を供試体の直径 dとし、四捨五

入により有効数字4けたに丸める。 3) 供試体に、試験機に設置するのに必要な印を油性ペンなどでつける。(断面に直径方向の線を引

いておくとよい) (2) 割裂引張試験

1) 試験機は、試験時の最大荷重が指示範囲の 20~100%の範囲で使用する。同一試験機で指示範

囲を変えることができる場合には,それぞれの指示範囲を個別の指示範囲と見なす.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <16>

2) 供試体の側面および上下の加圧板の圧縮面を清掃する。 3) 供試体を試験機の加圧板の上に偏心しないように据える。

この場合、加圧板と供試体との接触線のどこにもすき間が

認められないようにする。上下の加圧板は、荷重を加えて

いる間、平行を保てるようにする。 4) 供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加え

る。荷重を加える速度は、引張応力度の増加率が毎秒 0.06±0.04N/mm2 となるように調整すし、最大荷重に至るま

でその増加率を保つようにする。 荷重速度は各班で任意に決定すること。各自で計算して

求める。 5) 供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数

字3けたまで読む。 6) 供試体の割れた面における長さを2カ所以上で

0.1mm まで測定し、その平均値を供試体の長さ lとし、四捨五入によって有効数字 4 桁に丸め

る。 (3) 計算

引張強度は次式によって計算し、四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。

dl

Pft

2

ここに、 tf :引張強度(N/mm2) P:試験機が示した最大荷重(N)

d:供試体の直径(mm) l:供試体の長さ(mm) (4) レポートに記載の事項

下記の測定事項について配合別・供試体別に一覧表にまとめる。なお、曲げ強度については、供試体3

本の曲げ強度の平均値および標準偏差などを求め、記載すること。

a) 試験年月日 b) 配合名 c) 配合条件 d) 材齢 e) 養生方法および養生温度 f) 供試体の番号 g) 供試体の直径

h) 供試体の長さ i) 最大荷重 j) 引張強度 k) 供試体の破壊状況 l) 欠陥の有無およびその内容 m) 供試体 3 本の引張強度の平均値 n) 標準偏差

e) 圧縮強度試験結果を考慮した配合決定 圧縮強度 30N/mm2 および 50N/mm2 を発現すると推定されるコンクリートの配合を求め,計画配合表を完

成させ,レポートに記す. [手順]

(1) 圧縮強度試験の結果から、セメント水比 C/Wと圧縮強度 c’の関係をグラフにする。 (2) 直線回帰式を求め、 c’=a(C/W)+bの関係式を求める。 (3) 指示された圧縮強度σを発現すると考えられるセメント水比 C/Wを求める。 (4) テーマBで得られた示方配合を元にして、目的の圧縮強度が得られると考えられるコンクリー

トの示方配合を推定する。フレッシュ性状の試験結果も考慮し,目標のスランプが得られるよう

に修正を試みる. なお,目標圧縮強度は 30N/mm2,50N/mm2の2種類とする.

f) その他 本テーマにおいも,データシートを作成してあるので、これを利用し、必要事項をもれなく記載すること.

本レジュメに記述されている必要記載事項がない場合は減点となるので十分注意すること.

加圧版(鉄板)

圧縮試験機の台座

ここに印を付けておくと試験時に便利

供試体

加圧板(鉄板)

圧縮試験機の台座

図 割裂引張試験における供試体設置方法

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土木工学実験 平成 25 年度版 <17>

6.3. テーマC:RCはりの作成

(1) 目的

与えられた曲げ耐力(曲げ荷重)を有する鉄筋コンクリート(RC)はりを自ら設計する。コンクリートの

配合および配筋を決定し,RC はりを作製する.また,曲げ載荷試験を行い,設計通りの曲げ耐力を有

するか確認する。 「テーマC」の内容は,はり供試体の作製を中心としたものある。よって,レポートは「テーマD」と一

緒に提出すること.また,「テーマC」および「テーマD」の評価の半分は,RC はりの設計耐力と実験値

との比較に重点を置く。 設計条件:引張鉄筋降伏時の載荷荷重が 40~50kN になるよう設計を行う。 評価に関しては,引張鉄筋降伏時の設計荷重 40~50kN と試験時の引張鉄筋降伏時の荷重との乖離が

小さい班ほど評価が良くなることとする。 また,目標強度を設定したコンクリートが目標通りの強度発現性を示すかどうかについても検討する. 配点の例: CとDのレポートの配分点数44点について、重み付けする. 班毎に実験を実施し,目標とする引張鉄筋の降伏時の荷重と実験結果との乖離の程度により,以下

のような重みを掛け合わせ得点とする。 重み付け:引張鉄筋の降伏荷重が 40 以上~50kN 未満の場合:100%

〃 50 以上~60kN 未満の場合:95% 〃 60kN 以上の場合 :90% 〃 40kN 未満の場合 :85%

レポート分の配点は,班毎に決定した配点率を,各人のレポート自体の成績に掛け合わせ,最終結

果とする. 【例】レポートの評価が 40 点でも,実験結果が目標範囲に満たないと,40×85%=34 点となる。 なお,載荷試験機が載荷可能な最大荷重は 100kN である.実験において 100kN 載荷しても引張鉄

筋の降伏を確認できない場合,評価の対象としない。(過剰に安全側の設計となっている)

(2)RCはり作製の手順

前日まで:骨材調整,鉄筋の加工,ひずみゲージ貼り付け加工,型枠組立 実験当日:コンクリートの配合選定,はり供試体のコンクリートの打ち込み,

各種強度試験用の作製 実験翌日:脱型,養生

なお,RCはりの曲げ耐力などの算定に際しては,「テーマA」でデータ整理した鉄筋の引張試験の

結果を参考とする(降伏強度,引張降伏ひずみ,弾性係数など).

(3) 使用材料

鉄筋:SD295A D6, D10, D13 ここに示す種類であれば在庫があるので自由に使用できる。組み合わせなども自由とする。 引張鉄筋端部には半円形の標準フックを設ける。スターラップおよび圧縮側鉄筋は必ず配置する。

コンクリート:使用材料は、すべて「テーマB」と同様とする. (4) RCはりの寸法・載荷方法

図 6.3.1 に示す形状のものを基本とする.全長は 900mm とする。 載荷試験はスパン 800mm,等曲げモーメント区間 300mm の2点集中載荷により行う. 断面形状は幅を 150mm または 200mm の2種類から自由に選択できる。 また,高さについては 150mm から 200mm の範囲で任意に定める。 配筋は任意とし,かぶり厚さ,鉄筋のあき間隔などが適切に設定されていることとする.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <18>

900mm

800mm

250mm

150mm

150mm

300mm

荷重

250mm

図 6.3.1 RC はりの形状の一例と載荷方法(断面寸法:幅 150mm,高さ 150mm)

(5) 実験手順

① 事前準備:前試問時に各自で用意すること。 ・ 設計条件と合致するように RC はりの設計を行う。計算手順も示すこと。

鉄筋コンクリート工学および鉄筋コンクリート工学演習における履修内容十分に理解してい

れば,特に問題は生じないと思われるので各自で取り組むこと。 ・ 計算結果に基づき,はりの断面形状・配筋状態の詳細を決定し,断面について実寸大の配筋図を

作成する。かぶりを満足するように引張鉄筋、圧縮鉄筋、スターラップが配置されていること。 ・ コンクリートの設計強度を満たすような配合条件を求め,実際に練り混ぜるコンクリートの配合

設計を行う。 ・ スターラップは,加工前に原寸大の図面を作製し,型紙として使うと寸法の狂いが少なくなる.

今回のスターラップの加工において曲げ内半径は,示方書などに準じなくてよい.加工後の形状

寸法を考慮し,あらかじめ必要な長さの鉄筋を切り出さなければならない。加工後の図面を元に

して加工前のまっすぐな状態の鉄筋の長さを算出しておく必要がある. ・ 鉄筋の切断には切断機を用いる.切断時には長さに若干狂いがでるので,これを考慮しておく。

切断した端部は尖っているため,けがをしないように注意し,必要に応じてヤスリなどで削って

おくとよい。 ・ 鉄筋の曲げ加工は,電動式の「ベンダー」か,万力やハンマーを用い人力で曲げる方法のいずれか

による.電動工具を使用した加工作業時はやや危険なため,十分に注意しなければならない.作

業前の説明を十分聞くこと. D6 程度の細径の鉄筋は人力で曲げ加工可能である.使用する道具と力加減次第で比較的自由に

加工することができる.スターラップの加工はこの方法で行う. 一方,ベンダーを用いる場合,中心軸に巻き付けるように曲げるため,軸の寸法により加工可

能な鉄筋の曲げ内半径が決まる. 使用するベンダーで加工可能な曲げ内半径:17mm、32mm、37mm、43mm、48mm

引張側鉄筋は端部に標準フックを設け,ベンダーで加工する. 圧縮側鉄筋は端部にフックを設けない. 鉄筋加工用図面の作図上の注意

圧縮側および引張側鉄筋のコンクリート圧縮縁および引張縁までの距離をはじめに決める。 断面水平方向の圧縮鉄筋および引張鉄筋の位置は指定しないが,左右対称となるように考慮し

ながらなるべく間隔を広くとること。水平あき間隔は 30mm 以上でなければならない。また、ス

ターラップ表面と周りのコンクリートの距離を 20mm 以上確保する.(これを一般に「かぶり厚

さ」と呼ぶ.最小かぶり厚さは様々な条件で変化するが,本実験の場合,出来る限り粗骨材最大

寸法より大きくとることとする.)(図 6.3.2 参照) 引張鉄筋および圧縮鉄筋の表面とコンクリート表面との間隔は本来ならかぶり厚さと同等の

距離を確保する必要があるが,今回の試験では隙間を 15mm 程度とする.

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図 6.3.2 断面の鉄筋配置および端部の鉄筋配置状態の一例 (単位 mm, 断面は 150×150mm)

なお,本来ならば,鉄筋の曲げ加工に際しては,その鉄筋の用途や使用する鉄筋の公称直径に

より曲げ内半径が適切に決められている(コンクリート標準示方書,設計編および教科書を参照).

しかしながら,今回の実験では,部材があまり大きくなく,作用力も比較的小さいので,この限

りではない.図 6.3.2 に示すように,適切なかぶりと圧縮および引張主鉄筋が所定の位置へ適切

に配置できるようにスターラップを加工する. ・コンクリートの配合を決定する テーマBの結果をもとに,必要な圧縮強度を発現すると想定されるコンクリートの配合を定め

る.なお,テーマBで得られた配合と異なるものとする.同一配合では減点とする. はり供試体寸法と強度試験用供試体の寸法を考慮して,必要なコンクリート量を計算する.目

安としては,{はり供試体分+圧縮試験用供試体分(圧縮強度試験用供試体φ100×200mm を 6 本

分)}×1.2 倍程度とする.また,余剰コンクリートで圧縮強度試験用供試体を多めに作ってもよい。 前試問時に班内全員で相談し,最終的な形状,配筋,コンクリートの配合を決定すること。

【試験前日までに必ずしておくこと】 ② 骨材の確保,水分調整

あらかじめ,はりおよび強度試験用供試体の作製に必要なコンクリート量を計算しておき,これ

に見合うだけの骨材の調整を行う.(少し余分に用意すること.) ③ 鉄筋の切り出し,曲げ加工,ひずみゲージ貼付

①の作図面に従い,使用する鉄筋の加工を行う.また,引張側鉄筋の中央部にはひずみゲージを

貼付する(鉄筋1本につき1枚貼り付ける).これらはコンクリートに埋め込まれるため,防水処

理する必要がある.方法を以下に示す.

図 6.3.3 加工前のスターラップの例

図 6.3.4 加工後のスターラップの例(左側:150×150 用,右側:200×100 用)

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図 6.3.4 加工前後の軸方向鉄筋

表面切削 汚れ落とし ゲージ接着

リード線加工・半田付け

図 6.3.5 鉄筋へのひずみゲージ貼り付け作業について 鉄筋用ひずみゲージの貼付 ひずみゲージを添付する位置は,引張側鉄筋の中央部(鉄筋1本につき1カ所)合計2カ所とする. 鉄筋ひずみゲージの貼付方法は作業時に指導するが,概略は次の通り.

①鉄筋を万力などで固定する.ゲージは節を削って貼る.リブは削らない. ②ひずみゲージを貼り付ける位置周辺の節を棒ヤスリ等で荒削りする. ③紙ヤスリ(#60~#100 程度)を用い表面を平滑にする. ④アセトンを布に染み込ませ,ひずみゲージを貼り付ける部分周辺の汚れ・油分を拭き取る. ⑤ひずみゲージ貼付位置を鉛筆などで正確に記す.傷を付けないこと. ⑥ひずみゲージを専用接着剤で貼り付ける.このとき,ひずみゲージの裏表に注意すること.

(ひずみゲージの金属面を鉄筋に接するとショートし,ひずみが測定できない.) ⑦接着剤が乾燥した後,ビニールコードの処理を行う.(必要があれば) ⑧ホットメルト接着剤,自己融着テープ等を用い,ゲージ貼付部周辺を保護・防水処理する.

このとき,鉄筋とビニール線の間などの隙間をなくすようにする.隙間があいていると,コン

クリート中の水分が侵入し,ショート,ひずみの測定が不可能になる.

図 6.3.6 組立後の鉄筋の例(ひずみゲージは貼付していない・今回の供試体用ではない)

※ 圧縮側鉄筋はもう少し長い方が組み立てやすい.

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⑨作業が終了したら,ビニールコードを適度に束ね,以後の作業においてじゃまにならないよ

うに結束線を用い,鉄筋本体に仮止めする. ⑩加工した鉄筋を組み立てる. 組立には結束用の道具(ハッカー)と結束線(焼き鈍し線)を用いる. 鉄筋の配置はあらかじめ作成した図に従う.組立後,各部の寸法を測定すること.

④ 型枠の組立

コンクリート打ち込み用の型枠を組み立てる. 型枠は,金属製の「メタルフォーム」およびベニヤ板を用いて作成する. メタルフォームは所定の形状寸法になるように金属製クリップを用い組み立てる。 端部に使用するベニヤ板は,断面形状にあわせて加工が必要となるため,所定の寸法になるよ

うに加工した上で,ボルト・ナットを用いメタルフォームでできた型枠本体に組み付ける. 型枠内面には油性の剥離剤(型枠油)を薄く塗布する. (余分な油はウエスでふき取る→過剰に油はコンクリートの硬化を妨げる)

型枠内寸法を測定し,図面通りであることを確認し,ずれている場合は修正する. 断面図に合致するように組み立てた鉄筋を配置する.固定には針金などを用いると良い. 図面通りに配置されていることを確認する.(各部の寸法をメジャーなどで計測する。)

図 6.3.7 組立後の型枠の概要(中央部の鉄筋およびビニールコードは,型枠が変形しないためのもの)

図 6.3.8 針金などで鉄筋を固定した状態(作成した図面と同様の寸法になっているか確認する)

【試験当日に行うこと】

⑤ コンクリートの配合選定 目標強度から決定した配合を元に,コンクリートを練り混ぜる. スランプおよび空気量の目標値は特に定めないが,スランプは 12cm 程度のやや柔らかいほうが

型枠内を充填しやすく,隙間もできにくい. 空気量は特に調整しないが 2%を目安とする.練上り時のコンクリートの温度を測定する.

⑥ コンクリートの打ち込み・強度試験用供試体の作成 練り上がったコンクリートを十分に練り混ぜ,型枠内に慎重に打ち込む. コンクリートを急激に投入するとその質量により鉄筋がずれる可能性があるので注意する. RC はりは,打込み高さが 15cm~20cm となるので,2層または3層に分けてコンクリートを投

入する.この際,型枠内の鉄筋がずれないように注意する. コンクリートは打込んだ層ごとに突き棒,振動機,木槌などを用いて型枠内に行き渡らせ,十分

に締め固めを行う.その際,鉄筋およびひずみゲージのリード線に当たらないように気をつける.

また,過度に締め固めを行うと材料分離などが生じる可能性があるので適度に締め固めを行う。 打ち込みが完了したのち,金鏝を用いて上面を平滑に仕上げる. 必要に応じ,クレーンで吊り上げ可能な金物(短い鉄筋をU字型に加工したもの,水槽から引き

上げるためのロープなどが取り付けられる程度のもの)を埋め込む. 表面が乾燥しないように,ビニールシートなどで上側を覆っておく.

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【試験実施日翌日に行うこと】 ⑦ 脱型・養生

一晩経過したコンクリートは脱型に耐えうる強度を発現している.確認の上,脱型作業を行う.

特にはり供試体は,寸法の割に質量が大きいので注意して移動・運搬すること.また,まだ十分

強固なコンクリートとなっていないので,角欠けなどの断面欠損には十分に気を付けること. 脱型作業は次の手順で行う.

1) 強度試験用供試体はテーマBの場合と同様に脱型する。手順はテーマBの場合と同じである。

養生は標準(20℃水中)養生および現場水中養生とする。型枠は内面、つなぎ目、外側に付着し

たコンクリートやモルタルを,金属へら,こて,紙ヤスリ,ワイヤブラシなどで丁寧に取り除

き,ほこり等をウエスで拭き取り除く.錆びないように離型剤を薄く塗布する.その後,型枠

外側に記載された番号や,型枠接合部の刻印に注意し,型枠を組立てる.組立てた型枠は,元

の保管場所に片づける. 2) はり供試体の型枠外側に仮止めしてあるリード線をはずし,コンクリート打込み面に置く. 3) 端部のベニヤ板を固定しているボルト・ナットを取り外し、端部のベニヤ板を取り除く.ボル

ト・ナット類は紛失しないようにまとめておく. 4) 供試体側面の型枠をはずす.メタルフォームの U クリップをはずし,木槌で軽くたたくとは

ずれる.クリップはまとめておくこと. 5) 釣り上げ金具を用い,クレーンにて供試体を少しだけつり上げる.または人力で持ち上げる.

このとき,供試体下面に型枠が付いたまま持ち上がることがあるので,供試体からは少し離れ

ておくこと.下側の型枠は、木槌などで軽くたたくとはずれる.クレーンの吊り荷の下には入

らないこと. 6) 供試体を養生場所まで移動する.養生場所は実験棟外の水槽とする. 7) 水槽内の養生水を抜き,底に枕木などをおき,供試体を据える.安定した状態であることを確

認する.また,強度試験用供試体を周囲におく.水槽に注水し,槽内の供試体がすべて冠水す

るまで水を満たす.作業後,水槽のふたを必ずする.水が十分あることを再確認する. 8) 型枠に使用した型枠・ベニヤ板を清掃し,離型剤を塗布した後,所定の場所へ片づける. 9) 作業に使用した道具を清掃し,片づける.また,作業場所も清掃し,片づける.必要に応じて

散水,水切りをする.

図 6.3.9 養生が完了したはり供試体

(4) 予習事項 上記に示す各種試験方法について RC はりの設計方法について

(鉄筋コンクリート工学Ⅰの講義で使用する教科書および鉄筋コンクリート工学演習

において配布する資料が参考となる。) 水セメント比と圧縮強度の関係について 硬化コンクリートの性質について

(5) レポートについて(テーマ C 該当分)(19点満点) グループレポート ① 最終的に作成することとなった RC はりの形状寸法,配筋図(班の誰の計算結果を使うのか示す)

正確な図面が必要.縮尺を調整し、A4 サイズに収まるように工夫する. ② コンクリートの計画配合表および現場配合表 ③ フレッシュ性状試験結果

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④ 圧縮強度試験結果(データ整理) ⑤ 鉄筋加工用の断面原寸図 ⑥ コンクリート打込み前に実測した鉄筋の組み立て状況の図(寸法は mm 単位で記入)

個人レポート ① あらかじめ個人で設計した条件と,その条件に基づき求めた破壊荷重・ひび割れ発生荷重に関す

る計算書.班のメンバーと条件が重複しないようにあらかじめ調整しておくこと.重複があった

場合は両者の評価点を 0 とする. ② ①の条件を満たすための計画配合 ③ 圧縮強度試験結果を基にした考察

a) テーマ B で得られたセメント水比と今回の試験結果との整合性について b) 今回の試験結果における養生条件と強度の関係についての考察

表 6.3.1 評価項目一覧:テーマ C

評価項目 内容 グループレポート 配点 個人レポート 配点

設計

断面・形状 ○最終結果 最終的に誰の検討結

果を使ったのか示す

◎他班員と計算条件

が重複しないように

調整し検討する

3

コンクリートの配合

配合条件、計画配合 ○ ◎条件と配合を記載 1

現場配合(算出根拠) ◎採用条件に合わせて

計算した結果を示す 2

フレッシュ性状結果 ○実施結果 1

強度試験

圧縮強度試験結果 強度試験のデータ整理 ○ 1 推定式との整合性 ◎今回の結果と B で

の推定式との関係 3

養生条件の影響 ◎標準養生と現場水

中養生の違いを検討

2

はりの作製

圧縮強度 はり断面の配筋図 ○ 1 加工・組立て後の鉄筋の状

態(図面・寸法を入れる) ○実施条件のみ 1

各種荷重の推定値 ひび割れ発生荷重推定値 ◎ 2 鉄筋降伏時の荷重推定値 ◎ 2

グループ分合計 6 個人分合計 13

合格ライン 4 8

テーマCはここまで

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6.4 テーマD:RCはりの載荷試験,各種強度試験

(1) 目的 この試験は,テーマCで作成した RC はりの曲げ載荷試験を行うことにより,鉄筋コンクリート部材

の基本的性質である曲げ破壊および曲げ破壊に至る過程について実験を通して理解を深めることを目

的とする. (2) 試験項目・必要な準備,予習 事前準備:コンクリート供試体の強度試験

RCはりの載荷試験準備 RCはりの曲げ耐力,せん断耐力,曲げひび割れ発生荷重,せん断ひび割れ発生荷重の計

算(載荷前まで) 破壊形式の予想(載荷前まで)

これまでに得られた材料特性値を元にして,曲げを受けたRCはりの載荷開始から破壊

に至るまでの状態の変化を,これまでの講義・演習などで得られた知識を元にして計算

により予測する.材料,部材の安全係数は 1.0 として計算する場合が多い。 実験当日:RC はりの載荷試験

載荷試験では荷重が増加するごとに,鉄筋のひずみ(引張鉄筋,スターラップ),コンクリ

ートのひずみ(圧縮縁,引張縁),変位(はり中央,支点)を測定する.また,載荷試験中は,

はり側面を目視にて詳細に観察し,ひび割れ発生状態を記録する.

(3) 試験の手順 [事前準備・試験前日] コンクリートの強度試験 コンクリート供試体の強度試験を行う.方法はテーマ B と同様. 目標としている圧縮強度または強度試験の結果から,RC はりの曲げ耐力,せん断耐力,曲げおよ

び斜めひび割れ発生荷重をあらかじめ計算し,破壊形式を予想する.これらの結果をもとにして,

耐えうる最大荷重を算出する.鉄筋に関する計算に必要なデータは,テーマ A で得られた値(弾性

係数,降伏強度,降伏ひずみなど)を用いることとする. RC はりを載荷試験機に据え付ける.(詳細は後述) ひずみゲージ等の測定器を用意し,動作を確認する.(詳細は後述)

[試験当日] 算出した引張鉄筋降伏荷重に達するまでの間に 20 点程度の測定ができるようにデータの測定間隔

を計算する.(今年度は引張鉄筋の降伏時の荷重が 40~50kN となるように設計しているはずなの

で,測定間隔は 2.0kN 毎とする) この結果を基にして,載荷試験を行い,データを計測する. 試験時には,はり側面に生じるひび割れを載荷荷重ごとに観察し,記録する.

載荷を進め,圧縮縁のコンクリートが浮き上がる状態もしくは載荷荷重がこれ以上大きくならなら

なくなるまで載荷を続ける.この状態に達したら,はりは破壊したものと見なし,載荷試験を終了

する。(見極めは,自己申告とし,担当が確認する。) 試験終了後,除荷し,荷重計,載荷治具類,ゲージ類を取り外す。(ひずみゲージなどのビニール

コードは切断してまとめておく)。 載荷試験機から RC はりをおろす.試験後のはりは指示された場所まで移動させる.試験機の周囲

を清掃する. ひび割れ発生状況を正確にスケッチする.

(4) レポートについて 記載項目は表 6.4.1 に示す.

なお,グラフについては,個別のデータ毎にグラフ化する必要はなく,2~3 箇所のひずみゲージのデ

ータを1グラフにまとめて記載してよい.グラフには図の下側に必ずタイトルを付けること 具体例:引張側鉄筋のひずみはゲージが2つあるので,1つずつバラバラにグラフ化するのではな

く,1つのグラフにまとめる.この方が比較しやすい. また,1ページに1つのグラフとすると,用紙の枚数が多くなるので,1ページに2種類のグラフを

記載するか,1ページに「1種類のグラフと現象の説明および考察」のような体裁とすることを望む.

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なお,向きは揃えること. 1カ所毎のグラフについての考察も当然必要であるが,測定できたすべての現象は同時に起こって

いるので,それぞれの現象がどのように影響しているかをじっくり考えて考察を加えること. 「考察」と称して起こった現象の説明のみというのは認めない.そのような現象が起こった原因につ

いても言及すること.これがないとレポートとは言えない. また,班員同士で相談して考えることも結構であるであるが,自分自身の考えを自分自身の文章で

記述すること.他の班員のレポートと比較して明らかに同じ書き方であれば,「写したもの」と見

なし,その時点で採点せず不合格とする.

表 6.4.1 評価項目一覧:テーマ D 配点 25 点 評価項目 内容 グループレポート 配点 個人レポート 配点

はりについて

試験時コンクリート強度 ○試験データの整理 現場水中養生分

1 ○平均値のみ記載

載荷試験 曲げひび割れ発生荷重 ○観察結果より 1 ◎推定値との比較 3 斜めひび割れ発生荷重 ○観察結果より 1 ◎推定値との比較 2

鉄筋降伏時の荷重 ○観察結果より 1 ◎推定値との比較 3

破壊荷重/最大荷重 ○観察結果より 1

ひび割れ発生状況 ○観察結果(スケッチ) 1

破壊形式 ○ 2

変形について

荷重-圧縮縁ひずみ グラフ作成,考察 ◎変曲点での現象について考察を含む 3

荷重-引張縁ひずみ グラフ作成,考察 ◎変曲点での現象について考察 1

荷重-引張鉄筋ひずみ グラフ作成,考察 ◎変曲点での現象について考察を含む 3

荷重-中央変位 グラフ作成,考察 ◎変曲点での現象について考察を含む 2

全体を通した感想・要望など

グループ分合計 6 個人分合計 19

合格ライン 4 11

6.5.5 レポート提出期限 レポート提出期限は実験終了翌々週の火曜日 12:30 までとする.<厳守> 6.5.6 グラフの例 次に示すようなグラフを作成し,グラフの変曲点ではなにが起こっているのか十分に考えること。特

に注目すべき部分がある場合には,よりわかりやすくするため,グラフの軸の設定を変更し,注目した

い部分を見やすくすること。(すべての測定データがグラフに記載されていなくてもかまわない。) 計算により推定した荷重と引張鉄筋ひずみの関係などを別途求め,試験結果と比較・検討・考察をし

ているようなレポートはかなり評価が高くなることを付け加える。

0 -5 -10 -15 -20 -25 -300

20

40

60

80

100

たわみ(はり中央部の変位:mm)

荷重(kN)

0

20

40

60

80

100

0 1000 2000 3000

荷重 (kN)

引張鉄筋ひずみ (×10 -6)

ひずみゲージ1(ch.010) ひずみゲージ2(ch.011)

図 6.5.1 荷重とはり中央部の変位の関係 図 6.5.2 荷重と引張鉄筋ひずみの関係

このような部分では

何が起こっているのか

考えること

このような部分では

何が起こっているのか

考えること

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土木工学実験 平成 25 年度版 <26>

変位計

900mm

250mm 250mm300mm

800mm

変位計

荷重計

変位計

図 6.6.1 載荷方法 概略図

図 6.6.2 マス目記入の例 (3cm 間隔で記入,支点・載荷点がわかるように線を描く)

図 6.6.3 マス目の記入例 5cm 間隔

6.6 手順の詳細-準備編- RCはりの載荷方法は単純支持の2点載荷とし,次図に示した方法に従う.

(1) ひび割れ進展状況を観察する側面へのマス目の書き込み

ひび割れの進展状況を観察するために,図 6.6.2 のようにRCはりの両側面に 3cm 程度の間隔

のマス目を鉛筆などで書き込んでおく.また,支点の位置,載荷点の位置,はり中央の位置を記入

しておく.なお,実験後のひび割れ状況観察・記録のため,1/5 程度の縮尺の側面図を準備してお

くこと.これはレポートに付けて提出すること. (2) コンクリート圧縮縁および引張縁へのひずみゲージの貼付

コンクリート圧縮縁および引張縁ひずみの測定用のひずみゲージを貼り付ける. 貼り付ける位置は図 6.6.3 に示した位置とする. 貼付方法は次の通りとする. ① 貼付位置周辺大まかに記し,紙ヤスリなどで研磨し,平滑にする. ② 脱脂,清掃のため,布にアセトンをつけ,貼付位置周辺を拭き,不要なゴミ,ほこり,油分

を取り除く. ③ ひずみゲージ添付位置を鉛筆などにより正確に記入する. ④ 貼り付けるひずみゲージを用意し,テスターなどにより導通を確認する. ⑤ ひずみゲージ用接着剤を用い,ひずみゲージを所定の位置に貼り付ける. ⑥ 貼付後,接着剤が乾燥した後,再度ひずみゲージの導通を確認し,ビニール線を取り付ける. ⑦ ひずみゲージのコードは切れやすいので,不用意に引っ張らないようにするため,束ねてコ

ンクリート面にガムテープなどで貼り付けておくとよい. 注 圧縮縁側のひずみゲージは載荷板の間に配置しなければならないため,ゲージのリード線が

載荷板にぶつからないように配慮すること.(リード線の向きを調整する) (3) 載荷試験機へのRCはりの据え付け

図 6.6.1 に示した所定の寸法に合致するように載荷試験機にRCはりを据え付ける. ひずみゲージのコードが試験機周辺に引っかからないように注意しながら据え付けること.鉄筋

のひずみゲージが切断した場合,修復は不可能であるため注意すること. (4) 載荷けたの設置

載荷位置をキャッピング処理し,平滑面にした後,載荷板および載荷けたを設置する.キャッピ

ングには硬めに水で溶いた石膏などを用い,載荷面に塗布し,その上から載荷治具を設置する.載

荷治具にはあらかじめ剥離剤または油などを適量塗布し,試験後にはがれやすくしておく. 石膏を練り混ぜる時には,乾燥までの時間を考慮して混ぜ始めること.また,練り混ぜ水が多い

と固まりにくく,載荷板を設置しにくくなるため,はじめは少量の水で練り始め,加減を見ながら

少量ずつ水を追加するとよい.また,塗布する際には少なすぎても困るが,多すぎると載荷板下か

らはみ出す量が多くなり,コンクリートに貼付したゲージが埋まる可能性があるので注意すること. (5) たわみ測定用変位計の設置

たわみを測定するためにはり中央部下側の変位を測定できるようにレーザー変位計を設置する.

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図 6.6.4 コンクリート圧縮縁および引張縁のひずみ

ゲージ貼付位置

石膏・ペーストが乾燥・固化したら残りの載荷治具を据え付け、載荷げたを据え付ける。

この部分を研磨する

←載荷面

石膏・ペーストなどを塗布

載荷位置を確認しながら載荷治具を据え付ける

③載荷治具(下側)の据え付け

④載荷治具(残り)および載荷げたの据え付け

②石膏・ペーストの塗布

①研磨 載荷位置

図 6.6.7 載荷治具・載荷けたの設置方法

①ゲージ位置を記す ②研磨する ③アセトンで汚れを除去 ④ゲージ貼付

⑤接着されたゲージ ⑥ビニール線を取付け ⑦ひずみゲージ処理後 ⑧圧縮縁加工前

⑨圧縮縁研磨後 ⑩圧縮縁貼付位置 ⑪ひずみゲージ貼付後 ⑫ビニール線処理後

図 6.6.5 コンクリート圧縮縁および引張縁のひずみゲージ貼付状況の例

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土木工学実験 平成 25 年度版 <28>

図 6.6.6 載荷試験の準備が出来た状態

表 6.6.1 各種センサーの接続順序と測定器の設定値および単位

測定器の チャンネル

ゲージの種類 設定値 小数点

単位

000 ロードセル(荷重容量 200kN) 0.650 #####.# kN 001 レーザー変位計 1.000 ####.## mm 002 引張側鉄筋のひずみゲージ① 2/2.13=0.939 ######. μ 003 引張側鉄筋のひずみゲージ② 2/2.13=0.939 ######. μ 004 圧縮縁のひずみゲージ① 2/2.13=0.939 ######. μ 005 圧縮縁のひずみゲージ② 2/2.13=0.939 ######. μ 006 引張側のひずみゲージ① 2/2.13=0.939 ######. μ 007 引張側のひずみゲージ② 2/2.13=0.939 ######. μ 008 引張側のひずみゲージ③ 2/2.13=0.939 ######. μ

表 6.6.2 接続コードの色と接続端子番号

より線の被覆の色 データロガー 赤 A 緑 B 黒 C 白 D

透明(シールド線) E

ABCDE

ひずみゲージから

図 6.6.8 リード線のデータロガー端子への接続方法

(6) ロードセル(荷重計),ひずみゲージ,変位計を測定器に接続し,作動確認を行う.

各種ゲージ類を測定器に接続する.接続順序は次の通りとする. 設定値は指導担当(教員または TA)が設定する.

(7) データロガー,スイッチボックスへの測定器・ひずみゲージの接続方法 データロガーの場合 荷重計(ロードセル),変位計の一部:

荷重計から出力される信号は,荷重計専用の接続コードを用いる。 この接続コードは,先端が色分けされたより線になっているので,データロガーへ接続する

場合,表 6.6.2 の通りとする. 変位計の一部:データロガーの端子 B と D のみに接続する.測定は電圧で行い,データロガーに

て変位(mm)へ換算する. ひずみゲージ:

ひずみゲージをデータロガーに接続する場合,リード線の処理時に細工が必要となる。2本あ

るうちの1本は 5mm 程度,ビニールの被覆を取り除いて端子Aに接続する。もう一方の線は

30mm 程度被覆を取り除き,”μ”のような形にし,突き出た部分を端子BおよびCに接続する。 端子B,Cはあらかじめ短絡させておいても良い.他の試験に使う場合に注意すること.

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土木工学実験 平成 25 年度版 <29>

6.7 手順の詳細-載荷試験編- (1) 予想される耐力について

載荷試験に際しては,引張側鉄筋降伏荷重に達する間での測定値を 20 点以上必要とするため,RCはりの曲げ耐力およびせん断耐力を事前に計算する必要がある.これらの耐力は,安全係数・部材

係数を 1.0 として求める.(設計??耐力ではなく,破壊時の荷重が必要となるため.) (2) 耐力算定に必要な値について

各耐力を計算する際に必要な値については,これまでに行った各試験の結果を用いる. (3) 曲げ耐力について

曲げ耐力 Mu は曲げモーメントで求められるため,これを荷重に計算する.支点から載荷点までの

距離を a,曲げ耐力を Mu,そのときの荷重を Puとすると,Mu=Pu/2×a 次式が成り立つ. これより最大となる荷重 Puを算出する.

(4) 測定荷重間隔について・・・本年度はこの項目は無視し,測定間隔は 2.0kN 毎とする。 引張側鉄筋降伏荷重を求めた後,測定荷重間隔を決定する.測定値としては,20 点程度を必要とす

るため,たとえば降伏荷重が 40kN とすると,測定間隔は 40kN/20=2kN となる.測定荷重は 20点以上となってもかまわないので,測定荷重が 20 点以上確保できるのであれば,区切りの良い荷重

間隔でとしてもかまわない.(2kN,4kN,6kN,8kN,….など) (5) 載荷試験中について

載荷開始後,各測定荷重においてひずみ,変位などを測定器により計測する.また,載荷中は,

コンクリート側面を目視により慎重に観察し,曲げひび割れおよび斜めひび割れが発生していない

か確認する.曲げひび割れ発生が確認できた際は,曲げひび割れ発生荷重を記録する.斜めひび割

れ発生が確認できた際も同様とする. 載荷中はコンクリート側面に曲げひび割れが多数発生することが予想されるため,側面を慎重に

観察し,曲げひび割れの進展を記録する.記録方法はひび割れの進展を目視で観察しながら鉛筆,

シャープペンシルなどではり側面に直接記入する.伸展状況が後でも明確にわかるように,記録し

た時の荷重も記入しておく.(教科書 pp.59 の写真を参照) ひび割れの発生・伸展の確認は,アセトンを布に染み込ませ,コンクリート表面を一拭きし,し

ばらく待ちアセトンの蒸発状態によってひび割れの有無を判別する。ひび割れが生じていない面で

は,アセトンは急速に蒸発するが,ひび割れが発生している場合,ひび割れの間にアセトンが染み

込んで蒸発が遅れるため,ひび割れ部分が筋となって見える.この筋を鉛筆などで直接なぞる。新

しく伸展あるいは発生したひび割れについては,いくらの荷重でどこまで伸展したかはっきりさせ

るため,ひび割れ線に対して直角方向に印をつけ,そのときの荷重値を記録する。アセトンは有機

溶剤であるので,直接吸引しないように気をつけること.また,アセトンを含ませた布ではり側面

をごしごし磨くように拭く必要はない.一度拭いたらきれいに蒸発するまでは観察するようにする. (6) 試験終了の見極め

載荷を続け,圧縮縁が圧壊した時点もしくは荷重が降下した時点とする. (7) 後片づけ

載荷試験が終了したら,各センサーのコードをとりはずし,まとめておく.ひずみゲージのビニ

ール線は不要であるのでペンチ,ニッパー等で切断して束ねておく. 載荷治具,載荷けたを取り除き,治具に付着した石膏・ペーストなどを除去し清掃する. 載荷試験機から破壊したRCはりを下ろし,ひび割れ進展状況を記録する.記録後は不要となる

ので,所定の場所まで運搬し,処理する.(後で指示する)

図 6.7.1 破壊したRCはりの状態の例

(かなり変形しているのがわかると思います。)

図 6.7.2 ひび割れ発生状態の例 以上