女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingp/abe_mori_jea2006.pdf ·...

31
女性就業の地域差と地域間所得分配に関する考察 * 安部 由起子 ** 北海道大学大学院 経済学研究科 邦恵 *** 下関市立大学 経済学部 2006 9 要約 本稿では、各種の公表されている集計データを用いて、女性の就業率・男女間賃金格差・ 世帯所得等が、都道府県別にどのように異なっているかを検討した。女性の就業率や正規 雇用就業率は、年齢階層別に見ても大きな地域差が存在している。女性就業の高い地域で 正規雇用者の時間あたり賃金の男女間格差が小さいという傾向は確認されなかった。女性 就業率の高い県においては、世帯所得の平均が高くなる傾向がある。この高い平均世帯所 得は、女性の労働収入が他地域と比較して高いことによってもたらされているというより も、共働きの世帯の割合が高いことによって生じていることが示唆される。東京都は時間 あたり賃金が全都道府県のうちで一番高いが、男性賃金の対東京格差と比較すると、世帯 所得の対東京格差はどの道府県でも小さくなっている。そして、女性就業の高い日本海側 の県は、概して対東京の賃金格差と比較して世帯所得の格差が大きく縮小する傾向にある。 さらに、地域別の学歴分布の違いが女性就業率の地域差や男女間賃金格差の地域差をどの 程度説明するのかを、一定の仮定のもとで検討した。その結果、学歴分布の違いは地域間 格差を説明するとはいえず、むしろ学歴分布からは予測しえない地域差が、幅広い年齢層 について存在することがわかった。 * 本稿の作成にあたり、奥井めぐみ、酒井正、菅桂太の各氏からは、貴重なコメントや示唆をいただいた。 安部の研究は、日本学術振興会科学研究費(基盤研究 C)および法政大学大学院エイジング総合研究所の 「高齢化に関する国際共同研究 (日本、中国、韓国)プロジェクト」(文部科学省私立大学研究高度化推 進事業)から助成を受けている。感謝申し上げたい。残る誤りは筆者らのものである。 ** 札幌市北区北 9 条西 7 丁目(〒060-0809, TEL:011-706-3860, Email: [email protected] *** 下関市大学町 2 丁目 1 1 号(〒751-8510, TEL:0832-54-8622, Email: [email protected] 1

Upload: others

Post on 11-Feb-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

女性就業の地域差と地域間所得分配に関する考察*

安部 由起子**

北海道大学大学院 経済学研究科

森 邦恵***

下関市立大学 経済学部

2006 年 9 月

要約

本稿では、各種の公表されている集計データを用いて、女性の就業率・男女間賃金格差・

世帯所得等が、都道府県別にどのように異なっているかを検討した。女性の就業率や正規

雇用就業率は、年齢階層別に見ても大きな地域差が存在している。女性就業の高い地域で

正規雇用者の時間あたり賃金の男女間格差が小さいという傾向は確認されなかった。女性

就業率の高い県においては、世帯所得の平均が高くなる傾向がある。この高い平均世帯所

得は、女性の労働収入が他地域と比較して高いことによってもたらされているというより

も、共働きの世帯の割合が高いことによって生じていることが示唆される。東京都は時間

あたり賃金が全都道府県のうちで一番高いが、男性賃金の対東京格差と比較すると、世帯

所得の対東京格差はどの道府県でも小さくなっている。そして、女性就業の高い日本海側

の県は、概して対東京の賃金格差と比較して世帯所得の格差が大きく縮小する傾向にある。

さらに、地域別の学歴分布の違いが女性就業率の地域差や男女間賃金格差の地域差をどの

程度説明するのかを、一定の仮定のもとで検討した。その結果、学歴分布の違いは地域間

格差を説明するとはいえず、むしろ学歴分布からは予測しえない地域差が、幅広い年齢層

について存在することがわかった。

* 本稿の作成にあたり、奥井めぐみ、酒井正、菅桂太の各氏からは、貴重なコメントや示唆をいただいた。

安部の研究は、日本学術振興会科学研究費(基盤研究 C)および法政大学大学院エイジング総合研究所の

「高齢化に関する国際共同研究 (日本、中国、韓国)プロジェクト」(文部科学省私立大学研究高度化推

進事業)から助成を受けている。感謝申し上げたい。残る誤りは筆者らのものである。 ** 札幌市北区北 9 条西 7 丁目(〒060-0809), TEL:011-706-3860, Email: [email protected] *** 下関市大学町 2 丁目 1 番 1 号(〒751-8510), TEL:0832-54-8622, Email: [email protected]

1

Page 2: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

1.はじめに

女性就業選択に関する実証分析において、地理的な意味での地域差について明確な考察

をしたものは、筆者らの知る限り比較的少ない。日本のマイクロデータを用いた女性の就

業選択の実証分析では、都市部に居住しているかそれ以外か、といった形でのコントロー

ルがなされている場合が多いが(たとえば、Ogawa and Ermisch (1998) 、小原(2001)、吉田・

水落(2005)、Nawata and Ii(2004))、地理的な地域差を考慮しているものはきわめて少ない1。

一方、有配偶女性の就業が世帯所得にどのような影響を与えるかを分析したものとして、

小原(2001)、樋口ほか(2003)、森田(2005)、安部・大石(2006)などがあるが、これらの研究で

も地域の視点は明示的には取り入れられていない。

しかしながら本稿で示されるように、実際には女性の就業行動には極めて大きな地域差

が存在しており、本稿の分析は女性の就業が世帯所得分配に与える影響について、特に地

域という視点からの考察を加えるものともいえる。

本稿では、公表集計データを用いてこの地域間の女性就業の違いを明らかにするととも

に、それが地域における男性の所得・男女間所得格差とどのように関連しているのか、ま

た女性の就業の違いは世帯所得の地域差とどのような関係にあるかを考察する。

本稿は以下のように構成されている。次節では、都道府県別の女性の就業参加の実態に

ついて、就業構造基本調査(以下就調と略すことがある)のデータから都道府県別の状況

を確認する。3 節では就業構造基本調査および賃金構造基本統計調査(以下賃金センサスと

略す)から、都道府県別の正規雇用者の男女間年収格差・賃金格差を計算した結果を紹介

し、就業行動の地域差がどのような経済的要因によって解釈が可能かを検証する。4 節では

女性就業と世帯所得の関連について議論される。5 節は議論された内容のまとめと考察を行

う。

2.都道府県別の女性の労働参加2 2.1 都道府県別の女性就業率、正規雇用就業率とパート雇用就業率について

まず、就業構造基本調査(2002 年)の「男女,従業上の地位,雇用形態,所得,年齢別

有業者数」から、都道府県別の 15 歳以上の女性の就業率(就業者総数3を女性の人口で割っ

たもの)、および正規雇用就業率(女性正規雇用就業者数4を女性の人口で割ったもの)、パ

1 地理的な地域を分けた集計は、特に全体のサンプル数があまり多くないデータセットでは、信頼性が保

てないため行えないといった事情もあると思われる。 2 2 節・3 節・4 節で報告されている集計内容のより詳しい結果は、本稿のワーキングペーパーバージョン

で報告されている。 3 家族従業者も含まれる。 4 雇用者のうち、正規の職員・従業員の数を採用した。

2

Page 3: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

ート雇用就業率(女性パート雇用就業者数5を女性の人口で割ったもの)について都道府県

別に集計した。その結果、就業率は、富山・石川・福井などをはじめとする北陸地域と、

長野・岐阜・静岡・愛知などで 50%を超える反面、近畿地方では低い値をとっており、と

りわけ奈良県では 40%を若干超える程度である。正規雇用就業率においてはより顕著な地

域差が見られ、山形・新潟・富山・石川・福井・島根・鳥取・高知では正規雇用就業率が

20%を超え、特に北陸の 3 県では 25%近くに達するが、近畿地域および東京を除く首都圏

では 17%程度にとどまっている。

2.2 年齢階級別の女性の就業パターン

女性の就業に関しては、ライフサイクルの中でどのように就業状態が変化していくのか、

というのが重要な視点である。上記の地域別の違いに関する結果は、年齢別に見るとどの

ように異なるのかを、以下で検討する6。たとえば、年齢別の女性の就業率は、「M 字型」の

パターンを示すというのはよく知られているが、以下で示されるように、「M 字型」に類す

るライフサイクルの就業パターンも、都道府県別に異なっている。また、バブル期の 後

にあたる 1992 年と、デフレ期の終期にあたる 2002 年では年齢別就業パターンの特徴が異

なっていることも併せて示される。

図 1~4 は、都道府県別のライフサイクルにおける就業パターンを、1992 年と 2002 年の

2 時点に関して、特に注目すべき都道府県を抽出し、正規雇用就業率、パート雇用就業率に

分けて表示している。以下、都道府県別の特徴を正規雇用・パート雇用についてそれぞれ

検証を行う。

(1) 正規雇用就業率

正規雇用就業に関して注目すべき点は、以下の 4 点である。

まず第 1 に、1992 年、2002 年共に正規雇用就業率の地域差は大きい。2002 年を例に挙げ

ると(図 2)、34-49 歳までの年齢において、正規雇用就業率は埼玉・神奈川・大阪などでは

20%程度であるものの、山形・富山・福井では 40%程度もあり、約 2 倍となっている。

第 2 は、多くの都道府県において、女性の正規雇用就業率は、「M 字型」ではなく、いっ

たん 20 歳台後半で上昇した後に急激に低下し、それよりも高い年齢ではほとんど上昇が見

られない、「きりん型」であることである。大卒女性の年齢階級別労働力率が「きりん型」

であることは、これまでも指摘されてきた(脇坂・富田(2001))。また、女性の年齢階級別

正規雇用就業率(正規雇用就業者の人口に対する比率)は、大卒以外の学歴の場合にも「き

りん型」に近いことも、指摘されてきた(Abe(2005))。女性の正規雇用就業率が高い県にお

5 雇用者のうち、パートとアルバイトの数を足し合わせたものを採用した。以下本稿では、便宜上「パー

ト雇用」として表現する。但し、労働者派遣事業所の派遣社員については含まれていない。 6 地域別の女性の就業率は、その地域の人口構成からも影響を受ける可能性がある。たとえば、若年女性

の就業率は低いとすれば、若年層の多い地域での就業率はそれだけで低くなる。年齢別の集計は、このよ

うな人口構成の影響ではなく、家計や個人の就業行動が地域別に異なるか否かを明らかにする。

3

Page 4: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

いては、30 歳台前半からの正規雇用就業率の低下度合いが小さい。また、一部(2002 年の

山形・新潟・福井等)の県では、正規雇用就業率プロファイルが M 字型に近い形の場合も

ある7。女性が中年期に正規雇用で労働市場に再参入することは難しく、それが正規雇用就

業率を「きりん型」にしているものと考えられるが、女性の就業率が高い地域においては、

そのようなことが成立していない可能性もある。

第 3 は、全地域を通じての、1992 年と 2002 年における正規雇用就業率プロファイルの水

準および形状の変化である(図 1、2)。1992 年には、正規雇用就業率は 20-24 歳で1つのピ

ークを持つ形をしており、そのピークの値は地域によって高低はあるが、おおむね 60-70%

であった。一方、2002 年には、このピークが 25-29 歳に移っているか、もしくは 20-24 歳と

25-29 歳でピークが台地のような形で平たくなっている。また、2002 年におけるピークの水

準は 40-50%であり、1992 年に比べると大幅に低下している。デフレ期を通じて 20-24 歳の

若年女性の正規雇用就業機会が大幅に減少した反面、25-29 歳の正規雇用就業率は、1992 年

の水準からさほど変化していない。また、1992 年と 2002 年の経済状況を反映して、多くの

県では中年層でも女性の正規雇用就業率は低下している。ただし、低下の度合いは地域別

に異なっている。第 4 点目として、関東圏は一般に正規雇用就業率が低い。その中では、

東京都の正規雇用就業率が も高い。また、1992 年、2002 年共に、沖縄の 20-29 歳の正規

雇用就業率は、九州の他の県と比較してもかなり低くなっている。

1992 年については、有配偶者に限った集計も可能である8。有配偶者に限ると、地域差は

さらに顕著である。山形・新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根では、30-49 歳でも 40-50%

が正規雇用就業をしているのに対し、埼玉・東京・神奈川・愛知などでは、同じ年齢層の

正規雇用就業率は 20%に満たない。

(2) パート雇用就業率

パート・アルバイトの人数を人口で割った、パート雇用就業率に関しては、2002 年につ

いては以下の特徴がある(図 4)。第 1 に、パート雇用就業率は、20-24 歳でいったん高くな

り、その後 30 歳台で低下して、また 40 歳代後半から 50 歳代前半にかけて上昇する、山型

の形状をしていることである。そして、正規雇用就業率が高い地域では、パート雇用就業

率の上昇が生じにくい傾向がある。これは、いずれの指標も人口に対する比率を取ってい

ることによる当然の帰結である。

また、上記のようなパターンは、時間とともに変化しているのかどうかを確認するため

に、正規雇用就業率同様、就業構造基本調査の 1992 年と 2002 年の比較を行った。多くの

県で 2002 年のパート雇用就業率の水準は、20-24 歳層にも一つの峰がある形になっている。

一方、1992 年の集計(図 3)では、ほとんどの県でそのような 20 歳代前半の上昇は見られ

7 但し、1992 年の正規雇用就業率(図 1)を見ると、山形・新潟・福井等でも「きりん型」に近い形となっ

ており、各時点を通じた都道府県固有の就業パターンが存在するとはいえない。 8 2002 年の公表集計データには、都道府県別・配偶関係別の数字が存在せず、集計ができない。

4

Page 5: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

ない。これは、1990 年代後半から 2000 年代前半にかけて若年層のパート雇用の増加、いわ

ゆるフリーターの増加が、女性パート雇用にも反映された結果と推測される。

結果は示されていないが、パート雇用就業率でも、1992 年については有配偶者に限った

集計を行った。正規雇用就業率では、女性全体と有配偶者でグラフの形状に大きな違いが

見られたが、パート雇用就業率に関しては正規雇用ほどの違いは見られない。

2.3 女性の就業率を基準にした都道府県のグループ分け

これまでの分析を基にすると、女性就業に関してはいくつかの地域をグループ分けする

ことが可能であると考えられる9。

1. 東京都

2. 東京都以外の首都圏

3. 東海・近畿地区の一部

4. 女性就業率の高い日本海側の県(山形、新潟、富山、福井、石川、鳥取、島根)

5. 上記以外で特殊な動きをした県(高知、沖縄)

東京都の特徴は、他の関東の県と異なり、正規雇用就業率が高くパート雇用就業率が低

いことである。また、1992 年にはほとんどの県において、正規雇用就業率のプロファイル

は 20-24 歳に1つのピークを持っていたが、東京だけは、25-29 歳の正規雇用就業率が 20-24

歳とほぼ同水準であり、他の県で 2002 年に出現した状況と似た状態にあった。

埼玉・千葉・神奈川の特徴は、東京とは逆に、正規雇用就業率が低くパート雇用就業率

が高いことである。たとえば有配偶女性の就業を考えた場合、住居費用が高いが通勤時間

が短いと考えられる東京に居住するのは妻が正規雇用就業をしている場合であり、住居費

用は東京よりも低いが通勤時間が長い首都圏の県においては、妻は正規雇用することは少

なく、パート雇用や無業を選択しているという解釈が可能かもしれない。無論、居住地の

選択は内生的であり、妻の就業選択と関連している可能性も高い。

関西圏は概して女性就業率が低い10。日本海側の県は、上記の分析で見たように、就業率・

正規雇用就業率・有配偶女性の正規雇用就業率、といった各種の指標において、他の地域

にはない高い就業率を示している県である。

2.4 男性との比較

地域間で女性の労働力参加に違いが見られることは、その地域特有の就業・雇用就業に

関する要因を反映している可能性もある。たとえば、女性の労働力参加の高さは、男女を

9 このグループ分けは、就業構造基本調査に基づいているので、居住地別のグループ分けである。勤務地

別には、また別のパターンが見られる可能性もあることには留意が必要である。 10 その一方で、男女間賃金格差の訴訟などは関西圏で提起されることも少なくない。

5

Page 6: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

問わず就業に対する強い選好が存在していることを反映しているのであれば、女性就業率

の高い県では、男性の就業率も同様に高いかもしれない。逆に、家庭内分業により女性と

男性の就業が代替的であるならば、女性の就業の高い県では男性の就業率が低くなる可能

性もある。そこで、2002 年の就業構造基本調査のデータを用いて、年齢階級別の男性の就

業率および男性の正規雇用就業率を検証した。男性の正規雇用就業率については図 5 に示

すとおりである11。その結果、以下の 2 点のことが確認された。

まず第 1 に、女性就業率の高い、新潟・富山といった県では、男性の就業率も高くなっ

ている。男性就業率の地域差は、北海道・東北および近畿以西の西日本で低めになってお

り、特に南九州で低いというのが一般的な傾向であり、近畿圏で特に低くなっている女性

就業率とは対照的である。とりわけ、女性就業率の高い日本海側の県で、特に男性の就業

率や正規雇用就業率が低くなっているわけではない。したがってこれらの県では、家庭内

分業仮説が示唆する傾向は見られないことになる。一方で、たとえば高知は女性の就業率

は比較的高いものの、男性の正規雇用就業率は低くなっている場合もある。ただし後者の

ような例は少数である。第 2 に、沖縄は、男性の就業率・正規雇用就業率ともに全年齢層

において低くなっている。また、東京や大阪でも、男性の正規雇用就業率は全年齢層を通

じて低くなっている。

3.地域での女性就業と男女の賃金・年間労働所得 賃金・非労働所得と労働供給の関係は、労働経済学の主要な関心事の一つである。具体

的には、賃金の高低が女性の労働供給にどのように影響するか、または、夫の所得が妻の

就業を抑制するか否かについては、ミクロデータを用いた実証研究も多くなされていると

ころである(いくつかの例を挙げると、前者については Nawata and Ii(2004)、後者について

は小原(2001)、吉田・水落(2005)、武内(2004)等)。

前節で示されたように、女性の就業率にはかなり大きな地域差が存在している。女性の

就業決定に夫の所得が影響をしているのであれば、地域における男性の所得の高低がその

地域の女性の就業に影響を与えている可能性がある。以下では、集計データを用いるとい

う制約のもとでではあるが、都道府県別の男性雇用者の所得が、女性の就業と関連してい

るのか否かを検討する。具体的には、就業構造基本調査および賃金センサスの都道府県別

のデータから、男性の年間労働所得(就業構造基本調査)および、男性の年収(賃金セン

サス)の都道府県別の指標を作り、それと女性の就業との関連を検討する。この際、注意

が必要なのは、就業構造基本調査は世帯を調査しており、一方賃金センサスは労働者の勤

務地に対応する事業所を調査しているため、勤務地と居住地では所属する都道府県が異な

11 ここで、これは在学者を含んだデータを用いているため、大学在学者が人口の多くの部分を占める地域

においては、正規雇用就業率が低くなる傾向にあることに留意が必要である。

6

Page 7: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

る可能性があることである。

3.1 賃金センサスによる賃金率の集計値と男女間賃金格差

まず、賃金センサスの公表集計データから、男女正規雇用者の年収(賞与込み)を推計

し、またそれを用いて、労働者の労働時間でウエイト付けした形で、時間あたり賃金の平

均値を求めた。

平均年収・時間当たり賃金の推計方法は、以下のとおりである。

平均年収=12*所定内給与+年間賞与

時間あたり賃金=平均年収/12*月間平均労働時間

年間賞与は 2001 年のデータから、「前年の年間賞与」となっているものをとって用いた。

上記で算出された時間当たり賃金は、労働時間でウエイト付けされた時間あたり賃金に対

応している。このようにして計算された男女正規雇用者(賃金センサスでの「一般労働者」)

の年収の男女間格差、労働時間でウエイト付けされた平均賃金の格差を、都道府県別に図

示した結果が、図 6 に示されている12。どの県においても、労働時間が男性のほうが長いこ

と等を反映して、賃金格差よりも年収格差のほうが大きくなっている。

図 6 によると、女性正規雇用就業率の高い県(山形、富山、石川、福井、鳥取、島根な

ど)で、他の都道府県と比較して年齢計の男女間賃金格差が小さくなってはいない。ただ

し、年齢階層によって男女間賃金格差の度合いも異なっている可能性がある。この点を確

認するために、年齢階級別に男女間賃金格差の推移も見ることにした。結果は図 7 に示さ

れている。女性就業率の高い日本海側の県では、男女間賃金格差が小さいわけではないこ

とがわかる。一方、男女間格差が年齢とともに広がらないのは、沖縄・北海道・東京・高

知などであり、このうち女性就業率が高いのは高知のみである。またこのうち、沖縄・北

海道・高知は、男性の賃金が低い地域である。東京は、大都市圏の中でやや異なる特徴を

示している。たとえば、40-44 歳の男女間賃金格差は東京で 0.74 であるが、愛知では 0.60、

大阪では 0.69 である。東京と比較すると、女性就業の高い県では、男女間賃金格差は年齢

とともに拡大している。もっとも、女性就業の高い県で特に拡大しているというわけでは

なく、女性就業率の低い愛知や大阪よりも男女間賃金格差が大きいということはない。い

ずれにしても、人口の中で女性の就業率が高いことは、男女間の賃金格差の縮小には寄与

していないことになる。

12 賃金センサスを用いて計算された正規雇用者の年間収入の男女間格差は、就業構造基本調査から一定の

調整のもとに集計された数値とある程度似通っているが、一部の県で比較的大きな違いが存在する。東北、

四国、九州のいくつかの県、および東京と大阪では、就業構造基本調査の数字がより高く出ている(男女

間格差が就業構造基本調査のほうで小さい)。一方、東京を除く首都圏の県、岐阜、滋賀などでは、就業構

造基本調査の数字が小さく出る傾向がある。これは、大都市に通勤する雇用者の多い周辺の県では、居住

している男性の所得は東京・大阪・名古屋などで稼得されて高くなる反面、そこに居住する女性は通勤し

て所得を稼ぐ傾向が弱いことを反映している可能性がある。

7

Page 8: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

年間収入については、賃金以上に男女間の格差が開いている。賃金センサスの一般労働

者はいわゆる正規労働者であるとの前提で本稿も含め多くの分析がなされているが、一般

労働者でも女性のほうが男性よりも労働時間が短いことを反映して、年収の男女間格差は

時間あたり賃金の男女間格差よりも大きい。

3.2 賃金・就業のパターンの解釈

ここまでに示されたような女性就業の地域差・地域別の賃金格差は、賃金・所得などの

経済的要因によってどのように解釈が可能であるかを以下で議論する13。以下で示される就

業を解釈するための仮説・および仮説から予測されるパターンは、表 1 にまとめられてい

る。また以下では、地域を示す添え字として、女性就業の高い地域を HP(High Participation)、

それ以外を OTHER と表記している。

3.2.1 労働需要・労働力需給要因からの賃金水準に関する解釈:人的資本仮説

一般的には、男女間賃金格差は若年期には小さく、年齢とともに拡大する。加齢ととも

に賃金が上昇することは人的資本の蓄積を反映し、女性の就業中断がこの男女間賃金格差

が年齢とともに拡大することの主要要因であるならば、女性就業の高い地域では女性の就

業に継続性があることを通じて、この格差が拡大しない可能性もある(人的資本仮説)。j

地域における男女間賃金格差を MFdiffj(j 県の女性の平均賃金/j 県の男性の平均賃金と定

義)と表記すると、この仮説は MFdiffHP>MFdiffOTHERを予測する。

しかしながら、本研究からはこの仮説は支持されない。男女間賃金格差が年齢とともに

広がらないのは東京であり、それと比較すると、女性就業の高い県で、男女間賃金格差は

年齢とともに拡大している14。

3.2.2 家計の労働供給最適化としての解釈

女性就業のきわめて大きな地域差は、賃金や所得の地域差が労働供給に与える影響とし

て解釈可能であろうか?女性の賃金が労働供給に与える影響としては、(1)1 人の労働者の

適化の結果、代替効果を通じて、高い賃金が労働供給を促す(代替効果仮説)、(2)家庭内分

業を前提とした場合、他の家族構成員(典型的には夫)の賃金と比較して妻の賃金が高い

と、妻の労働供給が促進される(家庭内分業仮説)、の 2 点が考えられる。これらについて

13 女性就業と男女間賃金格差の関係については、女性の内生的就業選択による影響も存在しうる。たと

えば生産性の高い女性ほど、正規雇用就業が継続する可能性が高く、また、正規雇用からの引退も遅いの

だとすれば、就業率や正規雇用就業率が低い県では、その「セレクション・バイアス」が大きく、正規就

業女性の平均賃金は高くなるという説明も可能かもしれない。しかしこれは労働需要が地域間でほぼ同様

である等の前提に依存した議論であり、直接的な検証は難しい。 14 労働力需給という要因からは、女性の就業が地域の総労働供給に影響を与え、それが賃金水準に影響

を与える可能性もある。たとえば女性就業の高い県では、女性の労働供給量が多くなるので、女性の賃金

に下降圧力がかかるかもしれない。しかし、総労働供給は人口移動にも影響されるので、女性の就業のみ

によって変動する部分を抽出することは難しい。

8

Page 9: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

以下で検討しよう。

(1) 代替効果仮説

地域における高い賃金がその地域の女性の就業を促すという仮説を検証するにあたって

は、どのように「高い賃金」を定義するかによって、2 つの方法がありうる。第 1 は、女性

の賃金水準を地域間で比較し、それが高いことをもって、「高い賃金」と定義することであ

る。

女性正規雇用者の対東京格差を横軸に、女性の正規雇用就業率を縦軸にとってプロット

したものが図 8 である。図からわかるとおり、女性の正規雇用就業率が高い地域で(対東

京格差という指標でみた)女性賃金が高くなってはおらず、したがってこの形での代替効

果は支持されない。

代替効果の第 2 の検証方法は、賃金水準には男女にかかわらず地域差が存在することを

考慮して、各地域の男性正規雇用者の賃金水準を基準とし、それと比較して女性の賃金が

高いことが、女性の就業を促しているというものである。この場合、男女間賃金格差が小

さい地域ほど女性の雇用就業が促されることになるので、MFdiffHP>MFdiffOTHERが予測され

る。この仮説もデータからは支持されない。なぜなら、図 6 からわかるとおり、日本海側

の女性就業率の高い県において、男女間賃金格差は低くないからである。

どちらの方法を用いても、集計データに基づく限り、日本海側の県で女性就業率が高い

ことは、そこでの女性の相対的賃金が高いことから生じているわけではない。したがって、

代替効果仮説は支持されない。

(2)家庭内分業仮説

家計の効用関数が地域間で似通っている場合、家庭内分業仮説は、地域における夫婦間

賃金格差が大きいほど女性の就業が抑制されることを意味する。実際には集計データでは

夫婦の賃金格差はわからないので、夫婦の賃金格差を男女間賃金格差で代理することとす

る15。しかしこの仮説も、集計データからは支持されない。なぜなら、図 6 からわかるとお

り、日本海側の女性就業率の高い県において、男女間賃金格差は低くないからである。集

計データに基づく限り、日本海側の県で女性就業率が高いことは、そこでの女性の相対的

賃金が高いことから生じているわけではない。

3.2.3 所得効果

労働供給における所得効果から、女性就業の地域差を理解することは可能であろうか?

労働供給に影響する多くの要因を同時にコントロールすることが困難な集計データからこ

15 これは以下の 2 つの意味で、代理指標である。理論的な夫婦間賃金格差は、個別夫婦の賃金格差であり、

有配偶女性と有配偶男性の賃金格差は家庭内分業の指標となる賃金格差ではない。ここで用いている男女

間賃金格差は、有配偶者に限定したものではないので、その意味でも代理指標となっている。

9

Page 10: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

の点について厳密な検証をすることは難しいが、以下では賃金センサスおよび就業構造基

本調査のデータから、男性の収入水準と女性の就業率の関連を確認する。

典型的な形の所得効果は、男性(夫)の所得が高いことが妻の就業を抑制する。そこで、

夫の所得の代理指標を男性の年収とし、男性の年収が高い地域で女性就業率が高くなって

いるかどうかを検討した。図 9 は、横軸に賃金センサスから得られた男性の平均年収(2000

年)をとり、縦軸に就調(2002 年)から得られる女性の正規雇用就業率をプロットしたもので

ある。所得効果からは、この 2 変数の間に負の相関が見られ、左上から右下へ分布するこ

とが予測される。図 9 はおおむねこのような傾向を示している。しかしその一方で、その

ような位置関係とは解釈し難い県が多くあることも事実である。とりわけ、本稿で特に注

目した日本海側の県は、女性の正規雇用就業率ではもっとも高いものの、男性の所得水準

は日本全体の中では中位程度またはそれをやや下回る程度である。たとえば日本海側の県

とそれよりも男性の所得が高い地域とで比較すれば、所得効果の予測するパターンが見ら

れるとの解釈も可能である。一方、日本海側の県よりも男性の所得が低い地域とで比較し

た場合、所得効果の予測するパターンを示しているとは必ずしもいえない場合もある。

男性年収と女性就業率の分布も比較してみたが(結果は示されていない)、男性の収入が

高い地域で就業率が低いという関係は、正規雇用就業率の場合よりもより弱い形でしか観

察されなかった。

総じて、女性の就業率、とりわけ正規雇用就業率の地域差には、男性の所得水準の違い

による所得効果として理解できる部分も一部存在する。しかしながら、男性の所得が低い

地域で女性の就業率や正規雇用就業率が低い地域も存在している。この理由の 1 つは、地

域の雇用機会がどの程度あるかと関連するかもしれない。男性の所得が低いことが女性の

就業を促すとしても、女性の雇用機会が限られている地域では、結果として女性の就業率

や正規雇用就業率が高くならない可能性もある。

4.地域間世帯所得格差 就業構造基本調査では、世帯所得が調査されている。有配偶女性の就業による労働所得

が世帯所得にどのように影響するかについては、国内外で多くの研究がなされているが、

ここでは上記で示された都道府県別の女性就業の差が、都道府県別の世帯所得の差と関連

するかどうかを、集計データを用いて検証する。

4.1 世帯所得の平均値及び有業人員別の世帯所得の推計

世帯主が有業の世帯について、世帯所得の平均値を就業構造基本調査の範囲別のデータ

から、範囲の中央にあたる数値を用い、また も低い所得の範囲と も高い所得の範囲に

10

Page 11: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

ついてはそれぞれ適宜値を割り当てて16、都道府県別の男性所得の代理指標を作成して平均

世帯所得を集計した。この結果、東京都の世帯所得平均は 648 万円、千葉・埼玉・神奈川

は 670~700 万円、愛知県は 666 万円、京都・大阪はほぼ 600 万円であった。その一方、山

形県は 643 万円、富山県は 687 万円、福井県は 692 万円、石川・鳥取・島根は 610~640 万

円であった。したがって、女性の就業率の高い富山・福井等では、世帯所得の平均値が高

くなっており、女性の就業が世帯所得を上昇させていることが示唆される17。

また、男性の所得が比較的低い地域において、女性の就業により平均世帯所得を増加し

ており、したがって地域間の世帯所得格差が縮小しているのだとすると、世帯の有業人員

数をコントロールすれば、世帯所得の地域間格差は拡大することが予想される。これは、

男性の賃金や労働所得の地域間格差が存在することを考えればある意味予想されることで

はあるが、以下では就調の有業人員数別の集計を利用することにより、この点について直

接的な検証を行う。

就業構造基本調査の夫婦のみの世帯または夫婦と子供のみの世帯のうち、世帯所得が賃

金・給料のみである世帯について、有業人員が 1 人の場合と 2 人以上の場合について、世

帯所得階級からの世帯所得の平均値の指標を算出した。その結果、たとえば女性就業率の

高い富山では、有業人員が 1 人の場合世帯平均所得が約 567 万円、2 人の場合には約 808 万

円であるのに対し、女性就業率の低い東京では 1 人の場合約 716 万円、2 人の場合約 923 万

円であった。有業人員を統一して比較すれば、都道府県間の世帯所得の格差が存在するこ

とがわかる。したがって、女性の就業率が高い県で世帯所得が高くなっていたのは、主に

就業する女性が多いことが、平均所得を押し上げていることによって生じていることにな

る。就業しているという条件付では、いくつかの日本海側の県において女性の所得が他の

地域よりも高いわけではないであろうことが推測される。実際、有業人員数を固定した場

合には、世帯所得の地域間格差のパターンはきわめて似通っており、相関係数は 0.912 であ

った。

4.2 世帯所得の対東京格差

世帯所得について、対東京の格差はどのようなパターンを示すであろうか?男女ともに、

賃金の絶対水準は東京で も高いが、その一方で、世帯所得については、必ずしも東京の

平均が全都道府県のうちで も高いわけではない。

もし労働供給の要因が全地域で同一であれば、地域間の賃金格差はそのまま世帯所得の

格差につながるはずである。以下では、対東京格差という観点から、世帯所得と男性の賃

金の格差について検討した(世帯所得については就業構造基本調査、賃金については賃金

センサス)。

16 100 万円未満には 60 万円を割り当て、1500 万円以上には 1500 万円を割り当てた。 17 ただし、女性就業率が も低い部類に属する奈良県でも、このように算出した世帯所得の平均は高くな

っている。当然のことながら、女性就業のみが世帯所得の増加に寄与しているわけではない。

11

Page 12: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

結果は、図 10 に示されている。ここで直線は 45 度線を表しており、東京の男性の賃金

がそのまま世帯所得に反映されたならば、生ずるであろう世帯所得の格差を示している。

グラフからわかるように、東京以外のすべての道府県は、45 度線よりも上方に位置してい

る。このことは、対東京で見た大きな賃金格差は、そのまま世帯所得に反映されていると

はいえず、世帯所得は時間あたり賃金よりも平等化していることがわかる。

ここで、女性の就業がこの世帯所得の平等化に貢献しているかどうかは、この 45 度線か

ら離れている度合いが大きな県が、女性就業の高い県であるかどうか、によって示される

が、図から視覚的にわかるとおり、男性の対東京賃金格差を一定とすると、 も上方に位

置する傾向が高いのが、女性就業率の高い日本海側の県である。このことから、女性の就

業は、地域間の世帯所得の格差縮小に寄与していることが示唆される。

次に、このような男性の対東京賃金格差と世帯所得の関連が、ライフステージとともに

どのように推移するかを確認する。男性の対東京賃金格差(県 A の対東京格差=県 A の男

性賃金/東京の男性賃金で定義する)は加齢とともに拡大する傾向がある。20 歳台後半で

は、東京の男性の賃金水準を 1 とすると、東京を除く 46 の道府県のうち 36 道府県におい

て、男性賃金は 0.8 を上回っている。しかし 50 歳台前半になると、対東京格差が 0.75 を上

回るのは 5 府県(千葉・神奈川・愛知・大阪・兵庫)のみである。

世帯主年齢が全年齢層(図 10)の場合と同様のかたちで、対東京の賃金格差と対東京の

世帯所得格差を世帯主の年齢階層別に図示したのが、図 11 である。65 歳未満の年齢層につ

いては、世帯主年齢合計の場合と同様に、すべての道府県が 45 度線よりも上方に位置して

おり、男性賃金の対東京格差と比較すると世帯所得の東京格差は小さくなっていることが

わかる。また、年齢が上昇するにつれて男性賃金の対東京格差は広がり、横軸でより左側

に位置するようになる。しかし、世帯所得の対東京格差は、年齢とともにさほど上昇はし

ない。65 歳未満の場合、どの年齢階層でも、世帯所得東京格差は 0.8 と 1 の間に大半が位

置しており、また 45-64 歳の範囲においては、むしろ世帯所得が東京よりも高くなる県が若

い年齢層よりも多くなっている。世帯主が 65 歳以上になると、賃金格差と世帯所得格差の

一定のパターンは見られなくなり、いくつかの県は 45 度線よりも下側に位置している。65

歳を過ぎると男性雇用者の多くは定年退職後であり、男性の賃金は標準的な賃金の指標と

はいえないと考えられ、男性賃金と世帯所得の間の明確な関連が見出せなくなっている。

5.地域別学歴分布はどの程度就業率の違いを説明するか? 前節では、就業率や男女間賃金格差が都道府県別に大きく異なっていることが示された。

以下では、地域別の学歴分布の違いが、どの程度就業率や男女間賃金格差の違いを説明し

うるのかについて考察を行う。学歴分布が地域別に大きく異なるのであれば、地域間で見

られる就業行動や男女間賃金格差は、人口の学歴構成による影響によって生じている可能

12

Page 13: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

性もある。

全学歴を合計した都道府県別の女性の正規雇用就業率、パート雇用就業率は年齢階級別

に就調の公表データから算出可能であるが、都道府県別かつ学歴別に、正規雇用就業率、

パート雇用就業率を得ることはできない。そのため、地域・学歴別に就業のパターンが異

なることが仮にあるとしても、それを集計データから直接検証できない。その一方で、男

女・年齢階級・都道府県別の学歴分布は、2002 年の就調から得ることができる。また、男

女・年齢階級・学歴別の女性の正規雇用就業率・パート雇用就業率の全国平均値も、就調

の公表データから得ることができる。

以下では、その地域別学歴分布の情報を用いて、学歴間の就業行動や男女間賃金格差が

全国平均と同じであったとしたら、各都道府県での就業行動や男女間賃金格差がどのよう

になるかを試算し、それと実際の就業率(正規雇用就業率、パート雇用就業率)や、実際

の男女間賃金格差(男女正規雇用者の格差)を比較した。その結果、学歴分布から予測さ

れる就業率や男女間賃金格差と、実際の値との間には、地域別にシステマティックな乖離

が存在することが示される。したがって、女性就業の地域差や男女間賃金格差の地域差は、

学歴分布の違いによって説明されるものとはいえず、地域的な要因が強くかかわっている

ことが示唆される。

5.1 正規雇用就業率

まず第 1 の方法として、全国平均の学歴別正規雇用就業率を、各都道府県の各年齢層の

女性の学歴分布割合でウエイト付けして、各県の女性の仮想的な正規雇用就業率を求めた。

具体的には、

∑ ⋅=s

sjsj EDshfteFTE 111 (1)

として計算されるものが、都道府県 j の女性の仮想的正規雇用就業率である。ここで、j は都道府県のインデックス、 は j 県に住む女性の卒業者(在学中でない者)に占め

る学歴 s の者の割合である。添え字 1 は女性であることに対応しており、5.3 節で男女間賃

金格差を分析する際に明示的に扱われる。

sjEDsh 1_

(1)式は、年齢階層毎に別々に集計される。 は、学歴が s に対応する当該年齢階級の女

性の正規雇用就業率(全国平均値)である。いいかえると、(1)式では、学歴別の正規雇用

就業率が全国平均に等しいと仮定したもとでの、j 県女性の仮想的な正規雇用就業率を示し

ていることになる。ここで、就調から得られる j 県の実際の女性の正規雇用就業率 FTE1jと

し、

sfte1

j1j1j1F FTEFTEr −= の分散と の分散を比較した結果が、表 2 に示されている18。 jFTE

18 ここで r の添え字は、正規雇用(Full-time)、1(女性)、j 県に対応している。

13

Page 14: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

表 2 からわかるとおり、 の分散は の分散よりも大きくなっている。つまり、全

国平均の学歴別就業率を各都道府県の学歴分布でウエイト付けすることは、そもそも存在

する地域差を縮小することにはならず、むしろ拡大していることになる。これは、学歴別

の正規雇用就業率が各地域で平準化していないことを示唆する。

j1Fr j1FTE

学歴分布がどの程度の説明力をもつかを分析する代替的方法として、都道府県別の年齢

階級別正規雇用就業率を被説明変数とし、都道府県別の当該年齢層の学歴別の分布割合を

説明変数とする回帰分析を行った。この場合には、残差の 小化が行われるため、学歴分

布はいかなる場合でも一定の説明力をもつ。その一方で、学歴の分布割合の係数が、実際

の就業率と大きく異なる推計値や、理論的には成立しえない負の推計値をとる場合には、

地域間で学歴別の女性の就業パターンが平準化しているとはいえないと判断される。

具体的には、

uEDshEDshEDshEDshFTE j1414j1313j1212j1111j1 +⋅β+⋅β+⋅β+⋅β= (2)

という推計式を当該年齢層の女性人口をウエイトとする加重 小二乗法で推計することを

考える(定数項は含めない)。ここで EDsh の添え字のうち 初の1は女性であることに対

応し、次は 4 つの学歴(中卒を 1、高卒を 2、短大高専卒を 3、大卒大学院卒を 4、という

添え字を用いる)に対応し、j は都道府県のインデックスである。u は誤差項である。もし、

FTE1j の地域差が学歴分布の地域差によっておおむね説明でき、学歴別の正規雇用就業率に

地域差が小さいのであれば、β1s に当該年齢層の当該学歴の女性の正規雇用就業率の全国平

均値を代入した値で、(2)式の残差を小さくすることができるはずである。ところが、この

推計を行ったところ 25 歳以上 59 歳以下の 5 歳刻みの年齢階層のどの層についても、中卒

と短大卒に対応する βの推計値が負になるような WLS 推計値が得られた。正規雇用就業率

は負の値をとることはなく、また、負の値を取るような場合には、正の値をとっている高

卒および大卒の β の推計値も、学歴別の全国平均値とはかなり異なる値を取っている。残

差を小さくするという推計を行った場合には、学歴別の正規雇用就業率は全国で平準化し

ているという仮説とは整合しない結果となっていることになる。

さらに、 )FTEFTE(r j1j1j1F −= の分布を 5 分位に分割し、各県につき 7 つの年齢階層に

ついて計算される が、5 つの分位のどこに分布しているかを集計した結果が、表 3 に示

されている。ここで特徴的なのは、 がどの第 5 分位( も高い値から 20%)や第 1 分

位( も低い値から 20%)といった、大幅に大きい値または大幅に小さい値をとる傾向に

ついて、地域的な集中が見られることである。たとえば、福井県と鳥取県については、す

べての年齢階層で、 が第 5 分位に属している。また、山形・新潟・島根・高知では 6 つ

j1Fr

j1Fr

j1Fr

14

Page 15: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

の年齢階級で が第 5 分位に属し、石川・富山では 5 つの年齢階級で第 5 分位に属してい

る。これらの県については、 が第 1 分位または第 2 分位に属している年齢階層は1つも

ない。また、徳島・佐賀・熊本・宮崎では 5 つの年齢階層で、 が第 4 分位に属している。

j1Fr

j1Fr

j1Fr

一方で、第 1 分位に が集中している県もある。千葉・神奈川・兵庫・奈良ではすべて

の年齢階層において、 が第 1 分位に属している。また京都では、6 つの年齢階層につい

て、 が第 1 分位に属している。このように正規雇用就業率については、学歴分布から予

測される値と比べて正規雇用就業率が高いという地域特性は、年齢階層にかかわらず成り

立っていることが示唆される。

j1Fr

j1Fr

j1Fr

5.2 パート雇用就業率

正規雇用就業率と同様の形で、被説明変数をパート雇用就業率(PAEP1j)として同じよう

に推計を行った結果が、表 2 右側に示されている。ここから、パート雇用就業率について

は、正規雇用就業率と異なり、(2)式の u の分散はそもそものデータの分散よりも大きくな

るという傾向は、一部を除き、見られない。とはいえ、学歴分布が多くを説明していると

はいえず、学歴の影響以上にパート雇用就業率には地域差が見られることがわかる。

パート雇用就業率に関しても、正規雇用就業率の場合と同様に j1j1j1P PAEPAEr −= と

いう残差を定義し、その 5 分位別の分布状況を確認した結果が、表 4 に示されている。パ

ートに関しては、正規雇用就業ほどの、第 5 分位や第 1 分位への集中は見られない。しか

しそれでも、第 5 分位に 4 つ以上の年齢階層の が属している県として、群馬・埼玉・静

岡・愛知・岐阜・滋賀がある。また、第 1 分位に 4 つ以上の年齢階層が属している県とし

て、青森・山形・石川・高知・宮崎がある。ここでも、一部の県において、学歴分布から

予測される値とは大きく異なる就業選択がなされる地域があることがわかる。

j1Pr

5.3 男女間賃金格差

次に、都道府県でみられる男女間賃金格差(図 7)をどの程度、都道府県別の男女の学歴分

布の違いが説明しうるのかを考察する。具体的には、都道府県別の仮想的な正規雇用者の

学歴分布(2002 年の就業構造基本調査から導出する)と全国平均の学歴別正規雇用者の賃金

(2000 年と 2001 年の賃金構造基本調査から得る)を用い、全国平均の男女・年齢階層・学歴

15

Page 16: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

別の平均賃金を男女・年齢階層別正規雇用者の仮想的な学歴分布でウエイト付けする。そ

して、各地域の平均賃金が全国平均と同様と仮定したもとで、各地域における男女・年齢

階層別の学歴分布の違いだけから、どの程度の男女間賃金格差が生ずるか、仮想的に計算

した19。これらはすべて、5 歳刻みの年齢階級別に計算されている。

具体的には、s を4つの学歴のインデックス、男性の添え字を 0、女性の添え字を 1 とし、

j 県における男性正規雇用者の仮想的学歴分布である share0sj (s=1,2,3,4)、および女性正規雇

用者の仮想的学歴分布である share1sj (s=1,2,3,4)を、5.1 節と類似の方法を用いて導出する20。

さらに学歴が s である男性正規雇用者(賃金センサスの一般労働者)の全国平均の平均賃金

を hw0s、学歴が s である女性正規雇用者の全国平均の平均賃金を hw1s とする。 j0hw を j 県

における男性の仮想的賃金、 j1hw を j 県における女性の仮想的賃金とすると、これらは

sj0s

s0j0 sharehwhw ⋅= ∑ (3a)

sj1s

s1j1 sharehwhw ⋅= ∑ (3b)

として計算される21。これらを用いて、県 j の学歴分布から導出される仮想的男女間賃金格

差を

j0j1j hw/hwEDwdiff =

と定義する。

実際の男女間賃金格差は、図 7 で計算されたものと同様である(MFdiffj)。実際の男女間

賃金格差と、上記の とがどの程度乖離しているかを見るために、その乖離を ddj

と定義する: jEDwdiff

jjj EDwdiffMFdiffdd −=

ddj についても正規雇用就業率・パート雇用就業率の場合と同様に、ddj を 5 分位に分け、

19 就調の公表データからわかるのは、男女×都道府県×学歴×年齢階級別の人口および有業者数であり、

正規雇用者数はわからないことである。したがって本節では 5.1 節と同様に、都道府県×男女×年齢階級

別の正規雇用者数を、人口の学歴分布に全国平均の学歴別正規雇用就業率を用いて仮想的に割り当ててい

る。 20 たとえば女性正規雇用者の学歴分布である share1sj(s=1,2,3,4)は、 jsjssj FTEEDshfteshare 1111 /⋅=を 4 つの学歴について計算することによって求める。 21 (3a),(3b)式によって計算される、男女・年齢階層・学歴別の全国平均の賃金を地域における学歴分布で

ウエイト付けする方法は、男女の賃金に共通に存在しうる地域的賃金格差を反映しない値になるため、

j0hw 、 j1hw の水準そのものは、各都道府県での賃金水準の指標としては意味のある値とはいえないか

もしれない。しかし、ここでの関心は男女間賃金格差であって、 j0hw や j1hw の水準そのものではないた

め、このような想定の計算にも一定の意味はあるものと考えられる。

16

Page 17: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

その分布状況を確認した。結果は表 5 に示されている。これによると、正規雇用者の男女

間賃金格差についても地域によって、学歴分布の予測する値と実際の男女間賃金格差には

乖離が見られ、地域別にその乖離の方向と大きさが偏る傾向があることがわかる。たとえ

ば東京都は 40 歳台で男女間賃金格差が小さい(女性の賃金が相対的に高い)が、東京都の

ddjは 4 分位と 5 分位に集中している。同様に、4 分位と 5 分位に ddjが集中する傾向がある

のが、神奈川・埼玉・千葉などの首都圏の県、京都・大阪などの近畿地域の一部、および、

北海道・高知・鹿児島・沖縄である。

一方、ddjが第1分位や第 2 分位に集中する傾向があるのが、山形・新潟・富山・石川・

福井などの日本海側の県、および、静岡・愛知・三重などの中京地域の県である。このよ

うに、地域別の男女間賃金格差は、学歴分布をコントロールしてもあまり解消しない。む

しろ、男女間賃金格差が大きい県は、学歴分布により予測される値よりも実際の男女間賃

金格差が大きくなっている。

6.結論と地域間格差への含意 本稿では、都道府県別に女性の就業率・正規雇用就業率・パート雇用就業率がどのよう

に異なるかを、1992年と 2002年の就業構造基本調査の集計データから推計した。その結果、

女性の就業率や正規雇用就業率には都道府県間で大きな違いが存在し、とりわけ一部の日

本海側の県では、30-49 歳の女性正規雇用就業率は、東京を除く首都圏 3 県の 2 倍程度にも

達する。パート雇用就業率は、首都圏・東海地域で高くなっている。また、バブル期の

後にあたる 1992 年とデフレ期にあたる 2002 年を比較すると、正規雇用就業率の低下と若

年におけるパート雇用の増加が、多くの地域において観察された。

女性就業率が高い県では男女間賃金格差が小さいのかどうかを検討するために、2000 年

の賃金センサスから正規雇用者の平均賃金を都道府県別に計算し、都道府県別の男女間賃

金格差を算出した。女性就業の高い県で、男女間賃金格差が小さいという傾向は観察され

なかった。女性就業の地域差が、男性の所得・女性の相対賃金といった経済的要因から解

釈可能であるかどうかを検討した結果、地域における女性の高賃金が女性就業を促してい

るというパターンはみられない一方で、男性の所得が低いことが女性の就業(特に正規就

業)を促しているという傾向には限定的にではあるが支持された。

さらに、女性就業が世帯所得にどのような影響を与えるのかを地域別の女性就業の差と

いう視点から検証するために、都道府県別の世帯所得の平均値が、女性の就業とどのよう

に関連しているかを検討した。その結果、女性の正規就業が高い県において世帯所得が高

くなっていることが確認された。有業人員数別の比較も行ったところ、有業人員を固定す

れば、世帯所得にも地域間格差が存在し、有業人員が 2 人以上である世帯に限定すると、

女性の就業率の高い県でのそのような世帯の所得がその他の地域の同様の世帯の所得より

17

Page 18: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

も高いということはなかった。したがって、女性の就業が高い県において平均世帯所得が

高いのは、これらの地域での共働き世帯が多いことによるのであり、これらの地域におけ

る女性の労働収入が高いわけではないことが示唆される。

また、世帯所得の対東京格差と男性の時間あたり賃金の対東京格差を比較したところ、

対東京で見た大きな男性の賃金格差は、そのまま世帯所得には反映されず、世帯所得の対

東京格差は時間あたり賃金よりも平等化している。そして、女性就業の高い日本海側の県

は、概して対東京の賃金格差と比較して世帯所得の格差が大きく縮小する傾向にある。世

帯主の年齢階級別に見ても、男性の時間あたり賃金の対東京格差は年齢とともに拡大する

傾向にあるものの、世帯所得の対東京格差は年齢とともにさほど拡大しないことがわかっ

た。

さらに、地域別の学歴分布の違いが女性就業率の地域差や男女間賃金格差の地域差をど

の程度説明するのかを、一定の仮定のもとで検討した。その結果、学歴分布の違いは地域

間格差を説明するとはいえず、むしろ学歴分布からは予測しえない地域差が、幅広い年齢

層について存在することがわかった。

Kakamu and Fukushige (2005)は、市町村の平均個人所得・平均家計消費という指標で市町

村間を比較した意味での地域間格差は、1990 年代を通じて縮小傾向にあったことを示して

いる。女性の就業は 1990 年代を通じて大きく変化しており、このことが世帯所得にどのよ

うな影響を与えたかを地域的な違いという視点から検討することは、今後の課題である。

18

Page 19: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

参考文献

安部由起子・大石亜希子(2006) 妻の所得が世帯所得に及ぼす影響、小塩隆士・田近栄治・

府川哲夫編 日本の所得分配 8 章、東京大学出版会 近刊

安部由起子・森邦恵(2006)「女性就業の地域差と地域間所得分配に関する考察」Hokkaido

University Graduate School of Economics and Business Administration Discussion Paper

Series B: No.2006-60.

小原美紀(2001) 「専業主婦は裕福な家庭の象徴か?-妻の就業と所得不平等に税制が与え

る影響」 日本労働研究雑誌 493, 15-29.

樋口美雄・法専充男・鈴木盛雄・飯島隆介・川出真清・坂本和靖 (2003) 「パネルデータ

にみる所得階層間の流動性と意識変化」樋口美雄、財務省財務総合政策研究所編

日本の所得格差と社会階層 日本評論社、第 3 章.

武内真美子(2004) 「女性就業のパネル分析―配偶者所得効果の検証」 日本労働研究雑誌

527, 76-88.

森田陽子 (2005) 世帯構造と所得格差 厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事

業)「我が国の所得・資産格差の実証分析と社会保障の給付と負担の在り方に関す

る研究」平成 16 年度報告書 所収.

吉田浩・水落正明(2005) 「育児資源の利用可能性が出生力および女性の就業に与える影響」

日本経済研究 51, 76-98.

脇坂明・富田安信 (2001) 大卒女性の働き方-女性が仕事をつづけるとき、やめるとき 日

本労働研究機構.

Abe, Y. (2005) “A Note on Labor Supply Experiences of Japanese Women.” Hokkaido University,

Graduate School of Economics and Business Administration Discussion Paper Series A:

No. 2005-143.

Kakamu, K. and M. Fukushige (2005) “Divergence or convergence? Income inequality between

cities, towns and villages in Japan.” Japan and the World Economy 17, 407-416.

Nawata, K. and M. Ii (2003) “Estimation of the labor participation and wage equation model of

Japanese married women by the simultaneous maximum likelihood method.” Journal of

the Japanese and International Economies 18, 301-315.

Ogawa N. and J. Ermisch (1998) “Family Structure, Home Time Demands, and the Employment

Patterns of Japanese Married Women.” Journal of Labor Economics 14, 677-702.

Sasaki, M. (2002) “The Casual Effect of Family Structure on Labor Force Participation among

Japanese Married Women.” Journal of Human Resources 37, 429-40.

19

Page 20: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図1: 年齢階級別女性正規雇用就業率(女性全体)-1992年

*1992年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

日本海側地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

山形 新潟 富山 石川 福井 鳥取 島根

関東地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

埼玉 千葉 東京 神奈川

東海・近畿地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

愛知 京都 大阪 奈良

その他特徴的な動きをした県(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

高知 沖縄

20

Page 21: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

*2002年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

図2: 年齢階級別女性正規雇用就業率(女性全体)-2002年

日本海側地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

山形 新潟 富山 石川 福井 鳥取 島根

関東地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

埼玉 千葉 東京 神奈川

東海・近畿地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

愛知 京都 大阪 奈良

その他特殊な動きをした県(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

高知 沖縄

21

Page 22: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図3: 年齢階級別女性パート雇用就業率(女性全体)-1992年

*1992年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

日本海側地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

山形 新潟 富山 石川 福井 鳥取 島根

関東地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

埼玉 千葉 東京 神奈川

東海・近畿地区(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

愛知 京都 大阪 奈良

その他特殊な動きをした県(1992年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

高知 沖縄

22

Page 23: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

*2002年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

図4: 年齢階級別女性パート雇用就業率(女性全体)-2002年

日本海側地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

山形 新潟 富山 石川 福井 鳥取 島根

関東地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

埼玉 千葉 東京 神奈川

東海・近畿地区(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

愛知 京都 大阪 奈良

その他特殊な動きをした県(2002年)

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

高知 沖縄

23

Page 24: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図5: 年齢階級別男性正規雇用就業率(20~59歳)-2002年

*2002年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

北海道・東北地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島

関東地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川

北陸・甲信越地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

新潟 富山 石川 福井 山梨 長野

近畿地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山

四国地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

徳島 香川 愛媛 高知

東海地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

岐阜 静岡 愛知 三重

中国地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

鳥取 島根 岡山 広島 山口

九州・沖縄地区

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

24

Page 25: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

*2000,2001年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)から著者作成。

図6: 都道府県別年収と時間あたり賃金の男女間比率(正規雇用者)-2000年

0.5

0.55

0.6

0.65

0.7

0.75

0.8

北海道

青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川

新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山

鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島

沖縄

女性平均値/男性平均値

時間あたり賃金 年収

25

Page 26: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図7:年齢階級別時間当たり賃金男女間格差(20歳以上)-2000年

*2000,2001年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)から著者作成。

日本海側の県

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

山形 新潟 富山 石川 福井 鳥取 島根

関東地区

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

埼玉 千葉 東京 神奈川

東海・近畿地区

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

愛知 京都 大阪 奈良

その他特徴的な動きをした県

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59

高知 沖縄

26

Page 27: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図8: 女性賃金対東京格差と女性正規雇用就業率(年齢計)

図9: 男性年収と女性正規雇用就業率(年齢計)

図10: 男性時間あたり賃金の東京格差と世帯所得の東京格差

*2000年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)、2002年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

女性賃金対東京格差 × 女性正規雇用就業率

北海道

青森 岩手 宮城

秋田

山形

福島

茨城栃木

群馬埼玉

千葉

東京

神奈川

新潟

富山

石川

福井

山梨

長野

岐阜静岡

愛知

三重

滋賀

京都

大阪兵庫

奈良

和歌山

鳥取島根

岡山

広島

山口

徳島香川

愛媛

高知

福岡佐賀長崎

熊本

大分

宮崎 鹿児島

沖縄

0.3

0.32

0.34

0.36

0.38

0.4

0.42

0.44

0.46

0.48

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

女性賃金対東京格差

女性正規雇用就業率

男性年収 × 女性正規雇用就業率(総数)

北海道

青森 岩手 宮城

秋田

山形

福島

茨城栃木

群馬埼玉

千葉

東京

神奈川

新潟

富山

石川

福井

山梨

長野

岐阜静岡

愛知

三重

滋賀

京都

大阪兵庫

奈良

和歌山

鳥取島根

岡山

広島

山口

徳島 香川

愛媛

高知

福岡佐賀長崎

熊本

大分

宮崎鹿児島

沖縄

0.3

0.32

0.34

0.36

0.38

0.4

0.42

0.44

0.46

0.48

3500000 4000000 4500000 5000000 5500000 6000000 6500000 7000000

男性年収

女性正規雇用就業率

島根 鳥取

滋賀福井

石川

富山

新潟 東京山形山形 東京新潟

富山

石川

福井滋賀

鳥取島根

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1.1

1.2

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

男性の対東京賃金格差

世帯所得の対東京格差

27

Page 28: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

図11: 年齢階級別男性時間あたり賃金の東京格差と世帯所得の東京格差

*2000年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)、2002年就業構造基本調査(総務省統計局)から著者作成。

Yamagata

Tokyo

NiigataToyamaIshikawa

Fukui

ShigaTottoriShimane

.4.6

.81

1.2

.5 .6 .7 .8 .9 1wdiff_tokyo_0

hhidiff_tokyo ln45

Head Age 25-34

Yamagata

Tokyo

NiigataToyamaIshikawa

Fukui Shiga

TottoriShimane

.4.6

.81

1.2

.5 .6 .7 .8 .9 1wdiff_tokyo_0

hhidiff_tokyo ln45

Head Age 35-44

Yamagata

Tokyo

Niigata

ToyamaIshikawaFukuiShiga

TottoriShimane

.4.6

.81

1.2

.5 .6 .7 .8 .9 1wdiff_tokyo_0

hhidiff_tokyo ln45

Head Age 45-54

Yamagata TokyoNiigata

Toyama

Ishikawa

Fukui Shiga

TottoriShimane.4

.6.8

11.

2

.5 .6 .7 .8 .9 1wdiff_tokyo_0

hhidiff_tokyo ln45

Head Age 55-64

Yamagata Tokyo

Niigata

Toyama

Ishikawa

FukuiShiga

Tottori

Shimane

.4.6

.81

1.2

.5 .6 .7 .8 .9 1wdiff_tokyo_0

hhidiff_tokyo ln45

Head Age 65 or over

28

Page 29: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

理論仮説からの予測 代理指標の示すパターンの予測 因果関係

(1)人的資本仮説 MFdiffHP>MFdiffOTHER 女性の高い就業率→

女性の高賃金(2) 代替効果 WD_TokyoHP>WD_TokyoOTHER 女性の高い賃金→

(MFdiffHP>MFdiffOTHER) 女性の高い就業率

(3)家庭内分業 HWdiffHP>HWdiffOTHER MFdiffHP>MFdiffOTHER 妻の相対的高賃金→

妻の高い就業率(4)所得効果 H_earnHP<H_earnOTHER Male_earnHP<Male_earnOTHER 夫の高い所得→

妻の低就業率

MFdiffj j地域における男女間賃金格差(女性の時間あたり賃金/男性の時間あたり賃金)

WD_Tokyoj j地域における対東京賃金格差(j地域の女性の時間あたり賃金/東京都の女性の時間あたり賃金)

HWdiffj j地域における夫婦の賃金格差(j地域に住む夫婦における妻の時間あたり賃金/夫の時間あたり賃金)

H_earnj j地域における夫の収入指標

Male_earnj j地域における男性の収入指標

HP 女性就業率が高い日本海側地域の添字OTHER HP以外の地域の添字

表1: 女性就業率の地域差を経済変数の影響としてどの程度理解可能か?

29

Page 30: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

表2: 実際の就業率と仮想的就業率に関する年齢階級別分散

正規雇用就業率 パートアルバイト雇用就業率

実際の就業率の分散

実際の就業率-仮想的就業率の

分散WLS誤差

実際の就業率の分散

実際の就業率-仮想的就業率

の分散WLS誤差

FTE1j rF1j uF PAE1j rP1j uP

25-29歳 0.0013 0.0016 0.0011 0.0003 0.0002 0.000230-34歳 0.0024 0.0026 0.0019 0.0006 0.0003 0.000335-39歳 0.0022 0.0025 0.0014 0.0017 0.0012 0.001040-44歳 0.0035 0.0039 0.0024 0.0016 0.0016 0.001645-49歳 0.0032 0.0037 0.0025 0.0015 0.0016 0.001350-54歳 0.0022 0.0025 0.0016 0.0013 0.0016 0.001255-59歳 0.0013 0.0014 0.0010 0.0012 0.0014 0.0012

30

Page 31: 女性就業の地域差と地域間 ... - 北海道大学abe/workingP/Abe_Mori_JEA2006.pdf · 北海道大学大学院 経済学研究科 森 邦恵*** 下関市立大学 経済学部

rj の分位 1 2 3 4 5rj の値の範囲 rj <-0.026 -0.026<rj<0.0062 0.0062<rj<0.0037 0.037<rj<0.0081 0.081<rj

山形 0 0 1 0 6新潟 0 0 0 1 6富山 0 0 0 2 5石川 0 0 0 2 5福井 0 0 0 0 7鳥取 0 0 0 0 7島根 0 0 0 1 6埼玉 5 2 0 0 0千葉 7 0 0 0 0東京 2 4 1 0 0

神奈川 7 0 0 0 0愛知 3 4 0 0 0京都 6 1 0 0 0大阪 6 1 0 0 0奈良 7 0 0 0 0高知 0 0 0 1 6沖縄 1 0 5 1 0

rj の分位 1 2 3 4 5rj の値の範囲 rj <-0.044 -0.044<rj<0.0015 0.0015<rj<0.0017 0.017<rj<0.0022 0.022<rj

山形 5 1 0 1 0新潟 3 0 3 0 1富山 3 1 0 3 0石川 4 0 1 0 2福井 4 0 1 1 1鳥取 3 2 1 1 0島根 3 3 0 1 0埼玉 0 0 1 2 4千葉 0 2 1 1 3東京 1 2 2 0 2

神奈川 0 1 1 3 2愛知 0 1 0 2 4京都 0 2 1 3 1大阪 0 1 5 0 1奈良 2 3 2 0 0高知 4 1 2 0 0沖縄 4 1 0 2 0

ddj の分位 1 2 3 4 5ddj の値の範囲 ddj <-0.055 -0.055<ddj<-0.030 -0.030<ddj<-0.008 -0.008<ddj<0.024 0.024<ddj

山形 2 2 1 2 0新潟 4 1 1 1 0富山 3 0 3 1 0石川 2 3 0 0 2福井 4 0 2 1 0鳥取 3 1 0 2 1島根 2 2 1 2 0埼玉 0 0 0 5 2千葉 0 1 0 3 3東京 0 0 1 3 3

神奈川 0 0 0 5 2愛知 3 2 1 1 0京都 0 0 1 1 5大阪 0 0 0 3 4奈良 0 2 3 1 1高知 2 0 1 0 4沖縄 0 1 1 1 4

表3: 年齢階級別正規雇用就業率の残差の分布状況

表4: 年齢階級別パートアルバイト雇用就業率の残差の分布状況

表5: 男女間賃金格差の学歴別予測値からの乖離(ddj)の分布状況

31