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日本の「稼ぐ力」創出研究会 日本の『稼ぐ力』創出のための問題意識 事務局説明資料 平成26425経済産業省 経済産業政策局 資料4

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日本の「稼ぐ力」創出研究会

日本の『稼ぐ力』創出のための問題意識

事務局説明資料

平成26年4月25日経済産業省

経済産業政策局

資料4

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Ⅰ.「稼ぐ力」創出に向けた視座、前提

1

• アベノミクスの効果によって景況感は回復。賃上げも含めて一定の好循環

は実現しつつある。

• 他方、我が国経済はグローバル化と人口減少という内外の構造変化に直面

しており、これらを両にらみしつつ、「より骨太な好循環構造」を実現するた

めの議論が必要ではないか。

• その際、グローバル経済圏とローカル経済圏という競争環境の異なる2つの

経済圏に区分し、「一国二制度」的なアプローチで検討を行うことが必要で

はないか。

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2

• 足下において、マクロ面では成長率の低下や経常収支構造の変化が、また、ミクロ面においては我が国企業の低収益性が指摘されている。

• これらの現象の背景にある問題点を明らかにし、我が国産業が中長期的に高い収益をあげていく体質に転換するための処方箋を明らかにする。

グローバル経済圏 ローカル経済圏

• グローバルな競争下で、我が国産業の収益力(「稼ぐ力」)をいかに高めていくか。

• 人口減少に直面する地域経済の持続可能性をいかに確保していくか。

• グローバル市場での収益を国内に還流する上で、受け皿となる地域経済が健全に機能し、雇用と生活関連サービスが適切に供給されることが必要。

• 一方で、特に地方圏においては、急速な人口減少が進み、地域コミュニティの維持もが懸念されている。

• 地域経済圏の将来見通しを踏まえつつ、その持続可能性を確保するための方策を明らかにする。

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Ⅱ.グローバル経済圏 1.産業競争力の再評価①

3

• アベノミクス効果で業況はおしなべて改善。他方、グローバルな企業選別が進

むなかで、我が国の企業は、グローバルな競合他社と比較して収益力(稼ぐ

力)が依然として低いのではないか。

<東証1部上場企業>(製造業)

<東証1部上場企業>(非製造業)

<S&P1200>(海外企業)

利益率と売上高(2012年度)

(資料)ブルームバーグより作成。(参考)金融・保険及び直近のデータ取得不可能なものを除外。

営業利益は、ブルームバーグの定義によるEBIT(Earnings Before Interest and Taxes)。(純売上高)+(その他営業収益(米国を除く))-(売上原価)-(一般販売管理費)S&P1200は、世界の資本市場の約70%を補足。ここでは、S&P500(米国)、S&PTOPIX150(日本)、S&P/TSX60(カナダ)、S&P/ASX50(豪州)、S&Pアジア50、S&P中南米40、計1200社の内、日本の150社を除外。

売上高営業

利益率(%)

売上高(億円)

売上高営業

利益率(%)

売上高(億円) 売上高(億円)

売上高営業

利益率(%)

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‐20%

‐10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

10 100 1,000 10,000 100,000

売上高営業利益率

売上高(億円)

4

• 我が国企業は規模も収益も世界のトップ企業に見劣り。

(出所)Bloombergより作成(2010年度~2012年度3年度平均)

①電機 ②化学

④製薬・バイオ③流通・小売

‐5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

10 100 1,000 10,000 100,000

売上高営業利益率

売上高(億円)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

10 100 1,000 10,000 100,000

売上高営業利益率

売上高(億円)

‐10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

10 100 1,000 10,000 100,000

売上高営業利益率

売上高(億円)

東証一部上場企業

S&P1200構成企業(日本企業を除く)

S&P1200構成企業(日本企業を除く)

東証一部上場企業

東証一部上場企業

S&P1200構成企業(日本企業を除く)

S&P1200構成企業(日本企業を除く)

東証一部上場企業

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Ⅱ.グローバル経済圏 1.産業競争力の再評価②

5

• この背景には、我が国企業が、高度成長期以来の行動様式、すなわち売上高

や市場シェアの量的拡大を追求する従来のビジネスモデルからバブル崩壊後

も転換できなかったことがあるのではないか。

• 量的拡大を重視し、多様化する顧客への価値の提供を怠った結果、差別化、

ブランド、価格決定力など経営の「質」が低下し、それに主としてコスト抑制で

対応したため、長期的には効果的な研究開発、人材や設備への投資、積極的

なM&Aにも取り組めないという事態を招いたのではないか。

• このために、有利子負債の削減で財務的には安定したものの、稼ぐ力は低い

ままで、積極的な投資の焦点が定まらないという結果を招いているのではない

か。

• グローバルにプレーヤーの数が絞り込まれる中で、このままではグローバル

経済圏の企業としての存続が危うくなりかねないのではないか。

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0

20

40

60

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100

120

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160

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5%

10%

15%

20%

25%

30%

1964

1967

1970

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1979

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1985

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1991

1994

1997

2000

2003

2006

2009

2012

兆円

6

• 製造業の売上高付加価値率は近年低下傾向。この中で、売上高営業利益率が低下。• 人件費率は維持されてきたが、2000年以降、付加価値率の低下とともに低下傾向。

• 非製造業については、付加価値額が伸び悩む中で営業利益率は一貫して低水準(3%程度)で推移。また、業の特性として、人件費率が高い。

製造業(5年移動平均)

(出所)法人企業統計

非製造業(5年移動平均)

0

20

40

60

80

100

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30%

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1973

1976

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1982

1985

1988

1991

1994

1997

2000

2003

2006

2009

2012

兆円

売上高人件費率(左軸)

売上高減価償却費率

売上高営業利益率

売上高付加価値率(左軸)

付加価値額総額(右軸)

売上高人件費率

売上高付加価値率

付加価値額総額

(左軸)

(左軸) 売上高

売上高

減価償却費率

営業利益率

= + +売上高付加価値率 売上高営業利益率 売上高減価償却費率 売上高人件費率

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Ⅱ.グローバル経済圏 2.ミクロの企業行動とマクロ経済との符合

7

• これらのミクロの現象は、日本経済全体として、例えばドイツと比較した場合、

輸入価格の上昇に対応した輸出価格の引き上げが出来ず、交易条件が悪化

している現象などにも現れているのではないか。

• 企業の利益率の低下が、人件費の抑制や研究開発、ブランド、設備等の面で

質の高い投資の抑制につながり、こうしたミクロの企業行動の転換の遅れが、

マクロ的な経済成長の鈍化の要因になっているのではないか。

• IT投資と生産性との関係についても、IT投資の量よりも背後にある経営の質

が本質であり、また、サービス産業の生産性の低さは、新陳代謝の問題であ

るとの指摘がある。ミクロの経営課題の解決とマクロの生産性向上は密接に

関連しているのではないか。

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(資料)各国統計局

交易条件の各国比較 日本の交易条件の推移

(資料)日本銀行「企業物価指数」

8

• 我が国においては、輸入価格を輸出価格でカバーできず、交易損失が発生。

40

50

60

70

80

90

100

110

120

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

(2000=100)

日本

韓国

フランス

英国ドイツ

米国

交易条件 =輸出物価

輸入物価

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• 我が国の成長率は低下傾向。

• 三要素(資本投入、労働投入、全要素生産性(TFP))ともに低水準。

9(出所)「JIPデータベース2013」(RIETI) ※各年の寄与度の平均値。※政府、非営利部門を除く。

実質成長率の要因分解

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10

(出所)深尾京司「『失われた20年』と日本経済」※内部効果は、既存工場内での生産性上昇による効果。

新陳代謝効果は、生産性の高い工場がシェアを拡大することによる効果(再配分効果)と、 生産性の高い工場が参入することによる効果(参入・退出効果)の合計。

TFP上昇への新陳代謝効果の国際比較(製造業)(%)

参入・退出のTFP上昇への寄与度(日本、2001-10年)

(%)

• TFP向上の鍵は、諸外国の例から見ても活発な新陳代謝。

• 我が国では、製造業、サービス業ともに参入・退出効果が低く、新陳代謝の遅れがTFPの低迷を招いている状況。

(出所)森川 正之「サービス産業の生産性分析」

‐0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

1990

‐98

1977

‐87

1977

‐82

1982

‐87

1987

‐92

1980

‐92

1982

‐87

1981

‐90

1990

‐200

0

韓国 米国 英国 日本

内部効果

再配分効果

参入・退出効果

‐0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

内部効果

再配分効果

参入・退出効果

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Ⅱ.グローバル経済圏 3.稼ぐ力低迷の要因分析①

11

• グローバルな競争において「稼ぐ力」を高めるためには、グローバルな競合先

とのベンチマーキングを徹底する必要があるのではないか。

• 日本企業は、知財やブランド、消費データ、顧客ネットワークの価値の高まりな

ど、「稼ぐ」パターンの大きな変化についていけなかったのではないか。

• また、そのパターンに到達する道程を視野に入れた上で、大胆な事業の取捨

選択や適切な資本への投資が進められなかったのではないか。

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12

• グローバルトップのBASF社(独)は、過去10年、基礎化学品事業を集約し、積極的に「選択と集中」を実施。もともと高かった利益率は更に向上。大規模買収に伴い有利子負債は増えたが、市場は高く評価。

• 日本の総合化学は、その間、売上高は増えたが、収益率は改善せず、むしろ減少。• その結果、市場の評価する無形資産価値(トービンQ値)は、日独で逆転。

 1.6

 1.4

 1.2

 1.0

 0.8

 0.6

 0.4

 0.2

0.0

0.5 1.0

純有利子

負債額

日本A社2010~12年平均

日本C社2010~12年平均

トービンq(市場の評価する無形資産価値の指数)

BASF(独)2010~12年平均

(兆円)

BASF(独)2001~03年平均

15.0%

ROA18.7%

日本B社2001~03年平均

BASF社の行った「選択と集中」買収: 農薬事業、機能製品等売却: 医薬品、PP・PE事業集約: 基礎化学品(エチレン等)

日本B社2010~12年平均

純有利子負債=有利子負債-(現金・預金+流動資産中の有価証券) バブルの大きさ:売上高 数字はROA(%)トービンq=(株式時価総額+有利子負債)/総資産※Bloombergよりデータ取得。

日本A社2001~03年平均

逆転

6.0%

9.2%

8.7% 9.9%

8.0%

企業価値 < 総資産額 企業価値 > 総資産額

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13(資料)各社財務資料より野村総合研究所作成(一部経済産業省にて編集)

日本重電2社営業利益額

(売上高)

営業利益額シーメンス

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

1 101

(M EURO)

Industry

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000(M EURO)

エネルギー

産業用機械

通信情報 輸送

ヘルスケア

半導体

金融

エネルギー産業用機械

ヘルスケア

金融

売上高 602億ユーロ

売上高 735億ユーロ 売上高 15.8兆円

売上高 16.8兆円

電子材料

電子デバイス

家電デジタルプロダクツ

社会インフラ 情報・通信システム

その他産業システム 金融保険

サービス

電子材料

電子デバイス

家電

デジタルプロダクツ

社会インフラ 情報・通信システム

その他産業システム 金融保険

サービス

0

1,500

3,000

4,500

6,000

7,500

-1,500

(億円)

0

1,500

3,000

4,500

6,000

7,500

-1,500

(億円)

(売上高)

(売上高)

• 10年前と比べて8つの事業部門から主に4つの事業部門に選択と集中。

• これにより売上・収益が大きく伸びる。

• 10年前と比べて事業部門のポートフォリオがあまり変わっていない。

• 売上・利益率に大きな変化なし。

(売上高)

-1,000

-1,000

1998年度

2011年度

2000年度

2011年度

切り出し・売却等

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14

• 技術のみならず、デザインやブランド価値の創出、ユーザー・インターフェースの在り方等に付加価値の源泉が存在。

(出所)研究開発費・広告宣伝費:Bloombergよりデータ取得ブランド価値:Interbrand「Best Global Brands 2012」

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Ⅱ.グローバル経済圏 3.稼ぐ力低迷の要因分析②

15

• こうした稼ぐパターンを含めた企業の長期的な収益力の確保と、そのための

対応策について、事業会社と資金の出し手との間で対話を行い、認識を一致

させる必要があるが、そのためには、統合報告等も念頭に置いた情報開示の

積極的な活用が必要ではないか。

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商品

サービス市場

顧客

経営戦略

ビジネスモデル

ガバナンス

経営資本の配分組替え組合せ

・事業選択・M&A等

金融資本

中長期的な企業価値創造

企業の価値創造力

経営力の強化(組織力、ガバナンス)

経営資本への戦略投資

差別化による顧客創造

人的資本

製造資本

知的資本

社会・関係資本

自然資本

資金供給者

非財務情報

・経営戦略・リスク情報・ガバナンス・環境・社会情報・将来見通し

統合報告等

財務情報

・損益計算書・バランスシート・キャッシュフロー

情報開示評価

金融資本市場

金融危機の反省から、企業が投資家等のステークホルダーに対して、狭義の財務情報のみならず、経営戦略やガバナンス、将来見通し等、中長期的視点での企業価値向上に向けた仕組み・取り組みを報告する「統合報告」への関心が高まっており、IIRC等の国際的な枠組みづくりが進められている。

国際統合報告(International Integrated Reporting Council)枠組みを基に作成

経営資本の有効活用

統合

16

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Ⅱ.グローバル経済圏 4.新陳代謝・イノベーションの問題

17

• ベンチャーの活用が不十分なことが、日本経済全体としての稼ぐ力の停滞に

つながっているのではないか。

• ベンチャー振興策をベンチャーに閉じた施策として議論するのではなく、日本

経済全体として新陳代謝を促すという、より広い視点からの議論が必要ではな

いか。

• ベンチャーと大企業全体も含めたエコシステムの創出とオープンイノベーショ

ンを実現し、新陳代謝を促すことが必要ではないか。その際には、大企業から

のスピンオフ・カーブアウトや、ベンチャーの大企業によるM&A等も必要なの

ではないか。

• 新たなイノベーションにおいて「開発スピード」の観点から、ベンチャーと大企

業の役割分担や橋渡しを可能とするような、官民含めたイノベーションシステ

ムの再構築も必要ではないか。

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18

<企業数>

1980年以降の設立企業

約1/3

約1/8

世界トップ2000社(Forbes Global 2000)の内、1980年以降に設立された企業(金融を除く)の比較

(資料)Forbes Global 2000 2013 のデータより作成。(備考) Forbes 2000の該当企業(米国543社、日本251社)から、銀行、保険業、投資サービス等

(Forbes の分類の内、Major Banks, Regional Banks, Diversified Insurance, Life & Health Insurance, Property & Casualty Insurance, Investment Service, Thrifts & Mortgage Finance)を除いた。時価総額は、Forbes 2013のデータ(2013年5月時点)。

• 世界トップ2,000社の内、金融を除くと、米国は466社がランクイン、内154社はベンチャー企業。日本は181社中わずか24社。

• 米国では、民間雇用の約1割が、ベンチャー企業による雇用。

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Ⅱ.グローバル経済圏 5.産業金融とガバナンスの一体的改革①

19

• ガバナンスの向上を、社外取締役の実質的な活用促進等の議論にとどめず、

企業経営に対し大きな役割を果たす産業金融システム全体を視野に入れた

議論が必要ではないか。

• 我が国のこれまでの産業金融は、低いコストで企業に資金を供給し、各企業

の規模拡大を促してきた。これが国内雇用につながってきた面はあるものの、

リスクマネーの供給が滞り、企業経営の質への転換を遅らせ、資金供給先企

業の成長への取組みを遅らせるという結果を招いている点で、これまでの手

法を継続することは限界に来ているのではないか。

• 間接金融については、足下の財務状況だけを見て「貸せる先」と「貸せない先」

を峻別してきたことが、我が国金融機関の、中長期的な収益性に基づく目利き

能力の低下、リスクマネーの供給不足、経営層へのガバナンス機能の低下を

招いているのではないか。

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(出所)日本銀行「2012年度銀行決算の概要」

各国・地域の不良債権比率不良債権残高・比率

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 130

10

20

30

40

50

60

70

80

90

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

正常先の残高推移 要注意先の残高推移

地域銀行

主要行地域銀行

主要行

(兆円) (兆円)

年度 年度(出所)金融庁「自己査定による債務者区分の推移」より作成

貸出利鞘(国内業務部門)

(注)大手行のみ (資料)日本銀行

• 不良債権比率は大きく低下。国際的にも低水準。

• 同時に、「貸せる先」と「貸せない先」の峻別が進展。貸出利鞘は低水準。

20

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Ⅱ.グローバル経済圏 5.産業金融とガバナンスの一体的改革②

• 直接金融については、アセットオーナーが安全運用を優先し、アセットマネー

ジャー間の競争も低調で、戦略性の乏しいパッシブ運用が中心となっている

のではないか。その結果として、金融資本の効率的配置とリターン 大化に

つながらず、中長期的な目線でのガバナンス機能も十分発揮できていないの

ではないか。

• 中長期的な目線でのガバナンス機能を発揮する前提として、企業と投資家の

対話・企業情報開示のあり方が全体として 適なものか、国際的な動向やコ

スト・ベネフィットも踏まえながら、金商法・会社法・取引所規則など、制度横断

的な検討を行うべきではないか。

• 新陳代謝を支えるベースとなる資金は、国内の資金の出し手が提供すること

が望まれるが、家計貯蓄残高と国債残高が接近しつつあるなかで、早期に、

リターンを 大化する年金改革や、事業の成長性に基づく間接金融への改革

など、産業金融改革を図るべきではないか。

21

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22

出典:日本銀行「資金循環統計」(2012年9月20日公表値)年金積立金管理運用独立行政法人ホームページ

538兆円

126兆円295兆円

(うち株式225兆円)

55兆円

105兆円

79兆円

431兆円

家計市場

株式・社債・投資信託等

企業

銀行

政府(国債等)

年金・保険

PE・VC

海外

海外での事業・収益

• 我が国の資金循環構造は、依然として銀行経由の間接金融に偏重。• 緩和的な金融環境の中、企業の収益性向上への規律付けは限定的。

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Ⅱ.グローバル経済圏 6.制度上検討すべき課題

23

• 新陳代謝を活性化するため、個々の企業の行動に対する働きかけだけでは

解決できない制度上検討すべき課題もあるのではないか。例えば、

・ 早期事業再生着手のための環境整備(債権債務の調整、コンビナートを

通じた取引関係の調整等)

・ サプライチェーン改革(流通における製造・販売双方の協調の強化、消費

データの共有・活用、流通・取引慣行ガイドラインの見直し等)

・ エネルギーコストの低減

・ 法人実効税率の引下げ

・ 雇用・人材の問題(女性の活躍、外国人材の活用)

・ 対内直接投資の促進(グローバルな事業ポートフォリオの見直し等)

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24

0

5

10

15

20

25

30

35

日本33%

カナダ13%

仏23%

独15%

印19%

マレーシア

16%スウェー

デン

10%

台湾17%

英17%

米19%

(%)

豪州20%

(出所)”CROSS-COUNTRY COMPARISONS OF CORPORATE INCOME TAXES”(K.Markle, D.Shackelford,2011年(NBERワーキングペーパー)

82か国に所在する11,602社の公表財務データ(S&P Compustatより採取)を基に、2005年~2009年の5年間、赤字企業を除き、当期法人所得税額

(Current Tax:我が国では「法人税・住民税・事業税」に対応)を、税引前純利益(Net Income Before Income Taxes)で除し、税負担率を推計したもの

(国毎の産業構造の偏り等を調整)。

(注)日本の法人実効税率は2012年度に約2.4%引き下げられているが、本推計はそれ以前の税率に基づく。

企業の財務諸表(2005-2009)から推計した各国の実質法人課税負担率

<管理的職業従事者>1.労働力調査(基本集計)(平成24年)(総務省)、データブック国際労働比較2012((独))労働政策研究・研修機構)より作成。2.日本は2012年、オーストラリアは2008年、その他の国は2010年のデータ。3.「管理的職業従事者」とは、会社役員、企業の課長相当職以上、管理的公務員等をいう。また、管理的職業従事者の定義は国によって異なる。4.総務省「労働力調査」では、平成24年1月結果から、算出の基礎となる人口が24年国勢調査の確定人口に基づく推計人口(新基準)に切り替え

られている。<役員>米国の国際非営利団体「国際女性経営幹部協会」(CWDI)『CWDI/IFC 2010 Report:Accelerating Board Diversity』2010年に基づき、作成。(参考)2014年版「役員四季報」によれば、全上場企業における女性役員(取締役、監査役、執行役)は、1.8%

0

10

20

30

40

50(%)

管理職・役員に占める女性比率の国際比較

管理的職業従事者 役員

外部招聘度合

外国人度合(本社所在地と異なる国籍を持つCEOの割合)

海外経験度合(海外勤務経験が有るCEOの割合)

社外経験度合(他企業での経験の有る

CEOの割合)

全権委任度合(前CEOが会長として留任しない割合)

CEO着任時平均年齢

(若い程外側)

60歳

56歳54歳

52歳50歳

58歳 0

40

60

80

100

20

(出所)ブーズ・アンド・カンパニー「2012年世界の上場企業上位2,500社に対するCEO承継調査結果」(2013.4.17)より編集

注: も比率の高い国・地域を100として指数化(平均年齢を除く)

企業組織のオープンネス

米国・カナダ

西欧日本

中国

(出所)<FDI(簿価)>日:財務省 「対外資産負債残高統計」英・独・韓・星:IMF 「International Financial Statistics Yearbook 2013」米:Bureau of Economic Analysis 「Surbey Of Current Business」仏:Banque of France 「The French of Balance Of Payments And International Investment Position」

<GDP、レート>IMF 「International Financial Statistics Yearbook 2013」【※】「EU域外からの対内直接投資/GDP」は全て2011年末実績

3.8 

16.9 

54.3 

24.8 

37.4 

12.4 

262.3 

26.4 

6.0  7.4 

0

20

40

60

80

100

対内直接投資GDP比率の国際比較

対内直接投資残高/GDP

EU域外からの対内直接投資残高/GDP

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Ⅱ.グローバル経済圏 7.「稼ぎ」の均てん(GNI目標への転換)

25

• 「稼ぐ機会」が海外にシフトしている中、日本経済の真の実力を計るため、国内での生産(=GDP)だけでなく、海外での収益を含めた指標(GNI)に注目することが必要ではないか。

• 企業の海外で得た収益を広く国民に均てんするためには、配当やロイヤリティ等の形で得た収益を国内に還流させることが必要であるが、そのためには、①海外資金を国内で投資することが有意義な環境を整備(税制、研究開発環境など)するとともに、②「海外での再投資⇒企業価値上昇⇒株主たる日本国民への還流」というルートを機能させる必要があるのではないか。

• 我が国の家計所得における財産所得の割合は、英米と比較して半分未満にとどまっているが、企業部門の収益力の向上を家計部門につなげるためには、これを改善する必要があるのではないか。

海外からの所得の純受取

(18.6兆円)

実質GDP(525.5兆円)

実質GNI(523.4兆円)

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」 (備考)計数は2013年暦年ベース

= + +

実質GDPと実質GNIの概念

実質GDP(525.5兆円)

実質GNI(523.4兆円)

海外からの所得の純受取(18.6兆円)

交易利得(損失)(▲20.7兆円)

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」

実質GNIの推移(前年比)

交易利得(損失)(▲20.7兆円)

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• 国内で生産し、海外に輸出する場合、企業収益は雇用者報酬として国内に還流。

• 海外に投資し、現地で売り上げを得る場合、企業収益が海外で循環し、国内に還流されない恐れ。

26

(資料)「国際収支統計」

「日本に戻した額」(配当金・配分済支店収益):直接投資家と直接投資企業の間で受払された利益配当金、および支店の収益のうち本社に送金されたもの。「現地法人の内部留保」(再投資収益):直接投資企業が稼得した営業利益のうち、投資家に配分されずに内部留保として積み立てられたもの。「日本に戻した比率」:「(配当金・配分済支店収益)/(配当金・配分済支店収益+再投資収益)」

• 我が国企業による、海外で稼いだ利益の国内への還元は2000年代を通じて増加。

• 足元では、円安等の国内の事業環境の好転を契機に、海外子会社の余裕資金の国内還流が加速。

日本企業が海外で稼いだ利益の国内還流額・日本に戻した比率 ルート① 配当のルート

配当やロイヤリティ等で収益を国内に還流させるため、海外資金を国内で投資することが有意義な環境を整備(税制、研究開発環境など)が必要ではないか。

ルート② 海外再投資のルート

「海外での再投資⇒企業価値上昇⇒株主たる日本国民への還流」というルートを機能させる必要があるのではないか。

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Ⅲ.ローカル経済圏 1.地域経済の将来像①

27

• 人口減少が急激に進むなか、地域経済の将来像について、自治体、住民、企

業等が自ら客観的かつ横断的に分析する枠組みを提供すべきではないか。

分析を踏まえ、地域の将来ビジョンを検討し、地域の特性に応じて、持続可能

性を確保するための課題を明確化することが必要ではないか。

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28

(万人)

500100 40 20 10 0

• 地域の経済は、単独の市町村の中で完結しておらず、例えば、中心市に周辺市町村の住民が通勤するなど、複数の隣接する市町村が一体となって、一つの「経済圏」を構成している。

• 今回の分析では、分析単位として、全国243ブロックからなる「都市雇用圏」(2002 金本良嗣)の考え方を採用。• 「経済圏」は、全国243箇所。この「経済圏」は、全体で、総人口の94.9%(2010年の「国勢調査」ベース)、就業者数の

95.6%(同)、名目GDPの96.7%(2012年「経済センサス」ベース)、全市町村の72.9%(1,260/1,728(2010年))をカバー。

<全国の経済圏>

注:都道府県を越えた経済圏も存在するため、都道府県名と経済圏は、完全に対応しない場合もある。人口推計が示されていない福島県の6経済圏は、試算を行っていない。

地域 経済圏

北海道札幌、函館、旭川、室蘭、釧路、帯広、北見、岩見沢、網走、留萌、苫小牧、稚内、美唄、紋別、士別、名寄、根室、千歳、滝川、深川、富良野、倶知安、岩内、美幌、遠軽、新日高、中標津(27経済圏)

東北

<青森>青森、弘前、八戸、五所川原、十和田、三沢、むつ<岩手>盛岡、宮古、北上、一関、釜石、奥州<宮城>仙台、石巻、気仙沼、白石、大崎<秋田>秋田、能代、横手、大館、湯沢、由利本荘、大仙<山形>山形、米沢、鶴岡、酒田、新庄、長井<福島>福島、会津若松、郡山、いわき、白河、南相馬(37経済圏)

北関東

<茨城>水戸、日立、古河、常総、つくば、筑西、神栖<栃木>宇都宮、栃木、佐野、小山、那須塩原<群馬>前橋、桐生、太田、沼田、館林<埼玉>秩父、本庄(19経済圏)

南関東<千葉>館山、成田<神奈川>小田原<山梨>甲府、富士吉田(5経済圏)

東京 東京特別区(1経済圏)

北陸信越

<新潟>新潟、長岡、三条、柏崎、十日町、村上、燕、糸魚川、上越<富山>富山、高岡、魚津<石川>金沢、七尾、小松、輪島<福井>福井、敦賀、小浜<長野>長野、松本、上田、岡谷、飯田、諏訪、伊那、佐久(27経済圏)

東海

<岐阜>岐阜、大垣、高山、関<静岡>静岡、浜松、沼津、熱海、伊藤、島田、富士、掛川、御殿場<愛知>名古屋、豊橋、岡崎、半田、碧南、刈谷、豊田、安城、西尾、蒲郡<三重>津、四日市、伊勢、尾鷲、伊賀(28経済圏)

近畿

<滋賀>彦根、長浜、近江八幡、守山、甲賀、野洲、東近江<京都>京都、福知山、舞鶴<大阪>大阪<兵庫>神戸、姫路、洲本、富岡、赤穂、西脇、小野<奈良>五條<和歌山>和歌山、田辺、新宮(22経済圏)

中国

<鳥取>鳥取、米子、倉吉<島根>松江、浜田、出雲、益田<岡山>岡山、津山<広島>広島、呉、三原、尾道、福山、三次、東広島<山口>下関、宇部、山口、萩、岩国、周南(22経済圏)

四国

<徳島>徳島<香川>高松、観音寺<愛媛>松山、今治、宇和島、八幡、新居浜、西条、四国中央<高知>高知、四万十(12経済圏)

九州

<福岡>北九州、福岡、大牟田、久留米、飯塚、田川、柳川<佐賀>佐賀、唐津、鳥栖、伊万里<長崎>長崎、佐世保、島原、五島<熊本>熊本、八代、人吉、水俣、玉名、山鹿、天草<大分>大分、中津、日田、佐伯<宮崎>宮崎、都城、延岡、日南、日向<鹿児島>鹿児島、鹿屋、枕崎、薩摩川内、霧島、奄美<沖縄>那覇、石垣、名護、沖縄、宮古島、読谷(43経済圏)

3大都市圏(500万人以上)

3ヵ所

500万人‐100万人 14ヵ所

100万人‐40万人 35ヵ所

40万人‐20万人 40ヵ所

20万人‐10万人 66ヵ所

10万人未満 85ヵ所

合計 243ヵ所

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Ⅲ.ローカル経済圏 1.地域経済の将来像②

29

• 地域経済は、海外を含め域外の需要を取り込み、地域経済を牽引する製造

業、農業、観光業などの「域外市場産業」と、卸売・小売、生活関連サービス、

医療・福祉など域内の需要に依存する「域内市場産業」からなっており、それ

ぞれに対応した施策の検討が必要ではないか。

• 「域内市場産業」は、総じて、当該経済圏の人口・需要の変化の影響を直接受けやすく、医療・福祉を除き、人口減少に伴う規模の縮小が懸念される。

• 「域外市場産業」は、海外を含め、経済圏外からの需要を取り込むことができることから、総じて、当該経済圏の人口・需要の変化の影響を受けにくい。

域内市場産業 域外市場産業

卸売・小売 農林漁業

生活関連サービス 製造業

建設業 宿泊・飲食(≒観光)

金融・不動産 電気・ガス

教育・学習

医療・福祉

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「域内市場産業」は、当該経済圏の人口・需要の減少に伴い、総じて、マイナス成長となる。 「域内市場産業」のうち「医療・福祉」は、経済圏の規模のいかんを問わず、プラス成長となる。

「域外市場産業」は、生産性の向上が図られ、当該経済圏外からの需要を取り込めば、経済圏の規模のいかんを問わず、プラス成長となる。

30

<実質成長率(2012-2030年)の平均年率 >

注:いずれも、経済圏毎の実質成長率(平均年率)の単純平均。「域内」には、医療・福祉は含まれない。

出所:総務省「国勢調査」(2010年)、経済産業省・総務省「経済センサス 活動調査」(2012年)、総務省「就業構造基本調査」、RIETI「都道府県別産業生産性データベース」及びJILPT「労働力需給の推計」(2013年度)から推計。

-3%

-2%

-1%

0%

1%

2%

3%

4%

5%三大 500-100 100-40 40-20 20-10 10未満

パターン① パターン②

-3%

-2%

-1%

0%

1%

2%

3%

4%

5%三大 500-100 100-40 40-20 20-10 10未満

パターン① パターン②

-3%

-2%

-1%

0%

1%

2%

3%

4%

5%三大 500-100 100-40 40-20 20-10 10未満

パターン① パターン②

域内市場産業 域外市場産業医療・福祉

(万人) (万人)

試算は暫定値。今後変更の可能性あり。

■ パターン① 人口減少に伴う就業者の変化を勘案(生産性は据え置き) ■ パターン② 人口減少に伴う就業者の変化及び生産性の変化を勘案

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Ⅲ.ローカル経済圏 2.域外市場産業

31

<製造業>• 地域の製造業が、競争力を高め、海外を含め、域外から「稼ぐ」ための環境整備

が必要ではないか。例えば、ドイツにならい、素材・部品等の中間財を担う中堅企業が、地方に分散しながらグローバルニッチトップとして活躍できるよう、研究開発や実用化、人材育成などに対し、支援策を講じていくべきではないか。

<農業>• 日本の農業は、高い潜在力を有するものの、現状では、就業者の減少や低い生

産性など問題を抱え、海外需要の取り込みも必ずしも十分ではない。今後、企業等の参入や生産性向上を図るとともに、ブランド化や販路の開拓等の支援策を講じていくべきではないか。

<観光>• 人口減少により国内需要の大幅な増加は期待できず、現状のままでは潜在力が

十分に発揮できない。観光資源の発掘、高付加価値化、人材育成を進めるとともに、今後、所得水準の上昇が見込まれるアジアを中心に、外国人観光客の呼び込みを強力に進めていくべきではないか。

<地域金融機関>• 金融面では、地域金融機関を中心に、企業に対する目利き力を高め、それぞれ

の地域の域外市場産業になりうる事業を発掘・育成するため、中長期的な視点から、エクイティー性資金等を提供すべきではないか。同時に、海外市場を含む域外市場で稼ぐ企業を金融面で後押しする役割を担うべきではないか。

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(注) 図に分布する中堅企業は、”Hidden Champion”を指している。”Hidden Champion” とは、①特定の分野で世界トップ3又は大陸欧州で1位、②売上高が50億ユーロ未満、③一般的にあまり知られていない、という条件を満たすドイツ中堅企業。

出所: Hermann Simon(2012) Hidden Champions - Aufbruch nach Globalia

フラウンホーファー研究所 1949年設立 研究所数66 職員22,000人 MittelstandのR&D機能の一部を補完 ⇒ Mittelstandは、

R&D機能をフル装備する必要がない。 約1/3は、民間企業からの受託収入。残りは、公的機関の支

援と自己資金。 日本の場合、公設試験研究機関合計で職員約4,000人。

シュタインバイス 19世紀後半に、州の公益財団としてスタート。 1971年に、NPO法人として再スタート。現在は、グローバル

に展開。

大学の研究開発の実用化、産学連携をサポート ⇒ 域内のMittelstandとの連携に力。

年間売上げ:1.41億ユーロ 職員1,572人 752人の大学教授を「センター」として組織化。 日本の場合、各大学の産学連携本部やTLOが「自前主義」

で実施。

中堅企業の能力を補完する仕掛け

ドイツ中堅企業(Mittelstand)は、ドイツ国内に広く分布。これは、グローバル化と地方分散を両立させ、二極化を防ぐモデル。

中堅企業の研究開発機能を補完するため、フラウンホーファー研究所などの機関がサポート。

32

ドイツの中堅企業の分布

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Ⅲ.ローカル経済圏 3.域内市場産業

33

<医療・介護>

• 地方圏においては、医療・介護分野などの「非市場経済セクター」を含む「域内

市場産業」の比率が特に高い。医療・介護は、地域の経済・雇用を支える重要

な産業となる一方で、サービスを効率的に提供していく必要があり、効率性と質

の維持を両立させるガバナンスの強化や、法人形態や領域を異にする法人の

統合・再編、大規模化(例:非営利ホールディングカンパニーなどの検討)が必

要となるのではないか。

• 予防ビジネスなど、医療・介護に関連する民間サービスの参入を促進するととも

に、公的分野を含め、必要な人材の育成・確保策を検討すべきではないか。

<小売・個人向けサービス>

• 域内の人口・需要減少の影響を受ける小売、個人向けサービス等の産業は、

高齢者向け宅配サービスへの進出など、ビジネスモデルを見直し、新たな活路

を見出すべきではないか。

<地域金融機関>

• 金融面では、地域金融機関が、域内市場産業やコミュニティの維持・安定に、主

体的な役割を担うとともに、域内経済の規模縮小を視野に入れ、自身が、将来

のビジネスモデルや他の地域金融機関との連携等を検討すべきではないか。

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経済圏の規模のいかんを問わず、実質GDPに占める「医療・福祉」のシェアは拡大。 2030年に向け、マイナス成長となる経済圏では、「医療・福祉」のシェアの拡大幅が大きい。成長力が

小さい経済圏では、「医療・福祉」産業の重要度が高まることを示唆。

34

<実質GDPに占める「医療・福祉」のシェアの変化幅(2012-2030)>

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

10.0%

合計 プラス成長の経済圏 マイナス成長の経済圏

中規模 小規模

合計 プラス成長の経済圏 マイナス成長の経済圏

2012年 2030年 変化幅 2012年 2030年 変化幅 2012年 2030年 変化幅

中規模(75) 9.7% 13.4% +3.7% 9.5% 12.7% +3.2% 12.4% 21.0% +8.6%

小規模(151) 10.1% 14.4% +4.3% 9.6% 12.8% +3.2% 11.2% 18.0% +6.8%

注:「中規模」とは、100万人-20万人の人口(2010年)の経済圏、「小規模」とは、20万人未満の人口(2010年)の経済圏。

出所:総務省「国勢調査」(2010年)、総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」(2012年)、総務省「就業構造基本調査」、RIETI「都道府県別産業生産性データベース」及びJILPT「労働力需給の推計」(2013年度)から推計。

試算は暫定値。今後変更の可能性あり。

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Ⅲ.ローカル経済圏 4.地域経済の持続可能性を支えるインフラ・環境の整備

35

• 域内の人口減少に対応し、コンパクト・シティの形成、中心市街地の活性化等

の魅力ある街づくりを進め、コミュニティの維持・安定を図るべきではないか。

• 意欲ある自治体の取組を促進する仕組み、国と地方自治体の関係、地方自

治体間の連携の在り方などについても、併せて検討する必要があるのではな

いか。

• 相対的に子育て環境に優れる地方圏において、若年層の雇用機会を確保し、

もって、出生率の改善につなげることも考慮すべきではないか。

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出所:総務省「市町村別決算状況調」(2010年)、総務省「国勢調査」(2010年)より作成。

• 人口減少は、地方財政にも影響を与える。

• 一人当たりの財政支出は、人口密度、高齢化率等との相関が高く、小規模な自治体では、財政が厳しくなる可能性。

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

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8.5

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9.5

10.0

0 2 4 6 8 10 12

人口密度(人/㎢・対数表示)

1人

当た

りの

財政

支出

(対

数表

示)

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

8.0

8.5

9.0

9.5

10.0

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

65歳以上人口比率(対数表示)

1人

当た

りの

財政

支出

(対

数表

示)

一人当たりの財政支出と人口密度の関係 一人当たりの財政支出と高齢化率の関係

36