化学工学iii - oukahp3 ページ!18 直径d=10.0...

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1 講義時間:火曜4限/木曜2場所 :C-2A/C-3C 担当 :山村 化学工学III

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Page 1: 化学工学III - oukahp3 ページ!18 直径d=10.0 mmの気泡が液体アセトン中を上昇している。気泡の外側(液相側)およ び内側(ガス相側)にはそれぞれ濃度境界層が存在しており、ガス中の有害成分Aが

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講義時間:火曜4限/木曜2限場所 :C-2A/C-3C

担当 :山村

化学工学III

Page 2: 化学工学III - oukahp3 ページ!18 直径d=10.0 mmの気泡が液体アセトン中を上昇している。気泡の外側(液相側)およ び内側(ガス相側)にはそれぞれ濃度境界層が存在しており、ガス中の有害成分Aが

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総括物質移動係数(1)

液滴

液滴内部の循環流

ガス相の濃度境界層液相の濃度境界層

モル流束JA

気体

教科書p.125

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yA1 (>yA)

ガス相の物質移動係数: kc、gasモル流束JAy

air

xA1

ガス相のモル分率yA,

液相の物質移動係数kc,液

物質移動係数の定義からモル流束は

ガス相 JAy≡kc,gas (CA1- CA)=kc,gasCtG (yA1- yA)=ky(yA1- yA)

ただしky=kcgCtG

液相 JAx≡kc,液CtL (xA- xA1)= kx(xA- xA1)

液滴内のモル流束JAx

総括物質移動係数(2) -記号の定義-

液滴内のモル分率xA(>xA1)

液滴

(全モル濃度)

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定常状態ならモル流束JAX、 JAyは互いに等しいから

JAy= JAx (=JA)

従って各相の濃度差は

yA1- yA = JA / ky

xA- xA1=JA / kx

総括物質移動係数(3) -導出-

平衡状態なら界面濃度xA1とyA1にはある“平衡関係”が成り立つはず

簡単のためHenry則が成り立つと仮定すれば平衡関係はyA1=mxA1 液相のモル濃度xA1

ガス相のモル濃度

yA1

傾きm

Henry則

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xA1を消去すれば

mxA - yA =JA (m/kx+1/ky)

よってモル流束は

)()(1

1AAyAA

yx

A ymxKymx

kk

mJ

総括物質移動係数Ky を次のように定義する

総括物質移動係数(4) -導出つづき-

yx

y

kk

mK

1

1

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yx

yAAyA

kk

mKymxKJ

1

1),(

従ってモル流束は次のように表せる

総括物質移動係数(5) -導出つづき-

液相抵抗 気相抵抗

全抵抗に対する気相抵抗の割合は

y

y

K

k

/1

/1

全抵抗に対する液相抵抗の割合は

y

x

K

km

/1

/

から求められる

は非常に速いガス側境界層内の拡散

とんどなくなら気相側に抵抗はほもし 0/1

/1

y

y

K

k

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1 ( )0.01

1

cG tG

y

/ k C

/ K

気相抵抗の割合が

の場合

界面気相抵抗1%

液相抵抗99%

(液相抵抗が支配的)

総括物質移動係数(6)

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QUIZ

yx

y

kk

mK

1

1

総括物質移動係数は次式で定義される。

教科書表4.6によればCO2-エタノールのHenry定数m=151である

エタノール液滴

CO2ガス

kx=151 mol/(m2s)、 ky=100 mol/(m2s)の場合抵抗が大きいのはどちらか。

a.気相側 b.液相側

01.011

1001

1

1

s)mol/(m1~

100

1

151

151

1 2

/

/

/K

/k

K

y

y

y

気相抵抗の割合は

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y

y

/K

/k

1

1

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

0.01 0.1 1 10 100 1000

気相抵抗の割合

ヘンリー定数m

Ethanol/CO2

Acetone/CO2

Water/NH3

kx=151 mol/(m2s)

ky=100 mol/(m2s)の場合

液相の拡散抵抗が支配的

ガス相の拡散抵抗が支配的

総括物質移動係数(7)

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水へのO2の吸収( mH=44000 )を考える。kx=9.78mol/(m2s), ky=3.16×10-2mol/(m2s)なら

molsmk

m

x

H /1050.478.9

44000 23液相抵抗

気相抵抗 molsmk y

/6.311016.3

11 2

2

)/(1021.26.311050.4

1 24

3smmolK y

総括物質移動係数は

気相抵抗の割合を求めると

3

4

2

1098.6

1021.2

11016.3

1

1

1

y

y

K

k

界面気相抵抗0.7%

液相抵抗99.3%

(液相抵抗が支配的)

総括物質移動係数(8) -計算例-

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Quiz

Q. 液相抵抗が大きい場合(液相拡散支配)の濃度分布はどれか?

yA

xA

yA

xA

A

B

yA1

xA1

1AA yy

1AA xx

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(1)液相抵抗が非常に大きな場合(m/kx >>1/ky)

なので

)()(/

1aymx

kmJ AA

x

A yA

xA

総括物質移動係数(9) -特別な場合(1)-

,/

/

0)(/

/1

)(

1

1

1

1

myx

myxk

Jxx

yy

ymxkm

k

k

Jyy

a

AA

AA

x

AAA

AA

AA

x

y

y

AAA

同様に

を用いると

濃度分布は液内に存在

x

yx

ykm

kk

mK

/

1

1

1

“ウイスキー風味”は液滴内部の状態で変化

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(2)液相抵抗が非常に小さな場合(m/kx <<1/ky)

y

yk

K/1

1 なので

)()( bymxkJ AAyA

総括物質移動係数(10) -特別な場合(2)-

AAAA

AA

y

AAA

AA

y

x

AA

x

y

x

AAA

mxyxx

ymxk

Jyy

myxk

km

ymxk

k

k

Jxx

b

11

1

1

,

0)/(/1

/

)(

)( を用いると

濃度分布はガス内に存在

yA

xA

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yA

xA

総括物質移動係数(11)

)(

)(1

1

*

*

AAy

AA

yx

A

yyK

yy

kk

mJ

*

AA ymx とおいてxAに平衡な仮想濃度yA*を考えると

液相からガス相に拡散する場合

yA

xA

)(

)(1

1

*

*

AAy

AA

yx

A

yyK

yy

kk

mJ

ガス相から液相に拡散する場合

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気泡の場合(1)

気泡

ガス相の濃度境界層

液相の濃度境界層

浮力

粘性力

表面張力

慣性力浮力・慣性力

粘性力

Gr>>1

グラスホフ数Gr=

ボンド数Bo=浮力

表面張力

Gr<<1 Bo<<1

Bo>>1

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][//

][/

2

232

2

gd

dU

U

dU

gdGr

gd

d

gdBo

粘性力

慣性力

粘性力

浮力(重力)

表面張力

浮力(重力)

無次元数

ボンド数Bo、グラスホフ数Grは次のように定義

][][]/[][,/

][][]][][[,

][]/[]][[,/

][][]/

[][]][[,

2

223

22

2

2

2

3

2

Pam

Nm

m

Nd

Pams

kgm

s

m

m

kggd

Pams

msPadU

Pam

N

m

smkg

ms

kg

s

m

m

kgU

表面張力

浮力(重力)

粘性力

慣性力

U

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ミッション:

□ 質量平均速度とモル平均速度を質量分率とモル分率の関数として記述することができる□ 質量流束とモル流束を固定座標系および質量(モル)平均速度基準で記述することができる□ 濃度場のシェルバランスを取ることができる□ フィルム中への等モル相互拡散の濃度分布を求めることができる□ フィルム中への一方拡散の濃度分布を求めることができる□ 均一反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 表面反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 円柱面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 球面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 物質移動係数の物理的意味を述べることができる□ 等モル相互拡散および一方拡散の物質移動係数を記述することができる□ 異相界面を横切る質量流束を記述することができる□ 総括物質移動係数を用いて質量流束を記述することができる□ ガス吸収装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たすガス吸収装置の高さを求めることができる□ 吸着装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす吸着装置の高さを求めることができる□ 膜分離装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす膜分離装置の長さを求めることができる□ 乾燥装置内の物質収支を取ることができる

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直径d=10.0 mmの気泡が液体アセトン中を上昇している。気泡の外側(液相側)およ

び内側(ガス相側)にはそれぞれ濃度境界層が存在しており、ガス中の有害成分Aが

2つの境界層を通って液相へと吸収される。液相中の拡散抵抗とガス相中の拡散抵

抗のどちらがより支配的かを判断したい。物性値が次のように与えられるとき問いに

答えよ。液密度L=1000kg/m3、液粘度L=1.00×10-3 kg/(m・s) (=1.00×10-3 Pa•s)、

液相における拡散係数DL= 1.00× 10-9m2/s、表面張力= 0.0700 kg/s2 (= 0.0700

N/m)、重力加速度g=9.81m/s2 。

[問1] 浮力(および慣性力)と粘性力の比であるグラスホフ数 を求め、気

泡に作用する浮力(および慣性力)が粘性力の約9×106倍であることを示せ。

[問2]浮力と表面張力の比であるボンド数 を求め、気泡に作用する浮力

が表面張力の約14倍であることを示せ。

[問3]液相のシュミット数 を求めよ。

[問4]次のAkita&Yoshidaの式を用いて液相の物質移動係数kcL[m/s]を求めよ。

kcL が約2×10-4 m/sであることを確かめよ。

[問5]総括物質移動係数Ky [mol/(m2s)]は次式で表される。ただし液相の全モル濃度

CtL=55.0×103 mol/m3、ガス相の全モル濃度がCtG=40.6 mol/m3、ヘンリー定数

m=11.0、ガス側の物質移動係数kcG=1.48×10-3m/sである。総括物質移動係数Ky 、

及び、液相中の拡散抵抗の割合{m/(kcLCtL)}/(1/Ky)を求め、液相中の拡散抵抗とガ

ス相中の拡散抵抗のどちらがより支配的かを判断せよ。

[問6]液相中の拡散抵抗の割合が0.5、すなわち液相と気相中の抵抗が等しくなる

のは、気泡径が何mmの場合か。ただし気泡径d以外の値は上の

問と同じとする。kcLは気泡径dの関数であること(気泡サイズによって気泡周りの流れ

が変わるため)に注意せよ。

)1(5.0 2/18/34/1 ScBoGrD

dk

L

cL

2

23

L

LgdGr

LgdBo

2

LL

L

DSc

tGcGtLcL

y

CkCk

mK

1

1

-REPORT9- 氏名:気泡周りの総括物質移動係数

)1

(tGcGtLcL CkCk

m

35

3

1/2

52 2

4

/ ( ) 16. 0.5

1/

(11)(1.48 10 )(40.6)1.202 10 /

55.0 10

(1)

1.202 10(10.0)( ) 2.55 10 25.5

2.382 10

cL tL

y cL tL cG tG

cG tGcL

tL

cL

m k C m

K k C k C

mk Ck m s

C

k d

d mm m

となるには で

ある必要があるので

式 より であることに注意すれば