日本株式ポートフォリオ運用における長期リターン...

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20121株式会社金融データソリューションズ 小沼健一 日本株式ポートフォリオ運用における NPMリスクモデルの紹介

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Page 1: 日本株式ポートフォリオ運用における長期リターン 上記9ファクターとのクロスセクション相関を排除した60ヶ月リターンを採用 東証1部外フラグ

2012年1月

株式会社金融データソリューションズ

小沼健一

日本株式ポートフォリオ運用における

NPMリスクモデルの紹介

Page 2: 日本株式ポートフォリオ運用における長期リターン 上記9ファクターとのクロスセクション相関を排除した60ヶ月リターンを採用 東証1部外フラグ

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本日の内容

リスク予測の必要性 実務的なリスクモデル モデル評価 ポートフォリオ構築 今後の課題

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リスク予測の必要性

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ポートフォリオ最適化

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VhhhuTT

.max

10 h

1i

ih

効用関数最大化

..ts

V

期待リターンベクトル

推定リスク(分散共分散行列)

h 各銘柄への投資ウェイトベクトル

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投資に必要な将来予測

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V

期待リターン 各投資家のアイデア

推定リスク(分散共分散行列) 国内上場銘柄は3000以上 銘柄間には正の相関があるため密行列 リスクモデルとして当社が提供

の推定精度は運用成果に直結するが

V の推定精度も影響する

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リスク予測の可能性

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リスクはリターンより予測しやすい

前月の個別銘柄リターン、リスクと

当月の個別銘柄リターン、リスクのクロスセクション相関係数 月中日次リターンの累積値からリターン、標準偏差からリスクを算出 各計測月間で日次リターンが全て0の銘柄は除く

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実際には・・・

銘柄数を次元数とする正定値対称行列を推定

素朴な方法で推定すると、Vが正定値であるためにリターンデータは(銘柄数+1)期間分必要

3000銘柄なら日次リターンデータで12年分となり、現実的でない

データを蓄積している間に市場や銘柄の性質が変わってしまう

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東京電力のリスク推移

1ヶ月もあれば状況は急変しうる

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年率リスク(%)

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相関の推定はやや難しい

前月の個別銘柄リターン、リスク、銘柄間の相関係数と

当月の個別銘柄リターン、リスク、銘柄間の相関係数の

クロスセクション相関係数

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分散共分散行列の簡素化

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分散共分散行列に構造を導入して非対角部分を簡素化し、少ないデータサンプルでも頑健な推定ができるように工夫する必要がある。

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CAPM

各銘柄リターンを2要素に分解

市場全体の動きに連動するリターン

銘柄固有のリターン

仮定を置けば理論的にモデルが導かれる 投資家はリターンの平均と分散でポートフォリオを選ぶ

全資産が分析に含まれている

投資家は各資産の期待リターンを知っている

投資家は分散共分散について同じ予測を持っている

取引コストは無い

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CAPM

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推定対象値は 2n+1個

銘柄固有リスク(対角行列)

市場への感応度ベクトル

市場全体のリスク

銘柄iのリターン分解

分散共分散行列の分解

ifMifirrrr )(

ErVM

T

2

][

RM

);1,( RnM

);,( RnnME

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Fama-French 3ファクターモデル

ファクターを2つ追加

市場リターンへの感応度(CAPMのベータ)

小型株-大型株スプレッドリターンへの感応度

割安株-割高株スプレッドリターンへの感応度

複数の市場で有効性が確認されている

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実務的なリスクモデル

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実務的なモデルのファクター

経験的には、複数の銘柄のリターンを説明する要素は他にもあると考えられている。

株式市況の解説では、「輸出関連株」、「高成長株」、「高信用リスク銘柄」が買われた、売られた等と報じられる。

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規模ファクター(1)

何をもって規模を定義するか 時価総額?

ITバブルのピーク時には東証1部の2~3%の銘柄で全時価総額の50%以上を占めるなど、時系列で分布が安定しない。

売上高、総資産は分布が時系列で安定。回帰分析でのリターン説明力が高く、ファクター値同士の相関も高い。

売上高:総資産:時価総額 = 1:1:1 を採用

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規模ファクター(2)

財務データ処理

決算期間が不規則な場合は12ヶ月あたりの売上高に修正

決算データがいつ発表されたか日次で把握

(知らないはずのデータを使わない)

合併した直後は財務データが無い。合併後最初の決算発表までは、合併前各社のデータから合算売上高等を作成。

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規模ファクター(3)

大企業のリターンが高かった日の例

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縦軸:リターン 横軸:企業規模

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規模ファクター(4)

パーセンタイル点の時系列推移

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(円)常用対数

規模ファクター 普通株式時価総額

ITバブルによる二極化

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リスクファクターの選定

ファクターに求められる性質

・リターンと相関がある

・異なるファクター間では低い相関

・時系列で急激に変化しない

・定義、意味付けがわかりやすい

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リスクファクター 規模 連結売上:連結総資産:時価総額 = 1:1:1、対数値を使用

市場感応度 240日β:480日β :36ヶ月β :48ヶ月β = 1:1:1:1、合成後に時価総額相関排除

B/P 連結自己資本/時価総額、順位標準量を使用

E/P 連結予想(経常益利回:税引益利回:CF利回:EBITDA利回)=1:1:1:1、順位標準量を使用

財務健全性比率(一般) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:単独インタレストカバレッジレシオ=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

財務健全性比率(金融) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:金融特有サブファクター=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

金融特有サブファクターは、各業種内で順位標準化

銀行:BISの自己資本比率、(債券5勘定尻+株式3勘定尻)/業務純益=1:1

証券:(営業収益+金融収益)/金融費用

保険:ソルベンシーマージン比率

米国株感応度 SP500β480日:NASDAQβ480日=1:1

TOPIX配当込みリターンとの重回帰でパラメータを算出

売買回転率 20日出来高回転率:120日出来高回転率=1:1、順位標準量を使用

変動性 スペシフィックリターンの120日σ:240日σ:720日σ、合成後に時価総額相関排除

長期リターン 上記9ファクターとのクロスセクション相関を排除した60ヶ月リターンを採用

東証1部外フラグ 東証1部以外で、かつ新興市場に上場していない銘柄=1、それ以外=0

新興市場フラグ ジャスダック、マザーズに上場している銘柄=1

他に東証33業種分類も使用

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リスクファクター構成上の工夫(1)

多重共線性の緩和

時価総額等との相関排除

暫定ファクター値を時価総額(の対数値)等で回帰して得られた残差を用いる

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リスクファクター構成上の工夫(1)

モメンタムファクターの問題

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t-1 t t+1

リターン

相関

リターン

相関

同一 相関

相関

ファクターA ファクターA

モメンタムファクター

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リスクファクター構成上の工夫(1) 規模 連結売上:連結総資産:時価総額 = 1:1:1、対数値を使用

市場感応度 240日β:480日β :36ヶ月β :48ヶ月β = 1:1:1:1、合成後に時価総額相関排除

B/P 連結自己資本/時価総額、順位標準量を使用

E/P 連結予想(経常益利回:税引益利回:CF利回:EBITDA利回)=1:1:1:1、順位標準量を使用

財務健全性比率(一般) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:単独インタレストカバレッジレシオ=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

財務健全性比率(金融) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:金融特有サブファクター=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

金融特有サブファクターは、各業種内で順位標準化

銀行:BISの自己資本比率、(債券5勘定尻+株式3勘定尻)/業務純益=1:1

証券:(営業収益+金融収益)/金融費用

保険:ソルベンシーマージン比率

米国株感応度 SP500β480日:NASDAQβ480日=1:1

TOPIX配当込みリターンとの重回帰でパラメータを算出

売買回転率 20日出来高回転率:120日出来高回転率=1:1、順位標準量を使用

変動性 スペシフィックリターンの120日σ:240日σ:720日σ、合成後に時価総額相関排除

長期リターン 上記9ファクターとのクロスセクション相関を排除した60ヶ月リターンを採用

東証1部外フラグ 東証1部以外で、かつ新興市場に上場していない銘柄=1、それ以外=0

新興市場フラグ ジャスダック、マザーズに上場している銘柄=1

他に東証33業種分類も使用

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リスクファクター構成上の工夫(2)

順位標準量の使用

ファクター値の順位情報のみ用いて分布は正規分布に変換すると、回帰説明力向上や分布安定化に寄与することがある。

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リスクファクター構成上の工夫(2) 規模 連結売上:連結総資産:時価総額 = 1:1:1、対数値を使用

市場感応度 240日β:480日β :36ヶ月β :48ヶ月β = 1:1:1:1、合成後に時価総額相関排除

B/P 連結自己資本/時価総額、順位標準量を使用

E/P 連結予想(経常益利回:税引益利回:CF利回:EBITDA利回)=1:1:1:1、順位標準量を使用

財務健全性比率(一般) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:単独インタレストカバレッジレシオ=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

財務健全性比率(金融) 連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:金融特有サブファクター=1:1:1

金庫株考慮、順位標準量を使用

金融特有サブファクターは、各業種内で順位標準化

銀行:BISの自己資本比率、(債券5勘定尻+株式3勘定尻)/業務純益=1:1

証券:(営業収益+金融収益)/金融費用

保険:ソルベンシーマージン比率

米国株感応度 SP500β480日:NASDAQβ480日=1:1

TOPIX配当込みリターンとの重回帰でパラメータを算出

売買回転率 20日出来高回転率:120日出来高回転率=1:1、順位標準量を使用

変動性 スペシフィックリターンの120日σ:240日σ:720日σ、合成後に時価総額相関排除

長期リターン 上記9ファクターとのクロスセクション相関を排除した60ヶ月リターンを採用

東証1部外フラグ 東証1部以外で、かつ新興市場に上場していない銘柄=1、それ以外=0

新興市場フラグ ジャスダック、マザーズに上場している銘柄=1

他に東証33業種分類も使用

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重回帰分析によるリターンの分解

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ti

k

tktkitftifxrr

,,1,,,,

tir

,

tfr

,

1,, tkix

tkf

,

ti ,

銘柄i、時点tのスペシフィックリターン (回帰残差)

銘柄i、時点tのリターン

銘柄i 、ファクターk 、時点t-1のエクスポージャー

ファクターk、時点tのファクターリターン (回帰係数)

時点tの安全資産リターン

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回帰ウェイト

小型株は大型株より回帰残差が大きい等残差は均一に分布しないことが知られている。

前日までの回帰残差の時系列データから銘柄固有リスクが推定されているので、逆数を当日の回帰ウェイトに用いる。

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回帰残差の分布

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銘柄をファクター値で10分割し、 分位毎に標準化残差絶対値の平均を計算

1992年からの日次平均値

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回帰分析の説明力

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自由度修正済み決定係数(50日移動平均)

モデルリリース(2002年2月)

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t値

絶対値の期間平均

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業種フラグも含めた重み付き回帰

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リスクモデル計算処理の概要

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個別銘柄 リターン(t)

ファクター値 (t-1)

回帰係数 (ファクターリターン)(t)

回帰残差 (スペシフィックリターン)(t)

ファクターリスク(t) スペシフィックリスク(t)

重み付き重回帰分析

時系列集計 相関有り

時系列集計 相関無し

回帰ウェイト (スペシフィックリスク)(t-1)

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分散共分散行列

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tjti ,,,

tktif

,,,

は独立 )( ji

は独立

ti

k

tktkitftifxrr

,,1,,,,

][][

][][

][][

VXfXV

VXfV

XfVrV

T

t

分散共分散行列は以下のように分解できる

][V は対角行列

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分散共分散行列

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T

XFXV

);,( RnnMV 分散共分散行列

);,( RkkMF

ファクターエクスポージャー行列 );,( RknMX

ファクター分散共分散行列

);,( RnnM スペシフィックリスク対角行列

k(ファクター数)<<n(銘柄数) であるため推定すべき成分数は大きく減少

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ファクターリスクの予測可能性

個別銘柄からファクターへと情報を集約することで、相関係数にも安定した傾向が現れる。

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ファクター共分散の推計

日々のファクターリターン(回帰係数)からファクターの分散共分散行列を推定

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t

p

lplkpk

pt

lktffffF

1

,,,,))((

1

1

pt 最近のデータを重視するための重み付け

t

p

pk

pt

kff

1

,

1

1

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乱数エクスポージャーでの評価

素朴な推定と実モデルで分散共分散推定精度を比較

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スペシフィックリスクの推計

モデルの構造

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個別銘柄のスペシフィックリターン ti ,

平均0、標準偏差 tit

A,

の正規分布に従うと仮定

tA

ti , クロスセクションでの相対値

スペシフィックリスクの市場平均(水準)

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スペシフィックリスクの推計

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tittiA

,,

tA

ti ,

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スペシフィックリスクの推計

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個別銘柄スペシフィックリターン

クロスセクションマーケット平均

基準化スペシフィック リターン

各種ヒストリカル標準偏差の計算と合成

指数減衰平均の計算

相対スペシフィックリスク スペシフィックリスク水準

推定スペシフィックリスク

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モデル評価

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リスク、リターン比

Q. どちらの運用成績が優れているか?

ファンド1 リターン5%、リスク5%

ファンド2 リターン10%、リスク10%

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リスク、リターン比

Q. どちらの運用成績が優れているか?

ファンド1 リターン5%、リスク5%

ファンド2 リターン10%、リスク10%

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A. 同じ

半額をファンド2、半額を現金とすれば

ファンド1と同じリターン、リスクになる。

IR = リターン / リスクはどちらも1で同じ。

単位リスクあたりのリターンを表す。

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モデルの評価

1. リターン、リスクの両方が完全予見

2. リターンのみ完全予見

リスク推定値は誤差を含む

それぞれでポートフォリオを作り

IRを比較する。

IR係数 ≡ IR(2の場合) / IR(1の場合)

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評価指標値の導出(完全予見IR)

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FwwwuTT

2

1効用関数

を最大化するポートフォリオは

11 Fw

このときリターンは

11 11

FFwTTT

1

2

11 1)

1()

1(

FFFFFww

TTTリスク(分散)は

従って

1

1

2

1

1

1

F

F

F

IRT

T

T

リターン リスク F リスク回避度

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評価指標値の導出(誤差有りIR)

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ポートフォリオは

1'

1'

Fw

実績リスク(分散)は

リターンは

11

'1

'1

'

FFwTTT

11

2

11''

1)'

1()'

1(''

FFFFFFFww

TTT

11

1

11

2

1

''

'

''1

'1

'

FFF

F

FFF

F

IRT

T

T

T

従って

推定リスク(誤差有り) 'F

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評価指標値の導出

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2つのIRの比を取ると

111

1

''

'

FFFF

F

TT

T

IR係数

この値が0.5なら、リスク推定の誤差によりIRが半分になることを意味する。

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スペシフィックリスクモデル評価

1. リスクモデル推定値

2. 全銘柄一律のリスク推定値

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横軸はポートフォリオ構築後の実績値計測日数 1992年から毎日ポートフォリオを構築

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ファクターリスクモデル評価

1. リスクモデル推定値

2. リスクモデル推定値(非対角成分0)

3. 単位行列

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その他の評価項目

バイアスは別途評価する必要がある

全推定値を一律2倍しても既出評価値は不変

推定値の時系列変化

市場の変化に追随しているか

過敏に反応して、ポートフォリオに無用な売買をもたらしていないか

リターン分解の枠組みは妥当か

ファクターの選定

残差分析

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ポートフォリオ構築

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ポートフォリオ最適化

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10 h

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ih

効用関数最大化

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不等式制約があるため、数値計算が必要

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最適化(マルチファクターモデル)

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ポートフォリオのファクターエクスポージャー変数を定義

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2

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i

iii

TT

TTT

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効用関数を記述し直して最適化計算時間を短縮

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ポートフォリオによるIR改善

期待リターンが最大の1銘柄を買い、最低の1銘柄を売り

期待リターンが正の銘柄を等ウェイトで買い、負の銘柄を等ウェイトで売り

期待リターンの絶対値の大きさに比例したウェイト

リスクモデルを用いて最適化

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ポートフォリオによるIR改善

毎月ポートフォリオを作成してIRを計測した場合の平均値

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毎月末にポートフォリオを作成し翌月末までで運用評価。1996年からの平均値

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最適化の注意点例

・A氏は上場後日の浅い企業を重点的に調査し、有望銘柄を見つけた。

・これらの銘柄の期待リターンをプラス、その他の銘柄については0と設定し、最適化でポートフォリオを構築。

・このポートフォリオは時価総額の小さな銘柄の組み入れウェイトが高いが、小型株が大型株より値上がりするという見方を持っているだろうか?

・小型株の中で相対的に魅力的な銘柄を発掘したのでは?

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最適化の注意点例

大型株も組み入れるようにする

小型株、大型株の組み入れウェイトに制約条件を設定

期待リターンを修正

小型株の期待リターンの平均値を引き下げ、大型株の期待リターンの平均値と同じにする

予測能力があると思う部分以外でなるべくリスクを取らない

全体的なリスクの大小だけでなく、内訳も見る

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今後の課題

モデルに投入するデータの拡充

現在の将来への延長でないリスク予測

ヒューリスティックな最適化

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現在の将来への延長でないリスク予測

既存のリスクモデルは過去の傾向が将来も続くとの考えに立ったもの

リターン予測モデルのように積極的に将来を予測するリスクモデルも考えられる

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ヒューリスティックな最適化

数値計算出力で最適解の保証がないものがある

銘柄数制約

1売買単位に満たない銘柄は予め解から除外し、端株処理の影響を緩和する機能

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まとめ

リスクモデルの作成

全銘柄の分散共分散行列を素朴に推定することは難しい

横断的にリターンを説明するファクターを導入して構造を簡略化

分解した日々のリターンについて、時系列的に安定した傾向が見えるいくつかの側面からリスク予測

全体をつなぎ合わせて分散共分散行列を得る

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まとめ

リスクモデルの使用

期待リターン情報に推定リスク情報を追加することでリスク、リターン比が改善

ある程度仕組みを理解して利用することが望ましい。リスクの内訳表示を生かすなど

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