令和元年( 琴丘高生が取り組む 世界遺産姫路城の障子紙を漉...
TRANSCRIPT
- 1 -
令和元年(2019)8月8日琴丘高生が取り組む
世界遺産姫路城の障子紙を漉いて張る姫路市立琴丘高等学校PTA・しらさぎ会後援
1819年、姫路藩家老の河合寸翁は藩札(木綿切手)等の御用紙漉きを行うため、
名塩紙(なじおがみ)の技術をもつ紙漉師を招き姫路藩御用紙漉所(須加院村御紙漉所)
を設立しました。
今年2019年、姫路藩御用紙成立200年という記念の年に、姫路城障子紙の原料
として姫路藩御用紙漉所跡地の楮(こうぞ)60%、姫路城ゆかりの鬢櫛山(ビングシヤマ)の雁皮(がんぴ)25%、これに姫路城折廻櫓の襖の中張の漉き返し(再利用) 15%とし、2020年2月特別公開予定の姫路城帯の櫓(おびのやぐら)の障子紙を漉いて張ること
としました。紙漉きは県指定重要無形文化財「名塩紙技術保存会」、障子張は現代の名
工梅岡一晴氏の指導で行います。
姫路城「大天守」と「帯の櫓」東側見上げ 姫路城帯の櫓 西立面図
(『国宝重要文化財姫路城保存修理工事報告書Ⅱ(附図)』S39,3,31 刊)
河合寸翁(かわいすんのう)画像 姫路城「折廻櫓」の障子城郭研究室蔵
- 2 -
姫路藩札
預切手木綿百文目札(表裏) 預切手木綿五十文目札(表裏)※カブタ土 ※蛇豆土か
姫路木綿切手拾文目札(表裏) 姫路木綿切壱文目札(表裏)※現在は名塩でも使用されていない赤土 ※不明(藍使用又はカブタ土と他の
土混合か)
(名塩紙は雁皮を原料として泥土を混入する技術をもつ)
- 3 -
令和元年度「世界遺産姫路城の障子紙を漉いて張る」行事経緯
1.帯の櫓障子枠の洗いと搬入7/12、漉き船の制作と納入7/26
一晴堂により帯の櫓から搬出し洗いをかけ 障子枠詳細紙漉き・障子張り実施場所に搬入大2枚、中2枚、小2枚
赤穂の「一嘉彩工」茶谷誠氏に漉き船の制作を5基依頼内側はステンレス張りとした
琴丘高校 PTA寄附
- 4 -
2.和紙原料の採取 7月9日(火)※取材(神戸新聞、ウィンク)
① 姫路藩御用紙漉所(須加院村御紙漉所)跡地の楮(こうぞ)
② 姫路城石垣用の石を切り出した鬢櫛山の雁皮(がんぴ)
③ 漉き返し用の姫路城折廻櫓の襖の中張
① 姫路藩御用紙漉所(須加院村御紙漉所)跡地の楮(こうぞ)
名塩紙技術保存会の八木米太朗氏と保存会員が 御用紙漉所跡地の楮を植栽した須加院住民と
楮(こうぞ)の皮むきを指導 ともに楮の採取と皮むき
楮の採取と
皮むき初体験
上手に向いて
います
背後の川は
須加院川
皮をむいたあ
との太い幹(右
写真)は軽くて
丈夫な杖(つえ)
にもなります
- 5 -
② 姫路城石垣用の石を切り出した琴丘高北側の鬢櫛山の雁皮(がんぴ)
兵庫森林管理署次長から生徒に国有林の説明 森林官3人の引率で国有林「鬢櫛山」に
名塩紙技術保存会員より雁皮の皮むきの 生徒同士協力して伐採した雁皮の皮むき
説明と指導
鬢櫛山の石切出し痕と矢穴 鬢櫛山から別所谷の校地・市街地・姫路城
撮影は平成30年11月末
- 6 -
③ 漉き返し用の姫路城折廻櫓の襖の中張
平成29年度姫路城折廻櫓特別公開の際に整備された襖の中張を姫路城管理事務
所が保存していたものを使用
姫路城折廻櫓の襖の中張 名塩紙技術保存会が漉き返し(再生)の作業
世界遺産姫路城の障子紙の原料内訳
姫路藩御用紙漉所跡の楮(こうぞ) 60%姫路城ゆかりの鬢櫛山の雁皮 25%姫路城折廻櫓の襖の中張の漉き返し 15%
帯の櫓 北西より 大天守東側に構築された帯の櫓 遠景
- 7 -
3.紙漉き 8月1日(木)※取材(毎日新聞、関西テレビ、ウィンク)
本校生徒53人に職員・PTA・姫路市教育委員会事務局職員、姫路市文化財保護協会事務局職員、関西学院高等部生徒(5 人)など総勢70人が兵庫県指定無形文化財「名塩紙技術保存会」の指導を受けて紙漉きを行った。
本校生徒53人は障子紙となる美濃判1枚・八つ切り2枚、及び記念のはがきサイズ2枚
を漉いた
最初に名塩紙技術保存会理事 八木米太朗氏より解説と実演
美濃判(ほぼ B4判)に挑戦する生徒会長 八つ切りに挑戦する生徒
いわゆる溜め漉きで漉きます 漉いた紙を置き台に
- 8 -
掲示(姫路藩御用紙漉き) 掲示(姫路城障子紙を漉いて張る概要)
展示(姫路藩札ほか江戸時代の紙幣) 展示(版木と木版刷り)
- 9 -
4.障子張 8月8日(木)※取材(朝日新聞、神戸新聞、ウィンク、関西テレビ、サンテレビ)
最初に名塩紙技術保存会より生徒各人が漉いたはがきサイズの漉き紙を手交し、講評を行った。次いで一晴堂職員が障子枠の洗いの実演、梅岡一晴氏による障子紙の説明の後、本校生徒53
人、職員・姫路市教育委員会事務局職員、姫路市文化財保護協会事務局職員、関西学院高等部生徒(2 人)など総勢70人が現代の名工梅岡一晴氏及び一晴堂職員の指導を受けて障子張りを行った。本校生徒53人は姫路城帯の櫓の6枚の障子枠に2,3枚ずつ障子張りを行い、本講洗心寮和
室の障子枠2枚に自分たちが漉いた障子紙を張っていった。
自身の漉いたはがきサイズの和紙に見入る生徒 障子の洗いの実演と解説
梅岡一晴氏の障子張の解説 梅岡氏の指導を受けながら慎重に障子張
一晴堂社長の指導 竹へらで障子紙を丁寧に張ります
- 10 -
インドネシアに名塩紙の技術を啓発する関学生 完成した障子張
名塩紙技術保存会の八木理事より講評 梅岡一晴氏より講評
完成した障子 向かって左から6枚が帯の櫓の障子(左から中2枚、小2枚、大2枚)右2枚は本校洗心寮の障子(最も薄く漉いた障子紙を張りました)
※報道実績 新聞 010730神戸朝刊、010803毎日朝刊、010809朝日朝刊、010810神戸朝刊TV 010729-010803ウィンク元気印姫路っ子、010808サンテレビ 15:00,16:00
010812関西テレビ報道ランナー 18:27- 、010822NHK18:30-19:00