大和川の水質検査tenko.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/j-tennoji/jiyukenkyu/daikyo...cyclops...
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大和川の水質検査一 第三報一
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32期生 1 テーマ設定の理由
昨年、一昨年と大和川の水質を調査した。一昨年は化学的に調査し、昨年は更に生物学
的水質調査も加えて研究を行った。今年はこれらに加えて汚水と河川の汚れの関係につい
ても調べてみようと思い、このテーマを選んだ。
皿 研究方法
〔1〕調査場所
化学的水質調査は支流との合流点で行い、生物学的水質調査は河川の水質上重要だ
と思われる地点のみ行った。なお、この位置関係を図1に示す。
図1
大阪湾
Oは化学的調査場所×は生物学的調査場所
大
×ost.5
st.4× 石 し尿処理場 川〔2〕化学的水質調査
調査項目は、気温・水温。塩素イオン・アンモニア性窒素
■“-ila ・PH・透視度の6項目である。
※ 調査項目の説明
(1)塩素イオン 塩素イオンは尿や家庭廃水の混入によ
り増えるので、汚染の有力な指標とされている。硬水や
海水が混入すると、塩素イオンの量が増大するので注意
をする。
② アンモニア性窒素 し尿による汚染の尺度を調べる。
(3)PH 水のアルカリ度を調べる。7.0なら中性。7.0
より大きければアルカリ性、小さければ酸性である。
(4)透視度 図皿のような手製の透視度計に検水を入れ、
底の文字が明確に読み取れるまで流出口から流す。この
際残った水の高さ(各1㎝を1度とする)を透視度とする。
は透明とする。)
〔3〕生物学的水質調査
顕微鏡を用いて、水中の微生物の種類と個体数を調べる。
一12 一
佐保川
グ調
0×Ost.3
図皿
0。5c皿おきに 目もり
ガラス管
×st・2
瀬 川
流水ロ
キヤップ
(但し、30度以上
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〔4〕汚水と微生物の関係について実験・考察をする。
皿 研究結果
〔1〕化学的水質調査結果
図皿 大和川各所の水質測定結果
至
大阪湾
附近
松
原インター
↑石川
し尿処理場柏原の
↑葛下川
↑竜田川
↑富雄川
~浄化センタ
ノ初瀬川
川保佐
30圃
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奈良市
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度
田
ア
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ニ窒
素
塩素イオン
1
大和川各所の化学的水質結果を図皿に示す。柏原市にあるし尿処理場の所では、例年
どおり汚れていて、PHは8.2と強アルカリ性、アンモニア性窒素も10. O ppmと極端に
多い。また、塩素イオンも全体よりかなり高く117卿であった。その他で気づい
た点は、透視度が河口近くを除いてかなり艮い結果が出たことだ。この原因は冷夏で日
照時間が少なく雨の日が多く、川の水量が豊富であったためと思われる。また、PHが
大阪府下で弱アルカリ性であったこと1近図IV一日の水質の変化 (場所 大和川中流王寺付近) 年河川周辺の住宅が増え、アルカリ性洗
剤を使う所が多くなったためか、もしく
はし尿がアルカリ性でこれが少し増えた
ためかと考えられる。)である。
※ P四とは100万分の1のことである。
たとえば1?pm =0.0001%となる。
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視度 2
PH 7,0 6.5 ア
ニン(Pμn
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水[o
温 3
水温一一一一一気温
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気温 ’ ’ ’一一
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AM PM6:00 8:00 10:00 0:00 2:00 4:00 6;00
。 一日の水質の変化について
一日の水質の変化は左の図IVのとおり
である。この結果から一日の水質の変化
はないものと判断できる。
一 13一
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表一(A) 大和川水系に生息する生物 (表(B)参照)
微 生 物 名st。1
佐保川
st.2
初瀬川
st.3
大和川
st.4
石 川
st.5
大和川生息範囲
藍藻類 MerismQpedia sp. 十 十 十
Oscillatoria sp.(ユレモ) 惜 惜 柵 冊 冊 P~β吻
Phormidium sp。 十 十 十 十 十 OS
HQInoecthrix sp. 柵 鼎 OS
Aphanocapsa sp. 十 十 十 十 十 β吻
珪藻類 Navicula sp。(フナガタケイソウ) 柵 十 冊 什 α刎~β吻
Nitzschia palea 十 升 卦 惜 惜 OSGQmphoneme Sp.(クサピケイソウ) 十 十 十 β吻
Cyclotela sp.(ヒメマルケイソウ) 十 十 十 十 α〃Z~OS
Achnanthes sp。 十 十 十 升
Synedra acus(ハリケイソウ) 十 升 十 梧 β翅~os
S. ulna(マルクピケイソウ) 十 十 十 十 十 β吻
Melosira sp. . 十 β〃τ
Diatoma sp. 柵 十 柵 冊 β魏
Cymbella sp.(クチビンレケイソウ) 冊 十 十 十 β〃z
緑藻類 Ankistrodesmus falcatus(イトクズモ) 十 升 十 β吻
Chaetophora sp. 十 十 冊 十 β規~os
Coelastrum sp. 十 十
Spirogyra sp.(アオミドロ) 十 十 十
Scenedesmus sp.(イカダモ) 十 十 升 十 β吻
Closterium sp.(ミカヅキモ) 十 冊 冊 十 廿 α〃3~QS
Pediastrum sp.(クンショウモ) 十 β〃2
Cosmarium sp.(ツヅミモ) 十
Crucigenia sp. 十
Eudorina sp.(タマヒゲマワリ) 十 β吻原生
動物 Vorticella sp.(ツリガネムシ) 昔 十 升 十 十 P
Rotaria sp.(ワムシ) 十 掛 柵 十 柵 P
Paramaecium sp.(ゾウリムシ) 十 十 β吻~P
Amoeba sp.(アメーバ) 十 十 十 β挽~P
Arcella sp.(ナベカムリ) 十 十
Aspidisca sp. 十 β窺
Euglena sp.(ミドリムシ) 十 十 β〃z
Coleps hirtus(タルガタゾウリムシ) 十 十
Cyclops sp.(ケンミジンコ) 十
Staurastrum sp. 十 十
Monostyla sp,(エナガワムシ) 十
Delo 柵 十 冊 十 柵 P
プラナリア 十 OSその他
の動物 イトミミズ 惜 十 十 卦 升 β初~α〃2
ユスリカ 冊 十 升 α吻~P
シマイビル 十 βP~α初(βm)
、
カゲロウ 酬 OS
トウメイ再ビ 冊
ゲンゴロウ 惜 十
カニ 柵
水 質 判 定 α勉 α〃2 P β〃2 β〃2
湘 多い 湘 少し多い 冊 普通
一 14一
十 少ない 十 わずか
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馬-
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表一(B) 生物学的水質階級について
記号 階 級 説 明
OSβ吻
α〃z
ps
貧腐水性水域
β中腐水性水域
α中腐水性水域
強腐水性水域
清水に近いきれいな水
やや清水に近い水
やや汚れた水
汚れた水(生物に必要な栄養が多い)
〔2〕生物学的水質調査結果
大和川水系における生物学的水質調査結果を表一(A)に示した。
生息範囲・水質判定は表一(B)を参照してほしい。また、調査地
点は図1に示したとおりである。
調査地点の状況
st.1(佐保川、秋篠川合流直後);平瀬で底質は大部分を砂利
で構成している。秋篠川、佐保川はともに洗剤による気泡が見られ、
底生動物では赤色のユスリカが多く生存していた。藻類においては
ユレモ・Diatoma sp.・クチビルケイソウが多く出現したが、
汚濁性種のDeloの活動が活発であった。水質階級は、α中腐水性
水域と判定する。
st.2(初瀬川);流速はかなり遅く、底質は砂質部分が多い。
プラナリアを発見したが一匹だけで、汚濁性種のワムシ・ツリガネ
ムシ・Deloが活発に活動していた。 水質階級はα中腐水性水域
と判定する。
st.3(大和川、富雄川合流直前);流速はかなり遅く、底質は
砂質の上にヘドロがta enたまった状態になっていた。底生動物は数
少なく、わずかにイトミミズが見られただけである。藻類も少なく、
Delo・ワムシが非常に活発に活動していた。水質階級は、強腐水
性水域と判定する。
st.4(石川、大和川合流直前);緩流で瀬は少なく、底質は砂、
石、砂利の混合により構成されていた。魚類はメダカが多く、魚釣
りに来た人の中にはナマズを釣った人もあり、底生動物にはシマイ
ビルが見られた。微生物では、Deloやワムシも少なく、藻類は珪
藻類を中心に多量出現した点から水質階級はβ中腐水性水域と判定
する。
st.5(大和川、松原市明治橋);平瀬で底質は岩質でその上に
砂利、小石、石が存在する型である。ワムシ・Deloが多く見られ
たが・清水性のHomoecthrix sp・・Nitzschia palea
を中心に藻類が多く出現した。底生動物も清水性のカゲロウやカニ、
トウメイエビと豊富な点から貧腐水性よりのβ中腐水性水域と判定
する。
。大和川は川底にはゴミが多く、これが生物の生活環境をかなり害
している。
一 15一
ユ レ モ
Diatoma
ワ ム シ
ツリガネムシ
イ カダモ
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〔3〕川はどのようにして汚れるか?(汚水と微生物の関係を調べる)
{1>実験方法
①まず牛乳びんを4本用意し、それぞれに微生物を含んだ川の水(β中腐水性と
判定したもの)を100㎡入れる。
②そして、川の水・ビール・洗剤水(家庭廃水として考えられるので)・浄化槽
の最終処理水をそれぞれに50㎡ずつ加える。
③一週間後の変化を見る。 ※浄化槽の最終処財人間の排泄物をそのまま流すと河川などをすぐ汚してしまうので・
浄化槽迷一たん蓄え、そこである種のプランクトンを利用してBOD(生物学的酸素要求
量)を30四程度まで浄化した水のことをいう。
(2)実験結果(下の表)
川の水の水質
川の水に
生存する
微生物
びんの内容
一週間後の
びん内の状態
一 週間後の
PH
一週間後の
アンモニア
PHは7.2で、アンモニア性窒素は痕跡であった。
緑藻類・藍藻類・珪藻類は同じくらい生存しているが、原生動物はそ
れに比べるとやや少ない程度である。
微生物を含んだ
川の水だけ
一週間前とほと
んど変わってい
ない
7.4
痕跡
川の水
とビール
カビが生えて、
微生物は見あた
らない
川の水
と洗剤水
全 滅
微生物は全部
死んでしまった
7.6
痕跡
川の水
と浄化槽の水
ワムシやツリガネ
ムシが大発生した
8.0以上
10 PP皿
※ 痕跡 ほとんどないがほんの少し含まれているという意味。
㈲ 考察
。洗剤と河川水の汚れについて ゴキブリを洗剤水に入れると、ゴキブリの表面(体表)についている油が溶けて、
浸透作用のため、体内に水(洗剤水)が入って?1死ぬと思われる。これは洗剤に油を溶
かすという性質があるからである。この現象が微生物にも適用され・微生物の体を包んで
いる(覆っている) “何か、を溶かし、微生物の体内に洗剤水が入って死ぬのでは
ないかと思う。
一 16一
~1ー奄■昌膠i’
ー蒐盈Il薄
11.
ーー『1■監7ゴーー評
。し尿と河川水の汚れについて
し尿を川に流すとし尿は腐敗する。この時河川中に含まれる酸素をかなり使い、
河川中の溶存酸素量が減る。そうすると普通の生物は生存が難しくなり、嫌気性の
微生物(空気の嫌いなプランクトンのこと。ワムシやツリガネムシがその一例であ
る。)が増えるのではないかと思う。
IV 結 論
今年は冷夏で、雨の日が多く日照時間も少なかったので、大和川は水量も豊富で例年に
比べてきれいであった。しかし少し晴天が続くと水位が下がり、水位が下がった後にはゴ
ミが現れ、それが異臭を放っている。また川底にヘドロがたまっているところも増えてき
たことからも、水質はそれほど良くないことがうかがえる。近年河川周辺に住宅が急激に
進出しており、家庭廃水や家庭ゴミが増大する一方ではあるが、処理施設の建設や下水道
化、河川周辺の整備も進められつつある。これらを早急に行っていけば、河川の汚染をく
い止めることができるものと思う。
V 総 括
3年間を通して同じテーマで大和川の水質を調査してきた。また内容も年々自分なりに
角度を変えてより深く調査してきたつもりである。3年間の自由研究の中で一番印象に残
った点はやはり微生物との出合いである。一滴の水の中に何十種類もの生物がそれぞれの
水質に応じて生存しており、水質の変化によりその生死は極めてデリケートである。だか
ら生物学的実験は周囲の条件の変化を十分に注意する必要があり、またより多くの実験結
果の積み重ねが化学的実験に比べ、特に必要であるように思った。今回は生物の生存に対
する実験が一回に終わった事が残念に思う。何らかの機会で今後もこの方面の調査を自分
なりに続けていきたいと考えている。
★ 参考文献 。生物による水質調査法 山海堂
。日本淡水プランクトン図鑑 保育社
!………………・・…………・……・・君も微生物を見よう/ ………………・・…・…………・…・…・
i 微生物は小形で多種多様なので採集して顕微鏡で見ると色々とおもしろい。 i
i また淡水と海水、四季別により違った種類のものが見られる。 i
i (1)微生物の採集方法 i
l 水中のなるべくぬるぬるした石や水草を取る。その表面をしんちゅう製のブラシ i
i でこすり、表面の付着物をかなだらいにうけ、それをびんに入れる。(プランクト i
i ンネットでする方法もある)持ち帰る時はクーラーに入れて冷たくする。 i
i ホルマリンを入れると微生物が分解されるのでやめる。 :
i ② 微生物の観察 :
i 顕微鏡の倍率は100倍あれば充分。検体にメチレンブルーを混ぜるとより一層見 i
i やすくなる。 :
t’”曹’’”°°°噂’”岡゜°°°°°°’°°°°’鱒゜’°°’”°曾’°鱒’’”……・…・・………… ……・・・… …… 。… …・・・・・… _____...。.;
一 17一
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