木質バイオマスのエネルギー利用tsurusaki.jp/syahou/tsurusaki27c.pdf1...

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1 木質バイオマスのエネルギー利用 対馬資源開発 テクノアドバイザー 阿比留 萬通男 序章 地球の歴史が示す通り人類のエネルギー利用は初め穏やかなところからスタートし ている例えば太陽の熱(光と熱)を利用した原始的な生活の営みでは自然の恩恵を利用 して夜暗くなれば就寝し陽が昇りはじめ明るくなると行動を開始する或いは川の流れ と熱(水流の流速)速度エネルギーを動力へ水車を回し精米・製粉など・渓谷の冷水を 冷却・保存へ又は風力を利用し帆船の推力などとして活用しきた、比較的新しい事例で は穏やかな自然 energy を動力としてオランダ(Holland)は風車を利用した干拓地漏 水の汲み揚げ(速度 energy を動力(Pump up)に利用した風車等の様に自然の恩恵を享 受する形で利用されたが人類には多少の頭脳(知恵・技術)と夢(希望・欲望)を持ち 合わせていた為、ついに制御へと進化して行く。エネルギー制御の基本的な考え方は実 は木質バイオマス(薪・焚き木)ではないかと思はれる。量を増やせばエネルギー量(出 力)は増加、量を減じればエネルギー出力(out put)は減じられ制御(control)の 基本的な形となる、人類は制御を知りエネルギー利用は進化の道を加速する事になる。 やがて木質 energy で言えば保存に便利であり使い易い高 energy を木炭製造により手 中にし、炭素量を凝縮し熱量を高めた木炭を作るという進化を遂げる・・・・次いで効 率を知り利便性・経済性と進化して行くが原始力(primitive)から遂に今日の原子力 nuclear energy)エネルギー利用に進化したのは何故か。人類が求めて止まない欲 望に牽引された進化の其の先には一体何が有るのか。結論として考えられるのは時空の 圧縮、距離と時間を縮めた、言わば速度(速度=距離×時間)を上げただけで、安全を 疎かにする結果にしたのは(疎かにしたのではなく安全を過信した)何故か。引力に支 配された地球上で総重量数百トンの飛行機が空を飛んでいる、重力ある物は必ず落下す る、推力・揚力を失えば必ず起きる事象は総ての人が理解している、推力・揚力を生み 出しているのは実は金属材料いわば機械(machine)と燃料(fuel energy)であり故 障・破壊・漏えい・人為的操作ミス(pilot human error)等、起こり得る可能性は ゼロではない、ただ時空を短縮し、利便性を優先し、効率を優先した結果に他ならない、 人が歩いて居て人と衝突するより高速の新幹線と新幹線が衝突したときの衝撃が大き く予想される事象の激しさは誰もが知っているのに、事故は誰もが起こり得ることを知 りながら何故か利用するに当たり不安を感じる事は無い、技術の進化と共に信頼性は向 上したが完璧なものではない。安全は過信である事を再認識しなくてはならない、東電 福島の原発事故が示す通り安全神話も崩壊し二酸化炭素削減の達成をうたった京都議 定書の約束も原発なしでは消える事になる、安い電力としての原発も覆される結果にな り原発の電力料金には大きな危険(risk)と後出し料金が付いている事を知らされた。

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1

木質バイオマスのエネルギー利用

対馬資源開発 テクノアドバイザー 阿比留 萬通男

序章

地球の歴史が示す通り人類のエネルギー利用は初め穏やかなところからスタートし

ている例えば太陽の熱(光と熱)を利用した原始的な生活の営みでは自然の恩恵を利用

して夜暗くなれば就寝し陽が昇りはじめ明るくなると行動を開始する或いは川の流れ

と熱(水流の流速)速度エネルギーを動力へ水車を回し精米・製粉など・渓谷の冷水を

冷却・保存へ又は風力を利用し帆船の推力などとして活用しきた、比較的新しい事例で

は穏やかな自然 energy を動力としてオランダ(Holland)は風車を利用した干拓地漏

水の汲み揚げ(速度 energy を動力(Pump up)に利用した風車等の様に自然の恩恵を享

受する形で利用されたが人類には多少の頭脳(知恵・技術)と夢(希望・欲望)を持ち

合わせていた為、ついに制御へと進化して行く。エネルギー制御の基本的な考え方は実

は木質バイオマス(薪・焚き木)ではないかと思はれる。量を増やせばエネルギー量(出

力)は増加、量を減じればエネルギー出力(out put)は減じられ制御(control)の

基本的な形となる、人類は制御を知りエネルギー利用は進化の道を加速する事になる。

やがて木質 energy で言えば保存に便利であり使い易い高 energy を木炭製造により手

中にし、炭素量を凝縮し熱量を高めた木炭を作るという進化を遂げる・・・・次いで効

率を知り利便性・経済性と進化して行くが原始力(primitive)から遂に今日の原子力

(nuclear energy)エネルギー利用に進化したのは何故か。人類が求めて止まない欲

望に牽引された進化の其の先には一体何が有るのか。結論として考えられるのは時空の

圧縮、距離と時間を縮めた、言わば速度(速度=距離×時間)を上げただけで、安全を

疎かにする結果にしたのは(疎かにしたのではなく安全を過信した)何故か。引力に支

配された地球上で総重量数百トンの飛行機が空を飛んでいる、重力ある物は必ず落下す

る、推力・揚力を失えば必ず起きる事象は総ての人が理解している、推力・揚力を生み

出しているのは実は金属材料いわば機械(machine)と燃料(fuel energy)であり故

障・破壊・漏えい・人為的操作ミス(pilot human error)等、起こり得る可能性は

ゼロではない、ただ時空を短縮し、利便性を優先し、効率を優先した結果に他ならない、

人が歩いて居て人と衝突するより高速の新幹線と新幹線が衝突したときの衝撃が大き

く予想される事象の激しさは誰もが知っているのに、事故は誰もが起こり得ることを知

りながら何故か利用するに当たり不安を感じる事は無い、技術の進化と共に信頼性は向

上したが完璧なものではない。安全は過信である事を再認識しなくてはならない、東電

福島の原発事故が示す通り安全神話も崩壊し二酸化炭素削減の達成をうたった京都議

定書の約束も原発なしでは消える事になる、安い電力としての原発も覆される結果にな

り原発の電力料金には大きな危険(risk)と後出し料金が付いている事を知らされた。

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化石燃料には環境問題(environment)、二酸化炭素(CO2)による温暖化(climatic

change)防止のための環境税と言う後出し料金が付いている事を考えると真の energy

価値・価格は何をもって判断すべきかが、原発の電力・化石燃料の電力・Bio mass

の電力真価が問われるところだ。

しかし人類は少量の資源で膨大な energy を生み出す nuclear energy を見捨てるこ

とは無いと思う・・・・

石炭・・・黒い石が燃えた

石油・・・黒い水が燃えた

天然ガス・・・空気が燃えた

人類が新しい物と出会った時、驚愕と恐怖を味わい、後に、知識・科学・技術を駆使し

て感動に変え得た事を思えば今日の電気や化石燃料の様に安全に便利に使いこなせる日が、

原子力にも必ずその時は来ると信じている、地球上に既存しなかった新たな元素の誕生に

恐怖と期待が混在しているのが現状で、宇宙開発もある意味では驚愕と恐怖を求めている

のかもしれない、進化と感動のために。

「森林エネルギーの可能性」

何故化石燃料とバイオマス燃料(木質バイオマス)の利用に大きな開きが招じたか。

バイオマス燃料の場合品質(quality)発熱量・容積・など安定度・信頼度(含水率)

の相違が挙げられる。化石燃料の場合、石油工業規格で(容積)リッター当りの発熱量

が定められ何処で入手してもその内容に付いては保障されているが。bio mass 燃料

(薪・木質チップ・ペレット等)の場合、木種・含水率・により容積当りの重量・発熱

量等が異なり安定品質と安定供給が難しく代替の入手先の確保が容易ではない為、燃料

供給側と燃料利用側との相互間の信頼関係が第一となる、利益追求型社会では敬遠され

た原因の一つである事を理解しておく必要がある。

化石燃料の場合は

化石燃料(灯油・軽油・重油)として均等な内容を入手する場合にも選択肢が広く

自由競争経済システムの社会では入札等による、価格競争を刺激する事により、より安

価で入手が可能であるが内容はどこの給油所でも保障され、内容・価格に付いては自由

競争マーケッチングの原則に叶っている。

バイオマス燃料の場合は

同一木種とした場合、重量(㎏・ton)で価値(価格)を判断する事が出来ない、(㎥)

単位容積当りの重量が大きくなれば含水率が高く有効発熱量は減少し、林地残材を有効

に利用する上で非常に難しい問題となる。林業従事者と燃料利用者燃料供給者(チップ

製造者)の利益が重量で判断すると互いに相反する結果となる。

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化石燃料とバイオマス燃料の制御性

(Control)制御性の相違

化石燃料とバイオマス燃料を制御性から比較すれば化石燃料は俊敏で自在な制御が

可能であるが一方バイオマス燃料(Bio mass boiler)の場合制御が緩慢でその挙動

は原子炉(reactor)に似ていて熱出力を熱消費で制御する形が望ましく制御性が制限

される迅速な control が出来ない、on off 操作により 0 より 100%が自在である fuel

oil(化石燃料)に対し Bio mass の方は徐々に出力を上げ、信号により出力降下又は

0(停止)の指示を出しても即対応できず over shooting してしまう傾向がある。制御

性について言えば原子炉(nuclear reactor)の挙動と似ていて熱を蓄えたり変換し

たり消費することにより control することになり今後はこのような特性をどのように利

用するか進化が急がれ。制御性を動物の挙動に例えると俊敏な行動をとる豹と動きが緩

慢でも総合的な力(出力)で勝る像の関係に似ている。

初期投資(initial cost)の相違

設備全体が大型となるため投資が嵩む、日本の Bio mass 熱利用についての取組み

が遅れているため外国の機器導入もコストを押し上げる原因となり完成度の高い国産

が期待されているのが現状です,EU諸国(スイス・オーストリア・チェコ・ドイツ等)

では Bio mass boiler の熱利用は 60 年の歴史があり、無人化自動燃焼に係る技術

は燃料の pellet・tip 化により実現され現状では国産との差は大きい。

単位熱量あたりの容積の相違により stock yard が大型化するため同一熱出力を得

るための貯蔵に十数倍の貯蔵設備が必要となる。

バイオマス燃料の場合は

バイオマス燃料は持続・再生が可能な循環型エネルギーであり燃料として利用した後

20~25 で再利用できる夢のエネルギー(pul239 に似ている)二酸化炭素(CO2)が

零カウントで環境にやさしい。

資源が豊富である

森林資源は隈なく全世界に分布している、宇宙飛行士ガガーリン少佐は宇宙より地球

を初めて目にした時に感動を込めて地球は青かったと宇宙からの第一声を発した、此の

言葉の意味はバイオマスエネルギーの可能性を示唆している。原子力エネルギーは効率

と経済性が特出していると信じられ進化したしかし、福島第一原発・チェリノブイリ・

スリーマイルが示した通り、効率・安全・経済的にも決して問題がない訳ではないと言

う事を周知させられた今 Bio mass 利用について、真価で肩を並べるためには安全と

安心・持続可能な再生 energy であること二酸化炭素の排出がカウント零で環境負荷が

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少ない事を価値として認知されることが必要となる。

数値による energy&mass の比較

木質(燃料チップ)含水率(ドライベース)DB:50%と化石燃料とを比較すると1立方

米(容積㎥)の比較ではおおよそつぎの通りとなる単位容積当たりの発熱量の相違(灯

油・A 重油の比重を考慮すると嵩(容積)ほぼ15~16倍となる。

Bio mass fuel(chip) 528000 kcal (チップ木種による大差はない)

A重油 8772000 kcal (A 重油 1x16.6)

灯油 8216000 kcal (灯油 1x15.5)

因みに核 energy と比較すれば

U₂₃₅(100%)1gの発熱量24×10⁶Wh・day/g(1MW・day/g)1000kw・day/g

U₂₃₅(100%)1gの発熱量=24000kw(20640000kcal)

核燃料1gの発熱量と木質バイオマス・化石燃料の比較

木質バイオマス(chip)39.091m3 (DB:50%)原木丸太 24×13.96 ton

A重油=2352.941 litter

灯油 =2512.299 litter

電力単価による比較

2011・12・13 の報道番組で電力コストの数値が示され原発との比較がなされていま

した其れによると1kw/¥の関係では

原子力発電 1kw/8.9¥(賠償を加えると 10.2¥)

風力発電 1kw/8.5¥

太陽光発電 1kw/9.9¥

算出根拠に付いては明確ではないが、それぞれ weak point(risk)があると同時に

merit もあるが後進・後発に方向転換する道を選択(環境重視・再生循環型)できるか

岐路に立たされている。

少し詳しくバイオマス燃料について述べると

木質燃料チップの品質の安定度(単位容積相当・単位発熱量相当)にばらつきがあり

数値で詳細を表示することが困難である、化石燃料については入手先にかかわらず工業

規格で示された通り信頼できる炭素量・水分量・灰分・発熱量等が示す通りの品質が約

束されている、木質(燃料チップ)は保存・輸送に不便(単位容積当発熱量の相違)発

熱量当りの嵩が大きく貯蔵に大きなスペースと保存庫が必要となること、また搬送に時

間と労力が必要となること等が挙げられ現在の国際的な流れと日本社会の基準で判断

すれば何処にも優位性可能性は見えてこない。狭い国土と一極集中型都市形成の現状で

は場所【土地】が必要と言うだけで選択の可能性は消え、次に挙げられるのが設備の初

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期投資が大きい事も理由の一端にある。何故 initial cost に大きな差があるのか。

経済成長は右肩上がりが常識で今日の状態を懸念し予知した人は少なく流れの方向

は、便利で・効率が良く・価格が安い・それが総ての発想・計画の根幹となった、木質

(燃料チップ)にはまだ weak point があるそれが制御(Control)制御性の相違であ

る。

初期投資の差が大きい単位容積当発熱量の相違が示す通り嵩が大きく貯蔵施設が大

きく、燃焼に関わる設備も大型化する占有敷地面積が肥大かする事により全体的に

initial cost を押し上げる結果となる。次に森林エネルギーの可能性に付いては総て否

定的な訳ではない「便利で・効率が良く・価格が安い」この選択基準を変える・変えな

ければならない事情が現実問題として浮上している事は我が国ばかりでなく国際的問

題で言い換えれば地球規模の課題として全人類の英知が問はれる事態となっている。

energy の具備すべき条件と言う処まで振り返って考える勇気があるか。「便利で・効率

が良く・価格が安い」を最優先してきた事を反省に変えることが出来るか大変難しい課

題である。

京都議定書(2005)以来COPも 17 回目になるが未だに自国の利益ばかりが優先し

目指す方向とは程遠いままCOPの回数が増え時間を漏斗するばかりとなりそうであ

る。energy の具備すべき条件に欠落している物が有るとすれば安全・安心が第一に挙

げられるが「便利で・効率が良く・価格が安い」を最優先とし追求していく上で疎かに

なった、言わば安全と安心を差し引いた価格で、energy を手に入れた事になる、其の

事に対しは率直に反省が必要であり今後 energy の必要条件の中に安全と安心を加え安

全安心の位置付けを優先順位の中心にすべきだと考えている。

原発の電力料金には大きな危険(risk)健康被害、放射線による環境汚染、被爆による

心身被害とその事後処理には後出し料金が付いている、化石燃料には環境問題、硫黄酸化

物による酸性雨、窒素酸化物による光化学スモッグ、二酸化炭素(CO2)にも温暖化防止

のための環境税と言う後出し料金が付いている、化石燃料には今一つ原油相場の変動

(money game)乱高下による経済動向への影響、限りある資源・枯渇の恐れを仄めかす

手法に振り回され操られる現実は限りなく繰り返され継続されている。

森林エネルギーの可能性について

木質エネルギーは環境に優しい二酸化炭素排出カウント 0の再生可能な循環型 energyで

あり自然界の炭素保管庫としての役割を担い必要とする時まで炭素を固定し貯蔵する事に

より樹木の成長と言うかたちで control する事が出来る。燃焼・酸化により排出された二酸

化炭素を光合成により炭素を固定し酸素を放出する自然界の filter であり、Governor(調

速機)でもある。Energy 素材として条件は整っているが利用するに当たり条件が整ってい

るかと言えば非常に課題も多い『不便で・効率が悪く・価格が高い』しかし利点として地

球環境に優しく、バランス良く利用すれば再生可能な循環型で枯渇の心配がない energy で

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あり繰り返し利用可能な夢の energy でもある。

角度を変えて森林自然を見れば森林を育てるため投資した多くの国費を(税金)回収し

有効な資源として利用することで環境対策費・雇用対策費として安全・安心購入費として

の位置付けで価格判断をすれば国産材市場の低迷する中で喘ぐ林業の活性に貢献し放置材

の有効利用が可能となる、安全は利益であり価値ある商品である(証券と言う紙屑より価

値観が高い)チップ価格を上げることで林業従事者の生計を支える事に繋がる。

エネルギー視点から見た適正価格

燃料チップ価格の算定は今後、軌道修正が必要で従来の木質燃料の算出は根底に大きな

間違いがあると考えている、先ず Bio mass energy 利用には大きな initial cost が必要

である、とすれば燃料単価は重油・灯油に比べ安価でなければならない、Bio mass

energy 利用の基本は林業側生産者と燃料生産者そして energy 利用者の利益分配に key

point があると思う特に林業側生産者に利益を配分し企業として成り立つよう努力する事

が課題である。

Bio mass energy 利用の始まりが小規模火力発電・温泉・温水プールの昇温・温室栽

培等の熱源として、製材端材である背板の処分・建築廃材の焼却処分が主たる目的であり

燃料としての位置付けと異なる。したがって燃料価格は極端に安く設定できた。全国的に

林地残材があふれ未利用材と言う大量の放置材が生まれる結果に繋がった。boiler と

incinerator とが混同されたことで Bio mass energy 利用は林業側生産者の利益配分が

出来なかったが Bio mass energy の将来は技術の進化と発想の転換で安全で安価で化石

燃料を超える energy として環境対策・雇用対策と安全・安心を兼ね備えた energy として

利用され、林地残材が energy 源として広く利用され化石燃料と同様燃料としての動きを始

めることを期待し確信している。

「木材チップの効率的運用」

Bio mass boiler の排気(exhaust)は通常運転時 150℃~220℃で大気に放出される

この energyを回収して他に熱利用すれば熱効率は上がり仕事量が増えると同時に燃料価格

は仕事量に対し安価になり化石燃料を超える事が可能となる。

化石燃料も排気ガスの持ち出す熱量は同じであるが化石燃料の排ガスには硫黄(sulfur)が

含まれるため低温腐食(硫酸)の問題が生じ利用できないが Bio mass boiler の排気は

低温腐食限界の制約を受けないため低い温度まで有効に利用でき、したがって熱効率を高

めることが出来る。

Bio mass boiler による発電について

電気 energy は利便性に優れ、動力源・熱源(冷暖)照明・通信等あらゆる目的に転換が

容易で配送が簡単に送電網を通じ目的の場所までの移動が可能、質の高い energy である。

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発電手段は多種あるがいずれも熱効率は低く発電のみを目的とした熱利用は中・小型では

難しく、発電と複合した形でのみ検討対象となる。

rotary engine・turbine engine・reciprocating engine いずれも熱効率(発電)は15

~20%台で発電以外の低圧・低温域の負荷が主たる目的の場合には可能性がある

「エネルギー視点から見た森林価値」

丸太原木主に杉・ヒノキの間伐材を指す建築材に適合しない大曲・鹿害・巻き込み・腐

れ・虫食い・小径木等の林地残材は生かされてこなかった、失業・若者の就職難・生活保

護受給者の急増は今や毎日耳にする社会現象と言える。臨時雇用対策費より新たな雇用の

創生が求められる、林地残材を生かせば energy として有効に生かされ森林再生環境対策と

して十分な役割を果たす『不便利で・効率が悪く・価格が高い』木質エネルギーを受け入

れ、 後退する勇気が必要な時が来たと思う、「優れた登山家・冒険家の条件は勇気を持っ

て後退する決断だと言われる」

杉・ヒノキの間伐丸太原木の持つ熱量は

丸太原木1立方米(1 ㎥)を木質(燃料チップ)にすると 2.8 ㎥の嵩になり

含水率 DB:50%の場合杉ヒノキに関わらず発熱量は 528000kcal となる灯油 1 litter

の発熱量 8216 kcal で割ると約 64.3 litter となり丸太原木1立方米(1 ㎥)の発熱

量は 180 litter の灯油(ドラム缶1本に相当する)

林地放置材(未利用材)現場写真

写真を見るとこれが油田に見えて来る搬出し energy としてでも生かしたい、森林資源は

地球の財産であり技術と知恵で活用の道を拓くのが使命だと感じている。

林地残材の有効利用が可能である(助成金で育てた森林資源の有行利用に繋がる)

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限りある化石燃料の枯渇延命に繋がる

外貨流失の節減に繋がる

市場動向に影響されない energy 利用の試算・計画が可能となる

雇用の創生に繋がる

環境維持・二酸化炭素削減に貢献できる

小型分散化発電により災害・震災の risk が回避可能であり譲り合い助け合いが容易になる

森林資源は人類に開拓の夢と希望を与え続ける貴重な資源であるばかりでなく地球環境

を整える資源であり地球上、総ての生命体共有財産として調和と協調の精神を忘れてはな

らない。

2010. 9 6

 これを島内に先駆けて取り入れたのが美津島町にある温浴施設「湯多里ランドつしま」です。 ここでは、経営再建の一つとして対馬にある資源の有効活用や値段の高い化石燃料削減が期待される木質バイオマスを2005年に導入しました。山から伐採された木材を製材所でラミナー(集成材の用材)加工する際に出る背板の部分(通常は産業廃棄物になる)をチップ化しボイラー燃料として活用しようというものです。

山から切り出された対馬産木材

製材所でラミナー加工され端の部分が削られます。製材製品に対する背板の割合は50%です。

商品価値のない端の部分は、ほぼ廃棄されていました。

これをチップ状にします。

チップは直径6メートル高さ2.5メートルのサイロへ。

自動供給装置でボイラーにチップを投入できます。

チップボイラーです。化石燃料を全く使わず、24時間無人運転されています。

自動制御装置で常に最適な燃料と空気バランスで燃焼します。

木質バイオマスによる熱源で温泉・温水プール・室内暖房をまかなっています。  

木質バイオマスのシステム

・対馬にあふれている木材(端材・背板等)の有効活用で化石

燃料がいらない。 

・チップの輸送コストを考慮しても安価で燃料を調達できる 

・焼却灰は農業肥料になる。 

・地元の産物を積極的に活用することで林業関係などへの雇

用につながる。 

・カーボンニュートラル(※注)で環境にやさしい。 

(※注)カーボンニュートラル:チップバイオマスから放出されるCO2は、もともと大気中の炭素原子を植物が光合成による化学反応で取り込んだものを燃焼により放出したものです。したがって大気中のCO2量の出入りに変わりはなく炭素は一定に保たれるのです。バイオマス燃料は、炭素一定の循環型エネルギーとして自然の流れの中で継続することができます。

 木質バイオマス導入に当初から関わり、この施設のテクノアドバイザーでもある阿比留萬通男さんは、「対馬にある資源を対馬の発想(新たな仕事を生み出す)で、対馬の知識(市民の持てる力で新たな道を開拓)で、対馬の技術で(高度な技術ではなく対馬の技術が活かされる環境)、対馬に利益が戻るしくみをつくらねばならない。地域資源を有効活用した循環型の木質バイオマスエネルギーを活かし、対馬の新たな可能性の開拓が今後の目標となる。木質バイオマスの可能性は広く小型分散化発電や温室農業(季節外野菜栽培)、木材や椎茸の乾燥、水産養殖などにも利用が可能。海上輸送コスト・化石燃料の価格差を解決するには安価で安定的なエネルギー利用が大きな役割を果たすと考えられます」と話します。

新エネルギーの中で注目されている一つが木質バイオマスです。

木質バイオマスのメリット  

施設のバイオマス設置以前の燃料は灯油でした。 4年半の灯油代削減額は7,026万円(2010年5月3日の価格で計算) CO2の削減量は1,713トン 

総熱量/kw  

1,595,593.4 

1,506,584.3 

1,345,976.4 

1,309,055.1 

765,983.1 

6,523,192.3

 

2006年 

2007年 

2008年 

2009年 

2010年 

合 計 

総熱量/kcal  

1,372,210,324 

1,295,662,498 

1,157,539,704 

1,125,787,386 

658,745,466 

5,609,945,378

灯油換算値(R) 

167,017 

157,700 

140,888 

137,024 

80,178 

682,807

CO2削減量(kg) 

419,212.1 

395,826.7 

353,629.8 

343,929.4 

201,246.8 

1,713,845

木質バイオマス導入後の灯油とCO2削減効果 

どれくらいの経費削減に? 地球に優しくなるの? 

ま つ お

森林資源の循環利用によるカーボンニュートラルin対馬<地産地焼:対馬産の木を対馬で熱エネルギーとして製塩利用> 間伐材(未利用材) 間伐材(利用木材) 端材(有効利用) 製材(木材資材)販売 対馬の人工林

長崎県対馬の海水をバイオマスボイラーの

熱を利用して平釜で海水を煮詰め塩を結晶

化させます。

チップ製造機械

バイオマスボイラー本体 チップ投入口 チップ燃焼(炉内) バイオマスボイラー ㈱白松 浜御塩工房竹敷

CO2 二酸化炭素 森の木は、燃焼or微生物分解(土に

還る)によりCO2を排出します。

O2 酸素 森は、光合成により成長し二酸

化炭素を酸素に変換します。

カーボンニュートラル 実質CO2排出量ゼロ

製材利用 部分

木は、炭素の缶詰と呼ばれ、沢山のCO2を蓄積しています。

間伐:人工林は、木の成長に合わせて周りの木を伐採することにより光を取込む作業

チップサイロ内部