1

抗体抗原反応評価方法

九州工業大学工学研究院

物質工学研究系 応用化学部門

教授 竹中 繁織

2

開発背景：抗体抗原反応評価の重要性

例えば・・・

歯周病 関節リウマチ ガン 心臓病 糖尿病

様々な炎症反応にも関与している。

TNF-α

健常者の動脈血漿にはTNF-αが1.2から130 pg/ml

⇒炎症反応を起こすと、濃度が100倍から1000倍増加1)

1)T. Huang et al., J. Am. Chem. Soc., 130, 17095(2009).

TNF-αを簡便且つ定量的に検出することは 臨床検査において重要

3

従来技術とその問題点 〇抗原抗体反応評価方法（従来技術）

蛍光抗体法 ラジオイムノアッセイ エンザイムイムノアッセイ

ウエスタンブロッティング法

測定熟練者の技術

特殊な検出装置 特殊な試薬

簡便（→キット化可能）

多検体測定（→スクリーニング向き）

ELISA法 イムノクロマト法

測定時間 3時間以上 15分程度

操作 洗浄などの操作が必要 一段階

判定 装置による測定 （プレートリーダー）

目視

測定値 定量的 定性的

問題点 手間と時間がかかる 感度と定量性に欠ける

〇ELISA法とイムノクロマト法の比較

4

提案する新技術

電気化学エライザ法 MM e-ELISA

Membrane-based Microwave mediated e-ELISA

MM e-ELISAの検出原理

固定化時間の大幅短縮化

酵素反応

洗浄 (B/F分離）

含む 1分30秒 30分

5

6

検出下限 0.48pg/mL

Absorbance (405 nm)

Cur

rent

/ A

健常者

歯周病患者

③ELISAと電気化学的手法の比較

MMe-ELISAと従来法ELISAに相関がある（③）

歯周病患者と健常者に有意な差がある(②)

MM e-ELISAにより

☆高感度にTNF-αを検出可能 ☆臨床診断への適用可能

N 6 7 8 9 10 15 16 17 19 20 P

MM e-ELISAによる歯周病診断の例 ①炎症性サイトカイン(TNF-α)による検討

健常者

歯周病患者

②臨床サンプル(歯肉溝浸出液, GCF)の検出

有意差

10-8

10-7

10-6

10-5

10-1 100 101 102 103 104

Cur

rent

/A

[TNF-a] / pg/mL

7

MM e-ELISAと従来技術との比較

MM e-ELISA

Human TNF-α

ELISA 法 Human TNF-α 計測キット

イムノクロマト法 前立腺特異抗原 PSA計測キッ

ト

A社 B社 C社 D社 E社

感度 0.5-2000pg/ml

4-500 pg/ml

25-800 pg/ml

0.5-32 pg/ml

検出下限

4ng/ml 検出下限

0.2ng/ml

サンプリング方法 歯肉溝浸出液 細胞培養液、血清、血漿 血液

血液・血漿・血清

計測時間 ＜1時間 Abt. 30時間 3時間40分 3時間 ※1週間 ＜15分

コスト 低コスト化

可能 （検出機器を含め）

2 plates (includes plates)

￥34,500

1×96well ¥92,000

※お問い合わせ ¥4,000／

回 ※実用化中

判定 Electro-chemical

Colorimetric (Microplate Reader)

Colorimetric (Microplate Reader)

Colorimetric (Microplate Reader)

専門機関に郵送 目視

〇メリット ×デメリッ

ト

◎低侵襲 ◎高感度 ◎広い感度域 〇計測時間 〇低コスト △操作性

〇キット化 〇高感度 ×計測時間 △操作性

〇広い感度域 ×高価格 ×計測時間 △操作性

◎高感度 △感度域 ×計測時間 △操作性

〇易操作性 ◎低コスト ×感度

〇易操作性 ◎計測時間 ×感度

8

想定される用途 エンザイム

イムノアッセイ ELISA

イムノクロマト法

計測時間の短縮化 広いダイナミックレンジ

汎用性・易操作性 高感度・高精度

MM e-ELISA

●実験による検証済 ・歯周病の臨床サンプルからのTNF-α検出 ・鳥インフルエンザウィルス核タンパク質(NP) 認識抗体の検出 ・ヒト TNF-α, IL-β検出 ●その他の用途 ・インフルエンザウイルス検査キット→高精度化 ・妊娠検査 ・細菌検査（アデノウイルス、 ノロウイルス、インフルエンザウイルス）

健康診断 口腔衛生検査 歯周病診断 水質検査

様々な抗原抗体反応の評価に適用可能

診断・看護などの医療現場で行う臨床検査であり、医療スタッフが行う簡易検査だけでなく、患者自身が行う自己検査も含まれている。

抗原・抗体を用いた検出法がPOCTへ応用されている。 Point of care testing (POCT)

9

実用化に向けた課題

現状の課題 ① B/F分離が必要＝操作に手間がかかる ② イムノクロマトのようなコンパクト性が無い

一体型・小型化 汎用性・易操作性の向上

次の挑戦：MM e-イムノクロマトグラフィー

MM e-ELISAにより、抗原抗体反応の・測定時間の短縮化 ・高感度化・広いダイナミックレンジを達成。 さらに、本手法は電気化学計測であるので、測定装置は小型化が可能 →Point of care testing (POCT)に適用できる

X pg

一体型計測装置イメージ

10

イムノクロマトの光学的検出部を 電気化学検出部 に置き換え

開発構想

11

予備検討

12

*****本技術の展開*****

①ポイントオブケアでの使用を目指し ★小型化・汎用化の造り込みを希望

②用途の拡大 ★九州工業大学の医歯工学連携体制により、臨床試験も可能です！

③抗原抗体反応評価のさらなる高度化 ★実用的で、信頼性の高い診断につなげる

免疫学的検査用試薬の製造・販売メーカーとの共同開発を希望

光学検出系ではなく、電気化学検出系なので 電気化学検出の装置を造り込む技術を持つメーカーとの共同開発を希望

（例えば）毎年流行するインフルエンザウイルス検出の高精度化を目指し、多くの人が信頼して使える製品の共同開発を希望

企業への期待

13

本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 ：抗原抗体反応評価方法 • 出願番号 ：特願2013-142085 • 出願人 ：九州工業大学･西原達次 • 発明者 ：竹中繁織、西原達次

14

お問い合わせ先

九州工業大学

イノベーション推進機構

リサーチ・アドミニストレーション・センター URA 小川 由紀子

ＴＥＬ 093－884－ 3565

ＦＡＸ 093－884－ 3565

e-mail ogawa-y＠ccr.kyutech.ac.jp