これまでの常識は捨てるべし! クラウド時代の理想の企業ネット...
TRANSCRIPT
6 テレコミュニケーション_October 2017 7テレコミュニケーション_October 2017
PRこの内容は「通信」の力でビジネスを進化させるための情報サイト「business network.jp」でもご覧いただけます。http://businessnetwork.jp/
● パブリッククラウドの利用が急速に広がっていますが、その基盤となるネッ
トワークの見直しをせずにクラウドを
導入した結果、十分なパフォーマンス
が出なかったり、つながらないといっ
たトラブルに見舞われるケースも増え
ていると聞きます。現在のユーザー企
業の状況について教えてください。
長谷部 ネットワークに課題を抱えているお客様は実際に多くて、当社へのご相談も非常に増えています。 クラウドへの接続形態には大きく分けて、①クローズドなWANからつなぐタイプと、②お客様拠点からインターネットでそのままつなぐタイプの2つがあり、また①については、クローズド網からインターネットゲートウェイを通じて接続する形態と、そこからさらにクラウドへダイレクト接続する形態があります。我々の基本的な提案としては、クラウドを利用するために必要な機能・性能を満たした形で提供できる①のタ
イプをお勧めしています。 ただし今後は、②も増えていくでしょう。その場合も当然ながら、ネットワークの見直しは不可欠です。
ネットワークの検討こそ最優先に!検討の工程から抜本的に見直そう
● ネットワークの再設計を行うことがクラウド導入の大前提ということですね。
その際に気を付けるべきポイントは何
ですか。
正岡 ネットワークのことはあまり考慮せずに、オンプレミスを前提とした従来のネットワークのままクラウドを導入するお客様が多いのが実情です。 ネットワークの検討が後回しになりがちなことが一番の問題ですね(図表参照)。「どのSaaSを使うのか」が優先された結果、いざ導入する段階になってトラブルが起こるというケースが増えています。 この優先順位を見直して、クラウド導入検討の早い段階でネットワークの検討を行い、クラウドとネットワークを一体として設計することをお勧めしています。 また、ネットワークの検討についても、
SD-WANのようなソフトウェア技術を活用したソリューションの採用が今後は増えてきますが、その場合の導入検討の工程も変える必要があると考えています。 従来はまず要件定義を行い、導入するソリューションを選定し、それから検証・評価するという流れで行っていたと思います。しかし、これからは、要件定義の後にまず評価・検証を行うといったように、早期にネットワークの検討を行うことがとても大切になります。
● とはいえ、ユーザー企業にはネットワークに精通した人員が不足していま
す。この現状も問題です。
正岡 その通りですし、クラウド導入時のインテグレーションを行う側にも問題があります。通常は、IaaSやSaaSはクラウドインテグレータが、ネットワークは通信事業者が導入設計を行いますが、この連携が密でないと一元的に対応できません。長谷部 この問題を解決するために、我々は昨年から、クラウドもネットワークも一元的に設計・導入支援を行うコンサルティングサービスを提供しています。これがかなり好評です。 同じクラウドでも、お客様によって使い方や利用量は異なるので、ネットワークも実際の使い方に合わせて設計する必要があります。しかし、お客様にもクラウドインテグレータにも、そのノウハウが不足しています。 我々がこの導入支援サービスを始め
インタビュー
これまでの常識は捨てるべし!クラウド時代の理想の企業ネットとは企業ネットワークが変革期を迎えようとしている。引き金はパブリッククラウドの普及だ。これにより、ネットワークに対するニーズも、設計・構築、運用方法も、従来のオンプレミス型中心の時代とは大きく変わる。では、クラウド時代の企業ネットワークとはどうあるべきなのか。ユーザー企業の悩みに日々接しているNTTコミュニケーションズに聞いた。
てからはトラブルもかなり減りました。当社のSEがクラウドとネットワークを提供するなかで学んだノウハウを活かしています。 この導入支援サービスは現状、AWSやMicrosoft Azure等へのダイレクト接続をご利用のお客様向けに提供しているものですが、それ以外のケースでもSIサービスとしてご提供が可能です。
閉域網とインターネットの使い分けポイントは統合管理と可視化
● パブリッククラウドの利用が本格化するには、企業のネットワークも従来
のクローズド網を主体としたものから
変化していく必要があると思うのです
が、現状はどうですか。
長谷部 オープンなインターネットでパブリッククラウドをどんどん使う。そうしたお客様も、特に世界中で事業を展開されるグローバル企業で出てきています。国内はVPNで構築しながら、海外拠点はインターネットを使うといった組み合わせ、使い分けも多く見られます。
● インターネット/クラウドへの接続形態として、これまでは本社などにいっ
たんトラフィックを集約する「一極集中
型」が主でした。この構成を、各拠点
からダイレクトにインターネットに接続
する「ローカルブレイクアウト」の構成
に変えることでトラフィックの集中を回
避することができます。そのように構
成を変える動きは出てきていますか。
正岡 現状ではあまり変わっていません。ただし、例えばSD-WANを使って、パブリッククラウド向けの通信だけを各拠点から直接抜けさせる構成を検討し始めるお客様は出てきています。
● そのような使い分けを行う場合に、留意すべき点について教えてください。
長谷部 利用するネットワークも、クラウドへの接続形態も多様化しますので、それら全体を共通のポリシーで管理することが重要です。ポリシーを統一することによって、従来通りのクローズドなネットワークを使いながら、ローカルブレイクアウトも可能になり、柔軟性の高い企業ネットワークが実現できるようになります。 もう1つ、ネットワークの品質や、誰がどのアプリケーションを使って何をし
ているのかという利用状況を可視化することも重要です。正岡 注目度の高いSD-WANの導入を考えているお客様の中でも、アプリケーションを見える化したいというニーズが高まっています。 今や、部署・組織によって様々なSaaSを使うお客様も珍しくなく、そのため接続ルートも複雑化します。メール/グループウェアといった日常的に使うアプリケーションもどんどんSaaS化しており、依存度が高くなっている今、いざトラブルが発生した場合に迅速な対処を行うには、アプリケーションとネットワークの状況を可視化しておく必要があるとお客様も認識されているのだと思います。
● 音声通話やビデオ会議といったリアルタイム性の高いアプリケーションも
パブリッククラウドを利用するケースが
出てきています。最後に、そうしたクリ
ティカルな分野でクラウドを使う場合
についてのアドバイスをお願いします。
長谷部 クリティカルなアプリケーションを用いる場合は、揺らぎや遅延・品質などを早期に評価した上で、クラウドを意識して経路・アクセス回線の設計をすべきです。 また、分散化、冗長化もやはり重要です。何かあったときにすぐにスイッチできる環境を用意しておくことが大切です。
Web Review
図表 よくあるクラウド導入の検討プロセス(例)
現状の業務/システムを分析
利用クラウドの調査
新業務/システムのイメージ具体化
導入効果の算定
リスクの洗い出し
推進体制
導入プロセスの決定
機能仕様策定
性能の検討
1
2
3
4
5
6
7
8
9
析分状現
プロトタイプでの調査
運用方式の検討
セキュリティ仕様の策定
データ移行方式の検討
ネットワークの検討
調達仕様の提示
サービス仕様・SLAの評価
事業者の安全・信頼性評価
責任範囲の明確化
10
11
12
13
14
15
16
17
18
わりと後工程
クラウドからネットワークまで一体で設計・構築、管理が必要NTTコミュニケーションズネットワークサービス部 販売推進部門 担当部長
長谷部 克幸氏
評価・検証が後回しではダメ導入検討の工程も変えるべき
NTTコミュニケーションズネットワークサービス部 販売推進部門
ネットワークビジネスエキスパート
正岡 毅氏
©2017 Microsoft Corporation. All rights reserved.・記載されている会社名、製品名、ロゴ等は各社の登録商標または商標です。・製品/サービスの仕様は予告なく変更することがあります。あらかじめご了承ください。・本冊子は情報提供のみを目的としています。Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。・本冊子の内容は、2017年9月現在のものです。