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本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と対応) 平成29年4月 栃木県教育委員会

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本県教職員の不祥事の撲滅を目指して(分析と対応)

平成29年4月

栃木県教育委員会

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はじめに

昨年度中、本県教育の信頼を揺るがす重大な不祥事が連続して発生いた

しました。児童生徒の模範であるべき教職員が不祥事を起こしたことは、

大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

求められているという基本中の基本を自覚できない教職員が、一部とはい

え存在するということは、本県学校教育に対する県民の信頼を大きく損な

うという危機的状況につながるものと考えます。

そこで、第三者による「信頼される教職員の在り方検討委員会」を設置

し、不祥事発生の要因や予防策について、3回にわたって検討していただ

きました。その結果として、本検討委員会からは、「教職員としての自覚を

高める」、「人権意識の高揚を図る」、「危機意識を高める」、「望ましい職場

風土の醸成を図る」の4つの不祥事防止に向けた提言をいただきました。

それぞれの提言においては、現状における課題や、改善のための取組に関

する視点も明示されております。

県教育委員会といたしましては、検討委員会からいただきましたこれら

の提言に基づき、具体的な対応策を盛り込み、不祥事防止に向けた新たな

資料として「本県教職員の不祥事の撲滅を目指して(分析と対応)」を作成

いたしました。また、本冊子には、過去10年間の懲戒処分等の発生状況

の分析と考察、研修資料等も掲載いたしました。

各学校におかれましては、本冊子を熟読の上、研修資料等についても御

活用いただきながら、不祥事の根絶に向けた取組をより一層充実させ、信

頼される学校づくりに御尽力くださいますよう、お願いいたします。

末筆ながら、今回の改訂にあたり、不祥事の根絶に向けて大きな指針を

いただきました「信頼される教職員の在り方検討委員会」の委員の皆様方

に、改めて、心から感謝申し上げます。

平成29年4月

栃木県教育委員会教育長 宇田 貞夫

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目 次

はじめに

Ⅰ 不祥事防止に向けて ・・・・・・ 1

1 信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言〈概要版〉 ・・・・・・ 2

2 提言に基づく具体策 ・・・・・・ 3

(1)「教職員としての自覚を高める」 ・・・・・・ 4

①視点1「教職員としての責任と誇り」について

②視点2「規範意識の高揚」について

③教職員としての自覚を高めるための具体的な取組について

(2)「人権意識の高揚を図る」 ・・・・・・ 7

①視点1「人権感覚を磨く」について

②視点2「ハラスメントに関する認識の共有」について

③人権意識の高揚を図るための具体的な取組について

(3)「危機意識を高める」 ・・・・・・10

①視点1「不祥事を自分の問題として捉える」について

②視点2「研修の充実と工夫」について

③危機意識を高めるための具体的な取組について

(4)「望ましい職場風土の醸成を図る」 ・・・・・・13

①視点1「生き生きと働ける職場環境づくり」について

②視点2「多忙の解消」について

③望ましい職場風土の醸成を図るための具体的な取組について

Ⅱ 研修 ・・・・・・16

1 不祥事の未然防止に重点を置いた取組の年間計画例 ・・・・・・17

2 不祥事で問われる責任と及ぼす影響 ・・・・・・18

3 研修事例

(1)研修用ワークシート

①わいせつ行為等 ・・・・・・19

②体罰 ・・・・・・21

③個人情報の紛失 ・・・・・・23

④飲酒運転 ・・・・・・25

⑤速度違反 ・・・・・・27

⑥公金の不適切な処理 ・・・・・・29

(2)管理職用資料 ・・・・・・31

4 不祥事防止のためのチェックシート ・・・・・・37

Ⅲ 参考資料 ・・・・・・46

1 信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言 ・・・・・・47

2 不祥事の発生状況

(1)年度別懲戒処分等件数 ・・・・・・55

(2)不祥事の種別ごとの発生状況

①体罰の発生状況 ・・・・・・58

②わいせつ行為等の発生状況 ・・・・・・64

③交通事案の発生状況 ・・・・・・68

④個人情報の不適切な取扱いに係る事故の発生状況 ・・・・・・78

3 各学校におけるコンプライアンス意識の実態把握調査及び対応策のまとめ・・82

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Ⅰ 不祥事防止に向けて

平成28年11月から、3回にわたり「信頼される教職員の在り方検討委

員会」を開催し、平成29年3月17日に教職員の不祥事発生の要因や予防

策について提言をいただきました。この提言を踏まえた不祥事の未然防止に

係る具体的な取組例を以下に示します。

記載内容は、以下のとおりです。

1 信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言〈概要版〉

◇提言の概要版です。

提言の詳細については、Ⅲ 参考資料 1 信頼される教職員の在り

方検討委員会からの提言を御覧ください。

2 提言に基づく具体策

◇提言を受けての具体的な取組の例を一覧として示しました。

◇提言ごとの各視点について、検討委員会の意見、コンプライアンス・

チェックによる自校診断結果、不祥事を起こした者の話などを組み

込んで解説しています。(①②)

【課題】は、提言で示されたものです。

◇提言に基づく具体的な取組を例示したものです。(③)

【望まれる対応】は、提言で示されたものです。

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1 信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言 〈概要版〉

【提言1】教職員としての自覚を高める

○視点1 教職員としての責任と誇り

課題 責任感の希薄さが見られる。

○視点2 規範意識の高揚

課題 倫理観や規範意識に対する考え方に甘さが見られる。

【提言2】人権意識の高揚を図る

○視点1 人権感覚を磨く

課題 人権に対する配慮が不足している。

○視点2 ハラスメントに関する認識の共有

課題 無意識にハラスメントを行っている。

【提言3】危機意識を高める

○視点1 不祥事を自分の問題として捉える

課題 不祥事を起こす可能性は誰にでもあるという認識が不足している。

○視点2 研修の充実と工夫

課題 研修内容が教職員に浸透しにくい。

【提言4】望ましい職場風土の醸成を図る

○視点1 生き生きと働ける職場環境づくり

課題 教職員としての充実感が得られない。

○視点2 多忙の解消

課題 十分なコミュニケーションを図る余裕がない。

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2 提言に基づく具体策

提 言 行政の取組 学校で考えられる取組の例

視点1 教職員としての責任と ○大学等と連携した ○管理職による職業倫理に関する指導誇り 教員の資質向上に ○責任感や倫理観の高揚を図るための OJT

【課題】 関する取組 の推進責任感の希薄さが見られる。 ○学校支援地域本部の取組等を活用した地

○受講者の主体性を 域に開かれた学校づくり重視した服務に関 ○コンプライアンス・チェックによる自校

視点2 規範意識の高揚 する研修の工夫 診断結果の分析に基づく対応【課題】 ○公金の管理や個人情報の取扱いなどに関倫理観や規範意識に対する する校内規定の確認と遵守の徹底考え方に甘さが見られる。 ○折りに触れてのコンプライアンス意識に

関する指導

視点1 人権感覚を磨く ○人権意識を高める ○指導主事等専門家を招いた研修の実施【課題】 研修の実施 ○人権教育担当教員が中心となった研修の人権に対する配慮が不足し 実施ている。 ○人権教育に関する ○人権尊重の視点に立った校内環境づくり

資料等による啓発 ○各種資料、チェックシートの活用○日常の実例をもとにした、ハラスメント

視点2 ハラスメントに関する に関する意識の共有認識の共有 ○各種相談窓口の周知と効果的な活用

【課題】無意識にハラスメントを行っている。

視点1 不祥事を自分の問題と ○具体的事例を盛り ○ヒヤリ・ハット事例を共有するための資して捉える 込んだ研修資料の 料の活用

【課題】 作成と提供 ○ミドルリーダーを中心としたボトムアッ不祥事を起こす可能性は誰 プによる不祥事の未然防止に係る校内ルにでもあるという認識が不 ○リスクマネジメン ールの策定足している。 トの考え方に視点 ○管理職による教職員の心に響く指導

をおいた研修の充 ○研修に使用できる資料等の収集・提示実 ○ロールプレイング等の手法を取り入れた

視点2 研修の充実と工夫 参加体験型の研修の実践【課題】 ○時宜を捉えた研修の実施研修内容が教職員に浸透しにくい。

視点1 生き生きと働ける ○教職員評価制度に ○管理職の助言と賞賛職場環境づくり 関する管理職への ○ミドルリーダーを中心としたチーム意識

【課題】 研修の充実 の高揚や職場の雰囲気づくり教職員としての充実感が得 ○校内の業務内容の整理られない。 ○学校の業務改善方 ○教職員一人一人の資質・能力を生かした

策の検討 適切な業務分担○ストレスチェック結果の活用等

視点2 多忙の解消 ○教職員自身が悩みを相談できる体制づく【課題】 り(管理職、同僚、SCなど)十分なコミュニケーションを図る余裕がない。

教職員としての自覚を高める

(1)

人権意識の高揚を図る

(2)

危機意識を高める

(3)

望ましい職場風土の醸成を図る

(4)

3

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(1)「教職員としての自覚を高める」

① 視点1「教職員としての責任と誇り」について教職員は、児童生徒の人格の完成を目指し、その資質の向上を促すという重要な職

責を担っている。教職員は、いつの時代にあっても広く社会から期待を寄せられ、児童生徒や保護者から信頼される存在でなければならない。

コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について「教職員としての強い使命感と高い倫理観が求められていることを自覚し、行動している」と回答している教職員の割合はどの校種においても高く、ほとんどの教職員は、日々の教育活動に真摯に取り組んでいると考えられる。

しかし、現在、一部の教職員による不祥事は後を絶たず、社会の信頼を大きく失う結果となっている。

【不祥事を起こした教職員の話】○法に触れるとは分かっていたが、自分は大丈夫だろうと軽く考えていた。○今になって考えると、多くの人の信頼を裏切ってしまったと思う。○どうしたら周りの人たちの信頼を取り戻せるか分からない。子どもたちや保護

者にも顔向けできない。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、次のような課題が考えられる。

【課題】 責任感の希薄さが見られる。

② 視点2「規範意識の高揚」について教職員は、児童生徒の手本となる存在として、高い倫理観と規範意識を備えていな

ければならない。しかし、現状として「これくらいならいいだろう」「見つからなければ大丈夫」といった倫理観や規範意識に対する考えの甘さが、不祥事につながる例がある。

コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について「個人情報を校外に持ち出す場合には、記憶媒体にパスワードを設定するなど、個人情報についての取扱を徹底している」「現金を個人の机やロッカーの中に保管しないようにしている」と回答している教職員の割合は他の項目と比較して低い結果となっている。

【不祥事を起こした教職員の話】○ルール違反であることを知りながら、学校で終わらない仕事を無断で家に持ち

帰った結果、生徒の個人情報を盗まれてしまった。自分は大丈夫だと思っていた。

○法に触れることは知っていたが、自制することができなかった。○早く家に帰りたいという安易な考えで、ついスピードを出してしまった。

このような現状や不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、次のような課題が考えられる。

【課題】 倫理観や規範意識に対する考え方に甘さが見られる。

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③ 教職員としての自覚を高めるための具体的な取組について

【望まれる対応】○教職員は、自らの言動が児童生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすことを再確認するよう努める。

○管理職や行政は、児童生徒や保護者からの信頼を獲得するためには、教職員一人一人が責任と誇りをもって教育活動にあたる必要があるということを自覚させる取組を行う。

○教職員は、過去の不祥事に関する事例からだけではなく、不祥事につながる可能性がある普段の自分たちの言動にはどのようなものがあるかという視点からも学ぶように努める。

○校長は、コンプライアンス・チェックシートを活用するなどして、見落としがちな点も含め、必要な課題については重点化しながら、教職員の規範意識を高める取組を行う。

【具体的な取組例】

ア 管理職による職業倫理に関する指導・管理職は、朝の打合せや職員会議など機会あるごとに、「とちぎの求める教

師像」をもとに、教職員としての責務と使命感・倫理観についての自覚を促すための指導を行う。

・管理職は、教職員に対して、教育公務員としての立場を意識し、勤務時間外においても自らを律した上で行動する必要があることを適宜伝え、意識させていく。

イ 責任感や倫理観の高揚を図るためのOJTの推進・勤務中のあらゆる場面をOJTの機会と捉え、教職員の責任感や倫理観を、

組織的・継続的に高めていく取組を行う。・若手教職員が、目標とする教職員を具体的に設定できるような場をつくる

とともに、自分の力量を高めていくためにどのような努力をしていくべきなのか考えられるような機会を設ける。

・若手教職員に対して、必要に応じて手本となるような中堅教職員の相談役を付け、教科指導だけでなく、生活面も含めた幅広いアドバイスや指導を行えるようにする。

・教職員に対する効果的な「褒め方」や「叱り方」について、正しい認識をもつ。

ウ 学校支援地域本部の取組等を活用した地域に開かれた学校づくり・地域との懇談会や情報交換を積極的に行う。・学校関係者評価を活用するなどして、地域住民の声を積極的に取り入れる。

エ コンプライアンス・チェックによる自校診断結果の分析に基づく対応・コンプライアンス・チェックシートを用いて、定期的に自校の診断と適切な対応を行う。

・管理職は、PDCAサイクルを意識し、常に校内のコンプライアンスの状況が適正な状態に維持されるように努める。

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Page 9: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

オ 公金の管理や個人情報の取扱いなどに関する校内規定の確認と遵守の徹底・管理職は、校内ルールが適切に機能しているかどうかを確認し、必要に応じて見直しを行う。

・校内ルールが十分に守られているかどうか、全職員で定期的に確認を行う。・自治体の会計担当者や情報管理を行う職員等を講師に招き、公金の管理や個人情報の取扱いについての研修を行う。

カ 折りに触れてのコンプライアンス意識に関する指導・管理職は、事例を用いた研修を行う際には、法令や周りに与える影響などを含め説明する。

・行動規範カード等を職員証に入れるなどして意識付けを行う。

キ 大学等と連携した教員の資質向上に関する取組・一部改正された教育公務員特例法に基づき、教職を担うに当たり必要とな

る素養(倫理観等)について関係大学等と協議し、校長及び教員等の資質向上に関する指標や、教員研修計画を策定する。

ク 受講者の主体性を重視した服務に関する研修の工夫・行政は、法定研修等において、話合い等の活動を行い、受講者が自ら考え、

表現する機会を設け、考えを深められるようにする。

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(2)「人権意識の高揚を図る」

① 視点1「人権感覚を磨く」について

教職員は、児童生徒の人権感覚を醸成する立場にあり、自らにも鋭い人権感覚が求

められる。

コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について、「職員は児

童生徒の人権を大切にし、常に言葉遣いや発言に注意している」と回答している教職

員の割合は、どの校種においても高い結果となっている。

しかし、児童生徒に対する不適切な言動など、教職員の不祥事には、根本的な原因

として人権感覚が身に付いていない場合があり、自分の言動が児童生徒の人権を侵害

していることに気付かない教職員もいる。

【不祥事を起こした教職員の話】

○子どもは、あだ名を受け入れてくれていると思っていた。

○子どもが笑っているから、(不適切な)発言を喜んでいると思った。

○子どもの気持ちを想像する力、共感的に理解する力が足りなかった。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、

次のような課題が考えられる。

【課題】 人権に対する配慮が不足している。

② 視点2「ハラスメントに関する認識の共有」について

教職員は、自身の言動の影響力に鑑み、相手の心情を酌み取った適切な言動を取ら

なければならない。しかし、実際には、ハラスメントに関する認識の不足によって起

きる不適切な言動が不祥事につながることがある。

コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について「職員が児童

生徒を指導する際、怒鳴ったり、威圧的な態度になったりせず、冷静に対応している

と考えている」と回答している教職員の割合は、中学校において85.5%と他の項目と

比較して低い結果となっていることから、体罰には該当しなくても、生徒に対するハ

ラスメントに危機感を抱いている教職員がいると考えられる。

【不祥事を起こした教職員の話】

○生徒が上達するために体に触れて指導することは必要だと思った。

○指導の一環だと思っていたが、管理職から指導を受けて体罰であったことに気

付いた。

○性的な感情は一切なかったのでセクハラだとは思っていなかった。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、

次のような課題が考えられる。

【課題】 無意識にハラスメントを行っている。

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③ 人権意識の高揚を図るための具体的な取組について

【望まれる対応】

○教職員は、人権教育において児童生徒に求めることは自らにも求められるこ

とであるとの認識のもと、自身の人権感覚に磨きをかけていくように努める。

○行政は、学校全体で教職員の人権意識を高揚していくための支援を行う。

○教職員は、児童生徒に対するハラスメントに限らず、教職員間や保護者など

に対するものも含め、該当する可能性のある言動や発生しやすい場面につい

て、認識を共有するよう努める。

○行政は、教職員一人一人がハラスメントについての認識を深められるよう、

具体的な研修資料やチェックシートを提供するなどの支援を行う。

【具体的な取組例】

ア 指導主事等専門家を招いた研修の実施

・学校で行う人権教育の研修に、県教育委員会、市町教育委員会の人権教育

担当の指導主事等を招き、様々な人権問題に関する講話や、アサーション

トレーニング等の研修を実施する。

イ 人権教育担当教員が中心となった研修の実施

・各学校の人権教育担当教員が、研修を受講した成果を校内研修で教職員に

還元する。

・ワークショップ等の手法を用いて、教職員が主体的に取り組める研修を工

夫する。

・児童の権利に関する条約、法令などの理解を深める研修を行う。

ウ 人権尊重の視点に立った校内環境づくり

・言葉の暴力は、児童生徒に対する人権侵害であるとの認識のもと、全職員

で言葉遣いを見直す。

・児童生徒に対しての言動のみならず、職員間の言動に不適切な部分がない

か確認する機会をつくるとともに、お互いに指摘し合える雰囲気づくりに

努める。

・学校全体で、互いの人権を尊重し合う雰囲気を醸成するための取組を行う。

・ハラスメントの防止に関わる掲示物等を職員室に設置するなどして教職員

の自覚を促す。

・児童生徒による評価を、学校評価の自己評価項目に取り入れる。

エ 各種資料、チェックシートの活用

・人権教育指導者用リーフレットのチェックシートを用いて、子どもとの接

し方や日々の指導について振り返る場面を設定する。

・法定研修等で配付された資料を活用し、人権が尊重された雰囲気づくりに

関する研修を行う。

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オ 日常の実例をもとにした、ハラスメントに関する意識の共有

・研修等において、教職員が日常の中で見聞きしたハラスメントに該当する可

能性のある言動について情報交換を行い、意識を共有する。

・教職員一人一人が定期的にセルフチェックを行い、結果を共有する。

カ 各種相談窓口の周知と効果的な活用

・職員間のハラスメントについては、一人で抱え込まず教職員同士で相談で

きる雰囲気をつくるとともに、管理職が積極的に相談窓口としての役割を

担うようにする。また、教育委員会等にも相談できることを周知する。管

理職はハラスメントの訴えがあったときには、適切に対処する。

・児童生徒及び保護者には、年度初めに「体罰等に関する相談窓口」等につ

いて周知する。

キ 人権意識を高める研修の実施

・行政は、要請に応じて人権教育担当者を各学校に派遣し、人権意識を高め

るための研修を行う。

・行政は、法定研修において、教職員の人権意識を高めるための研修を行う。

ク 人権教育に関する資料等による啓発

・人権教育に関わる冊子(「人権の窓」「明日へのびる」)を配付する。

・人権映像作品コンクールのDVDを学校に提供する。

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(3)「危機意識を高める」

① 視点1「不祥事を自分の問題として捉える」について

教職員は、人間のもつ弱さ等を自覚し、自分の言動について襟を正さなければなら

ない。しかし実際には、不祥事は誰もが起こす可能性があること、どの学校でも起こ

りうることとして捉えていないことから不祥事につながる例もある。

コンプライアンス・チェックの結果によると、例えば、自校の教職員について「職

員が携帯電話やSNS等で児童生徒と個人的なやりとりをしないことが徹底されてい

る」と回答している教職員の割合は、県立学校において82.6%と他の項目と比較して

低い結果となっている。このことから、児童生徒との個人的なやりとりについて危機

感を抱いている教職員がいると考えられる。

【不祥事を起こした教職員の話】

○校長からの指導を自分のこととして受け止めていなかった。

○悩みの相談を受けているうちに生徒と関係をもつようになってしまった。

○(飲酒運転は)してはいけないということは分かっていたが、「酔っていない

から大丈夫だろう」と思った。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、

次のような課題が考えられる。

【課題】 不祥事を起こす可能性は誰にでもあるという認識が不足している。

② 視点2「研修の充実と工夫」について

教職員は、知識としての理解に留まらず、不祥事を自らのこととして意識し、研修

しなければならない。不祥事防止に関しては、これまでも校内はもとより、様々な場

で注意喚起や研修がなされてきたが、不祥事が依然として発生している現状に鑑みる

と、全職員までその趣旨が浸透していないと言わざるを得ない。

また、コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について「研修

等によりコンプライアンス意識の高揚が図られるよう努めている」と回答している教

職員の割合は、県立学校においては89.6%と他校種と比較して低い結果となっている。

【不祥事を起こした教職員の話】

○校長からは、昨今様々な問題が生じているので十分気を付けるようにという指

導を受けてきた。指導や研修を生かせなかった自分が情けない。

○研修や指導について、自分自身への意識付けが弱かったと思う。

○体罰は法律でも禁止されていることは分かっていた。意識してきたつもりだ

が結果的にやってしまった。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、

次のような課題が考えられる。

【課題】 研修内容が教職員に浸透しにくい。

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③ 危機意識を高めるための具体的な取組について

【望まれる対応】

○教職員は、誰もが不祥事を起こす可能性があるという視点から、自らを振り

返るよう努める。

○校長は、ヒヤリ・ハットの視点から、日常的に起こりうる小さな問題にも焦

点を当て、教職員一人一人の危機意識を高める取組を行う。

○校長や行政は、教職員が不祥事を起こした場合には、どのような結果が生じ

るのかということをより具体的に想像できるよう研修内容を工夫する。

○行政は、効果的な研修資料を提供するなど学校を支援するとともに、法定研修

等においては、受講者が主体的に考えられる取組を行う。

【具体的な取組例】

ア ヒヤリ・ハット事例を共有するための資料の活用

・教職員が実際に経験したヒヤリ・ハット事例を共有する機会をもつ。

・小グループに分かれて、対応の問題点や発生した要因、職場で取り組める

ことなどを具体的に話し合う。

・日頃から不祥事の予兆や、気になることがあった場合にどうするかなどに

ついて教職員同士で確認しておく。

イ ミドルリーダーを中心としたボトムアップによる不祥事の未然防止に係る校

内ルールの策定

・主任級のミドルリーダーの話合いによる校内ルールの策定や校内リーフレッ

トの作成、配付を行う。

・校内ルールの策定については、管理職の助言のもと、「児童・生徒指導にお

ける複数対応」、「児童生徒との連絡手段」などについてのマニュアル等も

含めて策定することが考えられる。

ウ 管理職による教職員の心に響く指導

・管理職は、不祥事を起こした教職員の逮捕を目の当たりにする家族の驚き

や悲しみ、関係する人たちに及ぼす影響などを実感を伴うよう工夫して伝

える。

・管理職は、優れた指導力を有する教職員でも、不祥事を起こす危険性があ

るという認識をもち、小さな予兆を見逃さない体制づくりを行う。

・管理職は、教職員評価制度における面談等の機会を捉えて、個別の指導も

丁寧に行うようにする。

エ 研修に使用できる資料等の収集・提示

・管理職は、研修に使える資料等を日頃から蓄積しておく。

・研修資料や新聞記事などは、散逸することがないよう教職員一人一人が日

頃から整理しておくとともに、それらを使って、朝の打合せや職員会議後

に短時間の研修を行う。

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Page 15: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

オ ロールプレイング等の手法を取り入れた参加体験型の研修の実践

・管理職は、服務規律の確保に関する年間研修計画に基づき、計画的、継続

的に研修を行う。

・管理職は、長期休業中に一定のまとまった期間を利用するなどして、ロー

ルプレイングの他、ブレーン・ストーミング、小グループに分かれての事

例研究等、学校の実情や題材に合わせて工夫した研修を行う。

※ロールプレイングの手法を選択することについては内容を吟味した上で

慎重に行う。

・研修でまとめた教訓や留意事項は、職員室に掲示したり、教職員の机上に

表示するなどして、研修内容が浸透するよう努める。

カ 時宜を捉えた研修の実施

・管理職は、社会の変化や自校の状況を踏まえ、適宜研修を行う。

・学年会などの機会に、主任級の教職員を中心に、不祥事防止に関する話合

いを設定する。

・職場内で、教職員が集まって学校での出来事を気軽に話題にできるような

雰囲気づくりを行う。

キ 具体的事例を盛り込んだ研修資料の作成と提供

・各学校での研修に適宜活用できるよう、不祥事の種別ごとの研修資料を添

付した。

ク リスクマネジメントの考え方に視点をおいた研修の充実

・行政は、経験年数や職種に応じた研修内容を工夫する。

12

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(4)「望ましい職場風土の醸成を図る」

① 視点1「生き生きと働ける職場環境づくり」について教職員一人一人が意欲をもって、主体的に職務に専念できるかどうかは、職場の雰

囲気によるところも大きい。しかし、昨今、教職員の人間関係が希薄になり、先輩教職員が若手教職員を指導したり、教職員同士で相談したりする機会が少なくなるなど、コミュニケーションが図りにくい状況もうかがえる。また、仕事に対する充実感の低下が不祥事の間接的な要因となっていることも少なくない。

コンプライアンス・チェックの結果によると、自校の教職員について「職員が互いに言動について指摘し合える『風通しのよい』職場環境づくりや人間関係づくりに努めている」と感じている教職員は県立学校において84.2%、中学校において86.5%と、他の項目と比較して低い割合となっている。

【不祥事を起こした教職員の話】○表面的な話はできるが、深く相談できる人はいなかった。○職場で、やりがいや充実感を感じることは多くなかった。○普段から、周りに迷惑をかけてしまっているという気持ちを持ちながら勤務し

ていた。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、次のような課題が考えられる。

【課題】 教職員としての充実感が得られない。

② 視点2「多忙の解消」について教職員は、児童生徒と向き合ったり同僚と語り合ったりする時間を、十分に確保す

る必要がある。コンプライアンス・チェックの結果によると、「様々な校務や児童生徒の問題等に

ついて、一人で抱え込むことなく、組織として対応できるよう、報告・連絡・相談が徹底されている」と感じている教職員はどの校種においても高い割合となっていることが分かる。

しかし、現状として、教職員同士の関係は良くても、相談できる時間が少ないため、問題を一人で抱え込んでいるケースや、学校全体が多忙である中で、お互いを気遣う余裕がなくなり、相手の変化に気付かなかったりすることで不祥事につながるケースもある。

【不祥事を起こした教職員の話】○生徒に対する自分の思いが伝わらなくて困っていた。○家庭内の問題がストレスになっていた。○担任していたクラスが大変な状態だったので、辞めたいと思っていた。

このような現状や、不祥事を起こした教職員の話から、不祥事の未然防止にあたり、次のような課題が考えられる。

【課題】 十分なコミュニケーションを図る余裕がない。

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③ 望ましい職場風土の醸成を図るための具体的な取組について

【望まれる対応】○教職員は、互いに信頼し合い、同じ職場の仲間を大切にできるような人間関係づくりに努める。

○校長は、教職員の適性を十分に把握し適切に業務分担を行うとともに、日常的な声かけを通して助言・賞賛をすることにより自己有用感をもたせるなど、教職員の勤務意欲を向上させる取組を行う。

○校長は、積極的に教職員の相談に応じるとともに業務内容を整理し、統合・削減・改善を行う。

○行政は、教職員間のコミュニケーションが十分に図れるよう、また、児童生徒と向き合う時間が確保されるよう、学校の業務改善のための具体的な方策を打ち出す。

【具体的な取組例】

ア 管理職の助言と賞賛・管理職は、他の教職員の協力を得て、学校としてサポートできる体制づくりを行う。

・管理職は、教員の週指導計画案等を活用し、学期・月・週など短期目標も明確にさせ、日々の教育活動に、より主体性をもたせるなど、教職員が達成感、充実感がもてるような支援を行う。

・管理職は、自身のカウンセリング技術を向上させるとともに、指導するべきことは指導しながら、小さな一歩であっても賞賛するように心掛ける。

イ ミドルリーダーを中心としたチーム意識の高揚や職場の雰囲気づくり・全教職員が学校というチームの一員であることを意識する。・ミドルリーダーが中心となり、挨拶の励行や、報告・連絡・相談を密にす

ること、職員作業等の協働体験を行うことなど、組織の一体感を高めるような取組を行う。

・学年会や学年主任会の場で情報交換を行う。・生徒指導主事等が中心となり、児童・生徒指導の事例研究を行い、組織的な対応に努める。

・経験年数に関わらず、教職員一人一人の気付きが尊重される雰囲気づくりを行う。

ウ 校内の業務内容の整理・管理職は、教職員の負担感の軽減のため、学校における業務全体の実施体制や教職員の従事状況等を把握する。

・管理職は、現在講じている業務改善策が有効に機能しているかを再確認する。

・管理職は、校内での会議や文書の簡略化、学校課題の焦点化など、教職員の負担を軽減する取組を行う。

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エ 教職員一人一人の資質・能力を生かした適切な業務分担・教職員一人一人が、それぞれの良さを生かして互いに支え合える職場づくりを行う。

・管理職は職員の適性を十分に把握した上で、特定の職員に業務が集中することがないよう、適正に業務分担を行う。

オ ストレスチェック結果の活用等・ストレスチェックを活用し、教職員のメンタルヘルスについての知識や、ストレスへの対処法など、セルフケアの意識を高める取組を行う。

・管理職は、随時、相談しやすい体制や雰囲気を整えるとともに、精神状態に不安を感じていると申し出た教職員に対しては速やかに適切な相談機関を紹介する。

カ 教職員自身が悩みを相談できる体制づくり(管理職、同僚、SCなど)・管理職は、教職員との積極的な対話や傾聴に努める。・管理職は、教職員の身上等についても把握し、必要に応じて積極的に話を

聞く。特に、金銭的な問題や家庭の問題は不祥事の要因となる可能性が高いため、プライバシーに配慮しながら初期段階における相談に努める。

・学年主任や生徒指導主事などのミドルリーダーを相談役とする。・教職員が自身の悩みを積極的にスクールカウンセラーに相談できる体制づくりを行う。

・管理職は、教職員が課題を抱え込むことなく周囲に援助を求めることができるような雰囲気を醸成する。

キ 教職員評価制度に関する管理職への研修の充実・教職員評価制度についての研修を実施することで管理職の評価能力の向上を図り、「教職員一人一人の資質・能力や勤務意欲の向上」を目指す。

ク 学校の業務改善方策の検討・行政は、教職員が子どもと向き合う時間を確保するため、学校の業務改善を推進するよう連携体制を構築し、具体的な取組を検討する。

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Ⅱ 研 修

本資料では、校内研修等で活用できるよう、資料として事例とチェックシー

トを不祥事別に掲載しました。提示した事例は、不祥事を他人事として捉え

るのではなく、自分も危ないと感じられるよう、過去に本県や他県であった

不祥事を参考に再構成し、まとめたものです。下記の活用例を参考に、校内

研修等で利用してください。

1 不祥事の未然防止に重点を置いた取組の年間計画例

「常時の取組」と「時宜を捉えた研修等」を記載した年間計画例です。

各学校の実態に応じた取組を行ってください。

2 不祥事で問われる責任と及ぼす影響

自分が不祥事を起こした場合、ステークホルダー(利害関係者)の思い

や考えはどのようなものになるか、児童生徒、保護者、地域社会、家族・親

戚、同僚の立場で記入してください。記入後は、グループでそれぞれの思い

や考えについて意見を交換してください。

3 研修事例を使用する際に押さえるべきポイント

【活用例】

事例をもとにし、各校の実情に合った形に編集し、配布用資料(「事例」

から「考えてみましょう」まで)を作成する。

グループに分かれて、配布用資料をもとに「考えてみましょう」の部

分について話し合う。

各グループで話し合った内容を発表し、全体として「事案が発生した

要因」と「組織としてどのような対応が必要であったか」についてまと

める。

4 不祥事防止のためのチェックシート

自己の状況を把握させるため、研修の導入やまとめ、あるいは研修時間

が取れない時の注意喚起の方法として活用してください。

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1 不祥事の未然防止に重点を置いた取組の年間計画例

月 不祥事の未然防止に向けての取組 不祥事の発生状況

常時の取組 時宜を捉えた研修等

4 ・教職員としての自覚を高める ○公金の管理に関す ・速度違反①・人権感覚の高揚を図る る校内規定の確認 ・飲酒運転②・危機意識を高める ○個人情報の取扱い・望ましい職場風土の醸成を図る に関する校内規定

の確認各学校の実態に応じた不祥事の未然防止に関する取組

5 ・当初面談(管理職と教職員 ○体罰の未然防止に ・体罰①の信頼関係の構築) 関する校内研修の ・飲酒運転①

実施 ・速度違反③

6 ・個人情報の紛失①

・体罰②・速度違反③

7 服務規律の確保についての通知 ○参加体験型の研修 ・飲酒運転②

服務規律強化旬間 の実施 ・個人情報の紛失①

(校内研修の実施)

8 ○コンプライアンス ・速度違反②・チェックシートによる自校診断

○人権意識の高揚を図る研修の実施

9 自校診断結果に基づく不祥事 ○自校診断結果の分の未然防止に関する取組の見 析に基づく対応直し

10 ・わいせつ行為等①

・体罰③

11 ・わいせつ行為等②

12 ○参加体験型の研修 ・飲酒運転③

服務規律の確保についての通知 の実施 ・個人情報の紛失②

服務規律強化旬間(校内研修の実施)

1 ・期末面談(1年間の振り返 ○ストレスチェックりを行う。) の活用等

2 ・個人情報の紛失②

3 服務規律の確保についての通知

1年間の振り返り

※「不祥事の発生状況」で、各不祥事に付記した数字①~③は、「参考資料 2不祥事の発生状況」をもとに各不祥事が発生しやすい月の順番を示したものである。

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2 不祥事で問われる責任と及ぼす影響

不祥事で問われる責任と及ぼす影響

問われる責任 及ぼす影響

●民事上の責任(主に民法) ●社会的影響

・不法行為による損害賠償等 ・学校教育や教職員全体への不信感

●刑事上の責任(刑法ほか) ・教育の円滑な実施に支障を来たす

・刑法、道路交通法、児童福祉法ほか ・同僚、家族、親戚等にも影響が出る

●行政上の責任(地方公務員法ほか) ●給与等への影響

・職務義務違反、非違行為等 ・給与及び退職手当の不支給 / 返納(免

職)

・給与及び退職手当の減額(懲戒処分)

ステークホルダー(利害関係者)の思いや考えは?

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3 研修事例(1)研修用ワークシート

①わいせつ行為等

事例A教諭は、勤務している学校の女子生徒から、A教諭が担当する数学が不得意で

あると相談を数回受けていた。初めのうちは、放課後複数の生徒がいる教室で勉強を教えていたが、集中できる静かな場所で個別に勉強を教えたいという理由で、相談室を使うようになった。これをきっかけに、当該女子生徒とラインで連絡を取り合うようになり、自家用車で送迎するようになった。しばらくして、A教諭は、相談室での勉強中に当該女子生徒にキスをしようとしながら胸を触った。当該女子生徒が驚き、声を上げたところ、通りかかった女性教員が不審に思い相談室に入ったことで事実が発覚した。

【A教諭の考え】集中できる環境で勉強を教えた方が良いと思い、相談室を使うようになった。勉強だ

けでなく色々な相談に乗りたいと思い、ラインを交換した。生徒と教師という関係は分かっていたが、自宅近くまで自家用車で送迎するようになった頃から、強く惹かれるようになった。当該生徒も自分に好意をもっており、交際していると思い込み、許されるだろうという思いから、心のブレーキが効かなくなり、行為に及んだ。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○この事案を未然に防ぐために、管理職をはじめ、組織としてどのような対応が必要であったと思いますか。

○わいせつ行為を撲滅するために、あなたはどのようなことを心がけていこうと思いますか。

【わいせつ行為撲滅に向けたチェックシート】

特定の児童生徒への個別の指導回数が必要以上に多いことや、児童生徒を指導する際、二人きりになることによる危険性を認識している。

特定の児童生徒と手紙やライン等により頻繁に連絡を取ることや、親密であると噂されてしまう場合に対して、危機感をもって適切に対応している。

いかなる場合においても、教育公務員として、児童生徒を指導する立場にあることを自覚し、行動している。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】6 児童生徒に対する非違行為関係(2) わいせつ行為等

ア わいせつ行為(同意の有無を問わない。)を行った教職員は、免職とする。イ セクシャル・ハラスメント又はこれと同等の行為を行った教職員は、停職、減

給又は戒告とする。この場合において、セクシャル・ハラスメント又はこれと同等の行為を繰り返すなど特に悪質なときは、免職又は停職とする。

【主な関連法規】栃木県青少年健全育成条例

(いん行等の禁止)第四十二条 何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。

二 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

児童福祉法(禁止行為)

第三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。六 児童に淫行をさせる行為

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②体罰

事例B教諭は、児童1名に対し、帰りの会の中で今日の出来事1分間スピーチを行わ

せた際、当該児童が何も話すことができなかったために、「話すまでは着席しないように。」と指示をした。当該児童は、不服そうにしながら立ったまま帰りの会に参加し、その後下校した。

当該児童は、次の日の授業においても、椅子に座ることなく立ったまま授業を受けた。この状態に対して、昨日、不服そうな態度を見せていたので、B教諭は同児童に対して声をかけることや指導することもなく下校させた。同児童は、帰宅後、母親に一日中立ったまま授業を受け、足が痛くなったことを話したため、母親が学校に問い合わせた結果、今回の事実が発覚した。

【B教諭の考え】椅子に座っていない状態は良くないと思っていたが、前日に不服そうな態度を見せて

いたし、座りたくなったら勝手に座ると思っていた。また、正座をさせている訳でもないので、身体に苦痛を与えているとも思えなかった。何より児童自ら、B教諭に対して何らかの働きかけをしてくることを期待していたので、椅子に座るようには指示をしなかった。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○この事案を未然に防ぐために、管理職をはじめ、組織としてどのような対応が必要であったと思いますか。

○体罰を撲滅するために、あなたはどのようなことを心がけていこうと思いますか。

【体罰撲滅に向けたチェックシート】

体罰は、児童生徒の人格を傷つけ、人権を侵害する行為であり、児童生徒の知識や技能の不足は、懲戒の理由とはならないことを理解している。

正座をさせることや、遅刻や学習の怠りなどの理由だけで授業中に教室の外に出すなどの指導は体罰であることを理解している。

児童生徒を指導する場合、自分と児童生徒との間に発生する様々な状況を想定し、具体的にシミュレーションができる。

同僚同士で児童生徒の指導方法の在り方について、日常的に意見交換を行っている。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】6 児童生徒に対する非違行為関係

⑴ 体罰ア 体罰を加えたことにより、児童生徒を死亡又は重大な後遺症を残す負傷を負わせ

た教職員は、免職又は停職とする。イ 体罰を加えたことにより、児童生徒に重傷を負わせた教職員は、停職、減給、又

は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていたとき、又は体罰の態様が特に悪質なときは、免職又は停職とする。

ウ 体罰を加えたことにより、児童生徒に軽傷を負わせた教職員は、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていたとき、又は体罰の態様が特に悪質なときは、停職又は減給とする。

【主な関連法規】学校教育法

(児童、生徒等の懲戒)第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定める

ところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

地方公務員法(懲戒)

第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基づく条例、地方公共団体の規制若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

刑法(傷害)

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(暴行)第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若

しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

国家賠償法(公権力の行使に基づく損害の賠償責任、求償権)

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

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③個人情報の紛失

事例C教諭は、勤務する学校で担任する生徒35名分の通知表の基礎データとなる個

人情報を、校内規定に違反してUSBメモリに保存して持ち出した。帰宅途中、同メモリを入れた仕事用のバッグを自家用車内に置いたまま、自宅近くのスーパーマーケットに立ち寄った。買い物を終えて自家用車に戻ったところ、鍵を壊され車上荒らしの被害に遭ったことに気づいたため、急いで仕事用のバッグがあるか確認するとなくなっていることが分かり、USBメモリも見あたらないことが判明した。

【C教諭の考え】毎日の仕事が多く、学校にいる時間だけでは通知表の作成が間に合わない。また、自

分の子供の夕飯を作るための食材を購入するためにスーパーマーケットに立ち寄った。校長の許可を得ないまま、私有のUSBメモリにデータを保存して持ち帰ったが、買い物はちょっとの時間だけなのでなくなることはないだろうと思い、仕事用のバッグを車内に置いたままにした。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○この事案を未然に防ぐために、管理職をはじめ、組織としてどのような対応が必要であったと思いますか。

○個人情報の適切な取扱いのために、あなたはどのようなことを心がけていこうと思いますか。

【個人情報の適切な取扱いに向けたチェックシート】

個人情報はセキュリティ機能付きのUSBメモリに保存し、保管・管理に注意する。

校内規定に基づいて、個人情報を校外に持ち出す場合は、個人情報取扱い記録簿に記入の上、校長の許可を得るようにする。

校内規定に基づいて、個人情報を校外に持ち出した場合でも、個人情報が保存されたパソコンやUSBメモリなどを車内等に放置しないようにする。

個人情報の安全かつ効率的な取扱方法について有効な手立てがあれば、積極的に同僚に広めている。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】1 一般服務関係(9) 秘密漏えい

ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた教職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした教職員は、免職とする。

イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。

2 公の財産取扱い関係(2) 紛失

公金等を紛失した教職員は、戒告とする。(3) 盗難

重大な過失により公金等の盗難に遭った教職員は、戒告とする。

【主な関連法規】地方公務員法

(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当たつて、法令、条例、地方公共団体の規

則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務命令に忠実に従わなければならない。

(信用失墜行為の禁止)第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような

行為をしてはならない。

(秘密を守る義務)第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、

また、同様とする。

栃木県個人情報保護条例(適正管理)

第十条2 実施機関は、個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の個人情報の適正な管

理のために必要な措置を講じなければならない。

(職員の義務)第十一条 実施機関の職員又は職員であった者は、職務上知り得た個人情報の内容をみ

だりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

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④飲酒運転

事例D 教諭は、学校の懇親会があったが私用を済ませてからの参加のため、帰りは代

行車を利用することと決めて自家用車で会場に向かった。懇親会では、ビール2本、日本酒3合程度を飲んだ。閉会に当たり、校長から「飲酒運転は絶対にしないで帰宅するように。」との話があった。

懇親会閉会後、教頭に見送られながら代行車を利用して帰路についたが、途中、喉が渇いたので自宅から数百メートル手前のコンビニエンスストアで代行車を降りた。代行業者からは、「待機しているので、自宅まで送ります。」との話はあったが代行車を帰した。

コンビニエンスストアで買い物をした後、D 教諭は自家用車を運転して自宅に向かう途中、赤信号で停車していたワゴン車に追突し、運転手にけがを負わせた。

酒を飲んで運転していたため、道路交通法違反及び自動車運転過失傷害で現行犯逮捕された。

【D 教諭の考え】自分はもう酔っていないから大丈夫、自宅まで数百メートルだから大丈夫、いつも運

転している慣れた道だから大丈夫だと思った。後から考えれば、代行車を帰さずに待っていてもらえばよかった。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○自家用車で懇親会に参加した教職員に対して、管理職をはじめ、周りの教職員はどのような対応をすればよいと思いますか。

○飲酒運転を防止するために、あなたはどのようなことに気を付けますか。また、自校の教職員が飲酒運転をしないようにするためにどのような取組をしますか。

【飲酒運転防止に向けたチェックシート】

一滴でもアルコールを飲んだら絶対に運転しないという強い決意がある。

飲酒するときは車で出かけないようにしている。

車を運転する者に酒を勧めること、飲酒運転と知って同乗することも、飲酒運転を行うことと同様に許されないことを認識している。

深夜まで飲んだときは、翌日、車を運転しないようにしている。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】5 交通事故・交通法規違反関係(1) 酒酔い運転

酒酔い運転をした教職員は、免職とする。(2) 酒気帯び運転

ア酒気帯び運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた教職員は、免職とする。イ酒気帯び運転で人に傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。この場合にお

いて、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした教職員は、免職とする。ウ酒気帯び運転をした教職員は、停職とする。この場合において、物の損壊に係る交

通事故を起こして、その後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした教職員は、免職又は停職とする。

(3) 飲酒運転の同乗者等飲酒運転であることを知りながら同乗し、又は運転することを知りながら飲酒を勧めた教職員は、停職、減給又は戒告とする。

【主な関連法規】道路交通法

(酒気帯び運転等の禁止)第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとな

るおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対

し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業

務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

【罰則】酒酔い運転・・・・5年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金(道交法第 117 条の 2)酒気帯び運転・・・3年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金(道交法第 117 条の 2 の 2)

【違反点数】酒酔い運転・・・・・35 点(免許取消)酒気帯び運転・・・・25 点(免許取消)(呼気1リットル中のアルコール濃度 0.25 ミリグラム以上)酒気帯び運転・・・・13 点(免許停止 90 日)(呼気1リットル中のアルコール濃度 0.15 ミリグラム以上)

【アルコールが身体に与える影響】公益社団法人アルコール健康医学協会によると、アルコールが体内から消えるまで

の時間は以下のとおりである。

ビール中びん1本・・・3~4時間 ビール中びん2本・・・6~7時間ビール中びん3本・・・9~10時間 ビール中びん4本・・・12~13時間※アルコールが体内から消えるまでの時間は目安であり、体格、体質、性別で

異なる。※一般的に女性は男性よりも、代謝に時間がかかる。※ビール中びん一本は、日本酒の場合1合、焼酎の場合は0.6合に相当する。

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⑤速度違反

事例E教諭は、体育主任として3・4時間目に運動会の全体練習を指導していた。午

後には、県教育委員会主催の研修会があったが、研修会場までの時間を考えると、全体練習が終わってから出発しても開始時間には十分到着できると考えていた。全体練習が終わり、研修会に出発する際に、教頭から交通ルールを守って、気をつけて行くように指導を受けた。

出発して間もなく事故があり渋滞していたため、開始時刻に間に合わないと思い、最高速度が時速60㎞の国道を時速116㎞で走行し、自動速度取締機により速度を記録された。

後日、警察からの連絡により出頭し、時速56㎞の速度超過を認め検挙された。E教諭は1年以内にすでに2度の速度超過による違反があり、今回の違反により、免許取消処分となるとともに、後日罰金の支払いを裁判所より命じられた。

【E教諭の考え】運動会の全体練習が午前中にあり、体育主任として全体練習を見届けてから出発して

も研修開始に十分間に合う時間であった。出発して間もなく事故があり渋滞していた。予想以上の時間がかかり、研修開始時刻に間に合わないのではないかと思ったので渋滞が解消されたところから速度を上げてしまった。今考えれば、不測の事態等を考えて少し早めに出発すればよかったと思う。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○出張等がある教職員に対して、管理職をはじめ、周りの教職員はどのような対応をすればよいと思いますか。

○交通事故や速度超過等を防止するために、あなたはどのようなことを心がけていこうと思いますか。

【交通事故・速度超過等の防止に向けたチェックシート】

自家用車は、運転の仕方次第で人命を奪う凶器になるということを認識している。

出勤や出張の際には、時間に余裕を持つようにしている。

交通ルールを遵守して安全運転を心がけようという意識を持っている。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】5 交通事故・交通法規違反関係(4) 飲酒運転以外での交通事故等

ウ 無免許運転、著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こし、措置義務違反をした教職員は、免職、停職又は減給とする。

【主な関連法規】道路交通法

(最高速度)第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においては

その最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

第七十五条の二 公安委員会が自動車の使用者に対し次の表の上欄に掲げる指示をした場合において、当該使用者に係る当該自動車につきその指示を受けた後一年以内にその指示の区分ごとに同表の下欄に掲げる違反行為が行われ、かつ、当該使用者が当該自動車を使用することについて著しく交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、当該使用者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、当該自動車を運転し、又は運転させてはならない旨を命ずることができる。(表略)

【一般道路の速度超過の違反点数と反則金額等】

反則行為の種別 点 数 反則金額(普通車)

50㎞以上 12裁 判

30㎞以上50㎞未満 6

25㎞以上30㎞未満 3 18,000円

20㎞以上25㎞未満 2 15,000円

15㎞以上20㎞未満 1 12,000円

15㎞未満 1 9,000円

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⑥公金の不適切な処理

事例F教諭は、学年費や生徒会費の会計を担当していたため、保護者から集まったお

金を事務長から預かった。校内公金等取扱規定では、公金については通帳に入金して管理することとなっていた。規定に従って学年通帳、生徒会通帳に入金して、物品を購入した際に通帳から引き出して支払うことになっていたが、入金せずに現金のまま職員室の机の中で保管していた。

6月に個人で購入したスポーツウェアの支払期限日があったが、現金の持ち合わせがなかったため、後で埋め合わせれば問題ないだろうと思い、生徒会費の一部を流用して支払いをした。同様に、10月には車のローン代金の支払日に持ち合わせがなかっため生徒会費の一部を流用した。その後も個人で購入した物品の支払いにも何度か流用した。

3月の決算時期になり、事務長が通帳等の確認を行うために提出を求めたところ、通帳記帳がないことや、金額の収支が合わなかったり、領収書がなかったりしたために公金の不正な流用が発覚した。

【F教諭の考え】忙しくて通帳に入金する時間がなかったために、ずっと現金で持っていた。後で埋め

合わせをすれば大丈夫だと思って一部を使っていたが、決算時期になり金額が合わないため、帳尻を合わせようとしたが、領収書がないものもあったので、どうしようもなくなってしまった。

【考えてみましょう】○この事案が発生した要因には、どのようなことが考えられますか。

○この事案を未然に防ぐために、組織としてどのような対応が必要であったと思いますか。

○公金の適切な取扱いのために、あなたはどのようなことを心がけていこうと思いますか。

【公金の適切な取扱いに向けたチェックシート】

学校徴収金は、原則として収納日当日に金融機関に入金しており、個人の机の中やロッカーなどには保管しないようにしている。

学校徴収金については、出納簿、歳入・歳出簿等に記帳するとともに、領収書等の保管・整理を適切に行っている。

校内規定にもとづき、関係帳簿・書類及び貯金通帳について管理職の点検を受けている。

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※参考【栃木県教職員懲戒処分の基準】2 公の財産取扱い関係

⑴ 横領・窃取・詐取公金又は物品(以下「公金等」という。)を横領し、窃取し又は人を欺いて公

金等を交付させた教職員は、免職とする。⑵ 紛失

公金等を紛失した教職員は、戒告とする。⑶ 盗難

重大な過失により公金等の盗難に遭った教職員は、戒告とする。⑹ 給与等の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して給与等を不正に支給した教職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した教職員は、減給又は戒告とする。

⑺ 公金等処理不適正自己保管中の公金の流用等公金等の不適正な処理をした教職員は、減給又は戒

告とする。

【主な関連法規】刑法

(横領)第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した

者も、前項と同様とする。

(業務上横領)第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処

する。

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(2)管理職用資料①わいせつ行為等

事例

A教諭は、勤務している学校の女子生徒から、A教諭が担当する数学が不得意で

あると相談を数回受けていた。初めのうちは、放課後複数の生徒がいる教室で勉強

を教えていたが、集中できる静かな場所で個別に勉強を教えたいという理由で、相

談室を使うようになった。これをきっかけに、当該生徒とラインで連絡を取り合う

ようになり、自家用車で送迎するようになった。しばらくして、A教諭は、相談室

での勉強中に当該女子生徒にキスをしようとしながら胸を触った。当該女子生徒が

驚き、声を上げたところ、通りかかった女性教員が不審に思い相談室に入ったこと

で事実が発覚した。

【A教諭の考え】

集中できる環境で勉強を教えた方が良いと思い、相談室を使うようになった。勉強だ

けでなく色々な相談に乗りたいと思い、ラインを交換した。生徒と教師という関係は分

かっていたが、自宅近くまで自家用車で送迎するようになった頃から、強く惹かれるよ

うになった。当該生徒も自分に好意をもっており、交際していると思い込み、許される

だろうという思いから、心のブレーキが効かなくなり、行為に及んだ。

○対応の問題点

・勉強を教えるために密室の状態になる部屋で二人きりになったことに問題があるので

はないか。

・繰り返し個別の相談に乗っている状況に、不自然さ等を感じなかったことに問題があ

るのではないか。

・生徒とラインの交換をすることや、自家用車に乗せることに問題があったのではない

か。

・教育公務員としての自覚や倫理観を、当該教員が十分理解していないことに問題があ

るのではないか。

○指導の具体的方法例

・個別の指導は、密室では行わせない。

・不自然な個別指導が見過ごされることのない体制を構築させる。

・児童生徒とラインを交換しないなどを含めた、SNS等の取扱いの確認をさせる。

・児童生徒を自家用車に乗せさせない。

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②体罰

事例

B教諭は、児童1名に対し、帰りの会の中で今日の出来事1分間スピーチを行わ

せた際、当該児童が何も話すことができなかったために、「話すまでは着席しない

ように。」と指示をした。当該児童は、不服そうにしながら立ったまま帰りの会に

参加し、その後下校した。

当該児童は、次の日の授業においても、椅子に座ることなく立ったまま授業を受

けた。この状態に対して、昨日、不服そうな態度を見せていたので、B教諭は同児

童に対して声をかけることや指導することもなく下校させた。同児童は、帰宅後、

母親に1日中立ったまま授業を受け、足が痛くなったことを話したため、母親が学

校に問い合わせた結果、今回の事実が発覚した。

【B教諭の考え】

椅子に座っていない状態は良くないと思っていたが、前日に不服そうな態度を見せて

いたし、座りたくなったら勝手に座ると思っていた。また、正座をさせている訳でもな

いので、身体に苦痛を与えているとも思えなかった。何より児童自ら、B教諭に対して

何らかの働きかけをしてくることを期待していたので、椅子に座るようには指示をしな

かった。

○対応の問題点

・不服そうな態度を見せたことで感情的になり、児童に対して具体的に指導することな

く下校させたことに問題があるのではないか。

・1日中立ったまま授業を受けさせていたことを見過ごしたことに問題があるのではな

いか。

・教師が期待するような対応を前提に考えていることに問題があるのではないか。

・管理職等が、授業の様子などを確認することがない体制に問題があるのではないか。

○指導の具体的方法例

・一時の感情で指導の方法を決めることのないようにさせる。

・児童生徒を指導する際は、発達の段階を十分に考えて対応するようにさせる。

・体罰と懲戒の違いを、具体的事例に基づいて理解させる。

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③個人情報の紛失

事例

C教諭は、勤務する学校で担任する生徒35名分の通知表の基礎データとなる個

人情報を、校内規定に違反してUSBメモリに保存して持ち出した。帰宅途中、同

メモリを入れた仕事用のバッグを自家用車内に置いたまま、自宅近くのスーパーマ

ーケットに立ち寄った。買い物を終えて自家用車に戻ったところ、鍵を壊され車上

荒らしの被害に遭ったことに気づいたため、急いで仕事バッグがあるか確認すると

なくなっていることが分かり、USBメモリも見あたらないことが判明した。

【C教諭の考え】

毎日の仕事が多く、学校にいる時間だけでは通知表の作成が間に合わない。また、自

分の子供の夕飯を作るための食材を購入するためにスーパーマーケットに立ち寄った。

校長の許可を得ないまま、私有のUSBメモリにデータを保存して持ち帰ったが、買い

物はちょっとの時間だけなのでなくなることはないだろうと思い、仕事用のバッグを車

内に置いたままにした。

○対応の問題点

・仕事が終わらないといっても、校長の許可を得ずにUSBメモリに個人情報を複写し、

その上、校外に持ち出したことに問題があるのではないか。

・自家用車を離れる際に、個人情報が入ったバッグを車内に置いたまま買い物に行った

ことに問題があるのではないか。

・「ちょっとの時間なら大丈夫」という甘い考えに問題があるのではないか。

・個人情報を取り扱うことの重大性を認識していないのではないか。

○指導の具体的方法例

・校内個人情報等取扱規定を再度全教職員で確認する。

・個人情報を持ち出した場合は、どこにも立ち寄らず、まっすぐ自宅に帰ることを徹底

する。やむを得ず立ち寄る場合は、いかなる場合も肌身離さず持ち歩くことを徹底す

る。

・USBメモリ等の記憶媒体を使用する場合は、必ずセキュリティ機能付きのものを使

用するようにさせる。

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④飲酒運転

事例

D 教諭は、学校の懇親会があったが私用を済ませてからの参加のため、帰りは代

行車を利用することと決めて自家用車で会場に向かった。懇親会では、ビール2本、

日本酒3合程度を飲んだ。閉会に当たり、校長から「飲酒運転は絶対にしないで帰

宅するように。」との話があった。

懇親会閉会後、教頭に見送られながら代行車を利用して帰路についたが、途中、

喉が渇いたので自宅から数百メートル手前のコンビニエンスストアで代行車を降り

た。代行業者からは、「待機しているので、自宅まで送ります。」との話はあった

が代行車を帰した。

コンビニエンスストアで買い物をした後、自家用車を運転して自宅に向かう途中

で、赤信号で停車していたワゴン車に追突し、運転手にけがを負わせた。

酒を飲んで運転していたため、道路交通法違反及び自動車運転過失傷害で現行犯

逮捕された。

【D 教諭の考え】

自分はもう酔っていないから大丈夫、自宅まで数百メートルだから大丈夫、いつも運

転している慣れた道だから大丈夫だと思った。後から考えれば、代行車を帰さずに待っ

ていてもらえばよかった。

○対応の問題点

・管理職から飲酒運転をしないように指導を受けたにもかかわらず、「自分はもう酔っ

ていないから大丈夫」、「自宅まで数百メートルだから大丈夫」、「いつも運転してい

る慣れた道だから大丈夫」という根拠のない誤った判断があったからではないか。

・常日頃から飲酒運転の危険性について指導を受けたり、懇親会閉会時に校長より飲酒

運転の禁止について指導を受けたり、教頭が見送ったりしたにもかかわらず、運転し

たのは、他人事として捉えていたのではないか。

○指導の具体的方法例

・飲酒運転の危険性や事故の悲惨さについて、被害者の立場に立ち当事者意識を持って

行える研修や負うべき責任(刑事上の責任、行政上の責任、民事上の責任)について

の研修等を実施して職員の意識改革を図る。

・アルコールを体内で処理するのにかかる時間を具体的に示すなどして、自分勝手な判

断はせず、飲酒したら絶対に運転しないよう指導する。

・学校の歓送迎会、懇親会等の場合、教頭が、当日に自家用車で出勤した教職員の有無

と帰宅方法を確認の上、飲酒運転を未然に防止するための具体的措置を講ずる。

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⑤速度違反

事例

E教諭は、体育主任として3・4時間目に運動会の全体練習を指導していた。午

後には、県教育委員会主催の研修会があったが、研修会場までの時間を考えると、

全体練習が終わってから出発しても開始時間には十分到着できると考えていた。全

体練習が終わり、研修会に出発する際に、教頭から交通ルールを守って、気をつけ

て行くように指導を受けた。

研修会場に向かう途中、事故による渋滞があったため、開始時刻に間に合わない

と思い、最高速度が時速60㎞の国道を時速116㎞で走行し、自動速度取締機に

より速度を記録された。

後日、警察からの連絡により出頭し、時速56㎞の速度超過を認め検挙された。

E教諭は1年以内にすでに2度の速度超過による違反があり、今回の違反により、

免許取消処分となるとともに、後日罰金の支払いを裁判所より命じられた。

【E教諭の考え】

運動会の全体練習が午前中にあり、体育主任として全体練習を見届けてから出発して

も研修開始に十分間に合う時間であった。出発して間もなく事故があり渋滞していた。

渋滞を抜けるのに予想以上の時間がかかり、研修開始時刻に間に合わないのではないか

と思ったので渋滞が解消されたところから速度を上げてしまった。今考えれば、不測の

事態等を考えて少し早めに出発すればよかったと思う。

○対応の問題点

・開始時間にさえ間に合えば良いという考え方があったのではないか。

・常日頃から交通ルールの遵守について指導を受け、自ら児童生徒に交通安全について

指導する立場にある者が、法定速度を超過したスピードで運転したのは、教育公務員

としての自らの立場を認識できていなかったのではないか。

・遅れるという連絡を入れて向かうこともできたのではないか。

・交通事情等不測の事態を考えていなかったのではないか。

・1年間に3度も速度超過をしていることから、常に速度超過をして自家用車を運転し

ていたのではないか。

○指導の具体的方法例

・扱い方によっては、自家用車が人命を奪う凶器になるということを、被害者の立場に

立ち当事者意識を持って行えるような研修を実施する。

・速度超過は、時間と心に余裕がない場合に多くみられるので、通勤や出張の心構え等

について再確認を行う。

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⑥公金の不適切な処理

事例

F教諭は、学年費や生徒会費の会計を担当していたため、保護者から集まったお

金を事務長から預かった。校内公金等取扱規定では、公金については通帳に入金し

て管理することとなっていた。規定に従って学年通帳、生徒会通帳に入金して、物

品を購入した際に通帳から引出して支払うことになっていたが、入金せずに現金の

まま職員室の机の中で保管していた。

6月に個人で購入したスポーツウェアの支払期限日があったが、現金の持ち合わ

せがなかったため、後で埋め合わせれば問題ないだろうと思い、生徒会費の一部を

流用して支払いをした。同様に、10月には車のローン代金の支払日に持ち合わせ

がなかっため生徒会費の一部を流用した。その他、個人で購入した物品の支払いに

も何度か流用した。

3月の決算時期になり、事務長が通帳等の確認を行うために提出を求めたところ、

通帳記帳がないことや、金額の収支が合わなかったり、領収書がなかったりしたた

めに公金の不正な流用が発覚した。

【F教諭の考え】

忙しくて通帳に入金する時間がなかったために、ずっと現金で持っていた。後で埋め

合わせをすれば大丈夫だと思って一部を使っていたが、決算時期になり金額が合わない

ため、帳尻を合わせようとしたが、領収書がないものもあったので、どうしようもなく

なってしまった。

○対応の問題点

・本来、公金は金融機関に預けることになっているにもかかわらず、現金のまま机の中

で保管していたことは、校内公金等取扱規定に違反するのではないか。

・公金であるが、後で埋め合わせをすれば一時的に使用しても大丈夫であるという考え

方に問題があるのではないか。

・公金を一人だけで管理する体制に問題があったのではないか。

○指導の具体的方法例

・校内公金等取扱規定を再度全教職員で確認する。

・学校徴収金を含めて、個人の現金についても机やロッカーの中に保存することがない

ようにする。

・複数でのチェック体制を構築する。

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4 不祥事防止のためのチェックシート

(一般教職員用)

【セクシュアル・ハラスメントやわいせつ行為】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

セクシャル・ハラスメントやわいせつ行為は個人としての尊厳を傷つける行為

であるという、人権尊重の立場に立った正しい判断力を持っているか。

メールやSNS等を不適切な形で使用することのないよう、情報モラル教育を

すべき立場にある教職員としての自覚を持っているか。

児童生徒の相談を受けたり、個別指導を行ったりするときは、管理職や同僚に告

げてから行っているか。

児童生徒を指導する際に2人きりになることが危険であることを認識している

か。

どのような行為がわいせつ行為にあたるか理解しているか。

合計( )点

2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

特定の児童生徒への個別の指導回数が必要以上に多いことはないか。

児童生徒、保護者、他の教職員に対して、セクシュアル・ハラスメントととられ

かねない言動がないか。

児童生徒、保護者を恋愛対象や性的な関心の対象として見ることがないか。

児童生徒や保護者と個人的にメールやSNS等でやりとりするなど不適切な関

わりをしていないか。

児童ポルノを扱った雑誌やインターネットに興味を持ち始めていないか。

合計( )点

37

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【体罰や暴言】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

児童生徒に対して、強く指導しなければならないときに、自分の感情の状態に気

を付けているか。

児童生徒に問題が起こったときは、必ず原因や理由を確認しているか。

児童生徒の問題行動に対しては、複数で対応するようにしているか。

体罰は絶対にいけないということを理解しているか。

懲戒と体罰の違いについて理解しているか。

指導がうまくいかなかった場合、原因を児童生徒のせいにせず、自分の指導につ

いて反省できるか。

体罰は、身体的な苦痛のみでなく、精神的な苦痛も与える違法な行為であるこ

とを理解しているか。

何気ない一言で、児童生徒を傷つける場合があることを理解しているか。

合計( )点

2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

児童生徒が何か問題を起こしてしまったとき、反射的に対応してしまうことがな

いか。

他に教職員がいない場合、言葉や行動の仕方に油断が出てしまうと感じることが

ないか。

担任している児童生徒に対する自分の感じ方や考え方が、指導の仕方に影響して

いるときがないか。

問題を一人で抱え込んでいないか。

イライラしている時や興奮してしまったときに、うまく気分転換をしたり、感情

を抑えたりすることが苦手だと思うか。

他の教職員の体罰や不適切な指導を見ても、管理職等に報告しないと思うか。

服務についての研修を受けたり、管理職から不祥事防止について話を聞いたりし

ても、いつものことと受け流してしまうことがないか。

このチェックリストをしているときに、素直に(真剣に)自分を振り返ることが

できていない自分がいないか。

合計( )点

38

Page 42: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

【個人情報の紛失・流失】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

児童生徒の個人情報を紛失または盗難に遭った教職員は、被害者ではなく加害

者になる可能性が大きいことを理解しているか。

個人情報を持ち出す際に、管理職の許可を得ているか。

個人情報をパソコンやUSBメモリに保存して持ち出す場合、パスワードや暗号化

等のセキュリティ措置を行っているか。

個人情報を持ち出す場合、必要 低限の情報だけを持ち出すようにしているか。

個人情報が記載された印刷物を廃棄するときは、シュレッダーで裁断したり溶

解処分するなどして、確実に外部に漏洩しないような措置をしているか。

個人情報を扱う私有パソコンには、ファイル共有ソフトをインストールしない

等、セキュリティ措置をとっているか。

電子メールの送信の前に、送信先のメールアドレスや添付ファイル等の内容を確

認しているか。

合計( )点

2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

個人情報を目的外に利用していないか。

使用目的が不明確な個人情報を収集していないか。

個人情報を持ち出したときは、すぐに帰宅せず、他の場所へ立ち寄ったりして

いないか。

個人情報を入れたかばん等を電車の網棚に置いたり、自家用車内に放置したり

していないか。

パソコンやUSBメモリ内の不要な個人情報(過去の担当生徒の情報等)をそのま

まにしていないか。

職務上知り得た秘密を家族等に漏らしていないか。

このチェックリストをしているときに、素直に(真剣に)自分を振り返ることが

できていない自分がいないか。

合計( )点

39

Page 43: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

【飲酒運転】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

飲酒量の多少にかかわらず、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」の心構えを持

っているか。

アルコールが抜けていないのに「自分はもう酔っていない、大丈夫。」という根

拠のない判断が、飲酒運転につながることを認識しているか。

アルコールは、体質や飲酒量により、熟睡した翌朝も抜けきらない場合がある

ことを知っているか。

自動車を運転する者に酒をすすめること、飲酒運転と知って同乗することも、

飲酒運転を行うことと同様に許されないことを認識しているか。

やむを得ず代行車を依頼したときは、自宅の車庫に車を駐車するまで運転を依

頼しなければならないことを認識しているか。

懲戒処分基準では、飲酒運転をした場合、免職又は停職という重い処分になる

ことを知っているか。

たった1回の飲酒運転で、今まで築いてきた信頼や実績をすべて失うことにな

ることを理解しているか。

飲酒運転で命を奪われた被害遺族の悲しみ、苦しみを考えたことはあるか。

合計( )点2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

「少しくらいの飲酒なら構わない」、「近くなら大丈夫」という甘い認識を持っ

ていないか。

車を運転するのに、朝起きたときにアルコールが抜けていないような飲酒の仕方

をしていないか。

宴会の席で車を運転する人にまで酒を勧めることはないか。

飲酒以外にストレス解消の手段がないということはないか。

自分で判断ができなくなるほど飲酒してしまうことがないか。

他の教職員が飲酒をして運転しようとしているのを見ても、自分のことではない

から止めないと考えるか。

服務についての研修を受けたり、管理職から不祥事防止について話を聞いたりし

てもいつものことと受け流してしまうことがないか。

このチェックリストをしているときに、素直に(真剣に)自分を振り返ることが

できていない自分がいないか。

合計( )点

40

Page 44: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

【交通事故・速度違反】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

遅刻を気にして事故を起こさないように、早めに家を出るようにしているか。

追突事故を防ぐため、車間距離を十分に保つようにしているか。

速度違反は死亡事故につながる可能性のある大変危険な行為であることを自覚

しているか。

事故を起こしたときは、警察、保険会社、管理職への連絡など、処理すべきこと

を理解しているか。

交通事故で命を奪われた被害遺族の悲しみ、苦しみを考えたことはあるか。

合計( )点

2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

「速度違反で捕まるのは運が悪い。」「少しの速度違反は構わない。」などと思っ

ていないか。

運転しながら携帯電話を操作するようなことをしていないか。

校務等が予定時間よりもかかったことを理由に、出張先に速度違反をして運転し

ていくことを正当化していないか。

服務についての研修を受けたり、管理職から不祥事防止について話を聞いたりし

てもいつものことと受け流してしまうことがないか。

このチェックリストをしているときに、素直に(真剣に)自分を振り返ることが

できていない自分がいないか。

合計( )点

41

Page 45: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

【公金等の不適切な処理・学校備品の不適切な取扱い】

1と2の合計を合わせて、点数が低かったり、マイナスになってしまったら、不祥事

を起こしてしまう可能性が高いということになります。自分をしっかりと振り返るこ

とが不祥事の根絶につながりますので、機会を捉えて自分自身を見つめ直しましょう。

1 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:2 思いあたる場合:1 思いあたらない場合:0

公金や準公金の経理においては、帳簿や通帳を作成し、出納を厳密に管理して

いるか。

公金や準公金について、たとえ一時的であっても、立替や流用をしないように

しているか。

当該年度の収支終了後には、すみやかに決算書を作成し、管理職の点検を受け、

保護者に報告し、必要がある場合は返金の処理を行っているか。

業者への支払いを速やかに行っているか。

合計( )点

2 次の各項目について、下記の方法で点数を記入してください。

よく思いあたる場合:-2 思いあたる場合:-1 思いあたらない場合:0

公金や部活動費等の準公金を現金の状態で机の引き出しやロッカー等に置いた

ままにしていないか。

職場の備品や消耗品を持ち帰ることはないか。

服務についての研修を受けたり、管理職から不祥事防止について話を聞いたりし

てもいつものことと受け流してしまうことがないか。

このチェックリストをしているときに、素直に(真剣に)自分を振り返ることが

できていない自分がいないか。

合計( )点

42

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(管理職用)

【不祥事全般】

服務規律の確保のための研修を時機を捉えて適切に実施しているか(体罰、わい

せつ、飲酒運転、交通事故、個人情報等)。

長期休業前などに発出される教育長からの服務規律の確保に係る通知内容を教職

員に周知しているか。

県内外を問わず教職員による不祥事が発生したといった情報を得た場合に、朝の

打合せや職員会議等で教職員に知らせて注意喚起しているか。

一人一人の教職員の能力、健康状態だけでなく、性向や抱えている悩みなども十

分把握することができているか。

教職員の不祥事は、他の学校のことだという意識がないか。

課題を抱えている教職員を継続的に指導しているか。

普段から評判のいい教職員ということで安心して、問題を見過ごしてしまってい

ないか。

教職員が悩みを相談し合えるような風通しのよい職場づくりに努めているか。

よくない情報ほどスムーズに管理職に伝わる体制ができているか。

学校における相談窓口(体罰等)を児童生徒や保護者に周知しているか。

保護者や地域、警察等の関係機関と連携し、情報を速やかに収集できる体制をと

っているか。

教育委員会への報告・連絡・相談を迅速かつ的確に行っているか。

43

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【セクシュアル・ハラスメントやわいせつ行為】

セクシュアル・ハラスメントやわいせつ行為は個人としての尊厳を傷つける行

為であることを認識し、周知しているか。

メールやSNS等を不適切な形で使用することのないよう、情報モラル教育を

すべき立場にある教職員としての自覚を持たせているか。

セクシュアル・ハラスメントは、周囲の者が見ていて不快に感じた場合にも成立

することを認識し、周知しているか。

児童生徒を指導する際に二人きりになることがないように、できるだけ複数の教

職員や同性の教職員で対応するなどの配慮をしているか。

どのような行為がわいせつ行為に当たるか理解しているか。

教員とその担当している児童生徒との関係について把握できているか。

児童生徒、保護者、他の教職員に対して、セクシュアル・ハラスメントととられ

かねない言動がないか把握できているか。

児童生徒や保護者と個人的にメールやSNS等でやりとりするなど不適切な関

わりをしていないか把握できているか。

【体罰や暴言】教員とその担当している児童生徒との関係について把握できているか。

懲戒と体罰の違いが理解でき、教職員に対して具体的な内容で指導できているか。

速やかに管理職に対する報告がなされる体制ができているか。

風通しのよい職員室となるように心がけているか。

児童・生徒指導に関する情報が共有されているか。

体罰の起こりやすい時期や傾向について理解し、事前の対策を心がけているか。

校内巡視などがあまりできていない状況があり、児童生徒や教員の観察や把握の

機会が少ないということはないか。

児童生徒が問題行動を起こしたとき、複数で対応する体制ができているか。

部活動や体育の指導時などは、教職員の厳しい指導も当たり前と考えていないか。

不祥事防止などの通知が来ても、形式的に知らせるだけになっていないか。

児童生徒や保護者からの苦情に対して、しっかりとした対応ができているか。

44

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【個人情報の紛失・流失】個人情報の安全管理のための規程(内部基準、手順書等)は明文化されているか。

個人情報の安全管理のための規程は、教職員が常に確認できる状態になってい

るか。

教職員に対し、個人情報の意識を高める研修を実施しているか。

個人情報を所定のUSBメモリに保存して持ち出す場合、パスワードや暗号化等の

セキュリティ措置を行わせているか。

ホームページに情報を掲載するときや電子メールを送信する際の留意事項につい

て教職員に周知しているか。

保存期限を過ぎた個人情報を適切に処理、廃棄させているか。

個人情報は、教職員だけでなく、スクールカウンセラーや学校看護士、給食調理

員などの外部の人材も関わっていることを日頃から認識しているか。

【飲酒運転・交通事故・速度違反】職場の親睦会など飲酒を伴う会合を行う際に、飲酒運転することのないよう事前

指導を徹底しているか。

自家用車通勤の教職員が朝から酒臭かった場合、すでに酒気帯び運転をしている

可能性が高いことを認識しているか。

飲酒運転の防止のための具体的な方策を職員間で話し合っているか。

交通法規の遵守について日頃より注意を喚起しているか。

遅刻を気にして事故を起こさないように、余裕をもって家を出るように注意喚起

しているか。

事故を起こしたときの対応について教職員に周知徹底しているか。

【公金等の不適切な処理】公金や準公金の経理においては、帳簿や通帳を作成し、出納を厳密に管理して

いるか。

会計事務を担当者に任せきりにしていないか。

金庫に何が保管されているか把握しているか。

複数で会計事務をチェックする体制になっているか。

通帳・印鑑等の保管庫の鍵等の保管について十分に注意を払っているか。

職員に業者との関係を適正に保つよう指導しているか。

45

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Ⅲ 参考資料

46

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《参考資料》

1 信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言

信頼される教職員の在り方検討委員会

提 言

平成29年3月17日

47

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は じ め に

本県の教職員による不祥事が連続して発生したことを受け、「信頼さ

れる教職員の在り方検討委員会」が設置された。本委員会においては、

6名の委員により、依頼された不祥事発生の要因や予防策についての検

討を3回にわたって行ってきた。

検討に当たっては、本県の過去10年間における不祥事の発生状況や、

これまでの県教育委員会の不祥事防止に関する取組について把握した上

で、今年度実施した各学校における「コンプライアンス・チェック」の

結果にも目を向け、また、オブザーバーである小学校、中学校、県立学

校を代表する各校長からも学校の現状について意見を聞くよう努めてき

た。その上で、教職員の不祥事を根絶し、信頼される学校をつくるため

には何が必要なのか、それぞれの専門的見地から意見を出し合いながら

議論を進めてきたところである。

以上の経緯を踏まえ、提言として、「教職員としての自覚を高める」

「人権意識の高揚を図る」「危機意識を高める」「望ましい職場風土の

醸成を図る」の4つを示すこととした。また、それぞれの提言において

は、現状における課題について言及し、改善のための取組に関する視点

を明示した。

今後、教職員一人一人が教育に求められる崇高な使命と責任をより一

層自覚し、強い当事者意識を持って日々の教育活動に取り組むよう、各

教育関係者が不祥事防止に主体的に取り組まれることを期待するととも

に、この提言が、本県学校教育の充実・発展に寄与することを切に願っ

ている。

信頼される教職員の在り方検討委員会

座長 藤井 佐知子

48

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信頼される教職員の在り方検討委員会からの提言 〈概要版〉

【提言1】教職員としての自覚を高める

○視点1 教職員としての責任と誇り

課題 責任感の希薄さが見られる。

○視点2 規範意識の高揚

課題 倫理観や規範意識に対する考え方に甘さが見られる。

【提言2】人権意識の高揚を図る

○視点1 人権感覚を磨く

課題 人権に対する配慮が不足している。

○視点2 ハラスメントに関する認識の共有

課題 無意識にハラスメントを行っている。

【提言3】危機意識を高める

○視点1 不祥事を自分の問題として捉える

課題 不祥事を起こす可能性は誰にでもあるという認識が不足している。

○視点2 研修の充実と工夫

課題 研修内容が教職員に浸透しにくい。

【提言4】望ましい職場風土の醸成を図る

○視点1 生き生きと働ける職場環境づくり

課題 教職員としての充実感が得られない。

○視点2 多忙の解消

課題 十分なコミュニケーションを図る余裕がない。

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教職員としての自覚を高める

視点1 教職員としての責任と誇り

【課題】 責任感の希薄さが見られる。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、児童生徒の人格の完成を目指しその資質の向上を促すという、重要な

職責を担っていることを自覚しなければならない。

・教職員は、広く社会から期待を寄せられ、児童生徒や保護者から信頼される存在であり、

児童生徒の生き方の道標とならなければならない。

② 現状 ・教職員としての責任感の希薄さや、それに基づく言動が児童生徒や保護者からの不信感を招いてしまうことがある。

③ 望まれる対応

・教職員は、自らの言動が児童生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすことを再認識するよう

努める。

・管理職や行政は、児童生徒や保護者からの信頼を獲得するためには、教職員一人一人が責

任と誇りを持って教育活動にあたる必要があるということを自覚させる取組を行う。

視点2 規範意識の高揚

【課題】 倫理観や規範意識に対する考え方に甘さが見られる。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、児童生徒の手本となる存在として、高い倫理観と規範意識を備えていなければ

ならない。

② 現状 ・「これくらいならいいだろう」、「見つからなければ大丈夫」といった倫理観や規範意識に対する考え方の甘さが、不祥事につながる例がある。

③ 望まれる対応 ・教職員は、過去の不祥事に関する事例からだけではなく、不祥事につながる可能性がある

普段の自分たちの言動にはどのようなものがあるかという視点からも学ぶよう努める。

・校長は、コンプライアンス・チェックシートを活用するなどして、見落としがちな点も含

め、必要な課題については重点化しながら、教職員の規範意識を高める取組を行う。

提 言 1

50

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人権意識の高揚を図る

視点1 人権感覚を磨く

【課題】 人権に対する配慮が不足している。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、児童生徒の人権感覚を醸成する立場にあり、自らも鋭い人権感覚をもたなけれ

ばならない。

② 現状 ・教職員の不祥事の原因が、不適切な言動などに見られるような人権感覚の鈍さにある場合

が少なくない。

・自分の言動が、児童生徒の心を傷つけていることに気付かない教職員がいる。

③ 望まれる対応 ・教職員は、人権教育において児童生徒に求めることは自らにも求められることであるとの

認識のもと、自身の人権感覚に磨きをかけていくよう努める。

・行政は、学校全体で教職員の人権意識を高揚していくための支援を行う。

視点2 ハラスメントに関する認識の共有

【課題】 無意識にハラスメントを行っている。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、自身の言動の影響力に鑑み、相手の心情を酌み取った適切な言動を取らなけれ

ばならない。

② 現状 ・ハラスメントに関する認識の不足による不適切な言動が不祥事につながることがある。

③ 望まれる対応 ・教職員は、児童生徒に対するハラスメントに限らず、教職員間や保護者などに対するもの

も含め、該当する可能性のある言動や発生しやすい場面について、認識を共有するよう努

める。

・行政は、教職員一人一人がハラスメントについての認識を深められるよう、具体的な研修

資料やチェックシートを提供するなどの支援を行う。

提 言 2

51

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視点1 不祥事を自分の問題として捉える

【課題】 不祥事を起こす可能性は誰にでもあるという認識が不

足している。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、人間のもつ弱さ等を自覚し、自分の言動について襟を正さなければならない。

② 現状 ・不祥事は自分も起こす可能性があること、自分の学校でも起こりうることとして捉えてい

ないことから不祥事につながる例がある。

③ 望まれる対応 ・教職員は、誰もが不祥事を起こす可能性があるという視点から、自らを振り返るよう努め

る。

・校長は、ヒヤリ・ハットの視点から、日常的に起こりうる小さな問題にも焦点を当て、教

職員一人一人の危機意識を高める取組を行う。

視点2 研修の充実と工夫

【課題】 研修内容が教職員に浸透しにくい。

① 信頼される教職員の在り方 ・教職員は、教育公務員特例法にもあるとおり研修と修養に努めなければならず、不祥事を

自らのこととして意識し、研修しなければならない。

② 現状 ・不祥事防止に関しては、これまでも校内はもとより、様々な場で注意喚起や研修がなされ

てきたが、全教職員までその趣旨が浸透していないため、不祥事が依然として発生してい

る。

③ 望まれる対応 ・校長や行政は、教職員が不祥事を起こした場合には、どのような結果が生じるのかという

ことをより具体的に想像できるよう研修内容を工夫する。

・行政は、効果的な研修資料を提供するなど学校を支援するとともに、法定研修等において

は、受講者が主体的に考えられる取組を行う。

危機意識を高める

提 言 3

52

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視点1 生き生きと働ける職場環境づくり

【課題】 教職員としての充実感が得られない。

① 学校としてあるべき姿 ・教職員一人一人が、互いのよさを認め合い、風通しの良い職場作りをめざさなければなら ない。

② 現状 ・教職員間の人間関係が希薄になり、先輩教職員が若手教職員を指導したり、教職員同士で

相談したりする機会が少なくなっている。

・仕事に対する充実感の低下が不祥事の間接的な要因となっていることが少なくない。

③ 望まれる対応 ・教職員は、互いに信頼し合い、同じ職場の仲間を大切にできるような人間関係づくりに努

める。

・校長は、教職員の適性を十分に把握し適切に業務分担を行うとともに、日常的な声かけを

通して助言・賞賛をすることにより自己有用感をもたせるなど、教職員の勤務意欲を向上

させる取組を行う。

視点2 多忙の解消

【課題】 十分なコミュニケーションを図る余裕がない。

① 学校としてあるべき姿 ・教職員が同僚と語り合ったり児童生徒と向き合ったりする時間が、十分に確保されなけれ

ばならない。

② 現状 ・教職員同士の人間関係は良くても、相談できる時間が少ないため、問題を一人で抱え込ん

でいる場合がある。

・学校全体が多忙である中、お互いを気遣う余裕がなくなり、変化に気付かないことで不祥

事につながることがある。

③ 望まれる対応 ・校長は、積極的に教職員の相談に応じるとともに、業務内容を整理し、統合・削減・改善

を行う。

・行政は、教職員間のコミュニケーションが十分に図れるよう、また、児童生徒と向き合う

時間が確保されるよう、学校の業務改善のための具体的な方策を打ち出す。

望ましい職場風土の醸成を図る

提 言 4

53

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信頼される教職員の在り方検討委員会について

1 目的

教職員一人一人が使命感と誇りをもって、栃木の教育に専心する教育環境のより一層

の創出を目指し、本県における不祥事の発生の要因や予防策について第三者も交えた検

討を行うため、「信頼される教職員の在り方検討委員会」(以下「委員会」という)を

設置する。

2 委員(6名)

○藤井佐知子(宇都宮大学理事・副学長)

星 幸広(千葉大学ジェネラル・サポーター 元千葉大学講師 学校危機管理アドバイザー)

横山 幸子(弁護士)

中川 英男(栃木県高等学校 PTA 連合会長)

水越 久夫(宇都宮市教育委員会教育長)

軽部 幸治(栃木県総合教育センター所長)

○印は座長

3 オブザーバー(3名)

髙山 裕一(栃木県小学校長会長)

半田 均(栃木県中学校長会長)

萩原 伸二(栃木県高等学校長会長)

4 委員会開催日程

開 催 日 程 内 容

第1回

11月14日

○本県の不祥事防止に関する取組状況について

○本県の不祥事発生の状況について

第2回 1月24日 ○コンプライアンス・チェックシートの結果について

○不祥事の原因と防止に向けた対応策について

第3回 2月14日 ○「信頼される教職員の在り方検討委員会」からの提言に

ついて

54

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《参考資料》

2 不祥事の発生状況

文部科学省「公立学校の教育職員に係る懲戒処分等の状況調査」結果と県教育委員会統計

資料により、過去10年間における全国と本県の懲戒処分件数及び指導措置件数※を比較す

るとともに、本県における月別、年齢別の発生状況を分析する。なお、以後の表記で「懲戒

処分等」とある部分は、懲戒処分と指導措置を含めたものである。

(※集計上、監督責任は除いてある。)

(1)年度別懲戒処分等件数

① 全国年度別状況

ア 懲戒処分

・平成19年度の大幅な増加は、北海道及び札幌市における争議行為に係る懲戒処

分(11,893 人)を含むためである。

イ 指導措置

・平成21年度の増加は、兵庫県の学力検査における採点・集計ミスに係る指導措

置(3,626 人)を含むためである。

・平成24年度の大幅な増加は、北海道及び札幌市における職務専念義務違反に係

る指導措置(3,501 人)及び体罰に係る指導措置(2,077 人)を含むためである。

・平成25年度の件数が多い状況は、体罰に係る指導措置(3,543 人)を含むため

である。

・平成26年度の件数が多い状況は、東京都における都立高等学校入学者選抜学力

検査における採点誤りに係る処分等(3,167 人)及び大分県における職務専念義

務違反等に係る指導措置(525 人)を含むためである。

※件数は全国で懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

全国年度別状況

懲戒処分 指導措置

資料1

55

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② 本県年度別状況

ア 懲戒処分

・最も多いのは、平成19年度及び平成25年度の12人である。

・最も少ないのは、平成23年度の2人である。

イ 指導措置

・最も多いのは、平成25年度の129人である。

・最も少ないのは、平成20年度の30人である。

・平成25年度の大幅な増加は、体罰に係る指導措置97人を含むためである。

・平成27年度の増加は、申請中の教科書閲覧に係る指導措置15人を含むためで

ある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

ウ 本県の月別不祥事発生状況

・5月の発生件数が72件と最も多く、次いで10月が多く、70件である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

20

40

60

80

100

120

140

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別状況

懲戒処分 指導措置

資料2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

本県の月別不祥事発生状況資料3

56

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エ 本県の年齢別不祥事発生状況

・45~49歳の発生件数が110件と最も多く、次いで50~54歳が多く108件である。ミドル

リーダーとして活躍する年齢層の教職員による事故件数が多いことが特徴的である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0 20 40 60 80 100 120

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~

件数

年齢

本県の年齢別不祥事発生状況資料4

57

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(2) 不祥事の種別ごとの発生状況

① 体罰の発生状況

ア 年度別懲戒処分等状況

・全国の懲戒処分等件数は平成23年度まではほぼ横ばいであるが、平成24年

度及び平成25年度に大幅に増加している。

・本県の懲戒処分等件数も全国とほぼ同様の傾向である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

20

40

60

80

100

120

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況(体罰)資料6

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

全国年度別懲戒処分等状況(体罰)資料5

58

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イ 本県で発生した体罰に係る被処分者の校種別状況

・中学校での発生割合が高く、発生件数の半数以上を占めている。小学校の発生割合

を合わせると8割を超える。

ウ 本県で発生した体罰に係る場面別状況

・全体的に、授業中及び部活動中において高い割合で発生している。平成23、24

年度は部活動での発生割合が高いが、それ以降は減少し、授業中の割合が増加して

きている。

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

割合

年度

場面別発生状況(体罰)

授業中 休み時間 放課後 部活動 学校行事 その他

資料8

校種別発生状況(体罰)資料7

小学校

28%

中学校

53%

県立学校

19%

59

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エ 本県で発生した体罰に係る場所別状況

・全体的に運動場、体育館及び教室において高い割合で発生している。平成24年度

以降は運動場・体育館の割合が減少し、教室の割合が増加している。

オ 本県で発生した体罰の態様

・「素手で殴る」及び「殴る蹴る」といった態様の割合が高い。年度によっては、「棒

等で殴る」といった態様も見られる。

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

割合

年度

場所別発生状況(体罰)

教室 運動場、体育館 廊下、階段

生徒指導室 職員室 その他

資料9

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

割合

年度

体罰の態様(体罰)

素手で殴る 殴る蹴る 蹴る

投げる、転倒 棒等で殴る その他

資料10

60

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カ 本県で発生した体罰に係る被害状況

・平成24年度以降は、体罰によって傷害を負った児童生徒の割合は少なくなってき

ている。

キ 本県で発生した体罰に係る月別状況

・5月の発生件数が33件と最も多く、次いで6月が31件、10月が28件である。新

学期が始まって学校生活が本格的に動き出す時期や、部活動の大会、学校行事(体育祭

や文化祭)等がある時期に体罰が発生しやすい傾向にある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

5

10

15

20

25

30

35

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生件数(体罰)資料12

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

割合

年度

被害の状況(体罰)

傷害なし 打撲 外傷 鼓膜破裂 その他

資料11

61

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ク 本県で発生した体罰に係る被処分者の年齢別状況

・45~49歳での発生件数が48件と最も多く、50~54歳での発生件数が、

35件と次いで多い。40代後半までは増加傾向にあり、その後減少傾向に転じる

ことが特徴的である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

ケ 本県で発生した体罰に関する分析

○新しい学年・学級を担任した5月頃、乱れた雰囲気の学年・学級にしたくないとい

う思いから、些細なことに対しても感情的になり体罰を行ってしまった例が見られ

る。

○学校行事において、約束を守らなかったり、学年・学級の和を乱したりする児童生

徒に対して、指導が伝わらなかったことへの苛立ちから、感情的になり体罰を行っ

てしまった例が見られる。

○体罰を行ってしまう教職員の中には、繰り返し行ってしまう者もいるが、普段から

力に頼る指導をしていたわけではなく、一時の感情の高まりを抑えきれずに行って

しまう者もいる。

○勝利至上主義に陥り、児童生徒を過度に指導している状況の中で体罰を行ってしま

う者が見られる。

○事故の当事者である教職員の中には、傲りや慢心から、児童生徒の人権を無視した

言動をも正当化してしまう者が見られる。

○学校における中核的な存在として校務分掌の主任等を任され、その責任を果たそう

とするあまり、児童生徒に許せない言動があったとして、一時の感情で体罰を行っ

てしまった例が見られる。

0 10 20 30 40 50 60

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~60

60~

件数

年齢

年齢別発生状況(体罰)資料13

62

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コ 発生状況を踏まえた体罰防止のための取組について

○体罰は、学校教育法第11条に違反する行為であり、児童生徒の人権を著しく侵害

する行為(児童の権利条約等)であることを再認識する。

○児童生徒理解に努め、発達段階に応じた、力に頼らない対応ができるよう指導力を

高める。

○体罰を愛のムチ、指導の一環との誤った考えをもっていたり、保護者から「殴って

もいいから厳しく指導してほしい」などの体罰を容認するような発言に惑わされ

たりする教職員がいることも考えられるため、体罰に対する正しい認識を持つよ

う、教職員間での共通理解を図る。

○教職員一人一人が、体罰を許さない学校風土の形成を心がける。

○管理職は、かっとなりやすい兆候が見られる教職員について、アンガーマネジメン

ト研修を行うなど未然防止に向けた積極的な働きかけを行う。

○課題のある児童・生徒への指導を一部の教員に任せるのではなく、教職員間で情報

を共有し、管理職の指導のもと対応ができる組織作りをする。

○部活動本来の目的等の再確認を行ったり、指導状況を報告したりする場を設ける。

○児童生徒、保護者からの情報に耳を傾ける。

63

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② わいせつ行為等の発生状況

ア 年度別懲戒処分等状況

・全国においては、平成21年度以降増加傾向にあり、平成25年度には調査開始以

来、初めて200件を超えた。

・本県では、年度によるばらつきはあるものの、年間2、3件程度の発生が見られる。

・セクシャル・ハラスメントや児童生徒に対する不適切な行為も散見される。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

50

100

150

200

250

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

全国年度別懲戒処分等状況(わいせつ行為等)資料14

0

1

2

3

4

5

6

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況(わいせつ行為等)資料15

64

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イ 本県で発生したわいせつ行為等に係る被処分者の校種別状況

・被処分者の所属する校種による違いはあまり見られない。

ウ 本県で発生したわいせつ行為等に係る被害者

・自校の児童生徒が被害者である場合が最も多く、次いで自校以外の18歳未満の

者が被害者である場合が多い。

・自校の児童生徒及び18歳未満の者が被害者になったもので、8割以上を占めて

いる。

・「その他」の内容は、わいせつ図画頒布等で被害者が特定できないものである。

校種別発生状況(わいせつ行為等)

小学校

30%

中学校

35%

県立学校

35%

資料16

処分事案の相手(わいせつ行為等)

自校の児童生

62%

18歳未満の者

19%

教職員 4%

その他 7%

資料17

一般人 7%

65

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エ 本県で発生したわいせつ行為等に係る月別状況

・10月の発生件数が7件と最も多く、次いで11月が多く4件である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

オ 本県で発生したわいせつ行為等に係る被処分者の年齢別状況

・年齢に係る特徴は見られず、全ての年齢層で発生している。

・25~29歳の発生件数が5件と最も多いが、5件とも過去5年以内に発生してい

る。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

1

2

3

4

5

6

7

8

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生状況(わいせつ行為等)資料18

0 1 2 3 4 5 6

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~60

60~

件数

年齢

年齢別発生状況(わいせつ行為等)資料19

66

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カ 本県で発生したわいせつ行為等に関する分析

○児童生徒に対する教育的な指導の一環と思わせるような行為(スキンシップ、マッ

サージ等)の中で、自己の行為を正当化しながら徐々にエスカレートして、わいせ

つ行為に及ぶ例が見られる。

○児童生徒から相談を受けたことがきっかけとなって、児童生徒の言動を自分に都合

よく解釈し、電話やメールによってさらに個人的な関係をもち、わいせつ行為にま

で至ってしまう例が見られる。

○宿泊を伴う行事において、単独で夜の見回りを行った際、衝動的にわいせつ行為に

及んだ例が見られる。

○児童生徒は、わいせつ行為に対する恐怖心から抵抗できなかったり、周囲に相談で

きなかったりするため、時間が経ってから発覚する例が多く見られる。

○SNS等を介して軽い気持ちで未成年とやりとりをする中で、わいせつ行為にまで

至ってしまう例が見られる。

○事故の当事者である教職員は、普段の勤務態度に問題がないことが多く、これとい

った予兆がないことが多い。

○法に触れることは分かっていたが、深刻に考えず、自分の欲に流されてしまった例

が多く見られる。

○事故の当事者である教職員には、職務上のストレスを抱えていた例が見られる。

○近年においては、20歳代及び中学校に勤務する教職員の割合が増加している傾向

にある。

キ 発生状況を踏まえたわいせつ行為等防止のための取組について

○日頃の身近な言動を再確認する。

・特定の児童生徒を特別扱いしていないか。

・メールやSNS等、児童生徒と個人的なやりとりをしていないか。

○児童生徒への指導体制について再確認する。

・児童生徒への指導を、密室を避けたり、複数で対応したりするなど、十分な配慮

のもとに行っているか。

・宿泊を伴う引率における児童生徒への見回り等において、適切な役割分担がなさ

れているか。

○悩んでいる児童生徒を確実に把握するための方法等を確立する。

・児童生徒への相談窓口を設けるなど、相談しやすい体制をつくる。

・児童生徒、保護者からの情報に耳を傾けるように心がける。

67

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③ 交通事案の発生状況

ア 飲酒運転

(ア)年度別懲戒処分等状況

・飲酒運転に関する全国の年度別発生状況は、平成18年度から平成20年度まで

は減少したが、その後はほぼ横ばい状況にある。

・本県においては、飲酒運転による懲戒処分等がなかった年度もあるが、ほとんど

の年度で発生している。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

20

40

60

80

100

120

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

全国年度別懲戒処分等状況(飲酒運転)資料20

0

1

2

3

4

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況(飲酒運転)資料21

68

Page 72: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(イ)本県で発生した飲酒運転に係る被処分者の校種別状況

・小学校に勤務する者が5割で最も多い割合を占めるが、全ての校種で発生してい

る。

(ウ)本県で発生した飲酒運転に係る月別状況

・5月の発生件数が5件と最も多く、4月、7月及び12月が2件と次いで多い。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

1

2

3

4

5

6

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生状況(飲酒運転)資料23

本県の校種別飲酒運転発生状況

小学校

50%

中学校

14%

県立学校

36%

資料22

69

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(エ)本県で発生した飲酒運転に係る被処分者の年齢別状況

・40歳から44歳の発生件数が4件と最も多く、50歳から54歳、30歳から

34歳の3件が次いで多い。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

(オ)本県で発生した飲酒運転に関する分析

○代行車の料金が足りなくなるという理由から、途中で下車し、運転してしまった

例が見られる。また、飲酒したにもかかわらず、「時間が経ったので大丈夫」と

いう安易な判断で運転してしまった例が見られる。

○1次会では飲酒していなかったが、その後の2次会で飲酒した後に運転してしま

った例が見られる。

○自宅から数百mのところで代行車を降り、その後運転したことにより検挙された

例が見られる。

○仕事上の問題や家庭でのストレスから飲酒し、運転してしまった例が見られる。

○深酒した状態で出勤するなど、前兆があった例が見られる。

○事故の当事者である教職員は、普段の勤務態度に問題がないことが多い。

○被処分者が在籍する学校の校長は、事故前において、飲酒運転の防止に関する指

導を十分に行っていた。

0 1 2 3 4 5

20~24

25~29

30~34

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40~44

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50~54

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60~

件数

年齢

年齢別発生状況(飲酒運転)資料24

70

Page 74: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(カ)発生状況を踏まえた飲酒運転防止のための取組について

○各職場等での宴席の前に帰路の手段等を話し合っておくとともに、宴席後におい

てもお互いに確認し合うようにする

○自宅の車庫入れなど、わずかな距離であっても、酒を飲んだ後はハンドルを握ら

ないことを普段から確認しておく。

○研修等の機会に、どれだけの量を飲めばどれだけの時間運転してはいけないのか、

科学的なデータに基づき確認する。

○勤務中にアルコールのにおいがするなどの予兆が見られた場合には、管理職は当

該教職員と面談の機会を持つなどして、本人の状況について確認した上で適切な

指導を行う。

○管理職はマニュアルを整備するだけでなく、日頃から職員の悩みを聞くように心

がける。

○児童生徒や保護者、教職員からの情報に耳を傾ける。

71

Page 75: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

イ 交通事故(人身加害)

(ア)年度別懲戒処分等状況

・平成18年に17件と特に多く発生したが、その後の発生件数は、ほぼ横ばいと

なっている。

・死亡事故(加害)は、7件発生している。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

(イ)本県で発生した交通事故(人身加害)に係る被処分者の校種別状況

・県立学校及び小学校に勤務する者の割合が多少高いが、全ての校種で発生してい

る。

0

2

4

6

8

10

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16

18

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況(交通事故)資料25

本県の校種別交通事故発生状況

小学校

35%

中学校

27%

県立学校

38%

資料26

72

Page 76: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(ウ)本県で発生した交通事故(人身加害)に係る月別状況

・10月の発生件数が12件と最も多いが、どの月においても発生している。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

(エ)本県で発生した交通事故(人身加害)に係る被処分者の年齢別状況

・50歳から54歳が15件、45歳から49歳が14件と多く発生しているが、

特定の年代に限らず発生する傾向がある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

2

4

6

8

10

12

14

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生状況(交通事故)資料27

0 2 4 6 8 10 12 14 16

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~60

60~

件数

年齢

年齢別発生状況(交通事故)資料28

73

Page 77: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(オ)本県で発生した交通事故に関する分析

○帰宅途中の交通事故の事例が多く見られる。

○助手席の荷物等に気を取られて、ブレーキを踏むのが遅れたという衝突事故が見

られる。

○事故前に軽微な交通違反を犯している例が見られる。

○被害者との示談にかなりの期間を要する例が見られる。

(カ)発生状況を踏まえた交通事故防止のための取組について

○勤務終了後の事故が多いことから、退勤時にお互いに声かけを行うなどの働きか

けが有効であると考えられる。

○自分は大丈夫という安易な考えに陥らないよう、管理職は安全運転について継続

的に指導を行うようにする。

○助手席付近に携帯電話や書類等を置かないように心がける。

○管理職は軽微な交通違反についても報告を求めるとともに、軽視することなく適

切に指導を行うようにする。

○万一事故が発生した場合、管理職は事故処理の進捗状況について、当該職員への

確認を随時行うとともに、誠意をもって対応するよう指導を心がける。

74

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ウ 速度超過

(ア)年度別懲戒処分等状況

・平成22年度以降、減少傾向にあったが、近年再び増加傾向にある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

(イ)本県で発生した速度超過に係る被処分者の校種別状況

・小学校に勤務する者の割合が半数である。

0

2

4

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H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況(速度超過)資料29

本県の校種別速度超過発生状況

小学校

51%中学校

32%

県立学校

17%

資料30

75

Page 79: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(ウ)本県で発生した速度超過に係る月別状況

・年度始めや夏期休業中に多く発生し、その後減少する傾向にある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

(エ)本県で発生した速度超過に係る被処分者の年齢別状況

・45歳から49歳の発生件数が17件と最も多いが、特定の年代に限らず発生す

る傾向がある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

2

4

6

8

10

12

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生状況(速度超過)資料31

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

20~24

25~29

30~34

35~39

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45~49

50~54

55~60

60~

件数

年齢

年齢別発生状況(速度超過)資料32

76

Page 80: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

(オ)本県で発生した速度超過に関する分析

○部活動の大会や練習試合に向かう途中で、速度超過を犯す例が見られる。

○複数車線の比較的大きな道路で、速度超過を犯す例が多く見られる。

○近年は、行政処分の対象となる大幅な速度超過が多く見られる。

○事故の当事者である教職員は、勤務状況に問題がないことが多い。

○初任者による速度超過も散見される。

(カ)発生状況を踏まえた速度超過防止のための取組について

○約束の時刻に遅れそうなときには、事前に連絡して交通法規を犯すような状況を

作らないよう、研修等で確認する。

○自分は大丈夫という安易な考えに陥らないよう、管理職は安全運転についての指

導を十分に行うようにする。

○初任者への指導においては、指導力の向上のみに囚われることなく、社会人とし

ての常識や責任についても学校をあげて十分な指導が行われるようにする。

77

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④ 個人情報の不適切な取扱いに係る事故の発生状況

ア 年度別懲戒処分等状況

・全国の懲戒処分等件数はほぼ横ばいの状態であったが、平成26年度に大きく増加

している。これは、大分県において学級名簿を職員団体活動に利用したとして

525人が厳重注意を受けたためである。

・本県においては、平成18年度に7件、平成21年度に6件と多かったが、それ以

降は減少傾向にある。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

100

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H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

全国年度別懲戒処分等状況

(個人情報の不適切な取扱い)

資料33

0

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H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

件数

年度

本県年度別懲戒処分等状況

(個人情報の不適切な取扱い)

資料34

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Page 82: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

イ 本県で発生した個人情報の不適切な取扱いに係る事故の校種別状況

・中学校に勤務する者の発生割合が52%と多く、小中学校で全体の93%を占めて

いる。

ウ 本県で発生した個人情報の不適切な取扱いに係る事故の月別状況

・6月及び7月の発生件数が、それぞれ5件と最も多く、次いで12月及び2月が、

多くなっている。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

0

1

2

3

4

5

6

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

件数

月別発生状況

(個人情報の不適切な取扱い)

資料36

校種別発生状況

(個人情報の不適切な取扱い)

小学校

41%

中学校

52%

県立学校

7%

資料35

79

Page 83: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

エ 本県で発生した個人情報の不適切な取扱いに係る被処分者の年齢別状況

・50歳から54歳が7人と最も多く、次いで45歳から49歳が6人と多いが、特

定の年代に限らず発生している。

※件数は懲戒処分等を受けた公立学校職員の人数である。

オ 本県で発生した個人情報の不適切な取扱いに関する分析

○事故の当事者である教職員は、勤務状況には問題がなく、むしろ児童生徒の指導に熱

心である者がほとんどである。学校で仕事が終わらずに、家で仕事をするために持ち出し

て紛失する事例が多い。

○USBメモリ等を無断で持ち出していたりパスワードをかけていなかったりと、校

内規定に違反している事例が多い。

○必要のない個人情報までUSBメモリ等に保存している例が見られる。特に私物の

USBメモリ等は個人の持ち物であるという意識があるため、公用USBメモリ等

と比べて管理が甘くなると考えられる。

○USBメモリ等をペンケースに入れたまま持ち運び、ペンケースごと紛失する例が

極めて多い。持ち運ぶ機会が多いほど紛失するリスクが高くなることを認識する必

要がある。

○事故の当事者である教職員の中には、何年間も校内規定に違反していた例も見られ

る。

○事故の当事者である教職員は、紛失したUSBメモリ等を探すことを優先させてし

まい、管理職への報告が遅れることが多い。

○生徒の個人情報を授業や進路指導に使用してしまう例が見られる。個人情報の漏洩

は児童生徒の人権の侵害に当たることに思いが至らなかったものと考えられる。

○事故の当事者のほとんどは、「自分は大丈夫」という認識をもっていた。

0 1 2 3 4 5 6 7 8

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55~59

60~

件数

年齢

本県の年齢別発生状況

(個人情報の不適切な取扱い)

資料37

80

Page 84: 本県教職員の不祥事の撲滅を目指して (分析と ... - Tochigi ......大変遺憾であり、慚愧の念に堪えません。教育公務員には、高い倫理観が

○成績処理等の業務を行うためにUSBメモリ等を家に持ち帰って紛失するなど、長

期休業前に多く発生している。

○発生件数が減少していることについては、各市町で個人情報取扱いルールの整備、

セキュリティ対策を行ったことや、各学校の意識向上が図られたことが考えられる。

カ 発生状況を踏まえた個人情報の不適切な取扱い防止のための取組について

○個人情報を持ち帰って家で仕事をする際には、管理職に相談をする。また、管理職

は職員の業務の進捗状況を把握しておく。 ○個人情報の管理の方法について再確認する。

・個人情報を持ち帰る必要がある場合には、各学校のきまりに従って持ち出す。

また、記憶媒体は必ずパスワードがかかるものを使用する。

・個人情報を持ち出した場合、その取扱いには十分注意し、車内等に放置すること

がないようにする。

・校内においても個人情報を保存したUSBメモリ等をペンケース等に入れたま

ま持ち歩かないようにする。

○必要のない個人情報は、確実に破棄する。

・USBメモリ等はデータを一時的に保存するためのものであることを認識する。

・公用USBメモリ等がある場合には、私物のUSBメモリ等に個人情報を保存し

ないことを徹底する。

○児童生徒の進路に関わる情報も個人情報である。また、児童生徒の氏名が特定され

なくても、児童生徒に関する個人的なデータを公開することは個人情報の不適切な

取扱いとなることについて、事例を挙げながら共通理解しておく。

○管理職は個人情報の適切な管理について、教職員一人一人が自分自身のこととして

捉えられるような指導を工夫することが大切である。

・持ち出し申請などは運用面を十分に考慮して形骸化しないよう工夫する。

・児童生徒の人権について、個人情報保護の視点から考える機会をもつ。

・個人情報の取扱いについて、学校の常識にとらわれず、社会一般の常識にあては

めて考える機会をもつ。

・携帯電話に児童生徒に係る情報が保存されていないか確認する。

・万が一個人情報が漏洩した場合の影響について考える機会をもつ。

81

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《参考資料》

3 各学校におけるコンプライアンス意識の実態把握調査及び対応策のまとめ

(1)本資料について平成28年度に入り、3件の懲戒処分があり、8月17日に臨時校長会を実施した。

その際、未然防止のための方策の一つとして、「コンプライアンス・チェックシート」を利用した実態把握調査、及びその調査結果を用いた対応策の作成(コンプライアンス・アクションシートに記入)及び危機管理マニュアルの見直しを依頼した。

本資料は、各校で実施したコンプライアンス・チェックの結果を県全体として校種別に集計したグラフ(※1)、及び各校の対応策(※2)の中で主なものを抜粋したのものである。

(※1):コンプライアンス・チェックシートによる回答のうち、「そうである」「どちらかといえばそうである」

の合計の割合をグラフ化。

(※2):コンプライアンス・アクションシートによる回答

(2)調査及び対応策作成の概要①目 的

各学校におけるコンプライアンスの状況を教職員一人一人が評価し、実態を適切に把握することで学校全体のコンプライアンス意識を高めるとともに、個人のコンプライアンス意識の更なる高揚を図ることを目的とする。

また、教職員全員で取り組むことにより、学校全体の実態を捉え、特に改善が必要な部分については、対応策を教職員全員で検討し、決定した内容を危機管理マニュアルに反映させる。

②実施内容ア「コンプライアンス・チェックシート」を利用した実態把握調査

対象者 公立小学校・中学校、県立学校の全教職員実施内容 各項目の質問に対して各学校のコンプライアンス状況を4段階で評価

項目1 職場環境(風土)項目2 わいせつ行為、セクシュアル・ハラスメントの禁止項目3 体罰の禁止項目4 交通法規の遵守項目5 個人情報保護・情報セキュリティー項目6 適正な会計処理等

診断基準は4段階1「そうである」2「どちらかといえばそうである」3「どちらかといえばそうではない」4「そうではない」

イ対応策の作成ステップ1 コンプライアンス・チェック結果を基に、各校での課題は何か、そ

してその課題解決のためにはどのような方策があるのかを協議し、学校としての取組内容を明らかにする。特に調査結果の評価が低い部分については、小規模校であれば教職員全体で、大規模校では学年や学科、学部ごとに取組内容を検討する。

ステップ2 学校としての取組内容が明らかになったら、その対応策を「コンプライアンス・アクションシート」に記入する。

ステップ3 検討した課題解決のための取組内容を基に、各校の「危機管理マニュアル」に反映させる。

82

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1 職場環境(風土)

強い使命感や高い倫理観に満ちた職場環境となっていると考えている教職員の割

合は、全ての校種で高くなっている。しかし、④の項目が、他の項目と比較して、

「できている」と考えている教職員の割合が低い結果となっている。また、⑥の項

目も他の項目と比較して、「できている」と考える教職員の割合が低い結果となり、

コンプライアンス意識の高揚が図れるような研修等が必要である。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、職員は、教職員として

の強い使命感と高い倫理観が求められている

ことを自覚し、行動している。

② あなたの学校では、様々な校務や児童生徒

の問題等について、一人で抱え込むことなく、

組織として対応できるよう、報告・連絡・相

談が徹底されている。

③ あなたの学校では、職員は児童生徒の人権

を大切にし、常に、言葉遣いや発言に注意し

ている。

④ あなたの学校では、職員が互いに言動につ

いて指摘しあえる「風通しの良い」職場環境

づくりや人間関係づくりに努めている。

⑤ あなたの学校では、職員は保護者や地域住

民との情報や意見の交換が円滑にできるよう

に努めている。

⑥ あなたの学校では、研修等により、コンプ

ライアンス意識の高揚が図れるよう努めてい

る。

(%)

96.2

98.1

97.4

96.4

93.0

97.1

96.2

94.2

93.2

92.1

86.5

91.7

95.2

94.9

93.1

84.2

92.0

89.6

83

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※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、職員 ・機会あるごとに、具体的事例等に基づいて、教職員とは、教職員としての強い使 しての責務と使命感・倫理観について自覚を促す研修命感と高い倫理観が求めら を実施し、常に意識する集団づくりに努める。れていることを自覚し、行 ・『教育ビジョンとちぎ』にある求める教師像を全員が確動している。 認する場を設定する。

・行動規範カードを職員証に入れるなど意識づけをする。

② あなたの学校では、様々 ・学年内やブロック内だけでなく、学校全体に問題を提な校務や児童生徒の問題等 示して、全教職員として対策や現状について話し合い、について、一人で抱え込む 報告し合う機会をつくる。ことなく、組織として対応 ・職員室内でのお互いの「気づき」を大切にするよう働できるよう、報告・連絡・相 きかける。談が徹底されている。 ・相談してよかったと思える職場環境づくりに努める。

③ あなたの学校では、職員 ・児童に対する言葉遣いなどで気がついたときにはお互は児童生徒の人権を大切に いがすぐに指摘しあうとともに、自覚を促すための掲し、常に、言葉遣いや発言 示物等を設置する。に注意している。 ・学年ブロックに担任以外の先生も入り、児童生徒一人

一人の気持ちを振り返る機会をもつ。・現職教育でアサーショントレーニング等を行い意識を

高める。

④ あなたの学校では、職員 ・管理職は教職員全員に目を配り、主体的な取組や努力が互いに言動について指摘 には声をかけ賞賛の辞を贈る。また、放課後は教職員しあえる「風通しの良い」 同士が互いに何でも話せる雰囲気づくりに努める。職場環境づくりや人間関係 ・一人一人が日常的に教職員間のあいさつや言葉かけにづくりに努めている。 努め、「良いことは良い悪いことは悪い」と言える職場

環境づくりに努める。・弱音をはける職場環境づくりに努める。

⑤ あなたの学校では、職員 ・地域に対しては学校便り等を発信したり、保護者に対は保護者や地域住民との情 しては各種行事等を利用したりすることで交流を深め報や意見の交換が円滑にで ていく。きるように努めている。 ・PTA役員会や学校評議員会等の際に、教職員と関係

者が意見交換ができる場を設定していく。・学校公開、授業参観、学年部会等の折にアンケートを

実施し、保護者の声に耳を傾ける。

⑥ あなたの学校では、研修 ・具体的な事例を出したり、新聞報道等で取り上げられ等により、コンプライアン た事例や時期的に起こりやすい例など時宜を捉えた例ス意識の高揚が図れるよう を取り上げるなどして、研修を工夫して行う。努めている。 ・タイムリーな話題を中心に職員会議や打合せ等でショ

ート研修を行う。・現職教育において、ワークショップ形式の研修を行う

など研修方法を工夫する。

84

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2 わいせつ行為、セクシュアル・ハラスメントの禁止

勤務中及び勤務時間外において、自らの行為が誤解や批判を受けることがないよ

うに、厳しく律した言動に努めていると考えている教職員の割合は高い。しかし、

他の項目と比較して、中学校や県立学校では、③の項目で「できている」と考えて

いる教職員の割合が低い結果となった。学年が進み、児童生徒がスマートフォン等

を所有する割合が高くなることに伴い、教職員が児童生徒と個人的なやりとりをす

ることが多くなることから、このような結果になったのではないかと推測される。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、職員は日常の勤務にお

いて自らの行為が誤解や批判を受けることの

ないよう、厳しく律した言動に努めている。

② あなたの学校には、職員は勤務時間外にお

いても、自らの行為が誤解や批判を受けるこ

とのないよう厳しく律した言動に努める雰囲

気がある。

③ あなたの学校では、職員が携帯電話やSNS

で児童生徒と個人的なやりとりをしないこと

が徹底されている。

④ あなたの学校では、性的な言動により、相

手がいやがったり、不快に思ったりするよう

なセクハラ行為は見られない。

⑤ あなたの学校では、指導の際に児童生徒と

密室で2人きりにならないことや、不必要に

相手の体に触れないということが守られてい

る。

⑥ あなたの学校では、児童生徒が安心して相

談や報告ができる体制が整っている。

(%)

95.297.8

97.1

96.7

98.1

97.0

97.8

92.4

93.9

82.6

95.8

95.1

94.1

93.8

88.9

94.3

92.4

94.3

85

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※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、職員 ・具体的な事例を用いて、一人一人に考えさせる研修なは日常の勤務において自ら どにより、正しい判断・価値基準の共通理解を図るこの行為が誤解や批判を受け とが大切である。ることのないよう、厳しく ・指導時にドアを開けたままにするとか、1対1で対応律した言動に努めている。 しないなど、明確なマニュアルを作成する。

・セクハラにあたる言動を注意しあえる雰囲気づくりに努める。

② あなたの学校には、職員 ・具体的な事例に基づく職員研修を実施し、勤務時間外は勤務時間外においても、 の自らの言動について、教育公務員としての適否や影自らの行為が誤解や批判を 響等を深慮したものとするよう、厳しく自らを律する受けることのないよう厳し 態度の育成に努める。く律した言動に努める雰囲 ・勤務時間外の言動についての自覚を促し、学校危機管気がある。 理マニュアルに反映させるとともに、定期的な確認の

場を持つ。・教育公務員のわいせつ行為・セクハラに関する新聞記

事等を職員に配付し、規範意識の高揚に努める。

③ あなたの学校では、職員 ・学校の情報管理集等に、職員が携帯電話やSNSで生が携帯電話やSNSで児童 徒等と個人的なやりとりをしないことを明記するとと生徒と個人的なやりとりを もに、研修の機会を利用し共通理解を図る。しないことが徹底されてい ・携帯電話番号やアドレス等の安易な公表をしないようる。 にする。

・携帯電話やSNSで直接生徒とつながることの危険性について校内研修を実施し、絶対にやりとりを行わないということを徹底する。

④ あなたの学校では、性的 ・職場内でも疑問に思った行動は、すぐに言える雰囲気な言動により、相手がいや を作るとともに、すぐに報告する。がったり、不快に思ったり ・どのような行為・言動がセクハラとなるのか、全職員するようなセクハラ行為は で再確認をする。見られない。 ・不快な思いをした際には、小さなことでも管理職へ報

告、必要に応じて指導を行う。

⑤ あなたの学校では、指導 ・男女問わず、生徒指導等を行う場合は複数の教員で行の際に児童生徒と密室で2 うこと、特に女子生徒の指導においては女性教員を含人きりにならないことや、 むこと、むやみに生徒に触れないことを徹底する。不必要に相手の体に触れな ・私は大丈夫という油断をしない。いということが守られてい ・指導の内容によっては他の先生に声をかけて同席をおる。 願いするようにするなど、学年間で連携する。

⑥ あなたの学校では、児童 ・日頃から声かけや励ましを心がけ、児童との良好な人生徒が安心して相談や報告 間関係、学級づくりに努め、受容的で相談しやすい環ができる体制が整ってい 境を整える。る。 ・相談体制を再整備し、カウンセリングマインドをもっ

て生徒に接することができるよう校外研修に積極的に参加したり、校内研修を実施したりする。

・「相談ポスト」を設置するなど、相談しやすい体制を整える。

86

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3 体罰の禁止

他の項目と比較して、④、⑤で「できている」と考えている教職員の割合が全て

の学校種で低くなっている。体罰は人権に係る問題であると、ほとんどの教職員が

認識しているのにもかかわらず、実際の指導場面では、威圧的な態度が見られると

判断している教職員がおり、日頃からの雰囲気の醸成に関しても課題があると考え

られる。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、体罰は、児童生徒の人

権に係る問題であるということが認識されて

いる。

② あなたの学校には、「体罰はいけないこと

だと分かっているが、場合によってはやむを

得ない。」という体罰を容認する雰囲気はな

い。

③ あなたの学校では、児童・生徒指導を一部

の教員に任せることなく、組織として対応し

ている。

④ あなたの学校では、職員が児童生徒を指導

する際、怒鳴ったり、威圧的な態度になった

りせず、冷静に対応している。

⑤ あなたの学校には、体罰について、職員同

士が注意しあえる雰囲気がある。

⑥ あなたの学校では、どのような行為が体罰

に当たるのか、共通理解が図られている。

(%)

97.4

98.6

98.4

97.4

93.0

94.9

97.8

96.2

90.3

92.1

85.5

95.0

97.4

96.9

93.9

88.4

87.4

93.6

87

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※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、体罰 ・今後も、体罰は絶対に許される行為ではないという意は、児童生徒の人権に係る 識を強くもてるよう研修等の充実に努める。問題であるということが認 ・どのような行為が体罰にあたるかについて、もっと詳識されている。 しく具体的に共通理解を図る。それにより注意しやす

い雰囲気を作っていく。・体罰が違法行為であることの法的根拠と力に頼る指導

の問題点を明らかにし、指導法の研究に努める。

② あなたの学校には、「体 ・体罰は、法規に反する違法行為であることを全職員で罰はいけないことだと分か 再確認する。っているが、場合によって ・具体的事例を用いた研修を実施し体罰を許さない職場はやむを得ない。」という づくりに努める。体罰を容認する雰囲気はな ・体罰根絶に向けた校内研修を実施し、体罰は絶対に許い。 されない行為であることを再確認する。

③ あなたの学校では、児童 ・体罰が発生しやすい時期に合わせて研修をするほか、・生徒指導を一部の教員に 児童指導上の情報を共有させ、組織的に対応する体制任せることなく、組織とし をつくる。て対応している。 ・個人一人一人が人権意識を高く持つように心がけると

ともに、個別の指導が必要な場合には、複数の教員で指導に当たるよう心がける。

・報告・連絡・相談されたことが、生徒指導部会等で共有され、具体的対策等についてチームで検討されるようにする。

④ あなたの学校では、職員 ・教師自身の人権感覚をみがき、子どもの人権を否定せが児童生徒を指導する際、 ず、行為自体を指導できるようにする。怒鳴ったり、威圧的な態度 ・不適切な言動を見聞きしたら、即、近くの職員に声をになったりせず、冷静に対 かけ複数の職員で対応する。応している。 ・児童の心に響くような言葉かけや支援の方法を教え合

い、その実践に努める。

⑤ あなたの学校には、体罰 ・注意することが、同僚を守ることにつながるという意について、職員同士が注意 識を持たせるようにする。しあえる雰囲気がある。 ・管理職だけでなく、ミドルリーダーが若手職員に声を

かけたり注意したりできる雰囲気づくりをこれまで以上に推進する。

・授業等で教員の出入りをオープンにして、コミュニケーションをとりやすい環境を作る。

⑥ あなたの学校では、どの ・グレーゾーンの判断についても、教職員で話合いをもような行為が体罰に当たる って課題を共有化していく。のか、共通理解が図られて ・打合せや職員会議の機会などを利用し、児童の心に響いる。 く指導の在り方について全職員で考えていくミニ研修

会を設定する。・年数回の研修のみならず、時事ニュースを管理職が取

り上げ紹介する。

88

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4 交通法規の遵守

※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、交通 ・「自分だけは…」という過信を捨て、交通法規の遵守をルールを遵守して安全運転 徹底する意識改革を図るため、警察関係者からの講話を心がけようという意識を 等を含む職員研修を計画・実施する。教職員一人一人が持ってい ・交通違反は法律違反である等の話題を職場で意図的にる。 取り上げ、法令遵守のさらなる徹底を図る。

・交通安全意識を高めるため、お互いに認識できる場を設定する。

② あなたの学校では、どの ・道路交通法を罰則とともに確認し、交通法規は一人一職員も通勤時や出張時等に 人の心がけ次第で確実に遵守できることを、全職員において、速度超過をしない 繰り返し意識させる。ように時間にゆとりを持っ ・出張者の出発時刻を共有し、余裕を持って出かけられて行動している。 るよう、互いに協力し合える雰囲気をつくる。

・もし遅刻しそうなときは、電話で連絡し、慌てずに運転する。

③ あなたの学校では、「飲 ・地方公務員に課せられた職務上の義務のみならず、身酒運転は絶対にしない」と 分上の義務についても十分な研修を実施する。いう強い意識を全員が持っ ・宴会等の時は、必ず教頭が帰宅手段を確認し、飲酒運ている。 転・酒気帯び運転防止の意識を高める。

・「飲酒運転」については、繰り返し指導する。また、年末年始、学期末等の時期に合わせて注意喚起を行う。

交通ルールを遵守しようとする割合は高い状態にあるが、「飲酒運転は絶対にし

ない」という強い意識を全員が持っていると判断していない教職員がいることは問

題である。また、普段の通勤時や出張等にゆとりをもって行動していると判断して

いる教職員の割合は、やや低い傾向が見られる。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、交通ルールを遵守して安全

運転を心がけようという意識を教職員一人一人が

持っている。

② あなたの学校では、どの職員も通勤時や出張時

等において、速度超過をしないように時間にゆと

りをもって行動している。

③ あなたの学校では、「飲酒運転は絶対にしな

い」という強い意識を全員が持っている。

(%)

96.598.4

96.1

98.6

90.3

97.4

95.8

92.8

97.6

89

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5 個人情報保護・情報セキュリティ

※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、個人 ・市及び校内のセキュリティポリシーが規定されている情報の取扱いに関する校内 ので、再度個人情報の取扱いについて確認していく。規定が作成され、内容の確 ・情報管理規定の見直しを図るとともに、USBメモリ認がなされている。 等の外部記憶媒体について留意点を全職員で確認する。

・校内規定の共通理解を、時宜を見て行う。

② あなたの学校では、個人 ・どこに、何をどのように保存しているか、データの保情報を校外に持ち出す場合 存状態を把握するとともに、教職員一人一人が職場かには、記憶媒体(CD、USB ら個人情報を持ち出すことへの危機管理意識を高める。メモリ等)にパスワードを ・特に、学期末、年度末の成績処理期間中の個人情報の設定するなど、個人情報に 管理の徹底を図る。ついての取扱いを徹底して ・パスワードの設定の仕方等情報セキュリティの研修をいる。 行う。

③ あなたの学校では、職員 ・打合せ等で、定期的に個人情報の取扱いに関する校内は部外者(校内外を問わず) 規定を確認する。がいる場所で児童生徒、保 ・校内において、部外者と話をする場合は、職員室では護者の話など個人情報に関 なく別室で対応するよう、今後も継続していく。わる会話をしないように気 ・宴会等での児童に関する会話は控えるようにし、互いをつけている。 に「PP(Privacy Protection)」を合言葉に指摘し合う

ようにする。

④ あなたの学校では、不要 ・廃棄するチェックリストを作成し、不必要な個人デーとなった個人情報(資料、 タを消去する時間を設定、管理・チェック体制の強化デジタルデータ等)を適切 を図る。に破棄している。 ・年度末に生徒の個人情報の破棄をする期限を決め、引

継事項を含め、適切に対応する。・一斉に破棄する時間を設けるなど、古い年度のデータ

の破棄、移動などを計画的に行う。

個人情報を校外に持ち出さない、あるいは持ち出す際にはパスワード等を設定することが、小学校ではある程度徹底していることが推察されるが、中学校や県立学校では、認識が十分でないと捉えている教職員が多い。また、不要になった個人情報の取扱いも、中学校では他の校種に比べて適切に破棄していないと捉えている職員が多い。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、個人情報の取扱いに関する校内規

定が作成され、内容の確認がなされている。

② あなたの学校では、個人情報を校外に持ち出す場合に

は、記憶媒体(CD、USBメモリ等)にパスワードを設定す

るなど、個人情報についての取扱いを徹底している。

③ あなたの学校では、職員は部外者(校内外を問わず)

がいる場所で児童生徒、保護者の話など個人情報に関わ

る会話をしないように気をつけている。

④ あなたの学校では、不要となった個人情報(資料、

デジタルデータ等)を適切に破棄している。

(%)

93.7 97.2

96.0

96.7

95.6

90.2

92.5

93.2

94.5

89.8

94.1

91.9

90

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6 適正な会計処理等

※県内全公立学校からの回答(コンプライアンス・アクションシート)より主なものを抜粋

項 目 対応策例

① あなたの学校では、学年 ・管理職及び事務担当者は、学校徴収金等が教材等の購・学級費、部活動会計など 入費として適正に処理されているか定期的(月1回)にの学校徴収金が適切に処理 確認する。されている。 ・部活動顧問会を通して、公金の適切な保管や業者への

支払い等がきちんと行われるよう指導していく。・事務職員やPTAと連携を図りながら、学年・学級費

などの学校徴収金の適切な処理について徹底を図る。

② あなたの学校では、現金 ・個人所有のものを含め、机やロッカーに現金を置かなを個人の机やロッカーの中 いことを、朝の打合せ等で周知し、現金の取扱いに関などに保管しないようにし する校内規定を全職員で再確認する。ている。 ・集金については労務主事との連携を図り、その日のう

ちに金融機関に預けるよう心がける。・将来的には、現金を扱わないですむように、ネット・

バンキング化を進める。

③ あなたの学校では、学校 ・公金を扱っているという意識を研修などにより徹底す徴収金について、たとえ一 る。時的であっても立替や流用 ・教頭や事務主任を中心に、学年学級の金銭処理を絶えをしないようにしている。 ずチェックしながら、適切な指導助言を行う。

・問題となった過去の事例等を紹介し、安易に立て替えることのないよう、適正な会計処理を徹底していく。

学校徴収金の処理は、どの校種でもおおむね適切に処理されていると推察される

が、中学校や県立学校では、徴収金を個人の机やロッカーに保管しないことが徹底

されていると捉えている職員の割合が、小学校に比べて低くなっている。

80 85 90 95 100

小学校

中学校

県立学校

① あなたの学校では、学年・学級費、部活動会計

などの学校徴収金が適切に処理されている。

② あなたの学校では、現金を個人の机やロッカー

の中などに保管しないようにしている。

③ あなたの学校では、学校徴収金について、たと

え一時的であっても立替や流用をしないようにし

ている。

(%)

97.398.6

96.6

97.5

91.3

93.3

96.8

90.3

95.1

91