「平成の市町村合併を振り返って」...

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「平成の市町村合併を振り返って」 報告書 平成27年2月 平成の市町村合併に関する懇談会

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Page 1: 「平成の市町村合併を振り返って」 報告書・いわゆる「平成の大合併」から約10年が経過した。この平成の市町村合併は、全国的に推

「平成の市町村合併を振り返って」

報告書

平成27年2月

平成の市町村合併に関する懇談会

Page 2: 「平成の市町村合併を振り返って」 報告書・いわゆる「平成の大合併」から約10年が経過した。この平成の市町村合併は、全国的に推

・ いわゆる「平成の大合併」から約10年が経過した。この平成の市町村合併は、全国的に推進されてきたものである。

・ 本県においては、平成11年3月末に112あった市町村が、平成22年3月末には30市町村へと大きく再編された。市町村の減少数は全国1位、減少率は全国3位であり、全国的にみても市町村合併が大きく進んだ県のひとつといえる。

・ この報告書は、平成の市町村合併を振り返り、合併に至った背景や合併後の地域の変化を丁寧にたどり、様々な角度から合併後の地域の現状を把握することにより、合併による効果と合併後の地域の課題をまとめたものである。

・ 合併に至った背景や経緯は各地域で異なるため、本来、合併の振り返りは、それぞれの地域ごとに行われることにより、合併の効果や課題がより明らかになるものと考えられる。 この報告書は、各地域に共通する背景や効果、課題の部分についてまとめたものであり、報告の結果が共有され、合併市町の今後の行政運営に資することを期待したい。

■ はじめに

・ 振り返りに当たっては、まず、合併後の地域の変化や現状を把握するため、住民へのインタビュー、県民及び合併市町アンケートを実施するとともに、客観的な指標として各種統計データを整理し、分析を行った。これらを踏まえ、有識者による懇談会を開催して意見交換を重ね、検討を行ったものである。

インタビュー : アンケートや統計データからは見えてこない住民の生の声から、地域の姿を点描

(地域で様々な暮らし、仕事をする住民へのインタビュー

:H25.11月~H26.11月 子育て中のお母さん、工場経営者、地域づくり団体リーダーなど計40人)

県民及び合併市町アンケート : 合併後の地域の変化や行政の現状について、概ねの傾向と流れを把握

(県民アンケート:H25.11~12月 回答1,003人、合併市町アンケート:H25.11~12月 18団体)

統計データ : 地域の変化・実情について、人口・経済・財政関係の指標など客観的なデータからアプローチ

平成の市町村合併に関する懇談会 : 合併市町の首長、首長経験者、学識経験者、住民代表、9名で構成

■ 「振り返り」の手法

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■ 報告書は“3つの分野”を“10の視点”で整理

1 合併に至った背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

【視点1】 当時、市町村を取り巻いていた社会情勢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2【視点2】 国・県の施策展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

2 合併後の地域の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

【視点3】 この10年間の市町村の財政状況の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10【視点4】 合併を契機とした新しいまちづくりへの取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12【視点5】 中心部以外で暮らす住民の受け止め・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14【視点6】 地域を支えていくために必要な支所の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16【視点7】 地域自治組織に期待される役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18【視点8】 地域の新たな取り組み~地域資源のブランド化~・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

3 合併市町のこれから ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

【視点9】 地域を支える住民団体との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26【視点10】新たな広域連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

<参考資料>

新潟県地方交付税制度勉強会の検討状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

新潟県における平成の市町村合併の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

市町村合併と地方分権の20年間の歩み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

平成の市町村合併に関する懇談会委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

平成の市町村合併に関する懇談会開催経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

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1 合併に至った背景

■ 平成13年1月1日現在、新潟県内の市町村数は111(20市56町35村)であり、当時全国で3番目に多かった。

■ 県内には、急激に進む人口減少・高齢化の中で、地域の将来に不安を感じ、合併を検討する市町村がある一方、政令指定都市となることで、さらなる拠点性の向上を目指した合併の動きもあった。

■ こうした状況の中、平成16年「地財ショック」と呼ばれる地方交付税の大幅な削減が行われた。このことは、県内市町村の将来の財政運営に対する不安を呼び起こし、合併について逡巡していた市町村の背中を強く押す結果となった。

■ 国は、合併を推進するための様々な制度を設けた。本県は、国の制度に加え、独自に財政支援制度を展開した。

また、県として、県内各エリアの“合併パターン”を一つにしぼって示したことは、各地域の合併議論を活発なものとしていった。

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~「将来的なことを考えれば、合併は当然のことと考えていた。」

「合併するとどうなるのか、住民はよくわからなかったと思う。」

【委員の意見】◎ 将来の地方交付税が保障されず、人口が減少していく中で、自治体自体を維持できないという危機感

があった。(首長)

◎ 市町村の歳入の減少が見込まれ、小規模市町村の運営が維持できるのか懸念される中での合併と認識していた。(学識経験者)

◎ 事業所が減少し地域社会の空洞化が進む中、産業・観光への支援など合併の効果を期待した。(学識経験者)

◎ 経済界の動きとして、「政令指定都市へ」という働きかけを昭和60年代から行っていた。(学識経験者)

◎ 「市」への憧れ、「市」になることへの優越感があった。(住民代表)

◎ 地域に密着した顔の見える行政がなくなることへの不安があった。(首長経験者)

◎ 人口減少、少子・高齢化が急激に進む中、介護保険など新たな行政サービスへの対応も必要となり、市町村の行財政基盤の強化が急務となっていた。

◎ 将来的に地方交付税の減少が見込まれ、小規模な町村の財政運営に不安が拡がる一方で、経済界を中心に政令指定都市の誕生を目指す動きも活発化するなど、県内の各地域で異なる事情を抱えながら、合併の検討が行われていった。

◎ 住民は、合併による効果を期待する一方で、行政が地域から遠くなり、きめ細やかな行政ができなくなるのではないかとの不安を感じていた。

報告のポイント

当時、市町村を取り巻いていた社会情勢視点12

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人口減少と少子・高齢化の進行

◎ 県の市町村合併促進要綱策定時の推計以上に人口減少、少子・高齢化が進行。

○ 平成元年9月、新潟商工会議所が「新潟100万都市構想検討報告書」を作成。日本海側の中枢的国際都市の構築を目指す観点から、市町村合併を前提とした政令指定都市あるいは100万都市実現を目指すことが打ち出された。

○ 平成5年、新潟市を中心に3市4町が「新潟都市圏総合整備推進協議会」を設立。○ 平成14年5月、同協議会が「新潟都市圏ビジョン」を作成。「田園型政令指定都市・新潟」という新しい都市の姿や目指すべき方向を

提示するとともに、地域別の都市機能を具象化した。○ 平成15年以降、合併を経て人口70万人程度で政令指定都市へ移行する市が誕生し、政令指定都市の指定要件が緩和されたことか

ら、新潟市と合併し政令指定都市を目指そうとする近隣市町村の機運が急速に高まっていった。(「政令指定都市へのあゆみ」(平成20年3月、新潟市)から)

政令指定都市をめぐる動き(新潟100万都市構想)

○ 山間地においては24.3%、中間地においては10.6%の集落で、集落機能が低下又は維持困難と考えられていた状況。

○ この状況は、従来“自主自立”を基本としていた集落に行政が関与せざるを得ない状況が生じていたとも言える。

→行政の負担増

良好機能低下

機能維持困難

山 間 地(林野率80%以上)

531(75.6%)

123(17.5%)

48(6.8%)

702(100.0%)

中 間 地(山間地と平地の中間)

704(89.3%)

65(8.2%)

19(2.4%)

788(100.0%)

平 地(林野率50%未満かつ

耕地率20%以上)

889(95.7%)

34(3.7%)

6(0.6%)

929(100.0%)

都市的地域357

(99.7%)1

(0.3%)0

(0.0%)358

(100.0%)

地域区分

集落機能の維持の状況別 集落数

集落機能の維持状況~平成18年実施 新潟県過疎地域市町村アンケートから~

(注) 「集落機能の維持状況」については、明確な判断基準がなく、各市町村において、集落の高齢化率、人口の減少率、住民への聞き取り等から総合的に判断したもの。

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○ 「新潟県市町村合併促進要綱(平成13年2月)」で挙げた「合併の効果」と「合併に対する住民の不安」に対する住民の認識

-県民アンケート(平成25年11月・12月)より-

合併の効果(メリット)

合併に対する住民の不安(デメリット)

①広域的な観点からの地域づくり・まちづくり

②行政サービスの維持・向上

③行財政基盤の強化

④市町村の事務権限の拡大

①地域の伝統や文化が失われてしまうのでは?

②中心部だけが良くなり、中心部以外は取り残されてしまうのでは?

③市町村役場が遠くなって不便になるのでは?

④住民の声が行政に届きにくくなり、きめ細やかな行政ができなくなるのでは?

①「観光資源などの地域資源が増えイメージが良くなった」が最も多く、約4割

②分野別では、「ごみ収集・処理、環境、衛生」が「向上・やや向上」したとする回答が最も多く、約5割

③「議員や職員が減少し、人件費や経費の節約につながったことを評価する」声は、約4割

④「これまで県に対し行っていた申請などが市町でできるようになった」という回答は約3割

①「どちらとも言えない」が最も多く、4割超

②全体では「どちらとも言えない」が最も多く約4割で

あるが、中心部以外では「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」合わせて5割超で「どちらとも言えない」より多い。

③「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」合わせて4割超

④「どちらとも言えない」が最も多く、4割超

県民アンケートでの傾向

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【国のスタンス】

平成10年5月29日に閣議決定された「地方分権推進計画」では、「総合的な行政主体として、人材を確保し、かつ、地域の課題を包括的に解決する観点から、市町村合併により、意思決定、事業実施等を一つの市町村が行うことが効果的である」とし、合併パターンの作成や財政措置など、市町村合併を推進するための各種支援措置を講ずることとされた。

【委員の意見】

◎ 行財政基盤の強化を目指した市町村主導の合併と言いつつも、政府主導の明治の大合併のようだった。(首長経験者)

◎ 国・県が示した合併の趣旨は、財政面が強調されていた。地域をどう考えていくかが見えなかった。(首長経験者)

◎ 県が示した合併パターンではなく、同じ志を持った小規模市町村同士で合併したいと考えていたが、隣接する町村は大きい市との合併に傾いていった。(首長経験者)

◎ 元々地域としてのまとまりがあり、合併に違和感はなかったが、新市の名称についてはかなり議論があった。(住民代表)

◎ 国は、「総合的な行政主体として、人材を確保し、かつ、地域の課題を包括的に解決する観点から、市町村合併により、意思決定、事業実施等を一つの市町村が行うことが効果的である」とし、市町村合併を推進するための法整備や地方財政措置の拡充を行った。

◎ 平成16年「地財ショック」と呼ばれる地方交付税の大幅な削減が行われた。このことは、県内市町村の将来の財政運営に対する不安を呼び起こし、合併について逡巡していた市町村の背中を強く押す結果となった。

◎ 県もまた、独自の財政支援の制度を設けたほか、各圏域ごとの合併パターンを一つにしぼって示し、市町村合併にかかる「議論の機会」を提供した。

報告のポイント

国・県の施策展開視点26

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国・県の主な支援措置

国 県

市町村への情報提供

・市町村の合併の推進についての指針

※ 自治事務次官から都道府県知事に対し「市町村の合併の推進についての要綱」の作成を具体的に指示。合併のパターン等を内容とすることとされた。

・市町村合併促進要綱の策定(合併パターンの提示)

合併の検討、準備、移行に係る経費に対する支援

・合併準備補助金・合併支援経費(特別交付税)

住民意見を尊重するための仕組み

・住民発議制度

合併後の一体化をゆるやかに進める

ための措置(激変緩和)

・議員の定数特例・在任特例

※ 議員の定数や任期に配慮。ただし、一時的にせよ“多過ぎる議員”が市民から批判。

・普通交付税の算定の特例(合併算定替)・地方税の不均一課税

合併後の一体感醸成、均衡ある発展のための

措置

・合併市町村補助金(主にハード)・旧合併特例債(建設事業、基金造成)・合併推進債(旧法、新法)

※ 主に合併後の新しい地域づくりのためのハード整備に対し、手厚い財政支援。

・合併特別交付金(ハード、ソフト)

※ 要綱上の交付総額は全国1位(旧法合併に対するもの)と、全国的に見ても手厚い財政支援。

・地域づくり資金

合併後に必要となる経費に対する支援

・合併補正(普通交付税)※ システム統合など、合併後の臨時的需要に対する経費を措置

その他・市となるべき要件の緩和(3万市特例)・政令指定都市の指定の弾力化(人口70万人程度)

○ 国は平成13年3月、総務大臣を本部長とする「市町村合併支援本部」を設置。同年8月、同本部は「市町村合併支援プラン」を作成した。国は合併を推進するため、“アメとムチ”をふるったと言われた。地方交付税の減額を“ムチ” とすれば、同プランの様々な措置は“アメ”といえる。

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合併促進要綱 要綱策定都道府県数

左のうち、合併パターン提示有 1パターン 複数パターン

47都道府県 45都道府県 21道府県 24都府県

パターン

広域圏 No. 構成市町村 人口(人)

岩船 1 村上市、関川村、荒川町、神林村、朝日村、山北町、粟島浦村 81,873

新発田 2 新発田市、豊浦町、聖籠町、加治川村、紫雲寺町、中条町、黒川村 153,598

新潟

3 安田町、京ヶ瀬村、水原町、笹神村 48,459

4新潟市、新津市、白根市、豊栄市、小須戸町、横越村、亀田町、味方村、月潟村、中之口村

750,575

5 巻町、西川町、潟東村 48,307

五泉6 五泉市、村松町 58,821

7 津川町、鹿瀬町、上川村、三川村 15,814

三条・燕8 三条市、加茂市、燕市、吉田町、田上町、下田村、栄町 223,009

9 岩室村(→新潟市)、弥彦村、分水町、寺泊町(→長岡市) 46,528

長岡

10 三島町、与板町、和島村、出雲崎町 25,879

11 長岡市、見附市、栃尾市、中之島町、越路町、山古志村、小国町 298,325

12 小千谷市、川口町 47,392

柏崎 13 柏崎市、高柳町、刈羽村、西山町 102,925

小出 14 堀之内町、小出町、湯之谷村、広神村、守門村、入広瀬村 45,387

六日町 15 湯沢町、塩沢町、六日町、大和町 74,628

十日町 16 十日町市、川西町、津南町、中里村 69,996

17松代町、松之山町、安塚町(→上越市、以下3村も同じ)、浦川原村、大島村、牧村

20,834

上越18 上越市、柿崎町、大潟町、頸城村、吉川町、清里村、三和村、名立町 185,687

新井頸南 19 新井市、妙高高原町、中郷村(→上越市)、妙高村、板倉町(→上越市) 52,493

糸魚川 20 糸魚川市、能生町、青海町 53,022

佐渡 21両津市、相川町、佐和田町、金井町、新穂村、畑野町、真野町、小木町、羽茂町、赤泊村

72,172

合併市町(人口(人)) 合併しなかった市町村

村上市(73,914) 関川村、粟島浦村

新発田市(106,016)、胎内市(34,278) 聖籠町

阿賀野市(48,459)

新潟市(808,924)

五泉市(58,821)

阿賀町(15,814)

三条市(107,662)、燕市(84,297)加茂市、田上町

弥彦村

長岡市(292,882)

出雲崎町

見附市

小千谷市

柏崎市(97,897) 刈羽村

魚沼市(45,387)

南魚沼市(65,498) 湯沢町

十日町市(65,031) 津南町

上越市(211,890)

妙高市(39,700)

糸魚川市(53,022)

佐渡市(72,172)

(1) 全国状況

(2) 本県が同要綱において示した基本パターン

要綱策定時、111あった市町村の全てを21パターンのうちのいずれかに入れている。組み合わせの基本的な考え方として、

住民の日常社会生活圏を重視し、昭和44年以降に設定され行政上の総合調整に活用された広域市町村圏を基本としている。※人口は、平成12年国勢調査人口より

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2 合併後の地域の変化

■ 合併後の行革努力により、合併市町の行政基盤の強化は着実に進み、合併特例債の活用により、合併しなければできなかったインフラ整備も進んでいる。 しかしながら、一般財源総額が伸び悩む中で、人件費の圧縮では吸収できない福祉関係経費の大幅な増加により、行革効果は帳消しとなり、合併市町の財政状況は依然として厳しい。

■ 住民アンケートにおいて、「合併後は中心部だけがよくなり、中心部以外は取り残されてしまう」という不安があるとの回答が、中心部以外の地域では約半数に上る。

■ 合併後の地域、特に中心部以外の地域を支えていくためには、身近な行政組織である「支所」に一定の権限が与えられる必要がある。

また、今後、地域づくりを進めるためには、住民自らが参画する地域自治組織が重要となってくる。

■ 合併後、新市名によるイメージアップや地域資源の共有・ブランド化などの効果も現れている。

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Page 14: 「平成の市町村合併を振り返って」 報告書・いわゆる「平成の大合併」から約10年が経過した。この平成の市町村合併は、全国的に推

【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「助成は様々な面で良くなった。」

「子育て支援のための財源確保をお願いしているが、なかなか実現しない。」

「小さなことや細かいことには予算がつかず、住民任せになっている。」

「合併により市(町)の財政基盤は強化されたのだろうか。」

【委員の意見】

◎ 交付税はその時々の政権によって左右されてきた。また、ここ数年は、特例債の返済額見合いの交付額が増えており、実質的に交付税は増加しているとは言えない状況。(首長)

◎ 21年度以降は、社会保障費の増加で交付税も増加。人件費削減などで、ようやくつないでおり、財政状況が好転しているわけではない。(学識経験者)

◎ 退職者の一部不補充により職員を減らし、人件費を削減している。(首長)

◎ 財源は合併市町に厚く盛られているのは事実。合併しなかった市町村では支出を抑制すれば収支は合うが、地方債残高が低下傾向にあることは投資していないことの現れではないか。一方で合併市町は必要な投資を継続できているという印象。(学識経験者)

◎ 地方交付税はH15~19にかけて大幅に削減されたが、その後V字回復し、極めて厳しい状況にあった市町村財政は一時的な小康状態に。

◎ 行革努力により人件費は減少する一方で、人口減少、高齢化の加速等により福祉関係経費が大幅に増加。税収や地方交付税などの一般財源の総額が伸び悩む中、行革効果は帳消しとなり、財政基盤の強化には至っているとは言い難い。

報告のポイント

この10年間の市町村の財政状況の変化視点3

10

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1,9852,0342,0342,0022,0101,9351,8741,8301,8131,7711,724

785 878 931 984 1,056 1,098 1,164

1,496 1,590 1,597 1,631

493 506 530 552

570 619

643 681

689 708 726

H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25

福祉関係経費人件費 繰出金1,400 2,4001,900

▲261億円

人件費の減少と福祉関係経費等の増加

2,776 2,790 2,867 2,631 2,623 2,501

2,366 2,484

2,768

3,134 3,073

3,089 3,082

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2200

2400

2600

2800

3000

3200

3400

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

(億円)

地方交付税の推移

9,379 9,524 9,612

9,490 9,355 9,316 9,276

9,185 9,296

9,540 9,680

5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000

H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25

649620

584551

509475469

437415

397400

0 200 400 600 800

H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25

○合併市町

○合併しなかった市町村

地方債残高の推移

2,100

(億円)

(億円)

1,600 1,100 600 100 400 900

4年間で▲約500億円

+846億円

+233億円

※ データは全て本県市町村分

※ 臨時財政対策債を除く

職員数の削減と少子高齢化に対応する経費の増加

市町村合併のピーク

地財ショック

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「道路網が整備され、中心部に出向きやすくなった。」

「上下水道の整備や道路の整備がよく進んでいる。」

【委員の意見】

◎ 支所、道路、学校の改修が進んだことは合併の効果と認識。ぜいたくな投資はないと思う。(住民代表)

◎ 合併特例債により、合併前にはできなかったハード整備事業がスピード感をもって進めることができた。(首長)

◎ 様々な事業が実施できたのは、合併のスケールメリットによるもの。(首長)

◎ 合併の目的は、行政サービスの向上であって、ハード整備ではなかったはず。特例債を使った道路や箱モノ整備は、すべてメリットと言えるのか。(首長経験者)

◎ 国及び県の各種制度による財政支援額の多くはハード整備に充てられ、財政状況等を踏まえた計画的かつ着実な進捗が図られている。

◎ 合併特例債は、新市建設計画に定めた事業の実現のため、地域の一体感醸成、均衡ある発展等につながる様々な事業に活用されている。

◎ これまで進みにくかった広域的な調整や連携を必要とした事業や重点的な投資による基盤整備などが合併を契機に実現しつつある。

報告のポイント

合併を契機とした新しいまちづくりへの取り組み視点4

12

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財 政 支 援 制 度 の 内 容 金 額

地方交付税

3,956億円

国 合併補正(普通交付税) 227

国 合併支援経費(特別交付税) 227

国 合併算定替による加算額 3,501

地方債

4,009億円

国 合併推進債(旧法) 35

国 旧合併特例債(建設事業) 3,542

国 旧合併特例債(基金造成) 326

国 合併推進債(新法) 14

県 地域づくり資金 ※ 92

補助金等

487億円

国 合併準備補助金 5

国 合併市町村補助金 ※ 110

県 合併特別交付金(ハード) 288

県 合併特別交付金(ソフト) 84

合 計 8,452

財政支援額 8,452億円地方交付税による支援額 3,956億円

地方債・補助金等による支援額 4,496億円

このうち約4,000億円がハード整備へ

※一部ハード整備以外に活用されている・観光施設の整備 ・地場産業振興

・基金運用益を活用したソフト事業地域コミュニティ事業への助成地域・ふるさと振興事業へ充当

・交通網の整備 ・河川改修・農業基盤整備 ・上下水道施設整備など

Ⅰ 新市を支える基盤づくり~インフラ整備~

1,125億円

・庁舎、支所の整備・学校教育施設の建設、増築・病院、福祉施設の建築・大規模改修など

Ⅱ 行政サービスの維持・向上~公共施設等の整備~

2,384億円

Ⅲ 個性を活かした地域づくり359億円

合併特例債(3,868億円)を活用した取組

地域振興基金 326億円

発行済額 3,868億円(65%)

未発行額2,055億円

・発行可能額の65%について、発行、活用済み(35%は未発行)。

・財政状況等を踏まえた計画的かつ着実な進捗が図られている。

3,868億円

※平成25年度時点

旧合併特例債 発行可能額 5,923億円

13

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「中心部以外の地域ほど合併前は行政と密接に関わっていたため、合併後、行政が遠くなったと感じている。」

【委員の意見】

◎ 平成の合併は、効率的な行政運営のためだけに行われたように感じる。過疎地域に暮らす人々に合

併の恩恵はあったのか。むしろ「ますます遠くなる行政」になってしまったのではないか。(住民代表)

◎ 「合併して中心部以外の地域が良かった」と言ってくれないと、合併が成功したとは言えない。(首長)

◎ 住民との対話に努めるとともに、地域づくり協議会等の組織を設置し、各地域の特性を活かしたまちづ

くりができるよう交付金を交付している。(首長)

◎ 昭和の合併時もそうであったが、住民感情に関しては時間の経過が必要。(首長経験者)

◎ これまで行政との関わりが密接だった中心部以外の地域の住民ほど、合併後、行政との距離が遠くなったと感じ、「合併後は中心部だけが良くなり取り残されてしまう」という不安が強い。

◎ 合併市町も中心部以外の地域づくりが合併後の大きな課題であることは認識しており、住民とのコミュニケーション、そして住民自らが地域づくりに参画するための仕組みづくりに腐心している。

報告のポイント

中心部以外で暮らす住民の受け止め視点5

14

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6.6%

10.8%

12.3%

14.8%

29.5%

41.4%

23.5%

20.5%

28.0%

12.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

<中心部/中心部以外比較>

どちらとも言えない(わからない) そう思う

そう思わない

どちらかと言えばそう思わない

どちらかと言えばそう思う

中心部 n=649

中心部以外 n=332

計51.5%中心部

中心部以外

インタビューより

県民アンケートより

○ 「合併によって中心部だけが良くなり、中心部以外は取り残されてしまうのではないか」という不安

について、中心部以外では「そう思う」又は「どちらかと言えばそう思う」を選んだ割合が50%超

合併当初は、サービス低下の心配や、本庁、支所間の役割分担にとまどいもあったが、数年経った現在は丁寧に仕事をしてくれており、住民も安心している。

(下越地域 地域紙社長)

合併前にはなかった市長や議員との意見交換の場が設けられており、意見の吸い上げを図ろうと努力している点は評価できる。

(下越地域 保育園園長)

以前は小さな村だったので、地域のつながりが強く、また役場は地域づくりの拠点であり、身近で役割を果たしていた。現在は、町としての一体感が感じられない。(下越地域 地域づくり団体代表)

合併後は、行政に対し中心部以外にまで細かな対応を求めることは難しいので、地域の自立化が進む可能性がある。地域としてもそうしていかなければいけない。

(中越地域 地区コミュニティ振興協議会会長)

介護保険サービスがより広域になり、新市全体で均等的、公平的なサービスを受けられるようになった。(下越地域 高齢者介護施設園長)

合併により、中心部以外は廃れ、 過疎化は進む一方で働く場所がない。高齢化や人口減の歯止めがきかない。中心部の下支えが必要なのではないか。

(中越地域 建設業協会役員)15

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「本庁舎まで行かなくても身近な行政窓口で届出などができるようになり良かった。」

「支所等は身近な行政として絶対に必要。」

「支所では手続や判断ができない事務があるほか、職員が減ったことで、行政サービスの低下や緊急時

の対応に不安がある。」

「顔見知りの職員がいなくなり、話がしづらく、親しみが持てなくなった。」

【委員の意見】

◎ 支所にどのような機能と決定権限があるのかが重要。どこまでが支所で決定でき、どこが本庁に協議しないと決められないのか。平時と災害時等の有事に分けてもよいが、現場で何が決められるかだ。(学識経験者)

◎ 市域が広域になった中で、市としての一つの方向性が見えにくくなっているのかもしれない。各地域をどうしていくかを考えるに当たり、支所が重要な役割を担うべき。(住民代表)

◎ 住民サービスの質の維持よりも、「気軽に相談に行ける」「近くに行政職員がいる」ことが住民の安心感につながるのではないか。(住民代表)

◎ 支所の業務にかかる苦情はそう多くない。ただ、住民は職員の少ない支所に寂しさを感じている。(首長)

◎ 合併のスケールメリットのひとつとして、支所の大きな権限や予算の縮小はやむを得ないと考える。(首長)

◎ 住民の身近で基本的な行政サービスを提供する窓口として、また、防災の拠点として、 支所は無くてはなら

ない存在。また、住民に最も身近な行政組織として地域の将来を住民と共に考えていくことも求められる。支所が担っていく役割は大きい。

◎ 支所が地域で暮らす住民の“拠り所”となっていくため、様々な機会を捉えた交流、課題解決に向けた連携を通じて、支所とそこで働く職員が住民にとって“顔の見える存在”になっていくことが必要と考えられる。

◎ 一方、合併市町が、今後、一層の行政改革を迫られる中で、地域自治組織や地域を支える住民団体等との役割分担を図りながら、支所に置くべき機能を今後見直していくことも必要ではないか。

報告のポイント

地域を支えていくために必要な支所の役割視点616

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住民が特に重要だと考える支所機能

市町村別支所等設置数(H26.4.1現在) 支所等の職員数(H26.4.1現在)と予算(H25決算)

支所等に設置されている部門(有する機能)(H26.4.1現在)

【支所等の区分】・支 所 等:地方自治法に定める支所、事務所(分庁舎)、地域自治区の事務所及び合併特例法

に定める地域自治区の事務所・出 張 所 :地方自治法に定める出張所及び条例等に定めはないが、実質出張所と同じ機能を

有するサービスセンター

市町名旧市町村数

支所等出張所 市町名

旧市町村数

支所等出張所

支所等 分庁舎 支所等 分庁舎

長岡市 11 10 1 五泉市 2 1

三条市 3 2 上越市 14 13 2

柏崎市 3 2 阿賀野市 4 3

新発田市 4 3 1 佐渡市 10 3 6

十日町市 5 4 3 魚沼市 6 5

村上市 5 4 南魚沼市 3 2

燕市 3 2 胎内市 2 1

糸魚川市 3 2 阿賀町 4 3

妙高市 3 2 計 85 55 5 15

◎支所等や出張所は旧市町村に1つ以上設置されている。

◎支所等は、住民が重要だと考える身近な窓口機能や福祉機能を有している。

94.4%

47.4%

32.7%

27.3%

21.9%

1.6%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

①住民票等の交付、納税、各種相談・受付などの窓口機能

②子育て支援や予防接種費用助成などの福祉・保健サービスの提供

③消防・防災の拠点

④身近な公共施設や道路等の維持補修などの施設管理

⑤地域におけるコミュニティ活動の維持

⑥その他

n=574(※複数回答)

・決 算 額:人件費や施設の維持管理経費等の内部経費を除く・政策的経費:支所等が自由に使途を決定できる経費

◎政策的経費の執行権限を有している支所は少ない。

うち政策的経費 うち政策的経費

長岡市 11 396 3,965 49 妙高市 2 18 38 -

三条市 2 23 2 - 五泉市 1 29 - -

柏崎市 2 22 164 164 上越市 15 371 4,427 18

新発田市 4 32 20 - 阿賀野市 3 18 0 -

十日町市 7 89 2,861 433 佐渡市 9 141 60 29

村上市 4 119 - - 南魚沼市 2 25 47 -

燕市 2 8 - - 胎内市 1 8 674 -

糸魚川市 2 36 1,060 - 阿賀町 3 39 12 -

19.6 190.4 9.9

市町名支所等

設置数職員数 決算額

 ※ 本表は、支所等及び出張所の合計

 ※ 「0」は百万円に満たないもの、「-」は該当なし。

市町名支所等

設置数職員数 決算額

1支所等

平均

設置数 割合 設置数 割合

総務・一般 50 83% 3 20%防災 43 72% 6 40%

戸籍・住民票 58 97% 12 80%税務 56 93% 4 27%

地域振興・コミュニティ 53 88% 6 40%福祉 56 93% 2 13%

保健センター 36 60% 0 0%環境・衛生 51 85% 0 0%

商工・農林水産・観光 47 78% 0 0%建設 44 73% 0 0%教育 34 57% 0 0%

※ 総務担当部門が防災担当を兼ねる場合等は防災機能を有するものとして集計している。

部門・機能支所等 出張所

単位:百万円

17

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「行政に対して定期的に意見を言える場である。」

「地域コミュニティの維持や地域活動の基礎になっている。」

「活動の内容も分からず、設置されているかどうかも知らない。」

【委員の意見】

◎ 「小さな行政」は長期展望からは致し方ないことで、「住民による自治活動」と「行政」の協働が提唱され、様々な取組がなされているが、いずれも模索中で模範例がないのが現実。(住民代表)

◎ 地域自治組織の活動は重要だが、その担い手が不足している。女性や若者の担い手が少ないことも課題。PTAや商工会など(既存の組織)との連携も必要。(住民代表)

◎ 組織単位の基本は隣近所だが、地域の今後を議論するには5,000人程度の旧町村単位が適している。それよりも小さい単位では、担い手の不足により組織が成り立たなくなるおそれがある。(住民代表)

◎ 女性や若者の担い手が少ないこと、住民の認知度が低いことが課題として挙げられる。行政だけでは地域を担い切れない現実を見据え、法制度等に根拠を持つ地域自治組織と地域のNPO、農協、商工会などが連携し、地域の課題に向き合っていく仕組みが必要ではないか。

◎ 地域自治組織が地域の課題に向き合い、解決に向け行動していくためには、一定の規模、組織力が必要ではないか。

報告のポイント

地域自治組織に期待される役割視点7

18

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○ 合併に際し、「旧市町村単位のまとまりを重視する」との考え方の下に、地方自治法又は合併特例法において、地域自治区、合併特例区及び地域審議会といった新しい地域自治組織の制度が創設された。

○ 合併により市町村の規模が大きくなることによって、住民の声が届きにくくなるという懸念に対処するため、活用されてきた。

地域自治組織の概要

区分 特 徴

①地域自治区(地方自治法)

「地域協議会」により、地域住民の意見を行政に反映させるとともに、「地域自治区の事務所」で、住民に関する窓口業務等の事務を行う。※ 設置期限がなく、市町村の全域に設置しなければならないため、全国的にも設置例は少ない。

②地域自治区(合併特例法)

上記の地方自治法上のものと同様だが、合併市町村の一体化が阻害されないよう、合併後の一定期間に限り設置。合併市町村の区域の一部に、旧市町村単位で設置可。

③合併特例区(合併特例法)

旧市町村のまとまりが特に重視され、特別地方公共団体として法人格を有し、区独自に施設の設置・管理ができる。設置期間の上限は5年間。

④地域審議会(合併特例法)

合併市町村の施策全般に関し、きめ細かに住民の意見を反映させる。※ ①~③と異なり、事務を執行する事務所等の仕組みは有しない。

一般制度

合併時の特例

(

旧市町村単位で設置)

19

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○ 55.8%が「活動の内容も分からず、設置されているかどうかも知らない」と回答。次いで「活動の内容はよく分からないが、設置されていることは知っている」が37.8%。「活動の内容も含め、よく知っている」は5.6%。

○ 「活動内容も含め、よく知っている」と回答した人が特に役に立っていると考えることは、“行政に対して定期的に意見を言うことができている(又はできた)”が44.4%など。

県民の地域自治組織等に対する認識

本県における地域自治組織等の設置状況

【地域自治組織の設置状況(H26.4.1現在)】

設置組織 市町数 市町名(設置地域) 設置期間 備考

地域自治区(地方自治法第202条の4第1項)

1 上越市(全域) 期限なしH20.4合併特例法から地方自治法上の地域自治区へ移行

地域自治区(旧合併特例法第5条の5)

1 柏崎市(旧高柳町、旧西山町) ~H27.3.31

地域審議会(旧合併特例法第5条の4)※村上市は合併新法第22条

12阿賀野市、佐渡市、糸魚川市、阿賀町、三条市、燕市、村上市、魚沼市、南魚沼市、妙高市、胎内市、五泉市

合併から10年程度が大半(阿賀野市、佐渡市、燕市は、廃止済み)

【その他の組織の設置状況(H26.4.1現在)】

設置組織 市町数 市町名(設置地域) 設置期間 備考

地方自治法上の附属機関(地方自治法第138条の4第3項)

3①新発田市(市に一つ)

②長岡市(編入された市町村の区域ごと)

③十日町市(旧市町村ごと)

①~H26.3.31②長岡市:概ね10年③~H24.3.31 ③H24.4任意組織へ移行

区地域協議会(地方自治法第252条の20第6項)

1 新潟市(区ごと) 期限なしH19.4地域審議会から区地域協議会へ移行

44.4%

40.7%

38.9%

31.5%

22.2%

22.2%

13.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

①行政に対して定期的に意見を言うことができている(又はできた)

②地域コミュニティの維持や地域活動の基礎となっている(又はなっていた)

③地域にとって重要な施策に意見を反映させることができている(又はできた)

④行政の施策や方針等の説明を詳しく聞くことができる(又は聞くことができた)

⑤身近な公共施設の管理や行政サービスを住民自ら行うことができている(又はできた)

⑥住民一人ひとりが地域について考え、行動するきっかけとなっている(又はなっていた)

⑦その他

n=54(※複数回答)

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地域自治組織の活動事例

<上越市(地域自治区(地域協議会))>

○ 委員数(H24.4.1現在)

※ 委員の主な属性 元・前・現町内会長・自治会長、元・前市議会議員

○ 審議事項

■ 市長からの諮問事項・ 市の施設の指定管理者による管理について・ 保育園や公園など市の施設の設置や廃止について・ 地域事業の見直し案について・ 過疎地域自立促進計画(案)について

■ 自主的に審議した事項・ 自主防災組織の結成推進について・ ごみ袋の改善について・ 越後田舎体験推進協議会への加入について・ 光ヶ原高原観光の今後のあり方について

<村上市(地域まちづくり組織)>

○ 委員数(H26.4.1現在)

計(市内全17組織)

524人

(男女比)男性:444人

(84.7%)女性:80人

(15.3%)

(年齢構成)40歳未満:65人(12.4%)

40歳~60歳:265人(50.6%)

60歳超:194人(37.0%)

○ 市からの交付金による活動内容

【あらかわ地区まちづくり協議会の活動例】(平成25年度実績)

・ 運動公園有効活用プロジェクト「花いっぱい作戦」… ラベンダーの試験栽培を通じた仲間づくりなど

・ 地域の中で集う場づくりプロジェクト… 地域の誰もがいつでも自由に利用できる集いの場を空き保育園

につくるための検討

・ あらかわみらいファンド助成事業… 「商工会青年部による出会いサポート事業」など、まちづくりを行

う団体や個人への助成。

・ まちづくり活動啓発事業(実験事業)… 支所を会場にしたレコード鑑賞会など

※ 執行額:7,589千円(参考) 市内全17組織執行額計:56,792千円(平成25年度実績)

計(市内全28区)

416人

(男女比)男性:339人

(81.5%)女性:77人

(18.5%)

(年齢構成)40歳未満:6人(1.4%)

40歳~60歳:97人(23.3%)

60歳超:313人(75.2%)

※ 委員の主な属性元・前・現町内会長・自治会長、老人クラブ、まちづくり団体

○ 地域活動支援事業

住民の自発的・主体的な地域活動を推進するため、市が年間総額1億8千万円を市内全28区に配分。地域協議会が提案事業の審査を担当。

【事業例】 ・ 住民主体の学童保育施設の設置・ 温泉を活用した高齢者の生活支援

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「新市の名称は、ものづくりの街として以前から知名度が高く、製造業にとってイメージがアップした。」

「合併して様々な観光資源を共有でき、まとめて発信できるようになったことは大きなメリット。」

【委員の意見】

◎ これまで「点」であった旧町の観光地を連携して一体的に宣伝することにより、観光に効果が出ている。また、地場産品についても、旧町にそれぞれあった商品を抱き合わせて新たな商品を開発したなどの実績がある。(首長)

◎ 合併後の新市名によるブランド力の強化が挙げられる一方、地域名の消滅により地域でのブランドの独自性が弱まるデメリットもある。(学識経験者)

◎ 新しい地域ブランドの定着には長時間を要する。新しい地域ブランドの認知度向上と既存の地域ブランドの活用が課題。(学識経験者)

◎ 観光や地場産品等の地域資源の共有・ブランド化の取組が進み、宣伝効果や地域の一体感の醸成につながりつつある。

◎ 新たな地域ブランドの定着や住民への浸透には、息の長い取組が必要。

報告のポイント

地域の新たな取り組み ~地域資源のブランド化~視点8

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インタビューより

地域ブランドの取組事例

新潟ニューフードバレー(新潟市)

朱鷺と暮らす郷 認証米(佐渡市)

雪国観光圏(魚沼市、南魚沼市、

十日町市、津南町ほか)

生命地域のまちづくり(妙高市)

・目指すべき都市像を「田園型政令指定都市」と位置付け、食産業全体が連携し、成長産業として一体となって発展する「新潟ニューフードバレー」を推進。

・農地の集積・集約、企業参入の拡大、6次産業化及び付加価値の高い食品開発等に取り組んでいる。

・環境に配慮した独自の栽培方法で生産された佐渡米を認証する制度。(トキの初めての放鳥に合わせ、08年から実施)

・佐渡1市になったことから、認証制度の導入に全島で取り組み、通常の佐渡米より3割以上価格が高いなど付加価値をつけ、販売も拡大。

・魚沼市、南魚沼市、湯沢町、十日町市、津南町、群馬県みなかみ町、長野県栄村の7市町村を圏域とし、広域観光圏の整備計画を推進。

・7市町村を結ぶスノーカントリートレイルや、雪国A級グルメ、季節イベントの共同プロモーション等の事業に取り組んでいる。

・人と自然のつながりを大切にし、全ての生命を安心して育むことができる地域をつくる「生命地域の創造」を基本理念として総合計画に位置付け。

・この共通理念の下、スロー・ツーリズム、グリーン・ツーリズム、ヘルス・ツーリズム等の観光誘致施策に取り組んでいる。

新市の名称は、ものづくりの街として以前から知名度が高く、製造業にとってイメージがよくなった。

(中越地域 商工会会長)

「市」になったということに、やはりステータスを感じる。

(下越地域 自治会長)

ブランド化された名称が新市の名称となり、観光面で発信力がついた。

合併により旧町にはなかった様々な観光資源を共有でき、まとめて発信できるようになったことは大きなメリット。

(上越地域 旅館経営)

観光面で、旧市町村のイベントが連携するなど、“心の交流”が活発になった。各地域の伝統・

文化を残す、他の地域に広げるといった取組も見られる。

旧市町村の活動も盛んである一方、合併の産物といえる新たなイベントも誕生した。(中越地域 コミュニティFM役員)

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3 合併市町のこれから

■ 人口減少、少子高齢化が急速に進む中、生活圏の変化等に対応できる行政サービスの在り方が引き続き問われている。

■ 合併後の地域づくりに住民の声を反映させるため、法制度が改正され様々な仕組みが導入された。その活用の度合いは地域によって異なるが、設置当時の趣旨と現状を振り返り、そのあり方について再確認してみる必要があるのではないか。

■ 行政には、“協働”の前提となる住民との信頼関係構築のため、情報公開・説明責任の徹底と、住民自治を支える人材育成等への支援が求められる。

■ 旧くから地域と関わってきた商工会、農協などの組織やNPOなどが従来以上に地域づくりに参画していくことが必要。これらの組織と合併を契機に制度化された地域自治組織が連携・協力していく必要があるのではないか。

■ 国は、第30次地制調答申を受け、自治体間の柔軟な連携を可能とする仕組みとして、多様な選択肢を制度化した。市町村は、医療、教育、交通ネットワークなど広域連携のニーズを見極め、多様な手法の中で、自ら最も適したものを選択していくことが求められる。

ふる

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【住民の声】 ~県民アンケート、インタビューから~

「市と連携して、住民主体の地域づくりのための課題の洗出し、解決の方向性を話し合っている。」

「地域住民として地域のあり方を考えながら活動している。」

「自治会同士の交流が増えたことで気づきも多い。自主防災の活動も活発化している。」

「行政とNPOが手を取り合って協働を進めていけば、すごい取組ができると思う。」

【委員の意見】

◎ 合併を契機に取り組んだ、住民中心の地域づくりが当初の期待どおり機能しているか地域での“振り返り”が大切。(首長経験者)

◎ 合併時、住民は自ら主体的に動くという認識がなかった。地域審議会で審議しても、実行するのは行政という行政お任せ意識が抜けていない。住民と行政が対等・協働の関係になるためには、住民の意識向上と市民力を育てることが重要。自主的、自発的に地域課題の克服に取り組もうとする“市民力”を育てる取組が必要。(住民代表)

◎ 地域自治組織や住民団体との連携を進めていくためには、自由裁量のある財政支援制度が必要。(首長経験者)

◎ 地域自治組織の活動は重要だが、その担い手が不足している。女性や若者の担い手が少ないことも課題。PTAや商工会など(既存の組織)との連携も必要。(住民代表)

◎ 合併後の地域づくりに住民の声を反映させるため、法制度が改正され様々な仕組みが導入された。その活用の度合いは地域によって異なるが、設置当時の趣旨と現状を振り返り、そのあり方について再確認してみる必要があるのではないか。

◎ 行政には、“協働”の前提となる信頼関係構築のため、情報公開、説明責任の徹底と、住民自治を支える人材育成等への支援が求められる。

◎ 旧くから地域と関わってきた商工会、農協などの組織やNPOなどが従来以上に地域づくりに参画していくことが必要。これらの組織と合併を契機に制度化された地域自治組織が連携・協力していく必要があるのではないか。

報告のポイント

地域を支える住民団体との連携 (地域における連携)視点9

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(参考) 地域自らが地域を支える取組事例

【商工会】~県下103商工会が

地域活性化の活動を展開~環境美化や社会奉仕、地域のまつり、産業祭等の企画、 商店街

活性化の取組、観光振興事業や市町村の地域振興計画への参画・提言、IT関連情報化対策等の事業を行い、地域活性化を支援。

市町村合併後は、市内の複数商工会が連携して、地域振興に取り組む事例も見られる。

(例) 中郷商工会ほか(上越市)上越市内5商工会が連携して地域振興イベントを展開。

【NPO雪のふるさと安塚(上越市)】~全戸参加型NPOが多彩なサービスを提供~

(概要)旧安塚町の活動を合併後も維持・発展させるため、旧町全住民が

参加し設立。必要な生活サービスを提供する側、受ける側双方に関わり、集落での暮らしを支え合う新しい相互扶助の形を形成。

(主な活動)コミュニティプラザを管理・運営。高齢者見守り支援事業や放課後

児童クラブ運営等を市から受託。福祉有償運送や雪処理等の有償ボランティア事業など様々な自主事業も展開。

【NPO法人中越防災フロンティア(長岡市)】

~産官学民の連携により被災前よりも活力と魅力ある新しい地域づくりに挑戦~

(主な活動)過疎地有償運送許可を受け、公共交通空白地帯で地域バス運

行。復興交流館を受託運営し、震災経験・教訓の伝承、伝統文化を地域内外へ発信。道路除雪や屋根雪除雪等の地域課題解決に向けた取組を実施。

【(株)あいポート仙田(十日町市)】~「第3の公」として

「地域マネジメント法人」を目指す~

(概要)過疎化、高齢化が進む中山間地で、仙田地区の便利屋かつ世

話役となる会社を住民有志で設立。地区の生活を支える。

(主な活動)三柱「農業支援・高齢者支援・地区生活支援」の下、高齢農家支

援、屋根雪除雪、高齢者通所、買物不便地区店舗開設等を展開。

【移住者受入組織など】 ~交流人口拡大に向けて、地域の情報を発信、交流の取組を充実~

持続可能な集落モデルを体現する地域づくりを進め、交流イベント開催やコーディネート役として研修、相談に乗るなど移住者を支援する団体や、滞在交流型観光の取組を通じて交流活性化を目指す団体などの活動が展開されている。

(取組団体例) NPO法人十日町市地域おこし実行委員会(十日町市)、上越やまざと暮らし応援団(上越市)、NPOにいがた奥阿賀ネットワーク(阿賀町)、(一社)南魚沼市観光協会(南魚沼市) 等

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【主な論点】

◎ これまでの広域連携は、実務面の事務処理(ごみ処理、水道等)が中心。今後、政策面(まちづくり、産業振興、福祉、医療、観光等)へと展開していくのか。

◎ 市町村には、どのような相手方や分野について広域連携のニーズがあるのか。

【委員の意見】

◎ 人口減少、高齢化が進む中、インフラ維持や将来の負担に備えるため、広域連携は有効だが、経済的なインセンティブが必要。また、民間活力により財政にも好影響が期待できる(学識経験者)

◎ 定住自立圏構想など国が進める広域連携において、小規模団体の行政サービス提供を確保する施策を注視している。(首長)

◎ 今後は、広域連携だけでなく、都市機能の集約や集落間の連携、支え合いについても検討していく必要があるのではないか。(学識経験者)

◎ 隣接市町とごみ処理や水道について共同処理する考えがある。今後、広域連携は目的別に進んでいくと思う。(首長)

◎ 人口減少、少子高齢化が急速に進む中、生活圏の広域化に対応できる行政サービス提供体制の整備が引き続き求められている。

◎ 国は、第30次地制調答申を受け、地方自治法の改正により、自治体間の柔軟な連携を可能とする仕組みとして、多様な選択肢を制度化した。

◎ 市町村は、医療、教育、交通ネットワークなど広域連携のニーズを見極め、自ら最も適した連携の仕組みを選択していくことが求められる。

報告のポイント

新たな広域連携(自治体間の連携)視点10

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市町村合併は、課題解決のための“条件整備”の一つであったというべきだろう。

その“条件整備”に向け、多くの住民が関わった議論、そして、その後の地域づくりに向け、続けられている様々な取組は評価されるべきものであるというのが、当懇談会委員の一致した意見である。

市町村合併を経た地域の姿は、この10年間の社会経済の変化の大きなうねりの中で、当初、思い描いていた姿とは異なっている部分もあるかもしれない。

当懇談会が意見交換を続けている間、人口減に伴う「消滅可能性都市」という言葉が生まれ、そして、疲弊する地方を再生するために、いま、国を挙げて「地方創生」に取り組もうとしている。

市町村合併から10年の時間が流れたが、本報告書で触れたように、地域は、今もなお多くの課題を抱えている。

いま、地域を取り巻いている課題は、10年前のそれと基本的に同じではないか。ただ、10年前には“兆し”に過ぎなかったものが、大きな壁となって、いま我々の前に立ちはだかっている。

この振り返りの作業の中で、地域で様々な暮らしをしている人々、当時、合併作業の最前線に立っていた市町村職員の皆さん、そして決断を下していった首長からお話を伺う機会を得た。

当時、課題に直面した人々がどんな思いで、どんな議論をしていたかを辿ることは、いま地域の課題を乗り越えようとする人々にとってひとつの視座になるのではないか。

いま、求められているのは、市町村合併という“条件整備”とそれがもたらしたものを無駄にしない不断の取組である。

懇談会において意見交換を重ねる中、各委員が頷く場面があった。一人の委員が「我々は議論し、そして合併を決断したのです。とにかく前を向いて歩いて行こうということではないですか」と発言した時である。

“前へ” である。

■ おわりに

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<参考資料>

新潟県地方交付税制度勉強会の検討状況

新潟県における平成の市町村合併の状況

市町村合併と地方分権の20年間の歩み

平成の市町村合併に関する懇談会委員名簿

平成の市町村合併に関する懇談会開催経過

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■ 新潟県地方交付税制度勉強会の検討状況 ■

○ 普通交付税の算定の特例(合併算定替)は、合併後10年を経過すると、加算額が段階的に縮減されるため、加算額が大きい本県合併市町にとって、合併算定替の終了は今後の財政運営上の大きな課題となっていた。

普通交付税の算定の特例(合併算定替)

合併算定替のイメージ

合併後算定替による算定額

(加算額)

合併後の本来の算定額(一本算定)

合併算定替と一本算定の比較

加算額は合併後10年を経過すると、段階的に縮減され、15年経過後には0に

0.9

0.7

10年

0.5

0.3

0.1普通交付税額

平成25年度

(単位:百万円)

団体名合併算定替

a一本算定

b加算額

c=b-a加算率c/a (%)

新潟市 39,314 35,434 3,880 9.9 小五泉市 6,622 5,857 765 11.6

胎内市 4,601 3,907 694 15.1

南魚沼市 9,809 8,319 1,490 15.2

糸魚川市 8,451 7,144 1,307 15.5

新発田市 11,992 9,805 2,187 18.2

柏崎市 6,584 5,380 1,204 18.3

三条市 8,040 6,550 1,490 18.5

妙高市 6,388 5,046 1,342 21.0

十日町市 12,074 9,496 2,578 21.4

村上市 12,853 10,060 2,793 21.7

阿賀町 7,512 5,768 1,744 23.2

燕市 5,445 4,046 1,399 25.7

阿賀野市 7,387 5,447 1,940 26.3

長岡市 25,685 18,808 6,877 26.8

魚沼市 11,862 8,596 3,266 27.5

佐渡市 22,009 15,820 6,189 28.1

上越市 24,165 15,019 9,146 37.8 大

合計 230,793 180,502 50,291 21.8

※金額は交付基準額

加算額 約503億円

H25年度は

503億円

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○ 本県では、合併算定替の終了を見据え、平成24年度から合併市町とともに「地方交付税制度勉強会」を開催し、合併団体特有の財政需要を検討し、その結果を国に伝えてきたところ。

○ その結果、平成26年度算定から、支所に要する経費の一本算定への加算が実現。平成27年度以降、消防や保健・福祉サービスに要する経費等の割増しも実施される見込み。

主な検討結果と見直しの方向性

① 旧市町村役場を支所とみなして、1支所あたり、標準的な支所経費を2.4億円程度と算定。

H26年度から段階的に反映され、本県市町村では、H26年度約60億円が一本算定に加算。

② 合併による市町村面積の拡大等による増加経費(消防、保健・福祉サービスに要する経費等)については、H27年度以降、算定に加算されることに。

国による見直しの現状

① 支所の運営に要する経費

窓口サービスや災害対応において重要な役割を果たす支所の運営維持に要する経費は約155億円

② 合併に伴う面積拡大に伴う行政需要

「合併市町」1団体あたりの平均面積は5.6倍に拡大。

集落が点在し、スケールメリットによる効率化が困難。

① 支所数に応じた算定

② 面積に着目した算定

主な検討内容 見直しの方向性

国に提案

新潟県地方交付税制度勉強会

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◎ 市町村数が112(平成11年3月末)から 30(平成22年3月末)に。 (減少率:全国3位、減少数:全国1位)

年月新潟県 全国

備考市 町 村 計 市 町 村 計

平成11年3月末 20 57 35 112 670 1,994 568 3,232 旧合併特例法改正

平成22年3月末 20 6 4 30 786 757 184 1,727 平成の大合併

増減数 0 ▲51 ▲31 ▲82 116 ▲1.237 ▲384 ▲1,505

増減率(%) 0.0 ▲89.5 ▲88.6 ▲73.2 17.3 ▲62.0 ▲67.6 ▲46.6

新潟県における平成の市町村合併の状況

年月新潟県 全国

備考市 町 村 計 市 町 村 計

昭和28年10月 7 51 326 384 286 1,966 7,616 9,868 町村合併促進法施行

昭和36年6月 20 50 47 117 556 1,935 981 3,472 昭和の大合併

増減数 13 ▲1 ▲279 ▲267 270 ▲31 ▲6,635 ▲6,396

増減率(%) 185.7 ▲2.0 ▲85.6 ▲69.5 94.4 ▲1.6 ▲87.1 ▲64.8

(※ 昭和の大合併 本県、全国とも市町村数は約3分の1に減少)

◎ 本県の特徴 大型合併が多かったこと[合併関係市町村の多い合併(10市町村以上)] (人口は平成17年国調人口)

県名 市町村名 関係市町村数 人口(人) 合併年月日

新潟県 新潟市 15(4市11町村) 813,847①H13.1.1 ②H17.3.21 ③H17.10.10※H19.4.1政令市移行

新潟県 上越市 14(1市13町村) 208,082 H17.1.1 ※H19.4.1特例市移行

静岡県 浜松市 12(3市9町村) 804,032 H17.7.1

愛媛県 今治市 12(1市11町村) 173,983 H17.1.16

新潟県 長岡市 11(2市9町村) 288,457①H17.4.1 ②H18.1.1 ③H22.3.31※H19.4.1特例市移行

県名 市町村名 関係市町村数 人口(人) 合併年月日

新潟県 佐渡市 10(1市9町村) 67,386 H16.3.1

岐阜県 高山市 10(1市9町村) 96,231 H17.2.1

三重県 津市 10(1市9町村) 288,538 H18.1.1

熊本県 天草市 10(1市9町村) 96,473 H18.3.27

宮城県 栗原市 10( 10町村) 80,248 H17.3.14

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年県内

市町村数 社会の動き・出来事 (政権)   政 治 経 済 地  方  分  権 地方税財政

「地方分権の推進に関する決議」(衆・参両院)

第3次行革審最終答申 ・地方分権に関する大綱方針を今後1年程度を目途に策定すべき ・地方分権推進に関する基本的な法律の制定を目指すべき

「地方分権の推進に関する意見書ー新時代の地方自治ー」(地方6団体)

「行政改革推進本部地方分権部会本部専門員の意見・要旨」

★「地方分権の推進に関する答申」「市町村の自主的な合併の推進に 関する答申」(第24次地制調)

地方分権の推進に関する大綱方針(閣議決定) ・推進計画の策定 ・地方分権の推進に関する委員会の設置 ・地方分権の推進に関する法律の制定

 

【地方分権推進法成立】

自民党行政改革推進本部設置

平成8年

(1996)112

アトランタ五輪

O157による集団食中毒

ペルー日本大使公邸事件

橋本政権誕生(1月)民主党結党第41回衆議院選挙(小選挙区比例代表並立制での初の選挙)自民党239 新進党156民主党52 (定数500)

■地方分権推進委員会第1次勧告 ・機関委任事務制度の廃止とそれに伴う従前の機関委任事務の取扱い ・国と地方公共団体との間の関係ルール(関与の一般原則、類型) ・市町村の規模と地方分権(市町村の行財政能力の充実強化のため  自主的合併を一層強力に推進)

ふるさとづくり事業(平成8~10年度)

地方行政体制等検討グループ設置(地方分権推進委員会)

■地方分権推進委員会第2次勧告 ・機関委任事務制度の廃止に伴う従前の機関委任事務の取扱い ・地方公共団体に対する国の関与の手続等 ・国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保 ・今まで以上に積極的に自主的な市町村合併を推進 ・都道府県は市町村合併のパターンを提示、合併推進のため必要な助言、  調整等に努め、国は必要な指針を策定

■地方分権推進委員会第3次勧告、第4次勧告

市町村合併と地方分権の20年間の歩み

平成5年

(1993)112

皇太子さま雅子さま御結婚

冷夏でコメの緊急輸入

コメの一部輸入自由化

第40回衆議院選挙自民党223 社会党70新生党55 (定数511)「55年体制」の崩壊細川政権誕生(8月)・国民福祉税構想

平成6年

(1994)112

関西国際空港開港

リレハンメル冬季五輪

松本サリン事件

羽田政権誕生(4月)

村山政権誕生(6月)

新進党結党

平成7年

(1995)112

阪神淡路大震災

地下鉄サリン事件

全日本航空機ハイジャック事件第17回参議議院選挙自民党111 新進党57(定数252)

地方単独事業を含む公共投資の拡大第2次ふるさとづくり(平成5~7年度)

住民税の特別減税実施地方単独事業を含む公共投資の拡大

地方単独事業を含む公共事業の推進

地方消費税導入

平成9年

(1997)112

長野新幹線開通

北海道拓殖銀行破綻

山一証券自主廃業

☆表参道・新潟館ネスパスオープン

消費税3%→5%財政構造改革元年

新進党解党、分裂

旧合併特例法改正

・住民発議制度の創設

・議員の定数・在任の特例の拡充

・有効期限を10年延長

宮澤

細川

羽田

村山

橋本

■地方分権推進委員会発足

総合的な

経済対策

緊急経済対策

総合経済対策

緊急円高・経済対策

経済対策

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自民党行政改革本部「市町村合併等についての考え方」 ・地方分権の受け皿は基礎的自治体である市町村であるべき ・市町村の規模拡大、行政の広域化の必要性から市町村合併を推進する

★市町村の合併に関する答申(第25次地制調)

地方分権推進計画(閣議決定)

■地方分権推進委員会第5次勧告

【地方分権推進一括法成立】 ・機関委任事務廃止、必置規制緩和・廃止、通達行政の廃止

市町村の合併の推進についての指針(自治省) ・都道府県に「市町村の合併の推進についての要綱」の作成を要請

与党行財政改革推進協議会 ・「市町村合併後の自治体数を1,000を目標とするとの決定」を政府に要請

★地方分権時代の住民自治制度のあり方及び地方税財源の充実に 関する答申(第26次地制調)

■市町村合併の推進についての意見(地方分権推進委員会)

行政改革大綱(閣議決定) ・市町村数を1,000を目標とする与党行財政改革推進協議会の方針を踏まえ、  自主的な市町村の合併を積極的に推進

市町村合併支援本部設置(閣議決定)

■地方分権推進委員会解散

市町村合併支援プラン策定(市町村合併支援本部) ・政令指定都市の要件を事実上人口70万人に引下げ

基本方針2002(閣議決定) ・三位一体改革の具体的な工程を含む改革等を、1年以内にとりまとめ

▲今後の基礎的自治体のあり方について(西尾私案) ・一定の人口規模未満の団体には、都道府県による垂直補完や他の基礎的  自治体への編入による水平補完などを検討 ・旧市町村単位に創設される自治組織を検討

景気対策のため住民税に定率減税導入

法定外普通税の協議制への移行

法定外目的税創設

合併市町村補助金創設

平成12年

(2000)112

介護保険制度スタート

2000円札発行

三宅島噴火で全島民避難

シドニー五輪

森政権誕生(4月)

第42回衆議院選挙自民党233 民主党127(定数480)

ゼロ金利政策解除

平成10年

(1998)112

長野オリンピック

特定非営利活動促進法(NPO法)施行

日本長期信用銀行破綻、一時国有化

自由党結党

第18回参議院選挙自民党103 民主党47(定数252)小渕政権誕生(7月)

ゼロ金利政策開始

地域振興券交付

茨城県東海村JCO臨界事故

NTT分割再編

112平成11年

(1999)

臨時財政対策債導入

平成14年

(2002)111

EU12か国で「ユーロ」通貨一斉スタートソルトレイク冬季五輪「ゆとり教育」スタート☆FIFAワールドカップ新潟開催住基ネット稼働開始☆拉致被害者帰国

シンガポールと初の自由貿易協定締結ペイオフ一部解禁小泉首相訪朝、日朝首脳会談竹中経済財政大臣の金融相兼任、不良債権処理の加速(金融再生プログラム)

平成13年

(2001)111

☆新潟スタジアム(ビックスワン)竣工

アメリカ同時多発テロ事件

千葉県で「狂牛病」確認

中央省庁再編小泉政権誕生(4月)・「聖域なき構造改革」 「三位一体の改革」第19回参議院選挙自民党111 民主党59(定数247)ゼロ金利政策再開

地財計画規模前年度比初の減段階補正見直し事業費補正見直し(対象事業縮小、算入率引下げ)

旧合併特例法改正

・合併協議会設置に関する住民発議制度の拡充

・地域審議会制度の創設

・合併算定替の期間延長

・合併特例債の創設等の諸措置

三位一体改革

小渕

小泉

▲地方分権改革推進会議発足

平成の大合併

スタート

第3次

平成不況

総合経済対策

緊急経済対策

経済新生対策

日本新生新発展政策

平成13年~

14年にかけて

数次にわたる

経済対策

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年県内

市町村数 社会の動き・出来事 (政権)   政 治 経 済 地  方  分  権 地方税財政

★今後の地方自治制度のあり方に関する答申(第27次地制調)

▲「三位一体の改革に関する意見」(分権改革会議)

基本方針2003(閣議決定) ・三位一体改革の推進 ・国・地方を通じた行財政改革を進め、「効率的で小さな政府」を実現

▲地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備についての意見 (分権改革会議)

平成17年

(2005)42

中部国際空港開港 愛知万博JR福知山線脱線事故耐震強度偽装問題日本の人口 初の自然減

ペイオフ全面解禁第44回 衆議院選挙(郵政選挙)自民党296 民主党113(定数480)郵政民営化法成立

★地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申  (第28次地制調)

地方分権21世紀ビジョン懇談会設置(総務省)

地方分権21世紀ビジョン懇談会報告書 ・新分権一括法案の3年以内の提出 ・地方債の完全自由化 ・交付税改革(新型交付税の導入等)

【地方分権改革推進法成立】

◆地方分権改革推進本部設置

●第1次勧告 (地方分権改革推進委員会) ・基礎自治体への権限移譲

◆「地方分権改革推進要綱」(地方分権改革推進本部)

●第2次勧告 (地方分権改革推進委員会) ・義務付け・枠付けの見直し ・出先機関改革

平成15年

(2003)110

☆朱鷺メッセ・万代島ビル竣工イラク戦争新型肺炎(SARS)流行住基ネット本格稼働☆日本産最後のトキ「キン」死亡

りそな銀行へ2兆円規模の公的資金注入

第43回衆議院選挙自民党237 民主党177(定数480)

三位一体改革実質初年度地財ショック(地方交付税の大幅削減)外形標準課税の導入(法人事業税の資本割、付加価値割)

平成18年

(2006)35

トリノ冬季五輪

ライブドア事件安倍政権誕生(9月)・「戦後レジームからの脱却」

ゼロ金利政策解除

3兆円規模の税源移譲(所得税から住民税へ)

地方債協議制へ移行

平成16年

(2004)92

国内で79年ぶりの鳥インフルエンザが発生自衛隊イラク派遣開始☆7.13水害アテネ五輪☆中越大地震

国民年金未納問題

第20回参議院選挙自民党115 民主党82(定数242)

夕張市が財政再建団体へ定率減税廃止新型交付税(包括算定)導入

平成20年

(2008)31

後期高齢者医療制度がスタート☆県の人口31年ぶりに240万人割れ北京オリンピックリーマンショック

麻生政権誕生(9月)

地方法人特別税・地方法人特別譲与税の創設歳出特別枠導入ふるさと納税制度創設

平成19年

(2007)35

郵政民営化スタート☆新潟市が政令指定都市に米国のサブプライムローン問題を発端とした世界同時株安☆新潟県中越沖地震

第21回参議院選挙民主党109 自民党83(定数242)「ねじれ国会」

福田政権誕生(9月)

合併三法成立(合併新法、合併旧法、改正地方自治法)

・合併特例区制度の創設

・都道府県による合併推進構想の作成、知事による勧告

・地域自治区の創設

・都道府県の自主的合併手続の整備

第二次地方分権改革

●地方分権改革推進委員会発足

麻生

福田

世界同時

安倍

小泉

・国庫補助負担金改革 約 4.7兆円

・税源移譲 約 3 兆円

・地方交付税改革 約△5.1兆円

三位一体改革成果(H16~18)

いざなみ景気

(実感なき

好景気)

安心実現緊急総合対策

生活対策

生活防衛緊急対策

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★今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申 (第29次地制調)

●第3次勧告 (地方分権改革推進委員会) ・義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大 ・国と地方の協議の場の法制化

●第4次勧告 (地方分権改革推進委員会)

地域主権戦略会議設置

地方分権改革推進計画(閣議決定)

地方行財政検討会議発足 (総務省)

地域主権戦略大綱(閣議決定) ・義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大 ・基礎自治体への権限移譲 ・国の出先機関の原則廃止 ・ひも付き補助金の一括交付金化

アクション・プラン~出先機関の原則廃止に向けて~(閣議決定)

「アクション・プラン」推進委員会設置

【地域主権改革関連3法(第1次一括法、国と地方の協議の場法、 地方自治法改正法)成立】【第2次一括法成立】

平成24年

(2011)30

☆36年ぶりに自然界でのトキのひな誕生

東京スカイツリー開業

ロンドン五輪

消費増税法成立

第46回衆議院選挙自民党294民主党57(定数480)安倍政権誕生(12月)・「アベノミクス」

地域主権推進大綱(閣議決定)

地方分権改革推進本部設置

地方分権改革有識者会議設置

【新第3次一括化法成立】

★大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に 関する答申(第30次地制調)

※「県内市町村数」は各年の年末時点の数。「社会の動き・出来事」の☆は特に本県と関係の深い事項

別枠加算の導入

地方公共団体財政健全化法施行

平成22年

(2010)30

日本航空が会社更生法申請

バンクーバー冬季五輪

宮崎県で「口蹄疫」発生

ギリシャの経済危機

小惑星探査機「はやぶさ」帰還

子ども手当創設

高速道路無料化社会実験(H22.6月~H23.6月)

菅政権誕生(6月)

第22回参議院選挙民主党106 自民党84(定数242)

平成21年

(2009)31

☆大河ドラマ「天地人」放映

新型インフルエンザが流行

裁判員制度がスタート

☆県立野球場竣工

☆トキめき新潟国体

定額給付金

第45回衆議院選挙民主党308 自民党119(定数480)「政権交代」

鳩山政権誕生(9月)・「地域主権」

中小企業金融円滑化法施行

地域自主戦略交付金創設

平成25年

(2011)30

富士山が世界文化遺産に登録

2020年東京五輪開催決定中小企業金融円滑化法が終了第23回参議院選挙自民党115 民主党59(定数242)「ねじれ」解消

平成23年

(2011)30

東日本大震災☆長野県北部地震「計画停電」実施☆新潟・福島豪雨地上デジタル放送へ完全移行

野田政権誕生(9月)

改正新合併特例法成立

・目的を「合併推進」から「合併の円滑化」に

・国・都道府県による積極的な関与の規定の削除

・市町村合併推進のための方策の削除

安倍

野田

鳩山

麻生

平成の大合併

終結

不況経済危機対策

明日の安心と成長 緊急経済対策

円高、デフレ状況に対する緊急的な対応

円高、デフレ対応 緊急総合経済対策

円高への総合的対応策

日本再生加速

プログラム

日本経済再生緊急経済対策

好循環実現のための緊急経済対策

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Page 44: 「平成の市町村合併を振り返って」 報告書・いわゆる「平成の大合併」から約10年が経過した。この平成の市町村合併は、全国的に推

平成の市町村合併に関する懇談会委員名簿

氏 名 役 職

座長 小西 砂千夫 関西学院大学 大学院経済学研究科・人間福祉学部教授

井 口 一 郎 南魚沼市長

大 滝 平 正 村上市長

大 野 勉 旧越路町長

柄 澤 和 久 十日町市 川西地域振興会 会長

田 巻 清 文 一般財団法人新潟経済社会リサーチセンター理事長

野 本 幸 株式会社エム・コミュニケーション代表取締役

馬 場 健 新潟大学 法学部副学部長・教授

矢 野 学 旧安塚町長

※座長を除き五十音順に表記

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平成の市町村合併に関する懇談会開催経過

期日 主な内容

第1回 平成26年5月15日(木) ・市町村合併に至った背景

第2回 平成26年7月17日(木) ・合併後の地域の変化

第3回 平成26年9月4日(木)

・合併団体の財政状況・合併特例債を活用した新市建設計画実現への取組・広域連携・合併後の地域の変化

第4回 平成26年10月14日(火) ・各委員の総括的な意見発表

第5回 平成27年1月20日(火) ・報告書の取りまとめについて

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