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2016年2月 総務省 情報流通高度化推進室 吉田 宏平 医療・介護・健康分野のICT化への取組

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Page 1: 医療・介護・健康分野のICT化への取組 - OGC3 iii. 未来への投資・生産性革命④ iot、ビッグデータ、人工知能時代の到来に 伴う社会変革への対応の前提として、徹底した

2016年2月

総務省情報流通高度化推進室

吉田 宏平

医療・介護・健康分野のICT化への取組

Page 2: 医療・介護・健康分野のICT化への取組 - OGC3 iii. 未来への投資・生産性革命④ iot、ビッグデータ、人工知能時代の到来に 伴う社会変革への対応の前提として、徹底した

医療等分野のICT化の進展

レセプト電子化レセプト電子化

画像システム(PACS)画像システム(PACS)

医事会計システム医事会計システム

部門システム(検査・物品管理等)

部門システム(検査・物品管理等)

オーダリングシステムオーダリングシステム

電子カルテ電子カルテ

1970年代 1980~90年代 2000年代 2010年代

医療施設間連携・ネットワーク

部門別システム

部門間連携

院内システム統合

地域医療・介護の連携

医療×ICT医療情報等の活用

ICTの技術的進展ICTの技術的進展 ビッグデータ(2005年からの15年間でデータ量300倍(40ゼタ(40兆ギガ)バイト) センサー(2000年からの20年間で価格が1/6(50円未満))

クラウド(2012年からの6年間で市場規模8倍(3兆円))

スマートフォン(2011年からの8年間で契約数11倍(1億件))

ICT×医療医療情報の電子化

■ ビッグデータの活用等新たなICT技術が進展しつつある現在、医療等分野でのICT利活用は、地域における

医療・介護の連携・ネットワーク化や、医療分野におけるデータの活用による疾病予防や健康づくりなど、諸課

題解決の分野へと進展。これらにより、2020年を見据えて「スマートプラチナ社会」の実現を推進。

ネットワーク化による関係者間の情報共有により、きめ細やかな医療等サービスの提供が可能に。また、医療等分野におけるデータの活用により、医療費の適正化や国民の健康寿命の延伸に寄与。

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地域における連携

地域における連携

医療施設内の業務効率化

医療施設内の業務効率化

2020年代

スマートプラチナ社会の実現へ

2014年時点で一般病院や診療所の導入率は約2~3割

2015年5月時点で99%

(注)レセプトは、2015年3月末で電子化への移行が完了

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IoT・ビッグデータ・人工知能の社会浸透に伴うデータ量の増大

クラウド

将来

セキュリティ・監視

ヘルスケア 工場 農業建設

小売り 消費者・家庭スマートインフラ

交通

クラウドクラウド

ネットワークネットワーク

動画コンテンツなど動画コンテンツなど

データのデータのダウンロードダウンロード

データのデータのアップロードアップロード

モバイルモバイルNWNW

データのダウンロードが中心

データのダウンロードが中心

従来

2010年約1ゼタバイト

2020年約40ゼタバイト

10年で約40倍

*ゼタバイトはテラバイトの10億倍

データのアップロードが

増加

*1: SDN (Software-Defined Networking):ネットワークのソフトウェア化*2: NFV (Network Function Virtualization):ネットワーク機能の仮想アプリ化

Wi-FiRFIDビーコンBluetooth

LTE 光ファイバー

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III.未来への投資・生産性革命④IoT、ビッグデータ、人工知能時代の到来に伴う社会変革への対応の前提として、徹底したICT利活用社会を実現ICT分野及びヘルスケア分野を成長産業に

医療・介護等分野でのICT化1.医療等分野での番号制導入、医療保険のオンライン資格確認2.地域医療情報連携ネットワークの全国普及、2020年度までに大規模病院の電子カルテ普及率を90%に3.「代理機関(仮称)」を通じた個人の医療健康情報を活用した、R&Dや新たなヘルスケア産業の創造

安倍政権における医療等分野のICT化

(平成28 年1月25日第25回産業競争力会議)

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「アベノミクス 改革の断行」

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医療情報連携ネットワークの全国展開に向けた現状と課題 4

■ 全国でおよそ170程度の医療情報連携ネットワークが存在■ 多くが運営費用の問題を抱え、病院・診療所の参加率も低いまま推移(各々全体の14.3%、4.1%)、参加患者も日本の全地域・人口をカバーするには至っていない(1%未満)

現状・課題

■ クラウド等を活用した低廉な医療情報連携ネットワークのモデル化

⇒ 運営費用を低く抑えることで、病院・診療所等の参加を促進

■ 医療等情報を個人に還元し、個人のニーズに応じたサービスに活用できる環境(PHR)の整備

⇒ サービスの付加価値を向上させ、情報連携のメリットを訴求することで患者の参加を促進

解決の方向性

【参加施設数】 【参加患者数】

(出典)ITを利用した全国地域医療連携の概況(2013年度版)(平成26年7月1日日本医師会総合政策研究機構)

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医療情報連携ネットワークに関する総務省の取組① 5

クラウド等を活用した低廉な医療情報連携ネットワークモデルの確立電子カルテのない診療所からも、レセコン(注)から連携に必要な最小限のデータをクラウドに提供し、地域の病院などと共有することで、病院・診療所間の双方向の情報連携を実現 (実証フィールド:岡山県、和歌山県)

(注)医療機関が診療報酬を請求するために備えるコンピュータ。レセプトコンピュータの略。

<例:岡山県の仕組み>

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医療情報連携ネットワークに関する総務省の取組② 6

在宅医療・介護情報システム間の情報連携の推進在宅医療・介護分野の多職種が業務に利用しているシステムを相互に連携する基盤を構築し、複数の異なるベンダ間の標準的な接続インターフェース仕様などを策定・公開 (実証フィールド:柏市、石巻市、京都市、徳島市)

注)上記職種の他にも,作業療法士,理学療法士,歯科衛生士等,様々な職種が連携する.

なお、京都では、今年度、本人や家族もデータ閲覧可能とするための調査研究を実施。

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7民間のIoTデバイス・サービスの登場

(情報通信審議会総会(第36回)配布資料を基に作成)

IoTデバイス・サービス事業者が保有するデータは各々の事業者が活用するのみであり、個人の健康・生活に関するデータは各所に散在している状況。

課 題

個人の健康・生活データを、保険者や自治体、地域の医療機関なども活用できる環境を整えることにより、データの利用価値の向上、新産業・サービスの創出を図ることが必要。

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ヘルスケア分野におけるIoT・ビッグデータ利活用の先進事例

・呉市では、国保患者のレセプト情報を㈱データホライゾン社が開発したアルゴリズムを活用して分析。

・糖尿病患者から重症化リスクの高い患者50~70名程度を抽出し、集中的な食事等の指導を行うことで、年間10人程度重症化を抑制し、医療費を削減。(重症化し透析治療を行う場合の医療費は年間約600万円)

・レセプトデータ分析によるジェネリック医薬品の差額通知を継続することで8割が実際に切替え(▲約2.0億円)

・他の取組みもあわせて、約2.9億円の医療費削減に成功。(本事業の事業費は、約2800万円~3700万円(被保険者1人当たり500円~660円相当))

【ルナルナ(㈱エムティーアイ)】

・800万人のビッグデータ分析から、(1)精度の高い排卵日予測、(2)もっとも妊娠確率の高い日を予測

日本の新生児100万人/年のうち、約10%の誕生に貢献

[第2回クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会㈱エムティーアイ資料を基に総務省作成]

【広島県呉市のデータヘルス活用の事例】

[㈱データホライゾン資料を基に総務省作成]

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9クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会 我が国の社会環境は、少子高齢化の進展や家族形態の変容など大きく変化。これに伴い、疾病構造の変化や高齢者の支え手の不足など、我が国の医療・介護を取り巻く環境も大きく変化しており、医療から介護までの提供体制のネットワーク化により、利用者・患者のQOLの向上を目指すことが求められている。

他方、ICT技術は日進月歩で発展。近年、クラウドサービスの普及やスマートフォン、タブレット等モバイル化の進展等により、効率的なネットワーク化の可能性が広がりつつある。

このため、総務大臣政務官と厚生労働大臣政務官主宰の共同懇談会(座長:金子郁容 慶應義塾大学政策・メディア研究科

教授)を立ち上げ、健康・医療・介護情報を個人が効率的に収集・活用する仕組み(PHR)の在り方やモバイル・8Kなどの最新技術の活用の在り方等について検討。

我が国の社会環境は、少子高齢化の進展や家族形態の変容など大きく変化。これに伴い、疾病構造の変化や高齢者の支え手の不足など、我が国の医療・介護を取り巻く環境も大きく変化しており、医療から介護までの提供体制のネットワーク化により、利用者・患者のQOLの向上を目指すことが求められている。

他方、ICT技術は日進月歩で発展。近年、クラウドサービスの普及やスマートフォン、タブレット等モバイル化の進展等により、効率的なネットワーク化の可能性が広がりつつある。

このため、総務大臣政務官と厚生労働大臣政務官主宰の共同懇談会(座長:金子郁容 慶應義塾大学政策・メディア研究科

教授)を立ち上げ、健康・医療・介護情報を個人が効率的に収集・活用する仕組み(PHR)の在り方やモバイル・8Kなどの最新技術の活用の在り方等について検討。

スケジュール

平成27年6月30日に第1回会合を開催し、同9月9日の第5回会合で報告書(案)をとりまとめ。パブリックコメントを経て、11月13日、最終報告書を公表。

主な検討事項

(1) 個人が健康・医療・介護情報等をクラウド等

を使って管理・活用する仕組み(PHR)の在り方

(2) モバイルや8K技術の医療応用の在り方

A病院 B診療所

8Kモニター

診療所 看護師

医師

8Kカメラ

電子カルテ

薬局病院

調剤レセコン

レセコン

PHRプラットフォーム

【個人の意思でデータを集約、時系列で管理】

電子カルテ

患者

診療所

診療所

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出産出産 入学入学 就職就職 退職退職 介護・見守り介護・見守り

母子健康手帳

母子健康手帳

かかりつけ連携手帳

かかりつけ連携手帳

介護予防手帳

介護予防手帳

学校定期健診

学校定期健診

健診情報健診情報 お薬手帳お薬手帳疾病管理手帳

疾病管理手帳

本人が一生涯のデータを時系列で管理・活用

健康づくり重症化予防

保険者医療・介護従事者

EHR在宅医療・介護

これまで

これから

⇒ 本人の健康状態に応じたサービスメリットの実感⇒ ビッグデータ分析による新たな医学的知見の可能性

我が国の手帳文化を活かしたPHRへ 10

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代理機関(仮称)を通じた医療・健康データの利活用 11

内閣官房 健康・医療戦略室資料より抜粋・加工

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((株)NTTドコモ提供資料を一部引用)

スマホとクラウドを活用した遠隔医療、医療・介護連携を全国へ 12

実証により安全性を確認した上で、クラウドシステムを想定したガイドラインを整備

現行のガイドライン上、セキュリティ要件が必ずしも明確でない

DtoD、DtoNtoPなどの遠隔医療、医療・介護連携の汎用的なツールとして期待

A病院 介護施設、在宅など

院内システムクラウド

モバイル端末

院内システムクラウド

モバイル端末

セキュアなクラウド環境

地域の病院・診療所や介護施設、高齢者の自宅が繋がり、地域包括ケアを実現

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本人(在宅) 介護施設

かかりつけ診療所

訪問看護ステーション

中核病院

連携病院

家族

訪問薬局

訪問介護PHRデータ日々の生活記録やバイタルデータ

地域包括ケアを支えるICTの将来像 13

データ自動登録

異常値を感知してアラート、AI(人工知能)により処置等のレコメンド

センサーやロボットを通じた見守り

駆けつけ

ウェアラブルセンサー、非接触モニタリング

コミュニケーションロボット

本人情報を共有

日々の診療・介護から看取りまで

訪問時の記録をインプット

EHRデータ診療・検査データや投薬情報の共有

ビッグデータとして解析し、医療の実態把握などに活用

行政機関、研究機関等

モバイル遠隔診療(DtoNtoP)

連携により診療行

為と結果の双方を

把握可能に

※本人が出向いた際などには、QRコードやNFCにより本人のスマホ経由で登録