本格的議論のための肉用牛・食肉関係の課題 - maff.go.jp...222 210 172 0 200 400...
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本格的議論のための肉用牛・食肉関係の課題
令和元年11月
資料4
生乳7,402 億円
23%
豚6,494 億円
20%
鶏9,031 億円
28%
その他2,283 億円
7%
その他
10%
畜産
3兆2,522億円
35%米
19%
野菜
26%
果実
9%
資料:農林水産省「平成29年農業総産出額(全国)」
畜産の産出額
3兆2,522億円
農業産出額
9兆2,742億円
我が国の畜産の産出額は、農業産出額の3分の1を占め、そのうち肉用牛は7,312億円で22%を占める。 都道府県別の産出額では、北海道と九州が大きく、北海道と鹿児島県は1,000億円超。
○ 肉用牛産出額
1,000億円~ 500~1,000億円
100~ 500億円 ~ 100億円
1(1)農業における肉用牛生産の位置付け・主産地
肉用牛7,312億円
22%
1 鹿児島(1,258億円)2 北海道(1,002億円)3 宮 崎( 747億円)4 熊 本( 420億円)5 岩 手( 283億円)6 宮 城( 271億円)7 長 崎( 241億円)8 沖 縄( 228億円)9 栃 木( 200億円)10 兵 庫( 177億円)
○ 都道府県別の肉用牛産出額
1
資料:農林水産省「畜産統計(31年2月現在)」、「畜産物流通統計」、財務省「日本貿易統計」、(独)家畜改良センター「牛個体識別全国データベースの集計(29年度) 」
繁殖・肥育一貫農家育成・肥育一貫農家
牛肉供給量約953千㌧(部分肉ベース)
国産約333千㌧
(34.9%)
輸入約620千㌧(65.1%)
海外繁殖農家 肥育農家
和牛約149千㌧(15.6%)
交雑種(F1)約89千㌧(9.3%)
乳用種約91千㌧(9.6%)
と畜頭数約11千頭
肥育もと牛生体輸入
酪農家
2歳以上頭数(H29.2→H31.2)914→901千頭
受精卵移植産子
育成・肥育一貫農家
と畜頭数約248千頭
育成農家 肥育農家
交雑種(F1)約494千頭
肥育もと牛
繁殖農家
肥育農家
と畜頭数約455千頭
肥育もと牛
和牛経産牛
肥育牛約753千頭
子取り用めす牛頭数(H29.2→H31.2)597 →626千頭
和牛生産
交雑種(F1)生産
乳用種生産
冷蔵・冷凍約620千㌧(部分肉ベース)
輸入牛肉
育成農家
乳用種経産牛
肥育農家
育成・肥育一貫農家と畜頭数約337千頭
肥育もと牛ヌレ子
ヌレ子
(和牛♂×
乳用種♀)
乳用種約274千頭
その他約4千㌧(0.4%)
※その他には、子牛を含む
輸入
肥育もと牛
国産牛肉は、繁殖経営を起点とする肉用種、酪農経営を起点とする肉用種(受精卵移植)・交雑種・乳用種から供給。 和牛が約45%、交雑種・乳用種が約55%のシェア。
2
1(2)肉用牛の生産構造
1,088
913
933903
809 806 802825 825
848 853876 859 867
846 830861
904931
700
800
900
1,000
1,100
1,200
消費量(推定出回り量)
牛肉の消費量は、我が国や米国でのBSEの発生直後は大幅に減少したものの、近年、肉ブーム等を背景とした輸入量の増加等により、平成30年度の消費量は93万トンと米国でのBSE発生前の平成14年度と同程度まで回復。
牛肉需給(部分肉ベース)の推移
3
1(3)牛肉の需要動向
(千トン)
国内生産量は、高齢化・後継者不足により減少傾向で推移していたが、畜産クラスター事業等の施策を講じてきた結果、平成29年度からは増加に転じ、平成30年度は33万トン超。
和牛が約15万トン(約45%)、交雑種が約9万トン(約27%)、乳用種が約9万トン(約27%)。
4
1(4)国内生産量の動向
(千トン)
年度
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
品種別牛肉生産量(部分肉ベース)の推移
164 145 143 133 133 134 134 138 144 152 155 162 167 162 161 151 143 145 149
128
107 125 129 132 129 122 124 118 105 110 114 113 109 106 102
98 94 91
69
73
91 86 85 79 84 89 93 99 87 73 75 79 81 75
79 87 89
365
329
364353 356 348 346
359 363 363358 354 360 354 352
332 324 330 333
0
50
100
150
200
250
300
350
400
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
その他
交雑種
乳用種
和牛
平成
総生産量
若者の魚離れや消費者ニーズの変化(切り身や刺身での購入増加)により、魚介類の消費が平成13年度をピーク
に減少している一方、牛肉の消費量は、近年の好景気等を背景に、焼肉・ハンバーガー等の外食を中心に拡大して
おり、 平成30年度における一人当たりの消費量は6.5kg/年と10年間で1割強の伸び。
肉類及び魚介類消費量の推移 外食産業売上高の推移(対前年比)
1(5)牛肉の消費動向①
5資料:農水省「食料需給表」資料:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」、注:2013年を100%で固定し、対前年比から各年の売上高を推計
我が国における牛肉の消費構成は、近年、家計消費が減少する一方、外食・中食が拡大。外食・中食は輸入牛肉の使用割合が約7割と高いものの、国産も根強い需要があり1/4超のシェア。
量販店においては、TPP11及び日EU・EPA発効後も、引き続き、国産牛肉、特に和牛・交雑牛の販売を増加又は同程度とする見込みと回答した企業が8割。
牛肉の消費構成割合の推移 外食・中食における牛肉の構成内訳
1(5)牛肉の消費動向②
外食・中食
家計消費
加工仕向
資料:農林水産省「食肉の消費構成割合」(年)
資料:(独)農畜産業振興機構「食肉販売動向調査(平成30年度、31年度)」
13%
14%
29%
44%
資料:(独)農畜産業振興機構「食肉販売動向調査(平成29年度)」を基に推計
2019年度上半期
2018年度上半期
和牛
交雑牛
乳用牛
輸入牛肉
和牛
交雑牛
乳用牛
輸入牛肉
輸入牛肉(約7割)
4841
34 34 32 31
10
9
9 5 5 6
4250
57 61 63 63
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
3 9 15 21 28 29
食肉の販売見通し(量販店)
6
外食・中食
加工
家計消費
56 171 198
323 200
70 89
123
155 196
219
193
9 17
43
52
86
180
218
155 135
156
111
116
173
181
35 40
70
72
79
111
149
0
200
400
600
800
1,000
1,200 ブラジルウルグアイアルゼンチン豪州NZその他
(千トン)
(年)
出典:中国税関(対象HSコードは0201, 0202)
【対前年比479%】輸入量計294
【101%】298
【159%】474
【122%】580
【120%】695
【150%】1,039(対前年1-8月比
154%)980
牛肉の国内供給量(約95万トン)のうち約65%(約62万トン)は輸入。 アジアの経済成長に伴う需要拡大や中国で発生したアフリカ豚コレラの影響により、牛肉の輸入環境は大きく
変化する見込み。特に、中国の輸入量は近年急速に増加。 こうした輸入リスクが懸念される中、将来にわたり国民に対して安定的に牛肉を供給するためには、国内の
生産基盤を強化し、国産牛肉の生産量を増加させる必要。
1(6)世界とアジア地域の牛肉の輸入状況
中国の牛肉輸入量の推移
[27%]
[69%]
オセアニア
[33.7%]
南米[62.4%]
牛肉輸入量の多い上位10カ国(2018)
出典:USDA“Livestock and Poultry:World Markets and Trade”(2018年(推計)、部分肉ベースに換算)※貿易統計の値では、620千トン
(千トン)
7
世界合計6,106千トン
1,027 952
606 ※
407 379 347 261 222 210 172
0
200
400
600
800
1,000
1,200
輸出額の8割はアジアが占めており、特に香港・台湾・カンボジアの3国で6割のシェア。 アジアの食品市場の規模は、今後10年間で約1.5倍に拡大する見込み。 また、輸入が急増している中国への輸出が解禁となれば、更なる輸出拡大が見込まれるところ。 このような状況の中、更なる輸出拡大を図るためには、より一層の国産牛肉の生産量を増加する必要。
1(7)牛肉輸出の現状
世界の農産物・食品市場の規模の見通し
カンボジア
56.4億円
(23%)
香港
41.3億円(17%)
台湾
40.7億円
(17%)
米国
33.1億円
(13%)
シンガポール
15.8億円
(6%)
EU
15.7億円
(6%)
タイ
12.8億円
(5%)
マカオ
7.1億円、(3%)その他
24.6億円
(10%)
日本産牛肉の国・地域別輸出実績
2018年輸出額247億円
資料:財務省「貿易統計」
8
資料:農林水産政策研究所「世界の飲食料市場規模の推計結果について」
国産牛肉の生産動向をみると、近年、和牛・交雑牛は増加する一方、乳用種は性判別精液や和牛受精卵移植の推進等により5年連続で減少。
2(1)国産牛肉の生産トレンド
(単位:千トン)
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
牛合計 対前年度比
うち和牛 対前年度比 うち交雑牛 対前年度比 うち乳牛 対前年度比
2014年度 352 99.3 164 99.2 81 102 106 97.7
2015年度 332 94.6 155 94.1 75 93.2 102 96.4
2016年度 324 97.5 146 94.3 79 105.4 98 96.2
2017年度 330 101.7 149 101.8 87 109.7 94 95.5
2018年度 333 101 153 102.8 89 102.2 91 96.8
牛肉生産量の推移
9
491
386361
390 399420
503
571
688
815
769 767 772
636
667
682 684
668
642
618
595
580
589
597
610
626
300
400
500
600
700
800
900
570
590
610
630
650
670
690子牛価格 繁殖雌牛頭数
10
2(2)繁殖雌牛頭数の推移①
肉用牛繁殖雌牛の頭数は、平成22年の68万4千頭をピークに27年には58万頭まで減少(▲約10万頭)したが、各般
の生産基盤強化対策の実施により、平成28年から増加に転じ、平成31年は約63万頭(4年連続で増加)。
肉専用種雌のうち繁殖に仕向けられる頭数割合は、平成25年度を底に増加傾向で推移、直近では40%まで増加。
39 31 35 34 38 37 39 41 43 42 47 47 50 52
99 93 90 87 84 81 81 77 77 76 77 77 79 79
144
129
129 126 127 124 125 123 126 123
129 129
13513528%
25%
28% 28%
31% 32%33%
35%36% 36%
38% 38%39% 40%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
0
50
100
150
200
250
300
24下期 25上期 下期 26上期 下期 27上期 下期 28上期 下期 29上期 下期 30上期 下期 R1上期
(千頭)
繁殖仕向雌 肥育仕向雌 肥育仕向雄 雌牛の繁殖仕向割合
資料:農林水産省「畜産統計」、農畜産業振興機構「肉用子牛取引状況」
注 :繁殖雌牛頭数は、各年2月1日時点の数値。
子牛価格は、黒毛和種(雄、雌)の年度平均価格。令和元年は4~10月までの平均価格
繁殖雌牛頭数及び子牛価格の推移 肉専用種雌の繁殖仕向頭数・割合の推移(推計)
注1:肥育仕向頭数は、牛マルキンで17月齢時点で肥育牛に登録された頭数注2:繁殖仕向雌頭数は、雄:雌の出生割合が51:49として肥育仕向頭数から同時期の雌頭数を推計し、
これから肥育仕向雌頭数を引いたもの注3:雌繁殖仕向割合は、繁殖仕向雌頭数を肥育仕向雌頭数と繁殖仕向雌頭数の合計で除したもの
11
2(2)繁殖雌牛頭数の推移②
一方、乳用繁殖雌牛の飼養頭数は、高齢化・後継者不足等による離農の進行により一貫して減少。 国産牛肉に占める乳用種のシェアが50%強であることに鑑みれば、国産生産量の増加を図るためには、
肉用種繁殖雌牛に加え、乳用雌牛の増頭を図ることが不可欠。
資料:農林水産省「畜産統計」(各年2月1日現在)
品種別飼養頭数の推移
682 684 668
642 618
595 580 589 597
610 626
985 964
933 943 923
893 870 871
852 847 839
500
550
600
650
700
750
800
850
900
950
1,000
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
肉用種繁殖雌牛 乳用種経産牛
平成
(千頭)
○ 繁殖雌牛の増加○ 繁殖雌牛1頭あたりの子牛生産頭数の増加
畜産クラスター事業により、子牛の育成部門を外部化して増頭を可能とするためのCBS(キャトルブリーディングステーション)やCS(キャトルステーション)の整備等を支援。
キャトルステーションやキャトルブリーディングステーションの活用により、①牛を預けることで空いた畜舎等を活用した規模拡大、②繁殖経営における哺育作業等に係る労働負担の軽減、が図られているところ。
CBSを活用した生産基盤強化の事例
CBS・CS等の設置状況(全国)
平成28年 平成30年
52施設 68施設資料:農林水産省調べ
CSを活用した地域内一貫体制の強化(イメージ)
取組の効果
高齢農家
2(3)肉用牛生産基盤の強化に向けた取組①
○ 分娩間隔の短縮○ 事故率の低減
CBS(キャトルブリーフィングステーション)子牛300頭、繁殖牛200頭規模
○集中管理による効率化
○早期離乳、分娩間隔の短縮
○事故率低減、育成成績の向上
繁殖技術のノウハウのない肥育農家の経営上のリスクを低減
もと牛安定確保による、一貫経営への円滑な移行・規模拡大支援
畜舎を増築することなく、預託中の空きスペースを活用して増頭
繁殖基盤の強化
農家で分娩後、子牛とセットでCBSへ預託
母牛はCBSで種付け、妊娠確認後、農家へ返す
肥育用もと牛
地域内一貫体制の確立
肉用牛繁殖経営
肉用牛肥育経営
繁殖雌牛に種付け
子牛を育成
CS(キャトルステーション)
子牛200頭繁殖経営
出産
中核担い手余力を活かして増頭
哺育・育成(9ヶ月齢まで)
安定供給
肥育経営
○ 集中管理による効率化〇 繁殖雌牛の増頭
取組の効果
○ 地域内への肥育もと牛の安定供給
12
2(3)肉用牛生産基盤の強化に向けた取組②
また、優良な繁殖雌牛の増頭や簡易牛舎の整備を支援。
○ 肉用牛経営安定対策補完事業
【ALIC事業】 31年度:36億円の内数
・ 繁殖雌牛の増頭に取り組む生産者集団
が繁殖雌牛の増頭のための簡易牛舎整
備、施設の改造に必要な資材の支給及び
器具機材の導入を支援
優良な繁殖雌牛の導入支援 簡易牛舎の整備支援
○ 肉用牛経営安定対策補完事業【ALIC事業】31年度:36億円の内数
・ 中核的担い手(10頭以上)又は生産者集団が優良繁殖雌牛を増頭した場合、増頭実績に応じて奨励金を交付
〔奨励金〕 8万円/頭10万円/頭(能力の高い牛)
・ 生産者集団が、遺伝的多様性に配慮した繁殖雌牛を導入し、農家に貸付を行う取組に対して奨励金を交付
〔奨励金〕6万円/頭9万円/頭(希少系統)
簡易畜舎とは?増頭等のために補助的に使用する畜舎等木造・パイプハウスの場合・ 500㎡以下鉄骨の場合・ 200㎡以下 等
13
0
10
20
30
40
50
60
25 26 27 28 29 30 31
都府県
全国
北海道
48.2
34.4
23.7
2(4)酪農・肥育経営における肉用牛生産(受精卵移植)①
現在、酪農経営においては、和牛受精卵移植による和子牛の生産が進められており、平成29年度の出生頭数は35千頭。
また、肉用牛肥育経営においても、交雑種繁殖雌牛を導入し、和牛受精卵移植が進められているところ。
資料:日本家畜人工授精師協会
○ 乳用牛への黒毛和種精液等の交配状況
(%)
乳めす 乳おす 交雑種 和牛酪農家由来
乳用牛から生産した子牛
肉用牛から生産した子牛
○ 和牛受精卵移植の推進
和牛受精卵の移植による和子牛生産の推進
20 23
28 31
35
0
10
20
30
40
25 26 27 28 29
(千頭)
資料:(独)家畜改良センター個体識別情報より作成
○ 乳用牛からの黒毛和種の出生頭数の推移
14
2(4)酪農・肥育経営における肉用牛生産(受精卵移植)②
今後、国内生産量の増加を図るためには、肉用牛繁殖基盤の強化に合わせて、酪農経営において乳用後継牛を確保するとともに、キャトルステーション等と連携の下、性判別精液の活用・受精卵移植を積極的に進めていくことが重要。
肉用牛・酪農経営の地域連携による肉用牛生産のイメージ
15
【酪農経営】
【キャトルステーション(CS)】【キャトルブリーフイングステーション(CBS)】
【繁殖経営】
繁殖雌牛の供給
和牛受精卵の生産
受精卵の供給
・子牛の哺育・育成(ほ乳ロボット活用)・繁殖雌牛の種付け
子牛預託
・性判別精液による乳用後継牛確保
・和牛受精卵移植・優良な繁殖雌牛から
和牛受精卵を採取し、酪農経営に供給
肥育もと牛の安定供給
【肥育経営】
・連携により増頭した子牛を肥育
繁殖農家戸数は、高齢化・後継者不足により年々減少しており、平成31年度の戸数は約4万戸と10年間で約4割減少。このうち、約63%は10頭未満の小規模層である上、約4分の3が65歳以上。
また、繁殖経営の約7割が後継者不足に直面。65歳未満が約9割を占める50頭規模以上の経営でも、約6割は後継者がいない状況。
資料:農林水産省「営農類型型経営統計(個別経営)」(平成29年)注:経営関与者:農業経営主夫婦及び60日以上従事する世帯員である家族
肉用牛繁殖経営における経営関与者の規模別年齢構成
0 0 00.25
1.010.55
0.690.92
1.44
1.71.511.21
1.14
0.590.36
0%
20%
40%
60%
80%
100%
5頭未満 5~10頭 10~20頭20~50頭 50頭以上
65歳以上
35~65歳
35歳未満
0
20
40
60
80
H18 22 24 27 31
千
1~4頭 5~9
10~19 20~49
73
6456
474040
規模別戸数の推移(千戸)
63%
農業後継者の有無別農家数(肉用牛部門)(単位:戸数)
合計(C=A+B)
後継者がいる(A)
後継者がいない(B)
後継者がいない割合(B/C)
34,218 9,574 24,644 72.0%15,583 4,442 11,141 71.5%8,359 2,218 6,141 73.5%5,552 1,520 4,032 72.6%3,826 1,069 2,757 72.1%
898 325 573 63.8%
飼養頭数
規模
子取り用めす牛のみ
1 ~ 4 頭5 ~ 910 ~ 1920 ~ 4950 頭 以 上
0% 20% 40% 60% 80% 100%
肉用牛
(肥育)
肉用牛
(繁殖)
酪農
52.6%
66.5%
44.4%
11.1%
21.7%
14.7%
7.6%
3.6%
9.9%
6.3%
2.9%
14.6%
5.8%
3.0%
4.7%
8.8%
5.0%
6.7%
高齢化・後継者問題 経営者等の事故・病気・死亡
負債問題 将来への不安
施設・機械の老朽化 他畜産部門への転換
肉用牛経営からの離脱要因
後継者不足等
16
3(1)繁殖経営の戸数・後継者の有無①
資料:農林水産省「2015年農業センサス」
資料:農林水産省「畜産統計」
資料:農林水産省調べ
後継者不足の家族経営は規模拡大をせずに経営を継続する傾向があり、規模拡大を図る施策だけでは現場のニーズに対応するのは困難。
このため、地域全体で家族経営の資源(施設・機械・生体)を計画的に継承していく仕組みを構築し、生産基盤の維持・強化を図っていくことが必要。
17
地域全体での経営継承のイメージ
家族経営(中小規模)
・後継者がいないため、離農するが、あと5~10年は継続したい。
・労働不足等で規模拡大は困難だが、補改修等して経営継続をしたい。
担い手
地域の協議会の取組
地域で話し合い、円滑に資源(施設・機械・生体)を担い手に継承する計画を作成。
中長期的に施設・機械を活用するための補改修等を実施。
CSやCBSなど外部支援組織の活用により、地域全体で規模拡大を実現。
担い手へ円滑に継承
・初期投資を抑え、畜舎等の地域資源を有効活用したい。・計画的に規模拡大したい。
地域の声
マッチングが必要
担い手家族経営(中小規模)
3(1)繁殖経営の戸数・後継者の有無②
234 248 243 224 214
210212 229
226196
314 294238
138
123
0
100
200
300
400
500
600
700
800
2~5頭未満 5~10 10~20 20~50 50頭以上
飼料 繁殖雌牛償却費等 労働費
繁殖農家1戸当たりの飼養頭数は年々増加しており、平成31年度は15.6頭と10年前の約1.5倍。
子牛1頭当たりの生産コストは、飼料費が約1/3、労働費が約1/3を占めているが、規模拡大に伴い生産コストは
労働費を中心に低下(20頭以上層で大幅に低下)。
現行の酪肉近では、「規模拡大により生産の効率化を図ることは、国際競争力を強化するためにも有効」と明記。
繁殖経営1戸あたりの飼養頭数の推移
平均629千円
(千円/頭)
758711
587
532
10.7
15.6
8.0
9.0
10.0
11.0
12.0
13.0
14.0
15.0
16.0
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
子牛1頭当たりの生産コスト(29年度)
(千戸)
18
3(2)繁殖経営の概況
酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(平成27年3月)(抄)
Ⅱ1(2)① 生産構造の転換等による規模拡大
離農に伴う飼養頭数の減少を抑制するには、引き続き、個々の経営の飼養頭数の増加を促進することが重要である。規模拡大により生産の効率化を図ることは、国際化の進展に対応して、国際競争力を強化するためにも有効である。
755
資料:農林水産省「畜産統計」
資料:農林水産省「畜産物生産費統計」
肥育経営の戸数は、繁殖経営と同様、高齢化・後継者不足を背景に年々減少しており、平成31年度は約1万戸。
一方で、畜産クラスター事業等の施策により規模拡大が着実に進展。
肉専用種肥育牛 飼養戸数・頭数の推移
19
114
149
0
20
40
60
80
100
120
140
160
1,350
1,400
1,450
1,500
1,550
1,600
1,650
1,700
1,750
1,800
1,850
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
頭数(千頭) 1戸当たり(頭)
15.9
10.2
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
(千戸)
3(3)肥育経営の戸数・頭数
資料:農林水産省「畜産統計」資料:農林水産省「畜産統計」
牛枝肉卸売価格は、近年、肉ブーム等を背景に高水準で推移しているが、これを受け、肥育素牛となる肉用子牛
価格も高水準で推移。
肥育経営では、子牛の購買費(素畜費)が生産コストの6割強を占めており、子牛の価格高騰は経営を直撃。
20
3(4)肥育経営をめぐる状況
牛枝肉卸売価格の推移 子牛価格の推移
繁殖・肥育一貫経営では、自ら保有する繁殖雌牛を活用して子牛を確保できるため、肥育用の素畜費の低減が図られているところ。また、①牛のストレス低減、②肥育期間の短縮、③希望する系統の素牛生産等のメリット。
肥育牛1頭当たりの生産コスト(28年度・平均値)
主なメリット 内 容
①肥育用素畜費の低減子牛の市場価格よりも自家生産した生産費の方が安価で価格の変動が少ない
②牛のストレス軽減 移動や飼養環境変化によるストレスが少ない
③「飼い直し」が不要市場で購入する過肥な素牛の飼い直しがなく、育成・肥育が効率化
④希望する系統の素牛生産が可能
種付する精液等を自ら選べるため、経営方針に適した系統を利用可能
一貫経営の方が、肥育牛1頭当たりのコストが10万円以上も安価
資料:生産費調査注:一貫経営の素畜費は、2年前(26年度)の子牛1頭当たり
生産費(自己資本利子、支払自作地地代を除く)として試算。
(千円/頭)
繁殖肥育一貫経営における主なメリット 繁殖肥育一貫経営の事例(北海道浦幌町)
<飼養規模>黒毛和種肥育牛 272頭黒毛和種繁殖牛 167頭乳用牛肥育牛 72頭交雑種肥育牛 19頭年間155頭ほど肥育牛を出荷
経営主が考える一貫経営のメリットは、移動や環境変化によるストレスの軽減、子牛の「飼い直し」回避であるとのこと。市場で購入した子牛は、通常1~2ヶ月程度飼い直しが必要であるが、一貫化により、飼い直しの必要がなくなるため、出荷月齢は、以前の30ヶ月齢から、現在では29ヶ月齢で出荷できるようになり、牛舎の回転率が向上。一貫化により、1頭出荷するまでに子牛の育成期間が加わることで資金の回転率が
低下するが、運転資金等については、飼養している牛を動産担保としたABL(動産担保融資)を活用している。
繁殖肥育一貫経営の事例(熊本県菊池市)
<飼養規模>黒毛和種肥育牛 224頭黒毛和種繁殖牛 78頭
経営主が考える一貫経営の主なメリットは、素畜費の低減、種付けする血統を自分で選べること。当該牧場の肥育素牛の自家生産と市場導入の場合の生産費を比較すると、自家産は約40万円ほどで、外部導入と比べてかなり低減されている。また、種付けに用いる精液は、自らの飼養管理で成績が良かった血統を指定して購
入している。通常、子牛として市場に出荷する場合、市場で人気の高い血統を選定して、高価格で買われることを狙うが、一貫の場合、そのようなことを気にする必要がなく、繁殖雌牛の能力に適合する精液を自ら選定できるため、一般的な繁殖経営よりも精液代が安くなる場合がある。
535.1 669.6
477.3
477.3
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
一貫経営 肥育経営
←素畜費
←その他経費
1,146.9
1,012.4
子牛1頭当たり生産費(28年度)※全算入生産費
飼養頭数規模別生産費(円)
平均604,734
2~5頭未満735,101
5~10740,073
10~20683,338
20~50549,546
50頭以上504,032
21
3(5)素畜費の低減(一貫経営)
規模拡大に伴い、発情・分娩管理等の主要な作業をより効率的に行い、生産性を向上させることが必要。
現場では、発情発見装置や分娩監視装置などICT等の新技術を活用し、労働負担軽減や分娩事故低減、分娩間隔
の短縮化が図られており、これら新技術を一層活用することが重要。
分娩監視装置導入前
毎日一定時間の見回り作業が必要。(夜間の見落とし等で受胎率に影響)
導入後
発情がスマートフォン等に通知されるため労働負担が軽減され、受胎率向上等が期待。実例:導入後、分娩間隔349日まで短縮(※全国平均は約400日程度。)
主なメーカーの導入実績
約4,000牧場導入前
分娩時の事故防止のためには、夜間も含めた見回りによる監視が必要。
導入後
分娩開始がスマートフォン等に通知されたり、モニターの確認により見回りが不要となるため、監視業務による負担が軽減実例:導入後、分娩事故率が大幅に減少
(2.2%→0.3%)
主なメーカーの導入実績
約1,600牧場
発情発見装置
夜間対応日数
監視装置無し 平均8.8日
監視装置有り 平均1.6日
資料:導入先からの聞き取り等から作成。
分娩監視装置による省力化効果(例)
資料:導入先からの聞き取り等から作成。※ 各種装置の導入に加え、遺伝的な改良の推進も課題。
※メーカー聞き取り。酪農経営を含む。
※メーカー聞き取り。酪農経営を含む。
・歩数計を活用した歩数データの推移で発情や授精適期を検知。
・発情見逃しによる分娩間隔への影響を緩和。
22
3(6)ICT等の新技術の活用
肉用牛繁殖経営
約3割のコスト低減(210千円/頭の削減)
739千円/頭(100)
長崎県 I放牧部会の取組
■放牧面積:3.72ha(暖地型永年牧草:バヒアグラス)■飼養頭数:72頭(部会員3戸合計)放牧頭数8頭(年間)
■特徴
・飼養管理の省力化・低コスト化を図り、規模拡大を行うとともに、耕作放棄地
解消により地域景観を保全することを目的に放牧を開始。
・放牧場整備後、毎年、牧草種子の追播及び追肥を行い、牧草の早期定着と
安定した草量確保に努めている。
・放牧場活用により牛舎スペースや労力に余裕が生じたことで、部会員の増頭
意欲が高まり、繁殖雌牛頭数が61頭(H23)から72頭(H27)に増加している。
・放牧実施により景観が改善したことで、地元住民から
喜ばれており、更なる放牧の拡大を予定している。
放牧によるコスト削減効果の試算
<前提条件>繁殖雌牛2頭~5頭規模、放牧期間:5月~10月(6か月)
注:平成29年度畜産物生産費(子牛生産費2頭~5頭規模未満)による子牛1頭当たりの生産費を試算
529千円/頭(72)179
234
194
314
156
191
0 100 200 300 400 500 600 700 800
放牧
舎飼
飼料費 労働費 その他経費
放牧は、飼料生産・給与等の省力化やコスト低減、適度な運動による繁殖成績向上、畜舎の増設を伴わない頭数拡大が可能などのメリット。
地方公共団体等が保有する公共牧場のほか、中山間地域の耕作放棄地等で活用されているところ。
放牧面積の推移 耕作放棄地等における小規模移動放牧の状況(平成29年度)
122 90 84 91 88 81 77 76 72 75
130
128 128 132 112 121 123 121 120 109
252
219 212 223 200 201 200 197 192 184
0
50
100
150
200
250
300
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29
個別農家 公共牧場
(千ha)
1,909 891 2,786 3,981 9,566
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
耕作放棄地 水田放牧 草地放牧 その他(ha)
1,135箇所 690箇所 564箇所 626箇所 合計 3,015箇所
23
3(7)繁殖経営での放牧利用
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
自給率の現状(H30年度概算)
国産飼料の生産動向
輸入88%
国産12%
飼料全体 25%
○乾草○サイレージ
牧草、青刈りとうもろこし、
稲発酵粗飼料(稲WCS)
○放牧利用○稲わら○野草(林間地等)
輸入24%
国産76%
○穀類(とうもろこし、飼料用米等)
○エコフィード(パンくず、豆腐粕等)
○糠・粕類(フスマ、ビートパルプ、大豆油粕、菜種油粕等)
○その他(動物性飼料、油脂等)
(H30年度概算)
(H30年度概算)粗飼料
濃厚飼料
32%
40%繁殖牛(子牛生産)
肥育牛
経営コストに占める飼料費の割合
4,485
3,6493,852
3,661
104.6
92.990.2 91.5 92.4
97.5 98.8 98.597.0
75
85
95
105
3,000
4,000
5,000
H2 15 20 25 26 27 28 29 30
牧草等の収穫量 稲WCSの収穫量飼料用米の収穫量 作付面積(万ha)
作
付
面
積
(万
)
ha
194
534
0
200
400
600
H26 H30
作
付
面
積()
ha
収
穫
量(千
トン
)
TDN
1)全国の飼料作物作付面積及び収穫量の推移
2)子実用とうもろこし及びイアコーンサイレージ作付面積
子実とうもろこし イアコーンサイレージ 24
肉用牛の生産基盤の強化のためには、経営コストの3~4割程度を占める飼料費の削減が不可欠。 飼料の大部分は輸入に依存しているが、今後、世界的な穀物需給の逼迫や世界的な気候変動による生産量の減少
により、飼料価格が高騰し、結果として生産コストを押し上げるおそれ。 このため、輸入飼料に過度に依存するのではなく、国産飼料への移行を進めていくことが必要。
3(8)飼料コストの低減(国産飼料の確保)
資料:食料需給表 資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省「作物統計」
肉用牛繁殖経営における作業労働時間のうち、自給飼料の生産・調製等の占める割合が約64%となっており、自給飼料を敬遠する要因の一つとなっているところ。
こうした自己負担を軽減するため、外部支援組織であるコントラクターやTMRセンターが活用されているところ。
コントラクター組織数の推移、地域別組織数(H30)
○コントラクターの組織数は、平成30年には826組織に増加。
地域 H15 H20 H25 H30
全国 317 522 581 826
(※ H30は作業受託を行わず契約に基づく粗飼料生産・販売のみを行う組織を含む)
TMRセンター組織数の推移、地域別組織数(H30)
地域 H15 H20 H25 H30
全国 32 85 110 143
○TMRセンターの組織数は、平成30年には143組織に増加。そのうち肉用牛向けに供給している組織は42。
酪農向けに供給 134
肉用牛向けに供給 42
25
肉用牛繁殖経営における労働時間
資料:平成29年度畜産物生産費調査注 :子牛1頭当たりの労働時間(127.83時間/頭)における主な作業の割合
飼料の調製・
給与等
50%
自給牧草生産
14%
敷料の搬入等
19%
その他
17%
64%
3(9)飼料生産組織の育成
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
9 33 101
【TMR供給先】
現行の家畜糞尿処理施設の老朽化が進行している中、規模拡大に伴い家畜排せつ物の処理量が増加する傾向。 また、施設で処理された堆肥等は耕種農家で利用されているが、耕種農家でも高齢化が進んでおり、利用のし易さが
求められている状況。 このため、家畜糞尿処理施設の機能強化、堆肥をペレット化するなど耕種農家での利用が促進される取組を進める
ことが重要。
家畜ふん尿の地域偏在の解決
土づくりの推進
自己所有のマニュアスプレッダーで散布
稲わらの収穫
近隣の稲作農家(4km圏内)
茨城県笠間市における水稲農家との連携事例
土づくり対応型・畜産環境対策支援(R2概算要求)
和牛 100頭堆肥散布・稲わらの収穫は、畜産農家が実施(無償)
家畜糞尿処理施設の老朽化
4.家畜排せつ物の適正処理と利用
錆びた鉄骨
劣化したコンクリート壁
コンクリート床のクラック
腐食した木柱
発酵舎の屋根材一部破損・劣化
老朽化した堆肥舎の破損状況
26
畜産農家の減少・高齢化により生産現場が脆弱化するとともに、生産者の顔が見える商品を求める消費者ニーズが高まる中、食肉処理施設は、生産者と消費者の結節点として、高品質な食肉を安定的に供給していくことが重要。
一方で食肉処理施設は、稼働率の低迷(平均6割)、施設の老朽化(平均30年)、労働力不足の課題に直面。
H20 H29(現状) R7(目標)
1日あたりの
処理頭数450頭 485頭 620頭以上
稼働率 64% 61% 80%以上
一日あたりの
処理能力704頭 793頭 770頭以上
食肉処理施設の現状
有効求人倍率の推移
27
5.流通の再編合理化①
有効求人倍率の推移
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
資料:農林水産省調べ
今後の食肉処理施設は、こうした生産から消費に至る広範な課題に適切に対応することにより、生産者と消費者の結節点として、高品質な食肉を安定的に供給していくことが不可欠。
そのためには、畜産農家・食肉処理施設・食肉流通業者がコンソーシアムを形成して、食肉処理施設の再編・整備を進め、高稼働率、米国・EU並みの衛生水準、精肉までの一貫製造体制の構築等を実現することが重要。
28
5.流通の再編合理化②
和牛では、品種改良の進展や品質向上に向けた生産者の努力の結果、全体の約8割が5等級・4等級。 一方で、消費者は、近年、健康志向の高まりや味・食感の良さ、価格の安さを理由に、適度な脂肪交雑「赤身肉」(2~3等級)を求める傾向。 これを反映して、「A-3」の価格の上昇率は、「A-5」「A-4」の上昇率よりも大きい。
交雑牛去勢
年度 「A-5」 「A-4」 「A-3」 「B-3」
23 1,892 1,586 1,347 1,03424 2,026 1,744 1,559 1,13225 2,176 1,920 1,758 1,26026 2,325 2,074 1,881 1,36027 2,680 2,489 2,318 1,68428 2,899 2,633 2,416 1,69129 2,864 2,495 2,163 1,49030 2,873 2,552 2,278 1,594
去勢和牛
牛肉に関する消費者の嗜好性の変化
14.2
13.3
8.9
41.2
41.4
43.8
32.7
33.1
34.9
7.6
8.2
8.8
4.3
3.9
3.6
必ず赤身肉を食する普段は赤身肉を食し、たまに霜降り肉を食する。赤身肉も霜降り肉も同じ程度食する普段は霜降り肉を食し、たまに赤身肉を食する必ず霜降り肉を食する
H26
(%)
H27
H28
0 20 40 60 80 100
H20年度 H30年度
和牛去勢A5 18.3% 40.5%
和牛去勢A4 35.6% 37.9%
和牛去勢A3 26.6% 13.0%
交雑去勢B3 33.7% 38.0%
格付割合の変化
4等級以上の割合 54% → 78.4%
牛枝肉卸売価格の推移(中央10市場)
過去10年の底と最高値の差については、和牛A5よりも、A3の方が価格の伸びが大きい。
1.5倍 1.6倍 1.7倍
29
6.消費者ニーズに応じた供給体制の構築①
資料:公益財団法人 日本食肉消費総合センター「食肉に関する意識調査(平成28年度)」
資料:公益社団法人日本食肉格付協会
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
赤身肉への需要の高まりに対応するためには、出荷月齢の早期化や和牛繁殖雌牛の再肥育を進めていくことが必要。
また、交雑種の雌牛に和牛受精卵を移植する「交雑種雌牛の1産取り肥育」を進めることにより、和牛の増頭に加え、交雑種雌牛の赤身肉も供給するなど多様な牛肉生産を進めることが必要。
<交雑種雌牛の一産取り肥育の取組事例(北海道Y牧場)>
交雑雌子牛導入(8~10ヵ月齢)
和牛受精卵移植(13~15ヵ月齢)
受 胎
分 娩(23~25ヵ月齢)
交雑雌牛出荷(と畜)
(33~35ヵ月齢)
黒毛和牛子牛出荷
(2ヵ月齢で出荷)
効率的に和牛子牛の生産及び3等級の交雑牛肉
生産が可能
【 400~600千円/頭】
【600千円/頭】
肥育経営における枝肉重量と肥育期間の現状・目標(上段:黒毛和種、下段:交雑種)
第11回全共(H29宮城)における早期肥育成績(和牛)
区分 出荷月齢枝肉重量
(Kg)BMS.No
11回全共 24ヶ月齢 484.5 8.4
H28平均 29ヶ月齢 492.7 6.9
資料:第11回全共結果、平成28年度肉用牛生産費、平成28年次牛枝肉格付結果
全共では、平均出荷月齢よりも5ヶ月早い出荷でも、枝肉重量差は同等、BMS.Noは高い結果
区分 H24 H29(現在) R7目標
枝肉重量(kg) 476 478 480
出荷月齢 29.2 29.3 24~26
肉質等級 3.7 4.2 3~4
区分 H24 H29(現在) R7目標
枝肉重量(kg) 502 527 500
出荷月齢 26.6 25.8 23
肉質等級 2.6 2.8 3
<和牛繁殖雌牛の再肥育の取組事例(鹿児島X牧場)>
和牛繁殖雌牛(13~15ヵ月齢)
受 胎 分 娩
繁殖雌牛の再肥育・出荷
(6~8ヵ月間肥育)
【 300~400千円/頭】
6産後、不受胎
子牛出荷(8~9ヵ月齢で出荷)
【700千円/頭】
和牛子牛の生産及び3等級の和牛肉生産が可能
30
6.消費者ニーズに応じた供給体制の構築②
消費者の「おいしさ」に対するニーズに応えるため、(独)家畜改良センターを始め畜産関係団体で食味等の指標化に向けた検討を実施。
現状では、脂肪酸(オレイン酸)に着目したブランド化が主流。(鳥取和牛オレイン55(鳥取県)、信州プレミアム牛肉(長野県)、豊味いの証(大分県)など)
【牛肉の食味等に関する各要因】
味(グルタミン酸、イノシン酸等)
香り(和牛香(ラクトン類)等)
食感(弾力、脂肪の口溶け等)
牛肉を口に入れたときに感じられる特徴。こくがある、柔らかい、ジューシー等
おいしさ
【(独)家畜改良センター】
・ 理化学分析と画像解析等によるうま味成分の解析と特長に関する調査・分析を実施
・ 牛肉のうま味の簡易測定手法の確立と指標化
○ 人が食べた時の評価と食肉中の成分値との関連から、食味を客観的に表す指標を検討。
人による官能評価
・食肉の食味等
機器による成分分析
・成分組成、物理特性
【(一社)全国肉用牛振興基金協会】○ 牛肉のうま味の指標化に向けた測定評価手法の検討。
嗜好、体調、食習慣等
食味
【鳥取和牛オレイン55(鳥取県)】
○ 鳥取県では、オーリブオイルの主成分でもあるオレイン酸に着目し、牛肉脂肪中のオレイン酸含有量が55%以上の牛肉を「鳥取和牛オレイン55」として2011年からブランド化。
○ オレイン酸は一価不飽和脂肪酸の1つであり、融点が低く、口どけの良さの要因となっている。
消費者の好む食肉中の成分を解明 → 食味の指標化へ
統計解析による関係の検討
(出典)鳥取県webサイト
科学的な解析等が可能
人それぞれの嗜好等により感じ方が異なるため、解析が困難
31
6.消費者ニーズに応じた供給体制の構築③
カンボジア
56.4億円
(23%)
香港
41.3億円(17%)台湾
40.7億円
(17%)
米国
33.1億円
(13%)
シンガポール
15.8億円
(6%)
EU
15.7億円
(6%)
タイ
12.8億円
(5%)
マカオ
7.1億円、(3%)その他
24.6億円
(10%)
資料:財務省「貿易統計」
2019年輸出目標250億円(4,000トン相当)
日本産牛肉の国・地域別輸出実績(牛肉のみ)
2018年輸出額
247億円
和牛の輸出については、これまで、輸出先国のシェフ等の日本への招へいや、統一マークを活用したブランド価値向上の取組、HACCPなど輸出先国が求める衛生条件を満たす食肉処理施設の整備等を支援。
この結果、牛肉の輸出額は直近5年間で約3倍に伸び、2018年は247億円と、2019年輸出目標額の250億円をほぼ達成。
取組方針:和牛の強みを活かす売り方、食べ方を海外に
広め、輸出拡大につなげる
資料:財務省「貿易統計」
541 570 863 909
1,257
1,611
1,909
2,707
3,560
3,062
34.0 34.650.6 57.7
81.7110.0
135.5
191.6
247.3
209.1
0
50
100
150
200
250
300
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
(1-9月)
輸出量(トン)
輸出額(億円)
(トン) (億円)
日本産牛肉の輸出実績対前年同期比(2019年1-9月)金額:126%数量:129%
対前年比(2018年)金額:129%数量:132%
うち牛肉 2,706牛くず肉0.2
うち牛肉 1,909牛くず肉0.1
うち牛肉 1,251牛くず肉 6
うち牛肉 909牛くず肉0.1
うち牛肉 3,560
牛くず肉0.3
うち牛肉 3,062
牛くず肉0.4
32
7.牛肉(和牛)の輸出動向について①
米国HACCP基準を満たす施設は13箇所、欧州HACCP基準を満たす施設は7箇所。
対米国施設
(株)ミヤチク 高崎工場
(株)ナンチク
(株)JA食肉かごしま南薩工場
(株)いわちく
(株)熊本畜産流通センター
(株)大分県畜産公社
(株)北海道畜産公社十勝工
場十勝総合食肉流通センター(第3工場)
稼働中(13施設)
令和元年10月時点
対EU施設
(株)ミヤチク 都農工場
サンキョーミート
ナンチク
JA食肉かごしま(南薩)
ミヤチク(都農)
ミヤチク(高崎)
和牛マスター食肉センター(兵庫県姫路市)
京都市中央卸売市場第二市場
飛騨食肉センター群馬県食肉卸売市場
栃木県畜産公社
熊本畜産流通センター
大分県畜産公社
阿久根食肉流通センター
北海道畜産公社(十勝)
いわちく
(宮崎県)
(宮崎県)
(鹿児島県)
(株)ナンチク(鹿児島県)
飛騨食肉センター
(株)群馬県食肉卸売市場
(株)阿久根食肉流通センター
サンキョーミート(株)
稼働中(7施設)
(岐阜県)
(鹿児島県)
(鹿児島県)
(株)ミヤチク 都農工場
和牛マスター食肉センター(兵庫県)
(株)栃木県畜産公社
整備中申請準備中
京都市中央卸売市場第二市場
和牛マスター食肉センター
飛騨食肉センター
(株)群馬県食肉卸売市場
(株)阿久根食肉流通センター
サンキョーミート(株)
(岐阜県)
(鹿児島県)
(鹿児島県)
申請準備中
京都市中央卸売市場第二市場
(株)栃木県畜産公社
整備中
(宮崎県)
33
7.牛肉(和牛)の輸出動向について②
検疫協議の進展により、輸出可能国・地域は32カ国・地域。 輸出可能国の拡大にスピード感をもって取り組むため、農水省に輸出促進を担う司令塔組織を創設すべく、臨時
国会に関連法案を提出。 高級部位であるロインの輸出割合が多いが、更なる輸出拡大を図るためには、多様な部位の販売促進が重要
輸出国・地域別の施設認定状況 多様な部位の販売促進
ロイン
196トン
(31%)
肩、うで、もも
240トン、(38%)
ばら、99トン
(16%)
その他、93トン
(15%)
ロイン
315トン
(75%)
肩、うで、もも
62トン(15%)
ばら、10トン
(2%)
その他、34トン、(8%)
2018年台湾向け628トン
2018年米国向け421トン
資料:財務省「貿易統計」
1頭分の牛部分肉のうち、ロインは14%程度
ロイン
HACCPシステムの構築
施設の整備・改修
従業員の教育
認定要綱を満たすか確認
施設認定の迅速化
○ 輸出施設認定の早期取得が可能となるよう、施設整備又は申請の検討段階から、農林水産省主催で、厚生労働省(本省、地方局)、都道府県等(本庁、食肉衛生検査所)、事業者が、施設整備、衛生管理、人材育成等について協議(5者協議)
台湾、米国における部位別輸出量(2018年)
米国
カナダ゙
香港
NZ
オーストラリア
アルゼンチン
ウルグアイ
EU
シンガポール
メキシコ
フィリピン
ブラジル
台湾
インドネシア
マレーシア
UAE
カタール
バーレーン
マカオ
タイ
ミャンマー
ロシア等
ベトナム
施設数
13 10 13 13 10 4 3 7 14 7 9 3 29 2 2 4 5 5 67 70 50 4 65
(2019年10月現在)出典:厚生労働省HP
34
7.牛肉(和牛)の輸出動向について③
枠数量
日米貿易協定では、米国向けの牛肉について、現行の日本枠200トンと64,805トンの複数国枠を合わせた、65,005トンの複数国枠へのアクセスを確保。
35
7.牛肉(和牛)の輸出動向について④
和牛は、我が国及び我が国の畜産関係者とって貴重な財産。和牛肉は、ブランド価値が国内外から高く評価
されており、輸出を始め我が国畜産業の更なる発展に貢献する戦略品目。
和牛遺伝資源の海外への不正な持出しが判明したことを受け(平成30年6月)、流通管理の徹底等が求めら
れていることを踏まえ、農林水産省では、「和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会」を設置し、令和元年
7月に中間とりまとめを公表。
〇 精液・受精卵の生産、流通、在庫状況を把握す
る仕組みの検討
〇 家畜人工授精所を介さない流通を排除する仕組
みの検討
〇 不正行為に対する抑止力(罰則等)の強化
〇 知的財産の観点からの契約による保護
等
和牛遺伝資源の流通管理等の主要な課題 中間とりまとめの方向性
〇 不正流出が起きてもトレースできない
・受精卵の生産量等を把握する仕組みがない
・精液の流通・利用段階での把握が県ごとにバラバラ
・精液・受精卵ともに流通・在庫状況の把握が可能
となる仕組みがない
〇 知的財産的な価値を契約で保護する意識が希薄
〇 海外での評価も高く不正流出のインセンティブ大
検討会による中間とりまとめ等を踏まえ、既存制度の運用による対応等、実施できるものから速やかに実施し、
法制上の措置の検討も進めているところ。
(※)
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8.和牛遺伝資源に関する課題
要点のまとめ
国内の食肉消費が増加する一方、アフリカ豚コレラの発生に伴う中国の輸入増加等により安定的に輸入が出来なくなるおそれ。
世界の牛肉マーケットの拡大に加え、今回の日米合意により対米輸出枠が大幅に増加するなど輸出に「追い風」。
国民に対し将来にわたって食肉を安定供給するとともに、更なる輸出拡大を実現するためには、以下の取組による国内の生産基盤の強化が必要不可欠。
繁殖基盤の強化 繁殖雌牛・乳用雌牛の増頭、性判別精液・受精卵の更なる活用による肉用牛生産の拡大。
経営の体質強化、生産性向上 畜産クラスター事業など既存施策の推進、発情発見装置や分娩監視装置等の新技術の活用、
国産飼料の確保。
後継者不足対策 後継者不在の家族経営の資源(家畜、施設等)を地域に円滑に継承できる環境の整備。
生産・流通の一体的取組の推進 畜産農家・食肉処理施設・食肉流通業者が連携した食肉処理施設の再編整備。
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