小児の在宅人工呼吸器の管理方法と留意点 (入浴場面を通して学...
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小児の在宅人工呼吸器の管理方法と留意点(入浴場面を通して学ぶ)
小児医療在宅ケア実技研修会12月7日(金)18:00-20:00
神奈川県立こども医療センター
5階西病棟看護科看護師 岡部卓也
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本日の内容
病棟で実際に行われている人工呼吸器の管理
(人工呼吸器装着方法、入浴方法、移動、体位交換等)
呼吸器装着時の入浴前後の一連の流れと留意点
排痰補助装置(カフアシスト)を使用した看護
※写真はご家族の同意を得て本研修のみで使用します
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病棟で実際に行われている人工呼吸器の管理
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病棟で実際に行われている人工呼吸器の管理
勤務交代時にはチェックリストに沿って設定等をダブルチェック
呼吸器の回路や加温加湿器の動作確認
酸素量及び酸素投与ルートの確認
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呼吸器装着中のこどもの入浴前中後の看護
1. 入浴によって得られるものは何か
2. 安全に配慮し、こどもの変化を観察して入浴可能かを判断
3. 浴室での転倒やストレッチャー等からの転落に注意
4. 気管切開孔への水の流入を防ぐ
5. 入浴前に湯温をチェックする
6. プライバシーや不安に配慮する
7. 全身を見ることができるチャンス
8. 入浴後のケア
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入浴前の手順
設定確認
動線確認吸引 脱衣 移動・移乗
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入浴中の手順
回路接続
加圧ケア 湯上り準備 移動・移乗
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入浴後の手順
回路接続
加圧
モニター
装着吸引 入浴後ケア
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1. 入浴によって得られるものは何か
2. 安全に配慮しこどもの変化を観察して入浴可能かを判断
3. 浴室での転倒やストレッチャー等からの転落に注意
4. 気管切開孔への水の流入を防ぐ
5. 入浴前に湯温をチェックする
6. プライバシーや不安に配慮
7. 全身を看ることができるチャンス
8. 入浴後のケア
呼吸器装着中のこどもの入浴前中後の看護
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入浴によって得られるもの
予測される事態を想定して、気管切開、人工呼吸器管理中であっても安心して入浴ができる
緊張の緩和や不快感の除去、血行促進、リラクゼーション、全身の皮膚状態を観察
お風呂を楽しむ
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安全に配慮しこどもの変化を観察して入浴可能かを判断
現在の全身状態は入浴可能であるか(前日・夜間の様子・当日の予定など)
必要な人員と環境が整えられているか
(スタッフの確保・家族の協力など)
他患者のケアとの調整
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浴室での転倒やストレッチャー等からの転落に注意
濡れた浴室の床は非常に滑りやすい
点滴ルートや回路、その他の付属物に配慮する(CV・ST・ED・気管カニューレなど)
体動がある場合はストレッチャーの柵に注意
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気管切開孔への水の流入を防ぐ
気管切開孔周囲にタオルで土手をつくる
シャワーや湯をかける時には要注意
顔色・呼吸を常にチェックすること
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入浴前に湯温をチェックする
適温であるか必ず湯に触れて確認をする
浴室・脱衣所の室温も必ず確認
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プライバシーや不安に配慮する
病室の場合は最小限の露出とする
パーテーション・カーテンを利用して空間を仕切る
こどもに声をかけながら介助する
確実にホールディングできるポジション
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全身を看ることができるチャンス
全身皮膚の状態を観察
褥瘡や骨折所見はないか
安楽な入浴体勢であるか
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入浴後のケア
カニューレホルダ―やバンド・Yガーゼを交換
浴室の蒸気や体位交換による喀痰を排除する
入浴前後での呼吸と循環の変化を確認する
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病棟での排痰補助装置使用方法
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病棟での排痰補助装置使用方法
カフアシストは、非侵襲的に排痰の補助を行うことで、気道内吸引による気道への負担を軽減させます。また、排痰がしっかり行えるので、感染による肺炎などの肺合併症の予防につながります。
原理は、気道に陽圧をかけて肺に空気をたくさん入れた後に、陰圧で吸引するように息を吐き出させることで、咳の介助をして、気道内分泌物を除去するのを助けます。
http://www.geocities.jp/yasu1nakae/byouki/kahusetu.htm
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病棟での排痰補助装置使用方法
カフアシスト器械本体
本人用回路・呼吸ホース・エアフィルタ・フェイスマスク・マスクアダプタ
院内:排痰援助 看護基準
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目的
陽圧をかけて空気を送り込むことにより深呼吸を作り、身体外からの圧力で肺胞を広げ、胸郭を拡張させることで無気肺を予防する。さらに強い陽圧をかけることにより、気道閉塞の要因となっている分泌物の移動・除去で肺炎や無気肺を改善する気管自体が細く狭まっている場合、気管を広くさせる胸郭・肺の柔らかさ、肺の膨らみやすさ(コンプライアンス)を改善する
院内:排痰援助 看護基準
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導入方法
患者や家族に必要性や方法を説明して同意を得る
機器の音や送気されていないマスクに慣れるように実際に見てもらう
電源を入れ、陽圧/陰圧の送気に慣れるよう胸や手で圧の強さを体感してもらう
院内:排痰援助 看護基準
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実施方法
1. カフアシスト本体の電源コードをコンセントに接続する2. 本人用回路をカフアシスト本体に接続する3. 電源スイッチを入れ、陽圧/陰圧の設定圧、陽圧時間/陰圧時間/休止時間が医師の指示通りであることを確認
4. マスクを押し当てたりした時に頭部や姿勢が崩れないように環境を整える
5. 医師の指示のもと弱い圧から器械に呼吸が同調するように開始する
院内:排痰援助 看護基準
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実施方法
6. マスクを当てる人、呼気介助をする人の最低2名で実施する。声を掛けながら、陽圧(吸気)の開始(吸って)のタイミングに合わせてフェイスマスクを口鼻に当てる。マスクをしっかり当てて空気が漏れないようにする
7. 器械の呼気のタイミングに合わせ、声を掛けて咳を促す8. 実施中、分泌物が喀出されたらすぐにマスクを外し拭き取るか吸引する。分泌物が喀出されなかった場合も、過換気を防ぐために1セット毎に休息を入れながら医師の指示の回数×セット数を実施する
9. 呼吸状態、患者の疲労度などを評価しながら実施する院内:排痰援助 看護基準
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注意事項
禁忌:肺に高い圧をかけると気胸の危険があるような肺の障害がある、何らかの気圧外傷になった方、肺気腫、気胸、縦隔気腫、施行中のSpO2値の低下、不整脈、心不全、嘔吐、肺損傷、循環動態が不安定な場合。(禁忌患者においても医師が必要と判断した場合は医師同伴で施行する)
院内:排痰援助 看護基準
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注意事項
1. 口を閉じたり、喉を絞めたりしていないか、胃腹部膨満、胸痛などがないかを注意する
2. 設定が高いと肺損傷を起こす危険がある3. 空気のみの使用のため、常時酸素が必要な児はSpO2値が低下しやすい
4. 肺・胸郭の柔らかさや膨らみやすさ(コンプライアンス)が低い児に使用すると、陰圧時に気道閉塞や肺胞虚脱のリスクがある
5. 胃食道逆流がある場合は嘔吐を誘発してしまうことがあるため、注入直後の使用を避ける
院内:排痰援助 看護基準