「中 民 い 中 は 直 変 ス 主 マ 日 東 主 の 東 無 一 す 化 ラ に...

18
43 第148 4 ( ) - - 。(1) 、(2) 。(3) 。(4) ( ) 。(5)

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43

日本国際政治学会編

『国際政治』第148号

「国際政治研究

の先端

4」

(二○〇七年三月)

中東諸国における非民主体制の持続要因

-レンティア国家論

の計量分析-

比較政治学

にと

っての

「中東地域の民主化問題」

は悩まし

いテー

マであ

る。わが国

の学界

においてこのテー

マに貢献

してき

のは、

に地域政治研究者

であ

った。彼

らの主要な貢献は、民主主義とイ

ラー

ムと

いう

二項対立を排

し、「地域内

に育ち

つつあ

る重要な

変化

の芽」を見据え

て、

「両者の

「関係を多元的関係

のなか

に配置し

直す」

いう

文言

の中に現れて

いる。(1)

一方

、比較政治学

の民主化研究

にお

いて、中東やイ

スラー

ム世界

は無視

されるか避けられる存在

であ

った、と

っても過言ではな

い。

東諸国

「民主主

の発

展を

いか

にし

て成

し遂げ

るべき

ではな

いのかを明確

に指

し示す実例」

であり、(2)

一九九〇年半ばまで

の比較

民主

化研究

では検

討対象地域と

してほと

んど扱われ

てこなか

った。(3)

「中東

地域

の民主化

」が比較政治学者

にと

って悩

まし

いのは、中東

が民主化

「一般理論」にと

っての例外地帯であり、地域研究者

に対

てイ

ンプリケーシ

ョンを提

示できな

いと同時

に、彼らによ

って発

掘された知見が

「一般理論」

ブイードバ

ックされているとは言え

いからではな

いだろう

か。

こで筆者が

「一般理論」と

て念頭

に置

いて

いる

のは民主化

「第三

の波

」以降、そ

の理論

的影響力を取り戻した

「リプ

ツト

テーゼ」である。(4)

リプ

ツトおよび

リプセ

ツト以後

の近代化論者

精力

的に政治体制と経済発展

の問題

に取り組んだ。彼ら

の議論

の中

で興味深

い論点

のひと

つが、経済発展のある段階を超えれば政治体

が変動し、民主制

へ移行する確率

が高ま

「閾値」の存在であ

る。

プシ

ェヴォスキと

リモンギは

一人当たり実質国民所得四、

一一五ド

(一九

八五年価格)を

「虫値」に設定した。(5)

湾岸産油国を除くと

この

「虫値」

に達した中東諸国は存在しな

い。しかしウォーターベ

リーは近代化論を敷衍

して、中東

の人々の過半数が都市在住

者で、

44

男性

の過半数が読み書き可能であり、なおか

つ幾

つかの国で全人

に占

める大学生

の割合が

ヨー

ロツパ

の水準

に近

いこと

を指

摘した。

そして、

いわ

ゆる中間層に分類できる職業

に就

く人々が急激

に増加

ているにもかかわらず、こ

の上昇し

つづける社会経済的指標が未

つき

りとした

「民主主義

の報酬」を得

いな

い、と主張した。(6)

このよう

にフィリピ

ンやブラジルと

はさほど違

わな

い水準

の社会的

発展を享受

ている

にもかかわ

らず

、「民主化

の波」

に乗

れなか

ことが、「中東例外論」を生

み出す土壌とな

った。

中東諸国を民主化

の例外地帯

にした、

つまり

この地域

の非民主体

の存続に貢献した要因を化石燃料資源

の存在

に求め

る説が

「レン

ティア国家論」である。この説

マフダヴ

ィーによ

るパ

ハレヴ

イー

朝イ

ランの経

済構造分析を嚆矢とし、(7)

ベブ

ラウィと

ルキ

アー

二が湾

岸諸国

の政治

経済体制を記述

・分析した

こと

によ

って注目されるよ

うにな

った。(8)

「レンティア国家」は以下

の特

徴をも

つ。政府

の財

は国内

の経済活動と

ほとんど関係がなく、原油

の輸出収入をレ

ント

の主要

要素とす

るレンティア国家

にお

いては、そ

の収入

の大半を輸

出によ

って獲得す

る。

この収入が莫大なため、政府は税によらな

財政基盤を獲得す

ることが可能

であり、こ

の富を国民に配分するこ

によ

って正統性を得ることができる。(9)

国連開発計画が発行した

『アラブ人間開発報告二〇○四』

は、原

レントが中東政治経済を支配して

いる状況を次

のよう

に描

いてい

る。

「レンテ

ィア生産様式は権威主義

的ガ

バナンスを

支持す

るよう

な経済的基礎を生み出すか、少

なくとも良

い統治

(グ

ツド

・ガ

バナ

ンス)

の基礎、特に代表制と問責性

(アカウンタビ

リティ)に関す

る部分を生

み出すことは

できな

い。

(中略)原油

レント

の直接的利

益は湾岸諸国にとどまらない。他のアラブ諸国

にお

いても、原油を

公的歳入

の主要な源泉とする国が増え

ている。原油

レントは非産油

アラブ諸国にも、政府間

の資金援助

や産油

国で働く労働者

の送金と

いう形で流入して

いる。」

(10)原油レ

ントが中東諸

国の非民主体制を持続

させ

る要因だとする説(11)

は、そ

の重要性

を強調す

る程度に差はあるも

のの多く

の研究者

に受

け入れられてきた。リサ

・アンダーソンは

「レンティア国家

の概念

は中東地域研究

から政治学に対す

る主要な貢献

のひと

つ」だと評価

する。(12)

しかしながら、ルキ

アー

二は

レンティア国家論の主唱者

のひ

とり

でありな

がら、

つぎ

のような注意を喚起した。「われわれはす

てのアラブ諸

国をレ

ンティア国家とし

て描

こう

とする誘惑

に抵

抗しなければ

ならな

い。

つまり

、す

べてのアラブ諸国はレンティア

国家

ではな

い。原油

レントが政府収入

の主要な

(継続して多くを占

める)源泉とな

っているのは数

ヶ国に過ぎな

いことを示し

ている。」(13)

政府

間の資金援助は

その政治性

ゆえにレント

の源泉

として当

てには

できず

、労働者

の送金

や多額

の民間投資

は政府に直接入

るわけでは

「民間

レント」

である。ただし

「民間

レント」も政府

のレント

シーキング行動を作り出すと

いう意味にお

いて、中東政治経済にお

る支配的要因だと

いうことは

できる。(14)

45  中東諸国における非民主体制の持続要因

稿

の研究

の課

題は、中東地域

が近代

化論

の適

「例外

地帯

」と

って

いる理由を

、地域経済における

レント

の大きさに求めるも

であ

る。このためには中東地域と他

の地域と

の政治経済的差

異を比

較分析

によ

って際立たせ

る必要がある。よ

って実証分析

の方法

とし

て長期的

つグ

ローバルな規模

の観察を行

いう

る大

量調査

型研究法

(

)を採用した。

ェヴ

ォスキら

の研究は

量調査型研

究法を用

いて政治体制

と経済成

長と

の関係を明

らかにしようとし

た金

字塔的業績

であ

る。(15)

しかし彼ら

の研究対象からは湾岸産油国が除外

されており

、本稿

関心

に直接関係す

る知見をここから得

ること

はでき

い。

マイケ

・ロスの研究は大量調査

型研究法を

いて

「レンティア

国家論」

の実証を行

った初

めて

の業績であり、(16)

「中東

例外論」

の卓

越した議論とし

てしばしば引用される。(17)

ロスはプ

ェヴォスキら

研究や経済成長論

に基づいて政治体制と

の関連を考察

した

バローの

研究を

「民主主義

の大量調査型研究

から中東諸国を排除」し、(18)

「地域研究と他

の政治学

の諸分野と

の間

にあ

るギ

ツプを大き

」し

「地域研究者によ

って展開された洞察を主流

の政治学から

剥奪

する」も

のだと批

判した。(19)

しかしながら、

ロスの研究

には重大な方法上

の欠陥が見受

けられ

る。第

一に、

ロスは帰納的

に観察された因果関係に基づく、経験的

モデル構築を行

っている。彼

の研究

では

「レンティア効果」と治

組織

によ

「抑

圧効果」が民主化

に負

の影響を与え

ており

、「近

代化効

果」

が民主化

に正

の影響を与えると

いう

モデルを提示してい

る。

これは演繹的

に導出

された

モデ

ルではなく、論理的推論に従

たも

のであ

る。そ

のうえ三

つの効果

の相互関係も

モデル化されてい

い。

さら

にロスのモデルは体制変動を促す環境な

いし前提条件を

洞察す

るアプ

ローチである。近年

の体制移行研究

の中には、相互作

用す

る政治

アクタ

ーの選択に焦

点をあ

てる

アプローチ採るも

のも多

くな

っているが、彼は政治

アクターを考慮

の対象

に含めていな

い。

二の方法上

の欠陥は、統

計的実

証分析

の手法とし

一般化最小

二乗法

(

)を用いていることであ

る。

スは従属変数に

の政体

データを用

いて

いるが、これはカテ

ゴリ

・データ

であり、パラメトリ

ツクな分析手法を当てはめること

が適切かどうかに疑念

がある。また大量調査型研究では異時点間の

変動に研究上

の関心が向

けられることが多く、こ

の場合しばしばダ

イナ

ミツク

・モデル

(一期前

の従属変数を説明変数

に組み込むモデ

ル)か、生存

分析

モデルが用

いられ

る。

ロスの計量

モデルは五期前

の従属変数を

ラグオペレータとし

ているが、パネルデータ分析

の方

として

一般的と

は言えな

い。(20)

以上の理由

から、本稿

では経済成長やレントとい

った変数

が政治

アクター

の選択

に影響を

与え

て政治体制

が変動あ

るいは持続する、

いうプ

ツト

に沿

って演繹的にモデルを導

出す

る。この目的

のた

めにボイ

ュと

スト

ークスの研究で展開されている数理モデルを援(21)

し、これを拡張し

「レント

の非民主体制持続効果」を理論化す

46

る。実

証分析

の手続きとし

ては従属変数となる政治体制を

二値

の質

的変数とし、(22)

推定方法

にプ

ェヴ

ォスキが開発したダイ

ナミ

ツク

ロビ

ット

モデル

(

)を用

いる

のが適切だと

思われる。(23)

ュ=

スト

・モデ

レン

の影

オリジナ

ルのボイ

ュ=ストーク

・モデルは現状

「民主制」

であ

るケースと、現状が

「独裁制

」であ

るケースの二種類

のゲー

から成

り立

って

いる。本稿

の関心

は非民主体制

の持続要因

ので、

「独裁制

」が持

続するか民主化す

るかを検討す

るゲームだけをとり

あげる。

「独裁制」

の支配者集

団F1は政治体制を

「民主化」するか、そ

れとも

「独裁制を維持

」するか

の選択を迫

られ

ているも

のとす

る。

「民主化」を選択

すれば自然状態

の下で選挙が行われ、確率

eでF

1が勝利する。さもなければ敵対す

る集団

であ

るF2が勝利するこ

とになろう

F1が

「独裁制

の維持」を選択すると、

F2に二つの選択肢が与

られ

る。

一方は

「独裁制

の維持」を

「受

け入れ」る選択

であり

もう

一方

「独裁制」と

「闘争

」す

る選択

である。F2が

「独裁制

に立ち向

った場合、自然状態

の下

で紛争となり、確率

rでF1が

勝利す

る。

このゲー

ムを樹形図で表し、利得関数を書き

入れたも

が次

の図

1である。

左側

がF1の、右側がF2

の利得

関数

である。F1が民主化を選

図1Boix-Stokesモ デ ル

注:Boix & Stokes(2003)p.547.

47  中東諸国における非民主体制の持続要因

で選挙

にな

った場合、勝利した方

が国民所得

Yのより大き

い部分

(s)を政策

的に統制する

こと

が可能

であり、敗北

した側はより少

い部分

(

)しか統制

できな

い。

F1が

「独裁制」の維持を選んだ場合、F2が

「受け入れ」ると、

F1は全

ての国民所得を統制し続け

ること

になり、

F2の利得はゼ

ロになる。F2が

「闘争」を

選ぶと、利得

関数

に闘争

のコスト

(W)

が入る

こと

になる。闘争

に勝利した側

が全

のYを統制

できるが、

ここから闘争

コストが控除

され

る。

のゲー

ムは

「逆向き帰納法

(

)」

で解くこ

ができる。F2が

「独裁制」を

「受け入れ」

るか、それとも

「闘

争」

を選ぶか

の選択

は、

下記

の不等式から判別

でき

る。

しこ

の不等式

が満

たされなければ、

F2は常

「闘争」を選択す

るだ

ろう。も

し不等式

が成

り立

つならば

、F2は常

「受け入れ」

を選

ぶに違

いな

い。不等式

が成り立

つ場合、F2は常

「受け入れ」

るので、F1が

「民主化」を選ぶことはありえな

い。

の不等式

が満たされず

に、

F2が

「闘争」を選択するであ

ろう

F1が予測している時、次

の不等式が満たされればF1は

「民主

化」を選択す

るだ

ろう。

民主化

に対する経済発展

の効果を分析するためには、上

の不等式で

Yを含む関数

uの

一階条件

を導

けばよい。ボイシ

ュ=スト

ーク

モデルでは解析

に不等

式を解

くため

と仮定

して

いる。

式を整理すると

となる。ここでYがレント部分

(Yn)と非

レント部分

(Yn)

で構成

されて

いるとするならば

とすること

ができ

る。なお

aで表された

(Yr)の指数部分は、レン

トの存在

が支配者集団

に及ぼす

「レ

ントシーキ

ング誘発効果」

であ

(

であり、

aが

ロに近くな

るほど

レント

シーキ

グによる悪影

響が大きくなる)。上

の不等式

のYに

(nY)を代入す

ると、経済発展

の効果に対するレ

ントの影響を分析すること

ができ

る。上

の不等式が示す状況はF2が

「闘争」を選択すると予測した

F1の効用関数

であるため、政治変動は避けられな

い。支配者集団

「民主化」を選択しても

、「独裁制

の維持」-

「闘争」とな

った場

でも、

F1が支配できる国民所得

から

レント部分が控除されて

る。

つまり、Yraは支配者集団が現状を維持

できる限りにおいて得ら

るレント

・プ

レミ

アムであ

る。したが

って政治変動が生

じれば

レント部分が政府

の統制

下から逃避することを示唆している。

48

の図2は民主

化に対

する経済

発展

の効果と

レント

の影響を分析

したグ

ラフである。視覚

のために不等式

の左辺を

F1の効用関数

Uとし

て縦軸に置

いて

いる。横軸

は国民所得

(Y)

である。また紛

コスト

(W)を

五○、選挙

の勝利者

が得ら

れるYの割合

(s)を

・六、選挙におけるF1の勝

利確率

(e)を○

・四、紛争におけ

るF1

の勝利確率

(r)を

・六、そして国民所得

に占めるレ

ント

の割合

(Yr)を○

・三五、

レント

シーキ

ング誘発効果

(a)を○

二五としてシミ

ュレート

した。

通常

の経済発展

の効果

は右上

がり

のグラフを描

いており、経済が

発展すればす

るほど、民主化す

ることが

「独裁制」

の支配者集

団に

って好ま

しい選択

にな

ることがわか

る。横軸にと

った経済水準

間隔が均等

ではな

いため、

グラフが

ランダ

ムな動きを示して

いるよ

に見え

るが、実際

には漸増す

るゆるやかなカーブを描

いて

いる。

に、政治変動

に対する

レント

の影響を考察した

い。レントシー

キング誘発効果

(a)を

(つま

り誘発効果はゼ

ロ)とおくと、通常

の経済発展効果を表すグ

ラフを右に

シフトさせた形になる。実際

は支配者集団

のレントシーキ

ング行動が誘発されるので、図

のよう

に単

なるシ

フトとはならな

い。これらを併

せて

「レンティ

ア効果」

と呼

ぶことにする。

一般的にレ

ントが国民所得

に占

める割合

が大き

いほど、グ

ラフの歪みが大きくなる。言

い換え

ると、原油

や鉱物資

源そ

の他

のレントが恵みをもたらした経済

の民主化

におよぼす影響

は、

レントなしに発展した同程度

の経済

よりも小

さいことを意味す

る。

つまりレ

ンティア国家

の国民所

得が高

い水準

にあ

っても、政治

図2民 主化 に対す る経済発展 とレン トの影響

49  中東諸国における非民主体制の持続要因

動リ

スク

に直面した支

配者集

団の効

用はレント

・プ

レミアムの喪

失によ

って割り引かれてしまう

ため、彼

らが

「民主化」を選択しな

いよう

なイ

ンセ

ンティブが生じて

いる。(24)

の手

き-

ア効

果-

経済

発展およびレンティァ効果

が、政治変動

に及ぼす影響を測定

る統

計的手法と

して、本稿

ではダイナミ

ツク

・プ

ロビ

ツト分析

採用

した。ダイナミ

ツク

・プ

ロビ

ツト分析

は政治体制

の変動率、

まり民主制

への移行確率お

よび非民主体制

への退行確率に、独立変

が及ぼす影響を測定

でき

る点

で優れ

ている。(25)

この分析手法

の特徴は、

一期前

の従属変数を説明変数に組

み込

だ動態構造を持

っていること

であり、異時点間

の変動を表

現するの

に適

した手法だと

いえよう。(26)

ェヴォスキら

の研究は、経済成長と政治体制

の大量

調査型研

究とし

て代表的な業績と目され

ており、わが国でも紹介

されるよう

にな

っているも

のの、ダイナ

ミツク

・プ

ロビ

ツト分析

の有効性

いて言及され

ることはほとんどな

い。よ

って、この分析手法を取り

入れた

ことは本稿

の特徴でもある。

分析

に使用したデータセ

ツトは

一九六〇年

から

一九九九年ま

での

世界

一七

○力国を

カバーした

パネ

ルデータ

であ

り、さまざま

統計

ソー

スから構成されて

いる。従

属変数

である政治体制変数はプ

ォスキら

の手続きに従

ってアーサー

・バ

ンクスのデータから作成

。(27)

独立

変数

であ

る経済発

展水準

はサ

マーズ

ヘスト

ンが編纂

した

データ

「一人当たり実質

国民所得

(一九九六年国際価格基準、単

一千

ドル)」を利用した。(28)

経済成長率も

「一人当たり実質

国民所

得」から作成し

ている。原油

(天然ガ

スを含む)および天然資源輸

の国民経済に占

める割合

や、海外送金、開発援助と

いったレ

ント

変数は世界銀行

『世界開発指標』

二〇○三年度版より作成した。(29)

統制変

数とし

ては、国民

エス

ニシティ構成と宗教構

成を含め

た。

エス

ニック亀裂

変数は

ラポ

ルタらが各

国ごとに作

成した指標

を利用し、宗教

亀裂変数

は同じく

ラポ

ルタら

の作成した各国人口に占めるカトリ

ク、プ

ロテスタント、

ムスリ

ム比率データを

ハーフィンダール指数

して用

いた。(30)

お独立変数と統制変数

の構成は、基本的にプ

ェヴ

ォスキらに

依拠し

ているが、予備的な分析

を繰り返して安定的な結果が得られ

たも

のだけを取捨選択した。

マク

ロ経済

と政

の動

-パネルデータの概観-

実証分析を行う前

に、パネ

ルデータが示す経済成長と政治体制と

の関連を概観しておこう。表

1の左側

のパネ

ルは、経済水準ごと

分割した非民主体制と民主制

のケ

ースであ

る。経済水準が高くな

ほど非民主体制の占

める割合は減

っていき、民主制

の割合が大きく

って

いくこと

がわか

る。

50

表1経 済水準と政治体制

注:石 油 レン トが欠損値 のケースがあるので、合計 と非民主体 制 とのケース数は一致 しない

1の右側

のパネ

ルは、非民主体制

に占

めるレンテイア体制

の割

合を示して

いる。ここでは、国民所得

のうち原油

の輸出が寄与して

いる割合が二〇%を超え

るケースを

レンティア体制と定義した。

人当たり実質

国民所得

が四千ドル以下

の非民主体制で、国民経済に

占める原油

の割合が大き

いケースはわずかである。

一方

一万ドル

を超え

る非民主体制

の六六%以上が

レンティア体制であ

る。図3は

経済水準

ごと

に表した全

ての政治体制に占める民主制

の割合と、非

民主体制

に占め

るレ

ンティア体制

の割合を

グラ

フにしたも

のであ

り、経済成長と政治体制

のトレンドを

つかむことができる。

に経済発展が政治体制の変動率に及ぼした影響

について概観

い。表

2は経済水準ごとに分割した政治変動の件数

(非民主体制

から民主化した件数、民主制から非民主体制に退行した件数)と政

治体制

ののべ件数から変動率を求めたも

のである。図

4は民主制

の移行確率と非民主体制

への退行確率を表したも

のであり、これか

ら次

のことが明らかになる。

一に非民主体制

への退行確率は経済発展ととも

に急激に低

下し

ていく。

一人当たり実質

国民所得が四千ド

ルから八千ドルの間

では

変化しな

いも

のの、八千ドルを超え

るとさらに低下し

ていき、

一万

ル以上になると民主制

から非民主体制

へ退行

したケースはひと

もな

い。

二に非民主体制

が民主主義に移行する確率は、

一人当

たり実質

国民所得が四千ドルを超え

ると急激

に増加し、八千ド

ルから

一万ド

ルの水準でピ

ークを

迎え

る。国民所得が

一万ド

ルを超え

てようやく

51  中東諸国における非民主体制の持続要因

表2政 治体制の変動

図3経 済水準 と民主制お よびレンテ ィア体 制の割合

注:民 主制の割合は(民 主制/全 政治体制)レ ンティア体制の割合は(レ ンティア/非 民主体制)

図4経 済水準と移行確率

52

移行したケースはひと

つしかな

いので、表

2に示された移行確

率は

小さくなる。

で民主

移行

の閾値

を仮

に六

ルと

てみよう。(31)

ュ=ストークス

・モデルにお

いて、六千ドルの経済水

準を達成

た政治体制と

同じ効用を

レンティア国家が得るには、

一人当

たり

民所得を

二万

六千

ドルにま

で成長させなければならな

い。サウジア

ラビ

ア、

クウ

ェート、

ハレー

ン、カタール、オ

マーンと

いった中

の湾岸産油国

一人当たり国民所得

一万ドルから二万ドルの間

にあ

るが、

レンティア効果

のために民主制

への移行確率

は低

いまま

のだと推論

できる。(32)

原油

レント

の国民所得に占める割合

が意外と高

いのがシリアであ

る。

シリ

アの原油

レント

の割合は

一九九

六年

で二

一%であり、

レン

ティア体制

とし

て分類

でき

る。

エジプト

の場合は

一九九

○年

以降、

原油

レント

の割合が五~

一五%で推移し

ており、

レンティア体制

はな

いも

のの国民経済に占

めるウ

ェイト

は小さくな

い。イ

ランも既

にレンテ

ィア体制から脱

しては

いるも

のの原油

レント

の割合は

一九

九七年で

一六%を示して

いる。ただし、

この三

力国

の経済水準は先

の閾値

には達

して

いな

い。(33)

パネ

ルデータの概観

からわかること

は次

の三点にまと

められる。

(1)経済水準

が高くな

ると非民主体制

の割合が減少する。

(2)高

い経済水準を達成

している非民主体制

の多

くが

レンティア体制であ

る。

(3)実質国民所得

一万ドルを超え

る政治体

制が政治変動を

経験す

ること

はごくまれ

にしかな

い。それではレ

ンティア効果がも

らしている政治変動

への影響に

ついて実証分析を試みた

い。

分析結果-

経済発展とレンティア効果-

3

(1)から表3

(3)

にはダイ

ナミツク

・プ

ロビ

ツト分析

結果が示され

ている。表3

(1)

[モデ

ル①]は独立変数

に経済

発展水準

と経済

成長率だけを含んだ基準

モデルであ

る。表

3

(!)

[モデ

ル②]から表

3

(3)

[モデル⑤]は、それぞれ原油

ント

(天然

ガスを含む)、鉱物資

源レント、送金

レント、開発援助

レントを独

立変

数とした

レンティア効果を測定する

モデ

ルである。

3

(3)

[モデ

ル⑥]は各

レント変数

の相対的効果を見

るため

の統合

モデ

ルである。

一人当たり実質

国民所得が大きくなるほど、民主制は安定し、非

民主体制

は民主

主義

に移行しやすくなる

([モデル①]から

[モデ

ル⑤])。ただ

し民主化移行を促進する効果は非民主体制

への退行を

阻止する効

果より弱く

、これはプシ

ェヴ

ォスキら

の分析結果と同じ

である。

経済成

長率

は、非民主体制

への退行には影響しな

いが、民主主義

への移行を阻止する効果があ

([モデル①]から

[モデル③])。

まり、経済成長を続け

ている非民主体制は崩壊しな

い。分析

モデル

によ

っては、非民主体制

への退行を阻止す

る効果も統計的

に有意と

った

([モデル④]から

[モデル⑥])。

つまり、高

い経済成長率を

維持

でき

れば、政治体制は安定する。

原油

レント

の存在

は政治体制

の民主化に抵抗する効果がある

([モ

53  中東諸国における非民主体制の持続要因

表3(1)基 本モデル と原油 レン トモデル

*:p<0.1**:p<0.05***:p<0.01

表3(2)鉱 物 レン トモデル と送金 レン トモ デル

*:p<0.1**:p<0.05***:p<0.01

54

表3(3)開 発援 助 レン トモデル と統合 モデル

*:p<0,1**:p<0.05***:p<0.01

デル②]および

[モデル⑥])。この結果は数理

モデル

の推論と

一致する。原油

(天然ガ

スを含む)以外

の鉱

物資

レントは、政治体制

の変動

に影響

しな

([モ

デル③]および

[モデル⑥])。これは

ロスの分析結果

一致しな

い。送金レントは、政治体制

の変動に影

しな

([モデル④]および

[モデル⑥])。開発援助

レントは、

いったん成立した民主制を安定

させ、非民

主体

制を民主化させる効

果がある

([モデ

ル⑤])。な

[モデル⑤]では統制変数とし

て含

めた

「エスニッ

ク亀裂」と

「宗教亀裂」の係数が統計的に有意な値

った。このモデルでは民主制

のケー

スがかなり少な

っていること、そして定数項

の推定値

が棄却され

ること

から、基本

モデルの構造が崩れて

いるのかもし

れな

い。ゆえに

[モデル⑥]から開発援助

レントを除

いた。

ダイナミ

ツク

・プ

ロビ

ット分析

の結果を要約すると

のよう

になる。

(1)経済発展は民主制を安定させ、

民主体制

の民主化を促す。

(2)高

い経済成

長率を

る政治体制は安定する。

(3)原油

ントは非民主

体制

の持続要因であり、開発援助

レントは経済発展と

同じ効果を持

つ。

55  中東諸国における非民主体制の持続要因

と考

本稿

では、

一九

六○年

から

一九九九年ま

での世界

一七○力国

のパ

ルデータを分析

して以

下の結果を得た。経済発展は非民主体制

民主化を促すも

のの

(表3

(1)[モデル①

]から表

3

(3)[モデル

⑤])、原油

レントが非民主体制

の持続要因とな

っている

(表3

(2)

[モデル②]お

よび表

3

(3)

[モデ

ル⑥

])ことが明

らかにな

った。

一方

、高

い経済成長率

は政治体制を安定

させ

(表

3

(1)

[モデル

①]から表

3

(3)[モデル⑥])、開発援助

レントは経済発展と同じ

く民主

化を促進す

ること

(表

3

(3)

[モデル⑤])も

実証された。

したが

って

「レンティア国家論」は原油レントに関して正し

いと言

る。

このよう

に表

3の結果は、原油および天然

ガスとこれらに関連す

レント

の存在が、中東諸国

の非

民主体制を持続

させていると

いう

本稿

の仮説を支持する。

テリー

・リン

・カー

ルは天然資源

レントに依存す

る国家が開発戦

略をなかなか変更

できな

いこと、とり

わけ原油

に依存

している場合

における困難

の大きさを示し、変革

に対す

るレンティア国家

の隘路

を論じた。(34)

本稿

の分析

結果は原油

レント

の政治経済

に対するイ

ンパ

クト

の大きさを際立たせて

いる。

その

一方

で他

の天然資源や送金は

ントとし

ての効果を示さず

、開発援助は逆

の効果が現れた。こ

は安

易な

「レ

ンティア国家」概念

の拡張を

戒め

る主

張と符合

る。

「中東諸

の民主化」と

いう問題設定そのも

のに疑問を呈するオ

ルブレ

ックと

ュルムバーガ

ーの主張は興味深

い。彼らは次

のよう

に主張す

る。民主化

「第

三の波」

に乗り遅れた中東を分析しようと

「一九九

〇年代

の中東政治体制

の研究は初めから誤

った立ち位

にあ

った」と評価

し、

いくら待

っても

一向にや

ってこな

い民主化

を不条理劇

『ゴド

ーを待ちながら』

に喩えた。(35)

一九八○年代から

九○年代

に見られた、経済改革に伴う

一連

の政治的自由化

「権威

主義体制を特徴づけ

ている要素としての

『限定的な多元主義』

に過

ぎず

(

)の古

典的定義

を忘

れた誤りに過ぎな

い」。(36)

彼ら

の言うように

「なぜ中東は民主化

の波

に乗れなか

った

のか」と

いう

問題

ではなく、「なぜ中東

の権威主義体制は

「成功」しているのか」

いう問題設定

のほう

が適

切なのかもしれない。

「レンティア国家論」は中東

の権威主義体制

の成功を説明する最

も有力な説だと思われる。しかしな

がら、これまでの研究

では

「独

裁制」

の支配者集

団が体制選択

リスクを回避

できるメカニズ

ムに

いて、十分な考察を行

ったと

は言

いがた

い。本稿で示した

「レント

シーキ

ング誘発効

果」

によるモデルは

「レンティア国家論」に体制

選択リスク回避

の論

理を与えた。これにより理論と

しての完成度を

めること

に貢献

できたと言えよう。

なお、民主化を促す国際的な要因に

ついては、開発援助

レントを

いて分析

モデルに組

み込むことができなか

った。これは今後

の検

討課題と

した

い。

56

付表 変 数の要約(37)

(1)

正年

・栗

田禎

子編

『イ

スラ

ーム地

の民衆

運動

と民主

化』

京大

学出

版会

二○○四年

頁。

(2)

ハワード

・ウ

ィアー

ルダ

(大木

啓介訳)

『入門

比較政治

学』東

二○

○○年

一八五頁。

(3)

杉泰

「イ

スラー

ム政党

をめぐ

る研究視座

と方法

論的課

題」『ア

・ア

フリ

カ地域研

究』第

一号

(二〇〇

一年

)、二三二-

二三六頁。

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)

(9)

尾昌

「レ

ンティ

ア国家

と湾岸

諸国

「民主

化」」

『現代

の中

』第

三七

(二〇

〇四)、

一-

二二頁。

(10)

(11)

57  中東諸国における非民主体制の持続要因

(12)

(13)

(14)

レントと徴税との関係については論争がある。レンティア国家

論では政府が税に依存しな

い財政基盤を持

つことから、ほとんどゼ

ロか極めて低率の課税しか行わず、いわゆる

「課税なくして代表な

し」が実現されているも

のと論じられてきた。しかしウォーターベ

リーは、

一九七五年から八五年にかけて南米の税率が

一二%であ

たのに対し中東は二五%にのぼることから、開発途上地域

の中で最

も税負担が大き

いと主張した

(

)。本

稿

では徴税と代表制

の議論には踏み込まず、レントが政治

アクター

の選択に及ぼす影響

のモデル化と実証分析に焦点をあ

てる。

(15)

(16)

(17)

(18)

(19

)

(20)

スミスおよび

ハーブ

の研究だと実証分析上の問題だけは回避

る。

(21)

なお合

理的選

モデルを用

いた民主化

理論

では、

が最も包括的である。この研

究では非民主制下の支配者集団が体制選択を迫られた場合、社会

「所得配分

の平等性」と

「民主化運動の弾圧

コスト」と

いう二つの

変数に依存するモデルを提示している。

このモデルをベースに

「レンティア国家論」をモデル

・ビ

ルディ

ングすれば、次

のよう

になろう。富裕層でもある支配者集団は市民

革命を回避するために自らに不利な課税を行

い、再配分政策を通じ

て市民を懐柔しなくてはならな

いリスクを負う。しかしレントがあ

れば課税コストを負担することなく、再分配を行うことで支配者と

市民と

の間の所得格差を小さくできるだろう。

アセモグルとロビンソンは体制変動のき

っかけを経済危機や戦争

など政治的、経済的、社会的ショックに求めており、特定の前提条

件を置

いていな

い。このことは

「民主化移行が経済発展の水準に依

存するわけではない」と主張するプシ

ェヴォスキらの研究と

一致し

ている。しかしながら、拙稿でアセモグル=ロビ

ンソンのモデルを

採用しなか

ったのは、湾岸産油国

の所得配分の平等性に関して信頼

できるデータが得られず、実証分析の面で障害があ

ったためである。

(22)

体制

非民

体制

(独

)に

分類

58

意義

と詳細

な手

続き

に関

ては、

を参

のこと。

(23)

を参照のこと。

(24)

レント

・プレミアムによる支配者集団のインセンティブの具体

的な例としては、次のようなも

のが考えられる。レント部分が流動

のある外国資本ならば政治リスクの発生で容易に逃避すると考え

られるし、固定資産であれば紛争

で破壊される可能性もある。もし

民主化が軟着陸しても、国際金融機関から国営石油企業の民営化を

迫られるかもしれな

い。いずれにせよ、レント部分は政治変動に

って支配者集団

の手から失われる恐れがあるので、レント

・プレ

ミアムが大き

いほど支配者集団は政治リスクを回避しようとするだ

ろう。

(25)

ダイナミ

ツク

・プ

ロビ

ット分析の計量経済学的説明

参照

のこと。

(26)

北村行

『パネ

ルデー

タ分析』

波書

店、二

O五

、八

五頁。

(27)

(28)

二○

〇四年

一二月

一五日

アク

ス。

(29)

(30)

(31)

では

四、

一五ド

ルとな

って

るが、

これ

は実質

国民

所得

の基

準年

一九

八五年だ

から

である。本

稿

は厳密

な閾値

を求

めな

いが、基準

の違

いから

おおよ

の水準

六千

ルと

した

(32)

一九

九六年

時点

で、サ

ウジ

アラビ

一三、O

三Oド

ル、ク

ェー

一九、九

九〇

ル、バ

ハレー

一三、四八○ド

ル、カタ

ール

一九、

八四三

(一九九

四年)、オ

マーン

一、二五

〇ド

ル。

原油

レント

が国民所

に占め

る割合

は、

サウジ

アラビ

ア三六

%、

ェート

○%

、バ

ハレー

ン五九

%、

カタ

ル三四

%

(一九

四年)、

マー

ン三八

%

(一九九

四年)

であ

る。

(33)

シリ

ア三、九

一ド

ル(一九九

六年)、

エジプ

ト三、

六九九

(一九九

六年

)、

ラン五、

O一三

ドル(一九九七年

)である

(34)

(35)

(36)

(高橋進

監訳

『全体主義と権威主義』法律文化社、

一九九五年)

(37)

本稿で使用したデータセットとプログラムは著者のウ

ェブサイ

で公

開す

る。

〔付記〕

本稿は、平成

一七-

一九年度科研費

(一七七三○○九四)に

よる研究成果の

一部である。

(はまなか

しんこ

山形大学)

Political Stability of Non-Democratic Regimes in the Middle East: A Quantitative Analysis for

the Rentier State Theory

HAMANAKA Shingo

A lot of dictatorship have collapsed and made a transition to democratic

regimes late the Cold War. However, Middle Eastern states were never ex-

perienced with democratization wave. So that, there are scarcely any com-

parative democratization studies dealt with them. Today, we can understand

some peculiar topics or indigenous logic of the Arab politics, because of being

-8-

recently made advances in area studies of the Middle East. But we tend to

think that comparative political research methods are not effective in under-

standing politics in the Middle East and do not help us to become familiar

with it.

Lipset's thesis is revaluated and the most popular one that goes with rela-

tionship between economic development and democracy after Huntington's

democratic third wave. Adam Przeworski and his collaborators tried to re-

new a modernization theory, then their works help restore confidence of gen-

eral and comparative theory. However, there is still a paradox that even rich

countries do not catch on the path of democratic transition in the Middle

East.

The rentier state theory is used to explain this paradox why were not Mid-

dle Eastern countries democratized. This theory pays attention how much

rent, natural resources like oil, natural gas, minerals with which states

are able to ensure financial well being, gets support from many political

economists. The rent also contains worker's remittance as well as official de-

velopment assistance from foreign countries. So, a regime without resources

may be categorized as a rentier state. A government with affluent rent does

not have an incentive to liberalize own politics and societies because it needs

not to impose a tax on its people, so the regime is easy to repress dissidents.

In this study, I formalize a model of the rentier state theory from Boix-

Stokes Modernization model, and then attempt quantitative analyses. My

formalized rentier model has a scope of rent seeking activity of governments

with fertile natural resources. So the purpose of this research is to shed light

on a general effectiveness of the theory as well as to deal with democratic

transitions as time passed or not, the Large N Studies is adopt as my re-

search design. The method of quantitative analysis is the Dynamic Probit

Model, which Adam Przeworski developed.

The result of my study shows that enormous fuel rent tends to suppress

democratic transition and promote stability of a dictatorship. But other nat-

ural resources and remittance rent have little to do with political transforma-

tion. The official development assistance dose not play a role of rent, seems

to have a same effect of economic growth for democratization.

-9-