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N.I.P.コース オーガナイザー 舘野浩章(国立研究開発法人 産業技術総合研究所) 目的、対象 全ての細胞を覆う糖鎖は生命に必須の生体分子であり、最近では医療分野において大 きな注目を集めていますが、授業では十分に学ぶ機会がありません。そこで、糖鎖と糖鎖認識分子であ るレクチンの基礎から応用について学んでいただき、糖鎖への理解を深めるとともに、新たなことに挑戦す る意欲を高め、広い視野を取得することを目的としてサマースクールを開講します。 世界的に活躍する大学教員および研究者による講義を柱としたプログラムは、学生の研究紹介や交 流会を組み込み、他大学の学生やトップ研究者と交流する機会を設けています。 糖鎖、レクチンについて学びたい学生や社会人の方を対象とします。 募集人数 20~名 期間 平成29年9月7日(集合9:30)、8日(集合9:30) 受講料 無料 *アライアンス内育成対象者は旅費の補助を予定 会場 お茶の水女子大学共通講義棟2号館102 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1 申込方法 Nanotech CUPALホームページ(https://nanotechcupal.jp/nip/ )から お問合せ:産業技術総合研究所 TIA推進センター CUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp) TIAナノバイオサマースクール(糖鎖・レクチン) 会場 東京メトロ丸ノ内線「茗荷 谷」駅より徒歩7分 東京メトロ有楽町線「護国 寺」駅より徒歩8分

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Page 1: N.I.P.コース...N.I.P.コース お問合せ:産業技術総合研究所TIA推進センターCUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp) 第1日目(9月7日)〜糖の起源、本質、応用〜

N.I.P.コース

オーガナイザー 舘野浩章(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

目的、対象 全ての細胞を覆う糖鎖は生命に必須の生体分子であり、最近では医療分野において大

きな注目を集めていますが、授業では十分に学ぶ機会がありません。そこで、糖鎖と糖鎖認識分子であ

るレクチンの基礎から応用について学んでいただき、糖鎖への理解を深めるとともに、新たなことに挑戦す

る意欲を高め、広い視野を取得することを目的としてサマースクールを開講します。

世界的に活躍する大学教員および研究者による講義を柱としたプログラムは、学生の研究紹介や交

流会を組み込み、他大学の学生やトップ研究者と交流する機会を設けています。

糖鎖、レクチンについて学びたい学生や社会人の方を対象とします。

募集人数 20~名

期間 平成29年9月7日(集合9:30)、8日(集合9:30)

受講料 無料 *アライアンス内育成対象者は旅費の補助を予定

会場 お茶の水女子大学共通講義棟2号館102〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1

申込方法 Nanotech CUPALホームページ(https://nanotechcupal.jp/nip/)から

お問合せ:産業技術総合研究所 TIA推進センター CUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp)

TIAナノバイオサマースクール(糖鎖・レクチン)

会場

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅より徒歩7分

東京メトロ有楽町線「護国寺」駅より徒歩8分

Page 2: N.I.P.コース...N.I.P.コース お問合せ:産業技術総合研究所TIA推進センターCUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp) 第1日目(9月7日)〜糖の起源、本質、応用〜

N.I.P.コース

お問合せ:産業技術総合研究所 TIA推進センター CUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp)

第1日目(9月7日)〜糖の起源、本質、応用〜

10:00〜10:15 「プログラム説明」 産業技術総合研究所 舘野浩章

10:15〜11:15 「糖の起源と進化:糖化学に基づく考察」 産業技術総合研究所 平林淳

現生物が採用している単糖は主としてグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、およびその派生物である(N-アセ

チルグルコサミン、L-フコース、シアル酸など)。教科書には記載されているアロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース

などのアルドヘキソースはほとんど自然界には存在せず、糖鎖中には見出されない。その理由を糖化学に求め、さらにレクチン

による生物認識の観点からガラクトースが後生糖として特殊な存在である可能性を説く。

11:15〜12:15 「糖鎖を作る:糖転移酵素の基礎と応用」 産業技術総合研究所 新間陽一

糖鎖の概要:糖質・糖タンパク質・糖脂質の糖鎖構造の多様性と特徴

糖転移酵素の基本的反応:受容体基質+糖ヌクレオチド→糖鎖合成

糖転移酵素遺伝子ファミリー:酵素の基本的構造・細胞内分布と役割

糖転移酵素の遺伝子工学:動物・酵母・植物でヒト型糖鎖を生産

12:15〜13:15 (休憩)

13:15〜14:15 「糖鎖の構造解析とバイオセンサ」 東洋大学 宮西伸光

バイオセンサとは、検出に生体資材を用いたセンシングシステムの事であり、リアルタイムPCRやDNAシーケンサ、ELISAやブロッ

ティングによる検出法などは全てバイオセンシングシステムと言える。このようにバイオセンサは様々な研究分野や分析の場に

おいて広く活用されており、科学の発展には不可欠な技術であろう。ただ単に検出という観点だけではない「生命の力を借り

て、生命の神秘を垣間見る」というバイオセンサの意味について、糖質の分野を中心に紐解きする。

14:15〜15:15 「グリコサミノグリカンと細胞増殖因子」 産業技術総合研究所 浅田眞弘

多くの細胞増殖因子は、グリコサミノグリカンに親和性を有するが、その機能的役割は未だ十分には解明されていない。グリ

コサミノグリカンの一種ヘパラン硫酸が繊維芽細胞増殖因子(FGF: Fibroblast Growth Factor)の活性を制御すること、す

なわち、糖鎖がタンパク質の機能制御に果たす役割を解説し、その応用例を紹介する。

15:15〜17:00 「研究紹介」 受講者全員(一人3分のプレゼン)

17:00〜 懇親会(お茶の水女子大学生協)

TIAナノバイオサマースクール(糖鎖・レクチン)

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N.I.P.コース

お問合せ:産業技術総合研究所 TIA推進センター CUPAL事務局(nanotech-cupal-ml@aist.go.jp)

TIAナノバイオサマースクール(糖鎖・レクチン)

第2日目(9月8日)〜レクチンの起源、本質、応用〜

10:00〜11:00 「レクチンの本性を知ろう」 帝京大学 笠井献一

レクチンは糖記号を読むたんぱく質群だが、分子識別に従事するたんぱく質の中の異端児である。酵素、抗体、受容体など

は、分子識別が厳格で、パートナーとの関係は1対1が主流だが、レクチンは正反対で、分子識別がおおざっぱで、多数の

パートナーと関係を持つものがほとんどである。この非常識とも思える本性は、糖記号の作られ方に根本的な原因がある。こ

の点を踏まえて、レクチンをよりよく理解できるよう解説する。

11:00〜12:00 「レクチンによる糖タンパク質の品質管理」 東京大学 山本一夫

細胞内では生合成されたタンパク質の品質管理が行われています。この品質管理には3つのタスクがあり、(1)翻訳されたペ

プチド鎖をフォールディングすること、(2) フォールディング不全のタンパク質を積極的に分解すること、(3) 正しくフォールディング

されたタンパク質を輸送・選別することです。これら3つのタスクは、わずか両手で数えられる程度の細胞内レクチンによって数

千種類に及ぶ糖タンパク質の品質管理が効率よくなされています。本講義では、N型糖鎖とO型糖鎖の進化の違い、また

糖鎖とそのカウンターパートであるレクチンの共進化、糖鎖修飾の場としての小胞体とゴルジ体の起源や機能、進化の原動

力としてのゴルジ体の意義等、演者の糖鎖観を含めて、糖鎖認識の意義について概説いたします。

12:00〜13:00 (休憩)

13:00〜14:00 「消化管におけるレクチンの機能、食物に含まれるレクチンの作用」

お茶の水女子大学 相川京子

ヒトのレクチンには様々な高次機能が見出されています。それらの中で、消化管粘膜における生体防御に関わる役割を紹

介致します。合わせて、野菜や果実などに含まれるレクチンの持つユニークな活性や、その利活用の可能性についてもお話し

ます。

14:00〜15:00 「海産生物レクチンの多様性と応用」 横浜市立大学 大関泰裕

海産生物(無脊椎動物・魚類・海藻)の持つレクチンについて、陸上生物のレクチンファミリーとの共通点、遺伝子や糖鎖結

合の相違点を比較します。海は生命が起源した場所で、生物多様性の宝庫です。そこから得られたレクチンによる、医薬、

環境への利用可能性も話します。

15:00〜16:00 「レクチンを使ってみよう」 産業技術総合研究所 舘野浩章

レクチンは糖鎖を識別する機能を有することから、ツールとして用いることで、糖鎖をプロファイリングしたり、特定の細胞を同定、

選別し、細胞機能を制御することができる。本講義では、レクチンを利用した糖鎖プロファイリング、癌細胞や幹細胞を標的

化し、制御する技術についてご紹介し、レクチンをよりよく使う新しい方法について解説します。

16:00〜 修業式