new aspects of low dose radiation effect
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放射線障害の新しい現実
nagai.koko
第17回 社会とつながるアカデミック・カフェ
準備
•核反応と放射線
•放射線の作用
放射線障害の新事実
•白内障
2014/11/22 2
•白内障
•⼼筋梗塞・脳梗塞
ICRP勧告と電⼒会社の対応
•ICRP勧告(2011年)
•電⼒会社の対応
化学エネルギーを1mmの高さにたとえると
核反応エネルギーは1km~100km
放射線
落とす⽅法を知って風景は一変した
核反応の特徴1. エネルギーが化学反応の百万倍も大きい。
2. 核崩壊が始まると制御できない。
放射線の特徴
放射線(γ線)のエネルギーは紫外線のエネルギーの1万倍以上大きい。
急性障害急性障害は、比較的短い期間に大量の放射線を全身または急性障害は、比較的短い期間に大量の放射線を全身または身体の広い範囲に受けた場合に、被ばく後、遅くとも2〜3ヵ月以内に現れてくるものです。通常、放射線被ばくとの因果関係は明瞭です。急性障害は、組織・臓器を構成している細胞の細胞死によって起こります。
晩発障害晩発障害は放射線に被ばくし急性障害から回復した後、あるいは比較的低線量の一回または分割、遷延照射を受けた後、⻑期間の潜伏期を経て発現するもので、主に発がんや遺伝的影響(世代を経て現れる)です。これには突然変異が深く関係しています。
⾼線量
急性
低線量
晩発性急性
細胞死
晩発性
突然変異
準備
• 核反応と放射線
• 放射線の作用
放射線障害の新事実
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• 白内障
• ⼼筋梗塞・脳梗塞
ICRP勧告と電⼒会社の対応
• 2011年勧告(ICRP118)
• 電⼒会社の対応
放射線影響の研究
疫学調査動物実験
疫学調査
外部比較 内部比較
メカニズム解明
白内障
宇宙⾶⾏⼠の白内障、2001年
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オッズ比
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米国放射線技術者の白内障,2008
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直線を仮定した傾きをERR係数という. ERR /Gy =2.095%信頼区間 (-0.7)-4.7
ICRPはおかしい
� ICRPは、軽微の白内障の閾値を2Gy、分割照射ではも
っと上といってきたが、閾値はこれより低いか、閾値なしではないか。ではないか。
Cutinotta et al.,2001 NASA
� ICRPは、視⼒喪失は5Sv以上で、⻑期間被曝なら8Sv
以上でおこるといってきた。放射線防護のガイドラインを評価しなおすべきだ。
Shore et al.,2010 被爆者AHS
• 低線量被曝ががん以外の疾病をおこした!
• 遺伝子でなく細胞に影響している!
• 20年以上もたって現れる!
• 閾値がない!衝撃
しかし、眼は特別な組織だからかも
準備
•核反応と放射線
•放射線の作用
放射線障害の新事実
•白内障
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•白内障
•⼼筋梗塞・脳梗塞
ICRP勧告と電⼒会社の対応
•ICRP勧告(2011年)
•電⼒会社の対応
乳がん治療者の⼼臓病による死亡、2013
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虚血性⼼疾患による死亡 急性冠状動脈に異常の診断
乳がん治療者の⼼臓病、2013
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被爆者調査集団の死亡者
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
R11(50-85) R12(50-90) R13(50-97) R14(50-03)
非がん固形がん全死亡
心臓疾患(死亡率)ERR /Gy =0.1495%信頼区間 0.06-0.23
脳梗塞(死亡率)ERR /Gy =0.0995%信頼区間 0.01-0.17
被爆者寿命調査R14 1950-2003
2012, Ozasa et al.
最初の20年間でサバイバル効果
心筋梗塞(死亡率)ERR /Gy =0.1095%信頼区間 0.05-0.15
日*は罹患率
0.7
0.9
1.1
1.3
1.5
被爆者、死亡率(日) 2010
被爆者、罹患率(日*) 2004
マヤーク核処理労働者(露) 2010
-0.5
-0.3
-0.1
0.1
0.3
0.5
日 日* 露 露 仏 加 英 国際
マヤーク核処理労働者(露) 2010
チェルノブイリ緊急作業者(露) 2006
ウラン鉱山労働者(独) 2006
原発労働者(仏) 2010
鉱山労働者(加) 2010
被曝労働者(英) 2009
核施設労働者(15カ国) 2007
2012, Little et al.
脳梗塞(死亡率)ERR /Gy =0.20 95%信頼区間 0.14-0.25
0.9
1.1
1.3
1.5
日*は罹患率
-0.5
-0.3
-0.1
0.1
0.3
0.5
0.7
日 日* 露 露 独 仏 加 英 国際
準備
•核反応と放射線
•放射線の作用
放射線障害の新事実
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•白内障
•⼼筋梗塞・脳梗塞
ICRPICRPICRPICRP勧告と電⼒会社の対応
• ICRP勧告(2011年)
•電⼒会社の対応
2007-ICRP 非がんへの影響みとめず
• 循環器疾患について、4Sv以下の線量域でリス
クの増加を示すデータはない。クの増加を示すデータはない。
• 非がん疾患について、100mSv以下のリスク評
価はできない。
•
放射線障害の新しい現実
1.低線量被曝でがん以外でも死亡者が増えてい
る!る!
2.閾値はなさそうだ !
3.⽔晶体と脳卒中・⼼筋梗塞など循環器に。
4.循環器は死因の3,4割で影響は大きい。
⾼線量
急性
細胞死
低線量
晩発性
突然変異細胞死 突然変異
がん⼼筋梗塞脳梗塞白内障
1. 非がんへの影響をこれまで確定的影響といってきたが、組織反応ということにする。
2. 組織反応のリスク評価にはGyを使う。Svは確
ICRP-2012
2. 組織反応のリスク評価にはGyを使う。Svは確率的リスク(がん)だけに使う。
3. 1%のリスクが⽣ずる線量を実務的に閾値ということにする。
がんへの影響だけだった
閾値と実務閾値
実務閾値まではリスクが1%以下
閾値以下ではリスク0
ICRPの線量限度
⾼度情報科学技術研究機構 atomica からhttp://www.rist.or.jp/atomica/
ICRPの責任
非がん影響を認めてこなかった.
安全側に余裕を⾒ているから安⼼といってきた!
放射線リスクはシーベルトで管理できているといってきた.
危険、安全、不確定.
市⺠が不確定領域に不安を持つのは当然.
何が正しいかは私が知っているあなたは知らない科学を知らない科学を知らないあなたの不安は無知からきている
1. 白内障の閾値は0.5Gyとする。1/10に下げる.
ICRP(2012)非がんについて変更
2. 循環器疾患の閾値は0.5Gyとする。影響を認める.
それでもまだこの値は大きすぎる!
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• 核反応と放射線
• 放射線の作用
放射線障害の新事実
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• 白内障
• ⼼筋梗塞・脳梗塞
ICRPICRPICRPICRP勧告と電⼒会社の対応
• ICRP勧告(2011年)
• 電⼒会社の対応
電力会社が研究の方向付け
国会事故調査委員会 報告書「電気事業連合会の資料から」
最近、EUを中⼼に科学的な知⾒が不⼗分であって
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最近、 を中⼼に科学的な知⾒が不⼗分であっても予防原則の観点から厳しい放射線防護を要求する動きが強まっていることから、非がん影響についても過度に厳しい放射線防護要求とならないよう研究を進める必要がある。
電力会社が研究動向を監視
武藤部会⻑:低線量分野をまともに研究すれば変な(不利な)結果は出てこないはず。
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部⻑:低線量域は危険ではないということになるとその分野の研究者たちは飯の種を失うことになる。それで低線量域の危険性を喧伝している⾯がある。
武藤部会⻑:悪い研究者に乗っ取られて悪い⽅向に向かわないように、研究の動向を監視しておくこと。
短期的には、2007年のICRP新勧告を受けて現在勧められているIAEAのBSS改訂と、それに続く国内法令の改正において、放射線防
電⼒会社が関連組織に働きかけ
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れに続く国内法令の改正において、放射線防護基準が必要以上に厳しくならないよう、各機関に対して科学的なデータに基づいた働きかけを強める。
まとめ• 放射線の毒性について新しい現実を知ることに
なった。
• その影響の及ぶところ• その影響の及ぶところ1. 核施設作業員、福島原発の緊急作業員2. 福島原発事故の被曝住民とくに子供3. 放射線医療にあたる医者と患者4. 健康診断(CT検査)
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作業員の線量限度
1年で50mSv5年で100mSv
緊急時は1年で100mSv1年で100mSv
「自傷労働」
原子⼒市⺠委員会