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第1章NC旋盤加工とは
第1章NC旋盤加工とは
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第 1章 NC旋盤加工とは
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⑦ 溝入れ、突切り加工:溝入れ工具で外径、内径、端面に溝を加工する。
工作物を完全に切り離すことを突切り加工という。1-1 旋盤加工とは?
Q 旋盤加工について教えてください。
A 工作物に回転を与え、刃物台に取り付けられた工具に切り込み運動、
送り運動を与えて、工作物の外径、内径、穴あけ、突切り、ねじ切りな
どの切削加工を行う機械を旋盤という。工作物を回転させて加工するので、回
転の中心に対して直角方向の断面形状は常に円形であるというのが旋盤加工の
特徴である。旋盤には普通旋盤、タレット旋盤、倣い旋盤など、いろいろな種
類があるが、普通旋盤を図 1-1に示す。旋盤での加工要素には切削運動(主軸
の回転)、切り込み運動、送り運動があり(図 1-2)、それらの運動はハンドル
操作、レバー操作など、すべて手動で行われる。しかもそれらの操作は、基本
的には個別に行われるので、普通旋盤においてはテーパ加工、曲面加工は非常
に難しい。図 1-3に普通旋盤における加工形状を示す。
① 円筒加工(外径加工):工具を直径方向に切り込み、主軸の中心線に沿っ
て送りをかける。
② 正面加工(端面加工):工具を主軸中心線に沿って切り込み、直径方向に
送りをかける。
③ テーパ加工:工具を直径方向に切り込み、主軸中心線に対してある角度
に傾けた工具経路上に送りをかける。図 1-4に複式刃物台を示すが、これをテ
ーパ角度の半分だけ傾け、ハンドルを回しながら加工を行う。
④ 穴あけ加工:ドリルなどの穴あけ工具を心押台にセットし、心押軸ハン
ドルを回して穴をあける。
⑤ 中ぐり加工(内径加工):ドリルで穴をあけた後、あるいはすでにあいて
いる穴を広げる加工。
⑥ ねじ切り加工:ねじ切り工具を使って、外径、内径のねじを加工する。
図 1-2 加工の要素
送り運動
切り込み運動
回転運動
図 1-3 加工の種類
溝入れ、突切り加工テーパ加工
正面加工 中ぐり加工
円筒加工 穴あけ加工
ねじ切り加工
図 1-4 複式刃物台
ハンドルθ θ
複式刃物台
図 1-1 普通旋盤
主軸回転数変換レバー
送り変換レバー
主軸台主軸回転運動
複式刃物台横送り台サドル
切り込み
運動
送り運動心押台
心押軸ハンドル
ベッド
脚送り軸親ねじ
横送りハンドル縦送りハンドル
往復台
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第 1章 NC旋盤加工とは
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1-2 NC旋盤の構成は?
Q NC旋盤の構成について教えてください。
A NC旋盤は普通旋盤の手動による操作の部分がNC制御に変わったも
のと思えばよい。したがって、加工のための基本構成は普通旋盤と同じ
であるが、工作機械メーカによって主軸台や刃物台の構成などにいろいろな特
徴を持たせている。
図 1-5にNC旋盤の構成例、図 1-6に機能別構成を示す。
① 主軸台:主軸と呼ばれる軸を格納し、主軸の先端にチャックを取り付け、
工作物を把持して工作物を回転させる。回転の動力は主軸モータで行う。ポジ
ションコーダ(位置検出器)で主軸の回転角度をパルスの形にし、NC装置に
フィードバックを行うことによって主軸の回転数が制御される。
② 刃物台:外径工具や内径工具など、いろいろな工具を取り付ける。複数
の工具(この例では 10 本)を取り付け、加工工程に従って工具を選択する。
加工するための刃物台の移動軸には、直径寸法を決める横方向(これをX軸
という)と長さを決める縦方向(これを Z軸という)の 2 軸があり、刃物台
の移動はそれぞれボールスクルリュに連結したサーボモータによって行われる。
③ 心押台:回転センタなどを組み込み、長い工作物の一端をサポートする。
縦方向の移動は手動操作が多いが、心押台にサーボモータを連結して自動で移
動する機械もある。
④ 制御盤:NC制御と機械を制御するプリント基板やリレー類が並んでいる。
⑤ 操作盤:機械の運転のためのスイッチやボタンが並んでいる。操作盤に
は機械そのものの操作に関係する手動操作盤と、プログラムの操作に関係する
NC操作盤がある。液晶ディスプレイにはNCプログラムや操作のガイドなど
が表示される。
図 1-5 NC旋盤の構成例
Z+X+
縦方向横方向
操作盤
刃物台心押台
チャック
主軸台主軸モータ油圧ユニット
NC装置強電制御盤
ポジションコーダZ軸ボールスクリュ
図 1-6 機能別構成
センタZ軸ボールスクリュX軸ボールスクリュ工具取り付けホルダ 工具チャック 工作物主軸台
刃物台機械本体
NC制御
操作盤
付属装置
心押台
NC装置サーボモータ
NC旋盤
主軸モータ
X軸サーボモータ入出力、NCコントローラなど
ポジションコーダZ軸サーボモータ
ロータリーエンコーダロータリーエンコーダ
手動操作盤NC操作盤
パーフィーダロボットなど
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第 1章 NC旋盤加工とは
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周速一定制御による回転数も、指令された切削速度と工具の現在位置から回転
数が計算され、主軸モータに対し連続的に指示される。
主軸の回転指令や工具選択指令は、シーケンスコントローラによって制御さ
れる。シーケンスコントローラからの指令は機械側に直接送出され、機械側に
配置されている強電制御盤内のリレーをON/OFF することによって、主軸を
回転させたり、刃物台の工具を選択するのである。
機械の制御にはNCプログラムが必要であるが、NCプログラムの内容に誤
りがあってもその通り作動するので、プログラムの作成には十分注意しなけれ
ばならない。
1-3 NC旋盤の制御は?
Q NC旋盤の制御について教えてください。
A 普通旋盤による加工では、主軸を回したり工具を直線的に移動させる
のは、ハンドルやレバーなどを操作する手動操作であるが、NC旋盤に
おいては、NC装置の指令によってすべての動きを制御する。図 1-7に制御の
流れを示す。制御するにはNCプログラムを作成する必要があるが、その情報
は、
・工具の移動指令
・主軸の回転数指令
・機械のシーケンス指令
から構成されている。工具の移動指令、主軸の回転数指令はNC装置のNCコ
ントローラによって制御され、シーケンス指令はシーケンスコントローラによ
って制御される。工具の移動指令には工具の位置決め指令(どの位置に移動す
るという指令)と速度指令(主軸 1回転あたり移動量)があり、この 2つの指
令がサーボモータに伝達される。ここに伝達された移動指令はサーボモータに
よって忠実に実行され、フィードバック機能を利用して刃物台やテーブルが正
確な位置に、正確な速さで移動するのである。つまり、サーボモータには回転
形位置検出器(ロータリーエンコーダ)が取り付けられてあって、これがサー
ボモータの回転角に対応してパルス信号を発生し、そのパルス信号をNCコン
トローラに返送する。これをフィードバック信号というが、NCコントローラ
では、このフィードバック信号とNCコントローラから送出したパルス数を比
較しながら、目的の位置に達するまでサーボモータが回るよう指示するのであ
る。
一方、主軸の回転数は、主軸制御部から送出された指令によって制御される。
図 1-7 NCの指令の流れ
旋回指令クランプ指令などポジション
コーダ
フィードバックパルス
X軸サーボモータ
ロータリーエンコーダ
ロータリーエンコーダ
ポールスクリュ
Z軸サーボモータ
刃物台
回転速度
回転指定
油空圧機器コンベアロボットなど
シーケンスコントローラ
NCプログラム入力
フィードバックパルス
速度、位置決め指令
主軸台
NC装置