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26 特集 むンサむト・コミュニティ 参加者もリサヌチャヌも“熱䞭するリサヌチ” ビゞョン・クリティカルの事䟋より 事䟋〜リサヌチサむドの察応〜 熱䞭するリサヌチ 株匏䌚瀟ビゞョン・クリティカル・ゞャパン※ 杉本 培 ※珟圚はビゞョン・クリティカル日本パヌトナヌであるセブンシヌズ マヌケティングリサヌチ株匏䌚瀟に転籍 1はじめにむンサむト・コミュニティにおける熱䞭 ずは むンサむト・コミュニティずは、リサヌチ専甚のオン ラむン・コミュニティである。特定のブランドやサヌビ スに興味や関心の高い、あるいは利甚経隓のある顧 客をオンラむン䞊のクロヌズドなコミュニティに集め、 ブランド調査、商品開発のための調査、ブランド・コ ミュニケヌションに関する調査、生掻実態調査など、 さたざたな定量および定性調査を行う。それに察しお マヌケティング・コミュニティは、キャンペヌン情報や 新補品情報などの情報提䟛を目的ずしたコミュニティ で、参加者は䞍特定倚数で誰でも参加できるオヌプン なものが倚い。むンサむト・コミュニティの堎合は、特 定された顧客や関心の高い生掻者からなる数千人か ら数䞇人芏暡のクロヌズドなコミュニティずなっおい る。広矩にはMROCMarketing Research Online Communityずいえるず思うが、日本の MROC の堎 合は、数癟人芏暡で定性調査を䞭心ずするもののケヌ スが倚い。 通垞のオンラむン調査では、回収率が30前埌ず されおいるが 泚 1 、むンサむト・コミュニティで行われ る調査の平均回収率は 45以䞊、コミュニティ・メン バヌの継続率は80である。調査品質が高いほか、 さたざたな䟡倀があるのだが、どうしお参加者はこれ ほど熱䞭しお参加しおくれるのか カナダに本瀟があり、2013 幎より日本に進出しお きたむンサむト・コミュニティコミュニティ・リサヌチ のパむオニア、ビゞョン・クリティカル瀟以䞋VC 瀟 での事䟋やケヌススタディをもずに、コミュニティ・メ ンバヌ調査察象者が調査に積極的に参加しおいく ノりハりを玹介しおいきたい。珟圚、VC 瀟では、党䞖 界で 650 以䞊ものむンサむト・コミュニティの運甚に プラットフォヌムを提䟛しおいる。 むンサむト・コミュニティのなかで行われるリサヌ チでは、ブランドやサヌビスの利甚経隓が豊富で、そ の経隓に぀いお語れる、あるいは語りたいずいう顧客 や生掻者をコミュニティに招埅しお、むンサむトを匕き 出しおいく。初察面同士のグルヌプむンタビュヌでは、 なかなか本音を語っおくれないが、長幎の぀き合いに よる信頌関係が構築できた顧客からは、普段なら聞け ない消費者の本音や苊蚀を導き出すこずができる。生 掻者や消費者のむンサむトを導き出すための調査は VOCVoice of Customer 顧客の声や芁求を傟 聎し、捉えおいくずいうこずだ。むンサむト・コミュニ ティの倚くは基本的に顧客をコミュニティ化するので、 コミュニティ圢匏も特定のブランドやサヌビス名称を 明蚘した「Nestle Kitchen Conversationネスレ・ キッチンカンバセヌション」 「VOGUE Insiders ノォヌグむンサむダヌズ」ずいったブランデッド・コ

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䞀般瀟団法人日本マヌケティング・リサヌチ協䌚の機関玙「マヌケティング・リサヌチャヌ 2014 No.123号」の特集「熱䞭するリサヌチ」 セブンシヌズ マヌケティングリサヌチ杉本

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2014 No.12326

特集

むンサむト・コミュニティ参加者もリサヌチャヌも“熱䞭するリサヌチ”ビゞョン・クリティカルの事䟋より

事 䟋 〜 リ サ ヌ チ サ ã‚€ ド の 察 応 〜熱䞭するリサヌチ

株匏䌚瀟ビゞョン・クリティカル・ゞャパン※

杉本 培

※珟圚はビゞョン・クリティカル日本パヌトナヌであるセブンシヌズ マヌケティングリサヌチ株匏䌚瀟に転籍

1はじめにむンサむト・コミュニティにおける熱䞭  ずは  むンサむト・コミュニティずは、リサヌチ専甚のオンラむン・コミュニティである。特定のブランドやサヌビスに興味や関心の高い、あるいは利甚経隓のある顧客をオンラむン䞊のクロヌズドなコミュニティに集め、ブランド調査、商品開発のための調査、ブランド・コミュニケヌションに関する調査、生掻実態調査など、さたざたな定量および定性調査を行う。それに察しおマヌケティング・コミュニティは、キャンペヌン情報や新補品情報などの情報提䟛を目的ずしたコミュニティで、参加者は䞍特定倚数で誰でも参加できるオヌプンなものが倚い。むンサむト・コミュニティの堎合は、特定された顧客や関心の高い生掻者からなる数千人から数䞇人芏暡のクロヌズドなコミュニティずなっおいる。広矩にはMROCMarketing Research Online Communityずいえるず思うが、日本のMROCの堎合は、数癟人芏暡で定性調査を䞭心ずするもののケヌ

スが倚い。 通垞のオンラむン調査では、回収率が30前埌ずされおいるが泚1、むンサむト・コミュニティで行われる調査の平均回収率は45以䞊、コミュニティ・メンバヌの継続率は 80である。調査品質が高いほか、さたざたな䟡倀があるのだが、どうしお参加者はこれほど熱䞭しお参加しおくれるのか カナダに本瀟があり、2013 幎より日本に進出しおきたむンサむト・コミュニティコミュニティ・リサヌチのパむオニア、ビゞョン・クリティカル瀟以䞋VC 瀟での事䟋やケヌススタディをもずに、コミュニティ・メンバヌ調査察象者が調査に積極的に参加しおいくノりハりを玹介しおいきたい。珟圚、VC 瀟では、党䞖界で 650以䞊ものむンサむト・コミュニティの運甚にプラットフォヌムを提䟛しおいる。 むンサむト・コミュニティのなかで行われるリサヌチでは、ブランドやサヌビスの利甚経隓が豊富で、その経隓に぀いお語れる、あるいは語りたいずいう顧客や生掻者をコミュニティに招埅しお、むンサむトを匕き出しおいく。初察面同士のグルヌプむンタビュヌでは、なかなか本音を語っおくれないが、長幎の぀き合いによる信頌関係が構築できた顧客からは、普段なら聞けない消費者の本音や苊蚀を導き出すこずができる。生掻者や消費者のむンサむトを導き出すための調査はVOCVoice of Customer顧客の声や芁求を傟聎し、捉えおいくずいうこずだ。むンサむト・コミュニティの倚くは基本的に顧客をコミュニティ化するので、コミュニティ圢匏も特定のブランドやサヌビス名称を明蚘した「Nestle Kitchen Conversationネスレ・キッチンカンバセヌション」 「VOGUE Insiders

ノォヌグむンサむダヌズ」ずいったブランデッド・コ

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ミュニティがほずんどである。しかし、ただ利甚経隓者を集めおくるだけでは、むンサむト・コミュニティの運営は成り立たない。コミュニティ・メンバヌずむンサむト・コミュニティ䞻催者ずの間に゚ンゲヌゞメントのあるこずがよりよいむンサむトをもたらし、ビゞネスの意思決定をもサポヌトできるのである図1。゚ンゲヌゞメントずいう蚀葉は、䌁業の゜ヌシャルメディア掻甚の堎面ではブランドのファン䜜りや共感床を䞊げるずいう意味で䜿われるキヌワヌドだが、むンサむト・コミュニティにおける゚ンゲヌゞメントは、それずは少し性質を異にする。「信頌関係がベヌスずなった継続的な䌚話」がコミュニティ・メンバヌず䌁業ずの゚ンゲヌゞメントを醞成し、コミュニティ内での「䌚話リサヌチ」を成立させおいく。぀たり、マヌケティング・コミュニティずは異なっお、コミュニティ運営を目的ずするために顧客ずの゚ンゲヌゞメントを築くずいうこずではなく、ここでの゚ンゲヌゞメントは「継続的な䌚話」を行なっおいくための手段なのである。

 

ト属性ずメンバヌ数を決める。VC 瀟のむンサむト・コミュニティの調査ツヌルは掲瀺板によるオンラむン定性調査機胜に加え、コミュニティ運営管理者が写真やアむコンなどを質問に加えるこずのできるビゞュアルな調査祚を自ら䜜成するこずで、定性調査ず定量調査をハむブリッドで運甚するこずができるずいうものだ。実質、むンサむト・コミュニティでは、ビゞュアル調査祚を掻甚した定量調査を月間1人圓たり2  4回実斜し、定量デヌタを深く解釈するために、定量調査で特定の回答をしたメンバヌに、定性調査でさらにむンタビュヌしたり、定性調査を行なっおいる過皋である特定の発芋があった堎合などでは、即、定量調査を行なっお劥圓性を怜蚌したりしおいる。このため、日本型MROC短期間で数十人から数癟名芏暡のものが倚いよりも芏暡が倧きく、1,000人 50,000人芏暡でコミュニティ・メンバヌを構築する。䞖界の650コミュニティの平均メンバヌ数は、1コミュニティ圓たり玄7,000人である。このように、倧芏暡にコミュニティ・メンバヌをリクルヌトしお「継続的な䌚話」を行う。 リクルヌトのアプロヌチは、基本的に䌁業が保有しおいるその䌁業ブランドやサヌビスの顧客リストを䜿う。䞻にブランドやサヌビスの利甚経隓者に、その䌁業名で招埅メヌルを送付しおアプロヌチする。リクルヌトのメヌル内容には、どうしおこのコミュニティに参加しおもらうのか、どういった䜜業をしなければならないのか、参加しおもらうこずでどんなフィヌドバックが埗られるのか、コミュニティを通じお䜕を埗るこずができるのか、それらに぀いおの趣旚を明蚘する。招埅されたコミュニティ・メンバヌには、リサヌチ掻動を通しお自発的に意芋を述べおもらい、アンバサダヌ、むンサむダヌあるいはボヌドメンバヌであるかのように、䌁業の傟聎掻動に参加しおもらう。そのため、招埅者メヌルを受け取った党員がメンバヌになれるのではなく、ブランドやサヌビスぞの関䞎床や生掻実態などによるコミュニティぞの参加条件該圓者かどうかを確認するためのProfile Question:プロファむル・ク゚スチョン以䞋PQずいうメンバヌ該圓者を遞定するスクリヌニング調査を必ず行う。このPQには、ブランドやサヌビスの関䞎床の質問、顧客セグメント

2サンプリングフレヌムパネル化のプロセスむ   ンサむト・コミュニティはどういうプロセスで構築   されるのか  では、「継続的な䌚話」を実珟するプラットフォヌムずしお、このむンサむト・コミュニティに参加するコミュニティ・メンバヌ調査察象者をどう集めるかのプロセスを玹介したい。「誰ず継続的に䌚話をしおいきたいか」ずいうこずが、コミュニティ・メンバヌのタヌゲッ

図1  むンサむト・コミュニティルヌプ

よい ゚ンゲヌゞメント絆が、よりよいむンサむトを導き出し、さらにたた良質な゚ンゲヌゞメント

絆に倉わっおいく。その結果、よりよいビゞネスの意思決定ができる。

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特集 熱䞭するリサヌチ 事 䟋 〜 リ サ ヌ チ サ ã‚€ ド の 察 応 〜

ケヌスもある。だが、むンサむト・コミュニティの堎合は同䞀のパネルメンバヌが垞蚭されおいるため、䞀床、聎取した質問内容は、パネルメンバヌの状況に倉化がない限り、質問しなくおよいし、仮に質問内容が挏れおいたずしおも、い぀でも远加質問をするこずができる。埓っお、1回あたりの調査内容は通垞のアドホックリサヌチに比べお少なく、定量調査は5 10 問皋床、定性調査MROCは3日1週間皋床で、1回圓たりの拘束時間の負担が少ない。たた、過去の調査結果ず珟圚、実斜した調査結果を容易にクロス集蚈するこずができたり、定性調査MROCに招埅する調査察象者のニッチなプロファむル条件によるフィルタヌ蚭蚈も可胜になる。このように、むンサむト・コミュニティでは、適切な頻床で、察象者にずっおの負担の少ない

「継続的な䌚話」のリサヌチ・コミュニケヌションが可胜になり、回答率が高められおいる。 そのほかにも゚ンゲヌゞメントの向䞊に䌎う回答率を高めるテクニカルな手法ずしおは、ビゞュアルデザむンのテンプレヌトを掻甚した調査祚図3による定量調査や、PC仕様で䜜成した調査祚および定性調査の掲瀺板にスマヌトフォンやタブレットからもアクセスできる機胜がある。

の詳现属性や生掻実態を確認する質問、自発的な参加意思を確認するための質問などが含たれる。それず同時に、数千名のコミュニティ・メンバヌの割付条件を蚭定し、メンバヌの構成状態を維持するためのパネルリフレッシュの远加リクルヌトを行う。顧客リストのみによるリクルヌト掻動ができない堎合は、むンタヌネット広告やFacebookペヌゞなど、オンラむンを通じおのリクルヌト掻動や、店頭や商品パッケヌゞによるリクルヌト掻動も行なっおいる図2。

 3実査リサヌチはコミュニケヌションである  では、実際にむンサむト・コミュニティを立ち䞊げおから、どのようなリサヌチ運甚がされおいるのかに぀いお、VC 瀟の事䟋で玹介したい。リサヌチ頻床ずしおは、定量調査が月間1人圓たり2  4回で、定性調査は最頻で月1回皋床である。むンタヌネットのリサヌチパネルで行う調査に比べるず、1人圓たりのリサヌチ頻床が倚いこずがわかる。これは、むンサむト・コミュニティぞの参加モチベヌションが自発的なものであり、金銭的モチベヌションを䞻ずしおはいないので、実珟できるリサヌチ頻床ずなっおいる。たた、䞀般的なアドホックリサヌチの堎合では、調査プロゞェクトごずに集蚈や分析のための実態情報、背景情報や属性情報などを収集しなければならない。このため、1回圓たりの質問数やむンタビュヌ内容が倚くなる。幎に1回のCS顧客満足床調査で300 問以䞊ずなる

 4リサヌチ構造蚭蚈どういう䌚話を、い぀、誰ずす   るか  ゚スノグラフィヌ調査のように、生掻者の日々の振る舞いや生掻文脈や消費行動文脈の理解をベヌスず

図2 VC瀟のむンサむト・コミュニティの   リクルヌト・プロセス

図3 VC瀟のビゞュアル調査祚

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定期的に、タむミングよくフィヌドバックするこずで、信頌関係や゚ンゲヌゞメントを向䞊させ、よりよいリサヌチ・コミュニケヌション「継続的な䌚話」を築きあげおいく。

したリサヌチデザむンができるこずは、むンサむト・コミュニティ運営の䟡倀でもある。 VC 瀟では「継続的な䌚話」を実珟しおいくために、むンサむト・コミュニティの立ち䞊げ時に、䌁業のビゞネス目的やマヌケティングプランに合わせお、い぀、誰に、どれくらいの頻床で、どのような䌚話をするのかずいうおおよそのプランを立おる。これをリサヌチ・ロヌドマップず呌んでいる。季節倉動芁因、プロダクトラむフサむクル、新商品開発のプロセス、マヌケティングプランに合わせたさたざたな調査蚈画を䜜成する。このように、リサヌチで生掻者のコンテクストを匕き出しうるようなプランニングを行い、実行するこずで、マヌケティング・コミュニティでよく耳にするようなネタ切れによる参加者離れずいった状況がなくなる。 5フィヌドバックリサヌチ・コミュニケヌションで ゚ンゲヌゞメントを築く  質のよい「継続的な䌚話」をきちんず成立させおいくには、お買い埗情報、クヌポン、ポむント、謝瀌ずいった金銭的なモチベヌションに䟝存するのではなく、顧客が䌁業のアンバサダヌ、むンサむダヌあるいはボヌドメンバヌであるかのように䌁業ず察等な立堎でいられるこずが必芁だ。メンバヌには調査䟝頌ごずに金銭的なむンセンティブを䞎えるのではなく、傟聎した内容のフィヌドバックをするずいうこずが゚ンゲヌゞメントを築くのに、非垞に重芁なポむントずなる。䟋えば、調査結果による改善結果やコミュニティ・メンバヌにしか話さない裏話的なもの、採甚された広告クリ゚むティブの出皿予定など、心理的むンセンティブのフィヌドバックを行うずいうこずである。 たた、6 ヵ月に1回、コミュニティ・メンバヌに察しおはリサヌチの内容に関する満足床調査を行い、フィヌドバックする。調査の数が倚すぎないか、質問内容にわかりにくいずころはないか、フィヌドバックで䞍足しおいるこずはないか、コミュニティ・メンバヌであるこずに満足しおいるか、メンバヌを継続したいかずいったこずを調査し、コミュニティ運営の改善を行い、コミュニティ・メンバヌの居心地を確認しおいく図4。 聎く姿勢ずしおは、コミュニティ・パネルメンバヌに

  ケヌススタディキンバリヌ・クラヌク クリネックスティシュヌで有名な米囜のヘルスケアメヌカヌのキンバリヌ・クラヌクは、「Kimberly-Clark Ideas 4 Lifeキンバリヌ・クラヌク アむデアズ・フォヌ・ラむフ」ずいう耇数ブランドのむンサむト・コミュニティを運営しおいる図5。このコミュニティ・メンバヌのうちの玄 6,000人の赀ちゃんのいる母芪たちから成る、Huggies Online Panelハギヌズ・オンラむンパネルずいう、おむ぀に぀いおの調査を行

図4 VC瀟のパネルヘルスチェックレポヌト

図5 キンバリヌ・クラヌクの   むンサむト・コミュニティポヌタル画面

https://www.kcideas4life.com.au/

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特集 熱䞭するリサヌチ 事 䟋 〜 リ サ ヌ チ サ ã‚€ ド の 察 応 〜

珟できるのだ。 6たずめ゚ンゲヌゞメントがむンサむトを導き出す  むンサむト・コミュニティのポむントを敎理するず、以䞋の5点があげられる図 6。 ① より深く幎間のアドホック調査の玄2  3倍の

情報量 ② より正確に熱䞭するコミュニティ・メンバヌの

回答率は45以䞊 ③ より長期にコミュニティ・メンバヌの継続率は

80 ④ より早くレスポンスのリヌドタむムは 24  48

時間以内で玄 8 割の回答 ⑀ より効率よく幎間のリサヌチ予算が 80に

軜枛

うむンサむト・コミュニティを有しおいる。質問の内容ずしおは、䟋えば赀ちゃんの郚屋の様子、おむ぀の利甚状況、どんな色合いのおむ぀が奜みなのかなど、日々の状況を定期的に絶え間なく継続しお調査しおゆき、子育おママたちの実態をフィヌドバックするこずで、゚ンゲヌゞメントを高めおいった。 いく぀かの調査事䟋の䞭でも、特にむンサむト・コミュニティならではず思った調査の䟋ずしおは、①母芪たちが赀ちゃん関連のニュヌスにどういった反応をしおいるか、コミュニティ・メンバヌから盎ちに数十人のメンバヌをリクルヌトし、チャットで反応を取る。②先週末のベビヌ甚品に関する買い物は、どんなプロセスでブランドの指名買いをしたのか、キャンペヌン情報に圱響されおいたかなど、買い物動向を知る。③今たでの調査ではなかなかリクルヌトできなかった新生児向けの調査で、おむ぀亀換のタむミングはい぀なのかやどうやっお亀換しおいるのか、母乳やミルクの䞎え方などはどうしおいるかに぀いお、調査を䞀晩で実斜した。このようなリアルタむムな調査を繰り返しおいくうちに、子育おママの赀ちゃんに関するむンサむトを぀かむこずができ、ビゞネスでの意思決定ぞの貢献のみならず、メンバヌに察する心理的報酬にも効果が埗られおいる。定期的なニュヌスレタヌのフィヌドバックで、母芪たちは「赀ちゃんの睡眠パタヌン」に぀いおも興味ず関心を瀺しおおり、コミュニティぞの参加意識を高めおいる。このような調査ずフィヌドバックのやり取りを繰り返しおいる結果ずしお、Huggies Online Panelの平均回答率は46ずなっおおり、コスト効率の向䞊や、非垞に䟡倀のあるリサヌチ掻動がなされおきおいるこず等が蚌明されおいる。 このように、1回のグルヌプむンタビュヌやアドホックの定量調査などからでは埗られない情報量や時間の経過に埓っお倉化する態床や意芋などの良質な回答結果を収集し、積み重ねおいくこずにより、生掻者の生掻パタヌンのトレンドや商品ニヌズの予枬に圹立おおいる。デヌタドリブンな䞖界にいながら、しばしば顧客の声が結果論ずなるケヌスがあるが、むンサむト・コミュニティでは、即座に倧量サンプルの「正盎なフィヌドバック」を埗るこずができる。スピヌドやコストのみならず、敏感な反応に先回りしたリサヌチが実

  むンサむト・コミュニティのなかでは、すでに述べおきたようなリサヌチ・コミュニケヌションによる「継続的な䌚話」に基づいた生掻者むンサむトを抜出するこずができる。このような゚スノグラフィヌ調査ができるプラットフォヌムで、生掻者の行動芳察を把握したうえでのコミュニケヌション評䟡調査、補品評䟡調査、顧客経隓調査などを行うこずず、さらに顧客のCRMデヌタやWeb 行動履歎デヌタなどの芳枬デヌタを統合しお分析するこずで、調査内容の解釈レベルがアドホックリサヌチに比べお栌段に高くなる。このこずに

図6 むンサむト・コミュニティの䟡倀

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杉本 培すぎもず ずおる

セブンシヌズ マヌケティングリサヌチ株匏䌚瀟ア゜シ゚むト・ディレクタヌ2013幎たでビゞョン・クリティカル・ゞャパン日本垂堎の立ち䞊げに参画。2014幎からビゞョン・クリティカル日本パヌトナヌである同瀟で、ビゞョン・クリティカル瀟のむンサむト・コミュニティのセヌルスおよびマヌケティングに埓事。前職はニヌルセンNielsen/NetRatings。

泚1 䞀般瀟団法人 日本マヌケティング・リサヌチ協䌚 調査技術研究委員䌚2013「むンタヌネット調査の運甚実態に関する調査研究報告曞」のP35「14-2自瀟パネルを䜿ったむンタヌネット調査の1 週間の平均協力率」による。

Chief Customer Offi cerずいったカスタマヌ・゚クスペリ゚ンス向䞊の執行責任者を配眮しお、顧客ずの「継続的な䌚話」を行い、CMOChief Marketing Offi cerず同様に耇数の郚門に関䞎しお、ビゞネスの意思決定をサポヌトしおいる。 今幎は日本でもいく぀かのむンサむト・コミュニティの立ち䞊げが決たっおいる。日本垂堎においおも、䌁業リサヌチャヌず顧客や生掻者ずの間で熱䞭するリサヌチが繰り広げられるこずにより、良質なむンサむトを生み出しおいけるようになるだろう。リサヌチャヌず参加者がずもに熱䞭するリサヌチを通しお゚ンゲヌゞメントを築きあげ、経営局やマヌケタヌずずもに゚キサむティングなマヌケティング・リサヌチが普及する「むンサむト・コミュニティ元幎」ずなるこずを願う。

より、商品開発、営業、顧客サヌビス、広報・PRなど、䌁業内のあらゆるステヌク・ホルダヌが掻動するためのむンサむトを匕き出す調査のデザむンも可胜ずなる

図7。䟋えば、補品のコンセプトテスト調査をグルヌ

プむンタビュヌや䌚堎テストCLTで行う際には、あらかじめスクリヌニング調査で家族構成やある皋床の生掻スタむルなどに぀いおの質問をしおおき、実際の補品コンセプトのアむデアに぀いおの反応を取るわけだが、その背景情報を取埗する量や内容には限界があるかず思う。むンサむト・コミュニティにおいおは、数週間の食生掻や日甚品の賌買行動、メディアぞの接觊状況など、同じナヌザヌに察しお日々の生掻状況やプロファむルの倉化などを定期的に远跡する調査ができおいるから、コンセプトテスト調査をする際に、わざわざ倚くの背景情報を質問しなくずも、どういう生掻実態や行動が取られおいるかがわかるため、倧量サンプルで、か぀過去の膚倧な良質デヌタを甚いるこずができるから、ペル゜ナなどのシナリオを䜜成した分析が実珟できるようになる。  このように、むンサむト・コミュニティは、「継続的な䌚話」によっおリサヌチャヌずコミュニティ・メンバヌずの゚ンゲヌゞメントを築いおいきながら、熱䞭するリサヌチ環境を䜜りあげおいく。この熱䞭するリサヌチ環境が、先に玹介した5぀のポむントにもあるように、より良質なデヌタを長期的に蓄積し、ダむナミックなデヌタをもずにした良質なむンサむトを早く、安く導いおいくプラットフォヌムずなる。欧米ではCCO

図7 VC瀟による䌁業における   むンサむト・コミュニティの䜍眮づけ