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2015年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 年年年年年年年 年年年年年年年 年年年年 年年年年 2011年 2014年SPES年年年年 年年年年年 年年 年年年年年年年 ()一 2014年12年1年 年年年年年年 情情情情情情情情

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「 2015年 度 ソ フ ト ウ ェ ア 工 学 分 野 の 先 導 的 研 究 支 援 事 業 に

関 す る 委 託 契 約 」 に 係 る 企 画 競 争   公 募 要 領

別 冊 資 料

「 2011年 ~ 2014年 SPES事 例 研 究 ( 経 験 報 告 )

の 一 覧 お よ び 概 要 」

2014 年12 月1 日

独 立 行 政 法 人 情 報 処 理 推 進 機 構

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目   次

1. SPES事 例 研 究 ( 経 験 報 告 ) 一 覧

2014年 (12 件 )····································································12013年 (14 件 )····································································12012年 (15 件 )····································································22011年 (13 件 )····································································3

2. SPES事 例 研 究 ( 経 験 報 告 ) 概 要

2014年 ················································································· 42013年 ················································································· 62012年 ················································································· 102011年 ················································································· 17

当 資 料 は 、 一 般 社 団 法 人 情 報 サ ー ビ ス 産 業 協 会 ( JISA ) が 毎 年 開 催 し て い る

技 術 シ ン ポ ジ ウ ム SPESに つ い て 、 JISA の Web ペ ー ジ で 公 開 し て い る 内 容 を も

と に 取 り ま と め た も の で す 。 な お 、 一 覧 の 「 分 類 」 は 各 事 例 研 究 ( 経 験 報

告 ) の 概 要 を も と に 独 立 行 政 法 人 情 報 処 理 推 進 機 構 が 付 与 し た も の で す 。

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1. SPES 事 例 研 究 ( 経 験 報 告 ) 一 覧2014 年№ 分 類 コ

タ イ ト ル 企 業 名

1 要 求 工 学 S1a

ド メ イ ン 特 化 型 要 求 抽 出 の 取 り 組

み ~ 交 差 点 に お け る 運 転 行 動 に よ

る 環 境 変 化 を 考 慮 し た 要 求 抽 出 ~

㈱ デ ン ソ ー ア イ

テ ィ ー ラ ボ ラ ト リ

2 テ ス ト 駆 動

開 発

S1b

受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 に よ る

ウ ェ ブ サ ー ビ ス 構 築 の 実 践 事 例

( theta360 を 支 え る 技 術 と 開 発 手

法 )

リ コ ー IT ソ リ ュ ー

シ ョ ン ズ ㈱

3 プ ロ ジ ェ ク

ト 管 理

S1c

実 践 知 識 の 発 掘 と 共 有 ~ 現 場 技

術 者 が ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 で 実 践 し

て い る 工 夫 点 ~

NEC ソ リ ュ ー シ ョ ン

イ ノ ベ ー タ ㈱

4 テ ス ト 駆 動

開 発

S2a

ユ ー ザ ー エ ク ス ペ リ エ ン ス 品 質 設

計 プ ロ セ ス 導 入 に よ る 大 規 模 シ ス

テ ム 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る 失

敗 の 削 減

NEC ソ リ ュ ー シ ョ ン

イ ノ ベ ー タ ㈱

5 テ ス ト 駆 動

開 発

S2b

受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 の ベ ス

ト ・ プ ラ ク テ ィ ス に 関 す る 考 察

㈱ オ ー ジ ス 総 研

6 プ ロ ジ ェ ク

ト 管 理

S2c

多 様 な プ ロ ジ ェ ク ト 管 理 の 課 題 に

対 す る ツ ー ル の 適 用 ~ Redmine の

活 用 事 例 ~

AVC テ ク ノ ロ ジ ー ㈱

7 要 求 工 学 S3a

REBOK( 要 求 工 学 知 識 体 系 ) に 基 づ

く ト レ ー ニ ン グ の 実 施 ~ 見 え て き

た 課 題 ~

パ ナ ソ ニ ッ ク ㈱

8 テ ス ト S3b

「 再 利 用 」 「 自 動 化 」 に よ る テ ス

ト 工 程 生 産 性 向 上 の 取 組 み

TIS ㈱

9 標 準 化 S3c

適 用 率 100 % 達 成 の 標 準 適 用 プ ロ

セ ス 事 例 報 告

NEC ネ ク サ ソ リ ュ ー

シ ョ ン ズ ㈱

10 要 求 工 学 S4a

要 求 仕 様 書 の 品 質 向 上 に 向 け た 活

動 報 告 ~ 一 貫 性 検 証 の 形 式 知 化

お よ び 自 動 化 ~

東 芝 ソ リ ュ ー シ ョ ン

11 ア ジ ャ イ ル S4b

ス ク ラ ム マ ス タ ー 奮 闘 記 waterfallな 若 手 SE の ア ジ ャ イ ル チ ー ム ビ ル

デ ィ ン グ

富 士 通 エ フ ・ ア イ ・

ピ ー ㈱

12 人 材 育 成 S4c

目 的 思 考 に 導 く 「 成 長 モ デ ル 」 を

基 盤 と し た 仕 組 み ~ 手 段 思 考 か ら

㈱ デ ン ソ ー ク リ エ イ

1

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の 脱 却 を 目 指 し て ~

2013 年№ 分 類 コ

タ イ ト ル 企 業 名

1 そ の 他 S1a

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 に お け る 電 子 掲

示 板 を 用 い た 非 同 期 コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン 改 善 の 試 み

㈱ 東 芝

2 そ の 他 S1b

開 発 文 書 の 品 質 向 上 へ の 取 り 組 み

~ 開 発 文 書 品 質 と プ ロ ジ ェ ク ト 実

績 と の 相 関 ~

ア ヴ ァ シ ス ㈱

3 要 求 工 学 S1c

NDS 要 求 開 発 活 動 の ご 紹 介 ㈱ ニ ッ ポ ン ダ イ ナ

ミ ッ ク シ ス テ ム ズ

4 プ ロ セ ス 改

S1d

自 律 改 善 継 続 実 現 要 因 の 考 察 - 現

場 自 ら が 「 次 も 改 善 を 回 そ う ! 」

と 行 動 す る た め に 必 要 な 要 因 は 何

か ? ~ SPINA3CH 自 律 改 善 メ ソ ッ ド

実 証 実 験 か ら 得 ら れ た 知 見

㈱ HBA

5 人 材 育 成 S2a

ト ッ プ ガ ン 研 修 構 築 の 考 え 方 と 実

践 - 課 題 解 決 力 、 リ ー ダ ー シ ッ プ

力 の 向 上 を 目 指 し て -

㈱ デ ン ソ ー 技 研 セ ン

タ ー

6 ア ジ ャ イ ル S2b

高 品 質 を 重 視 し た NEC ア ジ ャ イ ル

~ ソ フ ト ウ ェ ア 品 質 会 計 の エ ッ セ

ン ス を ア ジ ャ イ ル 開 発 に 適 用 ~

日 本 電 気 ㈱

7 開 発 手 法 S2c

デ ジ タ ル 複 写 機 の ネ ッ ト ワ ー ク 開

発 へ の XDDP 適 用 事 例

リ コ ー I T ソ リ ュ ー

シ ョ ン ズ ㈱

8 プ ロ セ ス 改

S2d

「 改 善 を や め た 」 組 織 で の プ ロ セ

ス 改 善 ~ プ ロ セ ス 改 善 は や り 直

せ る の か ~

ヤ マ ハ ㈱

9 そ の 他 S2f

高 品 質 な コ ア 資 産 開 発 の た め の レ

ガ シ ー 資 産 活 用 の 取 組 み - コ ー ド

ク ロ ー ン 検 出 ツ ー ル CCFinderX を 用

い た レ ガ シ ー ソ ー ス コ ー ド の 分 析

事 例 -

東 芝 ソ リ ュ ー シ ョ ン

10 人 材 育 成 S3a

ピ ア ・ レ ビ ュ ー と 履 行 検 証 に 着 目

し た 若 手 技 術 者 の 育 成 ~ 業 務 の 中

で 自 然 に 学 ぶ 方 式 ~

㈱ デ ン ソ ー ク リ エ イ

11 ソ フ ト ウ ェ

ア 品 質 管 理

S3b

ソ フ ト ウ エ ア 開 発 に お け る QCD 指標 を 活 用 し た 品 質 向 上 へ の 取 組 み

~ ユ ー ザ 部 門 に お け る 品 質 管 理 の

KDDI ㈱

2

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実 践 的 手 法 の 確 立 ~

12 形 式 手 法 S3c

情 報 シ ス テ ム に お け る 形 式 手 法 活

用 へ の 取 り 組 み

㈱ 日 立 製 作 所

13 ソ フ ト ウ ェ

ア 開 発 手 法

S3d

リ コ ー に お け る ソ フ ト ウ ェ ア プ ロ

ダ ク ト ラ イ ン 導 入 に 向 け た 課 題 特

定 の 取 り 組 み 事 例

㈱ リ コ ー

14 テ ス ト 駆 動

開 発

S3f

受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 に よ る 実

行 可 能 な 仕 様 に 関 す る 検 証 結 果

㈱ オ ー ジ ス 総 研

2012 年№ 分 類 コ

タ イ ト ル 企 業 名

1 要 求 工 学 F3a

早 期 の 要 求 獲 得 ・ 問 題 解 決 を 実 現

す る 仕 組 み づ く り

㈱ デ ン ソ ー ク リ エ イ

2 オ フ シ ョ ア F3b

オ フ シ ョ ア 開 発 に お け る 単 体 テ ス

ト の 生 産 性 向 上 策 ~ 入 力 支 援 ツ ー

ル に よ る 言 語 の 壁 の 克 服 ~

富 士 通 エ フ ・ ア イ ・

ピ ー ㈱

3 プ ロ セ ス 改

F3c

継 続 的 な 価 値 提 供 の た め の 改 善 プ

ロ セ ス

リ コ ー IT ソ リ ュ ー

シ ョ ン ズ ㈱

4 要 求 工 学 F4a

要 求 仕 様 か ら 利 用 品 質 ~ ソ フ ト

ウ ェ ア 品 質 特 性 へ の リ バ ー ス 結 果

に 基 づ く 要 求 仕 様 レ ビ ュ ー ~ 利 用

者 に 喜 ば れ る ・ 役 立 つ シ ス テ ム の

構 築 に 向 け て

㈱ HBA

5 ア ジ ャ イ ル F4b

オ フ シ ョ ア 開 発 に お け る ア ジ ャ イ

ル 開 発 の 取 り 組 み と 評 価

㈱ オ ー ジ ス 総 研

6 ア ジ ャ イ ル F4c

“ チ ー ム 力 ” で 派 生 開 発 を 成 功 さ

せ る 為 の “ 仕 掛 け 作 り ” - XDDPと SCRUM の 併 用 で 派 生 開 発 を 極 め

る -

ソ ニ ー イ ー エ ム シ ー

エ ス ㈱

7 要 求 工 学 S1a

要 求 獲 得 プ ロ セ ス の 可 視 化 と 検 証

の 自 動 化

東 芝 ソ リ ュ ー シ ョ ン

8 運 用 S1b

業 務 運 用 の 品 質 向 上 に 向 け た 取 り

組 み ~ メ ン バ 全 員 ( 17名 ) 参 加

に よ る 継 続 的 な 改 善 活 動 へ の 挑 戦

富 士 通 エ フ ・ ア イ ・

ピ ー ㈱

9 プ ロ セ ス 改

S1c

TOC 思 考 プ ロ セ ス に よ る 改 善 施 策

の 合 意 形 成 - テ ス ト プ ロ セ ス 改 善

に お け る 事 例 -

㈱ 日 立 製 作 所

3

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10 要 求 工 学 S2a

要 求 開 発 手 法 「 HyThology」 ~ REBOK実 践 の 取 り 組 み

㈱ 日 立 ソ リ ュ ー シ ョ

ン ズ

11 標 準 化 S2b

社 内 シ ス テ ム 開 発 標 準 の 開 発 に お

け る テ ン プ レ ー ト 開 発 作 業 の 効 率

化 と 高 品 質 化

東 芝 ソ リ ュ ー シ ョ ン

12 プ ロ セ ス 改

S2c

画 面 設 計 の 開 発 プ ロ セ ス の 改 善 へ

の 取 り 組 み - プ ロ ト タ イ プ を 用 い

た 画 面 イ メ ー ジ の 認 識 統 一 の 事 例

㈱ 日 立 製 作 所

13 要 求 工 学 S3a

第 3 者 レ ビ ュ ー に よ る 要 件 定 義 書

の 品 質 向 上 の 取 り 組 み

㈱ NTT デ ー タ

14 ソ フ ト ウ ェ

ア メ ト リ ク

S3b

COSMIC 概 算 法 に よ る 概 算 規 模 測 定

の 測 定 コ ス ト 削 減 の 検 討 結 果

㈱ オ ー ジ ス 総 研

15 ユ ー ザ ビ リ

テ ィ

S3c

NRI の 社 内 業 務 シ ス テ ム に お け る

RIA 化 の 取 り 組 み ~ RIA 化 に お け

る ポ イ ン ト ・ 課 題 に 関 す る 考 察 ~

㈱ 野 村 総 合 研 究 所

2011 年№ 分 類 コ

タ イ ト ル 企 業 名

1 ユ ー ザ ビ リ

テ ィ

F3a

業 務 シ ス テ ム の ユ ー ザ ビ リ テ ィ 評

価 と 品 質 向 上 に 関 す る 取 り 組 み

㈱ 三 菱 総 合 研 究 所

2 保 守 F3b

チ ー ム に よ る 保 守 業 務 改 善 の 取 組

~ 保 守 業 務 の 『 見 え る 化 』 ~

富 士 通 エ フ ・ ア イ ・

ピ ー ㈱

3 保 守 F4b

仮 想 化 技 術 を 活 用 し た シ ス テ ム 保

守 効 率 化 施 策 の 検 討

㈱ 日 立 製 作 所

4 そ の 他 S1a

簡 易 な 調 達 先 ア セ ス メ ン ト 方 法 の

提 案 - 共 に 成 長 す る 改 善 を 目 指 し

ヤ マ ハ ㈱

5 要 求 工 学 S1b

人 間 科 学 と 工 学 の ア プ ロ ー チ に よ

る 要 求 獲 得 の 質 を 上 げ る た め の イ

ン タ ビ ュ ー 手 法 の 開 発

富 士 通 ㈱

6 開 発 手 法 S1c

人 が 作 る ソ フ ト ~ 経 験 的 な 開 発 手

法 の 実 践 事 例 ~

リ コ ー IT ソ リ ュ ー

シ ョ ン ズ ㈱

7 ソ フ ト ウ ェ

ア 品 質

S1

プ ロ ジ ェ ク ト 環 境 を 考 慮 し た 設 計

品 質 評 価 手 法 に つ い て の 考 察

三 菱 電 機 イ ン フ ォ

メ ー シ ョ ン シ ス テ ム

4

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d ズ ㈱

8 ソ フ ト ウ ェ

ア 品 質

S1f

知 的 技 術 の 形 式 化 に よ る 、 SI 開 発

業 務 の 品 質 改 善 に つ い て

NEC シ ス テ ム テ ク ノ

ロ ジ ー ㈱

9 ソ フ ト ウ ェ

ア 品 質

S2b

派 生 開 発 に お け る 要 求 仕 様 書 の 品

質 向 上 活 動

ア ヴ ァ シ ス ㈱

10 ソ フ ト ウ ェ

ア メ ト リ ク

S2c

COSMIC 法 に 基 づ く Force.com 開 発 プ

ロ ジ ェ ク ト の 生 産 性 分 析 結 果

㈱ オ ー ジ ス 総 研

11 プ ロ セ ス 改

S3a

ト レ ー ニ ン グ 指 向 ア プ ロ ー チ に よ

る プ ロ セ ス 改 善 - 現 場 の キ ー パ ー

ソ ン を 育 て る 「 現 場 SQA 」 方 式 -

㈱ デ ン ソ ー ク リ エ イ

12 要 求 工 学 S3b

要 件 定 義 の 生 産 性 を 向 上 さ せ る た

め の 最 適 化 へ の 取 り 組 み

東 芝 ソ リ ュ ー シ ョ ン

13 ア ジ ャ イ ル S3c

オ フ シ ョ ア 開 発 に お け る ア ジ ャ イ

ル 開 発 の プ ラ ク テ ィ ス

㈱ オ ー ジ ス 総 研

5

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2. SPES 事 例 研 究 ( 経 験 報 告 ) 概 要2014 年№ 分 類 コ ー

タ イ ト ル 概 要

1 要 求 工

S1a ド メ イ ン

特 化 型 要

求 抽 出 の

取 り 組 み

~ 交 差 点

に お け る

運 転 行 動

に よ る 環

境 変 化 を

考 慮 し た

要 求 抽 出

  交 差 点 で は 、 運 転 に 影 響 を 与 え る 外 的 要 因 や ド ラ

イ バ の 内 的 要 因 が 非 常 に 多 く 、 運 転 に お け る 認 知 ・

判 断 ・ 操 作 の 各 段 階 に お い て 満 た す べ き 状 態 が 変 化

す る た め 、 事 故 防 止 の た め の 要 求 を す べ て 抽 出 す る

こ と が 困 難 で あ る 。 そ の た め 、 要 求 抽 出 に は 深 い ド

メ イ ン 知 識 が 必 要 で あ り 、 開 発 者 同 士 が 共 通 理 解 を

得 る の が 困 難 で あ っ た 。 本 案 で は 、 こ の よ う な 交 差

点 に お け る 安 全 の た め の 要 求 抽 出 に 特 化 し た 手 法 を

提 案 す る 。

  ま ず 、 従 来 手 法 と し て 、 ゴ ー ル 指 向 要 求 分 析 の 一

手 法 で あ る KAOS(Knowledge Acquisition in autOmated Specification) に つ い て 触 れ 、 そ の 問 題 点 を 指 摘 す る 。

次 に 、 ゴ ー ル モ デ ル を ベ ー ス に 、 場 の 概 念 モ デ ル と

シ ナ リ オ 分 析 を 組 み 合 わ せ る こ と で 要 求 を 可 視 化 す

る 手 法 を 提 案 す る 。 そ し て 提 案 手 法 の 評 価 の た め

に 、 実 デ ー タ 用 い て 要 求 抽 出 す る 。 さ ら に 、 提 案 手

法 の 有 効 性 評 価 の た め に 、 現 行 シ ス テ ム の 対 応 範 囲

を 可 視 化 す る 。 最 後 に 、 そ れ ら 適 用 結 果 に つ い て 考

察 す る 。

2 テ ス ト

駆 動 開

S1b 受 け 入 れ

テ ス ト 駆

動 開 発 に

よ る ウ ェ

ブ サ ー ビ

ス 構 築 の

実 践 事 例

theta360を 支 え る

技 術 と 開

発 手 法 )

THETA360 で 高 品 質 か つ 洗 練 さ れ た ユ ー ザ ー 体 験 を 提

供 す る べ く 、 Web シ ス テ ム 構 築 へ の 取 組 み を 実 施 し

た 。

・ リ ー ン ス タ ー ト ア ッ プ 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 を ベ ー ス

と し た 開 発 手 法 で 、 MVP を 早 期 に 完 成 さ せ 、 本 質 的

な 価 値 の 徹 底 的 検 証 を 実 施

・ 開 発 サ イ ク ル に 受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 に よ る ア

プ ロ ー チ を 採 用 し 、 実 際 の も の づ く り か ら 品 質 保 証

に 至 る ま で 一 貫 し た 対 応 を 実 施

・ テ ス テ ィ ン グ フ レ ー ム ワ ー ク を 用 い 、 受 け 入 れ テ

ス ト の 自 動 化 へ の 試 み

こ れ ら の 取 組 み 及 び そ の 結 果 を 示 し 、 い か に 短 納

期 か つ 高 品 質 な ア ウ ト プ ッ ト に 繋 げ ら れ た の か を 述

べ る 。

3 プ ロ

ジ ェ ク

ト 管 理

S1c 実 践 知 識

の 発 掘 と

共 有

~ 現 場 技

ソ フ ト ウ ェ ア 製 品 開 発 に お い て 成 功 し た プ ロ ジ ェ ク

ト を 分 析 す る と , ベ テ ラ ン 技 術 者 が 過 去 の 経 験 か ら

得 た 知 識 を 活 用 し て 成 功 に 導 い て い る こ と が わ か っ

た . そ の た め , ベ テ ラ ン 技 術 者 の 持 つ 知 識 を 企 業 資

6

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術 者 が ソ

フ ト ウ ェ

ア 開 発 で

実 践 し て

い る 工 夫

点 ~

産 と し て プ ロ ジ ェ ク ト に 活 用 す る こ と は , 事 業 を 発

展 さ せ る た め に 非 常 に 重 要 で あ る .

  し か し , ベ テ ラ ン 技 術 者 の 知 識 は 暗 黙 知 と な っ

て い る こ と が 多 く , 企 業 資 産 と し て 共 有 し 有 効 活 用

す る こ と は 簡 単 で は な い . 本 活 動 で は , ベ テ ラ ン 技

術 者 の 暗 黙 知 を 形 式 知 と し て 獲 得 す る 手 法 を 提 案

し , 手 法 を 実 プ ロ ジ ェ ク ト に 適 用 し た 結 果 を 発 表 す

る .

4 テ ス ト

駆 動 開

S2a ユ ー ザ ー

エ ク ス ペ

リ エ ン ス

品 質 設 計

プ ロ セ ス

導 入 に よ

る 大 規 模

シ ス テ ム

開 発 プ ロ

ジ ェ ク ト

に お け る

失 敗 の 削

顧 客 要 求 の 高 度 化 に 伴 い 、 シ ス テ ム は 複 雑 に な り 、

使 い や す く わ か り や す い 操 作 が 求 め ら れ て い ま す 。

具 体 的 に は 、 SaaS な ど の ク ラ ウ ド 利 用 に 伴 う 業 務 シ

ス テ ム の サ ー ビ ス 化 や 、 ス マ ー ト デ バ イ ス な ど の コ

ン シ ュ ー マ 製 品 ・ サ ー ビ ス の 業 務 へ の 浸 透 が そ れ に

当 た り ま す 。

  こ の よ う な ニ ー ズ に 対 応 す る た め に は 、 シ ス テ

ム や サ ー ビ ス を 人 の 視 点 に た っ て ユ ー ザ ー の 体 験 価

値 を 高 め る 「 ユ ー ザ ー エ ク ス ペ リ エ ン ス ( User eXperience: UX ) 」 の 考 え 方 と 、 わ れ わ れ の よ う な SI/ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 を 遂 行 す る 企 業 に お け る 大 規 模 な

プ ロ ジ ェ ク ト へ 適 用 さ せ る た め の 新 し い 手 法 が 必 要

と な り ま す 。

  な お 、 こ こ で 定 義 し て い る 「 大 規 模 」 プ ロ ジ ェ

ク ト と は 、 2 年 以 上 継 続 し て 実 施 さ れ 、 開 発 者 数 が

述 べ 100 人 を 超 え た プ ロ ジ ェ ク ト を 示 し ま す 。 開 発

に は 、 NEC グ ル ー プ だ け で な く 、 様 々 な 関 係 会 社 も

関 わ っ て お り 、 オ フ シ ョ ア と し て 中 国 企 業 も 利 用 し

て い ま す 。

  今 回 は 、 製 造 業 務 系 の 生 産 管 理 シ ス テ ム と 、 基

幹 業 務 系 の 営 業 管 理 シ ス テ ム の 、 2 つ の 大 規 模 プ ロ

ジ ェ ク ト に 対 し 、 UX設 計 プ ロ セ ス を 適 用 し た の で 、

そ の 結 果 を 報 告 し ま す 。

5 テ ス ト

駆 動 開

S2b 受 け 入 れ

テ ス ト 駆

動 開 発 の

ベ ス ト ・

プ ラ ク

テ ィ ス に

関 す る 考

  ア ジ ャ イ ル 開 発 の 普 及 に 伴 い 、 受 け 入 れ テ ス ト 駆

動 開 発 ( A-TDD) は テ ス ト 駆 動 開 発 や 継 続 的 イ ン テ グ

レ ー シ ョ ン な ど と 同 様 に 、 品 質 保 証 す る た め の 重 要

な 技 術 プ ラ ク テ ィ ス の ひ と つ と し て 注 目 さ れ て い

る 。 し か し 、 A-TDD の 適 用 の 難 し さ 、 及 び 導 入 、 開

発 、 メ イ ン テ ナ ン ス の た め の 高 い コ ス ト は A-TDD 普

及 の 障 害 と な っ て い る 。

  本 研 究 で は 2 件 の 実 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て A-TDDを 適 用 し 、 そ の 結 果 の 測 定 と 考 察 を 行 っ た 。 本 論 で

は 、 こ の 概 要 を 述 べ る と 共 に 、 A-TDD の 難 し さ や コ

7

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ス ト の 低 減 に 貢 献 す る プ ラ ク テ ィ ス を ま と め る 。

6 プ ロ

ジ ェ ク

ト 管 理

S2c 多 様 な プ

ロ ジ ェ ク

ト 管 理 の

課 題 に 対

す る ツ ー

ル の 適 用

Redmineの 活 用 事

例 ~

  ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 管 理 は 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 目 的 や

成 果 物 に よ っ て プ ロ セ ス や 管 理 手 法 が 変 化 し ま す 。

プ ロ ジ ェ ク ト 管 理 の ツ ー ル は 数 多 く 存 在 し ま す が 、

そ れ ぞ れ の ツ ー ル 独 自 の プ ロ セ ス が 定 義 さ れ て い る

こ と が 多 く 、 違 う 環 境 や 違 う 目 的 の プ ロ ジ ェ ク ト に

適 用 す る 場 合 、 結 果 的 に 開 発 メ ン バ ー に と っ て 使 い

に く い ツ ー ル に な っ て し ま い 、 十 分 に 活 用 さ れ な い

こ と も 少 な く あ り ま せ ん 。

  Redmineは 、 BTS(Bug   Tracking   System) と し て 開 発

さ れ た オ ー プ ン ソ フ ト の ア プ リ ケ ー シ ョ ン で す が 、

障 害 管 理 だ け で な く 、 タ ス ク ( 作 業 ) 管 理 、 情 報 共

有 も 行 え る 汎 用 性 の 高 い ツ ー ル で す 。 弊 社 に お い て

は 、 そ の 柔 軟 性 を 活 用 し 、 不 具 合 管 理 や プ ロ ジ ェ ク

ト の 進 捗 管 理 な ど 様 々 な プ ロ ジ ェ ク ト に 対 応 し て ま

い り ま し た 。 そ れ ら の 事 例 を 紹 介 い た し ま す 。

7 要 求 工

S3a REBOK( 要

求 工 学 知

識 体 系 )

に 基 づ く

ト レ ー ニ

ン グ の 実

~ 見 え て

き た 課 題

2011 年 に 発 行 さ れ た REBOK®( 要 求 工 学 知 識 体 系 ) に

基 づ き 研 修 教 材 を 開 発 し 、 自 社 内 と 社 外 ( JISA 様 主

催 ) の 2 回 、 研 修 を 開 催 し た 。

  教 材 は 、 も と も と 新 入 社 員 向 け に 実 践 で 使 用 で

き る こ と を 前 提 に ケ ー ス ス タ デ ィ に 基 づ き 、 ロ ー ル

プ レ イ ン グ 形 式 で 実 施 さ れ て い た も の を 改 訂 し て 開

発 し た 。

  実 際 に 、 研 修 を 実 施 し た 結 果 と ア ン ケ ー ト 結 果

を 分 析 し た 結 果 、 下 記 の 2 つ の 課 題 が 明 ら か に な っ

た 。 (1)受 講 生 は 顧 客 の RFP( 提 案 依 頼 書 ) を 追 認 す る

傾 向 が 強 く 、 演 習 途 中 で 出 現 す る 矛 盾 に 手 詰 ま り 感

を 感 じ て い た 、 (2)R E B O K ® の プ ラ ク テ ィ ス ( 28個 ) と 、 演 習 と の 対 応 が 理 解 し づ ら い 。

  今 後 の 課 題 と し て 、 (1)受 講 者 が 研 修 の 早 い 段 階 で

顧 客 の 真 の 要 求 に 気 付 き か せ る 。 (2)演 習 を 進 め る 中

で R E B O K ® の 枠 組 み ・ 構 成 を 学 ぶ 。 (3)1 日 研 修

の 開 発 。 の 3 項 目 の 解 決 を 目 指 す 。

8 テ ス ト S3b 「 再 利

用 」 「 自

動 化 」 に

よ る テ ス

ト 工 程 生

産 性 向 上

の 取 組 み

シ ス テ ム 開 発 期 間 の 短 期 化 、 シ ス テ ム 投 資 の 削 減 と

い っ た 顧 客 ニ ー ズ に 応 え る た め 、 当 社 で は 「 再 利

用 」 「 自 動 化 」 に 着 目 し た 、 テ ス ト 工 程 の 生 産 性 向

上 に 取 り 組 ん だ 。   テ ス ト に お け る 「 再 利 用 」

「 自 動 化 」 と い う と 、 テ ス ト 実 行 / 検 証 自 動 化 の 知

名 度 が 高 い 。 し か し 、 開 発 者 に よ る テ ス ト コ ー ド 実

装 等 の 準 備 コ ス ト が 問 題 と な り 、 受 託 開 発 で は 適 用

が 難 し い 場 合 が 多 い 。 ま た 保 守 フ ェ ー ズ に 渡 っ て 、

8

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持 続 的 に 生 産 性 向 上 効 果 を 享 受 す る た め に は 、 テ ス

ト 自 動 化 対 象 の 選 別 や 、 効 率 的 な 自 動 化 方 式 の 設 計

な ど 、 高 度 な ノ ウ ハ ウ と テ ス ト 戦 略 が 必 要 と な る 点

も 適 用 を 難 し く さ せ て い る 。   弊 社 で は 、 受 託 開

発 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る 導 入 ・ 活 用 の 容 易 性 と 即 効

性 を 重 視 し 、 テ ス ト 仕 様 書 と 打 鍵 ・ 目 視 確 認 で 行 う

テ ス ト に お け る 生 産 性 を 高 め る テ ス ト 管 理 ツ ー ル を

OSS を ベ ー ス に 開 発 し 、 社 内 展 開 を 進 め た 。   本

稿 で は 、 受 託 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る テ ス ト 管 理

ツ ー ル の 活 用 実 態 お よ び 、 テ ス ト 設 計 お よ び 実 行 、

テ ス ト 工 程 管 理 に お け る 生 産 性 向 上 効 果 に つ い て 紹

介 す る 。

9 標 準 化 S3c 適 用 率

100 % 達

成 の 標 準

適 用 プ ロ

セ ス 事 例

報 告

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 に お い て 、 生 産 性 や 品 質 向 上 の た

め の 標 準 化 の 取 り 組 み は 、 各 方 面 で 様 々 な 取 り 組 み

が 行 わ れ て い る 。 そ の 一 方 で 、 標 準 の 策 定 / 適 用 /定 着 の 作 業 に 膨 大 な 工 数 が 割 か れ て い る に も 関 わ ら

ず 、 納 得 で き る 効 果 が 少 な い の が 現 状 で は な い か と

思 わ れ る 。 弊 社 で は 、 標 準 の 策 定 と 適 用 の 統 制 と と

も に 広 く 標 準 を 周 知 さ せ る 仕 組 み を 構 築 す る こ と

で 、 適 用 率 100% を 達 成 し て い る 。

  適 用 率 の 高 い 標 準 の 策 定 に あ た っ て 弊 社 で は 大

き く 3 つ の 視 点 で 取 り 組 ん で い る 。 第 一 に ト ラ ブ ル

の 未 然 防 止 の 視 点 を 標 準 策 定 に 取 り 組 み 、 標 準 を 適

用 す る 側 に 能 動 的 な 姿 勢 を 促 す こ と 。 次 に 標 準 の 陳

腐 化 を 回 避 す る た め に 技 術 動 向 を 標 準 に 取 り 込 ん で

い る こ と 。 三 つ 目 と し て 標 準 の 展 開 に あ た り 、 組 織

の ト ッ プ と の 間 で 、 適 用 状 況 の フ ィ ー ド バ ッ ク と 標

準 適 用 の 課 題 共 有 の 仕 組 み を 構 築 し 、 組 織 内 で の 適

用 を 促 し て い る こ と で あ る 。

  こ う し た 3 つ の 視 点 で の 取 り 組 み に よ り 高 い 標

準 適 用 率 を 維 持 し て い る 事 例 に つ い て 紹 介 す る 。

10 要 求 工

S4a 要 求 仕 様

書 の 品 質

向 上 に 向

け た 活 動

報 告

~ 一 貫 性

検 証 の 形

式 知 化 お

よ び 自 動

化 ~

  高 品 質 な 要 求 仕 様 書 の 作 成 に は ス テ ー ク ホ ル ダ 間

で の 要 求 の 検 証 が 重 要 で あ る 。 要 求 工 学 知 識 体 系

REBOK で は 、 要 求 の 検 証 の 観 点 と し て 、 完 全 性 、 ト

レ ー サ ビ リ テ ィ 、 一 貫 性 な ど の 品 質 特 性 が 定 義 さ れ

て い る 。 こ れ ら の 特 性 の う ち 、 要 求 間 に 矛 盾 が な い

こ と を 示 す 一 貫 性 の 検 証 は 、 弊 社 で は 技 術 者 や 分 析

者 に 依 存 し た 属 人 的 な 方 法 で 実 施 さ れ て お り 、 そ の

結 果 、 検 証 の 品 質 に バ ラ つ き 発 生 す る と い う 問 題 が

発 生 し て い る 。

  そ こ で 、 要 求 の 一 貫 性 検 証 を 均 質 に 実 施 す る た

9

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め に 、 我 々 は 、 ベ テ ラ ン 技 術 者 の 検 証 ノ ウ ハ ウ を 形

式 知 化 し 、 要 求 仕 様 書 の 品 質 を 検 証 す る 手 法 を 提 案

す る 。 ま た 、 一 貫 性 の 検 証 は 、 膨 大 な 量 の 仕 様 書 を

人 手 で 行 う に は コ ス ト を 要 す る た め 、 自 動 化 し た 。

今 回 、 検 証 す る 対 象 と し て 、 要 求 の 種 類 の う ち ア ク

タ ー に 着 目 し た 。 ア ク タ ー 間 の 矛 盾 は 仕 様 書 全 体 の

品 質 に 影 響 す る た め 、 優 先 し て 評 価 実 験 を 行 っ た 。

実 際 の 要 求 仕 様 書 を 対 象 に 本 提 案 手 法 を 適 用 し た 結

果 、 ア ク タ ー 間 の 一 貫 性 に 不 整 合 が あ る 箇 所 を 特 定

で き た 。 さ ら に 検 証 を 自 動 化 し た こ と に よ り 、 効 率

良 く 不 整 合 を 発 見 す る こ と が で き 、 仕 様 書 の 品 質 検

証 に 有 効 な 手 法 で あ る こ と を 確 認 し た 。

11 ア ジ ャ

イ ル

S4b ス ク ラ ム

マ ス タ ー

奮 闘 記

waterfallな 若 手 SEの ア ジ ャ

イ ル チ ー

ム ビ ル

デ ィ ン グ

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 に お い て 今 や 主 流 の 1 つ で あ る ス

ク ラ ム に よ る ア ジ ャ イ ル 開 発 。 エ ン タ ー プ ラ イ ズ の

世 界 に も そ の 流 れ は 押 し 寄 せ つ つ あ る 。 Waterfall を

法 律 の よ う に 絶 対 的 手 法 と し て 開 発 を 行 っ て き た 弊

社 が 初 め て ス ク ラ ム に よ る シ ス テ ム 開 発 を 行 っ た 。

さ ら に 開 発 チ ー ム の ほ と ん ど が 若 手 SE と い う 状 況

で 、 開 発 チ ー ム に 起 こ っ た 多 く の 失 敗 ス ク ラ ム を 紹

介 、 分 析 す る 。

  そ ん な 中 、 ス ク ラ ム マ ス タ ー と し て チ ー ム に 参

画 し て い た 著 者 が こ の チ ー ム に 対 し て 3 つ の 改 善 策

を 実 施 し た 。 コ マ ン ド & コ ン ト ロ ー ル な 雰 囲 気 の

打 破 、 教 育 的 リ ー ダ ー シ ッ プ の 発 揮 、 小 さ な 成 功 の

提 供 で あ る 。

  本 論 で は 、 発 表 形 式 と い う 事 を 利 用 し て 数 値 に

は 表 れ て こ な い 「 う ま く い っ て い な い ス ク ラ ム の 状

態 」 を 共 有 し 、 さ ら に ス ク ラ ム チ ー ム の チ ー ム ビ ル

デ ィ ン グ の コ ツ を 成 功 事 例 と し て 紹 介 す る 。

12 人 材 育

S4c 目 的 思 考

に 導 く

「 成 長 モ

デ ル 」 を

基 盤 と し

た 仕 組 み

~ 手 段 思

考 か ら の

脱 却 を 目

指 し て ~

品 質 問 題 や 絶 え 間 な く 続 く 高 負 荷 な 状 況 か ら 脱 す る

た め 、 プ ロ セ ス 改 善 を 始 め と し た レ ビ ュ ー の 強 化 等

の 様 々 な 取 り 組 み を し て き た 。 そ れ ら を 定 着 さ せ る

と 共 に 、 有 効 に 実 践 で き る 人 材 を 育 成 す る た め に 、

プ ロ セ ス 遵 守 の 監 査 や 定 量 的 な 目 標 管 理 、 教 育 を

行 っ て き た 。 そ の 中 で 、 現 場 で は プ ロ セ ス 定 義 に 書

か れ て い る こ と や 教 育 で 知 っ た や り 方 を こ な す こ と

や 、 目 標 値 を ク リ ア す る た め に デ ー タ を 作 る こ と に

囚 わ れ 、 本 来 の 目 的 を 見 失 っ て し ま う こ と が 多 々

あ っ た 。 そ れ は 、 ” 何 を 実 施 す る ” の か が 基 盤 の

「 手 段 思 考 」 に な っ て お り 、 本 来 あ る べ き 姿 で あ

る ” 何 を 達 成 す る ” の か が 基 盤 の 「 目 的 思 考 」 に

10

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な っ て い な い の で は な い か と 気 付 き 、 「 目 的 思 考 」

に 導 く 仕 組 み が 必 要 と 考 え た 。

  そ こ で 、 定 着 さ せ た い 大 切 な 活 動 に つ い て 、 そ

の 活 動 の 目 的 を 明 ら か に し 、 手 段 を 与 え る の で は な

く 、 目 的 を 見 据 え て ” 考 え る ” こ と を 表 現 す る 「 成

長 モ デ ル 」 を 考 案 し た 。 そ し て 、 活 動 を 定 着 さ せ る

た め の 「 ト レ ー ニ ン グ 」 と 「 診 断 」 の 仕 組 み を 「 成

長 モ デ ル 」 を 基 盤 と し て 構 築 、 実 施 す る こ と で 、

「 目 的 思 考 」 に 導 く こ と に 取 り 組 ん だ 。

2013 年№ 分 類 コ ー

タ イ ト ル 概 要

1 そ の 他 S1a ソ フ ト

ウ ェ ア 開

発 に お け

る 電 子 掲

示 板 を 用

い た 非 同

期 コ ミ ュ

ニ ケ ー

シ ョ ン 改

善 の 試 み

ソ フ ト ウ ェ ア の 開 発 で は 、 シ ス テ ム イ メ ー ジ の 共

通 理 解 の 確 立 や 、 仕 様 な ど の 意 思 決 定 の た め に 、 多

く の 質 問 や 議 論 を 必 要 と す る こ と が 多 い 。 そ れ ぞ れ

の 話 題 は 、 並 列 的 に 進 め ら れ 、 1 つ の 話 題 が 終 結 す

る ま で 数 日 か ら 数 週 間 以 上 か か る よ う な ケ ー ス は 少

な く な い 。

一 方 で 、 弊 社 で は 分 散 し た 部 門 や 拠 点 の 開 発 者 が

協 調 的 に 開 発 を 進 め る こ と が 多 い こ と か ら 、 電 子

ネ ッ ト ワ ー ク を 利 用 し た 非 同 期 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

が 積 極 的 に 活 用 さ れ る こ と が 多 く 、 そ の ツ ー ル と し

て は 、 一 般 的 な 電 子 メ ー ル シ ス テ ム が 利 用 さ れ る こ

と が 多 い 。

上 記 の よ う な ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 特 有 の 状 況 の 中

で 、 一 般 的 な 電 子 メ ー ル シ ス テ ム を 利 用 す る 場 合 、

ど の 話 題 が 終 結 し て い て ど の 話 題 が 終 結 し て い な い

か の 見 分 け や 、 ど の メ ッ セ ー ジ が 直 近 の メ ッ セ ー ジ

か の 見 分 け が 難 し い な ど 、 利 用 効 率 面 で の 課 題 が

あ っ た 。 弊 社 で は 、 こ れ ら の よ う な 一 般 的 な 電 子

メ ー ル で の 課 題 を 改 善 す る た め 、 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト

で の 利 用 を 主 目 的 と し た 電 子 掲 示 板 を 開 発 し 、 ソ フ

ト ウ ェ ア 開 発 へ 展 開 す る 活 動 を 行 っ て い る 。

本 発 表 で は 、 弊 社 の 非 同 期 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の

課 題 を 紹 介 し 、 弊 社 で 独 自 に 開 発 し た 電 子 掲 示 板 に

よ る 改 善 の 工 夫 点 と 改 善 し た 点 と 判 明 し た 問 題 点 に

つ い て 紹 介 す る 。

2 そ の 他 S1b 開 発 文 書

の 品 質 向

上 へ の 取

当 社 で の 要 求 仕 様 書 レ ビ ュ ー に お け る 指 摘 事 項 を

分 類 し て み る と 、 「 書 い て い る 意 味 が わ か ら な い 」

と い っ た 「 あ い ま い 表 現 」 に 対 す る 指 摘 が 多 い こ と

11

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り 組 み

~ 開 発 文

書 品 質 と

プ ロ ジ ェ

ク ト 実 績

と の 相 関

が 分 か っ た 。 そ の た め 、 SPES2011 事 例 研 究 「 派 生

開 発 に お け る 要 求 仕 様 書 の 品 質 向 上 活 動 」 で は 、 要

求 仕 様 書 の レ ビ ュ ー 前 に あ い ま い 表 現 を 指 摘 す る

ツ ー ル を 使 っ て 文 書 品 質 を 向 上 す る 方 法 を 提 案 し

た 。 し か し そ の 後 に 調 査 し た 結 果 、 こ の 方 法 だ け で

は 十 分 な 効 果 は 得 ら れ な か っ た 。

そ こ で 、 要 求 仕 様 書 を 始 め と す る 日 本 語 で 書 か れ

た 、 開 発 文 書 に 対 す る 記 述 方 法 を 教 育 す る 必 要 が 生

じ た が 、 日 本 語 の 開 発 文 書 に 特 化 し た 文 書 の 記 述 方

法 を 教 育 す る セ ミ ナ ー は 存 在 し な い た め 、 自 社 で 教

育 を 行 う こ と と な っ た 。 教 育 で は 、 自 社 の プ ロ

ジ ェ ク ト か ら 例 文 を 抽 出 し て 、 教 育 コ ン テ ン ツ と

し 、 受 講 者 に 課 題 を 書 い て も ら う 実 習 を 取 り 入 れ

た 。

そ の 後 、 教 育 の 受 講 者 が 携 わ っ た 開 発 プ ロ ジ ェ ク

ト を 調 査 し た 結 果 、 要 求 仕 様 書 や 設 計 書 の 「 あ い ま

い 比 率 」 が プ ロ ジ ェ ク ト の 生 産 性 や 不 具 合 率 に 影 響

を 与 え て い る こ と が 判 明 し た 。 こ の こ と か ら 、 開 発

文 書 に 対 す る 記 述 方 法 の 教 育 は 効 果 が あ り 、 開 発 文

書 に お け る 「 あ い ま い 表 現 」 の 比 率 は 、 プ ロ ジ ェ ク

ト 品 質 の 1 つ の 指 標 と な り 得 る こ と が 分 か っ た 。

3 要 求 工

S1c NDS 要 求

開 発 活 動

の ご 紹 介

弊 社 で は 、 主 に ソ フ ト ウ ェ ア の 受 託 開 発 を 行 っ て

い る 。 大 手 メ ー カ ー や SIer よ り 開 発 業 務 を 受 託 す る

こ と が 多 い の だ が 、 長 引 く 不 況 や 海 外 企 業 ( 特 に ア

ジ ア 圏 ) の 台 頭 に よ り 、 業 績 は 悪 化 す る 。

そ こ で 、 社 会 情 勢 や 委 託 元 企 業 の 状 況 に 左 右 さ れ

な い よ う な 、 強 い 事 業 基 盤 を 持 つ 為 の 施 策 が 必 要 と

な っ た 。

そ の よ う な 時 、 要 求 開 発 と 出 会 う 。 た だ 言 わ れ る ま

ま に 、 言 わ れ た 仕 様 を 実 現 す る だ け の シ ス テ ム 開 発

で は な く 、 ユ ー ザ の 想 い や 戦 略 の 部 分 に 踏 み 込 ん

で 、 真 に ビ ジ ネ ス 価 値 の 高 い 情 報 シ ス テ ム を 構 築 す

る こ と を 目 指 す 要 求 開 発 活 動 は 、 我 々 の 目 指 す 方 向

性 と 一 致 し た 。

こ の 方 法 論 を 社 内 事 業 の 随 所 に 用 い て 、 要 求 開 発

と 言 う 強 み を 持 っ た 企 業 を 目 指 す こ と に な っ た 。

発 表 で は 、 要 求 開 発 方 法 論 と は そ も そ も ど う 言 っ

た も の な の か ? ま た 、 導 入 す る 際 の 留 意 点 や 実 際

に 得 ら れ た 効 果 、 そ し て 要 求 開 発 活 動 を 今 後 も 続 け

て 行 く 為 の 課 題 な ど に つ い て 、 弊 社 の 活 動 事 例 を 通

じ て 紹 介 す る 。

12

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4 プ ロ セ

ス 改 善

S1d 自 律 改 善

継 続 実 現

要 因 の 考

察 - 現 場

自 ら が

「 次 も 改

善 を 回 そ

う ! 」 と

行 動 す る

た め に 必

要 な 要 因

は 何 か ?

SPINA3CH 自 律 改

善 メ ソ ッ

ド 実 証 実

験 か ら 得

ら れ た 知

情 報 処 理 推 進 機 構   ソ フ ト ウ ェ ア ・ エ ン ジ ニ ア リ

ン グ ・ セ ン タ ー ( IPA/SEC ) プ ロ セ ス 改 善 ワ ー キ ン グ

グ ル ー プ が 2011.7.7に 初 公 開 し 、 2013.3.26 改 訂 (*1) し

た 「 SPINA3CH 自 律 改 善 メ ソ ッ ド 」 の 効 果 を 確 認 す る

実 証 実 験 一 事 例 ( 複 数 件 実 施 の う ち の 一 事 例 ) の 結

果 と そ の 考 察 を 報 告 す る 。

現 場 で 日 々 実 務 を 行 う メ ン バ ー や 管 理 者 が “ 自

律 ” し て 改 善 を 継 続 実 践 す る た め に 必 要 な 要 因 は 何

か 、 そ の 要 因 を 有 効 な も の に す る ポ イ ン ト や コ ツ 、

注 意 事 項 な ど を 、 実 証 実 験 の 具 体 的 な 進 行 過 程 と 現

場 メ ン バ ー の 気 持 ち の 変 化 な ど と 共 に 共 有 し 、 今 後

の よ り よ い 改 善 実 践 や 継 続 改 善 に つ な げ る た め の 情

報 源 に な る こ と を 目 指 す 。

“ 自 分 が 変 れ ば 周 囲 が 変 わ る ” と は ど の よ う な こ

と な の か 、 そ れ を 実 現 す る た め に 一 時 的 に 必 要 な

“ 心 を 動 か す 支 援 対 応 ” と は 何 か 、 な ど を こ の 小 さ

な 実 験 結 果 か ら 探 る 。

5 人 材 育

S2a ト ッ プ ガ

ン 研 修 構

築 の 考 え

方 と 実 践

- 課 題 解

決 力 、

リ ー ダ ー

シ ッ プ 力

の 向 上 を

目 指 し て

デ ン ソ ー で は 、 経 営 戦 略 に 必 要 な 人 材 を 育 成 す る

た め に ハ イ タ レ ン ト 研 修 を 実 施 し て い る 。 ソ フ ト

ウ ェ ア 工 学 の ハ イ タ レ ン ト 研 修 は 、 開 講 時 よ り 開 発

プ ロ セ ス に 沿 っ た 講 義 と 課 題 発 表 で 構 成 し て い た

が 、 課 題 発 表 で は 講 義 内 容 が 十 分 活 用 で き ず 、 課 題

解 決 の 考 え 方 も 不 十 分 で あ っ た 。

そ こ で 、 目 指 す 人 材 像 を 「 開 発 現 場 の 課 題 を 解 決

し 、 デ ン ソ ー を 引 っ 張 っ て い け る 技 術 者 ( ト ッ プ ガ

ン ) 」 、 必 要 な 能 力 を 課 題 解 決 力 と リ ー ダ ー シ ッ プ

力 と 定 義 し 、 カ リ キ ュ ラ ム の 再 構 築 を 行 っ た 。

ま ず 、 課 題 解 決 力 の 向 上 を 図 る た め に 、 研 修 に 論

文 作 成 と 最 新 技 術 の 講 義 ( 特 論 ) を 導 入 し た 。 さ ら

に 、 課 題 形 成 に 必 要 な 知 識 ・ 技 術 、 工 学 的 ア プ ロ ー

チ を 修 得 す る コ ー ス を 新 設 す る と 同 時 に 、 受 講 者 一

人 一 人 の 課 題 形 成 、 解 決 の 支 援 を 開 始 し た 。 ま た 、

リ ー ダ ー と し て の 自 覚 、 課 題 解 決 へ 立 ち 向 か う マ イ

ン ド セ ッ ト を 形 成 す る た め 、 技 術 者 と し て の 理 念 、

哲 学 を 学 ぶ 講 義 を 特 論 に 加 え た 。

以 上 の 取 り 組 み に よ り 、 課 題 解 決 力 を 示 す 受 講 生

の 論 文 は 、 社 外 発 表 が 数 件 出 る レ ベ ル ま で 向 上 し

た 。 リ ー ダ ー シ ッ プ 力 に つ い て は 、 講 義 で の 質 問 の

13

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増 加 や 、 目 の 色 の 変 化 な ど 、 受 講 生 が 課 題 解 決 に よ

り 積 極 的 に 取 り 組 む よ う に な っ た 。

6 ア ジ ャ

イ ル

S2b 高 品 質 を

重 視 し た

NEC ア

ジ ャ イ ル

~ ソ フ ト

ウ ェ ア 品

質 会 計 の

エ ッ セ ン

ス を ア

ジ ャ イ ル

開 発 に 適

用 ~

変 化 に 強 く 俊 敏 な ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 の 実 現 の た め

ア ジ ャ イ ル 開 発 に 対 し て NEC で は 依 然 よ り 注 目 し て

い た 。 し か し な が ら そ の 取 り 組 み は 、 社 内 の 一 部 組

織 に お け る も の に 限 定 さ れ て お り 、 本 格 的 な 取 り 組

み に は な っ て い な か っ た 。

そ の 主 な 理 由 と し て 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 で は 弊 社 が

長 年 に わ た り 培 っ て き た ソ フ ト ウ ェ ア 品 質 会 計 ( 品

質 会 計 ) の よ う に 、 十 分 な 品 質 を 確 保 す る た め の 手

法 が 確 立 さ れ て い な い 点 が 挙 げ ら れ る 。

品 質 会 計 と は 品 質 が 作 り こ ま れ た こ と を 確 か な 根

拠 を も っ て 客 観 的 に 説 明 可 能 に す る ソ フ ト ウ ェ ア 品

質 管 理 手 法 で あ る 。 NEC で は ア ジ ャ イ ル 開 発 の 持 つ

俊 敏 性 を 生 か し な が ら 品 質 状 況 を 客 観 的 に 確 認 で き

る よ う に す る た め に 、 品 質 会 計 の エ ッ セ ン ス を ア

ジ ャ イ ル 開 発 で 実 現 す る た め の 手 法 を 構 築 し た 。

本 手 法 を 実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト へ 適 用 し た 結 果 、 ア

ジ ャ イ ル 開 発 の 長 所 で あ る 俊 敏 性 や 柔 軟 性 を 確 保 し

つ つ 、 確 か な 根 拠 を も っ て 品 質 状 況 を 説 明 で き る こ

と を 確 認 し た 。

本 発 表 で は 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 で 品 質 を 説 明 す る た

め に 確 立 し た 手 法 と 、 実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト に て 実 証

し た 結 果 を 報 告 す る 。

7 開 発 手

S2c デ ジ タ ル

複 写 機 の

ネ ッ ト

ワ ー ク 開

発 へ の

XDDP 適

用 事 例

私 の 所 属 す る 組 織 で は 、 デ ジ タ ル 複 写 機 の ネ ッ ト

ワ ー ク 制 御 機 能 の 開 発 を 行 な っ て い る 。 開 発 の 内 容

は 、 主 に 一 定 期 間 ご と に 前 身 機 に 対 す る 既 存 機 能 の

変 更 や 新 機 能 の 追 加 を 行 い 、 新 製 品 に 搭 載 す る と い

う も の で あ る 。 ま た 、 一 方 で 市 場 で 稼 働 し て い る 製

品 で 発 生 す る 問 題 の 対 応 も 合 わ せ て 行 な っ て い る 。

こ れ ら の 開 発 業 務 を 限 ら れ た 人 的 資 源 で 、 同 時 並

行 で 進 め る 必 要 が あ り 、 出 荷 す る 製 品 の 品 質 と 決 め

ら れ た 期 間 の 中 で 確 実 に 開 発 が 行 え る 生 産 性 が 重 要

課 題 で あ る 。 こ の 重 要 課 題 の 克 服 を 目 的 と し

て 、 XDDPの 取 り 組 み を 始 め た 。

XDDPを プ ロ ジ ェ ク ト へ 導 入 す る た め に 行 っ た 準 備

と 、 試 行 で 得 ら れ た 結 果 を 定 量 的 な デ ー タ で 紹 介 す

る 。

ま た 試 行 に よ り 新 た に わ か っ た 問 題 点 と そ れ に 対

す る 工 夫 を あ わ せ て 紹 介 す る 。

8 プ ロ セ S2d 「 改 善 を 弊 社 で は 事 業 部 門 ご と に 、 そ れ ぞ れ の 部 門 の 事 情

14

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ス 改 善 や め た 」

組 織 で の

プ ロ セ ス

改 善

~ プ ロ セ

ス 改 善 は

や り 直 せ

る の か ~

に 合 わ せ て ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 の プ ロ セ ス 改 善 を 行 っ

て い る 。 SEPG と し て あ る 事 業 部 門 に 異 動 し て み る

と 、 そ こ は 「 プ ロ セ ス 改 善 を や め た 」 組 織 だ っ た 。

専 任 者 を 含 む プ ロ セ ス 改 善 の た め の グ ル ー プ が 存 在

し て い た こ と も あ っ た が 、 異 動 時 に は グ ル ー プ が な

く な り 組 織 的 な 改 善 が 行 わ れ な く な っ て 5 年 が た っ

て い た 。

こ の よ う な 状 況 で 専 任 者 と し て プ ロ セ ス 改 善 に 取

り 組 む こ と に な っ た が 、 改 善 を 再 開 す る に あ た り 以

下 の よ う な 不 安 が あ っ た 。

・ 一 か ら の 改 善 実 施 の 場 合 と 同 じ 方 法 は 使 え る の

か ?

・ 再 改 善 特 有 の 事 情 は あ る の か ? あ る 場 合 は 、 ど の

よ う に 対 応 す る か ?

ま た 、 再 開 し て み る と ソ フ ト の 品 質 が 悪 化 傾 向 で

あ る こ と が 分 か り 、 悪 化 防 止 、 品 質 改 善 を 急 ぐ 必 要

が あ っ た 。

組 織 内 の 状 況 を 確 認 し て い く と 、 過 去 の 改 善 活 動

の 成 果 が 「 遺 産 」 と し て 残 っ て い る こ と が 分 か っ

た 。 そ こ で 一 般 的 な 改 善 手 法 を ベ ー ス に 、 「 遺 産 」

を 活 用 し な が ら 効 率 よ く 改 善 を 進 め る こ と と な っ

た 。

本 発 表 で は 、 改 善 グ ル ー プ が な く な っ た こ と で 起

こ っ た こ と 、 再 開 し た プ ロ セ ス 改 善 と 通 常 の プ ロ セ

ス 改 善 の 違 い 、 「 遺 産 」 の 活 用 法 な ど 、 再 開 か ら 1

年 間 の 改 善 活 動 の 内 容 と 、 そ こ で 得 た 知 見 に つ い て

報 告 す る 。

9 そ の 他 S2f 高 品 質 な

コ ア 資 産

開 発 の た

め の レ ガ

シ ー 資 産

活 用 の 取

組 み

- コ ー ド

ク ロ ー ン

検 出 ツ ー

CCFinderX を 用 い

た レ ガ

近 年 、 ソ フ ト ウ ェ ア プ ロ ダ ク ト ラ イ ン ( SPL ) の

取 組 み に 代 表 さ れ る 、 再 利 用 を 前 提 と し た ソ フ ト

ウ ェ ア 開 発 が 注 目 を 集 め て い る 。 弊 社 で は SPL の 取

組 み に お い て 、 レ ガ シ ー シ ス テ ム の 成 果 物 を 活 用 す

る こ と で 再 利 用 資 産 で あ る コ ア 資 産 を 効 率 よ く 開 発

す る こ と に 取 り 組 ん で い る 。 し か し 本 取 り 組 み の 中

で 著 者 ら は 次 の よ う な 問 題 に 直 面 し た 。

問 題 1 : 品 質 の 良 く な い レ ガ シ ー シ ス テ ム の 成 果

物 を そ の ま ま コ ア 資 産 に 組 み 入 れ て し ま う と コ ア 資

産 全 体 の 品 質 を 低 下 さ せ て し ま う 。 例 え ば 、 冗 長 ・

複 雑 な ソ ー ス コ ー ド を コ ア 資 産 に 組 み 入 れ る と ソ ー

ス コ ー ド の 保 守 性 を 低 下 さ せ て し ま う 。

問 題 2 : 大 規 模 な レ ガ シ ー シ ス テ ム の 成 果 物 を 分

析 す る の は コ ス ト が 多 大 で あ る 。

15

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シ ー ソ ー

ス コ ー

ド の 分 析

事 例 -

そ こ で 、 著 者 ら は レ ガ シ ー シ ス テ ム の 成 果 物 が コ

ア 資 産 と し て ふ さ わ し い も の な の か 、 効 率 よ く 、 客

観 的 に 診 断 す る 手 法 と し て 、 コ ー ド ク ロ ー ン 検 出

ツ ー ル CCFinderX[1] に 基 づ い た 診 断 手 法 を 考 案 し た 。

考 案 し た 手 法 を 事 例 に 適 用 し た 結 果 、 問 題 1 に 対

し て は 、 流 用 ・ 再 利 用 に よ っ て 発 生 し た 複 雑 ・ 冗 長

な ソ ー ス コ ー ド を 適 切 に 特 定 で き る と い う 進 歩 が

あ っ た が 、 こ れ ら の ソ ー ス コ ー ド が ど れ だ け 品 質 へ

影 響 が あ る か を 導 く こ と は 今 後 の 課 題 と な っ た 。 問

題 2 に 対 し て は 、 手 法 を 用 い る こ と で 専 門 知 識 を 持

た な い 分 析 担 当 者 で も 分 析 を 効 率 的 に 実 施 す る こ と

が で き 、 大 規 模 な シ ス テ ム に も 対 応 で き る こ と を 示

す こ と が で き た 。

モ ジ ュ ー ル 間 の 依 存 度 や ソ フ ト ウ ェ ア メ ト リ ク ス

の 計 測 な ど 、 よ り 多 く の 視 点 か ら 品 質 を 診 断 す る こ

と が 今 後 の 課 題 と し て 挙 げ ら れ る 。

10 人 材 育

S3a ピ ア ・ レ

ビ ュ ー と

履 行 検 証

に 着 目 し

た 若 手 技

術 者 の 育

成 ~ 業 務

の 中 で 自

然 に 学 ぶ

方 式 ~

2006 年 頃 よ り 「 人 が 育 つ 」 こ と を 第 一 義 と し た ト

レ ー ニ ン グ 指 向 ア プ ロ ー チ の 下 、 プ ロ セ ス 改 善 に 取

り 組 ん で き た が 、 そ の 理 念 に 反 し 「 若 手 技 術 者 が 思

う よ う に 育 っ て い な い 」 と い う 声 を 耳 に す る よ う に

な っ て き た 。 そ の 要 因 は 、 特 別 な 学 習 ・ 教 育 を 受 け

て い な い と い う こ と で は な く 、 普 段 の 業 務 の 中 で 技

術 力 を 自 然 に 身 に 付 け 学 ぶ こ と が で き て い な い こ と

に あ る と 考 え た 。

そ こ で 、 業 務 の 中 で 学 ぶ 機 会 と し て 、 上 司 ・ 識 者

の 技 術 に 直 接 触 れ る 機 会 で あ る ピ ア ・ レ ビ ュ ー と 、

エ ン ジ ニ ア リ ン グ プ ロ セ ス の 履 行 を 自 己 で 確 認 す る

活 動 ( EP自 己 履 行 検 証 ) に 着 目 し た 。 EP自 己 履 行 検

証 は 若 手 技 術 者 に と っ て は 余 分 で 面 倒 な や ら さ れ 感

い っ ぱ い の 活 動 に 陥 っ て い た が 、 そ れ を ピ ア ・ レ

ビ ュ ー の 準 備 と 位 置 づ け る こ と で マ イ ナ ス な イ メ ー

ジ を 払 拭 し 、 効 果 的 な 活 動 へ の 転 換 を は か り 、 EP自

己 履 行 検 証 と ピ ア ・ レ ビ ュ ー の 両 輪 で 若 手 技 術 者 の

ス キ ル 向 上 を 支 え る 仕 組 み を 考 案 ・ 展 開 し た 。

本 発 表 で は 、 ピ ア ・ レ ビ ュ ー お よ び EP自 己 履 行 検

証 が ス キ ル 向 上 に 繋 が る メ カ ニ ズ ム 、 EP自 己 履 行 検

証 が ピ ア ・ レ ビ ュ ー の 準 備 と な る 両 者 の 親 和 性 の 考

察 と 、 こ れ ら の 活 動 を 現 場 で 定 着 さ せ る た め の 仕 組

み ・ 取 り 組 み に つ い て 紹 介 す る 。

11 ソ フ ト

ウ ェ ア

S3b ソ フ ト ウ

エ ア 開 発

プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 開 発 本 部 で は 、 通 信 サ ー ビ ス に

係 る 多 種 多 様 の シ ス テ ム 開 発 を 実 施 し て お り 、 2008

16

Page 19: Microsoft Word形式 (107KB)

品 質 管

に お け る

QCD 指 標

を 活 用 し

た 品 質 向

上 へ の 取

組 み

~ ユ ー ザ

部 門 に お

け る 品 質

管 理 の 実

践 的 手 法

の 確 立 ~

年 頃 当 時 は 標 準 的 品 質 管 理 手 順 も な く 開 発 担 当 者 の

知 識 経 験 に 依 存 し て い た た め 、 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 管

理 項 目 の 漏 れ や 、 開 発 案 件 毎 の QCD ( Quality, Cost,

Delivery ) の ば ら つ き の 大 き さ 、 開 発 担 当 者 異 動 時 の

品 質 劣 化 の 懸 念 等 に 対 す る 問 題 解 決 が 求 め ら れ て い

た 。

ソ フ ト ウ エ ア 開 発 業 務 に お け る 品 質 管 理 は 、 そ れ

に 係 る 開 発 担 当 者 の 負 荷 、 統 計 分 析 結 果 の 精 度 ・ 適

用 性 、 開 発 担 当 者 へ の 有 効 性 の 理 解 浸 透 等 の 課 題 か

ら 、 そ の 実 現 ・ 定 着 化 が 難 し い 状 況 に あ っ た が 、

「 品 質 向 上 へ の 実 践 的 手 法 の 確 立 」 に 向 け て PDCA活

動 を 繰 り 返 し 取 り 組 ん で き た 。

本 稿 で は 、 こ の 取 組 み に お い て 採 用 し た 「 ソ フ ト

ウ エ ア 開 発 プ ロ セ ス の 標 準 化 」 及 び 「 ソ フ ト ウ エ ア

開 発 の QCD ( Quality, Cost, Delivery ) 指 標 管 理 に よ る 定

量 的 〝 見 え る 化 “ 」 の 実 施 内 容 を 事 例 紹 介 す る 。

具 体 的 に は 、 問 題 解 決 の た め に 導 入 し た 「 標 準 的

ソ フ ト ウ エ ア 開 発 プ ロ セ ス の 雛 型 作 成 」 、 「 開 発 規

模 測 定 へ の FP ( フ ァ ン ク シ ョ ン ポ イ ン ト ) 適 用 」 、

「 最 適 な QCD 指 標 の 適 用 」 、 「 QCD 分 析 手 法 の 標 準

化 」 の 4 つ の 観 点 か ら 、 当 社 開 発 案 件 で 実 際 に 適 用

し た 具 体 的 手 法 ・ 実 施 結 果 、 QCD 指 標 適 用 時 の 留 意

点 等 を 紹 介 す る 。

12 形 式 手

S3c 情 報 シ ス

テ ム に お

け る 形 式

手 法 活 用

へ の 取 り

組 み

情 報 シ ス テ ム の 重 要 性 が 高 ま る の に 従 い 、 品 質 や

信 頼 性 が 高 い ソ フ ト ウ ェ ア を 開 発 す る た め の 手 法 と

し て 形 式 手 法 が 注 目 さ れ て い ま す 。 し か し な が ら 、

形 式 手 法 は 仕 様 の 形 式 化 ( 記 号 化 ) や 論 理 的 な 証 明

な ど に 対 し て 高 度 な 数 学 的 知 識 を 必 要 と す る た め 、

情 報 シ ス テ ム の 開 発 現 場 に と っ て 敷 居 の 高 い も の と

な っ て い ま す 。

現 在 、 形 式 手 法 の ガ イ ド 化 や ツ ー ル 化 を 行 い 、 情

報 シ ス テ ム の 開 発 現 場 で 形 式 手 法 を 利 用 可 能 に す る

た め の 取 り 組 み を 進 め て い ま す 。 ガ イ ド 化 に つ い て

は 、 DSF な ど で の 活 動 成 果 と し て 「 形 式 手 法 活 用 ガ

イ ド 」 を 整 備 し 、 こ れ を 参 照 し な が ら Event-B を 用 い

て プ ロ ジ ェ ク ト の 設 計 書 に 対 す る 形 式 検 証 を 推 進 し

よ う と し て い ま す 。 ま た 、 ツ ー ル 化 に つ い て は 、 決

定 表 作 成 支 援 ・ 検 証 ツ ー ル を 開 発 し 、 決 定 表 の 作 成

工 数 削 減 お よ び 品 質 向 上 を 実 現 し ま し た 。 そ し て 、

開 発 作 業 に お い て 適 用 評 価 を 行 い 、 決 定 表 作 成 の 容

易 化 や 仕 様 漏 れ の 発 見 な ど を 行 い ま し た 。

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13 ソ フ ト

ウ ェ ア

開 発 手

S3d リ コ ー に

お け る ソ

フ ト ウ ェ

ア プ ロ ダ

ク ト ラ イ

ン 導 入 に

向 け た 課

題 特 定 の

取 り 組 み

事 例

ソ フ ト ウ ェ ア プ ロ ダ ク ト ラ イ ン ( SPL ) は 、 体 系

的 な ソ フ ト ウ ェ ア の 再 利 用 で 、 シ リ ー ズ 機 種 を 効 率

的 に 開 発 す る 方 法 で あ る 。 SPL を 導 入 し た 結 果 、 開

発 期 間 の 短 縮 、 品 質 改 善 の 効 果 が 様 々 な 報 告 で 確 認

さ れ て い る 。 リ コ ー の 主 要 製 品 は 、 既 存 の プ ロ ダ ク

ト に 対 し 機 能 追 加 、 性 能 を 改 善 す る 派 生 開 発 が ほ と

ん ど で あ り 、 年 々 規 模 と 複 雑 さ が 増 大 し 、 品 質 と 納

期 に 問 題 を 抱 え て い る 。 し た が っ て 、 SPL の 導 入

は 、 品 質 、 コ ス ト お よ び 開 発 効 率 を 向 上 さ せ る か ど

う か の キ ー と な っ て い る 。

14 テ ス ト

駆 動 開

S3f 受 け 入 れ

テ ス ト 駆

動 開 発 に

よ る 実 行

可 能 な 仕

様 に 関 す

る 検 証 結

多 く の 企 業 が 変 化 す る 市 場 、 顧 客 の ニ ー ズ に 柔 軟

に 対 応 す る た め に ア ジ ャ イ ル 開 発 を 導 入 し 始 め て い

る る 。 そ こ で 、 当 社 は 短 い 反 復 開 発 で 確 実 に 顧 客 の

ニ ー ズ に 応 え る た め に 、 あ ら か じ め 顧 客 の 観 点 で

個 々 の 要 求 を テ ス ト ケ ー ス と し て 作 成 し 、 こ れ を 自

動 化 す る と い う 受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 の ア プ ロ ー

チ を 試 み 、 そ の 実 用 性 に つ い て 検 証 し た 。

今 回 の プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 主 に 以 下 2 項 目 を 実 施

し た 。

1. 受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 を サ ポ ー ト す る ツ ー

ル の 選 定 。

2. 上 記 1 で 選 定 し た ツ ー ル を 利 用 し た web ア プ

リ ケ ー シ ョ ン の 受 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 の 実 用 性

に よ っ て 、 受 入 れ 駆 動 テ ス ト 開 発 の 効 果 を 検 証

す る 。

本 稿 で は 、 受 け 入 れ テ ス ト 駆 動 開 発 を 説 明 し 、 上

記 の 選 定 ・ 検 証 に 当 社 が 採 用 し た 手 法 と 開 発 プ ロ セ

ス を 紹 介 す る 。 ま た 、 検 証 の 結 果 に つ い て 、 受 け 入

れ テ ス ト 駆 動 開 発 の 実 用 性 、 導 入 時 の 前 提 条 件 や 留

意 点 及 び コ ス ト に つ い て 紹 介 す る 。

2012 年№ 分 類 コ ー

タ イ ト

概 要

1 要 求 工

F3a 早 期 の

要 求 獲

得 ・ 問

題 解 決

を 実 現

す る 仕

組 み づ

講 演 概 要 デ ン ソ ー ク リ エ イ ト は 組 み 込 み ソ フ ト

ウ ェ ア の 請 負 開 発 を 主 な 事 業 と し て い る が 、 長 期 間

に 渡 り 常 に 開 発 に 追 わ れ メ ン バ ー が 疲 弊 す る 、 と い

う 状 況 を 繰 り 返 し て い た 。 そ の 状 況 か ら 抜 け 出 す に

は ” 素 早 く ” 動 く こ と が 有 効 で あ る と 気 づ き 、 組 織

の 素 早 さ を 引 き 出 す 仕 組 み を 築 い て き た 。 本 稿 で

は 、 ” 素 早 さ ” を 持 つ 組 織 に な る た め の 仕 組 み と 、

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く り そ の 効 果 ・ 事 例 に つ い て 発 表 す る 。

【 1 】 背 景 ・ 問 題

組 み 込 み ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 は 年 々 大 規 模 化 し て い

る 。 製 品 評 価 の フ ェ ー ズ で は 仕 様 変 更 や 不 具 合 対 応

が 多 発 し 、 開 発 終 盤 に 特 に 負 荷 が 集 中 す る 。 そ の 結

果 、 次 の 開 発 の 立 ち 上 げ を 始 め る こ と が で き な い 場

合 が 多 い 。 ま た 、 開 発 の 初 期 段 階 で は 、 仕 様 の 曖 昧

さ が 多 い 。 更 に 顧 客 側 で の 動 き 様 が 見 え な い こ と も

加 わ り 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 立 ち 上 が り の 遅 れ を 助 長 す

る 。

こ の よ う に 立 ち 上 が り の 遅 れ が 常 態 化 し 、 結 果 的

に 開 発 終 盤 に 負 荷 が 集 中 す る と い う 悪 循 環 に 陥 っ て

い た 。 そ の よ う な 状 況 に 対 し 、 現 場 は 「 仕 様 が 決 ま

ら な い ・ 変 わ る 」 「 無 理 な 要 求 を 強 い ら れ る 」 等 の

不 平 ・ 不 満 を 常 に 抱 き 、 被 害 者 意 識 で い っ ぱ い の ま

ま 、 悪 循 環 か ら 抜 け 出 す こ と が で き ず に い た 。

【 2 】 課 題

現 場 は 他 責 ・ 被 害 者 意 識 が 強 く 、 悪 循 環 を 断 つ た

め に 顧 客 を は じ め と し た 周 り ( 他 人 ) に 変 わ っ て ほ

し い と 望 ん で い た 。

し か し 、 他 人 の こ と を 変 え る に は 限 界 が あ り 、 変 わ

ら な い こ と に よ り 一 層 不 平 ・ 不 満 が 強 く な っ て い

た 。 そ こ で 、 発 想 を 変 え 、 仕 様 が 曖 昧 ・ 変 わ る 等 の

周 り が 大 き く 関 係 す る こ と に 対 し 、 ” そ う い う も の

だ ” と 受 け 入 れ 、 自 分 た ち が 出 来 る こ と を や っ て 、

問 題 の 状 況 を 軽 減 す る ア プ ロ ー チ を 考 え た ( 変 え ら

れ な い こ と を 前 提 と し た ) 。 そ し て 、 曖 昧 な も の ・

変 わ る も の に 対 し 我 々 が 出 来 る こ と は 「 早 く 始 め る

こ と で あ る 」 と 気 づ き 、 ” 素 早 さ ” を 持 つ 組 織 に な

る こ と が 課 題 で あ る と 考 え た 。

【 3 】 ” 素 早 さ ” を 持 つ 組 織 を 作 る 仕 組 み

ま ず 、 ” 素 早 い ” 組 織 と な る た め の 要 件 と し て (1)「 攻 め の 気 持 ち 」 を 持 ち 、 行 動 す る た め の (2)「 機 会

を 持 つ 」 、 そ し て 、 そ れ ら の 定 着 を 支 え る (3)「 モ ニ

タ リ ン グ 」 の 3 つ を 掲 げ た 。

  (1)「 攻 め の 気 持 ち 」 : 標 準 プ ロ セ ス で 「 上 位 活 動

へ の 参 画 」 を 明 示 し 、 顧 客 活 動 に 入 り 込 む 覚 悟 を 決

め さ せ た 。 そ し て 活 動 の 中 心 と な る PM層 と 、 PM層 を

支 え る 若 手 メ ン バ ー の そ れ ぞ れ に 対 し 、 意 識 付 け の

ト レ ー ニ ン グ を 行 っ た 。

  (2)「 機 会 を 持 つ 」 : い く ら プ ロ セ ス が あ り 意 識 付

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け を し た だ け で は う ま く い か な い 。 コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン が 元 々 苦 手 な 人 が 多 い た め 尚 更 で あ る 。 そ こ

で 、 強 制 的 に 機 会 を 持 た せ る 「 Catch Ball Meeting(CBM) 」 の 仕 組 み を 導 入 し た 。

  (3)「 モ ニ タ リ ン グ 」 : 気 持 ち や 機 会 が あ っ て も 、

元 々 苦 手 な 活 動 で あ る た め 、 人 の 弱 さ が 出 て し ま

い 、 や ら な く な る ・ で き な く な る 可 能 性 が あ る 。 そ

の た め 活 動 状 況 を 定 期 的 に 確 認 で き る 「 モ ニ タ リ ン

グ 」 の 仕 組 み を 構 築 し 、 人 の 弱 さ に 歯 止 め を か け る

仕 組 み と し た 。 ま た 、 周 り は 変 え ら れ な い こ と を 前

提 と し て 築 い た 仕 組 み だ っ た が 、 自 分 た ち が ” 素 早

く ” 行 動 す る こ と に よ り 、 周 り を も 動 か す こ と が で

き る こ と に も 気 づ い た 。 ( 副 次 効 果 )

【 4 】 効 果 の 確 認

(1)仕 組 み が 機 能 し て い る か : 活 動 状 況 で 判 断

以 下 の 状 況 か ら 仕 組 み が 機 能 し て お り 、 ” 素 早 さ ”

を 持 つ 組 織 と な る 仕 組 み が 構 築 で き た と 判 断 し て い

る 。

・ CBM の 実 施 状 況 : 活 動 開 始 か ら 3 年 間 実 施 率 は 90%以 上 を 維 持 し 、 年 間 の 実 施 回 数 も 全 プ ロ ジ ェ ク ト 合

わ せ て 1000 回 を 超 え る よ う に な っ た 。

・ 上 位 活 動 へ の 参 画 : PM自 身 の 自 己 診 断 と 第 三 者

に よ る ア セ ス メ ン ト の 診 断 結 果 と も に 1 年 か ら 1 年

半 で 満 点 近 く に 向 上 し 、 活 動 の 定 着 が 見 ら れ た 。

(2)問 題 が 解 決 し て い る か : 仕 組 み を 取 り 入 れ た プ ロ

ジ ェ ク ト の 結 果 ( 事 例 ) で 判 断 仕 組 み を 取 り 入 れ た

実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト で 効 果 が 確 認 さ れ た た め 、 ” 素

早 さ ” を 持 つ 組 織 が と な る こ と が 問 題 解 決 に つ な が

る と 評 価 し て い る 。

・ 初 期 か ら 「 上 位 活 動 へ の 参 画 」 を 積 極 的 に 行 い 、

活 動 量 は 過 去 の 同 規 模 の プ ロ ジ ェ ク ト よ り 格 段 に 多

い 。

・ 「 上 位 活 動 へ の 参 画 」 を 基 盤 と し 、 過 去 の 同 規 模

プ ロ ジ ェ ク ト の 約

4 倍 の 課 題 ・ リ ス ク を 活 動 初 期 か ら 素 早 く 抽 出 し 、

素 早 く 解 消 し 、 終 盤 の 混 乱 を 抑 制 し た 。 ・ 結 果 的

に 、 顧 客 評 価 で の 不 具 合 は 過 去 の 同 規 模 プ ロ ジ ェ ク

ト の 約 1/3 に 削 減 で き た 、 品 質 も 向 上 し た 。

2 オ フ

シ ョ ア

F3b オ フ

シ ョ ア

開 発 に

近 年 、 IT 業 界 で は コ ス ト 削 減 や 要 員 確 保 を 目 的 と

し た オ フ シ ョ ア 開 発 が 広 が り つ つ あ る 。 当 社 も 中 国

で の オ フ シ ョ ア 開 発 を 推 進 し て お り 、 そ の 中 で 様 々

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お け る

単 体 テ

ス ト の

生 産 性

向 上 策

~ 入 力

支 援

ツ ー ル

に よ る

言 語 の

壁 の 克

服 ~

な 課 題 に 直 面 し 、 克 服 し て き た 。 本 論 文 で は オ フ

シ ョ ア 開 発 の 中 で も ド キ ュ メ ン ト の 日 本 語 化 と い う

課 題 に つ い て 当 社 の 取 り 組 み を 説 明 す る 。

中 国 オ フ シ ョ ア 開 発 に お い て も ド キ ュ メ ン テ ー

シ ョ ン は 日 本 語 で 行 わ れ る こ と が 通 常 で あ る 。 日 本

後 ス キ ル に 優 れ た 要 員 を 揃 え る こ と が 理 想 で あ る

が 、 日 本 ご ス キ ル が 低 い 要 員 が 開 発 チ ー ム に 加 わ る

こ と も あ る 。 す な わ ち 、 ド キ ュ メ ン ト の 翻 訳 と い う

作 業 が 避 け ら れ な い 。 ド キ ュ メ ン ト の 翻 訳 方 法 に つ

い て は 様 々 な 方 法 が あ る が 、 検 討 の 結 果 、 今 回 は 翻

訳 ソ フ ト の 活 用 に よ る 翻 訳 を 試 行 し た 。

翻 訳 ソ フ ト は 安 価 か つ 高 速 に 翻 訳 す る こ と が 可 能

で あ る が 、 翻 訳 精 度 が 課 題 と な る 。 事 前 の 検 証 結 果

で も シ ス テ ム 用 語 や 文 章 に つ い て は 特 に 翻 訳 精 度 が

芳 し く な か っ た 。 そ こ で 、 翻 訳 ソ フ ト を 活 用 す る た

め に 、 (1)シ ス テ ム 用 語 や 設 計 項 目 な ど の 用 語 を 翻 訳

辞 書 に 登 録 す る ( 約 3 0 0 0 項 目 ) 、 (2)長 文 で は な

く 短 文 の 翻 訳 に 限 定 す る と い っ た 対 策 を 講 じ た 。 こ

れ ら の 対 策 の 結 果 、 単 体 テ ス ト 仕 様 書 の 翻 訳 に つ い

て は 、 日 本 語 と し て 問 題 の な い レ ベ ル で 訳 せ る こ と

が で き た 。 課 題 と な る の は 、 翻 訳 辞 書 に 登 録 さ れ て

い る 単 語 の み を 利 用 さ せ る こ と で あ る 。 日 本 側 で 用

意 し た 単 語 を 利 用 し て も ら わ な い 限 り 、 翻 訳 の 精 度

は 向 上 し な い 。 そ こ で 、 「 入 力 支 援 ツ ー ル 」 と い う

ド キ ュ メ ン ト 作 成 の 補 助 ツ ー ル を 開 発 し 、 こ れ を 使

用 し て も ら う こ と で 翻 訳 精 度 を 確 保 し た 。

「 入 力 支 援 ツ ー ル 」 は Excel の ア ド イ ン で あ

り 、 Excel 上 で 文 章 を 作 成 す る 際 の 補 助 ツ ー ル と し て

活 用 す る 。 主 な 機 能 は あ ら か じ め 登 録 し た 語 句 を リ

ス ト よ り 選 択 し 、 セ ル に 入 力 す る と い う も の で あ

る 。 単 体 テ ス ト 仕 様 書 は 定 型 的 な 文 章 で 記 入 す る こ

と が 可 能 で あ る 。 す な わ ち 、 定 型 文 章 、 単 体 テ ス ト

頻 出 単 語 、 定 義 情 報 ( 画 面 項 目 定 義 、 テ ー ブ ル 定 義

な ど ) を 入 力 す れ ば 単 体 テ ス ト 仕 様 書 が 出 来 上 が

る 。 今 回 は 「 入 力 支 援 ツ ー ル 」 の 入 力 用 辞 書 に 上 記

の 3 つ を 中 国 語 ・ 日 本 語 の 両 方 で 追 加 し た 。 そ の 上

で 、 日 本 語 が あ ま り 得 意 で な い 要 員 1 名 に 「 入 力 支

援 ツ ー ル 」 を 使 っ て 単 体 テ ス ト 仕 様 書 を 中 国 語 作 成

し て も ら っ た 。 す な わ ち 、 単 体 テ ス ト 仕 様 書 作 成 フ

ロ ー は 以 下 の 通 り と な る 。

(1)中 国 で 「 入 力 支 援 ツ ー ル 」 で 単 体 テ ス ト 仕 様 書 を

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中 国 語 で 作 成 す る 、 (2)翻 訳 ソ フ ト を 使 い 単 体 テ ス ト

仕 様 書 を 中 国 語 か ら 日 本 語 に 翻 訳 す る 、 (3)日 本 語 に

翻 訳 さ れ た 仕 様 書 を 日 本 の 要 員 が レ ビ ュ ー す る 。

  成 果 と し て は 以 下 の 3 つ が 挙 げ ら れ る 。

(1)ツ ー ル に 対 す る 慣 れ が 必 要 で あ っ た が 、 最 終 的 に

は 日 本 語 ス キ ル が あ る 要 員 と 同 等 の 生 産 性 で 単 体 テ

ス ト 仕 様 書 を 作 成 す る こ と が で き た 。 す な わ ち 、 日

本 語 ス キ ル が 低 い 要 員 が 日 本 語 の 仕 様 書 を 作 成 す る

よ り 大 幅 に 生 産 性 は 向 上 し た 。

(2)作 成 さ れ た 中 国 語 仕 様 書 を 翻 訳 ソ フ ト で 翻 訳 し た

結 果 、 ほ ぼ 問 題 な く 日 本 語 に 翻 訳 で き た 。

(3)仕 様 書 の 表 現 が 統 一 さ れ 、 読 み や す く な っ た 。

今 後 は 辞 書 の 作 成 な ど 事 前 準 備 の 効 率 化 に 取 り 組

む と 共 に 、 一 層 使 い や す い ツ ー ル へ と 改 良 を 加 え て

い く 予 定 で あ る 。

3 プ ロ セ

ス 改 善

F3c 継 続 的

な 価 値

提 供 の

た め の

改 善 プ

ロ セ ス

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 チ ー ム の リ ー ダ ー と い う 立 場

で 、 基 幹 系 個 別 開 発 ソ フ ト か ら コ ン シ ュ ー マ 向 け

サ ー ビ ス 開 発 へ 転 向 し た と い う 経 験 か ら 後 者 の 開 発

を 行 う に 当 た り 、 両 開 発 の プ ロ セ ス や 目 的 の 違 い を

対 比 し つ つ 直 面 し た 問 題 や そ の 解 決 の た め の 活 動 を

通 し て 「 目 的 を 共 有 す る 」 こ と と 「 継 続 し て 改 善 し

続 け る 」 こ と の 大 切 さ と そ の 成 果 に つ い て 述 べ る 。

基 幹 系 個 別 開 発 で は は じ め に や る こ と を す べ て 決

め な け れ ば い け な い と い う 難 し さ が あ る 反 面 、 目 指

す 効 用 や 価 値 は あ る 程 度 決 ま っ て い る 事 が 多 い 。

し か し コ ン シ ュ ー マ 向 け サ ー ビ ス で は 状 況 の 変 化

が 大 き く 、 ま た 一 般 的 な 解 も な い 、 も し く は 定 義 出

来 な い 場 合 が 多 い 。

そ の よ う な 領 域 の 開 発 を 行 う に あ た り 、 理 想 的 な

姿 を 定 義 す る が そ の 実 現 に は 多 く の 障 害 が あ る 。

理 想 的 な 姿 に 近 づ く た め に 、 自 分 た ち の 現 場 で あ

る 開 発 チ ー ム で 取 り 組 ん で き た 内 容 や 価 値 観 、 手 段

を 使 い ど の よ う に チ ー ム を 育 て 、 理 想 に 近 づ け て

い っ た か と い う 事 例 を 共 有 す る 。

4 要 求 工

F4a 要 求 仕

様 か ら

利 用 品

~ ソ フ

ト ウ ェ

ア 品 質

シ ス テ ム 開 発 の 上 流 工 程 で は 要 求 分 析 に 基 づ き

「 要 求 仕 様 書 」 が 作 成 さ れ 、 レ ビ ュ ー に よ り そ の 適

切 性 を 確 認 す る こ と が 多 い 。 し か し 、 多 く の 場 合

「 要 求 仕 様 書 」 に は 要 求 分 析 結 果 で あ る ” シ ス テ ム

仕 様 ” だ け が 記 載 さ れ て い た り 、 シ ス テ ム に よ り 解

決 す べ き 事 項 や 解 決 後 の 状 態 ( シ ス テ ム ゴ ー ル や

ユ ー ザ ゴ ー ル ) が 不 明 確 な ま ま 、 分 析 ・ 検 討 過 程 が

22

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特 性 へ

の リ

バ ー ス

結 果 に

基 づ く

要 求 仕

様 レ

ビ ュ ー

~ 利 用

者 に 喜

ば れ

る ・ 役

立 つ シ

ス テ ム

の 構 築

に 向 け

何 も 表 現 さ れ て い な い な ど 、 レ ビ ュ ー に よ る 適 切 性

判 断 ( 主 に 、 妥 当 性 確 認 ) が 難 し い 状 態 で あ る こ と

が 多 い と 推 察 し て い る 。

当 初 か ら こ れ ら の 事 項 を 明 確 化 し た う え で 要 求 仕

様 書 に 記 載 す る こ と が 理 想 で は あ る が 、 実 務 で は そ

う で き な い 理 由 や 背 景 に あ ふ れ て お り 、 今 後 も 上 記

の よ う な 結 果 だ け を 示 し た 要 求 仕 様 が ま か り 通 る 可

能 性 が 高 い 。

そ こ で 、 実 務 の 現 場 で 提 示 さ れ た 「 要 求 仕 様 書 」

の 内 容 か ら 、 利 用 時 の 品 質 ( 利 用 者 像 ・ 利 用 時 コ ン

テ キ ス ト を 含 む ) や ソ フ ト ウ ェ ア 品 質 特 性 を リ バ ー

ス し た 情 報 を も と に 「 要 求 仕 様 書 」 レ ビ ュ ー を 実 施

し 、 的 確 な フ ィ ー ド バ ッ ク を 提 供 す る 方 法 を 提 案 す

る 。

も と も と は テ ス ト 設 計 方 法 論 を 検 討 す る 過 程 で 生

ま れ た も の で あ る が 、 シ ス テ ム 導 入 に よ り 解 決 す る

課 題 や 、 求 め ら れ る ソ フ ト ウ ェ ア 品 質 特 性 な ど を 階

層 的 に 整 理 ・ 明 確 化 す る こ と で 、 要 求 仕 様 の 適 切 性

を 判 断 す る 根 拠 が 明 確 と な る だ け で な く 、 シ ス テ ム

に 対 す る 非 機 能 要 求 事 項 の 明 確 化 、 利 用 者 の 課 題 に

対 す る IT シ ス テ ム と 人 間 の 適 切 な 役 割 分 担 の 採 用 、

過 剰 な 機 能 付 与 ・ 機 能 不 足 の 防 止 、 シ ス テ ム 稼 働 終

了 ま で の ラ イ フ サ イ ク ル を 意 識 し た シ ス テ ム 開 発 の

促 進 、 な ど の 効 果 が 期 待 で き る 。

5 ア ジ ャ

イ ル

F4b オ フ

シ ョ ア

開 発 に

お け る

ア ジ ャ

イ ル 開

発 の 取

り 組 み

と 評 価

本 発 表 は 、 オ フ シ ョ ア 開 発 へ の ア ジ ャ イ ル 開 発 導

入 に 関 す る 取 り 組 み を 説 明 し 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 プ ロ

ジ ェ ク ト を 評 価 す る た め の メ ト リ ク ス を 選 定 し 、 定

量 的 な 結 果 を 示 し 、 定 性 的 な 効 果 を 紹 介 す る 。

ア ジ ャ イ ル 開 発 は 、 欧 米 の ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 の 現

場 で 広 く 適 用 さ れ て い る ( ※ 2 ) 。 日 本 の ソ フ ト

ウ ェ ア 開 発 業 界 で は 、 WEB サ イ ト 開 発 や ゲ ー ム 開 発

な ど 、 ビ ジ ネ ス や 技 術 の 変 化 へ の す ば や い 対 応 が 要

求 さ れ て い る 領 域 で の ア ジ ャ イ ル 開 発 へ の 移 行 が 進

ん で い る 一 方 、 SIer の 領 域 で は 、 組 織 の 体 質 や 多 階

層 の 請 負 契 約 に よ る 開 発 体 制 と い っ た 業 界 の 慣 行

に 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 が 前 提 と す る 開 発 の や り 方 が な

じ み に く く 、 そ の 事 例 は 依 然 と し て 小 規 模 案 件 に と

ど ま る 傾 向 が あ る 。 当 社 は 、 90 年 代 か ら 大 規 模 反 復

の 開 発 を 実 践 し て き た 。 2011 年 か ら は 開 発 方 法 、 測

定 や 契 約 を 含 む 体 系 で あ る 「 OGIS Scalable Agile Method ( OSAM ) 」 を 社 内 の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に 適

23

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用 ・ 推 進 し て い る 。 ( ※ 3 )

オ フ シ ョ ア 開 発 に つ い て は 、 「 グ ロ ー バ ル デ リ バ

リ 」 の 動 き 下 で 、 当 社 は 2007 年 10 月 に 、 日 中 合 弁 の

形 で 上 海 欧 計 斯 軟 件 有 限 公 司 ( SOT ) を 設 立 し 、 グ

ロ ー バ ル 事 業 展 開 の 一 環 と し て 上 海 に オ フ シ ョ ア 開

発 拠 点 を 持 つ に 至 っ た 。 設 立 以 来 の 数 年 間 で 、 オ フ

シ ョ ア 開 発 プ ロ セ ス の 整 備 や 、 開 発 経 験 の 蓄 積 に

よ っ て 、 当 社 同 様 に コ ス ト 削 減 の 効 果 を 上 げ て い る

( ※ 1 ) 。 し か し 、 国 内 の パ ー ト ナ ー 企 業 と の 協 力

と 比 べ 、 仕 様 に 関 す る 説 明 、 合 意 の 形 成 、 詳 細 な 仕

様 書 の 作 成 、 現 地 出 張 の 費 用 、 品 質 管 理 / ト ラ ブ ル

の 対 応 、 進 捗 管 理 / 遅 延 の 対 応 コ ス ト な ど は 、 依 然

大 き な 課 題 の ま ま で あ る 。 こ れ ら の コ ス ト 増 加 の 要

因 の 低 減 を 目 的 と し て 、 当 社 は オ フ シ ョ ア 開 発 へ の

ア ジ ャ イ ル 開 発 の 導 入 を 試 み た 。

要 求 の 主 導 権 の 観 点 か ら 分 類 す る と 、 SOT で は 、

以 下 2 種 類 の 受 託 開 発 を 行 っ て い る 。

1. 当 社 の 要 求 を 満 た す た め の 開 発

2. 当 社 の 顧 客 の 要 求 を 満 た す た め の 開 発

上 記 2 の 開 発 に 関 し て は 、 日 本 で 上 流 設 計 を 行

い 、 中 国 に 詳 細 設 計 ~ 結 合 テ ス ト の 工 程 を 発 注 、 日

本 で 成 果 物 を 受 け 入 れ 、 シ ス テ ム テ ス ト を 実 施 す る

と い う 典 型 的 な オ フ シ ョ ア 開 発 で あ る 。 上 記 1 の 開

発 に 関 し て は 、 当 社 の 社 内 シ ス テ ム の 開 発 や パ ッ

ケ ー ジ 開 発 に な る が 、 当 社 が 推 進 し て い る OSAMの 一

部 を 導 入 し た 。 具 体 的 に 開 発 手 法 は Scrum を 導 入

し 、 技 術 的 な プ ラ ク テ ィ ス と ア ジ ャ イ ル 開 発 を サ

ポ ー ト す る ツ ー ル を 開 発 に 導 入 し た 。

ア ジ ャ イ ル 開 発 の 導 入 結 果 に 関 し 、 定 量 的 な プ ロ

ジ ェ ク ト の デ ー タ を 収 集 し た 。 ま た 、 現 地 で 関 係 者

が 一 堂 に 会 し て の プ ロ ジ ェ ク ト 振 り 返 り を 経 て 、 開

発 関 係 者 の 定 性 的 な 意 見 を 収 集 し た 。 定 量 的 な デ ー

タ の 分 析 と 定 性 的 な 感 想 か ら 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 の 導

入 に よ っ て 、 オ フ シ ョ ア 側 の チ ー ム の 一 体 感 及 び 、

人 員 の 定 着 率 が 向 上 し 、 生 産 性 と 品 質 の 安 定 化 な ど

の 効 果 が も た ら さ れ た 。 ま た 、 課 題 に つ い て も 顕 在

化 し て き た 。

今 後 の 取 り 組 み と し て 、 1) オ フ シ ョ ア 開 発 と ア

ジ ャ イ ル 開 発 の プ ロ セ ス を SOT の 開 発 標 準 に 盛 り 込

み 、 ま た 、 2) 当 社 の 要 求 を 満 た す た め の 開 発 以 外

に 、 当 社 の 顧 客 の 要 求 を 満 た す た め の 開 発 へ の ア

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ジ ャ イ ル 開 発 の 導 入 を 予 定 し て い る 。

6 ア ジ ャ

イ ル

F4c “ チ ー

ム 力 ”

で 派 生

開 発 を

成 功 さ

せ る 為

の “ 仕

掛 け 作

り ”

- XDDPと SCRUMの 併 用

で 派 生

開 発 を

極 め る

(1) 背 景

昨 今 の 組 み 込 み デ バ イ ス は 、 製 品 競 争 の 激 化 に よ

り 、 高 機 能 、 高 品 質 、 短 納 期 、 低 コ ス ト へ の 要 求 が

強 く 、 こ れ ら の 課 題 解 決 が 急 務 と な っ て い る 。 し か

し な が ら 、 長 き に 渡 る 景 気 低 迷 に よ り ヒ ト ・ モ ノ ・

カ ネ と い っ た リ ソ ー ス が 潤 沢 に 割 か れ る わ け で は な

い 。 派 生 開 発 に お い て は 、 新 規 開 発 に 比 べ て 更 に 強

い 傾 向 に あ る 。 で は 、 ど う す れ ば 迅 速 か つ 最 適 の 人

員 で 、 高 品 質 な ソ フ ト ウ ェ ア を 開 発 す る こ と が で き

る の か 。 個 々 の 力 で は 、 限 り が あ る の で 、 技 術 手 法

と チ ー ム 力 で 解 決 し て い き た い と 考 え る 。

(2) 課 題

・ 派 生 開 発 に お い て 、 迅 速 か つ 最 適 の 人 員 で 、 高 品

質 な ソ フ ト ウ ェ ア を 開 発 し た い

・ 派 生 開 発 に お け る QCD の 同 時 達 成 を 目 指 し た い

・ 様 々 な 変 化 に 対 応 で き る 下 地 を 作 り た い

・ 少 し で も 現 場 を 良 く し た い

(3) 実 施 方 法

[ 技 術 的 な ア プ ロ ー チ ]派 生 開 発 に 特 化 し た 手 法 で あ る XDDP を 適 用 し た 。

[ チ ー ム に よ る 継 続 的 改 善 ア プ ロ ー チ ]ア ジ ャ イ ル 開 発 手 法 の 一 つ で あ る SCRUM を 適 用 し

た 。

[ 開 発 フ ェ ー ズ の 分 割 ]開 発 フ ェ ー ズ を 2 つ に 分 け た 。

前 半 フ ェ ー ズ : 基 本 構 造 に 関 す る ( H/W に 影 響 の あ

る ) 変 更 要 求 を XDDP を 適 用 し て 品 質 を 固 め る 後 半

フ ェ ー ズ : 新 規 機 能 追 加 部 分 を Iteration 開 発 で 進 め る

(4) 結 果 (Q)QA 検 査 不 具 合 指 摘 件 数 : 軽 微 な 内 容

の 不 具 合 数 件 の み ○

(D) 納 期 遅 延 0 日 : 現 時 点 で 計 画 通 り で あ る ○

(C)予 算 超 過 無 し : 現 時 点 で 予 算 内 で あ る ○

メ ン バ の 充 実 感 : プ ロ ジ ェ ク ト 終 了 後 の ア ン ケ ー ト

か ら も 充 実 し て い る と 思 わ れ る 。 ○

派 生 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て 、 派 生 開 発 に 特 化 し

た 手 法 (XDDP) を 適 用 す る こ と は 、 品 質 面 、 納 期 面 、

開 発 コ ス ト 面 に お い て 効 果 が あ っ た 。 ま た 、 ア ジ ャ

イ ル 開 発 手 法 の 一 つ で あ る SCRUM を 適 用 す る こ と

で 、 チ ー ム 内 に 一 定 の リ ズ ム が 生 ま れ 、 チ ー ム 全 体

で 改 善 意 識 を 最 後 ま で 保 つ こ と が で き た 。 理 に 適 っ

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た 手 法 を 適 用 し 、 チ ー ム メ ン バ が 自 律 し て 改 善 を 繰

り 返 し な が ら 開 発 を 進 め て 行 く こ と で 、 迅 速 か つ 最

適 の 人 員 で 、 高 品 質 な ソ フ ト ウ ェ ア を 開 発 す る こ と

が で き る と 言 え る 。

7 要 求 工

S1a 要 求 獲

得 プ ロ

セ ス の

可 視 化

と 検 証

の 自 動

要 求 工 学 知 識 体 系 REBOK の 要 求 工 学 プ ロ セ ス は ,

要 求 獲 得 , 要 求 分 析 , 要 求 仕 様 化 , 要 求 の 検 証 ・ 妥

当 性 確 認 ・ 評 価 か ら 構 成 さ れ る [1]. 著 者 の 所 属 し て

い る 組 織 で は , 要 求 分 析 、 要 求 の 検 証 ・ 妥 当 性 確

認 ・ 評 価 の 支 援 技 術 を 開 発 し て い る . 要 求 分 析 の 支

援 に は , 要 求 と し て 定 義 す べ き 項 目 を メ タ モ デ ル と

し て 定 義 し , 要 求 の 定 義 漏 れ の 防 止 や 均 等 化 に 取 組

ん で い る [2]. 要 求 の 検 証 ・ 妥 当 性 確 認 ・ 評 価 に 対 し

て は , 要 求 品 質 チ ェ ッ ク シ ー ト と 呼 ぶ チ ェ ッ ク シ ー

ト を 用 い て 要 求 仕 様 書 の 定 義 網 羅 性 を 確 認 し て い

る . し か し な が ら , 要 求 の 検 証 ・ 妥 当 性 確 認 ・ 評 価

に あ た り , 次 の よ う な 課 題 に 直 面 し た .

課 題 1 : 要 求 獲 得 プ ロ セ ス の 品 質 評 価 の や り 方 が 属

人 的

課 題 2 : 簡 単 に 利 用 で き な け れ ば 要 求 獲 得 プ ロ セ ス

の 品 質 評 価 が 定 着 し な い

課 題 1 に 対 す る 解 決 策 と し て , メ タ モ デ ル を 用 い て

成 功 事 例 の 要 求 仕 様 書 を 分 析 し 「 理 想 的 な 要 求 獲 得

プ ロ セ ス 」 ( 以 降 , 理 想 モ デ ル ) を 定 義 す る . 理 想

モ デ ル と 対 象 プ ロ ジ ェ ク ト の 要 求 の 定 義 過 程 を 比 較

す る こ と で 品 質 評 価 を す る 手 法 と し て 定 義 す る . 課

題 2 に 対 す る 解 決 策 と し て , 要 求 品 質 チ ェ ッ ク シ ー

ト を 利 用 し た 評 価 ツ ー ル を 作 成 す る .

上 述 し た 解 決 策 を 実 事 例 に 適 用 し , 課 題 1 , 2 を

解 決 で き る か 確 認 し た . 確 認 の 結 果 , 理 想 モ デ ル と

異 な る 要 求 の 定 義 過 程 と な っ て い る 場 合 、 要 求 仕 様

書 に 不 整 合 が あ る こ と が 発 見 で き た . 要 求 仕 様 書 の

不 整 合 が 発 見 で き た こ と で , 要 求 獲 得 プ ロ セ ス 検 証

手 法 は 要 求 獲 得 プ ロ セ ス の 評 価 に 効 果 が あ る こ と が

確 認 で き た . 作 成 し た 要 求 品 質 チ ェ ッ ク シ ー ト を 利

用 し た 評 価 ツ ー ル に よ り 、 要 求 獲 得 プ ロ セ ス の 品 質

評 価 の や り 方 を 統 一 す る こ と が 可 能 で あ り , 課 題 1に 対 し て 有 用 で あ る .

既 存 の 取 組 み で あ る 要 求 品 質 チ ェ ッ ク シ ー ト を 利

用 す る こ と に よ り , 低 コ ス ト で 要 求 獲 得 プ ロ セ ス の

検 証 を 実 現 し た . プ ロ ジ ェ ク ト に 高 い 負 荷 を か け る

こ と な く 要 求 獲 得 プ ロ セ ス の 品 質 評 価 が 可 能 に な

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り , 課 題 2 を 解 決 す る こ と が 出 来 る . 今 後 は , 複 数

の プ ロ ジ ェ ク ト へ の 適 用 を 通 し て , 本 手 法 を 継 続 的

に 改 善 し て い く .

8 運 用 S1b 業 務 運

用 の 品

質 向 上

に 向 け

た 取 り

組 み

~ メ ン

バ 全 員

( 17名 ) 参

加 に よ

る 継 続

的 な 改

善 活 動

へ の 挑

戦 ~

講 演 概 要 富 士 通 エ フ ・ ア イ ・ ピ ー で は ア ウ ト ソ ー

シ ン グ サ ー ビ ス の 一 つ と し て BPO サ ー ビ ス を 提 供 し

て い る 。 本 稿 で は 、 BPO 業 務 運 用 の 現 場 で 発 生 す る

様 々 な 課 題 ( 「 属 人 化 」 「 手 順 の 陳 腐 化 」 「 運 用

ル ー ル の 変 更 」 な ど ) を 通 し 、 課 題 解 決 の た め の 改

善 手 法 に 焦 点 を あ て 、 現 場 主 導 で 実 施 可 能 な そ の 方

法 と 効 果 に つ い て 発 表 す る 。

1. 背 景

お 客 様 ( 社 員 : 約 2,200 名 ) の 管 理 部 門 業 務 の 一 部

を 2009 年 10 月 か ら 当 社 が サ ー ビ ス 提 供 し て い る 。 当

社 初 の 本 格 的 な 管 理 部 門 の 業 務 BPO で あ っ た

が 、 2009 年 9 月 ま で は 他 社 ( A 社 ) に 委 託 さ れ て い

た 為 、 お 客 様 は 委 託 先 変 更 の 意 識 が な く 、 短 納 期 で

か つ こ れ ま で と 同 様 の 安 定 し た 運 用 を 期 待 さ れ た 。

当 社 は , 、 品 質 確 保 の 為 、 旧 委 託 先 ( A 社 ) の 業 務

シ ス テ ム ・ 運 用 手 順 を そ の ま ま 移 行 ( As-Is To AsIs 方

式 ) を 実 施 。 そ の 結 果 、 立 ち 上 げ か ら 半 年 間 は 、 安

定 運 用 に よ り お 客 様 か ら 高 評 価 を 頂 い た 。

2. 課 題

本 稼 働 後 、 半 年 間 は 安 定 稼 働 し て い た が そ の 後 お

客 様 に よ る チ ェ ッ ク の エ ラ ー 検 出 数 が 増 大 。 2009 年

度 は 32 件 で あ っ た が 、 2010 年 度 で は 112 件 に の ぼ っ

た 。 お 客 様 か ら 得 た 信 頼 を 喪 失 し か ね な い 状 況 に

あ っ た 。 更 に 、 メ ン バ の モ チ ベ ー シ ョ ン も 低 下 傾 向

に あ っ た 。

3. 課 題 解 決 に 向 け た 取 り 組 み

こ れ ら を 解 決 す る た め に 本 プ ロ ジ ェ ク ト に

「 Lean(※1) 活 動 」 を 適 用 し た 。

( ※ 1 ) Lean と は 、 価 値 を 生 み 出 し 、 ム ダ を 排 除 し

て 継 続 的 改 善 の 文 化 を 構 築 す る と い う 働 き 方

具 体 的 に は 、 以 下 サ イ ク ル を 展 開 し た 。 ( ※ 2 ) 以

下 括 弧 内 は 活 動 ポ イ ン ト

(1) メ ン バ が 運 用 中 に 気 付 い た 点 を 付 箋 紙 に 書 き 、

壁 に 添 付 ( 問 題 の 可 視 化 )

(2)(1) の 内 容 に つ い て メ ン バ 全 員 で ア イ デ ィ ア を 出

し 、 壁 に 添 付 ( 否 定 は し な い )

(3)改 善 担 当 者 が (1)と (2)の 内 容 を 取 り 纏 め 、 一 覧 表 を

作 成 ( 既 存 運 用 へ の 負 荷 軽 減 )

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(4)メ ン バ 全 員 で 一 覧 表 を 元 に 改 善 内 容 を 決 定 し 、 合

意 ( メ ン バ 主 体 の 運 用 へ )

(5)本 番 運 用

(6)改 善 担 当 者 が 改 善 成 果 の 計 測 ( KPI の 測 定 )

9 プ ロ セ

ス 改 善

S1c TOC 思

考 プ ロ

セ ス に

よ る 改

善 施 策

の 合 意

形 成

- テ ス

ト プ ロ

セ ス 改

善 に お

け る 事

例 -

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 プ ロ セ ス 改 善 な ど , 関 係 者 の 多

い 改 善 活 動 を 行 う 際 に は , 関 係 者 の 合 意 形 成 が 非 常

に 重 要 で あ る . こ の 合 意 形 成 が 不 十 分 だ と , 改 善 施

策 の 意 図 を 歪 曲 し た り , 勝 手 な 解 釈 を し た り し , 改

善 が 十 分 な 効 果 を 上 げ る こ と が で き な く な る . し か

し , こ の よ う な 合 意 形 成 は 重 要 で あ る も の の 困 難 な

こ と が 多 い . 複 数 の 関 係 者 が 関 わ る 場 合 , 改 善 対 象

と な る 問 題 点 は 複 数 存 在 す る こ と が あ り , 関 係 者 の

立 場 に よ っ て , そ れ ら 問 題 点 の 重 要 度 が 異 な っ て く

る . ま た , そ れ ら 問 題 点 は 相 互 関 係 を 持 つ こ と も 多

く , あ る 関 係 者 一 方 の 立 場 で 重 要 と 考 え ら れ る 問 題

点 を 解 決 し よ う と す る と , 別 の 関 係 者 が 重 要 と 思 っ

て い る 問 題 点 に 悪 影 響 を 及 ぼ す よ う な こ と が 起 こ

る . こ の よ う に 複 数 の 問 題 が 相 互 関 係 を 持 ち , 関 係

者 が そ れ ら に つ い て 異 な る 重 要 度 を 持 っ て い る こ と

が , 関 係 者 の 多 い 改 善 活 動 に お け る 改 善 施 策 の 合 意

形 成 を 困 難 に し て い る と 考 え ら れ る .

本 報 告 で は , こ の よ う な ソ フ ト 開 発 プ ロ セ ス 改 善

に お け る 改 善 施 策 の 合 意 形 成 に 対 し て , TOC 思 考 プ

ロ セ ス の 現 状 構 造 ツ リ ー の 導 入 を 提 案 す る . TOC 思

考 プ ロ セ ス は , 制 約 条 件 の 理 論 (Theory of Constraints) の

手 法 の 一 つ で あ り , 目 的 を 阻 害 し て い る 中 核 の 問 題

を 発 見 ・ 解 決 す る こ と で 最 小 の 労 力 で 最 大 の 改 善 効

果 を 得 る , 体 系 的 な 問 題 解 決 手 法 で あ る . こ の TOC思 考 プ ロ セ ス の 中 の 現 状 構 造 ツ リ ー は , 改 善 対 象 の

問 題 の 因 果 関 係 を 構 造 化 し た も の で , こ の ツ リ ー を

用 い て , 中 核 の 問 題 を 1 つ か 2 つ に 絞 り 込 ん で い

く . こ の 現 状 構 造 ツ リ ー は , 上 述 の よ う に 立 場 に

よ っ て 重 要 度 の 異 な る 複 数 の 問 題 が 存 在 し て い る 場

合 で あ っ て も , そ れ ら の 因 果 関 係 を 見 え る 化 す る こ

と が で き , 集 中 し て 改 善 す べ き 中 核 問 題 を 明 確 に で

き る . こ の よ う に 現 状 構 造 ツ リ ー は , 改 善 施 策 の 合

意 形 成 を 困 難 に し て い る 要 因 を 排 除 で き る た め , 複

数 の 関 係 者 が 関 わ る 改 善 活 動 に お い て 非 常 に 有 効 な

道 具 で あ る と い え る .

本 報 告 で は , 日 立 グ ル ー プ の あ る 組 込 み ソ フ ト に

お け る テ ス ト プ ロ セ ス 改 善 に 対 し て , TOC 思 考 プ ロ

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セ ス の 現 状 構 造 ツ リ ー を 用 い た 事 例 を 報 告 す る . 改

善 対 象 組 織 で は , テ ス ト が 不 十 分 に な り , 不 具 合 の

抜 け 漏 れ が 発 生 し て い る と い う 問 題 が あ り , ソ フ ト

設 計 者 と 品 質 保 証 部 の 担 当 者 等 で 構 成 し た ワ ー キ ン

グ グ ル ー プ ( 全 16 名 ) を 組 織 し て , こ の 改 善 に 取 り

組 ん だ . 報 告 者 は , こ の ワ ー キ ン グ グ ル ー プ に よ る

改 善 施 策 の 検 討 に 現 状 構 造 ツ リ ー を 用 い た . 結 果 ,

集 中 す べ き 中 核 問 題 は , 全 て の テ ス ト 結 果 の 客 観 的

証 拠 を 保 存 し な け れ ば な ら な い と い う 方 針 で あ る こ

と を 明 確 に し た . こ の 中 核 問 題 を 明 確 に す る こ と

で , 不 具 合 摘 出 の た め の テ ス ト を 定 義 し , そ の テ ス

ト の た め に テ ス ト 観 点 レ ビ ュ ー と い う 改 善 施 策 を ,

ワ ー キ ン グ グ ル ー プ メ ン バ ー 全 員 が 納 得 す る 形 で 導

出 す る こ と が で き た . 本 改 善 施 策 は , 実 際 に 試 行 ・

評 価 し , 多 く の 不 具 合 を 摘 出 で き る こ と も 確 認 し

た .

10 要 求 工

S2a 要 求 開

発 手 法

HyThology」

~ REBOK実 践 の

取 り 組

日 立 ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ で は 、 2 0 0 7 年 よ り 「 超

上 流 プ ロ セ ス 対 応 力 の 強 化 活 動 」 と し て 、 企 画 ・ 要

件 定 義 工 程 で 適 用 す る 技 術 と プ ロ セ ス の 整 備 、 そ れ

を 活 用 す る 人 財 育 成 を 推 進 し て き た 。 今 年 4 月 に

は 、 活 動 成 果 の 一 つ と し て 、 要 求 開 発 手 法

「 HyThologyTM 」 を 社 内 外 に 発 表 し 、 実 務 で の 適 用 を

進 め て い る 。

本 稿 で は 、 HyThologyTM 開 発 に お い て 技 術 体 系 化 の

ベ ー ス と し た 要 求 工 学 知 識 体 系 ( REBOK ) の 活 用 を

中 心 に 、 当 社 の 取 り 組 み を 紹 介 す る 。

( 1 ) 取 り 組 み の 背 景 と 課 題

IT 活 用 に よ る ビ ジ ネ ス で の 価 値 創 造 と プ ロ ジ ェ ク

ト 成 功 の た め に は 、 超 上 流 工 程 が 重 要 で あ る 。 し か

し 、 適 用 す る 手 法 や 方 法 論 に は 、 コ ン サ ル テ ィ ン

グ ・ メ ソ ド ロ ジ か ら モ デ リ ン グ 手 法 ま で 、 多 種 多 様

な 技 術 が 紹 介 さ れ て お り 、 取 り 組 む べ き 全 体 像 が 把

握 し き れ な い 状 況 が 続 い て い る 。 現 場 で 実 践 す る 為

に プ ロ セ ス ・ 作 業 と 手 法 を 標 準 化 す る 事 が 必 要 で あ

る 。 併 せ て 、 超 上 流 工 程 の 専 門 家 た る 高 度 IT 人 財

( 超 上 流 人 財 ) を 広 く 育 成 し 、 超 上 流 工 程 の 円 滑 な

遂 行 と 要 求 品 質 の 確 保 を 図 る 事 が 重 要 で あ る 。

( 2 ) プ ロ セ ス と 技 術 の 体 系 化

顧 客 企 業 側 の 体 制 や プ ロ ジ ェ ク ト の 特 性 に よ り 作

業 プ ロ セ ス は 様 々 に 変 化 す る 。 共 通 フ レ ー ム

( SLCP ) を も と に 、 作 業 プ ロ セ ス を モ デ ル 化 し 、 こ

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の プ ロ セ ス を 遂 行 す る 為 の 技 術 を 、 REBOK で の 要 求

工 学 プ ロ セ ス に 対 応 付 け て HyThologyTM と し て 規 定 し

た 。

( 3 ) 人 財 育 成

IT ス キ ル 標 準 ( ITSS ) の 考 え 方 に 沿 っ て 、 遂 行 す

る 業 務 ・ タ ス ク や 必 要 な ス キ ル を 、 超 上 流 人 財 モ デ

ル と し て 可 視 化 し た 。 検 討 に あ た っ て は REBOK の 共

通 知 識 領 域 ( REBOK Core ) の 内 容 を 利 用 し た 。 さ ら

に キ ャ リ ア 開 発 の た め に 、 ス キ ル 習 得 の 為 の 選 抜 者

研 修 を 開 発 し 、 HyThologyTM と そ の 技 術 ・ 手 法 、 REBOKの 活 用 法 等 を 現 場 の S E ・ 営 業 担 当 者 に 提 供 し て い

る 。

4 ) 効 果

一 年 間 の 試 行 期 間 を 経 て 、 現 場 か ら は 『 従 来 は 経

験 的 に 獲 得 し て き た ス キ ル が 、 HyThologyTM と し

て 、 SLCP ・ REBOK 等 の 標 準 的 な 体 系 で 整 理 さ れ た こ

と に よ り 、 ノ ウ ハ ウ の 充 実 や 後 進 の 育 成 に 有 益 』 と

の 評 価 を 得 て い る 。 顧 客 企 業 か ら も 説 明 の 依 頼 を 受

け て お り 、 顧 客 と ベ ン ダ ー が 同 じ 言 葉 ・ 考 え 方 で 超

上 流 工 程 に 取 り 組 む た め に も 、 有 効 な 技 術 と し て 適

用 を 推 進 し て 行 き た い 。

11 標 準 化 S2b 社 内 シ

ス テ ム

開 発 標

準 の 開

発 に お

け る テ

ン プ

レ ー ト

開 発 作

業 の 効

率 化 と

高 品 質

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 ベ ン ダ ー に お い て 、 シ ス テ ム 開

発 標 準 に よ り 、 シ ス テ ム 構 築 の 手 順 や 作 法 を 標 準 化

す る こ と は 一 般 的 で あ る 。 最 近 で は 、 REBOK や

BABOK 、 IPA の 機 能 要 件 の 合 意 形 成 ガ イ ド 、 非 機 能

要 求 グ レ ー ド な ど 、 上 流 に フ ォ ー カ ス し た 各 種 標 準

が 提 供 さ れ る な ど 、 シ ス テ ム 開 発 標 準 は 充 実 し て き

て い る 。

著 者 の 所 属 す る 組 織 に お い て は 、 プ ロ セ ス 、 テ ン

プ レ ー ト 、 ガ イ ド か ら 構 成 さ れ る シ ス テ ム 開 発 標 準

を 定 義 し て い る 。 こ れ ら は 、 会 社 の 戦 略 、 組 織 、 技

術 の 変 化 に 伴 い 、 継 続 的 改 善 が 必 要 で あ る 。 今 回 、

リ リ ー ス さ れ た 各 種 標 準 や 、 社 内 ノ ウ ハ ウ を 加 味 し

て 開 発 標 準 の 改 善 に 取 り 組 み 、 特 に 開 発 成 果 物 を 定

義 す る た め の テ ン プ レ ー ト を 開 発 ・ 改 善 し た 。

し か し な が ら 、 テ ン プ レ ー ト の 開 発 ・ 改 善 に お い

て 、 次 の よ う な 課 題 に 直 面 し た 。

(1)テ ン プ レ ー ト の 開 発 手 順 が 非 効 率 で 遅 れ が 発 生 。

(2) テ ン プ レ ー ト に 記 述 す る 項 目 の 定 義 漏 れ が 発 生

し 、 テ ン プ レ ー ト の 品 質 が 低 下 。 そ こ で 、 上 記 課 題

の 解 決 の た め に 、 (1)の 課 題 の 解 決 策 と し て 、 テ ン プ

30

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レ ー ト の フ ォ ー マ ッ ト 定 義 と グ ル ー プ 化 に よ り テ ン

プ レ ー ト 開 発 の 作 業 を 共 通 化 す る こ と と し た 。 (2)の

課 題 の 解 決 策 と し て は 、 メ タ モ デ ル ( ※ 1 ) を 軸 と

し て 、 既 存 の シ ス テ ム 開 発 標 準 テ ン プ レ ー ト や 、 仕

様 書 作 成 支 援 ツ ー ル の 仕 様 デ ー タ で 定 義 さ れ た 項 目

と 対 応 関 係 を 取 る こ と と し た 。 (1)、 (2)の 解 決 策 に 基

づ き 、 テ ン プ レ ー ト 開 発 の 効 率 化 と 高 品 質 化 を 目 指

し た 。

上 述 し た 解 決 策 を テ ン プ レ ー ト 開 発 ・ 改 善 に 適 用

し た 。 本 解 決 策 の 適 用 後 、 1 テ ン プ レ ー ト あ た り の

開 発 の 生 産 性 が 3.2 倍 に 向 上 し た 。 ま た 、 開 発 し た 1テ ン プ レ ー ト あ た り の 指 摘 件 数 も 約 6 割 減 少 し た 。

こ の こ と か ら 、 考 案 し た 手 法 は テ ン プ レ ー ト 開 発

の 効 率 化 と 高 品 質 化 に 有 効 で あ る と 考 え ら れ る 。 こ

の 手 法 は 、 テ ン プ レ ー ト の 説 明 コ メ ン ト や 事 例 作 成

作 業 に 対 し て も 適 用 で き る と 考 え ら れ 、 継 続 的 に 改

善 し て い く 。

( ※ 1 ) 「 メ タ モ デ ル 」 と は 、 要 件 定 義 書 や 基 本 設

計 書 な ど の 仕 様 書 を モ デ ル と ビ ュ ー に 分 け 、 モ デ ル

の 構 造 を 一 般 化 し た も の で あ る 。

12 プ ロ セ

ス 改 善

S2c 画 面 設

計 の 開

発 プ ロ

セ ス の

改 善 へ

の 取 り

組 み

- プ ロ

ト タ イ

プ を 用

い た 画

面 イ

メ ー ジ

の 認 識

統 一 の

事 例

本 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 設 計 書 の 管 理 ・ 情 報 の 共 有

を 目 的 と し た 基 盤 を 開 発 し て お り 、 社 内 の SE が 顧 客

プ ロ ジ ェ ク ト の た め に 活 用 し て い る 。 開 発 の 過 程 に

お い て 、 完 成 し た シ ス テ ム が 設 計 の 段 階 で 想 定 し た

イ メ ー ジ と 異 な り 、 フ ィ ー ド バ ッ ク を 取 り 込 み き れ

な い こ と が あ っ た 。 そ の た め 、 設 計 の 段 階 で 画 面 イ

メ ー ジ の 認 識 統 一 を 行 う べ く 、 プ ロ ト タ イ ピ ン グ 手

法 を 採 用 し た 。 そ の 結 果 、 効 果 を 得 る こ と が で き

た 。

し か し 、 こ れ ま で の 開 発 で は 、 シ ス テ ム の 完 成 後

の イ メ ー ジ が 伝 わ る レ ベ ル で プ ロ ト タ イ プ を 作 成 し

て い た た め 、 作 成 コ ス ト が 大 き く 画 面 設 計 の 開 発 効

率 が 悪 い と い う 問 題 が あ っ た 。 ま た 、 プ ロ ト タ イ プ

の 精 度 が 高 く な る こ と で 画 面 の 細 か い レ イ ア ウ ト に

注 意 が 向 き 、 重 要 度 の 高 い ユ ー ス ケ ー ス が 十 分 に 議

論 さ れ な い こ と も 起 き て い た 。 こ れ ら の 問 題 を 解 決

し 、 画 面 設 計 の 開 発 プ ロ セ ス を 改 善 す る 必 要 が あ る

と 考 え た 。

そ こ で 、 画 面 設 計 の 開 発 プ ロ セ ス の 見 直 し を 行

い 、 次 の 2 点 の 改 善 に 取 り 組 ん だ 。

( 1 ) ペ ー パ ー プ ロ ト タ イ ピ ン グ と 実 際 に 動 く プ ロ

31

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ト タ イ プ を 組 み 合 わ せ 、 段 階 的 に 行 う プ ロ セ ス に 改

( 2 ) 上 記 で 改 善 し た プ ロ セ ス に 従 っ た 、 画 面 設 計

作 業 と レ ビ ュ ー 観 点 の 整 理

上 記 の 取 り 組 み に よ り 、 次 の 効 果 を 得 る こ と が で

き た 。

( 1 ) 予 定 外 の 再 レ ビ ュ ー の 削 減

( 2 ) ユ ー ス ケ ー ス の 画 面 設 計 前 半 で の 認 識 統 一

( 3 ) 画 面 設 計 の 仕 様 漏 れ に よ る 手 戻 り 件 数 の 削 減

結 果 、 画 面 設 計 の 開 発 プ ロ セ ス を 改 善 す る こ と が

で き た 。 本 発 表 で は 、 改 善 を 通 し て 得 ら れ た 、 画 面

イ メ ー ジ の 認 識 統 一 の 事 例 と そ の 効 果 に つ い て 紹 介

す る 。

13 要 求 工

S3a 第 3 者

ビ ュ ー

に よ る

要 件 定

義 書 の

品 質 向

上 の 取

り 組 み

要 件 定 義 書 は シ ス テ ム 開 発 の プ ロ ジ ェ ク ト を 成 功

に 導 く た め に 重 要 な ド キ ュ メ ン ト で あ る . 顧 客 と ベ

ン ダ は 開 発 す る シ ス テ ム の 仕 様 を 要 件 定 義 書 に 記 述

し , 記 述 内 容 に つ い て 合 意 す る . さ ら に ベ ン ダ は 要

件 定 義 書 を も と に 開 発 の 見 積 も り , 開 発 計 画 を 作 成

す る .

要 件 定 義 書 に 記 述 漏 れ や 曖 昧 な 記 述 が あ る と , 後

工 程 で 手 戻 り や 追 加 作 業 な ど の 問 題 が 発 生 す る と 考

え ら れ る . 例 え ば , 設 計 の 担 当 者 が 要 件 定 義 書 の 曖

昧 な 記 述 を 誤 解 し た ま ま 作 業 を 進 め る と , 誤 り に 気

づ い た と き に 大 き な 修 正 作 業 が 必 要 に な る .

そ こ で 筆 者 ら は 要 件 定 義 書 に 起 因 す る プ ロ ジ ェ ク

ト の 問 題 を 防 止 す る た め に 、 要 件 定 義 書 の 品 質 を 第 3者 が 定 量 的 に 評 価 し 、 評 価 結 果 と 改 善 提 案 を プ ロ

ジ ェ ク ト に フ ィ ー ド バ ッ ク す る 取 り 組 み ( 要 件 定 義

書 の 第 3 者 レ ビ ュ ー の 取 り 組 み ) を 開 発 し 、 当 社 内

の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト へ の 適 用 を 進 め て い る .

要 件 定 義 書 に お い て 記 述 す べ き 内 容 が 記 述 さ れ て

い る か , 曖 昧 で な い 書 き 方 で 記 述 さ れ て い る か と

い っ た 観 点 で 要 件 定 義 書 の 品 質 を 定 量 的 に 評 価 し ,

品 質 を ス コ ア の 形 式 で 表 現 す る . ス コ ア が 低 い プ ロ

ジ ェ ク ト に は 要 件 定 義 書 の 改 善 提 案 も お こ な う 。 こ

れ に よ り 、 プ ロ ジ ェ ク ト は 要 件 定 義 書 に 起 因 す る 問

題 を 予 防 す る た め の 対 策 を 取 る こ と が で き る .

本 報 告 で は 、 当 社 の 要 件 定 義 書 の 第 3 者 レ ビ ュ ー

の 取 り 組 み の 概 要 を 紹 介 す る 。 取 り 組 み で は 適 用 プ

ロ ジ ェ ク ト へ の 追 跡 調 査 を お こ な い 、 第 3 者 レ

ビ ュ ー の 適 用 効 果 に 関 す る デ ー タ を 収 集 し た 。 そ こ

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で 、 要 件 定 義 書 の 品 質 の 可 視 化 ・ 改 善 が プ ロ ジ ェ ク

ト の 後 工 程 で の 工 数 削 減 に 有 用 と の 実 証 結 果 も 併 せ

て 報 告 す る 。

14 ソ フ ト

ウ ェ ア

メ ト リ

ク ス

S3b COSMIC概 算 法

に よ る

概 算 規

模 測 定

の 測 定

コ ス ト

削 減 の

検 討 結

COSMIC 機 能 規 模 測 定 法 は ソ フ ト ウ ェ ア の 機 能 規 模

を 測 定 す る 手 法 で あ る 。 COSMIC 機 能 規 模 測 定 法 で 測

定 し た 機 能 規 模 は 、 労 力 や 欠 陥 数 な ど 他 の 測 定 デ ー

タ と 組 み 合 わ せ て 開 発 生 産 性 や 欠 陥 密 度 を 求 め る こ

と が で き る 。 こ れ ら の 値 を 他 の プ ロ ジ ェ ク ト と 比 較

し て 、 開 発 プ ラ ク テ ィ ス の 良 い 点 や 改 善 点 を 明 ら か

に す る こ と で 、 よ り よ い 開 発 を 目 指 す こ と が で き る

と 考 え ら れ る 。

機 能 規 模 の 測 定 を 現 場 で 展 開 す る に は 、 機 能 規 模

の 測 定 コ ス ト を 削 減 す る 必 要 が あ る 。 測 定 コ ス ト を

削 減 す れ ば 、 こ れ ま で 測 定 コ ス ト が 妨 げ と な っ て 機

能 規 模 の 測 定 が 難 し か っ た 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク ト の 測

定 も 可 能 に な る 。 そ こ で 、 著 者 ら は 、 COSMIC 機 能 規

模 測 定 法 の 概 算 法 の 適 用 を 検 討 し た 。 COSMIC 概 算 法

は 、 COSMIC 機 能 規 模 測 定 法 に 基 づ い て 概 算 で 機 能 規

模 を 測 定 す る 方 法 で あ り 、 測 定 コ ス ト の 削 減 が 期 待

で き る 。 COSMIC 概 算 法 を 適 用 す る 場 合 は 、 COSMIC 測定 マ ニ ュ ア ル 応 用 編 に 記 載 さ れ て い る 概 算 法 の 例 を

元 に 、 個 別 に 調 整 す る 必 要 が あ る 。 著 者 ら は 概 算 法

の 例 の 中 か ら 、 平 均 機 能 プ ロ セ ス 数 法 を 元 に 概 算 法

を 定 め る こ と に し た 。

ま ず 、 平 均 機 能 プ ロ セ ス 数 法 の 具 体 的 な 手 順 を 決

定 し て 「 サ ン プ リ ン グ 測 定 法 」 を 定 め 、 さ ら に 平 均

機 能 プ ロ セ ス 数 法 を 簡 略 化 し た 測 定 方 法 で あ る 「 過

去 デ ー タ 参 照 法 」 を 考 案 し た 。 サ ン プ リ ン グ 測 定 法

は 、 測 定 対 象 の 一 部 の 機 能 だ け を COSMIC 法 に 基 づ い

て 精 密 に 測 定 し 、 測 定 し た 結 果 を 元 に 概 算 規 模 を 求

め る 方 法 で あ る 。 過 去 デ ー タ 参 照 法 は 、 COSMIC 法 に

基 づ く 測 定 は 行 わ ず に 、 基 本 設 計 書 か ら 得 ら れ る

テ ー ブ ル 数 と 過 去 の 測 定 デ ー タ を 元 に 概 算 規 模 を 求

め る 方 法 で あ る 。 い ず れ も 通 常 の COSMIC 法 に 基 づ く

測 定 に 比 べ て 、 簡 易 な 方 法 で あ る 。 サ ン プ リ ン グ 測

定 法 と 過 去 デ ー タ 参 照 法 は 実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト に 適

用 し て 概 算 規 模 を 測 定 し 、 測 定 し た 概 算 規 模 の 妥 当

性 と 測 定 コ ス ト の 削 減 率 を 検 証 し た 。

サ ン プ リ ン グ 測 定 法 と 過 去 デ ー タ 参 照 法 を プ ロ

ジ ェ ク ト に 適 用 し た 結 果 、 測 定 し た 概 算 規 模 は 妥 当

で あ っ た 。 サ ン プ リ ン グ 測 定 法 の 測 定 コ ス ト は 通 常

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の COSMIC 機 能 規 模 測 定 法 で 測 定 し た 場 合 よ り 、 80%程 度 削 減 で き 、 過 去 デ ー タ 参 照 法 の 測 定 コ ス ト は サ

ン プ リ ン グ 測 定 法 よ り さ ら に 50% 程 度 削 減 で き た 。

二 つ の 概 算 法 は 、 測 定 に 求 め る 確 度 や 、 確 保 で き る

測 定 コ ス ト に よ っ て 使 い 分 け る こ と を 考 え て い る 。

今 後 は 、 さ ら に COSMIC 概 算 法 に よ る 測 定 件 数 を 増

や し 、 測 定 結 果 の 検 証 を 行 う 予 定 で あ る 。

15 ユ ー ザ

ビ リ

テ ィ

S3c NRI の

社 内 業

務 シ ス

テ ム に

お け る

RIA 化

の 取 り

組 み

~ RIA化 に お

け る ポ

イ ン

ト ・ 課

題 に 関

す る 考

察 ~

野 村 総 合 研 究 所 の 社 内 シ ス テ ム ( 業 務 プ ロ セ ス 管

理 シ ス テ ム ( ProArk/BPM ) ) の 改 善 の 中 で 実 施 さ れ た

計 画 策 定 サ ブ シ ス テ ム の RIA 化 を 通 し 、 NRI 自 身 に

お け る 業 務 シ ス テ ム RIA 化 の 取 り 組 み の 紹 介 と 実 践

に お け る ポ イ ン ト ・ 注 意 点 を 説 明 。

・ 業 務 プ ロ セ ス 管 理 シ ス テ ム の 紹 介

今 回 カ イ ゼ ン の 対 象 と な っ た NRI 社 内 業 務 シ ス テ ム

に つ い て 、 予 備 知 識 と し て ご 紹 介

・ RIA 化 の 経 緯 従 来 の 会 計 シ ス テ ム が Excel で フ ロ ン

ト 部 分 を 開 発 し て い た た め 、 操 作 性 を 考 慮 し て 当 初

は Excel で 開 発 し た が 、 Java ( Web 系 ) の シ ス テ ム 機

能 と の 業 務 的 な 分 断 が 課 題 と な り 、 全 社 で の 利 用 開

始 を 機 に RIA 化 を 実 施 す る こ と と な っ た 。

・ RIA 化 の 方 式 説 明 及 び 設 計 ・ 開 発 時 の ポ イ ン ト

Flex を 利 用 し て RIA 化 を 行 っ た た め 、 Flex を ど の よ

う に 既 存 シ ス テ ム と 連 携 さ せ て い る か と い う 技 術 的

背 景 の 説 明 設 計 時 点 に ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス を 向

上 さ せ る た め に 、 業 務 的 な 機 能 に つ い て は 最 初 か ら

見 え る よ う に す る な ど 考 慮 し て UI を 再 作 成 し た 。 開

発 時 点 ( 実 装 ) で は 、 工 数 を 増 加 さ せ な い ・ 品 質 を

維 持 す る と い っ た 観 点 か ら Java 側 機 能 と 組 み 合 わ せ

て さ く せ い し た 。

2011 年№ 分 類 コ ー

タ イ ト ル 概 要

1 ユ ー ザ

ビ リ

テ ィ

F3a 業 務 シ ス

テ ム の

ユ ー ザ ビ

リ テ ィ 評

価 と 品 質

向 上 に 関

す る 取 組

  イ ン タ ー ネ ッ ト サ ー ビ ス で は 、 シ ス テ ム の ユ ー ザ

ビ リ テ ィ が 来 訪 者 数 や 売 り 上 げ に 直 結 す る こ と が 広

く 認 知 さ れ 、 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト や ユ ー ザ ビ リ

テ ィ チ ェ ッ ク シ ー ト 等 が 開 発 さ れ て い る 。 近 年 で は

使 い や す さ だ け で な く 使 っ た と き の 印 象 全 体 を 考 慮

す る 「 ユ ー ザ エ ク ス ペ リ エ ン ス 」 と い う 概 念 も 重 視

さ れ つ つ 在 る 。 一 方 、 業 務 シ ス テ ム の ユ ー ザ ビ リ

テ ィ は こ れ ま で 軽 視 さ れ て き た 。 そ の 要 因 は 情 報 シ

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ス テ ム 部 、 シ ス テ ム イ ン テ グ レ ー タ 、 エ ン ド ユ ー ザ

そ れ ぞ れ に 由 来 す る 。 し か し 、 業 務 シ ス テ ム で 適 切

に ユ ー ザ ビ リ テ ィ に 配 慮 す る と 作 業 効 率 が 上 が り コ

ス ト 削 減 に つ な が る 事 例 や 、 逆 に ユ ー ザ ビ リ テ ィ が

悪 か っ た た め に 大 き な 事 故 と な っ て し ま っ た 事 例 は

多 く 、 筆 者 ら は 業 務 シ ス テ ム に 対 し て も ユ ー ザ ビ リ

テ ィ を 配 慮 す べ き と 考 え て い る 。

こ の よ う な 背 景 の も と 、 筆 者 ら は 業 務 シ ス テ ム 向

け の ユ ー ザ ビ リ テ ィ チ ェ ッ ク シ ー ト 「 UxDux 」 を 開

発 し た の で そ の 概 要 を 報 告 す る 。 業 務 シ ス テ ム を 対

象 と し た ユ ー ザ ビ リ テ ィ 評 価 手 法 の 研 究 は こ れ ま で

あ ま り 行 わ れ て い な い 。 本 手 法 で は 業 務 シ ス テ ム の

ユ ー ザ ビ リ テ ィ を 7 つ の カ テ ゴ リ に 分 け 、 評 価 対 象

シ ス テ ム の 成 績 を 「 見 え る 化 」 す る こ と が で き る 。

ま た 、 採 点 結 果 に 応 じ て 改 善 方 法 の 案 を 提 示 す る こ

と も で き る 。

本 手 法 を 実 シ ス テ ム に 適 用 し た 事 例 と し て 、 3 事

例 を 紹 介 す る 。 設 計 段 階 の シ ス テ ム に 適 用 し た 事 例

で は 、 本 手 法 が ユ ー ザ ビ リ テ ィ 改 善 に 有 効 で あ っ

た 。 電 子 申 請 シ ス テ ム に 適 用 し た 事 例 で は 、 評 価 者

や カ テ ゴ リ ご と の 評 価 結 果 の ば ら つ き を 評 価 し た 。 3つ め の 事 例 で は 、 本 手 法 を 用 い ず に シ ス テ ム 改 善 を

行 っ た シ ス テ ム に 対 し 、 改 善 前 後 に 対 し て 本 手 法 で

ユ ー ザ ビ リ テ ィ チ ェ ッ ク を 行 っ た 。 評 価 者 数 が 少 な

か っ た た め 統 計 的 に 有 意 と は な ら な か っ た が 、 改 善

後 の シ ス テ ム の 方 が 良 い 評 価 と な る こ と が 確 認 さ れ

た 。

現 在 は 本 手 法 の 有 効 性 を 定 量 的 に 示 す た め 、 こ れ

ま で よ り も 多 く の 評 価 者 に よ っ て 評 価 を 実 施 し 、 評

価 の ば ら つ き に 対 す る 対 応 策 を 検 討 し て い る 。 ま

た 、 コ ス ト 削 減 や 事 故 件 数 の 減 少 な ど 、 ユ ー ザ ビ リ

テ ィ 改 善 効 果 の 分 析 を 進 め る 予 定 で あ る 。

2 保 守 F3b チ ー ム に

よ る 保 守

業 務 改 善

の 取 組 み

~ 保 守 業

務 の 『 見

え る 化 』

電 子 カ ル テ や 医 事 会 計 な ど の 病 院 シ ス テ ム の 保 守

業 務 に お い て 、 こ れ ま で は 各 顧 客 担 当 S E に よ る 属

人 的 な 対 応 が 多 か っ た た め 、

(1)S E 間 の 作 業 負 荷 の 偏 り 、

(2)保 守 作 業 の 品 質 ・ 進 捗 の バ ラ つ き 、

(3)情 報 共 有 不 足 に よ る 保 守 サ ー ビ ス の 品 質 低 下 ・ 作

業 効 率 低 下 な ど の 問 題 が 起 き て い た 。

こ れ ら の 改 善 策 と し て 保 守 業 務 の 体 制 ・ 方 法 を 根

本 的 に 見 直 し 、 属 人 的 対 応 か ら チ ー ム 対 応 へ の 転 換

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を 図 っ た 。 そ の 一 つ の 手 段 と し て 、 リ モ ー ト 接 続 を

最 大 限 に 活 用 す る こ と と し た 。

こ の リ モ ー ト 保 守 改 善 の 取 組 み に お い て 3 つ の 成

果 を 得 る こ と が で き た 。 1 点 目 は リ モ ー ト 保 守 に よ

る 顧 客 シ ス テ ム 監 視 を 継 続 実 施 す る こ と が 、 予 防 保

守 の 1 手 法 と し て 確 立 で き た 。 2 点 目 は リ モ ー ト 接

続 記 録 ツ ー ル を 新 た に 開 発 導 入 し た こ と に よ り 、 作

業 状 況 の 収 集 ・ 分 析 が 容 易 に な り 、 状 況 を デ ー タ と

し て 可 視 化 ( 『 見 え る 化 』 ) す る こ と が 可 能 と な っ

た 。 3 点 目 は プ ロ ジ ェ ク ト ウ ェ ブ を 活 用 し た 保 守 情

報 の 共 有 化 に よ り 作 業 の 標 準 化 ・ 効 率 化 を 図 る こ と

が で き た 。

今 後 は 、 保 守 作 業 を 通 じ て 得 ら れ た 情 報 を 分 析

し 、 予 防 保 守 対 策 ・ 保 守 実 績 報 告 等 を 顧 客 に 提 示 す

る こ と で 顧 客 満 足 度 の 向 上 や 保 守 契 約 交 渉 に 活 用 し

て い く 。

こ れ ら の 取 組 み は 、 パ ッ ケ ー ジ の 種 類 や 業 種 ・ 部

門 を 問 わ ず 、 リ モ ー ト 保 守 サ ー ビ ス 全 般 の 品 質 向 上

と 作 業 効 率 化 に 対 し 役 立 つ と 考 え る 。

3 保 守 F4b 仮 想 化 技

術 を 活 用

し た シ ス

テ ム 保 守

効 率 化 施

策 の 検 討

現 在 、 弊 社 に て 運 用 し て い る A シ ス テ ム は 、 日 立

グ ル ー プ 内 の シ ス テ ム 開 発 を サ ポ ー ト す る 基 幹 シ ス

テ ム で あ る 。 年 々 ユ ー ザ が 増 加 し て お り 、 毎 月 1 0

0 0 を 大 き く 超 え る プ ロ ジ ェ ク ト で 適 用 さ れ 、 毎 日

数 千 人 が 利 用 し て い る 。 こ の 利 用 増 に 対 応 す る た

め 、 随 時 WEB/AP サ ー バ の 増 設 を 進 め て お り 、 現 在 、 9台 の WEB/AP サ ー バ に て 運 用 し て い る 。

本 シ ス テ ム 運 用 に お い て は 、 シ ス テ ム 保 守 作 業 の

実 施 を 目 的 と し て 、 月 に 1 回 日 曜 日 を 計 画 停 止 日 と

し て い る 。 こ の 日 は 、 シ ス テ ム が 全 面 停 止 す る た

め 、 全 ユ ー ザ が 利 用 停 止 と な る 。 運 用 者 は こ の 1 日

の 中 で 稼 動 中 に 実 施 で き な い 保 守 作 業 を 実 施 す る 。

こ う し た 中 で 、 多 く の ユ ー ザ か ら は 月 に 1 回 の シ

ス テ ム 全 面 停 止 に つ い て も 短 縮 で き な い か と い う 要

望 が 多 く 寄 せ ら れ て い る 。 ま た 、 運 用 者 の 中 で も 休

日 作 業 が 必 須 と な る 状 況 が 負 担 と な っ て い る 。

そ こ で 、 シ ス テ ム 保 守 の 効 率 化 に つ い て 検 討 を

行 っ た 。

最 近 で は 、 仮 想 化 技 術 を 本 番 環 境 に 適 用 し た 事 例

を 見 か け る 機 会 も 多 く な っ て き た 。 現 在 運 用 し て い

る シ ス テ ム に お い て も 、 テ ス ト 環 境 作 成 に お い て は

サ ー バ 仮 想 化 に よ る メ リ ッ ト を 享 受 し て い る が 、 本

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番 環 境 に お い て は ま だ 有 効 な 活 用 手 段 を 見 い だ せ て

い な い の が 現 状 で あ っ た 。 今 回 、 仮 想 化 技 術 を 用 い

て 、 ユ ー ザ 視 点 、 運 用 者 視 点 双 方 で メ リ ッ ト が 見 込

め る よ う に 、 保 守 作 業 を 効 率 化 す る 方 式 を ま と め た

の で 、 紹 介 す る 。

4 そ の 他 S1a 簡 易 な 調

達 先 ア セ

ス メ ン ト

方 法 の 提

- 共 に 成

長 す る 改

善 を 目 指

し て

リ ー マ ン シ ョ ッ ク 以 降 、 弊 社 で は コ ス ト 削 減 の 観

点 か ら 、 開 発 に 占 め る 外 部 調 達 の 割 合 が 増 え て い

る 。 こ の こ と は 、 調 達 先 の 開 発 プ ロ セ ス が 製 品 の 品

質 へ 及 ぼ す 影 響 が 増 し て い る こ と を 意 味 し て い る 。

近 年 、 調 達 に 関 す る 問 題 が 散 見 さ れ 、 製 品 の 品 質 を

維 持 す る た め に も 、 調 達 先 の 開 発 プ ロ セ ス の 成 熟 度

を 把 握 す る こ と 、 更 に は 調 達 先 の 成 熟 度 を 高 め て い

く こ と が 重 要 に な っ て い る 。

調 達 先 の 開 発 プ ロ セ ス を 知 る に は 、 プ ロ セ ス の ア

セ ス メ ン ト を す る こ と に な る が 、 本 格 的 な ア セ ス メ

ン ト は 準 備 か ら 完 了 ま で に か か る 期 間 も 長 く 、 ア セ

ス メ ン ト す る 側 、 さ れ る 側 と も に 大 き な 負 荷 が か か

る 。

そ こ で 、 負 荷 を 抑 え た 、 簡 易 に 実 施 で き る ア セ ス

メ ン ト 方 法 を 検 討 し 、 試 行 し た 。 ア セ ス メ ン ト は 、

負 荷 を 抑 え る た め 、 調 査 項 目 の 数 を 絞 り 、 各 調 査 項

目 も 簡 単 な も の に し た 。 ま た 、 調 達 先 へ の ア ン ケ ー

ト に 1 週 間 、 現 地 ヒ ア リ ン グ に 2 時 間 、 結 果 報 告 作

成 に 1 週 間 、 そ の 他 準 備 、 日 程 調 整 を 含 め て 3 週 間

~ 1 ヶ 月 程 度 で 完 了 で き る よ う な 工 程 に し た 。

調 達 先 は ソ フ ト 開 発 、 ハ ー ド 開 発 、 ソ フ ト ウ ェ ア

テ ス ト と 多 岐 に わ た る こ と か ら 、 異 な る 業 務 内 容 の

調 達 先 に 対 し て 、 同 じ 方 法 を 用 い て ア セ ス メ ン ト を

実 施 。 試 行 の 結 果 、 以 下 の こ と が 確 認 で き た 。

- 調 達 先 の ア セ ス メ ン ト 結 果 と 調 達 業 務 の 質 を 比 較

し た と こ ろ 、 関 連 が あ る こ と が 分 か っ た 、 こ れ に

よ り 、 ア セ ス メ ン ト に よ り 調 達 先 の プ ロ セ ス の 評

価 が 出 来 て い る こ と が 確 認 で き た

- 期 間 は 短 い も の で 1 ヶ 月 弱 、 実 際 に か か っ た 工 数

は 15時 間 程 度 ア セ ス メ ン ト に か か る 負 荷 を 最 小 限

に 抑 え る こ と が で き た

- ソ フ ト 、 ハ ー ド を 問 わ ず 、 同 じ 方 法 で ア セ ス メ ン

ト を 実 施 し 、 評 価 で き る こ と が 分 か っ た

今 後 は 、 ア セ ス メ ン ト 方 法 の 改 善 、 結 果 の 利 用 方

法 の 検 討 を 進 め 、 調 達 先 の 開 発 プ ロ セ ス と 自 社 の 調

達 プ ロ セ ス を 改 善 し 、 ひ い て は 製 品 品 質 の 向 上 に つ

37

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な げ て 行 き た い 。

5 要 求 工

S1b 人 間 科 学

と 工 学 の

ア プ ロ ー

チ に よ る

要 求 獲 得

の 質 を 上

げ る た め

の イ ン タ

ビ ュ ー 手

法 の 開 発

シ ス テ ム 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る 「 要 求 獲 得 の

成 否 」 は 、 後 続 の 開 発 工 程 に 重 要 な 影 響 を 与 え る 。

要 求 獲 得 段 階 に お い て 、 現 場 の 業 務 を 的 確 に 把 握 す

る こ と 、 現 場 の 人 起 点 で の 行 動 や 意 識 を 理 解 す る こ

と の 重 要 性 が 問 わ れ て い る 。 要 求 獲 得 は 、 「 業 務 遂

行 の 目 的 を 達 成 す る た め に 、 シ ス テ ム や そ れ を 使 う

人 が 現 状 ど の よ う に 行 っ て い る か 、 ど う あ る べ き か

の ニ ー ズ の 把 握 」 と 考 え ら れ る 。 要 求 を 獲 得 す る た

め に は 、 情 報 を 受 け 取 る 側 も 伝 え る 側 も 明 確 に ” 理

解 で き る よ う に 表 現 さ れ る ” 必 要 が あ る 。 そ の た

め 、 弊 社 の よ う な IT ベ ン ダ ー で は 、 要 求 を 「 い か に

し て 顧 客 視 点 で 聞 き 出 す か 」 が 必 要 で あ る 。 し か

し 、 聞 く こ と は 属 人 的 な ス キ ル に 依 存 し が ち で あ

り 、 聞 く こ と か ら 得 ら れ る 情 報 の 精 度 、 粒 度 や 内 容

の 厚 さ に 差 が 出 て し ま う ( A Wolvin 1996 ) 。 そ こ で 、

本 研 究 は 誰 で も 、 イ ン タ ビ ュ ー か ら で き る だ け 質 の

高 い 顧 客 の 現 状 や 問 題 意 識 な ど 要 求 を 獲 得 で き る よ

う 開 発 し た 「 イ ン タ ビ ュ ー ・ 分 析 手 法 」 を 提 案 し 、

現 場 で の 適 用 例 か ら 、 手 法 の 効 果 を 検 証 し て い く 。

【 開 発 し た イ ン タ ビ ュ ー ・ 分 析 手 法 】

本 手 法 は 、 社 会 学 や 人 類 学 に お い て 、 自 身 と は 異

な る 文 化 背 景 に お け る 生 活 、 慣 習 、 文 化 を あ り の ま

ま に 把 握 す る 「 エ ス ノ グ ラ フ ィ ー 」 と 、 「 人 」 を 情

報 処 理 の 側 面 か ら 、 認 知 活 動 ( 知 覚 や 記 憶 な ど ) を

予 測 し 、 解 析 す る 認 知 心 理 学 の 理 論 を 組 み 合 わ せ

て 、 イ ン タ ビ ュ ー を 体 系 化 し た も の で あ る ( エ ス

ノ ・ コ グ ニ テ ィ ブ イ ン タ ビ ュ ー ) 。 で き る だ け 語 る

相 手 の 観 点 や 言 葉 を 用 い て 、 人 、 時 間 、 空 間 な ど 多

面 的 な 切 り 口 で 現 状 行 動 や 問 題 意 識 に つ い て 、 相 手

の 業 務 な ど に 精 通 し て い な い 人 で も 、 要 求 を 獲 得 で

き る よ う に ツ ー ル を 準 備 す る こ と で 、 ス ム ー ズ に 聞

き 出 し が で き る 。 1 対 1 の イ ン タ ビ ュ ー で 、 1 名 あ

た り 最 大 1.5 時 間 で 1 回 あ た り の イ ン タ ビ ュ ー を 完

結 で き る 。 さ ら に 、 複 数 人 の イ ン タ ビ ュ ー 結 果 を 体

系 的 に 整 理 、 分 析 し 、 要 求 の 網 羅 性 と 集 中 度 合 い 、

ス ト ー リ ー 性 等 を 確 認 ・ 検 証 で き る ツ ー ル を 提 案 す

る 。

【 本 手 法 の 特 徴 】

本 イ ン タ ビ ュ ー の 特 徴 と し て 、

・ 顧 客 の 現 状 や 要 求 を 獲 得 し 、 分 析 で き る こ と を 前

38

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提 と し た ツ ー ル 類 ( 聴 き 方 の 作 法 、 エ ス ノ コ グ ニ

テ ィ ブ イ ン タ ビ ュ ー の 考 え を 埋 め 込 ん だ 質 問 実 施 時

に 使 う 質 問 ワ ー ク シ ー ト 、 な ど ) を 整 備 し 、 イ ン タ

ビ ュ ー を 体 系 化 し た こ と

・ で き る だ け 語 る 人 に は 短 時 間 に 記 憶 を 想 起 し な が

ら 話 し て も ら え る 、 人 間 関 係 軸 、 空 間 軸 、 時 間 軸 要

求 獲 得 に 必 要 な 仮 説 生 成 や 検 証 が 可 能 で あ る こ と な

ど が あ げ ら れ る 。

【 結 果 と 考 察 】

本 イ ン タ ビ ュ ー で 獲 得 し た 内 容 を 現 場 で の 適 用 例

か ら 抽 出 し た ノ ウ ハ ウ を ベ ー ス に 、 話 の 時 制 と 業 務

プ ロ セ ス 、 ス テ ー ク ホ ル ダ ー な ど の 視 点 で 検 証 し

た 。 そ の 結 果 聞 き 漏 れ や 解 釈 の ず れ を 防 止 す る だ け

で は な く 、 予 め 質 問 文 を 提 示 す る イ ン タ ビ ュ ー で は

獲 得 で き な か っ た 、 要 求 の 背 景 や エ ピ ソ ー ド ま で 聞

き 出 せ る こ と が わ か っ た 。

6 開 発 手

S1c 人 が 作 る

ソ フ ト

~ 経 験 的

な 開 発 手

法 の 実 践

事 例 ~

ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 は 本 質 的 に 不 確 定 な 状 況 を 制 御

し な が ら 顧 客 満 足 の 度 合 い を 高 め て ゆ く と い う 側 面

を 持 つ 。 ア ジ ャ イ ル と 呼 ば れ る 開 発 手 法 群 に は 、 ソ

フ ト ウ ェ ア 開 発 に お け る 経 験 的 な ア プ ロ ー チ を 支 援

す る も の が 多 く 含 ま れ る が 、 実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト に

適 用 す る 手 順 が 存 在 す る わ け で は な い 。

本 論 文 で は 、 コ ン シ ュ ー マ 向 け の Web シ ス テ ム

( オ ン ラ イ ン ス ト レ ー ジ サ ー ビ ス ) を 開 発 し た 事 例

の 紹 介 を 通 し て 、 経 験 的 ア プ ロ ー チ で プ ロ ジ ェ ク ト

を 推 進 す る 際 に 重 要 と な る 点 に つ い て 述 べ る 。

7 ソ フ ト

ウ ェ ア

品 質

S1d プ ロ ジ ェ

ク ト 環 境

を 考 慮 し

た 設 計 品

質 評 価 手

法 に つ い

て の 考 察

下 流 工 程 ( テ ス ト 段 階 ) の 品 質 評 価 方 法 は , 過 去 の

実 績 と 経 験 か ら 評 価 手 法 と し て プ ロ セ ス が 確 立 さ れ

つ つ あ る . し か し , 低 コ ス ト で よ り 良 い 品 質 の シ ス

テ ム を 提 供 す る た め に は , よ り 上 流 工 程 か ら の 品 質

確 保 が 必 要 で あ る . し か し , 下 流 工 程 の テ ス ト に よ

る 検 出 障 害 を ベ ー ス と し た 品 質 評 価 手 法 を 単 純 に 上

流 工 程 に 適 用 し て も , お 客 様 と の 関 係 や メ ン バ の ス

キ ル な ど プ ロ ジ ェ ク ト の 環 境 に 左 右 さ れ る 要 因 が 下

流 工 程 に 比 べ 大 き く , デ ー タ の 確 度 に 懸 念 が あ り 適

切 な 品 質 評 価 を 行 う こ と が 難 し い . 本 稿 で は プ ロ

ジ ェ ク ト の 環 境 や 特 性 に 着 目 し た 設 計 品 質 の 評 価 方

法 に つ い て , プ ロ ジ ェ ク ト の 環 境 条 件 を 定 量 化 し た

評 価 手 法 に つ い て 提 言 し , 適 用 結 果 に つ い て 考 察 す

る .

【 目 次 】

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1. 問 題 提 起 ( は じ め に )

2. 品 質 評 価 の 現 状

- レ ビ ュ ー と テ ス ト の 違 い

- フ ェ ー ズ と 要 求 の 安 定 度 の 関 係

- プ ロ ジ ェ ク ト 成 果 物 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因

3. 設 計 品 質 評 価 の プ ロ セ ス と 課 題

4. プ ロ ジ ェ ク ト 環 境 を 考 慮 し た 設 計 品 質 評 価 の 提 案

5. 設 計 品 質 評 価 手 法 の 確 立 ア プ ロ ー チ

- ア プ ロ ー チ の 概 要

- 設 計 品 質 評 価 手 法 の 確 立

6. 設 計 品 質 評 価 手 法 の 評 価

- 第 一 次 評 価 ( 完 了 プ ロ ジ ェ ク ト で の 適 用 )

- 第 二 次 評 価 ( 進 行 プ ロ ジ ェ ク ト で の 適 用 )

7. 今 後 の 課 題 ( お わ り に )

8 ソ フ ト

ウ ェ ア

品 質

S1f 知 的 技 術

の 形 式 化

に よ

る 、 SI 開

発 業 務 の

品 質 改 善

に つ い て

1. 背 景

N E C シ ス テ ム テ ク ノ ロ ジ ー は 、 首 都 圏 及 び 関 西

圏 を 中 心 と し た S I 開 発 事 業 と 製 品 開 発 事 業 が あ

り 、 私 が 所 属 す る 組 織 は S I 開 発 事 業 を 担 当 し て い

る 。 そ の 中 で 、 私 は 3 0 名 の グ ル ー プ に 在 籍 し 、 J

a v a を 主 要 言 語 と し た お 客 様 シ ス テ ム の 開 発 業 務

を 担 当 し て い る 。 本 稿 は 、 S I 開 発 事 業 を 通 じ 、 開

発 業 務 で の 品 質 改 善 に 向 け た 取 組 み と 成 果 に つ い て

発 表 す る 。

2. 課 題

当 グ ル ー プ は 、 複 数 の お 客 様 シ ス テ ム を 同 時 期

に 、 別 々 の 地 域 に て 開 発 し て い る が 、 い づ れ も 低 価

格 ・ 短 納 期 ・ 高 品 質 の シ ス テ ム 開 発 を 行 わ な け れ ば

な ら な い 。 し か し 、 生 産 性 / 品 質 面 に 於 い て 、 開 発

者 に よ り バ ラ 付 き が 発 生 し 、 特 に 品 質 面 で は 、 結 合

/ 総 合 テ ス ト 工 程 に て 「 単 体 テ ス ト に て 改 修 さ れ る

べ き バ グ 」 が 発 生 し 、 予 定 原 価 を 超 過 す る 状 況 で

あ っ た 。

こ の よ う な 状 況 下 、 「 人 の 課 題 」 は 、 開 発 者 の 生

産 性 と 品 質 面 で の 底 上 げ と 新 規 参 入 メ ン バ の ス ム ー

ス な 立 上 げ で あ り 、 「 物 の 課 題 」 は 、 開 発 を 支 援 す

る ツ ー ル を 使 い た が ら な い メ ン バ が 存 在 し て い た 。

し か し 、 優 秀 な 開 発 者 ほ ど 、 独 自 に O S S 等 を 調 査

し 、 日 々 改 善 し 、 ツ ー ル 活 用 が 当 た り 前 と 考 え て い

た 。 「 金 の 課 題 」 は 、 開 発 予 算 が い づ れ も 厳 し く 、

開 発 を 支 援 す る ツ ー ル を 購 入 す る こ と は 難 し い 状 況

で あ り 、 「 情 報 の 課 題 」 で も あ る が 、 O S S / 技 術

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情 報 等 は イ ン タ ー ネ ッ ト 上 に 乱 立 さ れ 、 知 ら な い 情

報 は 多 数 あ り 、 同 一 の お 客 様 シ ス テ ム 開 発 者 間 の 共

有 は 行 え て も 、 他 の シ ス テ ム 開 発 メ ン バ と の 地 域 を

跨 が っ た 共 有 の 難 し さ が あ っ た 。

3. 対 策 と 施 策

投 資 費 用 を 抑 制 し 、 効 率 的 に 要 員 育 成 を 行 う 対 策

と し て 、 優 秀 な 開 発 者 の 開 発 プ ロ セ ス や 活 用 ツ ー

ル 、 技 術 情 報 等 を 形 式 化 し 、 グ ル ー プ の 標 準 開 発 基

盤 を 整 備 ・ 徹 底 活 用 と し た 。

「 物 の 課 題 に 対 す る 施 策 」 と し て 、 O S S の 活 用

方 法 や 活 用 シ ー ン 等 を 整 備 し 、 経 験 の 浅 い 開 発 者 で

も 活 用 で き る よ う に ガ イ ド 整 備 と 勉 強 会 を 開 催 し 、

要 員 育 成 と 活 用 徹 底 を 図 っ た 。

「 情 報 の 課 題 に 対 す る 施 策 」 と し て 、 優 秀 な 開 発

者 が 日 々 ア ク セ ス し て い る サ イ ト や O S S / ト ラ ブ

ル 情 報 等 が 掲 載 さ れ て い る サ イ ト 情 報 を 整 理 し 、 グ

ル ー プ 共 有 技 術 サ イ ト を 構 築 し た 。

4. 成 果 と 適 用 効 果

J a v a 開 発 に 於 け る 品 質 改 善 と S I 開 発 業 務 毎

の 費 用 負 担 ゼ ロ を 狙 い 、 O S S / 内 製 に て 構 成 し た

開 発 支 援 ツ ー ル 群 ( 機 能 数 : 1 0 ) を 整 備 し 、 2 0

0 プ ロ ジ ェ ク ト に 展 開 し た 。 適 用 効 果 は 適 用 プ ロ

ジ ェ ク ト 平 均 、 以 下 の 品 質 改 善 が 図 れ 、 予 定 原 価 を

超 過 す る ケ ー ス は 低 減 し た 。

(1)単 体 テ ス ト 後 の 移 行 判 定 バ グ 数 が 、 K L 当 た り

0 . 4 件 改 善

(2)シ ス テ ム ダ ウ ン に 繋 が る バ グ を 単 体 テ ス ト 完 了

時 点 に て 1 0 件 以 上 摘 出

(3)開 発 環 境 が な く て も 品 質 状 況 が 確 認 で き 、 管 理

者 視 点 で の チ ェ ッ ク が 、 い つ で も 可 能 。

5. ま と め

開 発 者 個 々 の 頭 に あ る 技 術 を 形 式 化 し 、 徹 底 活 用

す る こ と に よ り 、 各 S I 開 発 案 件 の 品 質 改 善 が 図 れ

た こ と は 大 き な 成 果 で あ る が 、 そ れ 以 上 に 、 『 個 々

の 技 術 を 結 集 し 、 開 発 プ ロ セ ス を 強 化 し 続 け る こ と

が 重 要 』 と 共 通 認 識 で き 、 開 発 者 の 意 識 改 革 が 行 え

た こ と が 成 果 で あ る 。

今 後 、 O S S 継 続 調 査 と 既 存 環 境 へ の 組 込 、 他 開

発 工 程 / 他 言 語 へ の 展 開 が 重 要 と 考 え る 。

9 ソ フ ト

ウ ェ ア

S2b 派 生 開 発

に お け る

当 社 で は 、 20 年 近 く 組 込 み ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 を

行 っ て き て い る が 、 か な り の 部 分 が 派 生 開 発 と い っ

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品 質 要 求 仕 様

書 の 品 質

向 上 活 動

て 良 い 。 派 生 開 発 で の 要 求 開 発 は 、 2000 年 の 前 半 に

導 入 し た USDMと い う 要 求 仕 様 の 書 き 方 を ベ ー ス に し

て い る が 、 10 年 が 経 過 し た 現 在 で も 当 社 の 派 生 開 発

プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 未 だ に 品 質 や コ ス ト 超 過 の 問 題

を 起 こ し て い る 。 こ の た め 、 派 生 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト

に お い て 何 が 原 因 と な っ て 品 質 や 生 産 性 の 悪 化 に つ

な が っ て い る の か を 調 査 し 始 め た 。 調 査 の 結 果 、 開

発 工 程 の 上 流 で 行 わ れ る 要 求 開 発 や 設 計 に お い て 実

施 す る レ ビ ュ ー が 思 う よ う な 効 果 を 生 ん で い な い こ

と が 分 か っ て き た 。 こ れ は 要 求 開 発 で 作 成 さ れ る 要

求 仕 様 書 が 、 日 本 語 の 文 章 と し て 要 求 や 仕 様 を 記 述

し て い る た め 、 レ ビ ュ ー の 方 法 や レ ビ ュ ー ア ー の ス

キ ル に よ っ て は 、 要 求 仕 様 書 の 記 述 に 存 在 す る 欠 陥

を う ま く 除 去 す る こ と が で き な い た め で は な い か と

思 わ れ た 。

本 発 表 で は 、 要 求 仕 様 書 の 品 質 と は 何 か を 定 義 し

た 上 で 、 要 求 仕 様 書 の 品 質 向 上 施 策 を 以 下 の よ う に

決 定 し 実 施 し た 。

1 . あ い ま い な 文 章 の 排 除 の 実 施

要 求 仕 様 書 に 記 述 さ れ る 日 本 語 の あ い ま い 性 を 排

除 す る た め に 、 文 章 を チ ェ ッ ク す る ツ ー ル を 導 入 し

て レ ビ ュ ー の 前 に 要 求 仕 様 書 を チ ェ ッ ク す る よ う に

し た 。 こ れ に よ り 要 求 仕 様 書 の レ ビ ュ ー で は 要 求 や

仕 様 の 本 質 に つ い て レ ビ ュ ー で き る よ う に し た 。

2 . ト レ ー サ ビ リ テ ィ リ ン ク を 使 っ た 要 求 仕 様 書 レ

ビ ュ ー の 実 施

派 生 開 発 の 元 に な っ て い る 仕 様 書 や 設 計 書 な ど を

読 ん で 、 変 更 の 仕 様 が 元 の 仕 様 の ど こ に 相 当 す る の

か を 調 べ る 際 に 、 日 本 語 の 文 章 の 類 似 度 を 使 っ て 記

述 場 所 を 検 索 で き る ツ ー ル を 導 入 し た 。 こ の 検 索 し

た 結 果 を ト レ ー サ ビ リ テ ィ リ ン ク と し て 保 存 す る こ

と に よ り 、 要 求 仕 様 書 の レ ビ ュ ー に 利 用 し て 要 求 の

漏 れ ・ 抜 け ・ 矛 盾 ・ ダ ブ り を 効 果 的 に 検 出 し て い く

よ う に し た 。

3 . 要 求 管 理 の 実 施

Excel の 要 求 仕 様 書 は 、 作 成 者 に よ っ て は 日 本 語 の

文 章 の 代 わ り と し て 画 像 を 埋 め 込 ん だ り 、 要 求 番 号

を 文 章 に 埋 め 込 ん だ り し て 要 求 仕 様 を 作 成 し て い

る 。 こ の た め 、 要 求 仕 様 を 文 書 と し て 作 成 す る の で

は な く 、 要 求 仕 様 の 要 素 と し て 管 理 す る た め に 、 管

理 ツ ー ル を 導 入 し た 。

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こ れ ら の 施 策 を 実 施 し た 結 果 、 要 求 仕 様 書 の レ

ビ ュ ー に お い て 欠 陥 除 去 率 が 向 上 し 、 設 計 工 程 の 生

産 性 が 向 上 し た 。 今 後 は 、 こ れ ら の 施 策 を 実 施 し て

い る プ ロ ジ ェ ク ト の 終 了 を 待 っ て 、 プ ロ ジ ェ ク ト 全

体 の 品 質 や 生 産 性 が ど う 変 化 し た の か を 分 析 す る こ

と に す る 。

10 ソ フ ト

ウ ェ ア

メ ト リ

ク ス

S2c COSMIC法

に 基 づ く

Force.com開 発 プ ロ

ジ ェ ク ト

の 生 産 性

分 析 結 果

本 発 表 で は 、 ま ず 、 こ れ ま で の 研 究 で 行 っ て き た

COSMIC 法 に 基 づ く プ ロ ジ ェ ク ト の 生 産 性 分 析 手 法 に

つ い て 述 べ る 。 こ の 中 で は 、 デ ー タ の 移 動 に 基 づ い

て 機 能 規 模 を 測 定 す る 手 法 で あ る COSMIC 法 の 概 要 を

紹 介 す る と と も に 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 生 産 性 に 影 響 を

与 え る 要 因 に つ い て 述 べ る 。 さ ら に 、 そ の よ う な プ

ロ ジ ェ ク ト の 生 産 性 に 影 響 を 与 え る 要 因 が 実 際 に 生

産 性 に 影 響 を 与 え る か ど う か を 確 か め る た め に 、 開

発 に 要 し た 労 力 を 機 能 部 分 と 作 業 種 別 の 2 つ の 観 点

で 分 類 し て 記 録 し て い る 点 に つ い て 述 べ る 。 つ ぎ

に 、 実 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト を 測 定 し た 結 果 を も と に 画

面 機 能 の 生 産 性 や 労 力 な ど の 測 定 分 析 値 を 比 較 し 、

画 面 生 産 性 に 影 響 を 与 え た 要 因 を 分 析 す る 。

今 回 、 測 定 分 析 結 果 を 紹 介 す る の は Force.com で 開

発 を 行 っ た 2 つ の プ ロ ジ ェ ク ト で あ る 。 こ の 2 つ の

プ ロ ジ ェ ク ト は 開 発 期 間 が 2.5 カ 月 、 開 発 要 員 が 2名 と い う 短 期 間 少 人 数 開 発 で あ っ た 。 こ れ ら の プ ロ

ジ ェ ク ト の 画 面 生 産 性 を 、 過 去 に 測 定 し た 他 の プ ロ

ジ ェ ク ト の 画 面 生 産 性 と 比 較 し 、 さ ら に 開 発 に 要 し

た 作 業 時 間 や 機 能 毎 の 分 析 値 の 比 較 を 行 っ て 、 画 面

生 産 性 に 影 響 を 与 え た 要 因 を 分 析 し た 。

そ の 結 果 、 Force.com 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト は 他 の プ ロ

ジ ェ ク ト よ り 画 面 生 産 性 が 高 い こ と が 分 か っ た 。 ま

た 、 Force.com で 開 発 し た 画 面 の 生 産 性 は 画 面 の 処 理

形 式 ( マ ス タ 管 理 系 、 参 照 系 、 更 新 系 ) に よ っ て バ

ラ つ き 、 さ ら に 類 似 機 能 の 開 発 経 験 や Force.com 開 発

の 習 熟 度 が 生 産 性 に 大 き く 影 響 す る こ と が 分 か っ

た 。 そ し て 、 更 新 系 画 面 の 生 産 性 は 画 面 部 品 の 連 動

や 画 面 連 携 な ど 作 り 込 み の 度 合 い に よ っ て バ ラ つ く

事 が 分 か っ た 。

こ れ ら の 測 定 分 析 結 果 か ら 、 Force.com 開 発 の 画 面

生 産 性 が 高 い 要 因 は 以 下 で あ る と 考 え る 。

・ フ レ ー ム ワ ー ク と サ ー ビ ス

Force.com を 利 用 し た 画 面 開 発 方 法 に よ っ て 実 装 が 効

率 化 し た

43

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Force.com ア ー キ テ ク チ ャ を 利 用 に よ っ て 設 計 労 力 が

減 少 し た

・ 類 似 機 能 の 開 発 経 験 と 習 熟 度

類 似 機 能 の 開 発 経 験 が あ っ た り 、 Force.com 画 面 開

発 に 慣 れ る こ と で 開 発 が 効 率 化 し た ま た 、 以 下 の 要

因 が 画 面 生 産 性 に 影 響 を 与 え た こ と が 分 か っ た 。

・ 画 面 の 処 理 形 式 に 関 わ る 作 り 込 み 度

・ 類 似 機 能 の 開 発 経 験

・ 習 熟 度

11 プ ロ セ

ス 改 善

S3a ト レ ー ニ

ン グ 指 向

ア プ ロ ー

チ に よ る

プ ロ セ ス

改 善

- 現 場 の

キ ー パ ー

ソ ン を 育

て る 「 現

場 SQA 」

方 式 -

デ ン ソ ー ク リ エ イ ト で は 、 2006 年 よ り 「 ト レ ー ニ

ン グ 指 向 ア プ ロ ー チ に よ る プ ロ セ ス 改 善 」 に 取 り 組

ん で き た ( SPES2007 ~ 2010 で 発 表 ) 。 本 稿 で は 、 そ

の 中 核 に 置 い て い る 「 現 場 密 着 型 ・ 支 援 型 SQA 」 の

仕 組 み と 、 そ の 機 能 に よ っ て 現 場 の キ ー マ ン を 確 実

に 育 て る 「 現 場 SQA 」 方 式 と そ の 効 果 に つ い て 発 表

す る 。

( 1 ) 背 景

1996 年 頃 よ り ソ フ ト ウ ェ ア 業 界 の 先 駆 け と な り 、 優

秀 な プ ロ 集 団 と な る べ く し て ト ッ プ ダ ウ ン で 始 ま っ

た プ ロ セ ス 改 善 は 、 厳 格 な プ ロ セ ス 定 義 と そ の 遵 守

を 強 い る あ ま り 、 「 や ら さ れ 感 」 の も と 、 形 式 的 ・

表 面 的 な 活 動 に な り 、 現 場 は 疲 弊 し て い た 。 同 じ 失

敗 を 繰 り 返 さ な い 思 い で 活 動 す る 中 で 、 プ ロ セ ス 改

善 の 本 質 が 人 を 育 て る こ と で あ る と 気 づ き 「 ト レ ー

ニ ン グ 指 向 ア プ ロ ー チ 」 と 名 付 け た 仕 組 み を 構 築 し

て き た 。 日 々 の 仕 事 の 中 で 人 を 育 て る た め に は 、 現

場 目 線 を 持 ち 、 現 場 の た め の 支 援 を 行 う こ と が ポ イ

ン ト と 考 え 、 一 般 的 な SQA 機 能 よ り 幅 を 広 げ た 現 場

密 着 型 ・ 支 援 型 SQA を 考 案 し た 。

( 2 ) 失 敗 さ せ な い た め の 仕 組 み

過 去 の 失 敗 の 大 き な 要 因 の 1 つ は 、 表 面 的 ・ 官 僚 的

な プ ロ セ ス 遵 守 の 強 要 で あ る と 考 え た 。 現 場 は 、 活

動 や 改 善 推 進 チ ー ム に 対 す る 不 信 感 や 誤 解 で い っ ぱ

い に な っ て い た 。 そ れ を 打 開 し 、 現 場 の た め に な

り 、 現 場 が 嬉 し い 改 善 活 動 に し て い く た め に 、 信 頼

さ れ る 改 善 推 進 チ ー ム に 変 え る こ と を 考 え た 。

こ れ ま で の 失 敗 を 踏 ま え て 、 信 頼 さ れ る 改 善 推 進

チ ー ム に 必 要 な 要 件 は 「 現 場 の 本 当 の 事 実 を 知

り 」 、 「 現 場 と 一 緒 に 汗 を か き 」 、 「 高 い 視 点 で 足

は 地 に 置 い た 判 断 が で き る 」 こ と で あ る と 考 え た 。

そ れ を 実 現 す る 組 織 と し て 、 そ れ ら の 要 件 を 満 た す

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三 層 構 造 か ら 成 る 「 現 場 密 着 型 ・ 支 援 型 SQA 」 を 構

築 し た 。

( 3 ) 課 題

SQA の 構 造 は 決 ま っ た が 、 三 層 構 造 の 1 つ で あ

る 、 現 場 の PM に 密 着 し て 支 援 を す る 機 能 ( 2 次

SQA ) に 必 要 な 人 材 確 保 の 目 処 が 立 た な か っ た 。 信

頼 さ れ る SQA と な る に は 、 現 場 が ” 認 め る 人 ” つ ま

り ” 優 秀 な 人 ” で あ る 必 要 が あ る 。 し か し 、 適 任 と

な る ” 優 秀 な 人 ” は 少 な く 、 か つ 、 現 場 で も 手 放 せ

な い 人 ば か り で あ る 。 現 場 の た め の SQA を 機 能 さ せ

る た め に は 、 現 場 か ら ” 優 秀 な 人 ” を SQA に 持 っ て

く る 必 要 が あ る 。 し か し 、 ” 優 秀 な 人 ” を 抜 い て し

ま う と 、 現 場 が 回 ら な く な る 。 現 場 の た め に と 言 っ

て ” 優 秀 な 人 ” を SQA に 集 め る こ と が 、 逆 に 現 場 の

不 満 と な る の で は な い か 。 そ の よ う な 矛 盾 が 想 像 さ

れ 、 葛 藤 し 、 2 次 SQA の 人 材 確 保 に 悩 ん で い た 。

( 4 ) 優 秀 な 人 を 育 て る

” 優 秀 な 人 ” が 少 な い か ら SQA の 数 に な る し 、 SQAに 持 っ て く る に し て も 対 象 者 が 少 な い 。 ” 優 秀 な

人 ” が 多 け れ ば 解 消 す る は ず な の で 、 な ぜ 少 な い の

か を 考 え て み た と こ ろ 、 若 い 時 に ” 優 秀 ” と し て 期

待 さ れ て い た 人 が 、 期 待 通 り に は 育 っ て い な い こ と

が 少 な く な い こ と が 分 か っ た 。 若 い 時 の 優 秀 は 、 技

術 的 な 側 面 が 強 く 、 技 術 力 が あ る が 故 に 、 担 当 範 囲

内 で は マ ネ ジ メ ン ト 力 も あ る よ う に 見 え て し ま う 。

し か し 、 PMに な る と 技 術 的 に 経 験 し た こ と が な い 範

囲 も 見 る こ と に な り 、 技 術 的 知 識 や 経 験 で は カ バ ー

し き れ な い 本 来 の マ ネ ジ メ ン ト 力 の 真 価 が 問 わ れ る

こ と と な り 、 突 然 破 綻 し や す い こ と が 分 か っ て き

た 。 ま た 、 本 人 も 回 り も ” で き る ” と 思 っ て し ま う

た め 、 自 ら 学 ぶ こ と も 怠 り 、 周 り も 指 導 し な い 。 優

秀 な 故 に 、 学 ぶ 機 会 を 逸 し て し ま っ て い る の で は な

い か と 考 え た 。 そ こ で 、 現 場 に い な が ら SQA を 経 験

す る こ と に よ り 、 PMと し て の 業 務 を 疑 似 体 験 し 、 ス

キ ル を 身 に つ け る 「 現 場 SQA 方 式 」 を 考 案 し た 。

「 現 場 SQA 方 式 」 は PM と し て の 疑 似 体 験 だ け で な

く 、 視 点 の 変 化 や 担 当 業 務 と の 兼 務 と い う 制 約 の 中

で 活 動 す る こ と に よ り 、 更 に マ ネ ジ メ ン ト 力 を の ば

せ る 有 効 な 方 式 で あ る こ と に も 気 づ い た 。

「 現 場 SQA 方 式 」 は 、 現 場 SQA 担 当 者 に と っ て は

優 秀 に 育 ち 、 SQA に と っ て は 優 秀 な 人 材 が 確 保 で き

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て 現 場 の 支 援 が で き る だ け で は な く 、 現 場 の 上 司 に

と っ て も 、 自 分 の 配 下 に 置 き な が ら 優 秀 な 人 を 育 て

る こ と が で き る 、 と い う 三 者 に と っ て 嬉 し い 「 一 石

三 鳥 」 の 仕 組 み と な っ た 。

( 5 ) 効 果 の 確 認

全 PMに 対 し て 実 施 す る 内 部 ア セ ス メ ン ト で は モ デ

ル に 基 づ き 診 断 す る こ と に よ り PMや プ ロ ジ ェ ク ト の

水 準 を 定 量 化 で き る 。 PMに な る 前 に 現 場 SQA を 経 験

し た メ ン バ は 、 PMに な っ た 時 に 、 同 時 期 に PMに な っ

た 他 の メ ン バ と 比 較 す る と 高 い 水 準 を 得 ら れ た 。 ま

た 、 本 人 も 感 覚 で も 有 効 性 が 示 さ れ て い る 。 ま た 、

現 場 SQA 方 式 の 運 用 当 初 と 比 較 す る と 、 課 題 ・ 問 題

を 抱 え る PMの 割 合 が 10 % 減 少 す る と 共 に 優 秀 な PMは

倍 増 し 、 全 体 の 半 数 に な っ た 。

12 要 求 工

S3b 要 件 定 義

の 生 産 性

を 向 上 さ

せ る た め

の 最 適 化

へ の 取 り

組 み

要 件 定 義 に お い て は , 要 求 獲 得 , 要 求 記 述 , 要 求

検 証 , 要 求 管 理 の プ ロ セ ス で 構 成 さ れ , さ ま ざ ま な

研 究 成 果 が 提 供 さ れ て い る [1]. 例 え ば , 変 更 要 求 を

意 識 し た 要 求 獲 得 計 画 の 立 案 に 対 し て は , 要 求 の 成

熟 度 に 着 目 し た PRINCE モ デ ル が 提 案 さ れ , 要 求 獲 得

計 画 の 立 案 に 貢 献 し つ つ あ る [2].著 者 の 所 属 す る 組 織 に お い て も , PRINCE モ デ ル を

用 い て , 要 件 定 義 を ス ム ー ズ に 行 う こ と に 取 り 組 ん

で い る . し か し な が ら , 発 注 者 か ら の 要 望 を 可 視 化

し ス テ ー ク ホ ル ダ 間 で 合 意 を 得 る 要 件 確 定 プ ロ セ ス

に お い て , 次 の よ う な 課 題 に 直 面 し た .

(1) 要 望 の 起 票 方 法 が 属 人 的 で あ り 要 望 の 理 解 ・ 確

認 に コ ス ト 発 生

(2) 要 件 化 の 方 法 が 属 人 的 で あ り , 重 要 な 要 望 と 、

運 用 で カ バ ー で き る 単 純 な 要 望 の 区 別 な し

(3) 要 件 の 定 義 時 期 が 特 定 時 期 に 集 中 し 作 業 効 率 が

悪 化

そ こ で , 上 記 課 題 の 解 決 の た め に , PRINCE モ デ ル

が 提 供 す る 要 求 の 分 類 と そ れ に 基 づ く 優 先 度 決 定

ル ー ル を 用 い る こ と で , 要 件 定 義 プ ロ セ ス を 最 適 化

す る 手 法 の 開 発 と 適 用 を 試 み た . (1)の 課 題 に 対 し て

は , 要 望 の 仕 様 記 述 基 準 を 定 義 し た . (2)の 課 題 の 解

決 に は , PRINCE モ デ ル が 提 供 す る 要 求 の 分 類 に 基 づ

き , 優 先 度 ル ー ル を 定 義 し た . そ し て , (1)と (2)の 課

題 の 対 策 に 基 づ き 要 件 定 義 の 業 務 フ ロ ー を 可 視 化

し , 関 係 者 に 徹 底 す る こ と で (3)の 課 題 に 対 応 す る こ

と を 考 案 し た .

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上 述 し た 解 決 策 を 実 シ ス テ ム 開 発 に 適 用 し た . 本

解 決 策 の 実 施 後 , 要 件 確 定 の リ ー ド タ イ ム を 平 均 1.15日 に , 要 件 確 定 の コ ス ト を 従 来 よ り 80 % 削 減 す る こ

と が で き た . リ ー ド タ イ ム 短 縮 お よ び 要 件 確 定 コ ス

ト 削 減 を 実 現 で き た こ と か ら , 考 案 し た 手 法 は 有 用

で あ る こ と を 明 ら か に し た . 今 回 は 要 求 の 抽 出 数 と

時 期 を 観 測 し , 優 先 度 を 決 定 す る た め の , 共 通 の も

の さ し と し て , す で に 実 績 の あ る PRINCE モ デ ル を 活

用 し た . 考 案 し た 手 法 は , あ ら ゆ る シ ス テ ム 開 発 で

も 汎 用 的 に 適 用 と 考 え ら れ , 知 識 継 承 に も 貢 献 で き

る . 今 後 は , 複 数 の シ ス テ ム で の 観 測 を 通 し て デ ー

タ を 蓄 積 し , 本 手 法 を 継 続 的 に 改 善 し て い く .

13 ア ジ ャ

イ ル

S3c オ フ シ ョ

ア 開 発 に

お け る ア

ジ ャ イ ル

開 発 の プ

ラ ク テ ィ

本 発 表 は 、 オ フ シ ョ ア 開 発 に ア ジ ャ イ ル 開 発 の プ

ラ ク テ ィ ス を 導 入 す る 事 例 に つ い て 紹 介 す る 。

コ ス ト 削 減 を 狙 い 、 製 造 業 の 工 場 を 人 件 費 の 低 い

地 域 に 移 転 す る の と 同 じ 考 え で 開 始 し た 日 本 の ソ フ

ト ウ エ ア 業 界 に お け る オ フ シ ョ ア 開 発 は 、 す で に 20年 以 上 の 歴 史 が あ る 。 こ れ を 実 践 す る 多 く の 企 業 で

20% ~ 30% の コ ス ト 削 減 ( ※ 1 ) を 実 現 し て い る 一

方 、 言 葉 、 文 化 、 地 理 、 組 織 構 造 の 違 い に よ っ て 、

オ フ シ ョ ア 開 発 の 現 場 は 多 数 の 課 題 を 抱 え て い る 。

( ※ 2 ) し か し な が ら 、 日 本 の ソ フ ト ウ ェ ア 業 界 は

少 子 化 や 高 齢 化 に よ る 人 材 不 足 に 直 面 す る 中 、 開 発

リ ソ ー ス 確 保 の た め 、 ま た グ ロ ー バ ル な 事 業 展 開 す

る た め に も 、 各 ソ フ ト ウ ェ ア 企 業 に お け る オ フ シ ョ

ア 開 発 の さ ら な る 推 進 は 不 可 避 と 考 え ら れ る 。

ア ジ ャ イ ル 開 発 は 90 年 代 後 半 か ら 米 国 で 適 用 さ れ

始 め た 。 現 在 で は 、 欧 米 の 多 く の 企 業 の ソ フ ト ウ ェ

ア 開 発 の 現 場 で 適 用 さ れ て い る 。 ( ※ 3 ) ア ジ ャ イ

ル 開 発 に よ っ て 、 反 復 開 発 に よ る 完 成 品 の 市 場 投 入

の 早 期 化 や 仕 様 変 更 へ の 機 敏 な 対 応 な ど が も た ら さ

れ る 。 ま た 、 人 材 面 で は 、 チ ー ム の 自 己 管 理 に よ っ

て 、 生 産 性 や 品 質 の 向 上 が 期 待 で き る 。

オ フ シ ョ ア 開 発 と ア ジ ャ イ ル 開 発 の 組 み 合 わ せ に

つ い て は 、 米 国 - イ ン ド 間 の オ フ シ ョ ア 開 発 で は す

で に 多 く の 事 例 が あ る 。 ( ※ 4 ) し か し 、 日 本 の ソ

フ ト ウ エ ア 開 発 業 界 で は 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 の 適 用 は

小 規 模 案 件 と ど ま る 傾 向 が あ り 、 大 規 模 案 件 へ の 適

用 は ま だ ま だ 進 ん で い な い 。 こ れ は 日 本 の ソ フ ト ウ

エ ア 会 社 の 組 織 の 体 質 や 多 階 層 の 請 負 契 約 に よ る 開

発 体 制 と い っ た 業 界 の 慣 行 に 、 ア ジ ャ イ ル 開 発 が 前

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提 と す る 開 発 の や り 方 が な じ み に く い こ と に 原 因 が

あ る と 考 え ら れ る 。

オ ー ジ ス 総 研 は 2007 年 10 月 に 、 日 中 合 弁 の 形 で 上

海 欧 計 斯 軟 件 有 限 公 司 ( SOT ) を 設 立 し 、 上 海 に オ

フ シ ョ ア 開 発 拠 点 を 持 つ に 至 っ た 。 SOT で は 、 パ ッ

ケ ー ジ 開 発 と 顧 客 の 社 内 情 報 シ ス テ ム 開 発 と い う 2種 類 の 受 託 開 発 を 行 っ て い る 。

情 報 シ ス テ ム 開 発 に 関 し て は 、 日 本 で 上 流 設 計 を

行 い 、 中 国 に 詳 細 設 計 ~ 結 合 テ ス ト の 工 程 を 発 注 、

日 本 で 成 果 物 を 受 け 入 れ シ ス テ ム テ ス ト を 実 施 す る

と い う 典 型 的 な オ フ シ ョ ア 開 発 で あ る 。

パ ッ ケ ー ジ 開 発 に 関 し て は 、 SOT で SES 契 約 、 情

報 シ ス テ ム 開 発 と 同 じ 一 括 契 約 な ど の さ ま ざ ま な 受

託 形 態 を 試 み た 。 し か し 、 い ず れ も 日 本 側 で の 受 け

入 れ 時 の 検 査 で 発 見 さ れ る 問 題 が 多 か っ た 。 し か

も 、 日 本 側 が 発 見 し た 問 題 に 関 し て SOT と の 間 で 責

任 の 帰 属 を め ぐ っ て 合 意 す る こ と が 難 し い こ と も た

び た び あ り 、 問 題 に 対 す る 修 正 作 業 が は か ど ら な い

こ と も あ っ た 。

こ う し た 課 題 を 解 決 す る た め 、 SOT が 担 当 す る

パ ッ ケ ー ジ 開 発 で は ア ジ ャ イ ル 開 発 の プ ラ ク テ ィ ス

の 導 入 を 図 っ た 。 具 体 的 に は 要 求 を 優 先 順 位 付 き の

「 チ ケ ッ ト 」 と 呼 ば れ る 単 位 で の 管 理 、 反 復 開 発 、

テ ス ト 駆 動 、 ア ジ ャ イ ル テ ス ト と い っ た プ ラ ク テ ィ

ス を 導 入 し た 。 ま た 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ツ ー ル を

複 数 活 用 し な が ら 、 チ ー ム の 自 主 性 を 尊 重 す る 工 夫

す る こ と で 、 一 般 的 な オ フ シ ョ ア 開 発 に あ り が ち な

「 受 け 身 の 態 度 」 即 ち 指 示 を 末 だ け で 、 言 わ れ た こ

と 以 外 の こ と は や ら な い 傾 向 を 排 除 し た 。

こ れ ら の ア ジ ャ イ ル 開 発 の プ ラ ク テ ィ ス の 導 入 を

経 て 、 チ ー ム の 一 体 感 向 上 、 人 員 の 定 着 率 向 上 、

パ ッ ケ ー ジ の 品 質 向 上 な ど の 効 果 が も た ら さ れ た 。

今 後 の 取 り 組 み と し て 、 1 ) オ フ シ ョ ア 開 発 と ア

ジ ャ イ ル 開 発 の 相 乗 効 果 を 定 量 化 、 ま た 、 2 ) パ ッ

ケ ー ジ 開 発 の み で は な く 、 毎 回 ま っ た く 異 な る 仕 様

を 扱 う 情 報 シ ス テ ム 開 発 へ の ア ジ ャ イ ル 開 発 の プ ラ

ク テ ィ ス の 導 入 を 予 定 し て い る 。

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