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1 FAE : Michio Shibuya LTspice による 設計の効率化 LTspice による 設計の効率化 JPCA-Seminar_20190606 株式会社 三共社 フィールド・アプリケーション・エンジニア 渋谷 道雄 シミュレーション・シミュレータ シミュレーションの位置づけ まずは・・・例題で動作確認 実際のリップル波形と比較してみる シミュレーションへの心構え オシロスコープ/プロービングの取り扱い 参考図書の紹介 シミュレータは・・・ 汎用のSPICEモデルが利用できる Ltspice アナログ回路シミュレーション 理論をないがしろにしない 理論と実際は違う 物理現象を再現するか? Ltspiceの実績 .TRAN 以外の解析 Op.Amp. を使ったアクティブフィルターの例 FFT 解析 2 1 2

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Page 1: LTspice による - sankyosha.co.jp · •Ltspice –アナログ回路シミュレーション –理論をないがしろにしない • 理論と実際は違う –物理現象を再現するか?

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FAE : Michio Shibuya

LTspiceによる設計の効率化

LTspiceによる設計の効率化

JPCA-Seminar_20190606

株式会社 三共社

フィールド・アプリケーション・エンジニア

渋谷 道雄

• シミュレーション・シミュレータ– シミュレーションの位置づけ– まずは・・・例題で動作確認– 実際のリップル波形と比較してみる– シミュレーションへの心構え

• オシロスコープ/プロービングの取り扱い• 参考図書の紹介

• シミュレータは・・・– 汎用のSPICEモデルが利用できる

• Ltspice

– アナログ回路シミュレーション– 理論をないがしろにしない

• 理論と実際は違う– 物理現象を再現するか?– Ltspiceの実績

• .TRAN 以外の解析– Op.Amp.を使ったアクティブフィルターの例– FFT解析 2

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シミュレーション・

シミュレータ

FAE : Michio Shibuya

シミュレーションの位置づけ

仕様決定

部品選定

回路設計

回路アイディア

開発・企画

量産

試作・評価

シミュレーション

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FAE : Michio Shibuya

まずは・・・例題で動作確認5

FAE : Michio Shibuya

シミュレーション結果6

拡大すると・・・

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FAE : Michio Shibuya

シミュレーション結果7

2.26mV

FAE : Michio Shibuya

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FAE : Michio Shibuya

実際のリップル電圧波形と比較してみる

測定方法に注意

正しいプロービングをしていますか?

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FAE : Michio Shibuya

オシロスコープのプローブの取り扱い(1)

デモボードで、リップルやスパイク・ノイズを測定する場合、プローブのアースクリップを外して、プローブのGNDは基板上の直近に接続します。

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GOOD

BAD

プローブを強く押しつけて先端を折らないように

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FAE : Michio Shibuya

オシロスコープのプローブの取り扱い(2)

◆ デモボードで、リップルやスパイク・ノイズを測定する場合、プローブのアースクリップを外して、プローブのGNDは基板上の直近に接続します。

プローブを強く押しつけて先端を折らないように

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GOOD

スズめっき線よりもZEMクリップがおすすめ

FAE : Michio Shibuya

オシロスコープのプローブの取り扱いアース・クリップによる波形の違い

アース・クリップ 使用

アース・クリップを外して測定

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ややノイズが大きい

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FAE : Michio Shibuya

トランジスタ技術・2009年10月号・付録アースクリップをはずして、直近にGNDをとる方法を示しています

GOOD

BAD

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プローブのアースクリップリードを使うと本来の信号以外の成分が観測される

FAE : Michio Shibuya

デモボードのプロービングの違い

GOOD

BAD

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FAE : Michio Shibuya

参考図書の紹介15

FAE : Michio Shibuya

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FAE : Michio Shibuya

正しいプロービングをしたリップル波形・・・

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シミュレーション結果と何かが違う

FAE : Michio Shibuya

出力平滑コンデンサ周辺の回路パラメータ

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ESR・ESL

を追加

これは、部品固有のパラメータというより、PCB上のパターンに起因する

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FAE : Michio Shibuya

リップル波形を比較する19

ESR=20mΩ、ESL=1nH

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FAE : Michio Shibuya

● 回路検証が簡単

● SPICE系なら、modelが豊富

● 電子回路の学習・評価に有効

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FAE : Michio Shibuya

汎用のSPICEモデルファイルを利用できる・・・

LTspice

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FAE : Michio Shibuya

Simulatior model

LTspice XVII

& SUBCKT・

マクロモデル

SPICEパラメータ・モデル

FAE : Michio Shibuya

試作前に、できるだけ現実的なパラメータを想定しシミュレーションをする。

試作評価で問題があれば、PCBパターンチェックによって、さらに現実的なシミュレーションをする

無駄な試作を低減できる

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FAE : Michio Shibuya

シミュレーションへの心構え

シミュレーションで、何を知ろうとしているか?

◼ シミュレーションと、実際の回路との違いはどこにあるか

結果をどう評価・理解するか?

◼ 結果を判断するための基礎知識が重要

周波数応答解析をどう活用するか

シミュレーションは、現実の回路を評価する大きなヒントを与えてくれる・・・シミュレータは万能ツールではない

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活用次第で、有力なツールになる

FAE : Michio Shibuya

理論をないがしろにしてはいけない理論が分かっていれば◆ トラブルの回避・予防をあらかじめ行える

◆ もしもトラブルになっても、問題点の早期発見ができる

理論が分かっていないと◆やみくもにシミュレーションをすることで、時間が無駄

◆偶然に何らかの手法が見つかっても、正当性が不明

現実の回路とシミュレーションの違いは◆ PCB上の配線にかかわるパラメータを導入することで、ある程度現実に近い状況を再現できる(理論に基づき)

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FAE : Michio Shibuya

理論・・・どの部分を指している言葉だろうか?

FAE : Michio Shibuya

前提条件

理論的考察と実際との差28

理論的考察

結論A

理想的条件

現実的条件 結論B

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FAE : Michio Shibuya

理論的考察と実際との差(1)

理論と現実は違う・・・という人がいるが、理論的考察は、普遍法則に基づくもので、一つのもの。

前提条件になるものが・・・

◼実際の使用条件(部品や配線などの条件)と、簡略化(簡素化)した条件とが異なる。

◼理論的考察をするとき、現実的な前提条件を加味すると、計算式が複雑になり、一般的(数学的)な解析手法では一般解を求められなくなることがある。

このことから、理論的考察を数学的に解を求めようとすると、解けなくなることから・・・「所詮は理論だから」となる。

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FAE : Michio Shibuya

理論的考察と実際との差(2)

現実的前提条件を使って、理論的考察を行おうと思っても、解析的には解けない。

そこで登場するのが、「数値解析」手法。

漸化式を使って、全体のつじつまが合うように、数値計算で解を求める。

数値解析を活用したものが「シミュレーション」。

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FAE : Michio Shibuya

シミュレーションと実際との差

実際の回路評価では、PCB上に回路を構成し、動作確認や回路の評価をする。シミュレーションでは・・・(現実のPCB上の回路との違い)

◼部品の様々なパラメータを(まず)理想条件で設定する。

◆ コンデンサのESR、ESL

◆ コイルのDCR

◆ PCBパターン(配線・VIA)の抵抗成分

◆ PCBパターン(配線・VIA)のインダクタンス成分

◆ 半導体部品などの温度特性

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FAE : Michio Shibuya

物理現象を再現するか?

LCタンク回路に電流パルスを印加すると・・・

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FAE : Michio Shibuya

method の選択

コントロールパネルの中で選択可能

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FAE : Michio Shibuya

LTspiceのシミュレーション結果34

約5秒たっても100mVの振幅

method=trap.

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FAE : Michio Shibuya

旧来のシミュレーション結果35

約5m秒で1/3の振幅

method=Gear

FAE : Michio Shibuya

単純な物理現象の

再現実験を正確にシミュレーションできるのは・・・

LTspice

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FAE : Michio Shibuya

LTspiceの実績

2018年末で、約800万ダウンロード(PCベース・W/W)

米国の大学(工学部系)では、標準のシミュレータ

IC設計者からも高く評価されている半導体メーカーがLTCの競合製品開発などに使用することは「ライセンス条項」に反する

欧州・アジアなど多くの国々で、電子回路設計者が利用している

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FAE : Michio Shibuya

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FAE : Michio Shibuya

.TRAN 解析以外には・・・

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FAE : Michio Shibuya

Op.Amp.を使ったアクティブ・フィルター< .AC解析>

周波数解析< .AC & FFT>

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FAE : Michio Shibuya

Sallen Key Filter の例(3)

Amp.を理想モデルに修正

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E-Laplace_SallenKey_Butterworth_Emo_22.asc

FAE : Michio Shibuya

Sallen Key Filter のOp.Ampの影響OP.Amp. のGBWおよびGain設定とフィルター定数のインピーダンスの比によって、減衰限界がある

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LT1226

GBW=1GHz

E-Laplace_SallenKey_Butterworth_LT1226_1Hz.asc

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FAE : Michio Shibuya

ファン・モーター・ノイズ43

FAE : Michio Shibuya

FFT結果44

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FAE : Michio Shibuya

どこの「馬の骨」が作ったものかがわからない。ネット上にタダで転がっている・・・・・・胡散臭いシミュレータ・・・??

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作った人

Michael Engelhardt2016年8月

著者

FAE : Michio Shibuya

https://www.sankyosha.co.jp/46

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