10 大腿骨遠位端 骨折のJudet骨 瑞プ レー 日こよ る治療成 績

大 腿 骨遠 位端 骨 折 のJudet骨 端 プ レー トに よ る治 療 成 績

山口県立中央病院整形外科

中 村 泰 ・弓 削 大 四郎

松 本 直 昌 ・宮 近 信 彦

衛 藤 正 雄 ・大 上 仁 志

Surgical Treatment for the Fractures and the Pseudoarthrosis of the Proximal and Distal End of the Femur by Judet's Screw-Plate System.

by

Yasushi Nakamura, Daisiro Yugue, Naomasa Matsumoto, Nobuaki Miyachika, Masao Etoh. and Hitoshi Ohgami

Division of the Orthopedic & Traumatology, Yamaguchi Central Hospital. 77, Ohsaki Hofu-747, Yamaguchi.

Judet's Screw-plate system is the best osteosynthesis material for fractures and pseu-doarthrosis of the proximal and distal ends of the femur. This Screw-plate has been invented by R. Judet in 1969 and ameliorated by E. Letournel in 1980. We bave surgically treated 23 fresh fractures and 8 Pseudoarthrosis of distal end of the femur between Au-

gust 1971 and August 1984, 15 men and 16 wemen. The average age was 52. 8 years old and the majority of our cases became the victim

of the traffic accident. The consolidation have been obtained in all cases of fresh fra-ctures and end of 8 pseudoarthrosis after osteo-muscular decortication of Judet's technique. With regard to R. O. M, post-operative of the knee, elven cases were very good (130 & plus) ten cases were good (129-100) and 8 cases fair (99-65). Judet's mobilisation of the knne, DESINSERTION DU QUADRICEPS, were performed in eight cases.

は じ め に

大腿骨遠位端骨折 に対 する観血的 治療方法 にはい く

つかの方法が あるが, 解 剖学的特徴 か ら手術手 技 ・固

定材料 ・術 後 の膝関節機能 等 に 問題 を 生ず る 事 が 多

い. これ らの点 に関 し, 我 々 もさま ざまの方法 を経験

しなが らJudet骨 端 プ レー トによる 骨接合法 を一貫

して行 な って お り, これ までの経過, 成績等 につ いて

は, 藤 田, 坂上, 瀬良 らが報 告 して いる. 最近 は主 と

してLetournelの 改 良型を使用 してお り, 今 回 は こ

の点 を中心に報告す る.

対 象 と 方 法

1971年8月 よ り1984年8月 まで の13年 間 に31症

例 に対 しJudet骨 端 プ レー トによる 骨接合術 を行 な

った. この内7例 がLetourne1改 良型であ る. 症例

は 男15, 女16, 年令 は17才 か ら84才, 平 均52. 8

才, 原 因 は交 通事故14, 転 倒8, 転 落6, その他3

で あ り, 新鮮23例, 偽関節8例 で あ った. 骨折型 は

骨幹部, 下1/38例, 穎上13例, 穎部 は10例 で あり

Neerの 分類 では, I型1, IIA型3, B1, III型5

例で あ った.

これ らの判 定可能 例の骨癒 合期間 と膝 関節可動域 は

=表1の 通 りであ り, 内8例 にdecorticationを4例

にJudetの 膝 関節授動術 を行 な ってい る. 荷 重歩行

は一般 には9週 目よ り部分 荷重 を始 め12週 目に は 全

荷重 として い るが, 穎 部 の粉 砕型 のよ うな例 で荷重 を

2週 間程度 遅 らせ る こと もあ る.

-10-

(整 形 外 科と 災害 外 科 第34巻 第1号 1985) 11

こ こで最 近使用 してい るLetornel型 の骨端 フ レー

トの特 徴 とJudetの 骨端 プ レ同 トとの相違点等 に つ

いて 述べ る.

材 質 はJudetの プ レー トはCOP, Letournelの

プ レー トはバ イタ リウム製で あ る晴Judetの プ レー ト

には左右 の2種 類 があ り, 右 の転子 部用 と左の穎 部用

は共 用で あ る. これ に対 し1979年 に改 良 されたLet-

ournelの プ レー トに は 左右 の転子 部用 と顯部用 の4

種類 が あ り, 転 子部用 と 頼部用で は 構造 が 若干異 な

る. またLetournelの プ レー トの構造 もJudetの

プ レー ト同様 に, 遠位部 の3本 のビスは立体的 に交 差

する よ うにな って お り, プ レ向 トの当た る位 置が決ま

る とビスの方 向 も自動 的に決 まるよ うに設計 されてい

る. さ らに先端 はゆ る く轡 曲 して お り, この事 によ り

プ リー トの適合 性が 向上 し顎部 のかな り遠位部 まで容

易 に ビスを刺 入出来 る ようにな り, 先端 の刺激 によ る

湯冬痛 も軽減 した.

これ らの事 か らプ レー トを出来 るだ け遠位部 に置 く

必 要 のあ る 穎 部, あ るい は 穎上 骨折 にはLetournel

型が よ り有 利で ある と考えて いるが, この点 に関 して

は さ らに症例 を重 ねて検討 して い きたい-ま た, 現 在

人手 出来 る 最 も長 い プ レー トはJudetが30cm,

Letournelが31cmで あり, long plaeの 必要な

例 に も両者 が使用可能 で ある.

症 例

症例1は56才 の 女性で 偽 関節 に 対 しdecortica-

tionを 行 な った例 で ある. 現病歴 昭和56年10月15

日5mの 高 さか ら転落受傷 し10月22日Judet骨 端

プ レー トに よる骨接合術 を受 ける. その後外来通 院 し

て い たが, 昭和57年5月17日 右 大腿 部痛出現, レ線

に て, プ レー ト破 損 あ り5月25日decorticationと

Letournel骨 端 プ レ同 トに よる 骨 接合 術 を 行 な う.

骨 癒 合 は遅 れ たが2年 後 の レ線 で は骨 癒合 は完 成 して

お り膝 関 節伸 展-5度, 屈 曲140度 で あ り, 軽 度 の膝

関節 痛 が あ る(図1).

症 例2は52才 男性 で 固 定 力 が 不十 分 で あ っ た為 に

膝 関節 屈 曲訓 練 中 に 変形 を 来 た した例 に対 しdecor-

ticationとLetoumem骨 端 プ レー トに よる骨 接 合 を

行 な った例 で あ る 同主 訴 は右 大 腿 部痛 及 び膝 関節 運 動

障 害. 現病 歴 昭 和59年6月9日 飲 酒 して 歩 行 中, 足

表1 骨折型 と骨 癒合までの塒 期, ROM

カ ッ コ 内 はdecorticatioll

図1 症例1

-11-

12 大腿 腎遠 位 端 骨 折 のJudet骨 端 プ レー トによ る治 療 成 績

を踏み外 し転倒受 傷す. 某病 院 し直達牽 引 を行な いな

が ら糖尿病 をコ ン トロー ル し, 7月4日 骨接 合術 を受

け8月3日 よ り膝関節 屈 曲訓練を開始 した が大腿 部痛

出現 し再手術 目的 にて紹 介 され た. 術 前 の膝 関節可 動

域 は, 伸 展-10度, 屈 曲40度 で あ った. 10月4日

decorticationとLetournel胃 端 プ レー トによ る骨

接 合術を行な った. 術 後 は伸展0度, 屈 曲90度 とな

り疹痛 も 消失 して い る. 運 動制限が 続 くよ うで あれ

ば, 骨癒合が完成 した 後 に膝関節授動術 を予 定 してい

る(図2).

ま と め

大腿 骨遠位端骨折 に対 し, 我 々は観血 的療 法 と して

Judet骨 端プ レー トに よ る骨接合術 を行 な って お り,

良好な結果を得て い る.

最近 はLetournelの 改 良型を使用 す る事 によ り手

術手技 も容 易 とな り, 推奨 され る方 法で あ る と 考 え

る.

図2 症例2

参 考 文 献

1)藤 田雅 章 ・他: 骨 端 プ レー ト(Judet)に よ る大

腿 骨 骨 折 の 治 療 成 績. 整 形 外 科 と災 害 外科, 26巻

2号, 256-260, 1977.

2) Neer, C. S. et al.: Supracondylar Fracture of the Adult Femur, A Study of One Handred and Ten Cases. J. B. J. S. 49-A

4: 591-613, 1967. 3) Olerud, S.: Operative Treatment of Su-

pracondylar-Condylar Fracture of the Femur. J. B. J. S. 54-A 5: 1015-1032, 1972. 4)坂 上 和 平 ・他: 大 腿 骨 近 位 端 遠 位 端 骨 折 に 対 す

る骨 接 合 術 の わ れ わ れ の 治 療 成 績 中部 日本 整 災

誌, 21巻1・ 号, 250-253, 1978.

5) 瀬 良 敬 祐 ・他: 大 腿 骨 遠 位 端 骨 折 に 対 す る

Judet骨 端 プ レー トの 使 用 経 験. 整 形 外 科 と災 筈

外 科, 28巻3号, 448-451, 1980.

6)弓 削 大 四 郎: 式 プ レー トJudetに よ る 圧 迫 骨

接 合 法. 手 術, 27巻7号, 749-758, 1973,

7)弓 削 大 四 郎 ・他: 骨 端 プ レー ト(Judet)に ょ

る大 腿 骨 々 折 の治 療. 整 形 外 科 と災 害 外 科, 22巻

4号, 400-403, 1973.

8)弓 削 大 四 郎: 骨 端 プ レー ト(Judet)に よ る 大

腿 骨 近 位 端 骨 折 と 遠 位 端 骨 折 端 骨 折 の 治 療. 骨 折

vol. 1, No. 1, 1978.

質 問 産 業医 科大学 伊地知正光

関節 内骨 折 に もよ く使用 で き る ものですか.

解 答 山 口県立 中央病 院 中村 泰

1.

関節 内骨 折 に も使 用 して います. Neer I, II型 は

比較 法的簡 単 に使 用で き ます し, III型で も固定 力 は良

好で す.

質 問 福 岡大学 舌 間 憲士

1. LeturnceのplateはJudetと 同様 に圧迫 が

かか るの みで す か?

2. Decortication例 で は3-4週 で化骨が 出現す

るよ うです が, 荷 重 は以 後2カ 月 待つ のです か?

解 答 山 口県 立 中央病院 中村 泰

1. 圧 迫 をか ける にはAOと 同 じよ うな器械が 必

要 です.

2. 荷 重 の時期 は, 弓削 は3-4週 で行 なうよ うに

指示 します が, 慎 重 に して い るので 遅 くな って い ま

す-現 在試 験的 に3-4週 での荷 重を行 な って います

ので結果 が出 れば短 縮出来 ると思い ます.

-12-