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JCCLS 2010年度日本臨床検査標準協議会 学術集会 平成22828帝京大学医学部内科 寺本 民生

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JCCLS

2010年度日本臨床検査標準協議会学術集会

平成22年8月28日

帝京大学医学部内科

寺本 民生

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日本動脈硬化学会

1987年:コンセンサスカンファランス

1997年:高脂血症診療ガイドライン

2002年:動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002

年版

2007年

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版

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高脂血症(hyperlipidemia)(同)高リポ蛋白血症(hyperlipoproteinemia)(同)高コレステロール血症(hypercholesterolemia)(同)高LDL-コレステロール血症(high LDL-cholesterol)(同)高トリグリセライド血症(hypertriglyceridemia)原発性高脂血症(Primary hyperlipidemia)

.

.

.原発性高コレステロール血症(Primary hypercholesterolemia)

家族性高コレステロール血症(Familial hypercholesterolemia,FH)家族性高コレステロール血症ホモ型(FH homozygote)家族性高コレステロール血症ヘテロ型(FH

heterozygote)..

続発性高脂血症(secondary hyperlipidemia)続発性高コレステロール血症(secondary hypercholesterolemia)続発性高トリグリセライド血症(secondary hypertriglyceridemia)

低脂血症(hypolipidemia)(同)低リポ蛋白血症(hypolipoproteinemia)(同)低HDL-コレステロール血症(low HDL-cholesterol)原発性低脂血症(primary hypolipidemia)

.

.続発性低脂血症(secondary hypolipidemia)

続発性低βリポ蛋白血症(secondary hypobetalipoproteinemia)続発性低HDL血症(secondary hypoJDL-cholesterolemia)

その他の脂質異常症原発性高HDL血症(Primary hyperalphalipoproteinemia)

家族性LCAT欠損症(familial LCAT deficiency)

シトステロール血症(Sitosterolemia)

脂質異常症(dyslipidemia)

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脂質異常症治療のターゲットとゴール

1.ターゲット:心血管病

問題はその世界的増加

2.ゴール:世界寿命の延伸

3.世界寿命延伸の阻害因子1)高脂血症の増加

2)治療の不十分要因

3)肥満の増加

4)メタボリックシンドローム

4.阻害因子の撲滅

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冠動脈硬化の造影像と病理像との比較

内腔

内腔

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脂質に富むプラークの肉眼像を示し、脂質成分の多い黄色の脂質コアが認められる。

脂質コア

内腔

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冠動脈閉塞部位の造影像と病理像との比較(プラーク破裂と閉塞性血栓)

脂質コア血栓形成

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LDL受容体の発見とスタチン

大きなエポックはLDL受容体の発見。

1976年のこと。

これに引き続いてスタチンの発見。

大規模臨床試験へと続く。

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LDL受容体の発見とスタチン

大きなエポックはLDL受容体の発見。

1976年のこと。

これに引き続いてスタチンの発見。

大規模臨床試験へと続く。

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家族性高コレステロール血症(FH)の診断基準

1.未治療のLDL-C値が160mg/dL以上、180mg/dL以上、200mg/dL以上(小児では

140mg/dL以上、160mg/dL以上、180mg/dL以上)となるに従い、診断確度が上が

る。

2.二親等までの家族が若年性冠動脈疾患(男性<55歳、女性<65歳)あるいは

LDL-C値>180mg/dL、FHと確定診断されている。

3.腱黄色腫または、皮膚結節性黄色腫の存在が確認できる。X線軟線撮影はまたは

ゼロラジオグラフィーによるアキレス腱肥厚の判定(側面で最大径9mm以上。)

4.角膜輪(<50歳)あるいは若年性冠動脈疾患(男性<55歳、女性65歳)を認める(

小児ではこの項は適用外)。

Ⅰ.あてはまる項目が多いほど、FHの診断的確度が上がる。

LDL受容体活性低下(健常人の80%未満)は診断の参考になり得る。

Ⅱ.LDL受容体遺伝子変異が確認された場合、上の要件の有無に関わらず確定診断できる。

注:現在、厚生省特定疾患原発性行高脂血症調査研究班により、さらに定量的な診断基準の作成の作業中である。

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家族性高コレステロール血症

常染色体優性遺伝

ホモ型

LDL受容体完全欠損

スタチンは無効

ヘテロ型

LDL受容体は半分

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P

P

P

P

Application

Anticoagulant

Blood pump

Membrane type

Plasma separator

(SULFLUX TM)

Blood line

Plasma pump

Rinsing-priming

solution

Regeneration

fluid

Regeneration

pump

Membrane

filter

Plasma line Regeneration line

Salinometer

LIPOSORBER TM LA-15

(LDL adsorption column)

LDL-アフェレーシス

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Conventional drugsFor lipidemia

Plasma

Exchange

Double Membrane

Filtration Plasmapheresis

Adsorption

Plasmapheresis

900

800

700

600

500

400

300

200

100

Total Cholesterol

Jan’74-’83

Feb MarAprMayJun Jul Aug’8

4

Jan Feb MarApr’8

5

MarAprMay’8

6Therapy with daily doses, which commeneed before the start of PP

Therapy, is shown above.

mg 100ml

Cholestvamine 12g, Nicotinic acid 1.2gProbucol 1g

Fig. 1. Serum total cholesterol (T chol) levels througout the course

of PP therapy. Serum T chol levels just before and on the moning

After of cash PP (O), or before the present study (■). Adjunet

drug

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動脈硬化性疾患の危険因子

高LDL-C血症 メタボリックシンドローム

動脈硬化性疾患

糖尿病

その他のリスク喫煙・高血圧--

---

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死 因イベント(%)

低下率(CI)

血管死全体

CHD以外の血管死

その他の血管死

脳卒中

冠動脈疾患(CHD)

コントロール群(45,002)

治療群(45,054)

(Cholesterol Treatment Trialists’ Collaborators. Lancet 366:1267-1278,2005)

血管死:

死亡全体

その他

血管死以外の死亡

事故呼吸器系癌

血管死以外の死亡:

550 (1.2%)487 (1.1%)

1,801 (4.0%)1,730 (3.8%)

4,354 (9.7%)3,832 (8.5%)

57 (0.1%)51 (0.1%)125 (0.3%)98 (0.2%)

1,069 (2.4%)1,094 (2.4%)

2,553 (5.7%)2,102 (4.7%)

593 (1.3%)554 (1.2%)

302 (0.7%)289 (0.6%)

291 (0.6%)265 (0.6%)

1,960 (4.4%)1,548 (3.4%)

0.87 (0.73 –1.03)

0.95 (0.90 –1.01)

0.88 (0.84 –0.91)

0.89 (0.59 –1.34)0.82 (0.62 –1.08)1.01 (0.91 –1.12)

0.83 (0.79 –0.87)

0.93 (0.83 –1.03)

0.95 (0.78 –1.16)

0.91 (0.74 –1.11)

0.81 (0.76 –0.85)

0.5 1.0 1.5

Treatmentbetter

Controlbetter

Effect p<0.0001

LDL-C低下療法の効果

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0.79 (0.77–0.81)7,994(17.8%)6,354(14.1%)心血管イベント

0.83 (0.78–0.88)1,617 (3.7%)1,340 (3.0%)脳卒中

0.81 (0.74–0.89)1,518 (3.4%)1,235 (2.8%)脳梗塞

1.05 (0.78–1.41)99 (0.2%)105 (0.2%)脳出血

0.76 (0.73–0.80)3,434 (7.6%)2,620 (5.8%)血行再建術

0.76 (0.69–0.84)1,397 (3.1%)Unspecified

0.79 (0.69–0.90)658 (1.5%)510 (1.1%)PTCA

0.75 (0.69–0.82)1,006 (2.2%)713 (1.6%)CABG

0.77 (0.74–0.80)4,420 (9.8%)3,337 (7.4%)冠動脈イベント

0.81 (0.75–0.87)1,960 (4.4%)1,548 (3.4%)CHD 死

0.74 (0.70–0.79)2,769 (6.2%)2,001 (4.4%)非致死性心筋梗塞

エンドポイントイベント(%)

低下率(CI)コントロール群

(45,002)治療群(45,054)

1,770 (3.9%)

(Cholesterol Treatment Trialists’ Collaborators. Lancet 366:1267-1278,2005)

0.5 1.0 1.5

Treatmentbetter

Controlbetter

Effect p<0.0001

LDL-C低下療法の効果

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一次評価項目 ~冠動脈疾患(CHD)~

食事療法+メバロチン群

(H.Nakamura,MEGA Study Group; AHA 2005, Dallas)

2233494428302,4763,4303,5293,6483,7583,966食事療法単独群

2493764548592,4343,3073,3853,4903,6423,866

9y8y7y6y5y4y3y2y1y0対象症例数

33%↓(P=0.010)NNT=119

0.0

1.0

2.0

3.0

(年)

食事療法+メバロチン群

0 2 4 6

食事療法単独群

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LDLを中心とした

ガイドライン

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参考にした日本のエビデンス

1、NIPPON DATA(コレステロールとCAD)

2、Isoらの住民検診(トリグリセライドとCAD)

3、Kitamuraらの疫学(HDL-CとCAD)

4、KLIS(日本人約4000例の介入試験)

5、PATE(高齢者日本人に対する介入試験)

6、J-LIT(約5万例の追跡調査)

7、MEGA Study(スタチンのRCT)

8、JELIS(イコサペンタエン酸・EPAのRCT)

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血清脂質と冠動脈疾患の発症頻度

4

0

3

2

1

~159

(Okamura T et al. Atherosclerosis, 190: 216-223. 2007)

総コレステロール値と冠動脈疾患死亡の相対危険度(男女)NIPPON DATA 80

160~179

180~199

200~219

220~239

240~259

260~(mg/dL)

(Kitamura A et al. Circulation, 89:2533-2539, 1994のデータをもとに再解析)

HDLコレステロール値と冠動脈疾患合併率

~34

4

0

3

2

1

(Iso H et al. Am J Epidemiol, 153:490-499, 2001)

トリグリセライド値(随時)と冠動脈疾患発症の相対危険度(男女)

~84(mg/dL)

5

0

3

2

1

4

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70~74

75~79

80~(mg/dL)

85~115 116~164 165~

相対危険度

相対危険度

冠動脈疾患合併率

動脈硬化性疾患予防ガイドライン〈2007年版〉

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この診断基準は薬物療法の開始基準を表記しているものではない。

薬物療法の適応に関しては他の危険因子も勘案し決定されるべきである。

高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール ≧140mg/dL

低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール <40mg/dL

高トリグリセライド血症 トリグリセライド ≧150mg/dL

LDL-Cは直接測定法を用いるかFriedewaldの式で計算する。

(LDL-C=TC‐HDL-C‐TG/5(TGが400mg/dL未満の場合))

TGが400mg/dL以上の場合は直接測定法にてLDL-Cを測定する。

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版

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日米の平均総コレステロール値の推移

(米国国民健康栄養調査(NHANES))(第3次/第4次厚生省循環器疾患基礎調査(1980/1990)、第5次厚生労働省循環器疾患基礎調査(2000) 一部改変)

総コレステロール

0

180

190

200

210

220

230(mg/dL)

1960 1970 1980 1990 2000 (年)

男性(米国)

女性(米国)

男性(日本)

女性(日本)

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米国における死因の変化(1972~1990)

(calculated by National Heart Lung and Blood Institute on the basis of National Center for Health Statistics )

19781972 1984 1990*

50

40

30

20

10

decrease in cardiovascular deaths(death rate corrected by age since 1972)

心血管疾患を除く

冠動脈疾患(CHD)

脳卒中

* preliminary results in 1990

(%)心血管および脳卒中死の割合

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26

日米の平均総コレステロール値の推移

(米国国民健康栄養調査(NHANES))(第3次/第4次厚生省循環器疾患基礎調査(1980/1990)、第5次厚生労働省循環器疾患基礎調査(2000) 一部改変)

総コレステロール

0

180

190

200

210

220

230(mg/dL)

1960 1970 1980 1990 2000 (年)

男性(米国)

女性(米国)

男性(日本)

女性(日本)

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27

大阪企業コホートにおける心血管疾患の年齢調整発症率の推移(1,000人年当たり)

(Am J Med 2002; 112: 104-109より改変)

2.0

1.5

1.0

0

調査年63~70年

71~78年

79~86年

87~94年

人年 20,280 24,616 36,612 43,259

冠動脈疾患全体

心筋梗塞

脳卒中

トレンドP

0.002

トレンドP

0.001

トレンドP

0.02*p<0.01†p<0.001

(1963~70年との比較)

† †

*

*発生率

0.5

男 性

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28

総コレステロールでなくてLDL-コレステロール

1. LDLが直接動脈硬化の形成にかかわっている。(動物実験や細胞実験で明らかになっている)

2. HDLコレステロールは高いほうが動脈硬化予防につながる。(疫学的データ、細胞実験で明らかになっている)

3. 総コレステロールはLDLとHDL-コレステロールの足し算である。

4. LDL-Cが高くなくてもHDL-Cが高いために総コレステロールが高い人がいる。ここを鑑別する必要がある。

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29

総コレステロールは測らなくていいのか

1. LDL-コレステロールを計算するために総コレステロールが必要になる。

2. non- HDLコレステロールを判断基準とすることがある。

3. したがって、総コレステロールは測定する必要がある。判断基準として、LDL-Cを用いる。

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脂質管理と同時に他の危険因子(禁煙、高血圧や糖尿病の治療など)を是正する必要がある

治療方針の原則

カテゴリー 脂質管理目標値(mg/dL)

LDL-C以外の主要冠危険因子*

LDL-C HDL-C TG

一次予防まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の適応を考慮する

Ⅰ(低リスク群)

0 <160

≧40 <150

Ⅱ(中リスク群)

1~2 <140

Ⅲ(高リスク群)

3以上 <120

二次予防生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮する

冠動脈疾患の既往 <100

* LDL-C以外の主要冠危険因子

加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙

、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dL)

• 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。

• 家族性高コレステロール血症についてはChapter 6を参照のこと。

リスク別脂質管理目標値(p29)

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版

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危険因子の合併数と冠動脈疾患と脳卒中の死亡の関係(NIPPON DATA 80:1980-1994)

冠動脈疾患

脳卒中

危険因子の合併数

(Nakamura Y et al: Circ J 70: 960-964, 2006)

0 3~41~2

20

0

15

10

5

死亡ハザード比

1.00 1.00

8.04

5.063.51

2.64

危険因子:肥満、高血圧、高血糖、高コレステロール血症

動脈硬化性疾患予防ガイドライン〈2007年版〉

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心血管イベント予防のポイント

LDLを下げることは大切

しかしそれだけでは十分ではない

1) 30%の抑制とは、治療していないと 100人 の発症、治療により 70人 になった

2) 70人の発症者は、どんな人たちか?

3) たとえば糖尿病

4) たとえばメタボリックシンドローム

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メタボリックシンドロームにおける脂質異常

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性

small dense LDLRemnant

Postprandial hyperlipidemia

・ LPLの合成抑制・ CETP・HTGL活性の亢進

1.高トリグリセライド血症

・ 遊離脂肪酸の増加・ MTP活性の促進・ LPLの合成抑制

2.低HDL血症

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脂質検査結果

S(-) n=28 S(+) n=84 P

TC (mg/dl) 206.8±41.7 200.1±38.2 0.336

TG (mg/dl) 114.6±54.6 123.1±59.2 0.447

HDL-C (mg/dl) 47.4±11.6 43.3±11.2 0.590

LDL-C (mg/dl) 136.4±36.8 132.3±33.8 0.254

TG/HDL 2.5±1.0 3.2±1.9 0.178

RLP-C (mg/dl) 5.1±2.5 4.6±2.3 0.608

Lp(a) (mg/dl) 22.9±21.1 31.8±21.3 0.336

MDA-LDL(U/l) 111.1±52.2 118.6±36.3 0.543

アディポネクチン(μ g/dl) 10.7±6.4 11.8±7.7 0.790

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LDLサイズの比較

67%25.5nm以上

25.5nm以下

30%

70%

47% 53%

25.5nm以上 25.5nm以下

平均LDLサイズ (nm)S(-) S(+)

P < 0.0125.8±0.4 25.5±0.5

P = 0.055

S(-)群 S(+)群

(16/23)

(7/23)

(38/81) (43/81)

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酸化LDLの血流依存性血管拡張反応(FMD)に及ぼす影響

集計項目

△FMD(%)

△FMD/△NTG(%)

頚動脈maxIMT(mm)

頚動脈分岐部肥厚合併率

P値

0.003

0.050

0.645

(mean±SD)

酸化LDL<4.5(U/ml)

n=17

5.2±3.1

57.2±38.9

1.1±0.5

57%

酸化LDL>25.6(U/ml)

n=16

2.0±2.3

38.3±30.0

1.3±0.5

90%

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耐糖能異常、糖尿病型を示す割合

S(+)群

IGT26%

DM15%

normal57%

IFG 2%S(-)群

DM 4%

normal61%

IGT21%

IFG14%

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メタボリックシンドロームにおける脂質異常

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性

small dense LDLRemnant

Postprandial hyperlipidemia

・ LPLの合成抑制・ CETP・HTGL活性の亢進

1.高トリグリセライド血症

・ 遊離脂肪酸の増加・ MTP活性の促進・ LPLの合成抑制

2.低HDL血症

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apoB48 特異抗体生成のための抗原ペプチド

アポB100 NH2…LDDAKINFNEKLSQLQTYM IQFDQY…COOH

アポB48 NH2…LDDAKINFNEKLSQLQTYM I…COOH

マウスB48 NH2…IDSAKINFNEKLSQLETYA I…COOH↑ ↑

0987654321

10ペプチド

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アポ蛋白B48の動脈硬化層における局在

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LDL

リポタンパク代謝と動脈硬化惹起性リポ蛋白

カイロミクロン

カイロミクロンレムナント

VLDLVLDLレムナント肝臓

Smalldense LDL

酸化LDL

粥状動脈硬化

; 動脈硬化を惹起

小腸

アポB48 アポB48

アポB100 アポB100 アポB100

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脂質異常症の治療

1.高トリグリセライド血症

2.低HDL血症

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コレステロール逆転送系と細胞内コレステロール

VLDL

CETP

HTGLHTGL

HDL3

アポ蛋白Al

原始型HDL

LDLCETP

HDL2

LDL

受容体

HDL受容体

臓 コレステロール

コレステロール

コレステロールエステル

NCEH ACAT

oxLDL

ABC-1 スカベンジ ャー受容体

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VA-HIT studyにおける血清脂質の変化(N Engl J. Med 1999 ; 141: 410)

100

200

TCTG

LDL-C(mg/dL)

T-chol

-4% 0%

LDL-C

-31%

TG

p<0.001+6%

HDL-C

(p<0.001)

HDL-C(mg/dL)

50

32

160

112

175

前 P G 前 P G 前 P G 前 P G

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00

5

10

15

20

25

1 2 3 4 5 6

総発

症率

(%

Placebo

Gemfibrozil

22%(p=0.006)

YearNo. AT Risk

Placebo

Gemfiborzil

1267

1264

1200

1201

1118

1128

1040

1067

962

1005

666

706

466

498

VA-HIT studyにおける冠動脈疾患+非致死性心筋梗塞の発症率

(Kaplan-Meierによる)

(N Eng J. Med 1999 ; 341 : 410)

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49

この診断基準は薬物療法の開始基準を表記しているものではない。

薬物療法の適応に関しては他の危険因子も勘案し決定されるべきである。

高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール ≧140mg/dL

低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール <40mg/dL

高トリグリセライド血症 トリグリセライド ≧150mg/dL

LDL-Cは直接測定法を用いるかFriedewaldの式で計算する。

(LDL-C=TC‐HDL-C‐TG/5(TGが400mg/dL未満の場合))

TGが400mg/dL以上の場合は直接測定法にてLDL-Cを測定する。

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版

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50

脂質異常症の診断意義

動脈硬化性疾患を予防するため

したがって、危険状態の把握が必須

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51

脂質異常症とは

LDL‐コレステロール

トリグリセライド

HDL-コレステロール

のほかにも

Small dense LDL

Remnant

など

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Circ J 2006; 70: 1249-1255

冠動脈疾患リスク評価チャート

男性での10年CHD死亡確率(p13)

<0.5%

0.5-1%

1-2%

2-5%

5-10%

10%

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

随時血糖値 <200mg/dL非喫煙者 喫煙者

総コレステロールのカテゴリー

収縮期BP

総コレステロールのカテゴリー 1=160-179 2=180-199 3=200-219 4=220-239 5=240-259 6=260-279

年齢

70-79

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6

収縮期BP

収縮期BP

収縮期BP

年齢

40-49

年齢

50-59

年齢

60-69

随時血糖値 200mg/dL非喫煙者 喫煙者

総コレステロールのカテゴリー1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6

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Circ J 2006; 70: 1249-1255

冠動脈疾患リスク評価チャート

女性での10年CHD死亡確率(p13)

<0.5%

0.5-1%

1-2%

2-5%

5-10%

10%

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

随時血糖値 <200mg/dL非喫煙者 喫煙者

総コレステロールのカテゴリー

収縮期BP

総コレステロールのカテゴリー 1=160-179 2=180-199 3=200-219 4=220-239 5=240-259 6=260-279

年齢

70-79

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

180-199

160-179

140-159

120-139

100-119

収縮期BP

収縮期BP

収縮期BP

年齢

40-49

年齢

50-59

年齢

60-69

随時血糖値 200mg/dL非喫煙者 喫煙者

総コレステロールのカテゴリー1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6