if-over-fiber 技術を用いた多チャネル無線信号伝送
TRANSCRIPT
招待論文
IF-over-Fiber技術を用いた多チャネル無線信号伝送
田中 和樹†a) キム ビョンゴン†† 小林 嵩†
ベッカリ アブデルモウラ† 難波 忍† 西村 公佐†
キム フーン†† チャン ユン†† 鈴木 正敏†
Transmission of Multiple Mobile Wireless Signals by IF-over-Fiber Technique
Kazuki TANAKA†a), Byung Gon KIM††, Takashi KOBAYASHI†,Abdelmoula BEKKALI†, Shinobu NANBA†, Kosuke NISHIMURA†,Hoon KIM††, Yun C. CHUNG††, and Masatoshi SUZUKI†
あらまし 現在の 1000倍以上のトラヒックが見込まれる 5G以降の無線通信システムでは,ミリ波等の高い周波数帯の小セル局を多数設置して大容量トラヒックを収容する必要がある.小セル一局あたりの通信速度は数十Gbps と想定され,光アクセス回線の大容量化は喫緊の課題である.更に,既に商用展開が進んでいる C-RAN
構成は 5G 以降も有望なアーキテクチャーと考えられるものの,従来の光アクセス回線の伝送方式は通信速度の十数倍の伝送容量を必要とするため,代替技術が望まれる.光を搬送波として無線信号をアナログ波形のまま伝送するアナログ RoF (A-RoF) 伝送方式は,伝送帯域を大幅に低減可能で,有望な技術の一つである.本論文では,最初に A-RoF 技術の既存適用例として,CATV 伝送システムに用いられている IF-over-Fiber (IFoF) 伝送方式を紹介する.更に,IFoF・A-RoF 方式を無線基地局収容光回線へ適用した場合のシステム構成例を示す.続いて,数値シミュレーションにより IFoF伝送方式が適用可能な伝送条件の範囲を明らかにする.商用の LTE
無線基地局及び実フィールドに設置された光ファイバを用いた実験を行い,数値シミュレーション結果との比較を行うとともに,IFoF 伝送方式の商用システムへの適用可能性を示す.
キーワード IF-over-Fiber,Radio-over-Fiber,C-RAN,モバイルフロントホール
1. ま え が き
近年,スマートフォンに代表されるモバイル端末の
普及により,モバイルデータトラヒックが急速に増加
している.文献 [1]によると,世界のモバイルデータト
ラヒックは過去 5年間で 18倍になっており,2016年
には 63%の増加で 7.2 exabytes/月に達している.更
に,2021 年までに,一人当たりのモバイル接続端末
数が 1.5台となり,2016年から 2021年にかけてモバ
イルデータトラヒックは 7 倍に増加すると考えられ
†(株)KDDI 総合研究所,ふじみ野市KDDI Research, Inc., 2–1–15 Ohara, Fujimino-shi, 356–8502
Japan†† KAIST,大韓民国
Korea Advanced Institute of Science and Technology
(KAIST), Daejeon Korea Advanced Institute of Science and
Technology (KAIST), 291 Daehak-ro Yuseong-gu, Daejeon,
34141, Republic of Korea
a) E-mail: [email protected]
ている.現在,第 5世代移動通信システム (5G)に関
連した研究開発,技術標準化活動が活発化しており,
無線ユーザのピークデータレートは数十 Gbps を目
標としている [2], [3].このような大容量通信の実現に
は,ミリ波等の高い周波数帯の利用が必須だが,一般
に,高い周波数帯は直進性が強く,伝搬損失も大きい
ため,障害物による遮蔽を回避したアンテナ設置が必
要となる.そこで,低い周波数帯で形成されたマクロ
セル内に高い周波数帯の多数のスモールセルやスポッ
トセルを設置し,連携動作させることで大容量化を図
る Heterogeneous Network (HetNet) [4]の導入が進
むと考えられる.5G 以降のシステムでは,更にこの
傾向は強まり,ユーザ数を上回る多数のアンテナが設
置されると想定される.膨大な数のアンテナを設置す
るためには,アンテナの小型化と低消費電力化は不可
欠であり,アナログ Radio-over-Fiber (A-RoF)技術
が今後更に重要な役割を果たすと考えられる [5].
電子情報通信学会論文誌 C Vol. J101–C No. 2 pp. 107–118 c©一般社団法人電子情報通信学会 2018 107
電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
従来の無線基地局では,無線基地局の制御・ベー
スバンド部 Baseband Unit (BBU)と無線部 Remote
Radio Head (RRH)をアンテナサイトに近接設置し,
収容局 (CO: Central Office) と BBU 間を L2 また
は L3 伝送路で接続する Distributed Radio Access
Network (D-RAN) 構成が一般的であったが,アン
テナサイトに設置していた各 BBU を CO に一括設
置し,RRH を集中制御することで無線品質を向上
する C-RAN (Centralized Radio Access Network)
構成の導入が進められている [6].BBU と RRH 間
の伝送には,無線波形を量子化サンプリングしたデ
ジタル信号を光伝送するデジタル RoF (D-RoF) 技
術が採用されており,Common Public Radio Inter-
face (CPRI) [7]や Open Base Station Architecture
Initiative (OBSAI) [8] は代表的な伝送規格である.
D-RoF 技術を用いた C-RAN 構成では,デジタル化
した無線波形を伝送するため,従来の D-RAN構成と
比較してアクセス回線に求められる伝送帯域が 16 倍
になってしまう [9].ユーザデータレートの増加に伴
い,光ファイバ伝送に高価な高速トランシーバ,波長
分割多重伝送,追加のアクセスファイバ敷設等が必要
となり,経済的なアクセス回線を迅速に提供すること
が困難となる.
この課題に対して,データ圧縮技術 [10]や RANの
機能分割 [11]に関する検討がされている一方で,近年,
高い伝送効率を有する A-RoF技術が注目され,関連
研究が活発化している [12]~[17].現在光アクセス回
線で利用されている強度変調—直接検波方式 (IMDD:
Intensity-Modulation and Direct-Detection)を前提
にした場合,デジタル伝送では 4 値パルス振幅変調
(PAM-4: 4-level pulse amplitude modulation) で 1
シンボル当り 2 bitしか伝送できないが,アナログ伝送
では無線波形をそのまま光強度に変換して伝送するた
め,無線信号の周波数利用効率,例えば 64 quadrature
amplitude modulation (64-QAM)では 1シンボル当
り 6 bitの伝送が可能となり,IMDDでも高い伝送効
率を実現できる.A-RoF に関する文献 [12]~[15] で
は,1対 1 (PtP: Point-to-Point)の光伝送構成で,デ
ジタル信号処理 (DSP: Digital Signal Processing)を
用いて複数の RF信号を周波数の異なる IFで周波数
分割多重 (FDM: Frequency Division Multiplexing)
し,A-RoF 技術を用いて大容量光伝送を実現してい
る.文献 [16]では,A-RoF技術による光伝送において,
信号品質に影響を与える可能性のある信号歪について
低減する手法を提案しており,文献 [17]では,経済的
な光伝送を実現するために,垂直共振器面発光レーザ
(VCSEL: Vertical-Cavity Surface Emitting Laser)
を用いたA-RoF技術の検討を行っている.文献 [12]~
[17] いずれも,A-RoF の光伝送技術に特化した検討
をしており,筆者らの知る限りにおいて,A-RoF技術
を商用の基地局や光ファイバ等の商用システムへ適用
した伝送実験を通して,5G及びそれ以降のモバイル
システムへの適用可能性を検討した報告例はない.
本論文では,前述の A-RoF技術の特長を活かして
無線基地局を効率的に収容可能なシステムの構成例を
示す.また,IFoF技術のモバイルへの適用可能性につ
いて,具体的な伝送条件を想定して行った数値計算結
果を示す.更に,商用の LTE (Long Term Evolution)
無線基地局,実フィールドに敷設された屋外ファイバ
及び屋内ファイバからなる光伝送路を用い,無線基地
局から端末への下り伝送を想定した多チャネル RF信
号の IFoF伝送実験を行い,商用システムへの適用可
能性を示す.
本論文の構成は以下のとおりである.2.ではA-RoF
技術の概要と一般的な課題を述べる.3.では,A-RoF
技術を用いた基地局収容システム例を示し,数値計
算により伝送可能な条件の範囲を明確化する.4. で
は,商用の LTE 無線基地局とアクセスファイバを用
いて,商用 LTE信号を含む帯域幅 20 MHzの IF信号
24 チャネルを,7.8 km の商用光ファイバ上を伝送し
た実験結果を示す.3.の数値計算結果との比較を行う
とともに,A-RoF 技術が少なくとも既設商用設備へ
適用可能であること,更には 5G及びそれ以降のモバ
イルシステムへも適用できる可能性が高いことを示す.
2. アナログRoF技術
A-RoF技術は,これまでにケーブルテレビ (CATV:
Community Antenna Television)の放送波再送信サー
ビス等で広く利用されてきた [18].放送波再送信では,
放送波を 64-QAM 信号に変換して加入者宅向けに伝
送するトランスモジュレーション方式 [19]と,信号形
式を変えずにそのまま伝送するパススルー方式 [20]が
ある.図 1 (a) に,代表的なパススルー方式による地
上デジタル,BS デジタル放送の再送信サービスの光
伝送構成例を示す.ヘッドエンド (HE: Head End)施
設でアンテナ受信した BS放送波は BSコンバータで
中間周波数の BS-IF 信号に一括ダウンコンバートさ
れ,電波のレベル調整後,必要に応じて低周波数帯へ
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招待論文/IF-over-Fiber 技術を用いた多チャネル無線信号伝送
図 1 光伝送構成 (a) 放送向け光伝送,(b) モバイル基地局向け光伝送Fig. 1 Optical transmission configuration for (a) broadcasting services and
(b) mobile base stations.
ダウンコンバートされる.別アンテナで受信し,レ
ベル調整された地上波放送波と FDM して生成され
た RF 信号及び IF 信号を直接変調レーザ等の電気/
光 (E/O: Electrical-to-Optical) 変換器に入力し,ア
ナログ信号波形をそのまま光の強度信号に変換して光
ファイバ伝送する.受信側では,PINフォトダイオー
ド (PIN-PD: PIN-Photodiode)等の光/電気変換器で
直接検波し,RF・IF 信号波形を再生する.HE側で
BS放送波のダウンコンバージョンを行った場合は,元
の BS-IF 周波数へ再変換した後にテレビ受信機へ入
力する.
近年,A-RoF 技術は C-RAN 構成の無線基地局を
収容する技術としても注目されており,ITU-T にお
いて,RoF 技術とその応用についてまとめた補助文
書 [21]が作成されている.また,ITU-T G. RoFとし
て技術標準化に向けた活動も進められている.CATV
で培われた A-RoF技術を C-RAN無線基地局収容向
けに適用した場合の光伝送構成例を図 1 (b) に示す.
無線基地局向けでは,アンテナサイトから CO に向
かう上り光伝送も行われるが,基本的には下り光伝送
の逆動作として扱えるため,本論文では下りのみに
フォーカスした.ただし,上り伝送では無線伝送に伴
い,アンテナで受信する RF信号品質が悪くなるため,
今後詳細な技術検討が必要である.従来の地上波再送
信システムでは,光伝送する RF信号の周波数はチャ
ネルごとに異なっているが,C-RAN構成の無線基地
局収容向けの光伝送では,無線通信の大容量化のため
のMultiple Input Multiple Output (MIMO)や,電
波を特定の方向に集中的に照射するビームフォーミン
グ [22]等を行うために,BBUから出力される同一周
波数の RF信号を複数同時に光伝送させる必要がある.
A-RoF技術を使った光伝送において,送信側で同一周
波数の複数の RF信号を合波し,そのまま E/O変換
して光伝送してしまうと,受信側で元の複数の RF信
号に分離することができなくなる.そのため,送信側
で,各 BBUで出力された複数の同一周波数の RF信
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電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
号をそれぞれ異なる周波数の IF信号に変換して FDM
する必要がある.実際には,BBU内で周波数変換/多
重処理も行う場合や,BBU から FDM された IF 信
号を直接出力する構成も想定される.受信側では,各
RRH向けの IF信号に分離し,元の RF信号周波数に
変換してアンテナから電波発射する.近年では,無線
アンテナから発射する RF信号周波数でそのまま光伝
送する方式を狭義の A-RoF伝送方式とよび,IF信号
を光伝送させる方式を IFoF伝送方式と区別して呼ぶ
ことが一般化しつつある [21].また,IFoF伝送する際
に必要な RF 信号の周波数変換や多重分離処理等を,
従来の RFミキサー,合分波器,フィルタを用いたア
ナログ処理ではなく,DSPで行う方式も提案されてお
り,DSP支援型 A-RoFと呼ばれている [21].この方
式は光伝送前後に DSPを利用することで,波長分散
や光デバイスの非線形性等で発生する品質劣化を補償
することを狙いとしている.
以上に概観したとおり,高い伝送効率を有する A-
RoF 伝送方式は C-RAN 基地局収容向け技術として
注目されているが,現在の主流であるデジタル通信
方式と比べて,幾つかのデメリットを有する.一つ目
は,光伝送路に許容される伝送損失が小さい点である.
A-RoF技術を用いた光伝送では,RF信号波形をその
まま光伝送するため,光送信デバイスの E/O変換特
性の非線形性が電気信号の波形ひずみを発生させてし
まう.そのため光送信デバイスにおいて,E/O 変換
特性の線形性の高い領域のみを使わざるを得ず,光変
調度 (OMI: Optical Modulation Index) が小さくな
るため,光受信側では高い受光パワーが必要となる.
エルビウム添加光ファイバ増幅器等の光増幅器を用い
て受光パワーを上げることは可能だが,システムコス
トの増加を招く.二つ目は,光伝送路の光多重反射に
起因する信号品質劣化の懸念である.既存の Passive
Optical Network (PON) [23] システムで広く利用さ
れている Non-Return to Zero (NRZ) 等のデジタル
伝送と比較して,高い信号対雑音比 (SNR: Signal to
Noise Ratio)を求められるアナログ伝送では,光多重
反射に起因するビートノイズの影響を無視できない場
合もある.光反射減衰量の大きい APC等の光コネク
タを利用して光伝送路の光反射量を厳密に管理するこ
とで対策は可能だが,敷設・運用コストの増加を招く.
CATVのパススルー方式を用いた地上デジタル放送
波のA-RoF伝送及び無線基地局収容向けA-RoF伝送
では,Orthogonal Frequency Division Multiplexing
(OFDM)信号を光伝送するが,チャネル当たりの帯域
幅は前者の 5.6 MHzに対して,後者は,現状の LTE
信号で 20 MHz,5G移動通信システムでは 100 MHz
以上と広帯域である.そのため,無線基地局収容向け
では大きな品質劣化も懸念され,実際に商用の光伝送
路を用いた伝送実験が必要である.光伝送損失及び光
多重反射による品質劣化影響については,3.において
IFoF 伝送方式が適用可能な伝送条件範囲の具体的な
数値計算結果を示す.
3. A-RoF伝送システム
A-RoF 技術の適用により,基地局アンテナサイト
の簡素化 (アンテナ装置の小型化,低消費電力化) に
も期待がもてる.基地局展開においては,無線通信品
質の向上を目的に無線エリアを設計するが,実際には
物理的な制限(機器設置スペース,電力,光ファイバ
等)により,期待どおりのエリアが展開できない場合
もある.5G やそれ以降の無線通信システムでは,屋
内外の小セル局が爆発的に増加するため,物理的な制
限を回避可能な経済的な伝送システムが一層求められ
ることになる.
3. 1 IFoFシステム
IFoF 技術を用いた伝送システムの最も基本的な構
成は,図 1 (b)に示したとおり,収容局 (CO: Central
Office)とアンテナサイトとを PtPで光ファイバ接続
する形である.IFoF 技術により,光波長 1 波で複数
の RF信号を同時にアンテナサイトに伝送可能である.
この構成では,光伝送前の RF信号から IF信号への
周波数変換に加えて,光伝送後にもアナログまたはデ
ジタル処理による IF信号から RF信号への周波数変
換が必要となり,アンテナサイト側の装置構成が複雑
となる.また,COから狭いエリアに密集した各アン
テナサイト向けに光ファイバをそれぞれ準備する必要
がある.図 2のように,物理的な制限を緩和するため
に,COとアンテナサイト間に中継点を設けることで,
1対多 (PtMP: Point-to-Multipoint)構成を形成する
伝送システムが有効と考えられる [24].COからマク
ロセル等が設置される中継局までの IFoF 伝送では,
中継局配下の全アンテナサイト向けの IF信号を一括
伝送する必要があるため,広帯域な光送受信デバイス
が必要になる.中継局では,受信した全 IF 信号から
各アンテナサイト向けの IF 信号を分離し,別の中継
局へ IFoF伝送するための周波数変換を行う.図 3に
IF信号の周波数配置例を示す.COで IF信号を生成
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招待論文/IF-over-Fiber 技術を用いた多チャネル無線信号伝送
図 2 IFoF 伝送システム例Fig. 2 An example of IFoF transmission system.
図 3 IF 信号配置Fig. 3 Schematic diagram of allocation of IF signals.
する際に,最終的に伝送されるサイトごとに周波数バ
ンドを決めておき,そのバンド内に該当する RF信号
を IF信号として配置することで,CATV伝送システ
ムでも広く利用されている周波数バンドごとの一括周
波数変換が可能となる.中継局から別の中継局 (電柱
サイト等) への伝送においては,伝送する IF 信号帯
域が減ることで,より経済的な伝送帯域の狭い光送受
信デバイスの利用が可能となる.最終的に電波発射す
るスポットセルサイト向けには,直前の中継局で IF
信号から元の RF信号に周波数変換して A-RoF伝送
することで,アンテナサイトを PIN-PD とアンテナ
(RF 増幅器含む) のみで構成可能となり,超小型化・
低消費電力化が可能である.本構成により,将来予想
される膨大な数のアンテナサイトの設置柔軟性を大幅
に向上できる.
3. 2 IFoF伝送特性
2. において,RoF 技術を用いた光伝送のデメリッ
トとして,許容される光伝送損失が小さいこと,光多
重反射の影響が懸念されることを述べた.本節では,
COとアンテナサイト間を IFoF技術で光伝送するこ
とを想定し,光伝送後の IF 信号品質を数値計算によ
り求める.まず,計算に用いる理論式を示し,その後,
あるフロントホール構成を例に計算結果を示す.
搬送波対雑音比 (CNR: Carrier-to-Noise Ratio)は,
既存の地デジ等の再送信システムを設計する際に広く
用いられており,光伝送品質を表す重要な要素となっ
ている.一般に,IF信号チャネルに対する光伝送路の
CNRは以下のように表せる [25].
CNR=10 log10
[1
BN
·12·(mk·R·Pr)
2
RIN×(R·Pr)2+2·e·(Id0+R·Pr)+Ieq2
]
(1)
M =
√∑k
mk2 (2)
ここで,BN は雑音帯域幅,mk は k番目の IF信号に
よる OMI,M は総合 OMI,R は受光素子の光電気
変換効率,Pr は受光パワー,RIN は受光素子に入力
される光信号の相対強度雑音,eは電気素量,Id0 は受
光素子の暗電流,Ieq は受光部の入力換算雑音である.
また,RIN は,光増幅器を用いた長距離伝送や中継
伝送を想定しない場合,以下のように表せる.
RIN = 10 log10
{10
RINLD10 + 10
RINf10
}(3)
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電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
表 1 CNR 数値計算条件 1
Table 1 Conditions 1 of numerical calculation for
CNR performance.
ここで,RIN LD はレーザ光源の相対強度雑音,RIN f
は光ファイバ伝送の相対強度雑音である.光伝送路上
に,光反射量 r1,r2 の二つの大きな光反射点を仮定
し,光ファイバの損失係数 α,直接光と多重反射光が
同偏光 (受光部で発生するビートノイズが最大となる
最悪条件),光多重反射に比べてレイリー散乱の影響
は十分に小さいとすると,RIN f は次のように表され
る [26].
RIN f (f)
=4r2
π
[Δν
f2 + (Δν)2
]
×{sin2(ω0τ) · [1 + exp(−4πΔντ)
− 2 exp(−2πΔντ) · cos(2πfτ)]
+ cos2(ω0τ) · [1− exp(−4πΔντ)
− 2 exp(−2πΔντ) · (Δν/f)
· sin(2πfτ)]} (4)
r = α√
r1r2 (5)
ここで,r は実効反射係数,Δν はレーザの半値全幅
(FWHM: Full Width at Half Maximum),f は周波
数,ω0 は光の中心角周波数である.τ は直接光と多重
反射光の遅延であり,光反射点間の距離を d,光ファ
イバの屈折率を n,光速を cとすると,τ = 2dn/cで
表される.
2. で,CATV と比較して無線基地局収容向けの
A-RoF 伝送では,チャネル当たりの帯域が広帯域に
なる点について述べた.そこで,表 1 の各パラメー
タ値を用いて,雑音帯域幅 BN (信号帯域幅 BW) を
5.6 MHz,20 MHz,100 MHz と変えたときの光伝送
路 CNR について計算した.チャネル数については,
5G想定の 20 Gbpsユーザデータレート,チャネル当た
り帯域幅 100 MHz,現状 LTEと同等の周波数利用効
図 4 光伝送損失の CNR への影響 1
Fig. 4 Influence of optical transmission loss on CNR
performance 1.
率 3.75 bit/s/Hzを仮定した場合に必要となる 54チャ
ネルとした.また,k 番目の IF信号による OMI mk
を 3%/Ch (総合 OMI M で 22%相当) とした.図 4
に,光多重反射による影響を無視し,雑音帯域幅を変
えたときの受光パワーと CNRの関係を示す.チャネ
ル当たりの帯域幅の増加により CNR が劣化するが,
64-QAM LTE信号を想定して CNR 22 dBを基準と
すると,帯域幅 5.6 MHz,20 MHz,100 MHzそれぞ
れの場合で,受光パワーが −15.7 dBm,−12.9 dBm,
−9.2 dBm 以上であれば基準を満足する.5G 以降の
システムにおける広帯域な IF信号伝送においても受
光パワーを適切に設定することで基準値を満足できる
見込みである.
次に光伝送路上に大きな反射点が 2点存在したとき
の光伝送路 CNR について,雑音帯域幅 BN (信号帯
域幅 BW) を変えて数値計算した.図 4 と同様に,k
番目の IF信号による OMI mk を 3%/Ch (総合 OMI
M で 22%相当) とし,受光パワーによる雑音影響を
小さくするため受光パワー Pr を 0 dBm,光反射点間
距離 d をコヒーレンス長以上を想定して 200 m とし
た.また,信号光と多重反射光は同偏光と仮定した.
図 5 (a),(b)に,それぞれ光反射量 r1,r2を−25 dB,
−15 dB とし,IF 信号の中心周波数を 50~950 MHz
で変えたときの CNR 特性を示す.図 5 (a) から,帯
域幅 5.6 MHz,20 MHz であれば全ての IF 周波数で
CNR 22 dBを満足し,100 MHzの場合でも 69 MHz
以上では規定 CNR値を満たすことが分かる.デジタ
ル伝送路で用いられている反射量 −25 dB程度の一般
的な PC 研磨の光コネクタの利用も可能と考えられ
る.図 5 (b)から,反射量が大きくなるといずれの帯域
幅においても低周波数帯では CNR基準を満足できな
くなるが,帯域幅 5.6 MHz,20 MHz,100 MHzそれ
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招待論文/IF-over-Fiber 技術を用いた多チャネル無線信号伝送
図 5 光多重反射の CNRへの影響 (a)光反射量 −25 dB,(b) 光反射量 −15 dB
Fig. 5 Influence of optical multiple reflections on
CNR performance for (a) reflectivity −25 dB
and (b) −15 dB.
ぞれの場合で,IF中心周波数を 111 MHz,210 MHz,
479 MHz以上とすれば CNR基準を満足する.5G以
降のシステムにおいても,IF信号の周波数配置を適切
に設定することで基準値を満足できる見込みである.
図 4及び 5の結果から,光ファイバ伝送による波長分
散影響が無視できる IF周波数帯・伝送距離であれば,
5G 以降のシステムへも A-RoF 技術が適用可能であ
ると期待できる.
ここで,既存 LTEシステムへの IFoF技術の適用を
想定して,フロントホール構成として,アンテナサイ
トに,3セクタで 2× 2 MIMO構成の基地局を 4周波
数帯分設置することに相当する,24チャネルの IF信
号を光伝送したときの光伝送路 CNRを具体的に計算
した.計算に用いた各パラメータ値は表 2のとおりで
ある.アナログ光伝送では,光変調歪による影響を抑
えるため,総合OMI M は一般に 30%以下に設定して
おり,本計算では k番目の IF信号によるOMI mk を
3~6%/Ch (総合 OMI M は 15~30%)とした.図 6
に,受光パワーを変えたときの CNR特性を示す.受
表 2 CNR 数値計算条件 2
Table 2 Conditions of numerical calculation for CNR
performance 2.
図 6 光伝送損失の CNR への影響 2
Fig. 6 Influence of optical transmission loss on CNR
performance 2.
光パワーによる影響を確認するため,光多重反射によ
る相対強度雑音 RIN f を無視した.各 OMIにおいて
受光パワーの低下とともに CNRの劣化が確認できる.
IF信号として 64-QAM LTE信号を想定し,OMI mk
を 4%/Chとすると,基準となる CNR 22 dBを受光
パワー −14.1 dBm以上で満たすことが分かる.また,
光多重反射の影響について,光反射量 r1,r2 を同じ
値,直接光と多重反射光は同偏光を想定し,表 2 で,
OMI mk を 4%/Ch,受光パワー Pr を −7 dBm,IF
信号中心周波数 50 MHzを想定すると,光反射量 r1,
r2 が −25 dB,−20 dB,−15 dBの場合で,それぞれ
CNRは 30.3 dB,21.7 dB,11.9 dBであった.これら
の数値計算結果から,光反射量 −25 dB程度の光反射
点が 2点存在する伝送条件下でも,64-QAM LTE信
号 24チャネル分の IFoF伝送が可能と見込まれる.以
上の検討結果を元に,実際に IFoF伝送実験を行った
結果を 4.で示す.
4. IFoF伝送実験
本章では,商用の LTE無線基地局と光ファイバを用
いた多チャネル LTE信号の IF-over-Fiber(IFoF)伝
送実験を行い [27],C-RAN基地局向けアナログ RoF
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電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
図 7 IFoF 伝送実験系Fig. 7 Experimental setup for IFoF transmission.
(A-RoF)技術の商用システムとの適合性を示す.
図 7に IFoF伝送実験系を示す.実験環境の制約上,
シンプルな 1 対 1 (PtP: Point-to-Point)構成で実験
を行った.まず,移動通信システムの標準化プロジェ
クトである 3GPPの標準に準拠した 20 MHz帯域幅の
LTE 信号を生成するため,商用 LTE 基地局の BBU
と RRH を Back to Back (BTB) で接続した.BBU
と RRH間の接続インターフェースは CPRIとなって
おり,CPRIフォーマットへ変換する前のアナログ波
形をタップすることが困難であったためこのような構
成とした.実際の IFoF 技術を用いた BBU と RRH
間のモバイルフロントホールでは,BBU を一つの収
容局側に設置し,RRH は別サイトに設置することに
なる.
一台のスマートフォンをユーザ端末 (UE: User
Equipment) として利用し,RRH との間で無線通信
させた.商用のパケットコア (EPC: Evolved Packet
Core)とスマートファン間でファイル転送プロトコル
(FTP: File Transfer Protocol) によるファイルダウ
ンロードを行い,実験中は連続的に RRH から LTE
信号が生成される環境を構築した.LTE 信号の変調
フォーマットは無線伝送環境に依存するが,本実験で
は RRH とスマートフォン間の距離が短く無線環境
が良好であったため,RRHからは 20 MHz帯域幅の
64-QAM LTE 信号が出力された.RRH は二つのア
ンテナ (ANT: Antenna)ポートを有し,片方のポート
から出力された LTE信号を RFスプリッタで分配し,
一方を ANT経由でスマートフォンへ送信し,他方を
IFoF伝送実験用に利用した.図 8 (a)に,RRHから
出力された LTE信号のRFスペクトラムを示す.周波
数と帯域幅はそれぞれ 2.12 GHz,20 MHzであった.
LTE信号のRF周波数を光伝送前にミキサーを用い
て必要な IF周波数に変換した.図 8 (b)に,380 MHz
図 8 RF スペクトラム (a) RRH 出力,(b) 周波数変換後,(c) AWG 出力,(d) DFB-LD 入力
Fig. 8 RF spectrum of (a) RRH output, (b) After
frequency conversion, (c) AWG output and
(d) DFB-LD input.
にダウンコンバートされた LTE信号のスペクトラムを
示す.多チャネルの LTE信号を模擬するため,任意波
形発生器(AWG: Arbitrary Waveform Generator)
を用いて,20 MHz帯域幅,64-QAM LTE信号を 23
チャネル生成した.図 8 (c) に,ダウンコンバートさ
れた RRH 出力の LTE 信号周波数 380 MHz を除く,
中心周波数 50 MHzから 740 MHzに 30 MHz間隔で
配置した IF 信号のスペクトラムを示す.AWG から
発生したこれらのダミー信号と RRHから出力された
LTE 信号とを周波数分割多重し,分布帰還型レーザ
(DFB-LD: Distributed Feedback Laser Diode)に入
力してレーザを直接変調した.今回発生させた IF 信
114
招待論文/IF-over-Fiber 技術を用いた多チャネル無線信号伝送
図 9 OTDR 測定結果Fig. 9 OTDR measurement result.
号は,無線基地構成として,3セクタ,4周波数,2×2
MIMOを想定した場合の必要帯域に相当する.図 8 (d)
に,直接変調する DFB-LDへ入力した 24チャネルの
LTE信号のスペクトラムを示す.ここまで,RRH出
力の LTE信号を 380 MHzの IF信号に変換した例を
示したが,本実験では,380 MHzの IF周波数に限ら
ず,24チャネルの LTE信号の内,1チャネルを商用
LTE基地局から生成し,残りの 23チャネルを AWG
から生成することとした.DFB-LD の波長,出力パ
ワーはそれぞれ 1552 nm,+5.1 dBmであり,レベル
の等しい 24チャネルの IF信号でトータルの OMIを
約 19% (4%/Ch) として直接変調した.光伝送路に
ついては,収容局(CO: Central Office)での折り返
しを含む 7.4 kmのアクセスファイバと 0.4 kmの屋内
ファイバから構成され,複数の SC/PC光コネクタ接
続点を含む総伝送距離 7.8 kmのシングルモードファイ
バ (SMF: Single Mode Fiber) [28] とした.図 9 に,
本実験で用いた商用光ファイバ及びリファレンス目
的の実験用 10 km SMF の光パルス試験器 (OTDR:
Optical Time-Domain Reflectometer)による伝送路
特性測定結果を示す.商用光ファイバにおいて,伝送
距離 3.68 km,3.91 km の地点に,それぞれ反射減衰
量 27.9 dB,21.5 dB の大きな光反射点が確認された
が,CO内での光コネクタ接続点に起因していたと考
えられる.また,光伝送損失は 7.8 kmで 10.3 dBもあ
り,一般的な SMFの伝搬損失である 0.2 dB/km相当
から期待される値と比較して大きな値であった.一方,
実験用 10 km SMF では大きな光反射点は見られず,
光伝送損失も 1.8 dB と良好な品質を確認できた.光
ファイバ伝送された光信号を PIN-PDで受光し,スペ
クトラムアナライザ (SA: Spectrum Analyzer) でア
ナログ電気信号をデジタル化した後,ベクトルシグナ
ルアナライザ (VSA: Vector Signal Analyzer)を用い
図 10 光伝送後の RF スペクトラム (a) 受光パワー−7 dBm,(b) 受光パワー −15 dBm
Fig. 10 RF spectrum after optical transmission of
(a) Received power −7 dBm and (b) Re-
ceived power −15 dBm.
図 11 光伝送後の LTE 信号 EVM 特性Fig. 11 EVM performance of the LTE signal after op-
tical transmission.
て,コンスタレーション,エラーベクトル振幅 (EVM:
Error Vector Magnitude)を測定した.図 10 (a)及び
図 10 (b) は,それぞれ光ファイバ伝送後の PIN-PD
での受光パワーを −7 dBm,−15 dBm とした場合の
24チャネル LTE信号の RFスペクトラムを示す.受
光パワーが低いときには受信機の熱雑音の影響により
CNRが制限されるが,受光パワーを高めて −7 dBm
としたときには,ショット雑音の影響も CNR品質に
影響する.図 11 に,商用 LTE 基地局から生成され
た LTE信号の光ファイバ伝送後の EVM測定結果を
示す.LTE 基地局からは 20 MHz 帯域幅,2.12 GHz
の LTE信号が 1チャネル出力されるため,中心周波
数を最小の 50 MHz,中間の 380 MHz,または最大の
740 MHzの IF周波数にダウンコンバートして評価し
た.それぞれの場合において,AWG から 23 チャネ
ルのダミー信号を生成し,中心周波数 50 MHz から
740 MHzの IF信号を等間隔に 24チャネル配置した.
測定結果から,EVM は IF 周波数に依らず,受光パ
ワーを高くすると改善されていることが確認できる.
115
電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
図 12 7.8 km 商用光ファイバ伝送後の LTE 信号コンスタレーション (a) IF 周波数 50MHz,受光パワー −7 dBm,(b) IF 周波数 380MHz,受光パワー −7 dBm,(c) IF 周波数 740MHz,受光パワー −7 dBm,(d) IF 周波数 740MHz,受光パワー −15 dBm
Fig. 12 Constellation diagram of the LTE signal af-
ter 7.8 km deployed optical fiber transmis-
sion on (a) IF frequency 50MHz and received
power −7 dBm, (b) IF frequency 380MHz
and received power −7 dBm, (c) IF frequency
740MHz and received power −7 dBm and
(d) IF frequency 740MHz and received power
−15 dBm.
また,LTE基地局から出力された IF信号の中心周波
数を 50 MHzとした場合に,他の周波数に設定した場
合と比べて品質が悪くなっている.
例えば,受光パワーを −11 dBmとすると,IF信号
の中心周波数が 740 MHz の場合は EVM が 8.6%で
あったが,50 MHz にした場合には 11.2%であった.
無変調の光源を用いた受光素子のノイズスペクトラム
の評価結果から,低い周波数帯で相対的に高い熱雑音
を確認でき,その影響が一因であったと考えられる.
3.2 の数値計算から,受光パワー −7 dBm で,反射
量 −25 dBの光反射点が 2点存在した場合でも CNR
30 dB以上 (EVMで 3%以下)が期待されたが,それ
と比較して高いEVM値となったが,利用した LTE基
地局から出力された元々のRF信号品質 (仕様上 EVM
8%以下) による影響が大きかったと考えられる.図
12に光伝送された LTE信号のコンスタレーションを
示す.
この結果からも IF信号の中心周波数を 50 MHzに
した場合に,他の高い周波数に設定した場合と比較し
て,ノイズの影響を強く受けていることが確認できる.
低い周波数帯での EVMの劣化が見られたが,受光パ
ワーを−7 dBmとした場合には,50 MHz,380 MHz,
740 MHzいずれの IF信号中心周波数においても,64-
QAMの EVM基準である 8%以下を満たすことがで
きた.リファレンス目的の実験用 10 km SMFを伝送
した場合と比較しても,EVM特性に大きな違いがな
いことを確認した.これらの実験結果から,伝送損失
等の伝送条件を適切に設定することで,C-RAN基地
局向け A-RoF技術が商用システムへ適用可能である
ことを明らかにした.
5. む す び
本論文では,5G 及び将来の無線基地局の効率的な
収容を可能とする光アクセス回線として,高い伝送効
率とアンテナサイトの設置自由度を実現する A-RoF
技術を適用した伝送システムを示した.また,商用の
LTE基地局から出力された無線信号を含む 24チャネ
ルの IF 信号を,敷設ファイバと屋内ファイバからな
る 7.8 km の商用光ファイバ上を伝送し,所望の無線
品質を満たすことを実証し,IFoF技術の LTEシステ
ムへの適用可能性を確認した.本技術は,モバイル基
地局の大容量化,小セル化に伴う高速光トランシーバ
を不要とし,アクセスファイバ数も削減可能なことか
ら,高品質なモバイルネットワークの迅速かつ経済的
な提供に寄与する.信号帯域幅の広帯域化及び IF 信
号数の増大も想定される 5G以降のシステムへの適用
可能性については,高周波数帯に配置された IF信号
の波長分散影響も含めた技術検討が今後の課題である.
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(平成 29 年 3 月 15 日受付,8 月 29 日再受付,30 年 1 月 15 日公開)
117
電子情報通信学会論文誌 2018/2 Vol. J101–C No. 2
田中 和樹 (正員)
2004 早大・理工卒.2006 同大大学院修士課程了.同年 KDDI(株)入社,(株)KDDI 研究所(現(株)KDDI 総合研究所)配属.現在,光アクセス技術の研究に従事.
キム ビョンゴン
2014 Hongik 大・電気工学卒.2016
KAIST 大学院電気工学修士課程修了.現在,同大大学院博士課程在学中.アナログRoF 技術の研究に従事.
小林 嵩 (正員)
2011 電通大・電気通信卒.2013 同大大学院修士課程了.同年 KDDI(株)入社,2014(株)KDDI研究所(現(株)KDDI
総合研究所)配属.現在,先端技術の調査に従事.
ベッカリ アブデルモウラ (正員)
平 19 早大大学院国際情報通信研究科修士課程,平 22 同大学院博士課程了.現在,(株)KDDI 研究所光アクセス NWG にて,高速光アクセス伝送技術の研究に従事.平 27 KDDI Excellent research Award,平 26 IEICE Transaction on electronics
best paper award.平 21 早大小野梓記念学術賞,電気通信普及財団テレコムシステム技術賞,平 26国際会議 IEEE WCNC
Best Paper Award各受賞.博士(工学).IEEE Senior会員.
難波 忍 (正員)
1994 九州大学・情報工卒.1996 同大大学院修士課程了.同年国際電信電話株式会社入社.2001株式会社 KDDI研究所配属.現在,モバイルアクセス技術の研究に従事.
西村 公佐 (正員:シニア会員)
1986 東工大・工・電子物理卒.1988 同大学院理工学研究科修士課程了,2008 同大学院総合理工学研究科博士課程了.1988
国際電信電話(株)(現 KDDI(株))入社.以来,可視発光半導体材料・素子,光信号処理技術,光アクセスネットワーク技術等
の研究開発に従事.現在,(株)KDDI 総合研究所光アクセスネットワークグループリーダー.応用物理学会,SID 各会員.
キム フーン
1994 KAIST・電気工学卒.1996同大大学院修士課程修了,2000 同大大学院博士課程修了.Bell Labs, Lucent Technolo-
gies,サムスン電子,National University
of Singapore を経て,2014 KAIST 准教授,現在に至る.光伝送技術,光アクセス
ネットワークに関する研究に従事.
チャン ユン
AT&T Bell Laboratoriesを経て,1994
KAIST 教授,現在に至る.大容量WDM
システム・ネットワーク,光伝送性能モニタリング,WDM-PON,モバイル通信向け光ネットワーク等の研究に従事.IEEE,OSA,Korean Academy of Science and
Technology,The National Academy of Engineering of
Korea 各フェロー.
鈴木 正敏 (正員:フェロー)
1979 北海道大・工卒.1984 同大大学院博士課程了.工学博士.同年,国際電信電話(株)(現 KDDI(株))入社.2007
KDDI(株)研究開発フェロー,2011(株)KDDI 研究所取締役副所長を経て 2016
(株)KDDI 総合研究所主席特別研究員,現在に至る.その間,高速光通信用半導体変調器と集積光デバイス,光ソリトン通信方式,波長多重光海底ケーブルシステム,光ネットワークの研究開発に従事.本会論文賞,業績賞,文部科学大臣表彰科学技術賞,経済産業大臣賞,前島密賞,櫻井健二郎氏記念賞,OECC2000 Best Paper Award 等受賞,IEEE,OSA 各フェロー.日本工学アカデミー会員.
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