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ハンドル形電動車椅子は、主に歩行補助の必要性が高い高齢者の日常的な移動手段として使用されている。こうした中で、ハンドル形電動車椅子を使用中の死亡・重傷事故は、平成20年から平成26年までに51件発生している。
そのうち、平成24年から平成26年までに発生した死亡・重傷事故15件を下表に示す。番号発生年状 況傷害の程度被災者年齢
1平成24年
6月被災者は、下り坂で曲がり角の斜面とハンドル形電動車椅子の間に挟まれて倒れている状態で発見された。死亡
86歳
2平成24年8月被災者は、川に転落し、ハンドル形電動車椅子の下敷きになった状態で発見された。死亡
87歳
3平成24年9月被災者は、ハンドル形電動車椅子とともに防波堤から海に転落して浮いた状態で発見された。死亡
92歳
4平成24年
10月被災者は、ハンドル形電動車椅子とともに川に転落した状態で発見された。死亡
88歳
5平成24年10月被災者は、遮断かんの下りた踏切前で列車の通過を待っていたが、前のめりになりハンドル形電動車椅子に乗ったまま踏切内に進入。通過中の列車側面に衝突した。
死亡83歳6
事案の概要
消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書
【概要】ハンドル形電動車椅子を使用中の事故
(消費者安全調査委員会)
番号
発生年月 状 況傷害の程度被災者年齢
1平成24年
6月被災者は、下り坂で曲がり角の斜面とハンドル形電動車椅子の間に挟まれて倒れている状態で発見された。
死亡86歳
2平成24年
8月被災者は、川に転落し、ハンドル形電動車椅子の下敷きになった状態で発見された。
死亡87歳
3平成24年
9月被災者は、ハンドル形電動車椅子とともに防波堤から海に転落して浮いた状態で発見された。
死亡92歳
4平成24年
10月被災者は、ハンドル形電動車椅子とともに川に転落した状態で発見された。
死亡88歳
5平成24年
10月
被災者は、遮断桿(しゃだんかん)の下りた踏切前で列車の通過を待っていたが、前のめりになりハンドル形電動車椅子に乗ったまま踏切内に進入。通過中の列車側面に衝突した。
死亡83歳
6平成24年
11月被災者は、ハンドル形電動車椅子に乗ったまま通過中の列車の側面に衝突した。
死亡79歳
7平成25年
4月ハンドル形電動車椅子に乗った被災者は、踏切内で立ち往生していた間に遮断桿(しゃだんかん)が下り、走行してきた列車に衝突した。
死亡75歳
8平成25年
7月
リフト付きバスの乗降用リフトで被災者をハンドル形電動車椅子に乗せたまま降車させる際に、リフト上のハンドル形電動車椅子が前進して被災者とともに転落した。
重傷80歳
9平成25年
9月被災者は、下り坂で前面の壁に衝突し転倒した状態で発見された。
死亡66歳
10平成26年
6月
被災者は、遮断桿(しゃだんかん)の下りた踏切前で列車の通過を待っていたが、ハンドル形電動車椅子に乗ったまま踏切内に進入し、走行してきた列車と出会い頭に衝突した。
重傷70歳代
11平成26年
9月被災者は、ハンドル形電動車椅子とともに道路脇の工事のための深さ約4mの穴に転落した状態で発見された。
死亡95歳
12平成26年
10月
ハンドル形電動車椅子に乗った被災者は、踏切内で出口側の遮断桿(しゃだんかん)が下りていたため、列車軌道上で停止し、走行してきた列車に衝突した。
死亡88歳
13平成24年
2月
夜間、ライトを点灯してハンドル形電動車椅子に乗っていた被災
者は、踏切内で立ち往生していた間に遮断棹(しゃだんかん)が
下り、走行してきた列車に衝突した。
死亡60歳代
14平成25年
3月被災者は、下り坂を走行中に手動ブレーキを掛けてスリップし、歩道に乗り上げて転倒負傷した。
重傷70歳代
15平成26年
9月被災者は、ハンドル形電動車椅子に乗ったまま踏切内に進入して列車と衝突した。
重傷60歳代
表 平成24年から平成26年までに発生した死亡・重傷事故
平成28年7月22日
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事実情報
■ ハンドル形電動車椅子の各部の名称
図 ハンドル形電動車椅子の各部名称(出典:JIS 9208:2009 附属書 JA)
番号 名称 番号 名称1 操作ボックス 6 ブレーキレバー (又は手動ブレーキ)
1-1 前後進切替スイッチ 7 バックミラー [附属品]
1-2 電源スイッチ 8 ステップ1-3 バッテリ残量表示 9 ヘッドライト
1-4 アクセルレバー 10 クラッチレバー (手押し走行装置)1-5 速度切替スイッチ 11 車輪
1-6 警音器スイッチ [附属品] 11-1 操だ(舵)輪(又は前輪)2 バックサポート 12 駆動輪(又は後輪)
3 シート 13 反射板(リフレクタ)
4 アームサポート 14 本体の持ち上げ用手すり5 ハンドル 15 バスケット [附属品]
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■ ハンドル形電動車椅子使用時の道路における扱い
ハンドル形電動車椅子の使用者は、道路交通法(昭和35年法律第105号)上「歩行者」として扱われる※1。そのため、ハンドル形電動車椅子の使用者は、歩道や幅の十分な路側帯のある道路では、その歩道や路側帯を通行しなければならない※2等、歩行者としての通行方法に従うこととされている。
※1 道路交通法第2条第3項第1号において、身体障害者用の車椅子は歩行者とすることが規定されている。※2 道路交通法第10条
事実情報
分析
1.現地調査
■ 事例1 発進待機中の意図しない発進により発生した事故
電動車椅子が停止していた位置
電動車椅子の進行方向
(2)本件事故の要因ハンドル形電動車椅子に異常は認められ
なかったことから、踏切前で列車の通過を待っていた使用者は、具合が悪くなる等何らかの理由により、突然前のめりになって、身体の一部がアクセルレバーを押したため、意図しない状態で発進し、ハンドル形電動車椅子が遮断桿(しゃだんかん)を押しながら踏切内に進入した可能性が考えられる。
事故現場
(1)事故概要使用者(83歳、男性)は、遮断桿(しゃだんかん)の下りた踏切前で列車の通過を
待っていたが、突然前のめりになってハンドル形電動車椅子に乗ったまま踏切内に進入し、通過中の列車の側面に衝突し死亡した。
■ ハンドル形電動車椅子の代表的な操作方法
ハンドル形電動車椅子は、電源スイッチを入れ、アクセルレバーを軽く(手を乗せる程度)押すと発進する。走行時の上限速度は、速度切替スイッチ( 高速度は、6km/h)で設定する。左右への進行方向の変更はハンドルで操作する。前進又は後進の切換えは、停止状態で前後進切替スイッチを操作する。通常の停止操作は、アクセルレバーを初期状態に戻したとき(アクセルレバーから手を放す。)、自動的に制動が掛かる自動ブレーキで停止する(自動ブレーキによる平坦路(へいたんろ)での停止距離は、JIS T 9208で1.5m以内と規定されている。)。その他にも、使用者の意志で制動を掛ける手動ブレーキがある。
ハンドル形電動車椅子が走行できる坂道の傾斜角度は、10°(勾配:17.6%)以下が仕様となっている。
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分析
1.現地調査
■ 事例2 平地を走行中の路外逸脱により発生した事故
(1)事故概要使用者(95歳、男性)は、橋梁(きょうりょう)工事のため道路左側に設けられた歩行
者誘導路の入口付近を設定速度6km/hで走行中、誘導具を倒して路外逸脱し、その先の工事用穴(深さ約4m)にハンドル形電動車椅子とともに転落し、病院に搬送後、死亡が確認された。
(2)本件事故の要因下記に挙げたいずれかの要因又は複合的な要因により、ハンドル操作を誤り、路外
逸脱して工事穴に転落した可能性が考えられる。① 誘導具で区切られた狭い道路を、速度を落とすことなく走行しようと無理な運転を
したか、何らかの理由により、ハンドルを左に切り過ぎた可能性が考えられる。② 運転席から前輪近くの路面が見えにくい構造になっていることで、歩行者誘導路の
端が見えにくかった可能性が考えられる。
■ 事例3 下り坂を走行中に発生した事故(1)事故概要
使用者(66歳、男性)は、下り坂の途中にある右折角を直進し、道路壁にほぼ正面から衝突し、病院に搬送される途中に意識を失い、その後病院で死亡が確認された。
図6 事故があった坂道の傾斜角度
電動車椅子の進行方向
使用者が倒れていた位置
電動車椅子の位置(正面から壁に衝突)
事故現場 事故があった坂道の傾斜角度
(2)本件事故の要因使用者は、ハンドル形電動車椅子に乗車後、下り坂を走行中に具合が悪くなる等し
て、身体の一部がアクセルレバーを押し、意図しない状態で製品が走行し続けた、又は曲がり角でハンドル操作を誤って前方のコンクリート壁に衝突した可能性が考えられる。
事故現場
「地図データ:Google」
穏やかな右曲線から直進道路の位置で転落
電動車椅子の転落位置
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調査委員会は、ハンドル形電動車椅子の事故発生の要因及び加齢と事故発生との関連性の有無を分析するためアンケート調査(面接法による他計式のアンケート調査)を行った。アンケートは60歳以上のハンドル形電動車椅子の使用者385人に対し質問し、回答を分析した。
2.使用実態調査(アンケート調査)
■ ハンドル形電動車椅子の使用者に関する推定
(1)歩行補助の必要性について歩行補助の必要性について、約89%の使用者が歩行に何らかの支障があり、46%
の使用者は、短い距離(約5分間)の歩行も困難な状態であった。また、購入使用者よりレンタル利用者の方が歩行補助の必要性が高いことを確認した。
(2)同居の有無について同居者の有無は、約30%が一人暮らしであった。
(3)自動車運転経験の有無について自動車の運転経験がない使用者は、男性が約19%、女性が約73%であった。
(4)ハンドル形電動車椅子の使用中止についてハンドル形電動車椅子の使用中止を考える理由について質問(複数回答可)した結
果、約55%が「考えていない」との回答であった。中止について考えている場合の内容としては、「物が見えにくくなったとき」と回答した使用者が約25%、「手が使いにくくなったとき」と回答した使用者が約22%、「身近な人に中止を勧められたとき」と回答した使用者が約21%であった。また、レンタル利用者より購入使用者の方が使用中止を考えていない人の割合が高いことも分かった。
■ 使用実態調査結果のまとめ
(1)回答者の属性と製品の運用状況ハンドル形電動車椅子の使用者は、70歳代以上が多く、使用経験年数も3年以上の人
が多くを占めていると考えられる。さらに、一人で暮らす使用者も3割以上を占めると考えられる。
レンタル利用者については、福祉用具専門相談員による定期的なサポートが行われており、購入使用者に比べてアフターサービスが充実していると考えられる。
しかしながら、リスクの模擬体験や対処訓練のような準備を必要とする安全運転教育の経験は、使用形態(レンタル利用と購入使用)にかかわらず少ないと考えられる。
(2)ハンドル形電動車椅子の運転スタイルハンドル形電動車椅子を使用する高齢者の運転スタイルは、多くの使用者が、成人男
性の早歩きに近い速度で通常走行していると考えられる。
分析
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(3)ハンドル形電動車椅子の使い勝手ハンドル形電動車椅子は、高齢の使用者にも使い勝手の良い製品であると考えられ
る。他方、ハンドル形電動車椅子を使用する高齢者は、運転に必要な知識の1つである
握り込み停止機能を知らない人が多く、危険回避に必要な技能の1つである手動ブレーキ等を使った急停止操作方法を習得していない人も多いと考えられる。
(4)ハンドル形電動車椅子を使用中のヒヤリハットの経験ハンドル形電動車椅子の使用環境は、様々でありヒヤリハットの経験も以下のとお
り多種多様である。このことから、多くの危険源が使用環境に存在するものと考えられる。また、段差と未舗装道でのヒヤリハットの理由から、ハンドル形電動車椅子の前輪近くの路面が使用者から見えにくい可能性が考えられる。
・段差でのヒヤリハット・混雑道でのヒヤリハット・未舗装道でのヒヤリハット・下り坂でのヒヤリハット・転落の危険がある道でのヒヤリハット・踏切でのヒヤリハット・意図しない発進操作
(5)使用者の身体特性ハンドル形電動車椅子を使用する高齢者のうち、レンタル利用者は、購入使用者よ
り身体の能力が低い人が多いと考えられる。
(6)ハンドル形電動車椅子の必要性ハンドル形電動車椅子は、歩行補助の必要性が高い高齢者にとって、生活の質を維
持するための日常的な移動手段であり、多くの使用者は、居住地の周辺で頻繁に使用していると推定される。
分析
2.使用実態調査(アンケート調査)
3.超高齢社会における事故の多発防止のための課題調査
■ 傾斜角度10°を超える急坂の分布状況の分析
ハンドル形電動車椅子は、JIS T9208:2009※3において、登降坂性能、制動性能及び傾斜停止力について10°(勾配:17.6%)の坂での試験への適合が求められており、10°を超える急坂での使用における安定性等は保証されておらず、危険を伴いかねないが、日常生活において、傾斜角度が10°を超える坂道を通らねばならない可能性は否定できない。
調査委員会はこの点に着目し、例として東京23区及び横浜市内を取り上げ、急坂の分布を分析した。その結果、東京23区では南西部及び北西部に100か所以上、横浜市内では1,000か所以上、急坂が存在しているものと推定できる。
※3 ハンドル形やジョイスティック形(操作かんを前後左右に動かして操作するもの)などの電動車椅子に基準を定めたJIS T 9203(電動車いす)から、ハンドル形の規定を抜き出し、更に安全性を強化する規定を追加した単独の規格として平成21年12月21日付けで公示された。
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分析
3.超高齢社会における事故の多発防止のための課題調査
■ 救急搬送情報による事故の特徴
死亡・重傷事故とは別に、首都圏における事故の特徴を分析するため、調査委員会は、東京消防庁が保有する救急搬送情報のうち、平成22年から平成26年までの5年間に発生した電動車椅子に係る事故(交通事故を除く。)の情報(157件)を精査した。
その結果、ジョイスティック形を含む電動車椅子の事故の特徴として、転倒、転落などの自損事故のほか、新たな事故態様として、歩行者との接触事故が16件発生していることを確認した。
4.製造事業者への質問調査
電動車いす安全普及協会に加盟しているハンドル形電動車椅子の製造事業者(5社)への質問調査結果から、以下のことが分かった。
(1)全てのハンドル形電動車椅子の登降坂性能は、10°以下である。
(2)登降坂性能を超える急坂での使用時に、警告機能を備えていないハンドル形電動車椅子がある。
(3)全てのハンドル形電動車椅子の発進操作は、1か所を1方向に軽く(手を乗せる程度)押す機構である。
(4)運転時に前方約2mまでの路面が視認できないハンドル形電動車椅子がある。なお、デザインにより、前方路面の視認性を確保したハンドル形電動車椅子もある。
(5)急停止の操作方法は、事業者によって異なる。
(6)製造事業者による点検の項目及び周期は、事業者によって異なる。一例として、ハンドル形電動車椅子の直進走行性の点検及び調整は、一部の事業者でのみ標準
化されている。
(7)販売時の運転適性確認について、一部の事業者では、視覚、聴覚の確認が定められておらず、使用環境の確認にも横断歩道と踏切が含まれていない。
(8)販売後の使用者への運転適性確認及び運転操作指導については、全ての事業者が特に定めていない。
(9)踏切での取扱い(介助者の同行)については、製造事業者によって、取扱い(禁止行為又は注意事項等)が異なっている。
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結論(事故発生の原因又は要因)
(1)発進待機中の意図しない発進により発生した事故に共通する原因
現地調査の結果から、当該事故は、停止して待機が必要な状況にもかかわらずハンドル形電動車椅子が意図しない発進をしたことで発生していることが分かった。ハンドル形電動車椅子は、電源スイッチを入れた状態ではアクセルレバー(1か所)を1方向に軽く(手を乗せる程度)押すだけで発進するが、当該事故でのアクセルレバーを押した理由は、突発的な身体異常や製品の取扱いが適切でなかったことが考えられる。
(2)平地を走行中の路外逸脱により発生した事故の要因
① 製品に係る路外逸脱の要因
a 前輪近くの路面が見えにくいハンドル形電動車椅子の構造使用実態調査の段差でのヒヤリハット経験と未舗装道でのヒヤリハット経験に関する調
査結果では、ヒヤリとした理由として、段差や道の凸凹に気が付かなかったとの回答が多かったことから、前輪近くの路面が見えにくい製品が存在することが考えられる。
b ハンドル形電動車椅子の直進走行性の低下過去に前輪が縁石等に衝突して直進走行性が低下したハンドル形電動車椅子は、ハンド
ル操作が煩雑となり安定した走行が困難になると考えられる。使用実態調査から、定期点検を受けていない使用者もいること、また、定期点検を受けていたとしても製造事業者への質問調査結果から、定期点検項目にハンドル形電動車椅子の直進走行性の点検及び調整を設けている製造事業者が一部であることが認められる。
② 運転者に係る路外逸脱の要因
a 運転者の身体の能力低下高齢期では、視機能や有効視野、聴覚等の感覚機能、筋力や平衡感覚等の運動機能が
徐々に低下することが知られている。
b 使用環境に関するリスクの認識不足直線的な走路であっても、漫然運転をしていると道路の横断勾配により路外逸脱する可
能性があり、ガードレール等がなく転落の危険がある道路等の走行では、十分な注意が必要である。
③ 路外逸脱後の事故回避が困難な使用環境
a 踏切道の構造とハンドル形電動車椅子の性能との不適合踏切道から路外逸脱して脱輪した場合、踏切道側面の段差の高さが、ハンドル形電動車
椅子の段差乗越性能より高い時は、自走して踏切道に復帰することが困難であり、踏切内で立ち往生することが考えられる。
現地調査の結果から、次のとおり、事故の態様を停止状態から発生した事故と走行中に発生した事故に分類し、後者については、ハンドル形電動車椅子の登降坂性能を超える急坂での事故とその他の平地での事故に区別した。
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結論(事故発生の原因又は要因)
b 踏切での取扱いに関する製造事業者の考えと使用者の必要性の乖離製造事業者への質問調査結果によれば、多くの製造事業者が単独での踏切走行につい
て、禁止行為である又は介助者を同行する旨の注意事項としており、取扱説明書にも記述されていることを確認した。しかしながら、踏切での単独走行が禁止行為又は注意事項であることを使用者が認識していない可能性がある。また、仮に認識していたとしても、ハンドル形電動車椅子は、主に歩行補助の必要性が高い高齢者の日常的な移動手段として使用されているところ、使用実態調査の結果によれば、これらの者には同居者がいない場合もあることから、踏切を単独走行せざるを得ない場合もあり得る。
このように、ハンドル形電動車椅子の取扱いに関して、製造事業者から使用者に求められていることと、使用者の様々な状況や必要性とが乖離しているものと考えられ、当該事故の回避を困難にしている背景にもなっていると考えられる。
(3)下り坂を走行中に発生した事故の要因
① ハンドル形電動車椅子の登降坂性能を超える急坂での使用東京23区内と横浜市内の急坂の分布状況の分析によれば、当該地域内にはハンドル形
電動車椅子の安全性が保証されない急坂(傾斜角度が10°を超える坂道)が点在しており、そうした急坂においてハンドル形電動車椅子が使用されている可能性がある。
② ハンドル形電動車椅子のアラーム機能の欠如走行する坂道の傾斜角度が10°(勾配:17.6%)を超えた時に警告を発する機能を備
えていない仕様のハンドル形電動車椅子が存在する。
③ ハンドル形電動車椅子の整備不良下り坂で駆動系に不具合が発生した場合は、速度の制御が困難になるおそれがあるが、
使用実態調査の定期点検実施率の調査結果や製造事業者への質問調査結果から、定期的な点検が行われていないことや駆動系に関する点検が不十分であることの可能性が考えられる。
④ ハンドル形電動車椅子の手動ブレーキ操作技能不足下り坂走行中に駆動系の不具合が発生した場合に、多くの使用者は、手動ブレーキ操作
により適切に減速及び停止させる技能を習得できていないと考えられる。
超高齢社会における事故の多発防止のための課題調査結果から、電動車椅子と歩行者との接触事故の発生を確認した。
3つの事故態様及び歩行者との接触事故に共通する事故要因として、運転に必要な知識と危険回避に必要な技能の不足を確認した。
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再発防止策
2.残留リスク(ハンドル形電動車椅子の設計変更では解決できないリスク)に対するリスク低減の方策
(1)レンタル利用者に対する身体の能力及び運転適性の確認強化レンタル利用者に対しては、福祉用具貸与計画に基づく定期的なサービスが福祉用
具専門相談員から提供されており、購入使用者に比べて点検など製品の安全面の対応は充実していると考えられる。しかしながら、購入使用者よりレンタル利用者の方が、相対的に身体の能力(感覚機能、認知機能、運動機能など)低下が大きいことも考えられる。したがって、レンタル利用者に対し、既に行われている身体の能力及び運転適性の確認方法に、以下のような認知機能の検査手法や運転履歴情報に基づく運転適性の確認を追加し、確認結果の経時的な変化を分析することにより、身体の能力及び運転適性の低下の有無を評価するべきである。その上で評価結果に基づき適切なハンドル形電動車椅子の選定及び貸与をするべきである。
上記の身体の能力確認では、認知機能についてMMSE※4等を用いた測定と必要に応じて医学的診断を行うことを貸与条件とすることが考えられる。運転適性の確認は、ハンドル形電動車椅子の運転記録機能に対し、上記1.(3)記載の機能を付加して、運転履歴情報を分析する方法が考えられる。
身体の能力及び運転適性の低下が認められた利用者に対しては、貸与側がハンドル形電動車椅子の 高速度を下方変更することが可能となるような契約条項を定めるべきである。ただし、 高速度を下方変更する場合は、使用環境に長い距離(約15m以上)の踏切道や横断歩道がないことを確認する必要がある。
また、更に身体の能力及び運転適性の低下が認められた場合には、福祉用具専門相談員が介護支援専門員に相談して、貸与を中止することも必要となる。ただし、生活の質を維持するための日常的な移動手段であるハンドル形電動車椅子の貸与を中止する場合は、介護サービス計画及び福祉用具貸与計画について、これまでどおりの生活の質を維持できるように見直すことが必須である。
※4 MMSE(ミニメンタルステート検査)は、認知症の疑いのある人のために作成された口頭による質問形式の簡便な検査方法で、30点満点で判定する。27点以上は正常な認知機能。23点以下は認知障害の可能性を示唆している(杉下守弘ら、精神状態短時間検査-日本版(MMSE-J)の標準化について、認知神経科学、12(2)、(2010)、p.112)。
1.ハンドル形電動車椅子に対するリスク低減の方策
(1)意図しない発進を防止する設計
発進操作機構は、現状の1か所(アクセルレバー)を1方向に軽く(手を乗せる程度)押すだけの方式から、簡単かつ意図しない発進を防ぐ方式に見直すべ である。
(2)前輪近くの路面の視認性の確保路外逸脱を防ぐには、その要因の一つである前輪近くの路面が見えにくいハンドル
形電動車椅子について、視認性を確保するべきである。
(3)運転履歴情報の記録及び出力機能の付加使用者の運転適性の確認に際しては、有用な運転履歴情報を検討し、同情報を ハン
ドル形電動車椅子に記録して外部出力を可能とするための機能付加が必要である。
(4) 高速度を下方変更するための機能付加使用者の身体の能力及び運転適性が低下した場合の対応策を実施する際は、 高速
度の下方変更を可能とするための機能付加が必要である。
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2.残留リスク(ハンドル形電動車椅子の設計変更では解決できないリスク)に対するリスク低減の方策
再発防止策
(6)運転に必要な知識教育と危険回避に必要な技能訓練の実施運転に必要な知識の教育と危険回避に必要な技能の体験型訓練を地域の特徴に合わせ
て継続的に実施し、多くの使用者に受講の機会を提供するべきである。そのための実施体制の構築(認知症地域支援推進員 の活用等)及び受講候補者の情報整理(任意登録制度の 運営等)も検討する必要がある。
(7)踏切道からの路外逸脱を想定した踏切道側部の改修検討踏切道で路外逸脱及び脱輪して立ち往生することにより発生する事故を防ぐには、既
に国土交通省の高齢者等による踏切事故防止対策検討会から示された対策を早急に実施 されることに加え、脱輪した場合でも自走で踏切道へ復帰できるような踏切道側部の構造等を検討するべきである。
なお、本改修検討は、踏切道側部から線路内への誤進入防止策について、リスク低減の原則(ISO/IECガイド51 ※56.3項又はJIS Z8051 6.3項を参照。)に基づく整理を行ったうえで実施すべきである。
(8)緊急警報手段の検討ハンドル形電動車椅子の使用者が単独で危険を回避できないような緊急事態において、
周囲へ緊急事態を知らせる方法を検討するべきである。
(9)踏切道の単独走行を想定したリスクアセスメントの実施使用上のリスクが高いとされている踏切道の単独走行について、リスクアセスメント
※6を実施し、リスクの低減を図るべきである。
※5 人、財産若しくは環境、又はこれらの組合せに関係する安全側面を規格へ導入する際の指針を示すもの。※6 リスク分析及びリスク評価からなる全てのプロセスのこと(ISO/IECガイド51の3項「用語及び定義」から引用。)。
(4)ハンドル形電動車椅子の登降坂性能を超える急坂での使用防止販売事業者又は貸与事業者は、ハンドル形電動車椅子の提供時において、使用環境に
ハンドル形電動車椅子の登降坂性能を超える傾斜角度(勾配)の坂路がないことを確認できない限りは、傾斜角度に関する警告機能を有するハンドル形電動車椅子を提供するべきである。
(5)定期点検の見直し及び標準化と点検の受検促進路外逸脱の要因になり得る直進走行性の点検・調整を定期点検項目に追加し、その他
の点検項目及び点検周期についても標準化を図るべきである。
(2)販売時又は貸与時の安全確保の強化ハンドル形電動車椅子の販売又は貸与に際して行われる使用環境の事前確認では踏
切の有無のみならず、当該踏切のリスクの度合い(横断距離や踏切道側面の段差高さ等)も確認し、使用予定者に確実に説明すべきである。
(3)踏切道の走行における禁止行為又は注意事項の製品表示踏切道の走行における禁止行為又は注意事項については、使用者本人や周囲の人々に
周知することが重要である。その方法は、取扱説明書への記載や使用者への説明だけでは足りず、ハンドル形電動車椅子本体に、踏切の単独走行が禁止行為又は注意事項である旨を表示するべきである。
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ハンドル形電動車椅子は、主に歩行補助の必要性が高い高齢者の日常的な移動手段として使用されている福祉用具であるが、使用中の重大事故が平成24年から平成26年までに15件発生している。
これらの重大事故の発生リスクを低減するためには、ハンドル形電動車椅子の改善、定期的な保守点検、及び使用者のハンドル形電動車椅子運転に必要な知識の習得や技能訓練、更には使用環境の改修検討が必要である。また、高齢の使用者については、身体の能力(感覚機能、運動機能、認知機能など)の低下が事故発生の要因になり得るため、定期的な身体の能力及び運転適性の確認も重要である。さらに、加齢による身体の能力低下という「誰にでも起こり得る現象」による日常生活上の支障の軽減を図るため、介護保険制度により福祉用具としてレンタルで利用するものに関しては、製造・使用環境・運用に係る事業者、行政機関、研究機関、相談機関(介護支援専門員や介護実習・普及センター等)が多方面から関与することが必要である。
なお、本事案は、ハンドル形電動車椅子の事故によってその一部が顕在化したとも考えられる現在の超高齢社会における社会資本の在り方の課題、高齢者の行動特性、そして将来の社会についても考慮し、再発防止に向けて必要な対策を意見することとしたものである。関係行政機関においても各種施策の検討・実施に当たっては、来るべき将来を見据えた対応がなされる必要がある。
以上を踏まえ、消費者庁は、超高齢社会の中で、高齢者のみならず全ての消費者が共に安全・安心に暮らすことができるよう、消費者安全の確保に関する司令塔として、関係行政機関による施策の企画・立案に積極的に関与すべきである。また、経済産業省、厚生労働省及び国土交通省は、消費者庁と共に、ハンドル形電動車椅子の使用中の安全性向上を図るため、次の点について取り組むべきである。
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意見
再発防止策
3.安全に関する将来への展望
高齢者人口が引き続き増加すること、ハンドル形電動車椅子の使用者の増加が見込まれることから、引き続きハンドル形電動車椅子に対する安全対策の研究が必要と考える。そこで 将来製品化につながる以下の安全対策について研究を促進するべきである。
(1)転落防止機能の研究促進路外逸脱による転落を使用者の注意に頼らない方法で防ぐことを目的として、転落リ
スクの自動検知機能及び自動停止機能の研究を促進するべきである。
(2)対人・対物衝突防止機能の研究促進対人・対物への衝突を防ぐことを目的として、衝突リスクの自動検知機能及び自動減
速機能の研究を促進するべきである。
(3)登降坂性能向上の研究促進今後10年間で高齢者人口が著しく増加すると推定される首都圏に、ハンドル形電動
車椅子の登降坂性能(傾斜角度:10°)を超える急坂が点在していると考えられるため、登降坂性能向上のための研究を促進するべきである。
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(1)ハンドル形電動車椅子の設計・販売に関するリスク低減策の実施
① 発進操作機構の改善
ハンドル形電動車椅子は、1か所(アクセルレバー)を1方向に軽く(手を乗
せる程度)押すだけの簡単な操作で発進できる機構となっている。踏切等で停止
して待機している状況でアクセルレバーに意図せず触れて発進した場合は、重大
な事故に至る可能性が高いため、簡単でかつ意図しない発進をしてしまうことを
防ぐ操作方式に見直すように製造事業者(開発・設計事業者を含む)に指導する
こと。
② 前方構造の改善
路外逸脱による重大な事故に至る可能性を低減するため、前輪近くの路面の視認
性を極力確保したハンドル形電動車椅子の構造に見直すように製造事業者(開発・
設計事業者を含む)を指導すること。
③ 使用環境の確認強化
ハンドル形電動車椅子販売時の使用環境確認では、踏切のリスクの度合い(横断
距離や踏切道側面の段差高さ等)を確認し、使用予定者に確実に説明することを販
売事業者に指導すること。
④ 踏切道の走行に関する禁止行為又は注意事項の製品表示
踏切道の走行に関する禁止行為又は注意事項を示す表示をハンドル形電動車椅子
本体に行うよう製造事業者(開発・設計事業者を含む)を指導すること。
⑤ 踏切道の単独走行を想定したリスクアセスメントの実施
多くの製造事業者が単独での踏切走行について、禁止行為である又は介助者を同
行する旨の注意事項としているが、使用者の様々な状況や必要性によっては、踏切
を単独走行せざるを得ない場合もあり得るため、使用上のリスクが高いとされてい
る踏切道の単独走行について、リスクアセスメントを実施して、リスク低減策を検
討すること。
⑥ 使用環境に適合した製品の提供
ハンドル形電動車椅子の登降坂性能(傾斜角度10°以下)を超えた急坂での使
用を防ぐための警告機能が備わっていない機種が存在する。使用環境にハンドル形
電動車椅子の登降坂性能を超える急坂がないことを確認できない限りは、前述の警
告機能を有するハンドル形電動車椅子を提供するように販売事業者を指導すること。
(2)ハンドル形電動車椅子の保守点検に関するリスク低減策の実施
① 製品の直進走行性の点検及び調整を定期点検項目とし、その他の点検項目及び点
検周期についても可能な限り標準化を図るように製造事業者(開発・設計事業者を
含む)を指導すること。
② 定期点検の実施促進を販売事業者に促すこと。
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意見
1.経済産業大臣への意見
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意見
2.厚生労働大臣への意見
(1)ハンドル形電動車椅子の運用に関するリスク低減策(運転者の身体の能力及び運転適性の確認強化)の試行
ハンドル形電動車椅子の運用に関するリスク低減策(運転者の身体の能力及び運転適性の確認強化)として、以下を試行すること。
① 介護保険制度を利用したレンタル利用者に対し、既に行われている身体の能力及び運転適性の確認方法に、認知機能の検査手法や運転履歴情報に基づく運転適性の確認を追加し、確認結果の経時的な変化を分析することにより身体の能力及び運転適性の低下の有無について評価すること。
運転適性の確認は、経済産業省の協力を得て、有用な運転履歴情報の検討及び現在のハンドル形電動車椅子が有する運転記録機能に運転履歴情報の保存及び出力機能を付加して活用すること。
② 身体の能力(感覚機能、運動機能、認知機能など)及び運転適性の低下が認められた利用者に対しては、貸与側が使用環境に留意し、経済産業省の協力を得て、ハンドル形電動車椅子の 高速度を下方変更し、その効果を検証すること。
(2)ハンドル形電動車椅子の貸与時に関するリスク低減策の実施
① ハンドル形電動車椅子貸与時の使用環境確認では、踏切のリスクの度合い(横断距離や踏切道側面の段差高さ等)を確認し、利用予定者に確実に説明することを福祉用具関係者に周知すること。
② ハンドル形電動車椅子の登降坂性能(傾斜角度10°以下)を超えた急坂での使用を防ぐための警告機能が備わっていない機種が存在する。使用環境にハンドル形電動車椅子の登降坂性能を超える急坂がないことを確認できない限りは、前述の警告機能を有するハンドル形電動車椅子を提供するように福祉用具関係者に周知すること。
③ 緊急事態において使用者が単独で危険を回避できない状況も予想されるため、周囲へ緊急事態を知らせる方法の検討を福祉用具関係者に促すこと。
(3)ハンドル形電動車椅子の安全に関する研究の促進
① 路外逸脱による転落を使用者の注意に頼らない方法で防ぐことを目的として、転落リスクの自動検知機能及び自動停止機能の研究を促進すること。
② 対人・対物への衝突を防ぐことを目的として、衝突リスクの自動検知機能及び自動減速機能の研究を促進すること。
③ 今後10年間で高齢者人口が著しく増加すると推定される首都圏に、ハンドル形電動車椅子の登降坂性能(傾斜角度:10°)を超える急坂が点在していると考えられるため、登降坂性能向上のための研究を促進すること。
1.経済産業大臣への意見
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意見
4.厚生労働大臣、経済産業大臣及び消費者庁長官への意見
運転に必要な知識教育と危険回避に必要な技能訓練の実施
厚生労働大臣は、関係機関及び団体の協力を得て、介護保険制度を利用したレンタル利用者に対して、運転に必要な知識の教育と危険回避に必要な技能の体験型訓練の重要性を周知し、それらへの参加を促すとともに、これら教育・訓練を地域の特徴に合わせて継続的に実施すること。
経済産業大臣は、関係機関及び団体の協力を得て、ハンドル形電動車椅子の購入使用者に対して、運転に必要な知識の教育と危険回避に必要な技能の体験型訓練の重要性を周知し、それらへの参加を促すとともに、これらの教育・訓練を地域の特徴に合わせて継続的に実施すること。
消費者庁長官は、こうした教育・訓練が、複数の行政機関の関与を必要とすることから、本施策の遂行に当たっては、効果的な運用となるよう実施計画等について十分な調整を行うこと。
5.消費者庁長官への意見
意見の1から4に記載した各対策が総合的かつ体系的に実施されるよう、消費者庁が消費者安全に関する司令塔として、関係省庁間の調整を行うこと。その際、消費者の安全が十分に確保されるように努めること。
踏切道からの路外逸脱に関するリスク低減策の検討
踏切道で路外逸脱及び脱輪して立ち往生した場合、重大な事故に至る可能性が考えられるため、既に国土交通省の高齢者等による踏切事故防止対策検討会から示された対策を早急に実施することに加え、脱輪した場合でも自走で踏切道へ復帰できるような踏切道側部の構造等を検討すること。なお、本改修検討は、踏切道側部から線路内への誤進入防止策について、リスク低減の原則(ISO/IECガイド51 6.3項又はJIS Z8051 6.3項を参照。)に基づく整理を行ったうえで実施すること。
3.国土交通大臣への意見