川崎港東扇島~水江町地区 臨港道路整備事業 ·...
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川崎港東扇島~水江町地区臨港道路整備事業
平成31年1月10日
国土交通省 関東地方整備局
(再評価)
資料 3 - 4 - ①平 成 3 0 年 度 第 4 回
関 東 地 方 整 備 局
事 業 評 価 監 視 委 員 会
目 次
1.事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.事業の進捗状況と見込みについて ・・・・・・・・・・・ 5
3.事業の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
4.コスト縮減等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
5.関連自治体等の意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
6.今後の対応方針(原案) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
1.事業の概要(1)事業の目的と計画の概要
東扇島地区と内陸部との円滑な接続により物流機能を強化する。東扇島地区と内陸部を結ぶ緊急物資輸送ルートの多重化を図り、防災機能を強化する。
整備区間 : 川崎区東扇島~水江町整備延長 : 全長3.0km幅員 : 約7~19m事業期間 : 平成21~35年度道路区分 : 第4種1級設計速度 : 50km/h車線数 : 往復4車線・歩道(片側)事業費 : 980億円計画交通量 : 29,400台/日
横断図(主橋梁部)
19m
歩道 車道 車道
計画の概要
目 的
1
主塔高さ約
100m
・運河の航行船舶を考慮した桁下空間の確保や下部工・上部工の施工等。
・近接する羽田空港の高さ制限による主塔高さの制約、上部工の施工等。
・沿道企業の活動を考慮した施工等。
本事業の技術的制約
東扇島アプローチ部(1.1km) 主橋梁部(0.9km) 水江町アプローチ部(1.0km)
縦断図 羽田空港の高さ制限(約102m)
桁下高さ47m
東扇島 水江町
航行幅400m
京浜運河
至 横浜港
至 羽田空港
至 横浜
至 東京
完成イメージ図
至
川崎市街
(内陸部)
扇島 扇町
支間長525m
川崎市
事業箇所
1.事業の概要(2)事業の位置図
2
川崎港
東京港
横浜港
凡 例
港湾区域
京浜港
東京都千葉県
神奈川県
川崎港
羽田空港
事業箇所周辺図至東京 至殿町
広域図事業箇所
4,280
1,645 1,081 796
436
2,961
輸出総額
1.1兆円
6,073
5,698 3,574
1,350 1,207
4,346
輸入総額
2.2兆円
川崎港では、京浜臨海工業地帯の中核を成してきた石油化学・鉄鋼等の製造業や、首都圏の活動を支える火力発電所、バイオマス、太陽光、風力などのエネルギー関連産業が立地している。加えて、コンテナターミナルの整備や、その周辺での日本最大級の冷凍冷蔵倉庫群などの物流機能の集積も進んでいる。
主な輸出品は完成自動車や石油化学製品、鉄鋼などであり、主な輸入品には天然ガス、原油などのエネルギー資源、食料品関連の貨物などがある。特に、肉類・魚介類、家具などの輸入が大きく伸びており、国際戦略コンテナ港湾『京浜港』の一翼としての役割を担っている。
1.事業の概要(3)川崎港の概要1)川崎港の貿易概況
3
(単位:億円)
出典:川崎港貿易概況 (平成29年分)
■川崎港における輸出入品目(平成29年)
6,885
259
585
4,143 1,116
2,727
1,210
5,324
218
6,237
3,504
223
156
35429
398
北米
中南米
中東欧・ロシア
大洋州
アフリカ
西欧
アジア中東
川崎港
©Esri, FAO, NOAA
輸出輸入
単位:(億円)
■川崎港における輸出入先及び額(平成29年)
出典:川崎港貿易概況 (平成29年分)
(単位:億円)
自動車
有機化合物
石油製品
鉄鋼
金属鉱及びくず
その他
天然ガス及び製造ガス
原油及び粗油
肉類及び同調製品
魚介類及び同調製品
石油製品
その他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
製造業
電気・ガス・熱供給業等
運輸業等
0% 20% 40% 60% 80% 100%
製造業
電気・ガス・熱供給業等
運輸業等
臨海部 その他
65%
1.事業の概要
川崎市において、特に臨海部への集積が大きい業種は、製造業(従業者数約2.8万人、売上額約3.4兆円(市全体の約7割))、電気・ガスなどのエネルギー関連業(売上額約4千億円)、物流倉庫などの運輸業等(従業者数約2.1万人、売上額約4千億円(市全体の約6割))などであり、臨海部は雇用や税収の面において重要なエリアである。
川崎臨海部における水素ネットワーク構築に関する取組の推進により、地域の競争力強化を図るとともに、市民生活分野、交通分野等への展開などを幅広く進めることで、水素社会の実現を目指している。
また、近年では臨海部の特徴を生かした、「工場夜景・産業観光ツアー」、「みなと祭り」、様々なスポーツイベントが開催され、人・モノの交流が進み魅力ある地域の形成が進んでいる。
出典:川崎市港湾局
■観光・イベント
出典:川崎市観光協会HP
日本十大工場夜景(写真は水江町)川崎マリエン 日本夜景遺産に登録
4
(3)川崎港の概要2)川崎市臨海部の動向
■川崎市臨海部のシェア(従業者・売上額)
川崎みなと祭り(二日間)の来場者数H27年 約22万人H28年 約16万人(荒天により1日中止)H29年 約23万人H30年 約25万人
東扇島東公園(人工海浜)
出典:平成28年経済センサス 活動調査(参考表)(総務省)
従業者数(人)
売上額(試算値)(円)
2.75万人40%
57%
72%
99%
58%
4.09万人
0.10万人 0.05万人
2.11万人 1.56万人
3兆4170億円 1兆3317億円
3,746億円 2.7億円
3,981億円 2,910億円
■水素社会実現への取り組み川崎脱水素プラント完成予想図
出典:次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合
今回評価時
(H30)
用地取得 - 残り10%
測量・調査・設計 詳細設計中 詳細設計中 上部工本体設計完了・付属物設計中 詳細設計中・関係者調整中
工事下部工 施工中(約76%施工済※)
上部工
2.事業の進捗状況と見込みについて(1)事業の進捗状況
5
○平成21年度 :事業化 ○平成27年度:準備工、仮設工着手○平成23年度 :用地取得着手 ○平成28年度:橋梁下部工着手(現地本格着手)○平成26年度 :環境影響評価書公告(11月) ○平成29年度:MP1橋脚の概成
(進捗状況) 東扇島 水江町京浜運河
事業範囲
B 357
至
コンテナターミナル
主橋梁部 水江町アプローチ部東扇島アプローチ部用地取得未着手測量・調査・設計未着手
工事未着手
用地取得中測量・調査・設計中工事中
用地取得済測量・調査・設計完了工事完了
凡 例
1)事業の経緯と進捗状況
今年度取得予定
川崎市委託範囲
首都高委託範囲 直轄施工範囲
H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35
(H30)
★前々回再評価
★前回再評価
★今回再評価
事業再評価時期
今回評価時
年度
測量・調査・設計(施工検討含む)
用地取得調整・工作物移設
関係者調整等(近接施工・上部工施工)
施工
主橋梁部の現状
MP1橋脚の概成(平成29年度)
京浜運河
鶴見航路 川崎航路
注)赤枠・赤字は前回再評価からの進捗箇所※ 平成29年度予算執行額ベース
桁下47m
可航幅400m
210
280
100
200
300
H26 H30
(万m3)
0
3
6
9
12
15
0
30
60
90
120
150
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
外貿内貿航路数
2.事業の進捗状況と見込みについて(2)社会情勢等の変化
6
1)東扇島地区のコンテナ貨物や物流施設の立地の動向等
■川崎港のコンテナ貨物取扱量*及び同航路数**の推移
(速報値)
コンテナ貨物取扱量
川崎港のコンテナ貨物量は5年で約3倍に増加。コンテナ航路数については、平成30年に5航路が開設し、2倍の10航路になるなど、今後もコンテナ取扱貨物量の増加が見込まれている。
東扇島地区では、大規模物流施設の建設が進んでいること、さらに港湾計画による港湾関連・埠頭用地の拡張が位置づけられたことなどから、今後も物流施設や企業の立地の増加が見込まれている。
平成30年の川崎港内の冷蔵倉庫収容能力は280万m3となり、平成26年から約3割増加している。
5年間で約3倍
約3割増加
川崎市提供資料より作成
■川崎港における冷蔵倉庫収容能力(合計)の推移
コンテナ航路数
川崎港コンテナターミナル H30データ
H26データ
東扇島 239万m3
大黒 67万m3
浮島28万m3
池上町 6万m3
水江町 7万m3
大井 120万m3
平和島 106万m3
大田 108万m3
品川 38万m3 中央 51万m3
■東京湾岸西部の地区別冷蔵倉庫収容能力
一挙に2倍に(千個***/年)
*公共ふ頭分のみ計上。**フィーダー航路は除く。***20フィートコンテナを1個と換算しカウント。
万m3
万m3
川崎市提供資料(統計・写真)より作成。
物流倉庫群
物流倉庫群川崎港コンテナターミナル
外貿埠頭
発電所
オイルターミナル
大規模
物流施設
大規模物流施設 大
規模
物流施設
延べ面積29.7万㎡
延べ面積30.4万㎡
延べ面積37.3万㎡港湾関連用地
埠頭用地
基幹的広域防災拠点
かわさきファズ物流センター東扇島総合
物流拠点地区
面積5.3万㎡, 15.3万㎡
■東扇島地区で立地が進む大規模物流施設等
港湾関連・埠頭用地の拡張
H30.7工事着手※※
大規模物流施設建設中H29.9公告※
大規模物流施設立地予定H29.11公告※
<建設中・計画中の大規模物流施設の延べ面積は合計98万m2>
※※掘込部土地造成事業の護岸工事の着手
※環境影響評価審査書の公告
臨海部の事業者
臨海部の従業者
コンテナターミナル物流倉庫群
物流倉庫群
物流倉庫群
内陸からの交通が転換
内陸への交通が転換
6,351
11,153
H24 H28
東扇島地区では、H24年からの4年間で約50社の企業進出が進み、約4,800人もの従業者数が増加している。従業者の通勤手段は、川崎駅発着の路線バス、自家用車等で、川崎市内との唯一のアクセスルートである川崎港海底トンネルを通行するため、朝夕の通勤時間帯を中心に、通勤車両と物流関連車両の交通集中により激しい渋滞が発生しており、早急な対策が必要となっている。
東扇島周辺ではコンテナ貨物取扱量の増加及び物流施設の立地に伴い、輸送車両が増加し、東扇島内の渋滞が顕著になり、旅行速度の大幅な低下が発生している。
■事業者・従業者の声
7
出典:H24、H28経済センサス
■東扇島の事業所数・従業者数の推移(事業所数:社) (従業者数:人)
+約4,800+約50 ・夜光交差点から右折で国道132号の川崎港
海底トンネルへ向かう際、右折待ちの渋滞が激しく30分も時間を要したことがある。
■国道357号の昼間12時間平均旅行速度の低下
(2)社会情勢等の変化 2)東扇島周辺の交通状況等
321
374
H24 H28
2.事業の進捗状況と見込みについて
■道路利用者へのアンケート結果
実施:平成27年12月
対象:国道132号塩浜交差点~川崎港海底
トンネル出入口(東扇島側)利用者
n=83
渋滞の発生頻度
渋滞による支障の発生
n=100
61%の利用者が
「2回に1回以上渋滞」
と回答
毎回渋滞12%
渋滞していることが多い 37%
2回に1回は渋滞12%
渋滞は少ない22%
渋滞はしていない17%
週1回以上18%
月1回以上36%
年1回以上27%
支障は無かった19%
54%の利用者が
「月に1回以上」
と回答
<<具体的な支障の内容>>
・渋滞が原因で荷物の配送・運搬のスケジュールに支障をきたした
・渋滞が原因で営業や打合せ等の約束時間に遅刻した
・いつも早めに出発している など
<<webアンケート概要>>
・平成27年12月実施
・回答者数:n=100
・事業区間に並行する国道132号塩浜交差点~川崎港海底トンネル出入口(東扇島側)の利用者を対象
n=83
渋滞の発生頻度
渋滞による支障の発生
n=100
61%の利用者が
「2回に1回以上渋滞」
と回答
毎回渋滞12%
渋滞していることが多い 37%
2回に1回は渋滞12%
渋滞は少ない22%
渋滞はしていない17%
週1回以上18%
月1回以上36%
年1回以上27%
支障は無かった19%
54%の利用者が
「月に1回以上」
と回答
<<具体的な支障の内容>>
・渋滞が原因で荷物の配送・運搬のスケジュールに支障をきたした
・渋滞が原因で営業や打合せ等の約束時間に遅刻した
・いつも早めに出発している など
<<webアンケート概要>>
・平成27年12月実施
・回答者数:n=100
・事業区間に並行する国道132号塩浜交差点~川崎港海底トンネル出入口(東扇島側)の利用者を対象
・通勤時間帯では、市内から東扇島までの所要時間がその他の時間より、1.5倍かかっている。塩浜(交)と夜光(交)の渋滞がひどい。
■東扇島水江町線整備による交通分散イメージ
コンテナターミナル物流倉庫群
物流倉庫群
物流倉庫群
内陸→物流倉庫群・コンテナターミナル
物流倉庫群・コンテナターミナル→内陸
水江町
B
東扇島中央・二号
浮島町
千鳥町
K1塩浜132
東扇島
夜光
写真撮影位置
出典:地理院地図(国土地理院)
下り
上り357
国道357号の交通状況
撮影:H30.8
上り 下り
H22センサス H27センサス H22センサス H27センサス
35.2km/h
19.2km/h
38.6km/h
27.8km/h
16.0km/h低下
10.8km/h低下
2.事業の進捗状況と見込みについて
8
大規模地震(東日本大震災等)の最新の知見を踏まえた耐震設計の見直し等による構造の強化、関係者調整
に基づく追加対策などの実施、現地着工後に判明した現場条件不一致による地盤改良の追加等により、事業
費は440億円増加する見込みです。
(3)事業の見込み等 1)事業費の変更
事業費増加項目 増額
①耐震設計の見直し等 約250億円
大規模地震の知見を踏まえた構造の強化 約132億円
被災後の復旧性を考慮した構造の強化 約87億円
構造の大型化等に伴う架設工法見直し 約31億円
②維持管理の考慮 約17億円
維持管理を考慮した設備への見直し 約17億円
③関係者調整に基づく追加対策・対応等 約139億円
橋脚位置の変更に伴う構造・架設法の見直し 約55億円
工事中の運河の航行安全対策の強化 約22億円
企業活動を考慮した道路線形の見直し 約12億円
企業活動を考慮した工事中対策・構造変更 約14億円
地元要請を踏まえた歩道の追加(主橋梁) 約36億円
④現場条件不一致 約24億円
地盤条件不一致による地盤改良追加 約18億円
現場条件の不一致による対策の実施 約6億円
事業費増加項目 増額
神奈川臨海鉄道(水江線)廃止に伴う用地取得による水江町アプローチ部の橋脚構造の変更(鋼構造から鉄筋コンクリート構造へ)
△約7億円
掘削土の橋脚基礎の中詰材への活用 △約3億円
コスト縮減項目(縮減額△約20億円)
歩道及びエレベーターの一部取りやめ(東扇島アプローチ部)等
△約8億円
橋梁付属物(ケーブル制振装置、点検設備等見直し)及び主塔基部根巻き部取りやめ
△約2億円
(3)事業の見込み等 2)事業費の主な増加要因
2.事業の進捗状況と見込みについて
9
大規模地震の知見を踏まえた構造の強化(約132億円) 被災後の復旧性を考慮した構造の強化(約87億円)
・これまでの大規模地震(東日本大震災等)の最新の知見を踏まえた耐震設計の見直しを実施(川崎港地震波の見直し(H25年)、道路橋示方書の改定地震波(H24年)の適用等)。
・レベル2(L2)地震への耐震性の確保のため、主桁、主塔などを強固な構造に見直した。
・耐震設計の見直しにより、橋脚・主塔の移動量(地盤の側方流動に起因)が大きくなる。その復旧性向上のため、支承の構造を見直し(大型化)。
・平成24年の道路橋示方書の改定に伴い、発災後の復旧を容易にするため、下部工(橋脚等)の構造を強固に見直した。
主桁幅20.2m
〃(見直し後)
主桁幅20.2m
板厚13mm(主要部)
板厚23mm(主要部)
主桁高2.8m
主桁高2.8m
主塔基部(見直し前) 〃(見直し後)
主桁(見直し前)
板厚32mm(主要部)
板厚72mm(主要部)
幅7.5m 幅8.0m
5.4m 5.4m主桁
主塔基部
構造見直しの例
10
100
1000
10000
0.1 1 10
2,000
1,000900700
主橋梁部の固有周期(揺れやすい周期)
0.8 0.9 1 2 3 4 5 6 7
固有周期(秒)
500
300
加速度応答スペクトル
(gal)
設計地震動見直し前見直し後
レベル2(L2)設計地震動の見直し
2.事業の進捗状況と見込みについて(3)事業の見込み等 2)事業費の主な増加要因
・航行安全委員会*の助言に基づく橋脚位置の見直し。*学識経験者・有識者・関係機関・京浜運河ユーザー組織等から構成。
・一部の橋脚・基礎では、新たな建設地点における地盤条件に対応するため、構造を見直し(大型化等)。
・陸上部から海上部に建設地点が移動した橋脚・基礎では、架設工法などを見直し。
橋脚位置の変更に伴う構造・架設の変更(約55億円) 工事中の運河の航行安全対策の強化(約22億円)
・左記委員会の助言に基づき「航行安全センター**」の新規設置など、京浜運河内の航行安全対策を見直し・強化。
**船舶動静の一元管理、情報提供を実施。
10
橋脚・主塔位置
見直し前
見直し後
「鋼管矢板井筒工法」施工手順
1 2 3
4
まず海上に橋脚施工位置を取り囲むように仮設の桟橋を設置します。仮設桟橋は、打設された鋼管杭の上に、工場製作されたジャケットと呼ばれる桟台を据付けて構築します。この桟橋を利用して、鋼管矢板井筒工法にて基礎を施工します。
仮設桟橋工 鋼管矢板打設工 井筒内掘削工
底盤コンクリート工 5 6
7
頂版コンクリート工
橋脚基礎・本体完成
次に、仮設桟橋上にクローラークレーンを配置し、バイブロハンマにより鋼管矢板を井筒状に打設します。鋼管矢板の長さは64.5m。下杭と上杭に2分割して海底地盤の下へ約40m打ち込みます。MP2橋脚では、87本、MP3橋脚では、172本の鋼管矢板を打設します。
こうして鋼管矢板が井筒状に設置されると、井筒内に橋脚施工可能な空間を確保します。まず隔壁の鋼管矢板を撤去し、そこに支保工を設置して外からの水圧に耐えられる構造とした後、井筒内の土砂を掘削撤去します。
躯体コンクリート工
井筒内掘削が終了し、橋脚基礎及び本体の施工空間が確保されると、まず底部に山砂による敷砂を投入します。その後、水中不分離性コンクリートを使用して、底盤コンクリートを約3メートルの厚さに打設します。こうして底盤が構築されると、井筒内の海水を排水ポンプを使用して排水し、ドライアップします。
井筒内のドライアップが終了すると、橋脚下部のフーチングとなる頂版コンクリートを打設します。打設前には、あらかじめスタッドジベルという鉄筋を鋼管矢板内側の壁面に溶接しておき、頂版コンクリートと鋼管矢板を一体化させます。頂版コンクリートの打設は、MP2橋脚で約4,000㎥、MP3橋脚で約10,000㎥という巨大な構造物となるので、1mの厚さで7回に分け打設します。
頂版が完成すると、その上に橋脚の本体を構築するための足場が組まれ、鉄筋・型枠を組立てた後、躯体コンクリートを打設します。躯体コンクリートの打設量は、MP2橋脚で約6,000㎥、MP3橋脚で約8,000㎥となります。鉄筋には、エポキシ樹脂鉄筋を採用し、海風からの浸食に耐えられる仕様とします。
完成すると、底盤、頂版併せて、MP2橋脚は約69m、MP3橋脚は約35mの高さとなります。下部工としての橋脚の上には、このあと引き続き上部工として、主塔橋桁が架設されていきます。
ジャケット
鋼管矢板
支保工
底盤コンクリート敷砂
頂版コンクリート躯体コンクリート
構造見直しの例
大型作業船による海上架設
MP2基礎断面(見直し前 )
26.0 m
22.5
m
(見直し後 )
28.0 m
24.5
m
MP3基礎断面(見直し前 )
38.5 m
35.0
m
(見直し後 )
41.9 m
36.7
m
航行安全センターにおける情報提供・情報管理
情報管理業務 AIS*ディスプレイ工事船舶・一般船舶への情報提供業務 *船舶自動識別装置
Automatic Identification System
京浜運河
至 横浜港
至 羽田空港
MP2 MP3
:工事用の仮設桟台
企業活動を考慮した道路線形の見直し(約12億円)
見直し前 曲線化前(イメージ)
2.事業の進捗状況と見込みについて(3)事業の見込み等 2)事業費の主な増加要因
企業活動を考慮した工事中対策・構造変更(約14億円)
◆企業埋設管防護(擁壁荷重を埋設管へ伝達しない構造に変更)
11
・橋脚位置の変更及び沿道企業の用地境界を考慮して主橋梁部(主桁)の「曲線」部の見直し。
・その結果、水平方向の作用力が増大するため、主桁や主塔、ケーブルなどの構造を強化した。
・橋脚基礎工(水江町)施工にあたり、沿道企業の活動への影響を低減させる対策等の追加や見直し。
・現市道の切り回し工事等に係る各種対策(企業埋設管防護、騒音対策など)の追加や見直しを行った。
見直し後 曲線化後(イメージ)
見直し前(イメージ)
見直し後(イメージ)
擁壁の荷重(重さ等)が、直接、埋設管に作用する懸念。
擁壁の荷重(重さ等)は杭基礎に作用。埋設管への影響は小さい。
埋設管
擁壁 擁壁
正面図 縦断図
埋設管
擁壁 擁壁
正面図 縦断図
舗装
舗装
主塔/橋脚(見直し前)
企業用地京浜運河
企業用地
企業用地境
主橋梁部(主桁)
主塔/橋脚(見直し後)
企業用地京浜運河
企業用地
企業用地境
主橋梁部(主桁)
曲線化後の主桁(イメージ図)
2.事業の進捗状況と見込みについて(3)事業の見込み等 2)事業費の主な増加要因
地盤条件不一致による地盤改良追加(約18億円)
地盤改良概略図
K.P.+5.70
K.P.-12.41
K.P.+1.00
6655
20000
10155
▽K.P.-15.30(現行掘削床)
▽K.P.-14.80 ▽K.P.-14.60 200
500
▽-44.600
▽K.P.+5.40
施工状況断面図
水圧
土圧
軟弱
地盤
鋼管杭が外側からの圧力に負けて変位が発生し、座屈の恐れが生じる
土圧
地盤改良する理由
鋼管杭
地盤改良範囲
支保工
現場条件の不一致による対策の実施(約6億円)
ケーソン過沈下対策
ケーソン基礎の増築分
作業室
自重による沈下
↓掘削↓過剰に沈下
掘削作業空間の減少やケーソンの沈下のバランスが崩れ躯体が崩壊の恐れが生じる過
剰な沈下が発生
④
③
②
①
⑦
⑥
⑤
⑩
⑨
⑧
⑭⑬⑫
⑪
⑬⑭
⑨-1
⑧-1⑧-2
①
⑤-1
⑥-2
⑤-2
②
⑦-2⑦-1
③
④
⑥-1
⑫
⑩-2⑩-1⑨-2
⑪打設ロットを
14段から20段に変更
12
・東扇島地区の橋梁基礎工事にあたり、地盤が当初想定より軟弱であったため、鋼管矢板井筒基礎が設計値よりも大きな変位を生じたため、対策を検討した結果、軟弱層を地盤改良することとした。
・工事着手後、設計と現場との不一致により各種対策を実施。
3.事業の評価
13
(1) 便益の計測 ~走行時間短縮便益の増加の主な要因~
①発生集中交通量の見直し(東扇島・扇島ゾーン)⇒東扇島の発生集中交通量が増加したことにより、周辺の道路の混雑が増した。
【前回評価からの交通量推計条件等の変更点】
以上の変更点から近年の川崎港における交通状況をより再現し、かつ精度の高い将来交通量の推計を実施したことで、「主な周辺道路の走行時間短縮便益」が増大。
②道路ネットワークの設定の見直し⇒本事業の事業期間内(H35dまで)に新たに供用する目標が定められた臨海部の道路のネットワーク(皐橋水江町線拡幅、羽田連絡道路)を追加・修正した。
③現況再現の精度向上の工夫⇒川崎臨海部において、現況再現を実施する際に、観測交通量だけではなく、平均旅行速度についても考慮し、現況再現を実施した。
主な区間における便益の増加(H42年単年度)
前回再評価:走行時間短縮便益(H42年単年度便益)
今回再評価:走行時間短縮便益(H42年単年度便益)
44億円 76億円
約7割増
N
東扇島地区の従業者数の増加(再掲)
3.事業の評価
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(1) 便益の計測 ~走行時間短縮便益の増加の主な要因~
便益増加の理由
【前回評価と今回評価の発生集中交通量推計の比較】
基礎データ:H17道路交通センサス
前回再評価(H28)
今回再評価(H30)
基礎データ:H22道路交通センサス
大型物流施設等の新規立地の動向やコンテナ等の貨物取扱量の増加などを踏まえた将来発生集中交通量の推計*
<東扇島の交通渋滞>
東扇島地区では、企業立地の進展等による内陸部からの通勤する従業者数の増加やコンテナ等の貨物輸送用の大型車両等の交通量が増加しており、臨海部の交通混雑が顕著化。
こうした臨海部の交通状況の変化について、精度の高い将来交通量を推計するため、ふ頭の土地利用状況や立地業種に関する交通量、港湾貨物物流に関する交通量などを考慮した交通量推計を実施。
近年の川崎港における交通状況の変化を考慮し、東扇島・扇島地区の発生集中交通量を見直したことで、「周辺道路の走行時間短縮便益」が増大。
H42年度の東扇島・扇島地区の発生集中交通量の見直し*
78,220台/日
85,624台/日
前回再評価(H28)
今回再評価(H30)
<大規模物流施設の立地:延床面積:29.7万m2>
11.8万個
H24年 H29年
3.8万個6,351人
11,153人
H24年 H28年
川崎港のコンテナ貨物取扱量の増加(再掲)
*「港湾の技術上の基準」に基づく
<大規模物流施設の立地:延床面積:30.4万m2>
H30.8
①発生集中交通量の見直し
3.事業の評価
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(1) 便益の計測 ~走行時間短縮便益の増加の主な要因~
便益増加の理由
皐橋水江町線(臨港警察署前~東扇島水江町線アプローチ部区間)の拡幅の影響と川崎港周辺が渋滞している状況をより再現したことにより、「主な周辺道路の走行時間短縮便益」が増大。
③現況再現の精度向上の工夫
H17センサスの観測交通量とH17センサス現況ODを使用し推計した交通量の比較
H22センサスの12時間平均旅行速度とH22センサス現況ODを使用し推計した配分平均旅行速度の比較
平均旅行速度の再現(渋滞状況の再現)性を向上させ、川崎市臨海部の渋滞状況に関する精度を高めた。
交通量推計における現況再現とは、設定した配分条件の妥当性を検証する為に実施するものである。具体的には、現況の実績交通量(H22センサス観測値)とH22センサス現況ODを使用し、推計した交通量が合っているか確認するものです。
【前回再評価における現況再現の確認内容】
【今回再評価における現況再現の確認内容】
H22センサスの観測交通量とH22センサス現況ODを使用し推計した交通量の比較
+
皐橋水江町線(川崎臨港警察署前交差点~東扇島水江町線アプローチ部区間)の4車線から6車線への拡幅
羽田連絡道路の追加
川崎臨港警察署前交差点
臨港道路東扇島水江町線アプローチ部
皐橋水江町線の現況(池上町交差点付近)
6車線に拡幅
池上町交差点
②道路のネットワーク条件を見直し
3.事業の評価(2)費用対効果分析①
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■総便益(B)臨港道路事業に関わる便益は、平成42年度の交通量を、整備の有無それぞれについて推計し、「港湾整備事業の費用便益分析マニュアル」に基づき3便益を計上した。【3便益:走行時間短縮便益、走行経費減少便益、交通事故減少便益】
■総費用(C)当該事業に関わる建設費と維持管理費を計上した。
1)計算条件〔参考:前回評価(H28)〕
・基準年次: 平成30年度 平成28年度・開通開始年次: 平成36年度 平成36年度・分析対象期間: 開通後50年間 開通後50年間・基礎データ: 平成22年度道路交通センサス 平成17年度道路交通センサス・交通量の推計時点: 平成42年度 平成42年度・計画交通量: 29,400 (台/日) 21,900 (台/日)・事業費: 980億円 540億円・総便益(B): 約1,330億円(割引後) 約679億円(割引後)・総費用(C): 約924億円(割引後) 約517億円(割引後)・費用便益比(B/C): 1.4 1.3
3.事業の評価(2)費用対効果分析②
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注1)便益・費用については、基準年における現在価値化した値である。注2)費用及び総便益額は整数止めである。注3)費用及び便益の合計額は、表示桁数の関係で計算値と一致しないことがある。注4)便益の算定については、「将来交通需要推計手法の改善について【中間とりまとめ】」に示された第二段階の改善を反映している。
2)事業全体
便益(B)
走行時間短縮便益
走行経費減少便益
交通事故減少便益
残存価値 総便益 費用便益比
(B/C)1,254億円 70億円 3.8億円 2.5億円 1,330億円
費用(C)
事業費 維持管理費 総費用2.6
491億円 19億円 511億円
3)残事業
便益(B)
走行時間短縮便益
走行経費減少便益
交通事故減少便益
残存価値 総便益 費用便益比
(B/C)1,254億円 70億円 3.8億円 2.5億円 1,330億円
費用(C)
事業費 維持管理費 総費用1.4
904億円 19億円 924億円
東京
神奈川
千葉
川崎
有明の丘地区
東扇島地区
海上輸送支援物資
写真提供:神戸市
被災地への支援首都直下型地震今後30年以内に70%の確率で発生
:基幹的広域防災拠点:耐震岸壁
3.事業の評価
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東扇島には基幹的広域防災拠点が整備され、発災時には被災地に大量の物資(飲料、食料品、日用品)を輸送する必要がある。
現在、東扇島と内陸部の接続は「川崎港海底トンネル」が唯一のルートであり、発災時に海底トンネルが不通になると、被災地に向けた緊急物資輸送に支障が生じることが懸念される。
東扇島水江町線の整備により、東扇島と川崎市内陸部を結ぶ橋梁による緊急物資輸送ルートが構築され、首都圏の防災機能の強化が図られるとともに発災時の帰宅困難者支援にもつながる。
平常時の利用
発災時の利用
人工海浜を活用した海自LCACによる輸送(訓練)
市民憩いの場として定着
(3) 事業の投資効果(費用便益分析以外)1)緊急物資輸送ルートの強化
事業箇所
川崎港
川崎市
避難所
避難所
海上輸送支援物資
耐震岸壁
基幹的広域防災拠点
耐震岸壁
避難所
基幹的広域防災拠点からの支援
出典:H28経済センサス
川崎市人口:約150万人(H30.6)東扇島従業者数:11,153人
基幹的広域防災拠点の利用
2)通勤利便性の向上 東扇島には1万人以上の従業者が通勤しており、川崎市内や周辺市区からの自家用車や川崎駅・横浜駅からの路線バスが主な通勤手段となっている。
現状では、東扇島と内陸部の接続は「川崎港海底トンネル」が唯一のルートであり、交通集中による速度低下や時間信頼性の低下によって通勤利便性が大きく低下している。
東扇島水江町線の整備により、通勤ルートが分散することで周辺の渋滞が緩和し、所要時間の短縮や時間信頼性の向上など、通勤利便性の向上が図られる。
■東扇島の従業者の声■整備による川崎駅⇒東扇島の所要時間短縮
川崎駅
塩浜
浮島町
千鳥町
132
扇町
東扇島
川崎港海底トンネル
東扇島水江町線
川崎港海底トンネルルート
東扇島水江町線ルート
かわさきファズ物流センター
水江町
※所要時間:将来交通量推計結果より算出
〇従業員・来客の交通利便性が悪い。
〇従業員を確保し辛く,人件費等コストが上昇する。
0 10 20 30
川崎港海底トンネルルート整備なし
整備あり
川崎港海底トンネルルート
東扇島水江町線ルート
28分
26分
18分
2分短縮
10分短縮
所要時間(分)
4.コスト縮減等(1)コスト縮減の取り組み
写真② 固化剤を添加して中詰材として利用
写真① 掘削状況
・ニューマチックケーソン基礎部の掘削土(約12,000㎥)を橋脚基礎の中詰材として利用し、運搬費・処分費のコスト縮減を図った。
掘削土の橋脚基礎の中詰材への活用 (△約3億円) 橋梁付属物(ケーブル制振装置、点検設備等見直し)及び主塔基部根巻き部取りやめ (△約2億円)
・構造の合理化検討を行い、橋梁付属物の見直しや主塔基部根巻き部を取りやめ、コスト縮減を図った。
19
当初
変更
5.関連自治体等の意見
20
<川崎市長からの意見>
臨港道路東扇島水江町線は、臨海部ネットワークの充実による物流機能強化及び市街地と基幹的
広域防災拠点とを結ぶ緊急物資輸送道路のリダンダンシー確保等を目的とする重要な社会資本とな
るものです。
一方で、事業費の増額については本市にとっても重い負担と受け止めており、徹底したコスト縮減に
よる総事業費の圧縮とともに、確実に予算を確保・執行し、事業期間内に完成させるよう整備を推進さ
れたい。また、事業の実施に当たっては、東扇島地区等の現状を踏まえ、周辺環境に配慮して工事を
実施されたい。
なお、今後も事業の進捗状況等について、適宜、本市と情報共有を図るとともに、事業内容に重大
な変更等が生じる場合には、十分な時間的猶予をもって調整を図られたい。
(1)川崎市からの意見
6.今後の対応方針(原案)(1)事業の必要性等に関する視点
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東扇島地区は我が国の基幹産業である自動車の輸出拠点であり、高機能な物流施設、冷凍・冷蔵倉庫を中心と
した倉庫群の立地も進んでいるが、東扇島地区と内陸部を結ぶルートは現在川崎港海底トンネルしか無く、増加
する貨物流動等への対応が必要である。
さらに、切迫する首都直下地震等への備えとして、発災時には緊急物資輸送等の中継基地の役割を担う東扇島
地区と人口が集中する内陸部とのアクセスルートの多重化が必要である。
費用便益比(B/C)は1.4
東扇島アプローチ部においては、下部工事、上部工事に着手。
水江町アプローチ部においては、詳細設計及び関係者調整中。
主橋梁部においては、下部工事を実施中、上部工事については発注にむけた図書作成中。
着実な工事進捗に努め、早期の完成供用を目指す。
(2)事業進捗の見込みの視点
(3)コスト縮減や代替案立案等の可能性
掘削土の再利用等コスト縮減を実施しているが、今後もコスト縮減について検討していく。
(4)対応方針(原案)
当該事業は、増加する貨物流動等への対応及び発災時の緊急物資輸送等のアクセスルートの多重化の観点か
ら事業の必要性・重要性が高く、引き続き事業を継続することが妥当と考えます。