第55回（社）日本透析医学会学術集会・総会ランチョンセミナー［LS20］

EVAL膜透析器の臨床的意義

6月19日（土） 11:45～12:45

第3会場 神戸ポートピアホテル南館1階大輪田B

内藤 秀宗 先生内藤医学研究所

「エバール膜の特性と臨床効果」水口 潤 先生川島病院

「高齢者の透析のコツ」政金 生人 先生矢吹嶋クリニック

司　会

共　催

演 題1

演 題2

日　時

会　場

第55回（社）日本透析医学会学術集会・総会／旭化成クラレメディカル株式会社

※入場には整理券が必要です。配布場所：神戸国際展示場1号館１階奥（ポスター会場奥）配布日時：6月19日（土）　8:00～11:00（なくなり次第終了）

LS20 表面

第55回（社）日本透析医学会学術集会・総会 ランチョンセミナー［LS20］

EVAL膜透析器の臨床的意義

「エバール膜の特性と臨床効果」川島病院　水口 潤 先生

「高齢者の透析のコツ」矢吹嶋クリニック　政金 生人 先生

EVAL膜ダイアライザは、1978年の臨床使用開始以来、親水性合成高分子膜として抗血栓性をはじめとする優れた血液適合性と中大分子量物質まで除去可能な除去特性により、血液透析療法において重要な一役を担っている。本セミナーでは、臨床使用開始から30年以上経過したEVAL膜ダイアライザの過去、最近の臨床効果報告について概説する。1980年代のHPM黎明期から、EVAL膜ダイアライザは出血リスクを伴う透析患者に対する無抗凝固剤透析が数多く報告された。また、低分子量タンパクまで除去可能な膜として、骨痛、掻痒症、貧血、末梢神経障害等、様々な臨床症状改善効果が報告された。演者も、EVAL膜ダイアライザを使用したHDFを行い、分子量24,000の補体factor Dの除去によりアナフィラトキシンC3aの産生を抑制できることを報告した。最近でも、血小板を介する好中球からの活性酸素放出が少ないこと、凝固因子への刺激が少なくサイトカイン産生が少ないこと、皮膚微小循環維持に優れること、透析中の血圧変動が少なく処置回数の減少が図れること、透析中のアミノ酸損失が少なく栄養状態の改善が期待できることなどが、報告されている。ますます患者の高齢化が予想され、対処困難な患者が増加すると思われるわが国の透析療法に対し、今後ともEVAL膜ダイアライザの果たす役割は大きいものと期待される。

高齢者の透析治療とわざわざ断るまでもなく、平均導入年齢が70歳にならんとする透析医療はイコール高齢者医療である。つまり高齢者透析のコツは実は透析医療のコツに他ならない。高齢患者は食欲低下や転倒などのエピソードであっという間にADLが低下し、肺炎など生命を脅かす合併症を起こす。高齢者透析は透析治療の良否が生存率という確かな尺度で評価されるこわい領域である。高齢者に限らず透析治療で最も重要視しなければならないのは、透析治療そのものが苦痛でないかどうか、日常生活活動度を落としていないか、筋肉量が維持されているかどうかということである。その条件をクリアした上で、十分な透析量が維持できているかどうかということが大切である。わが国の統計では高齢透析患者は「高齢だからこの程度でいいか」と何となく透析量を減らされている状況が透見される。ポリスルフォンをはじめとした高透過型のダイアライザが平均血流量170mL/minで使われ、平均Kt/Vは1.3と低い。これは意図的なのか、この程度の透析しか使用できないのかどちらなのだろう。我々の施設では全例エバール膜で透析治療を開始する。それはエバール膜が高すぎない小分子クリアランスと低分子量蛋白除去のバランスがよく、生体適合性に優れた膜であるからである。この治療コンセプトは高齢透析患者の生存率を改善させるであろう。高齢者の透析を快適に、栄養状態を良好に維持できるのはエバール膜である。

演 題2

演 題1

LS20 裏面