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キリン Giraffa camelopardalis キツネ Vulpes vulpes シマウマ Equus quagga キジ Phasianus versicolor アナグマ Meles meles シカ Cervus nippon カルガモ Anas poecilorhyncha ツキノワグマ Ursus thibetanus リス Sciurus vulgaris イノシシ Sus scrofa アジアゾウ Elephas maximus チンパンジー Pan troglodytes カモシカ Capricornis crispus 北20条東門 環状門 環状通エルムトンネル 動物医療 センター 獣医学部 人獣共通感染症 リサーチセンター 新川IC ←小樽方面へ 旭川・新千歳方面へ→ 新千歳空港方面へ→ 北24条駅 北18条駅 北12条駅 北海道大学 JR札幌駅 大通駅 さっぽろ駅 環状門 札幌北IC 札樽自動車道 ←小樽方面へ 獣医学部 5 西北18条 School of Veterinary Medicine, Hokkaido University 北海道大学獣医学部 〒060-0818 札幌市北区北18条西9丁目 TEL:(011)706-5175 FAX:(011)706-5190 http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/ 交通案内 JR18 4065065JR北海道 快速エアポート タクシー タクシー 徒歩 新千歳空港連絡バス 6(麻生方面) 市営地下鉄 南北線 15北18条駅から北海道大学獣医学部ま で、地下鉄南北線「北18条駅」を出て、西 5丁目樽川通り(エルムトンネル)方面へ 光れる北を School of Veterinary Medicine, Hokkaido University 北海道大学獣医学部 学部案内 2017

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Page 1: IC Phasianus versicolor Anas poecilorhyncha...Ursus thibetanus リス Sciurus vulgaris イノシシ Sus scrofa アジアゾウ Elephas maximus チンパンジー Pan troglodytes カモシカ

キリンGiraffa camelopardalis

キツネVulpes vulpes

シマウマEquus quagga

キジPhasianus versicolor

アナグマMeles meles

シカCervus nippon

カルガモAnas poecilorhyncha

ツキノワグマUrsus thibetanus

リスSciurus vulgaris

イノシシSus scrofa

アジアゾウElephas maximus

チンパンジーPan troglodytes

カモシカCapricornis crispus

北20条東門

環状門環状通エルムトンネル

動物医療センター

獣医学部

人獣共通感染症リサーチセンター

地下鉄南北線

新川IC

←小樽方面へ

旭川・新千歳方面へ→

新千歳空港方面へ→

北24条駅

北18条駅

北12条駅北海道大学

JR札幌駅

大通駅

さっぽろ駅

環状門

地下鉄南北線

札幌北IC札樽自動車道

←小樽方面へ

獣医学部5

麻生

西5丁目通り

北18条

School of Veterinary Medicine, Hokkaido University北海道大学獣医学部

〒060-0818 札幌市北区北18条西9丁目TEL:(011)706-5175 FAX:(011)706-5190http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/

交通案内

新千歳空港

JR札幌駅・地下鉄さっぽろ駅

北18条駅

北海道大学獣医学部

約40分約6分

約50分

約65分

JR北海道 快速エアポート

タクシー

タクシー

徒歩新千歳空港連絡バス

約6分(麻生方面)

市営地下鉄南北線

約15分

北18条駅から北海道大学獣医学部まで、地下鉄南北線「北18条駅」を出て、西5丁目樽川通り(エルムトンネル)方面へ

光れる北をS c h o o l o f V e t e r i n a r y M e d i c i n e , H o k k a i d o U n i v e r s i t y

北海道大学獣医学部 学部案内 2017

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 この百年、人間は「科学」こそ新しい時代を切り拓く「錬金術」と信じ込んで一生懸命働いてきました。このことで目をみはるような世界が開けたのは事実です。でも、破壊された自然を眺めると、これまでの「科学」がもたらした贈り物は宇宙規模の「土木工事」を超えるものではなかったのかもしれません。 地球大変革の時代です。土木工事の次を目指さなくてはなりません。大学も変わってきました。髭をたくわえた孤独なプロフェッサーが漱石や鴎外になったつもりで問答無用の講義だけしていれば・・・・・・という時代は終わりました。今、大学は「劇場」です。「役者」や「観客」、「野次馬」、「外野」、諸々の熱い思いの「裏方」さんたちの創るドラマの「舞台」(ステージ)です。 20世紀には実現できなかった事も、君なら演じられるかもしれません。「北大獣医学部劇場」をまず観てください。何か夢中になることを発見するでしょう。21世紀のドラマを演出する君にこの道しるべ、「光れる北を」を贈ります。

 北海道大学(北大)における獣医学教育の歴史をたどりますと、札幌農学校の設立当初にまでさかのぼることができます。札幌農学校では、学生たちに教養科目、農学諸科目とともに獣医学を教育することが決まっていました。札幌農学校での本格的な獣医学の専門教育はカッター博士によって始められました。カッター博士は1878(明治11)年に来日され、1880(明治13)年から獣医学の専門教育を開始されました。なお、ハーバード大学医学部を卒業された同博士は医学、水産学をも講じる一方、英語、英文学も担当するという多彩な才能の持ち主でありました。1910(明治43)年に獣医学講座が開設され、1913(大正2)年には獣医学部の前身、畜産学科第二部が設置されました。 この年、後にウサギの耳に世界初の人工がんを作ることになる市川厚一博士が卒業しています。1949(昭和24)年に農学部獣医学科となり、平戸勝七教授の尽力で、1952(昭和27)年には獣医学部として農学部より独立しました。当時の他の国立大学では、農学部獣医学科で獣医学教育が行われており、北大獣医学部は国立大学唯一の獣医学部でした。学部設立当初から、米国型の臨床のみに重きをおいた教育方針は採ら

ず、わが国の実情に応じた教育体制として、動物生命科学全般にわたる基礎研究の講座をも併設し、高度の教育・研究レベルを維持してきました。北大獣医学部のこうした教育研究理念がわが国の獣医学全般に与えた影響は少なくありません。1995

(平成7)年に大学院重点化による改組を実施、2005(平成17)年に人獣共通感染症リサーチセンターを新設、2013(平成25)年に動物病院(動物医療センター)を新築するなど、本学は教育、研究、社会貢献および国際連携にわたって均衡の取れた、力強い発展を遂げつつあります。時代や社会の要請に応じて、必要とされる研究と人材育成を推進する教育組織を柔軟かつ機動的に構築することを目的とし、2017(平成29)年4月、学院・研究院へと改組して、教員が所属する研究組織である「獣医学研究院」、大学院教育組織である「獣医学院」および「国際感染症学院」として新たなスタートを切りました。

 動物病院は1912(明治45) 年に家畜病院として開設され、わが国における酪農畜産や家畜診療の指導的役割を果たしてきました。1964(昭和39)年、当時としては東洋一の家畜病院として現在地に新築されましたが、その後老朽化が進み1994(平成6)年に大改修が行われました。2002(平成14)年、獣医学部附属施設から大学院獣医学研究科附属施設となり、2006(平成18)年には家畜病院から動物病院という名称に変更されました。さらに2013

(平成25)年には旧動物病院より、新動物医療センターに移転いたしました。動物医療センターは、12の診察室、カウンセリングルーム、5つの手術室、歯科治療室、3つの超音波検査室、2つのX線検査室、CT検査室、MRI検査室、低エネルギー放射線治療室、高エネルギー放射線治療室、化学療法室、内視鏡検査室、集中治療室(ICU)などが完備され、地域の中核病院としてのニーズに応えられるよう整備されております。伴侶動物としての犬や猫が長寿になってきているのを反映して、老齢性疾患(慢性心疾患、消化器疾患、腫瘍、内分泌性疾患、慢性皮膚疾患など)の診療が多く、高度な外科的処置が必要とされる疾患も増えてきており、地域における二次診療施設としての役割を担っています。また、教育病院として学生の臨床教育ばかりでなく、臨床獣医師および海外からの研修獣医師の卒後教育の場としても活用されています。さらに、高次画像診断法、疾患遺伝子の遺伝子解析およびその検出法などの診断技術の開発、疾患の発症機序の解明とそれに基づく新規治療法の開発、動物に負担の少ない抗腫瘍療法、疾病発生予防のための対策確立とその指導など、多方面からの臨床獣医学的研究にも活用されています。

動物病院の沿革・概要主な施設

光れる北を

解剖学教室、生理学教室、薬理学教室、微生物学教室、感染症学教室、寄生虫学教室、獣医外科学教室、比較病理学教室、動物分子医学教室、公衆衛生学教室があり、講義室や実習室もあります。また、学生生活では何かとお世話になる図書室や事務室もここにあります。

講義室・講堂の他、標本展示室にはタール癌の標本も展示されています。

本館

講義棟

獣医学研究院・獣医学部の歴史

動物を愛するとともに、動物を科学的視点から客観的に観察することのできる学生

生命現象に対して、畏敬の気持ちと科学的な探究心をもつ学生

獣医学を通じて社会的、国際的に貢献したいと考える学生

カッター博士

求める学生像0201

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2017年度 獣医学部6年 齊藤 愛奈

 動物の命を助けたいという思いで獣医を志し、この北海道大学に入学しました。学生のうちから、日本でも有数の最先端の獣医療を学ぶことができます。難しい病気も多く、わからないこともいっぱいあります。しかし、動物が元気になると、学生である自分たちもとても嬉しく感じます。 勉強だけでなく、北海道という広大な大地は、遊ぶのにはもってこいの環境です。1年中いつでも遊ぶ場所には困りません。 みなさんもこの素晴らしい環境で、動物のお医者さんを目指してみませんか?

在 学 生 の 声

2017年度 獣医学部6年 加藤 大

学修の流れ

導入教育として「獣医学概論」、「札幌基礎獣医学演習」が北海道大学で開講されます。それと共に、共同獣医学課程の「専門教育」が本格的に始まります。専門科目では、獣医学の基礎・病態・応用・臨床に関する知識を習得することを目的としていますが、この時期には動物体内の仕組み、反応や病気の基礎を学ぶため、解剖学・生理学・生化学・薬理学・遺伝学・免疫学・放射線生物学・微生物学・実験動物学などの講義や実習を履修します。

総合教育部で学びます。一般教養教育として、様々な講義が文系・理系を問わず開講されています。これらの講義に積極的に参加して教養を身につけます。また、夏休みには獣医学導入教育として「農畜産演習」、「帯広基礎獣医学演習」が帯広畜産大学で開講されます。

ウイルス学・細菌学・原虫病学・寄生虫学・寄生虫病学・伝染病学・病理学・野生動物学などの講義や実習を通して、動物の病気の原因となる因子やその解析手法の基礎について学びます。

食品栄養学、草地飼料学、家畜管理学などの畜産領域の授業に加え、公衆衛生学・毒性学などの環境科学や食品衛生、疫学、人獣共通感染症に関する講義・実習が行われます。さらに、外科学・内科学・繁殖学といった臨床獣医学に関する科目が加わります。

臨床獣医学に関連の講義と実習に加えて、動物福祉や獣医倫理・法規といった獣医師としての導入教育が開講されます。5年生から動物病院における診療に立ち会い、獣医療の実際を体験する参加型臨床実習が始まりますが、その前に全国共通の獣医学共用試験を受験します。また、いずれかの教室に所属し、卒業後の職域や興味をひく研究分野を考慮し、アドバンスト科目を受講します。さらには、課題研究の合間に大学院博士課程の入試対策や就職活動など、将来の獣医師および獣医学研究者としての責任を身につけていきます。6年生の11月中旬までに自らの課題研究を論文としてまとめ、発表を行います。その後、獣医師国家試験が例年2月中旬に実施され、3月中旬に合格発表があります。

●解剖●生理●生化●薬理●病理●微生物●伝染病●寄生虫 など

教養教育

生きる基礎、学ぶ基礎獣医としての基礎

獣医学斉一教育 獣医学周辺教育の充実 高度職業人専門家育成

獣医学コアカリキュラム 特長部分

北海道大学・帯広畜産大学 共同獣医学課程 平成24年度入学者から、北海道大学・帯広畜産大学共同獣医学課程が実施されています。 北海道大学大学院獣医学研究院・獣医学部は小動物臨床やライフサイエンス研究、生態系保全や人獣共通感染症を重点に、また帯広畜産大学は産業動物診療、生産獣医療や獣医公衆衛生学教育を重点に教育研究を行ってきました。 獣医学は様々な社会的要請、例えば食の安全・安心の確保、動物由来感染症の拡大防止、飼育動物の疾病の多様化や診断・予防・治療技術の高度化、動物愛護や野生動物保護管理などに対応しなければなりません。 両大学は、国際的水準の獣医学教育を実践するため、

共同獣医学課程を編成し、北海道というフィールドを生かした実践的かつ先進的な獣医学教育を行っています。 このため、いくつかの講義科目は北海道大学の先生が帯広畜産大学で教えたり、帯広畜産大学の先生が北海道大学で教えたりします。学生が移動する演習や実習もあります。また、ITを用いた双方向遠隔授業も行います。 なお入学試験は両大学が個別に行い、学生定員は各々40名です。 北海道大学における入学試験の詳細はホームページ

(http://www.hokudai.ac.jp/bureau/nyu/)をご覧ください。

基盤的獣医学

●基礎獣医学演習●農畜産演習●獣医学概論獣医学導入教育

●生物学●化学●物理学●自然科学実験●英語●統計学 など

一般教養(全学教育科目)

①基礎 ②病態 ③応用 ④公衆衛生 ⑤臨床

アドバンスト教育

公衆衛生

●栄養学●飼養学●経済学 など周辺領域

●食品衛生 ●動物衛生●環境衛生 ●人獣共通感染症 など 食肉衛生学実習

臨床獣医学 ●外科●内科●放射線・画像●繁殖 など ポリクリ

獣医師としての導入教育 ●倫理●福祉●法規●コミュニケーション論 など

獣医師国家試験

課題研究論文の提出・発表

 学

北海道大学・帯広畜産大学共同獣医学課程卒業

1年次 2 年次 3 年次 4 年次 5 年次 6 年次

 「獣医学部って、イヌやネコの病気のことを勉強する学部?」と聞かれることがよくあります。もちろん小動物の病気のことも勉強しますが、ウマやウシの体の構造、細胞の働き、免疫反応、魚(!)の病気、果ては動物が食べる飼料のことまで、獣医学部での科目は多岐にわたります。私は、ウシやブタに感染するウイルスについて研究しています。座学だけではなく、北大農場での実習や、十勝への宿泊研修もあります!北海道の大自然を感じながら、刺激的な6年間を過ごしてみませんか?

大学院への進学

就職

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学 部 卒 業 生 の 声

大学院への進学

 本大学院では、動物とヒトの健康と健全な生活環境の維持、生態系の保全、ならびに生命科学に関する教育研究を行うことにより、獣医療と動物医科学に関する広い視野、柔軟な発想力および総合的な判断力を養い、もってわが国のみならず世界の獣医科学の発展に寄与できる実践的な能力と指導力を備えた人材の育成に努めています。

 平成29年度より獣医学院と国際感染症学院を設置し、博士課程教育リーディングプログラム「One Healthに貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」の基、国際性を身につけた獣医科学の専門家(博士)を育てることを目標としています。

卒業後の進路の特徴

北大・獣医学博士課程修了者

北大・獣医学部卒業者

全国・獣医系大学卒業者

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

教育・研究

基礎生物学、バイオテクノロジー関連科学から応用獣医学まで広い専門分野にわたります。

●国立私立の大学および研究所

動物園、水族館で様々な野生動物の健康管理や繁殖をしています。

●動物園動物の診療●希少動物の人工繁殖●野生動物の保護

動物愛護ヒトと動物が生き生きと共存できる社会を目指します。盲導犬、聴導犬の訓練などにも協力しています。

●動物愛護思想の啓蒙、普及 ●コンパニオンアニマル飼育相談●社会福祉活動

畜産水産分野伝染病を防ぎ、畜産の振興と畜産物の安全を供給します。

●家畜伝染性疾病の防疫(国内防疫、動物検疫)●家畜の改良、増殖(人工受精、受精卵移植等)●家畜疾病に関する試験、研究●魚病対策(水産分野との連携、協力)

海外協力アジア、アフリカなどの途上国へ専門家や青年海外協力隊員として派遣され、技術協力をしています。地球規模での活動です。

●海外技術協力、交流

医薬品開発新しい医薬品の開発には動物実験が必要です。それを動物福祉の点からも適正な方法で行います。

●動物用、人体用医薬品の開発、検定、 安全性の確保●薬事監査(畜産物の安全性の確保など)●医学における実験動物管理

■国家公務員■地方公務員■独立行政法人職員■会社■農業関係団体■個人診療施設■研究機関■進学(海外を含む)■海外(国際機関、研究機関等)■その他

※データは2010~2012年の 累計です。

卒業後の進路

公衆衛生

私たちが口にする食品は、すべて獣医師などが検査したものです。人の健康に密接に関わる仕事をしています。

●食肉検査(食肉等の安全性の確保)●狂犬病予防(人獣共通感染症の予防)●食品衛生監視、指導(食品の安全性の確保)●環境衛生監視、指導(生活環境の保全)●人獣共通感染症に関する試験、研究

臨床獣医師

大動物臨床:畜産農家のいわば専門医です。経済動物の診療には的確な判断が求められます。

●牛、馬、豚等の診療●畜産農家の指導(飼育管理、経営指導等)

小動物臨床:家族の一員として愛され、人の心の支えとなる伴侶動物のお医者さんです。物言えぬ動物の診療は、苦労も多いがやりがいもあります。

●犬、猫、小鳥、エキゾチックアニマルの診療

博士課程教育リーディングプログラム

研究者をめざすあなたへ

 博士課程教育リーディングプログラムは、文部科学省が平成23年度に開始した、大学院教育改革を目的としたプログラムです。 博士課程教育リーディングプログラムでは、「One World ‒ One Health」(ひとつの世界、ひとつの健康)の実現に向けて、人類と動物を含む生態系の健全性を維持するため、獣医学の分野における高い専門性を有し、かつ総合力と俯瞰性を備えたグローバルリーダーとなる人材を育成します。 「One World ‒ One Health」とは、地球上の健全な生態の維持は、ヒトと動物両者の健康が相まってはじめて達成され、そのためには分野を越えた取り組みが必要、という概念です。そのため、ヒトと動物の健康維持および生態系の保全を担う獣医科学の貢献が世界的に求められています。この要請に応えるため、博士課程教育リーディングプログラム「One Healthに貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」では、グローバルな舞台で、人獣共通感染症、ケミカルハザード対策など獣医科学の貢献が求められているOne Healthの実現のためにリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指します。

獣医師/博士(獣医学)のさまざまな活躍分野

獣医師/博士(獣医学)の活躍分野は多岐にわたります。

木曽 哲男

 臨床獣医学の分野は日々進歩してお

り、高度な診断治療も要求されるため、毎

日が勉強です。でも動物の命を救う達成感と、飼い主の笑顔という見

返りがあるので、決して苦にはなりません。もちろん動物を助けること

ができず、自分の無能さを知ることもあり、また動物自身から教えられ

ることもたくさんあります。私にとって動物たちが先生であり、一つでも

多くの命を救うのが私の使命だと考えています。

 製薬会社の薬理研究所において創薬

研究に携わっています。病気に対する効

果的アプローチを考え、臨床での有効予測性の高い病態モデルを構

築し、新規化合物の薬効を評価しています。他研究所とも連携を取

り、薬効のみならず安全性、薬物動態にも優れた開発候補品の創出

が目標です。獣医学の知識が存分に生かせる仕事です。

沢田 保北の森どうぶつ病院(生理学教室出身)

アステラス製薬(株)(薬理学教室出身)

野生動物関係分野0605

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分野・教室

0807

基礎獣医科学分野

薬のダイナミズムから生体機能の解明を目指す!

 「薬が効く」のは、体内に薬が作用する標的分子が存在するからです。そのため、「薬が効く」ことを利用して標的分子の機能を知ることができます。薬理学は、薬の作用とそのメカニズムを調べる学問であり、また薬を使って生命現象を解き明かす学問でもあります。私たちの研究室では、生体内の情報を伝えている伝達物質の作用に着目して、痛みや酸素分圧変化、様々な化学物質など外界の刺激を感知する受容細胞の情報伝達機構などを調べています。ここで明らかにされる新たな発見は、様々な病気に対する新薬開発の礎となる可能性を秘めています。

薬理学教室 私たちは、診療の中に研究テーマを求めます獣医内科学教室

 獣医内科学教室の目標は、病気の動物を診察してその原因を明らかにするとともに、適切な診断ならびに治療法を確立することです。このために私たちの教室では、本学附属動物医療センターに来院する病気の動物たちの診療を行う一方で、『診断精度の向上』、『病態解明』、『新規治療法の確立』をキーワードに炎症性疾患や免疫介在性疾患、血液疾患など様 な々病気の研究を行っています。 私たちはなぜかにこだわる姿勢を大切に真摯に動物と向き合い、臨床をベースにした研究を展開することで、得られた研究成果を臨床現場にフィードバックさせる"臨床と研究のクロストーク"を目指して日夜研鑽に励んでいます。

マウス・ラットのゲノム解析から生命原理を学ぶ実験動物学教室

 実験動物学とは実験に使用される動物に関する総合科学で、対象となる動物種はマウス・ラット等のげっ歯類の他、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サルなど殆ど全てのほ乳類であり、これら動物の解剖学、生理学、遺伝学、育種学、繁殖学、疾病学などを扱います。即ちミニ獣医学と言っても過言ではありません。実験動物学教室ではこのように守備範囲の広い実験動物学の中から実験に用いられるマウスやラットのゲノム解析や感染症の研究と、研究科で飼育されている全ての実験動物の福祉を向上させる活動を行っています。

臨床獣医科学分野

解剖学教室 見るから診るへ -分子形態学からみる100年後の未来-

 解剖学教室は「動物の細胞や臓器の形と機能」に関する授業科目を提供します。これらを基礎とする分子形態学的なアプローチによって、動物の体でみられる細胞のダイナミックな形態の変化を機能および遺伝子発現と共に研究しています。特に胎生期の臓器形成過程、非再生性臓器(神経、心臓、腎臓)、および配偶子(精子、卵)の異常は次世代の動物たちに確実な危機をもたらします。私たちはこれら異常の根幹として「自己免疫の破綻」に着目し、モデル動物の開発や原因遺伝子の特定を行い、診療に有用な分子ならびに方法論を模索しています。

 獣医学部は、基礎獣医科学分野、応用獣医科学分野、環境獣医科学分野、臨床獣医科学分野、病原制御学分野、衛生学分野の6分野、計19の教室により構成されています。学部生は4年次において配属先となる教室を選び、5~6年次にかけて卒業研究を遂行します。 各教室で行われている研究内容を簡単に紹介します。

喰う、寝る、太る!?の生化学

 複雑で多様な生命活動も、突き詰めるとDNAやタンパク質などの生体高分子の構造と相互作用によって支えられています。生化学はそれら分子の構造や働きを解明して神秘的ですらある生命現象を分子レベルで明らかにしようとする学問です。私たちは動物が生きていく上で必要不可欠な摂食行動やエネルギー代謝、睡眠とリズムがどのように調節されているのかという疑問、そしてその異常がもたらす様々な問題(肥満、糖尿病、泌乳障害、睡眠障害)について、分子からまるごとの動物を対象として研究を進めています。

生化学教室

ミクロからマクロへ -命のしくみを解き明かす-

 生理学は、命の仕組みを研究する学問で、生物が備えている生きるために必要な機能の理解をめざしています。現在のテーマは、細胞内情報伝達系や嗅覚・視覚の生理学で、細胞内のCa2+濃度や一酸化窒素の変化を可視化する顕微画像解析法やデジタルカメラを用いて研究を進めています。命のしくみの全体像を知るためには、細胞から個体まで、つまりミクロからマクロまでの幅広い視野と知識が必要です。日常の研究では、当面の研究課題に没頭して広い視野を忘れがちになりますが、そうならぬよう気をつけながら研究を進めています。

生理学教室

放射線学教室

毒性学教室

野生動物学教室

見えない放射線を科学する

化学物質汚染に弱い動物たちを明らかにするために

私たちは、野生動物医学のプロフェッショナルをめざします

 現在、伴侶動物の高齢化が進み、がんに罹患する動物が増加しています。その治療法の一つである放射線療法は放射線の持つ殺細胞効果/細胞増殖抑制効果を利用する方法です。外科手術に比べ全身への負担が小さいことや手術できない部位のがんも治療できることなどの長所がある一方、しばしば放射線に対して抵抗性を示したり、がん周囲の正常部位がダメージを受けてしまうことなどの短所もあります。私たちの研究室では、『より効果的ながん放射線治療』を目指して、様々な手法を用いてがんと放射線の関係についての研究を行っています。

 地球上には数千万種を超える化学物質が存在していますが、過剰な化学物質の摂取は生体にとって有害な影響を引き起こします。一方で、私たちを含めた生物は、これらの化学物質を速やかに体外に排泄する仕組みを有しています。毒性学教室では、生物が持つ「化学物質から自分を守る仕組み」を解明し、化学物質汚染に弱い動物たちを明らかにすることを研究目標としています。時には実験室に籠もり、ある時には広大なアフリカの大地に生息する希少な野生動物の調査に繰り出し、現地で実際に起きていることとその原因を解明することで、目標の達成を目指しています。

 生物多様性の保全を最終目標として、野生動物の保全と管理に貢献するための野生動物医学/保全医学教育研究を実践します。主に、クマ、シカ、アザラシといった大型哺乳類を対象にして、その生理・生態を明らかにするとともに、保全や管理への応用を心がけています。また、野生動物が介在する感染症の実態を明らかにするとともに、人、家畜および野生動物の間で起こる感染ルートや感染様式を解明します。さらに、アライグマをはじめとする外来生物が引き起こしている問題、特に在来生物や人への影響について研究を行っています。

北海道大学大学院獣医学研究院

獣医学部6分野/全19教室

臨床獣医科学分野

病原制御学分野

基礎獣医科学分野

衛生学分野

応用獣医科学分野

環境獣医科学分野

応用獣医科学分野

環境獣医科学分野

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獣医外科学教室 世界をリードする治療技術を目指して

比較病理学教室 どういう病気?なぜ病気になるの?

繁殖学教室

動物分子医学教室

生殖の不思議の解明とフィールドへの応用

生きるも死ぬも膜次第:赤血球、膜蛋白質、遺伝子の生理と病態

先端獣医療学教室 新たなアプローチで臨床獣医学の発展を切り拓く

公衆衛生学教室

獣医衛生学教室

1009

 先端獣医療学教室は動物病院専任教員が兼担している、最も臨床現場に近い研究室の一つです。私たちの目的は「獣医療の発展」であり、これを通じて社会貢献や動物福祉の一端を担うべく、日々の診療、教育、研究に取り組んでいます。本教室の特長は内科外科の垣根を越えて、その双方がコラボレーションして今までにない新しいアプローチを実現することが可能となったことです。現在取り組んでいる研究課題は、循環器および腫瘍性疾患など軟部組織病変の画像診断の向上と分子生物学的手法を用いた診断および治療法の開発です。

 当教室の研究は二つに大別されます。一つは、どういう病気か?を明らかにすることです。家庭や牧場や動物園などで発生した動物の病気を診断し、病気の原因を明らかにし、治療や予防に役立てます。二つめは、なぜ病気になるのか?を明らかにすることです。対象とする研究テーマは感染症や腫瘍など多岐にわたります。 図は培養神経細胞を用いたインフルエンザウイルスの感染実験で、ウイルスに感染した神経細胞が黄色で示されています。

 当教室では家畜胚の体外生産(原始卵胞の培養、体外受精など)や保存(凍結、ガラス化など)、凍結精子の受精能評価など、発生工学に関わる技術の向上や繁殖生理学的研究を行っています。また、野生動物の保護管理のため、これらの繁殖生理学的特徴の解明や人工繁殖技術の適用に関する研究にも取り組んでおり、畜産の発展と自然環境の保全に深く関わっています。研究以外では研究農場での乳牛の繁殖管理(人工授精、分娩介助など)や附属動物医療センターでの牛の胚回収や胚移植を担当し、大動物に直接触れる機会の多い教室です。

 赤血球の膜は赤血球の生と死に深く関わり、単純な構造であるが故に全ての細胞膜の構造と機能を知る大きな手がかりとなります。赤血球膜を構成する膜蛋白質がどのような仕組みで正常に作られ、どのように相互作用し機能して、どのように赤血球の生と死に関わるのか?私たちの目的は、遺伝性疾患の病態をヒントに、遺伝子、蛋白質、細胞、それぞれのレベルでこれらの謎を解き明かして新しい分子理論を作り上げ、生命の基本単位である細胞の基礎構造である生体膜の構造、機能、機能的構築の理解につなぐことです。

 当研究室では、獣医外科学に関する学生教育・研究活動を行っています。また、動物医療センターでは整形外科、軟部外科および腫瘍科を担当し、非常に臨床アクティビティーの高い研究室です。当研究室では毎週1回の臨床・研究ゼミおよび症例検討会、月1回の症例カンファレンスなどが行われ、学生は授業を受けるかたわら、動物の診療に積極的に関わっています。一方、研究室内では動物の関節や腫瘍に関する臨床に即した実践的な研究を行っています。このように、多忙ななかでも、夏のキャンプ、冬のスキー旅行など季節感あふれる年中行事も楽しんでいます。

~自然界のウイルス存続の謎を解く~

感染症の克服と未知なるものの探究

 感染症の克服には、病原体の性質、伝播様式および発病機構を理解して、被害を最小限度に留めるための対策の立案、予防・治療法の開発を進める必要があります。当に、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。獣医衛生学教室では、致死性の神経変性疾患であり、人獣共通感染症であるプリオン病の神経変性機構の解明、治療法の開発を進めています。また、食品を介して人に病気を起こす病原体や、対策が進んでいない動物感染症の発生状況の調査、診断法の確立に取り組んでいます。問題の本質を見据え、知的好奇心を原動力とする深化型探究と、社会貢献を目指す応用研究を通じて、深い専門性と広い視野を持つ、次世代を担う人材を育てています。

 近年、世界各地で新興・再興感染症として人獣共通感染症(Zoonosis)が発生しています。これらの流行は森林伐採・農地開墾などの地球環境の変化のため、病原体保有野生動物や媒介節足動物と人の接触の機会が飛躍的に増大したことによると考えられています。  当研究室ではウイルス性人獣共通感染症の制圧を目標として、自然界における生態・伝播経路と病原性の分子基盤の解明、診断・予防・治療法の開発に関する研究を行っています。

分野・教室

病原体に学ぶ ~生命の知恵とサバイバル戦略~感染症学教室

 宿主(ヒトや動物)は病原体の侵入に対して免疫機構により対抗しますが、病原体は免疫回避・攪乱の方法を多く備えています。このような病原体を防除するためには、病原体のサバイバル戦略に加えて、宿主の免疫機構を解明することが重要です。本研究室では各種動物における感染症の病態解明とその制圧を目指して研究を行っています。一例としては、産業動物(牛・鶏など)における難治性疾患と宿主免疫抑制因子との関連を解析し、新規予防法の開発を目指した研究を行っています。

寄生虫学教室 虫と戯れ、その謎に迫ります

 ほかの生き物の体内や体表で栄養を奪って生活している生き物を寄生虫と呼んでいます。すべての動物には寄生虫が住みついていますが、その種類はとても多く、形や生活の仕方はとても不思議です。寄生虫はどのように動物や人に感染するのか?動物の体内で生きられる仕組みは何なのか?なぜ病気を起こすのか?寄生虫自身はどのように進化してきたのか?私たちはこのような寄生虫の謎について研究しています。寄生虫やそれを媒介する昆虫やダニを集めに国内外へ出かけることもあります。じつは、地球は寄生虫ワールドなのです。

動物とヒトを感染症の脅威から守ります

 ヒトと動物の感染症をコントロールするために、病原微生物がどこからやってくるのか、どう受け継がれているのか、感染するとなぜ病気になるのか、さらに感染症の診断、治療と予防法を国内外の機関と連携して研究開発しています。特に、本教室は世界動物衛生機関(OIE)が指定する鳥インフルエンザの研究・診断センター(世界に9カ所)の一つであり、動物とヒトのインフルエンザを克服するための国際共同研究を先導しています。

微生物学教室

病原制御学分野

衛生学分野