ものづくりプロジェクトi(その1) スイッチ入力のための電子回路
TRANSCRIPT
神奈川工科大学 創造工学部
ホームエレクトロニクス開発学科
山崎 洋一
ものづくりプロジェクトI
ものづくりのための電気電子回路入門第1回 スイッチ入力のための電子回路
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
1/26
くらしをかえる
ものづくりを
学ぼう!
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路によるスイッチ検出(ラジカセ)
信号線1本でスイッチ11個を検出
RX-DT75(Panasonic) スイッチ・センサ部
● ラジカセのスイッチとセンサ
● 抵抗分圧回路を利用したスイッチ検出
信号線1本でスイッチ7個を検出
電圧の変化を利用して信号線1本で複数のスイッチ入力を検出 5/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗器( 抵抗器: resistor / 抵抗:resistance )
抵抗の種類
カラーコードの読み方
カーボン抵抗
抵抗器 … 電流の流れを抑制
主な用途
➩ ①電流を調整する
②電圧を分ける
③その他
0 1
2 3
4 5
6 7
8 9
0 1
2 3
4 5
6 7
8 9
x 1 x 10
x 10 2 x 10 3
x 10 4 x 10 5
x 10 6 x 10 7
± 5 % ± 10 %
可変抵抗(半固定)
可変抵抗(ポテンショ)
第1数字 第2数字
誤差精度
桁
第1数字 第2数字 誤差精度桁
2 0 k (×103) Ω ± 5 %
x 10 -1x 10 -2
x 10 8 x 10 9
Point!
6/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
コンデンサ(コンデンサ:capacitor/静電容量:capacitance )
コンデンサ… 電気を貯める
主な用途
➩ ①電圧を安定させる
②ノイズを取り除く
③信号を取り出す
セラミックコンデンサの容量値の読み方
セラミックコンデンサ
電解コンデンサ
コンデンサの種類
数字 桁
pF33 ×104
= μF0.33
電解コンデンサのつなぎ方
帯に記載されている
+ -の記号で判断
Point!
+ +
7/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
LED (Light Emitting Diode)
LED … 電流を流すと光る
主な用途
➩アノード(+)からカソード(ー)に
電流を流すと発光する.抵抗が必要.
LEDのつなげ方
Point!
+ -
アノードanode
カソードcathode
左図の形状が
一般的
テスタを用いた赤色LEDのチェック方法
アノードを-端子(黒)側,
カソードを+端子(赤)側に
接続すると発光する(のが一般的)。
(注)アナログテスタだとこの方法で
発光しますが,小型のデジタルテスタ
だと発光しません。なぜでしょう?)[OSR5JA5E34B]
LEDの例
8/26
+ -
アノードanode
カソードcathode
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
三端子レギュレータ(three-terminal regulator)
三端子レギュレータ
… 電圧を一定値に降下させる
主な用途
➩電源部に用いる.入力電圧(VIN)を
出力電圧(VOUT)まで降下させる.
三端子レギュレータのつなげ方
Point!
[NJM7805FA]
三端子レギュレータの例
NJM78051
2
3
1 2 3
1. IN
2. GND
3. OUT
三端子レギュレータの参考回路
NJM78051
2
3
0.1μF0.33μF
VOUTVIN
9/26
電気が見えますか?
電気のイメージポイント①
回路は水路,電荷は船,電流は電荷の流れ
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
11/26
+ + +
電流=電荷の流れ
回路
[イメージ]
水路
電流=船の流れ
ロボイメージ
Point!
目に見えない電気を理解するにはイメージが大切です。
回路は水路,電荷は+の電荷を持つ船,電流は船の流れと
考えるとイメージしやすいで。
(ホンマは-の電荷を持つ電子が電流と逆方向に流れるんですが,イメージす
るときはおカタいことはいいっこなしや。)
電気のイメージポイント②
電池は電荷をくみ上げるポンプ
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
12/26
- +
起電力 V
低い 高い
+ +
+くみあげた高さ
電圧 V ボルト
=[電池は くみ上げるポンプのイメージ]
電池は電荷をくみ上げる
ポンプをイメージしてく
ださい。電荷をためる池
ではないんやで。
電圧はポンプが電荷をく
み上げた高さのイメージ
やな。
ロボイメージ
Point!
電気のイメージポイント③
コンデンサは電荷の船をためる係留施設
+
+ + - -プラマイゼロ= 電荷がたまっていない
- -+
+ + + - -
+
電荷がたまる
- -+ +
電荷を運ぶ
高い
低い
イメージ
両極板には+と-が同数ある
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
13/26
ロボイメージ
Point!
コンデンサが電荷をためる
プールです。コンデンサに
電池につなげると,電荷が
移動して極板間に電荷がた
まるんや。
電荷が溜まるプール
※本当はマイナスの電荷が移動しているが,この方がイメージしやすい
電気のイメージポイント④
連続した導線の高さは同じ
どこも同じ電位
導線
同じ電位とは限らない
スイッチ 抵抗
R
同じ電位とは限らない
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
14/26
電気のイメージポイント⑤
抵抗は荒波水路
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
15/26
+ + +
荒波でエネルギーロス
抵抗
[荒波水路のイメージ]
抵抗は荒波水路のイメージです。抵抗を通過す
ると荒波でエネルギーをロスしてしまうんやな。
力学ではロスしたエネルギー 摩擦熱になるけど、
電気回路では、ロスしたエネルギーは ジュール
熱になるんやで。
ロボイメージ
Point!
荒波水路でエネルギーロス
V R
電気のイメージポイント⑥
電気回路は一周するウォータースライダー
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
16/26
電池で V 上がる(起電力)
抵抗で RI 下がる(電圧降下)
オームの法則 V=R I の意味は
0 + V - RI = 0
スタート
スタートの高さ
電池でV上がる
抵抗でRI下がる
もとの高さにもどる
電気回路はウォータースライダーのイメージや。
電池でV上がって抵抗でRIだけ下がるんやな。
それがわかると
オームの法則はぐるっと回ってもとの高さにも
どることをあらわしているのがわかるな。
ロボイメージ
Point!
ウォータースライダー
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路によるスイッチ検出(ラジカセ)
信号線1本でスイッチ11個を検出
RX-DT75 スイッチ・センサ部
● スイッチを4つを用いた抵抗分圧回路
● 抵抗分圧回路を利用したスイッチ検出
信号線1本でスイッチ7個を検出
電圧の変化を利用して信号線1本で複数のスイッチ入力を検出 17/26
[出力端子電圧𝑉𝑜𝑢𝑡 ]
(1) スイッチSW1を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 = 0
(2) スイッチSW2を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 =𝑅2
𝑅1+𝑅2𝑉
(3) スイッチを押さないとき(オープン)
𝑉𝑜𝑢𝑡 = 𝑉 (プルアップされている状態)
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路のしくみ
R1
R2
V
R1
V
R1
R2
V参考)電気回路の基礎(森北出版), pp.19, 「3.5 直列抵抗による分圧」
②抵抗の端子間電圧
𝑉1 = 𝑅1𝑖 = 𝑉
①電流 𝑖 =𝑉
𝑅1
②電流 𝑖 =𝑉
𝑅1+𝑅2
③抵抗𝑅1の端子間電圧
𝑉1 = 𝑅1𝑖 =𝑅1
𝑅1 + 𝑅2𝑉
③抵抗𝑅1の端子間電圧
𝑉1 = 𝑅2𝑖 =𝑅2
𝑅1 + 𝑅2𝑉
出力端子電圧𝑉𝑜𝑢𝑡
SW1
SW2
● スイッチを用いた抵抗分圧回路
● 抵抗にかかる電圧 ● 直列抵抗による分圧
①合成抵抗
𝑅1 + 𝑅2
18/26
(1)
(2)
(3)
● スイッチを4つを用いた抵抗分圧回路
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路の例
[出力端子電圧𝑉𝑜𝑢𝑡 ]
(1) スイッチSW1を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 = 0
(2) スイッチSW2を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 =𝑅2
𝑅1+𝑅2𝑉
(3) スイッチSW3を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 =𝑅2+𝑅3
𝑅1+𝑅2+𝑅3𝑉
(4) スイッチSW4を押したとき
𝑉𝑜𝑢𝑡 =𝑅2+𝑅3+𝑅4
𝑅1+𝑅2+𝑅3+𝑅4𝑉
(5) スイッチを押さないとき(オープン)
𝑉𝑜𝑢𝑡 = 𝑉 (プルアップされている状態)
R1
R2 R3 R4
出力端子電圧
𝑉𝑜𝑢𝑡
SW
1
SW
2
SW
3
SW
4
電源電圧
𝑉
GND
19/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路の抵抗値と出力電圧比
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1 2 3 4 5
Vout/V
(1)SW1 (2)SW2 (3)SW3 (4)SW4 (5)オープン0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1 2 3 4 5
Vout/V
(1)SW1 (2)SW2 (3)SW3 (4)SW4 (5)オープン
0.25
0.25
0.25
0.25
● R1=R2=R3=R4=10 [kΩ]の例 ● 均等になるように抵抗値を調整した例
各出力電圧の比が0.25で均等になっている
(誤差に強い)
各出力電圧比が均等になっていない
多スイッチ入力を識別する抵抗分圧回路では,
出力電圧の比が均等になるように抵抗値を設定する。20/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路
● スイッチを4つを用いた抵抗分圧回路 課題1:
R1を10[kΩ] としたとき,各出力電圧
の比が均等になるように抵抗R2からR4
の値を定めなさい。ただし,各抵抗値
は下記のE24系の値から選択すること。
1 1.1 1.2 1.3 1.5 1.6
1.8 2 2.2 2.4 2.7 3
3.3 3.6 3.9 4.3 4.7 5.1
5.6 6.2 6.8 7.5 8.2 9.1
[E24系の値]
※この値および,この値を×10nしたものを用いる。
使用できる抵抗器の例 … 1Ω,10Ω,120Ω など
使用できない抵抗器の例 … 4Ω ,5Ω ,90Ω など
R1
R2 R3 R4
出力端子電圧
𝑉𝑜𝑢𝑡
SW
1
SW
2
SW
3
SW
4
電源電圧
𝑉
GND
21/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路の設計と製作
ものづくりプロジェクト
1 (H
-Y
AM
-0
01
ver1
.1, 2
01
5)
➌ パターン図
➍ 3Dモデル
➎ 製作
➊ 回路図
➋ パーツリスト
22/26
⓿ 試作
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
抵抗分圧回路の設計と製作
● 回路図 ● 実装図
チェック端子 ピンヘッダ
ジャンパピン
23/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
パーツリスト
番号 品名 数量 価格 小計
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
合計
課題2: パーツリストを作成し必要な金額を計算しなさい。
24/26
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
パーツリストにもとづき部品をそろえ,抵抗分圧回路を作成しなさい。
製作・測定
課題3
ジャンパーピンを抜いた状態で,(1)SW1~(4)SW4,および(5)オープンの各状態
のチェック端子間電圧を測定し,表,およびグラフで示しなさい。また理論値と比較
しなさい。
課題3[発展](余力があれば取り組むこと)
課題3での理論値と測定値の差に関して,抵抗の精度をふまえて検討しなさい。
課題4
ジャンパーピンを挿した状態で,(1)SW1~(4)SW4,および(5)オープン)の各状
態でLEDの点灯がどう変わるかをチェックしなさい。また、この結果からLEDが点灯
する電圧を予測しなさい。
[測定]
25/26
[製作]
ホームエレクトロニクス開発学科 山崎研究室 yamalab.com
パーツ一覧
品名 価格 品名 価格
基板(H-YAM001)
400円
基板(H-YAM002)
200円
三端子レギュレータ
40円
チェック端子
各 20円
セラミックコンデンサ
10円
ピンヘッダ
10円
LED
10円
ジャンパピン
10円
カーボン抵抗
各 10円
バッテリスナップ
20円
タクトスイッチ
10円
電池ボックス
60円
フォトリフレクタ
50円
乾電池 (9V)
100円