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Hilti HIT-HY 200 接着系注入方式アンカー HIT-V ボルト 技術マニュアル 06/2017 1 HIT-HY 200 接着系注入方式アンカーHIT-V ボルト 接着系注入方式 アンカーシステム 特徴 Hilti HIT- HY 200-A 330 ml フォイルパック 500 ml フォイルパック - セーフセット工法:ヒルティのホロー ドリルビットによる穿孔と同時に吸 塵する工法 - ひび割れを想定しないまたはひび 割れを想定するコンクリート C 20/25 ~C 50/60 に適用 - 耐震認証 ETA C1 - 速い硬化時間かつ取扱い性に優れ - 狭いヘリあきやアンカーピッチも対 応可能 - M30 までの太いアンカーサイズにも 対応可能 - コンクリート母材使用温度範囲(短 期:120°C,長期:72°C- 手動による清掃のアンカーサイズ M20,埋込み長さは hef 10d まで - 埋込み長さの範囲: M8: 60 160 mm M30: 120 600 mm - 同性能で硬化時間の異なる HIT-HY 200-A HIT-HY 200-R Hilti HIT- HY 200-R 330 ml フォイルパック 500 ml フォイルパック ミキシングノズル HIT-V HIT-V-R HIT-V-HCR コンクリート 曲げ(引張) 領域 耐震 ETA-C1 狭いへりあき とアンカーピッチ 埋込み長さの 増減に対応 耐火 穿孔と同時に 自動清掃 施工認証 ホロードリルビットを 用いたセーフセット工法 耐腐食 HCR 高耐腐食 ETA CE 適合 PROFIS Anchor アンカー設計 ソフト対応

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Hilti HIT-HY 200 接着系注入方式アンカー

HIT-V ボルト

技術マニュアル 06/2017 1

HIT-HY 200 接着系注入方式アンカーHIT-V ボルト

接着系注入方式 アンカーシステム 特徴

Hilti HIT- HY 200-A 330 ml フォイルパック 500 ml フォイルパック

- セーフセット工法:ヒルティのホロー

ドリルビットによる穿孔と同時に吸

塵する工法

- ひび割れを想定しないまたはひび

割れを想定するコンクリート

C 20/25 ~C 50/60 に適用

- 耐震認証 ETA C1

- 速い硬化時間かつ取扱い性に優れ

- 狭いヘリあきやアンカーピッチも対

応可能

- M30 までの太いアンカーサイズにも

対応可能

- コンクリート母材使用温度範囲(短

期:120°C,長期:72°C)

- 手動による清掃のアンカーサイズ

M20,埋込み長さは hef ≤ 10d まで

- 埋込み長さの範囲: M8: 60 ~ 160 mm

M30: 120 ~ 600 mm

- 同性能で硬化時間の異なる HIT-HY 200-A と HIT-HY 200-R

Hilti HIT- HY 200-R 330 ml フォイルパック 500 ml フォイルパック

ミキシングノズル

HIT-V HIT-V-R HIT-V-HCR

コンクリート 曲げ(引張) 領域

耐震 ETA-C1

狭いへりあき

とアンカーピッチ 埋込み長さの

増減に対応 耐火 穿孔と同時に

自動清掃 施工認証

ホロードリルビットを 用いたセーフセット工法

耐腐食 HCR 高耐腐食 ETA CE 適合

PROFIS Anchor アンカー設計 ソフト対応

Hilti HIT-HY 200 接着系注入方式アンカー

HIT-V ボルト

技術マニュアル 06/2017 2

認証 /証明書 種類 機関 / 研究所 No. / 発行年月日

ETA 欧州技術認証 a) DIBt, Berlin

ETA-11/0493 / 2015-04-15 (Hilti HIT-HY 200-A) ETA-12/0084 / 2015-04-14 (Hilti HIT-HY 200-R)

耐火試験報告書 IBMB, Brunswick 3501/676/13 / 2012-08-03 a) 本章における全てのデータは 2015 年 4 月 15 日発行の ETA-11/0493 (Hilti HIT-HY 200-A) および 2015 年 4 月 14日発行の ETA-12/0084 (Hilti HIT-HY 200-R) に基づいています。 基本荷重データ (単体アンカーでの留付け) 本項の全ての数値は下記条件の場合に適用されます。 ※詳細は、簡易設計法をご確認下さい。 - 正しく施工されていること(施工手順参照) - へりあき、アンカーピッチの影響なし - 下表斜字数値 は鋼材破壊値 - 母材厚・基準有効埋込み長さ・アンカー材質は表による - コンクリート圧縮強度(C20/25):fck,cube=25 N/mm² (JIS 規格のコンクリート圧縮強度 Fc≒21 N/mm² 相当) - 使用温度範囲 I

(最小:母材温度 -40°C,最大:母材温度(長期) +24°C,(短期)+40°C) - 施工時温度: -10°C ~ +40°C 基準有効埋込み長さと基準最小母材厚 a) 平均耐力,許容安全荷重 アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 基準有効埋込み長さ hef [mm] 80 90 110 125 170 210 240 270 基準最小母材厚 h [mm] 110 120 140 165 220 270 300 340

a) 埋込み長さの許容範囲に関しては、施工条件をご参照ください。対応荷重値は簡易設計法に基づき導き出すことが可

能です。 平均耐力: コンクリート C 20/25, HIT-V 5.8(全ねじボルト) アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 ひび割れを想定しないコンクリート

引張 NRu,m HIT-V 5.8 [kN] 18,9 30,5 44,1 83,0 129,2 185,9 241,5 295,1

せん断 VRu,m HIT-V 5.8 [kN] 9,5 15,8 22,1 41,0 64,1 92,4 120,8 147,0

ひび割れを想定するコンクリート

引張 NRu,m HIT-V 5.8 [kN] 18,9 28,2 44,1 66,8 105,9 145,4 177,7 212,0

せん断 VRu,m HIT-V 5.8 [kN] 9,5 15,8 22,1 41,0 64,1 92,4 120,8 147,0 許容安全荷重 a) : コンクリート C 20/25, HIT-V 5.8(全ねじボルト) アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 ひび割れを想定しないコンクリート

引張 Nrec HIT-V 5.8 [kN] 8,6 13,8 20,0 33,6 53,3 73,2 89,4 106,7

せん断 Vrec HIT-V 5.8 [kN] 5,1 8,6 12,0 22,3 34,9 50,3 65,7 80,0

ひび割れを想定するコンクリート

引張 Nrec HIT-V 5.8 [kN] 7,2 10,1 16,8 24,0 38,0 52,2 63,7 76,1

せん断 Vrec HIT-V 5.8 [kN] 5,1 8,6 12,0 22,3 34,9 50,3 65,7 80,0 a) 部分安全係数は γ = 1,4 です。この部分安全係数は荷重の種類によって異なるため、各国の基準を採用してください。

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使用温度範囲 HIT-HY 200 注入式アンカーは以下の温度範囲にて適用されます。母材温度の上昇により、設計付着強度が低下する場

合があります。 温度範囲 母材温度 長期最大母材温度 短期最大母材温度 温度範囲 I -40 °C to +40 °C +24 °C +40 °C 温度範囲 II -40 °C to +80 °C +50 °C +80 °C 温度範囲 III -40 °C to +120 °C +72 °C +120 °C

短期最大母材温度 一日程度の短いサイクルの気温の変化に伴って、母材温度が変化するときの最大母材温度を指します。

長期最大母材温度 長期間にわたる継続的な気温変化に伴って、母材温度が変化するときの最大母材温度を指します。

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材料 HIT-V の機械的特性 アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30

引張強度 fuk

HIT-V 5.8 [N/mm²] 500 500 500 500 500 500 500 500 HIT-V 8.8 [N/mm²] 800 800 800 800 800 800 800 800 HIT-V-R [N/mm²] 700 700 700 700 700 700 500 500 HIT-V-HCR [N/mm²] 800 800 800 800 800 700 700 700

降伏点強度 fyk

HIT-V 5.8 [N/mm²] 400 400 400 400 400 400 400 400 HIT-V 8.8 [N/mm²] 640 640 640 640 640 640 640 640 HIT-V -R [N/mm²] 450 450 450 450 450 450 210 210 HIT-V-HCR [N/mm²] 640 640 640 640 640 400 400 400

応力断面積 As

HIT-V [mm²] 36,6 58,0 84,3 157 245 353 459 561

断面係数 W HIT-V [mm³] 31,2 62,3 109 277 541 935 1387 1874

材料品質 部材 材質 全ねじボルト HIT-V(F) 5.8

強度区分 5.8,A5 > 伸び率 8% 電気亜鉛めっき 5 µm 以上,(F) 溶融亜鉛めっき 45 µm 以上

全ねじボルト HIT-V(F) 8.8

強度区分 8.8,A5 > 伸び率 8% 電気亜鉛めっき 5 µm 以上,(F) 溶融亜鉛めっき 45 µm 以上

全ねじボルト HIT-V-R

ステンレス鋼種区分 A4,A5 > 伸び率 8% 強度区分 70 (M24 以下),強度区分 50 (M27~M30) 1.4401; 1.4404; 1.4578; 1.4571; 1.4439; 1.4362

全ねじボルト HIT-V-HCR

高耐食性合金 1.4529; 1.4565 強度 Rm = 800 N/mm²,Rp 0.2 = 640 N/mm²,A5 > 伸び率 8% (M20 以下) 強度 Rm = 700 N/mm²,Rp 0.2 = 400 N/mm²,A5 > 伸び率 8% (M24~M30)

ワッシャー ISO 7089

電気亜鉛めっき,溶融亜鉛めっき ステンレス鋼,1.4401; 1.4404; 1.4578; 1.4571; 1.4439; 1.4362 高耐腐食性合金,1.4529; 1.4565

ナット EN ISO 4032

強度区分 8 電気亜鉛めっき 5 µm 以上,(F) 溶融亜鉛めっき 45 µm 以上 強度区分 70,ステンレス鋼種区分 A4, 1.4401; 1.4404; 1.4578; 1.4571; 1.4439; 1.4362 強度区分 70,高耐腐食性合金,1.4529; 1.4565

アンカー寸法 アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 全ねじボルト HIT-V, HIT-V-R, HIT-V-HCR HIT-V (-R / -HCR) は様々な長さにも対応可能

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施工 標準施工工具 アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 ロータリーハンマードリル TE 2 (-A) – TE 30 (-A) TE 40 – TE 70 他の工具 エアーコンプレッサーまたはダストポンプ,ブラシ,ディスペンサー

施工手順

穿孔 a) ヒルティホロードリルビット穿孔

適切なサイズのホロードリルビット(TE-CD または TE-YD、バキュームアタッチ

メント付き)にて、指定された深さを穿孔する。 この穿孔方法は、穿孔中の切粉を適切に排出するものです。穿孔作業が完了

した後、清掃手順にて孔内清掃を実施してください。

b) ハンマードリル穿孔

適切なサイズのドリルビットを用いて、適切なハンマードリルの回転・打撃モード

にして指定された深さを穿孔する。

孔内清掃 樹脂を注入する前には、切粉やゴミを完全に除去してください。

a) 手動清掃 ひび割れを想定しないコンクリート、穿孔径が20mm以下および穿孔深さ10d以下の条件に適用。

穿孔径が20mm以下および有効埋込み長さ10d以下の条件では、ダストポンプ

で切粉を除去できます。切粉がほとんど出なくなるまで、孔底から最低4回以上

ダストポンプで吹き飛ばします。

孔底から適切なサイズのヒルティワイヤーブラシ(HIT-RB)を用いて、回転させ

ながら引き上げる清掃を最低4回以上繰り返します。 またワイヤーブラシは穿孔径に対して、適切なサイズを選ぶ必要があります。

穿孔径に小さすぎる場合は、適切なサイズのものを使用してください。

再度、切粉がほとんど出なくなるまで、孔底から最低4回以上ダストポンプで吹

き飛ばします。

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b) 圧縮空気による清掃 すべての穿孔径およびすべての穿孔深さ条件に対応

エアコンプレッサー(最低6 bar で 6 m³/h)に穿孔深さ以上のノズルを装備し、切

粉がほとんど出なくなるまで孔底から最低2回以上吹き飛ばします。 穿孔径が32mm以上の場合は、最低140 m³/hの吐出空気量のコンプレッサー

をご使用ください。

孔底から適切なサイズのヒルティワイヤーブラシ(HIT-RB)を用いて、回転させ

ながら引き上げる清掃を最低2回以上繰り返します。 またワイヤーブラシは穿孔径に対して、適切なサイズを選ぶ必要があります。穿

孔径より小さすぎる場合は,適切なサイズのものを使用してください。

再度、切粉がほとんど出なくなるまで、孔底から最低2回以上圧縮空気で吹き飛

ばします。

注入準備

有効期限を確認してフォイルパックにミキシングノズル(HIT-RE-M)をしっかりと

装着してください。ディスペンサーの取り扱い説明書を参照の上、フォイルパック

を赤いフォイルパックホルダーにセットしてから、ディスペンサーにセットしてくだ

さい。なお、ミキシングノズルは改造しないでください。損傷のあるフォイルパック

(樹脂)は使用しないでください。 また、フォイルパックに針などで穴を開けると混合不良につながりますので、

必ずディスペンサーのトリガーを引くことでフォイルパックを破ってください。

最初の樹脂を一定量破棄してください。破棄する量は,フォイルパックの大きさ

によって異なるため,下記を参照してください。 なお、フォイルパックはトリガーを握ると自動的に開封されます。 破棄する量:330 ml フォイルパック:トリガー2回分 500 ml フォイルパック:トリガー3回分(>5℃) 500 ml フォイルパック:トリガー4回分(≦5℃)

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樹脂注入 必要な樹脂量を必ず孔底から気泡が残らなように注入してください.

孔底より注入をはじめ,左図のように矢印の方向へゆっくりとトリガーを握りなが

らディスペンサーを引いてください。おおよそ孔内の2/3までか、必要樹脂量分だ

けの位置まで注入してください。

注入が完了したら、ディスペンサーのリリースボタンを押し、フォイルパックの圧

力を解除してください。 ※樹脂の液ダレを防止します。

上向きもしくは有効埋込み長さが250mmを超える場合。 延長ホースとピストンプラグを用いて注入してください。必要な治具としてミキシ

ングノズル(HIT-RE-M)、延長ホースおよび適切なサイズのピストンプラグで

す。ピストンプラグを孔底に挿入してから注入を開始してください。ピストンプラグ

位置は樹脂の圧力によって、自然に孔内から押し出されてきます。

アンカー筋の挿入

アンカー筋を挿入する前に、ボルトが乾いていることと油分や汚れが付着してい

ないことを確認してください。 ワーキング時間が経過するまでに、アンカー筋には設計埋込み長さの位置にマ

ーキングしてアンカー筋を挿入してください。

上向き施工時はピストンプラグを用いて、クサビ等を用いて有効埋込みが確保

できるようにしてください。

アンカー筋に荷重を掛ける。 硬化時間が過ぎてから、荷重を掛けてください。 取付物を設置し、ナットを締付ける際には、最大締付けトルク値Tmax(N・m)を

超えないように締付けてください。

施工工具の詳細については製品パッケージに記載の使用説明書をご覧ください.

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ゲル状時間,硬化時間

母材温度 Hilti HIT-HY 200-R

ゲル状時間 a) twork

硬化時間 b) tcure

-10 °C to -5 °C 3 時間 20 時間 -4 °C to 0 °C 2 時間 8 時間 1 °C to 5 °C 1 時間 4 時間

6 °C to 10 °C 40 分 2.5 時間 11 °C to 20 °C 15 分 1.5 時間 21 °C to 30 °C 9 分 1 時間 31 °C to 40 °C 6 分 1 時間

母材温度 Hilti HIT-HY 200-A

ゲル状時間 a) twork

硬化時間 b) tcure

-10 °C to -5 °C 1,5 時間 7 時間 -4 °C to 0 °C 50 分 4 時間 1 °C to 5 °C 25 分 2 時間

6 °C to 10 °C 15 分 75 分 11 °C to 20 °C 7 分 45 分 21 °C to 30 °C 4 分 30 分 31 °C to 40 °C 3 分 30 分

a) ゲル状時間:アンカーが挿入されてから調整できる時間の目安 b) 硬化時間:アンカーに荷重を掛けるまでに必要な時間の目安 施工詳細

取付物厚さ tfix

d 0

埋込み長さの

マーキング

穿孔深さ h0 = 有効埋込み長さ hef

コンクリート厚(母材厚)h

df

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施工条件 アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30

穿孔径 d0 [mm] 10 12 14 18 22 28 30 35

有効埋込み長さと穿孔

深さの範囲 a) HIT-V の場合

hef,min [mm] 60 60 70 80 90 96 108 120

hef,max [mm] 160 200 240 320 400 480 540 600

最小母材厚 hmin [mm] hef + 30 mm

≥100 hef + 2 d0

取付物の下穴径 df [mm] 9 12 14 18 22 26 30 33

締付けトルク Tmax b) [Nm] 10 20 40 80 150 200 270 300

最小アンカーピッチ smin [mm] 40 50 60 75 90 115 120 140

最小ヘリあき寸法 cmin [mm] 40 45 45 50 55 60 75 80 割裂破壊による基準アン

カーピッチ scr,sp [mm] 2 ccr,sp

割裂破壊による基準へ

りあき寸法 c) ccr,sp [mm]

1,0 ⋅ hef for h / hef ≥ 2,0

4,6 hef - 1,8 h for 2,0 > h / hef > 1,3

2,26 hef for h / hef ≤ 1,3

コンクリートコーン状破

壊による基準アンカーピッチ scr,N [mm] 2 ccr,N

コンクリートコーン状破

壊による基準ヘリあき

寸法 d) ccr,N [mm] 1,5 hef

基準アンカーピッチ(基準へりあき寸法)より狭いアンカーピッチ(へりあき寸法)の場合、設計荷重は低減して下さい。

a) hef: 有効埋込み長さ hef,min ≤ hef ≤ hef,max

b) 施工時、アンカーに対して最小のアンカーピッチや最小のへりあき寸法においても割裂破壊を起こさないよう考慮され

た最大の推奨締付けトルク値です。

c) h: 母材厚 (h ≥ hmin) ,hef: 有効埋込み長さ

d) コンクリートコーン状破壊による基準へりあき寸法は、有効埋込み長さ hef と設計付着強度による影響を受けます。上

表の簡易式は安全側にて検討されています。

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技術マニュアル 06/2017 10

簡易設計法 ETAG001、TR029 に沿った設計方法の簡易版です。設計耐力は 2015 年 4 月 15 日発行の ETA-11/0493 (Hilti HIT-HY 200-A) および 2015 年 4 月 14 日発行の ETA-12/0084 (Hilti HIT-HY 200-R) に基づいています。

コンクリート強度の影響 へりあき寸法の影響 アンカーピッチの影響 2 本の群アンカー効果。(この方法は 3 本以上のアンカーあるいは 2 箇所以上のへりが関係する場合の群アンカ

ーにも適用されます。その際、影響要因として各々のへりあき寸法とアンカーピッチを考慮する必要があります。簡

易設計法による設計耐力は ETAG 001 または TR029 による設計値も低い数値となり、安全側になります。ガイド

ラインによる検討する場合は、アンカー設計ソフト「PROFIS Anchor」の使用が推奨されています。)

設計法は以下の簡易設計法に基づいています。 それぞれのアンカーには、引張、せん断以外の特殊な荷重も作用しないものとします(偏心を除く)。

単体のアンカーについてのみ適用します。

簡易設計法以外の条件については、アンカー設計ソフト「PROFIS Anchor」を使用してください。

引張荷重

設計引張耐力は下記のうちの最小値となります - 鋼材破壊: NRd,s

- 引抜けとコンクリートコーン状の複合破壊: NRd,p = N0Rd,p ⋅ fB,p ⋅ f1,N ⋅ f2,N ⋅ f3,N ⋅ fh,p ⋅ fre,N

- コンクリートコーン状破壊: NRd,c = N0Rd,c ⋅ fB ⋅ f1,N ⋅ f2,N ⋅ f3,N ⋅ fh,N ⋅ fre,N

- コンクリート割裂破壊(ひび割れを想定しないコンクリートのみ): NRd,sp = N0Rd,c ⋅ fB ⋅ f1,sp ⋅ f2,sp ⋅ f3,sp ⋅ fh,N ⋅ fre,N

基準設計引張耐力

鋼材破壊に対する設計耐力 NRd,s アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30

NRd,s

HIT-V 5.8 [kN] 12,0 19,3 28,0 52,7 82,0 118,0 153,3 187,3 HIT-V 8.8 [kN] 19,3 30,7 44,7 84,0 130,7 188,0 244,7 299,3 HIT-V-R [kN] 13,9 21,9 31,6 58,8 92,0 132,1 80,4 98,3 HIT-V-HCR [kN] 19,3 30,7 44,7 84,0 130,7 117,6 152,9 187,1

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技術マニュアル 06/2017 11

引抜けとコンクリートコーン状の複合破壊に対する設計耐力 NRd,p = N0Rd,p ⋅ fB,p ⋅ f1,N ⋅ f2,N ⋅ f3,N ⋅ fh,p ⋅ fre,N アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 標準埋込み長さ hef = hef,typ [mm] 80 90 110 125 170 210 240 270

ひび割れを想定しないコンクリート N0Rd,p 温度範囲 I [kN] 24,1 33,9 49,8 75,4 128,2 190,0 244,3 305,4 N0Rd,p 温度範囲 II [kN] 20,1 28,3 41,5 62,8 106,8 158,3 203,6 254,5 N0Rd,p 温度範囲 III [kN] 17,4 24,5 35,9 54,5 92,6 137,2 176,4 220,5 ひび割れを想定するコンクリート N0Rd,p 温度範囲 I [kN] 10,1 14,1 23,5 35,6 60,5 95,0 122,1 152,7 N0Rd,p 温度範囲 II [kN] 8,0 11,3 19,4 29,3 49,9 79,2 101,8 127,2 N0Rd,p 温度範囲 III [kN] 7,4 10,4 16,6 25,1 42,7 68,6 88,2 110,3

コンクリートコーン状破壊に対する設計耐力 NRd,c = N0Rd,c ⋅ fB ⋅ f1,N ⋅ f2,N ⋅ f3,N ⋅ fh,N ⋅ fre,N 割裂破壊に対する設計耐力 a) NRd,sp = N0Rd,c ⋅ fB ⋅ f1,sp ⋅ f2,sp ⋅ f3,sp ⋅ f h,N ⋅ fre,N アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30

N0Rd,c ひび割れを想定しない コンクリート

[kN] 24,1 28,7 38,8 47,1 74,6 102,5 125,2 149,4

N0Rd,c ひび割れを想定する コンクリート

[kN] 17,2 20,5 27,7 33,5 53,2 73,0 89,2 106,5

a) 割裂破壊耐力は、ひび割れを想定しないコンクリートにのみ考慮する必要があります。 影響要因

引抜けとコンクリートコーン状の複合破壊におけるコンクリート強度の影響

コンクリート強度区分 (ENV 206) C 20/25 C 25/30 C 30/37 C 35/45 C 40/50 C 45/55 C 50/60

fB,p = (fck,cube/25N/mm²)0,11 a) 1,00 1,02 1,04 1,06 1,07 1,08 1,1 a) fck,cube = コンクリート圧縮強度、150mm 角の立方体で測定。

引抜けとコンクリートコーン状の複合破壊における埋込み長さの影響

fh,p = hef / hef,typ

コンクリートコーン状破壊におけるコンクリート強度の影響

コンクリート強度区分 (ENV 206) C 20/25 C 25/30 C 30/37 C 35/45 C 40/50 C 45/55 C 50/60

fB = (fck,cube/25N/mm²)0,5 a) 1 1,1 1,22 1,34 1,41 1,48 1,55 a) fck,cube = コンクリート圧縮強度、150mm 角の立方体で測定。

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へりあき寸法の影響 a)

c/ccr,N 0,1 0,2 0,3 0,4 0,5 0,6 0,7 0,8 0,9 1

c/ccr,sp f1,N = 0,7 + 0,3⋅c/ccr,N ≤ 1

0,73 0,76 0,79 0,82 0,85 0,88 0,91 0,94 0,97 1 f1,sp = 0,7 + 0,3⋅c/ccr,sp ≤ 1

f2,N = 0,5⋅(1 + c/ccr,N) ≤ 1

0,55 0,60 0,65 0,70 0,75 0,80 0,85 0,90 0,95 1 f2,sp = 0,5⋅(1 + c/ccr,sp) ≤ 1

a) へりあき寸法は施工条件の表に示されている最小へりあき寸法 cmin より大きくなければなりません。これらの影響係

数は基準へりあき寸法を下回るすべてのへりあき寸法に適用されます。 アンカーピッチの影響 a)

s/scr,N 0,1 0,2 0,3 0,4 0,5 0,6 0,7 0,8 0,9 1

s/scr,sp f3,N = 0,5⋅(1 + s/scr,N) ≤ 1

0,55 0,60 0,65 0,70 0,75 0,80 0,85 0,90 0,95 1 f3,sp = 0,5⋅(1 + s/scr,sp) ≤ 1

a) アンカーピッチは施工条件の表に示されている最小アンカーピッチ smin より大きくなければなりません。これらの影響係

数はすべてのアンカーピッチに適用されます。 コンクリートコーン状破壊における埋込み長さの影響

fh,N = (hef / hef,typ)1,5

鉄筋の影響

hef [mm] 60 70 80 90 ≥ 100 fre,N = 0,5 + hef/200mm ≤ 1 0,8 a) 0,85 a) 0,9 a) 0,95 a) 1

a) この係数は、密な配筋の場合にのみ適用されます。アンカーを打設する部分の鉄筋間隔が 150 mm 以上、または鉄筋

径が 10mm 以下では間隔が 100mm 以上の場合は fre,N = 1 となります。

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せん断荷重

設計せん断耐力は下記のうちの最小値となります - 鋼材破壊: VRd,s

- コンクリートプライアウト破壊: VRd,cp = k ⋅ NRd,pと k ⋅ NRd,cのうち小さい値

- コンクリート端部破壊: VRd,c= V0Rd,c ⋅ fB ⋅ fß ⋅ f h ⋅ f4 ⋅ f hef ⋅ fc

基準設計せん断耐力

鋼材破壊に対する設計耐力 VRd,s アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30

VRd,s

HIT-V 5.8 [kN] 7,2 12,0 16,8 31,2 48,8 70,4 92,0 112,0 HIT-V 8.8 [kN] 12,0 18,4 27,2 50,4 78,4 112,8 147,2 179,2 HIT-V-R [kN] 8,3 12,8 19,2 35,3 55,1 79,5 48,3 58,8 HIT-V-HCR [kN] 12,0 18,4 27,2 50,4 78,4 70,9 92,0 110,3

コンクリートプライアウト破壊に対する設計耐力 VRd,cp = k ⋅ NRd,p と k ⋅ NRd,c のうちの小さい値 a)

k = 2

a) NRd,p: 引抜けとコンクリートコーン状の複合破壊に対する設計耐力 NRd,c: コンクリートコーン状破壊に対する設計耐力

コンクリート端部破壊に対する設計耐力 VRd,c = V0Rd,c ⋅ fB ⋅ fß ⋅ f h ⋅ f4 ⋅ f hef ⋅ fc アンカーサイズ M8 M10 M12 M16 M20 M24 M27 M30 ひび割れを想定しないコンクリート V0Rd,c [kN] 5,9 8,6 11,6 18,7 27 36,6 44,5 53 ひび割れを想定するコンクリート V0Rd,c [kN] 4,2 6,1 8,2 13,2 19,2 25,9 31,5 37,5

影響要因

コンクリート強度の影響

コンクリート強度区分 (ENV 206) C 20/25 C 25/30 C 30/37 C 35/45 C 40/50 C 45/55 C 50/60

fB = (fck,cube/25N/mm²)1/2 a) 1 1,1 1,22 1,34 1,41 1,48 1,55 a) fck,cube = コンクリート圧縮強度、150mm 角の立方体で測定。

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コンクリート端部と直交する方向との荷重角度の影響

角度 ß 0° 10° 20° 30° 40° 50° 60° 70° 80° ≥ 90°

( )2

2

5,2sincos

1

+

=V

V

αβ

1 1,01 1,05 1,13 1,24 1,40 1,64 1,97 2,32 2,50

母材厚の影響

h/c 0,15 0,3 0,45 0,6 0,75 0,9 1,05 1,2 1,35 ≥ 1,5 f h = {h/(1,5 ⋅ c)} 1/2 ≤ 1 0,32 0,45 0,55 0,63 0,71 0,77 0,84 0,89 0,95 1,00

コンクリート端部破壊に対するアンカーピッチとへりあき寸法の影響 a) : f4 f4 = (c/hef)1,5 ⋅ (1 + s / [3 ⋅ c]) ⋅ 0,5

c/hef 単体

アンカー 2 本の群アンカー s/hef

0,75 1,50 2,25 3,00 3,75 4,50 5,25 6,00 6,75 7,50 8,25 9,00 9,75 10,50 11,25 0,50 0,35 0,27 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,35 0,75 0,65 0,43 0,54 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 0,65 1,00 1,00 0,63 0,75 0,88 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,00 1,25 1,40 0,84 0,98 1,12 1,26 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,40 1,50 1,84 1,07 1,22 1,38 1,53 1,68 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,84 1,75 2,32 1,32 1,49 1,65 1,82 1,98 2,15 2,32 2,32 2,32 2,32 2,32 2,32 2,32 2,32 2,32 2,00 2,83 1,59 1,77 1,94 2,12 2,30 2,47 2,65 2,83 2,83 2,83 2,83 2,83 2,83 2,83 2,83 2,25 3,38 1,88 2,06 2,25 2,44 2,63 2,81 3,00 3,19 3,38 3,38 3,38 3,38 3,38 3,38 3,38 2,50 3,95 2,17 2,37 2,57 2,77 2,96 3,16 3,36 3,56 3,76 3,95 3,95 3,95 3,95 3,95 3,95 2,75 4,56 2,49 2,69 2,90 3,11 3,32 3,52 3,73 3,94 4,15 4,35 4,56 4,56 4,56 4,56 4,56 3,00 5,20 2,81 3,03 3,25 3,46 3,68 3,90 4,11 4,33 4,55 4,76 4,98 5,20 5,20 5,20 5,20 3,25 5,86 3,15 3,38 3,61 3,83 4,06 4,28 4,51 4,73 4,96 5,18 5,41 5,63 5,86 5,86 5,86 3,50 6,55 3,51 3,74 3,98 4,21 4,44 4,68 4,91 5,14 5,38 5,61 5,85 6,08 6,31 6,55 6,55 3,75 7,26 3,87 4,12 4,36 4,60 4,84 5,08 5,33 5,57 5,81 6,05 6,29 6,54 6,78 7,02 7,26 4,00 8,00 4,25 4,50 4,75 5,00 5,25 5,50 5,75 6,00 6,25 6,50 6,75 7,00 7,25 7,50 7,75 4,25 8,76 4,64 4,90 5,15 5,41 5,67 5,93 6,18 6,44 6,70 6,96 7,22 7,47 7,73 7,99 8,25 4,50 9,55 5,04 5,30 5,57 5,83 6,10 6,36 6,63 6,89 7,16 7,42 7,69 7,95 8,22 8,49 8,75 4,75 10,35 5,45 5,72 5,99 6,27 6,54 6,81 7,08 7,36 7,63 7,90 8,17 8,45 8,72 8,99 9,26 5,00 11,18 5,87 6,15 6,43 6,71 6,99 7,27 7,55 7,83 8,11 8,39 8,66 8,94 9,22 9,50 9,78 5,25 12,03 6,30 6,59 6,87 7,16 7,45 7,73 8,02 8,31 8,59 8,88 9,17 9,45 9,74 10,02 10,31 5,50 12,90 6,74 7,04 7,33 7,62 7,92 8,21 8,50 8,79 9,09 9,38 9,67 9,97 10,26 10,55 10,85

a) アンカーピッチおよびへりあき寸法は最小アンカーピッチ smin、最小へりあき寸法 cminより小さくしないで下さい。 埋込み長さの影響

hef/d 4 4,5 5 6 7 8 9 10 11 f hef = 0,05 ⋅ (hef / d)1,68 0,51 0,63 0,75 1,01 1,31 1,64 2,00 2,39 2,81

hef/d 12 13 14 15 16 17 18 19 20 f hef = 0,05 ⋅ (hef / d)1,68 3,25 3,72 4,21 4,73 5,27 5,84 6,42 7,04 7,67

へりあき寸法の影響 a)

c/d 4 6 8 10 15 20 30 40 fc = (d / c)0,19 0,77 0,71 0,67 0,65 0,60 0,57 0,52 0,50

a) へりあき寸法は最小へりあき寸法 cminより小さくしないで下さい。

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引張とせん断の組合せ荷重

引張とせん断の組合せ荷重を受けるアンカーボルトは以下の計算方式により求め

ます。

ßN ≤ 1

ßV ≤ 1

ßN + ßV ≤ 1,2 or ßNα + ßVα ≤ 1

ßN = NSd / NRd および

ßV = VSd / VRd

NSd (VSd) = 設計引張 (せん断)力 NRd (VRd) = 設計引張 (せん断)耐力

Annex C of ETAG 001 簡易計算法

α = 2,0 NRd と VRd が鋼材破壊の場合

α = 1,5 鋼材破壊以外の破壊モード

簡易計算法では破壊モードは考慮しません。

α = 1,5 全ての破壊モードに適用 (安全側の結果)

ETAG 001, Annex C(Eq.1)と簡易計算法(Eq. 2)の比較

0

0,2

0,4

0,6

0,8

1

1,2

0 0,2 0,4 0,6 0,8 1 1,2βV

βN

(Eq. 1)(Eq. 2)