h-58mura-sho.co.jp/news/pdf/news_080901.pdfreview on slipping-out accident of the refrigerant copper...

4
-1- ビル用マルチエアコンの冷媒用銅配管におけるフレア管継手部抜け事故の考察 その1 事故例の検討 Review on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system , from the copper flare fitting joint Part 1: Investigation on accident examples 正会員 ○山岸龍生(設備技研) *1 正会員 五郎 ((株)日建設計) *2 正会員 安藤 紀雄 (N.A.コンサルタント) *3 非会員 清水富士男(シミズ設備(株)) *4 正会員 永山 (斎久工業(株)) *5 正会員 横手 幸伸(清水建設(株)) *6 Tatuo YAMAGISHI *1 Gorou SEKI *2 Norio ANDOH *3 Fujio SHIMIZ *4 Takasi NAGAYAMA *5 Yukinobu YOKOTE *6 *1 Equipment Technique Co.Ltd *2 NIKKEN SEKKEI LTD *3 N.A Consultant 0ffice *4 Simizu Technique Co.Ltd*5 Saikyuu Kougyou Co.Ltd*6 Shimiz Co.LtdSynopsisLong years have passed since the building multi-AC unit AC systems, so called "buil-multi AC systems" were widely adopted as the large scale office bldgs. AC systems. However, recently it is revealed that the coppper tubes themselves often are slipped out from the copper flare fitting joints used between the AC units and the copper tubes. This paper is a kind of notice to such a trouble, which is understood to be a big accident before long. はじめに ビル用マルチエアコンは、機器との接続に現在はフ レアナットとフレアユニオンが使用されている。正し くフレア加工された銅管とフレア管継手を、規定トル クで締め付けてあるにもかかわらず、フレア管継手部 で銅管が脱管する事故が発生している。発生部位は、 室内機、室外機、液管側、ガス管側を問わず発生して おり、狭隘な室内にシステムの保有する冷媒が全て流 出した場合、(社)高圧ガス保安協会の施設ガイドライ ン(JRA-GL13)の作業環境限界濃度を超え、窒息など の重大な事故に発展する可能性を含んでいる。ここに、 事故事例と、推察される原因について発表し注意を喚 起することとした。 1.事故例と状況 図-2に事故例 1 4 のフレア抜け箇所を示す。 1.1 事故例1 a.施設概要:A産婦人科病院 手術室 b.種:冷房能力 56kW ビル用マルチエアコン c.冷媒の種類:R 407C d.竣工年月:2004 年3月 e.発生年月:2005 1 暖房運転時 f.ガス漏れ部位:φ 12.7mm 室外機バイパス液管 g.冷媒の流れ方向:室内機から室外機方向 h.処置:空調機メーカーサービス代行業者は、フレア 部ガス漏れと判断し、配管施工業者へ連絡、修理 i.事故状況:フレア部変形、フレア部及びフレア加工 部が縮径、内径側に亀裂発生 j.対処:フレア部再作成後、冷媒ガス再充填。正常運 転する。図-1にフレア管の脱管品事例を示す。 1.2 事故例 1)事故例1の現場で、2006 8 月に別系統の同一機 種で同様な事故が発生した。又他施工業者社でも同一 機種で、同様な事故の発生が確認されている。 図-1 事故例1 銅管フレア部の正常品と 事故品の比較(計測数値なし) 1.3 事故例 a.施設概要:事務所ビル b.種:冷房能力 56kW ビル用冷暖フリ-マルチエ アコン 正常品 事故品 縮径 正常品断面 事故品断面 内側に くぼむ 縮径 -2139- H-58

Upload: others

Post on 09-Aug-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: H-58mura-sho.co.jp/news/pdf/news_080901.pdfReview on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system , from the copper flare fitting joint Part 1:

- 1 -

ビル用マルチエアコンの冷媒用銅配管におけるフレア管継手部抜け事故の考察

その1 事故例の検討

Review on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system ,from the copper flare fitting joint

Part 1: Investigation on accident examples

正会員 ○山岸龍生(設備技研)*1 正会員 関 五郎 ((株)日建設計)*2

正会員 安藤 紀雄 (N.A.コンサルタント)*3 非会員 清水富士男(シミズ設備(株))*4

正会員 永山 隆 (斎久工業(株))*5 正会員 横手 幸伸(清水建設(株))*6

Tatuo YAMAGISHI *1 Gorou SEKI *2 Norio ANDOH *3 Fujio SHIMIZ *4

Takasi NAGAYAMA *5 Yukinobu YOKOTE *6

*1 Equipment Technique Co.Ltd *2 NIKKEN SEKKEI LTD *3 N.A Consultant 0ffice*4 Simizu Technique Co.Ltd. *5 Saikyuu Kougyou Co.Ltd. *6 Shimiz Co.Ltd.

Synopsis:Long years have passed since the building multi-AC unit AC systems, so called "buil-multi AC systems" werewidely adopted as the large scale office bldgs. AC systems. However, recently it is revealed that the coppper

tubes themselves often are slipped out from the copper flare fitting joints used between the AC units and thecopper tubes. This paper is a kind of notice to such a trouble, which is understood to be a big accident before long.

はじめに

ビル用マルチエアコンは、機器との接続に現在はフ

レアナットとフレアユニオンが使用されている。正し

くフレア加工された銅管とフレア管継手を、規定トル

クで締め付けてあるにもかかわらず、フレア管継手部

で銅管が脱管する事故が発生している。発生部位は、

室内機、室外機、液管側、ガス管側を問わず発生して

おり、狭隘な室内にシステムの保有する冷媒が全て流

出した場合、(社)高圧ガス保安協会の施設ガイドライ

ン(JRA-GL13)の作業環境限界濃度を超え、窒息などの重大な事故に発展する可能性を含んでいる。ここに、

事故事例と、推察される原因について発表し注意を喚

起することとした。

1.事故例と状況

図-2に事故例 1~ 4のフレア抜け箇所を示す。1.1 事故例1

a.施設概要:A産婦人科病院 手術室

b.機 種:冷房能力 56kW ビル用マルチエアコン

c.冷媒の種類:R- 407Cd.竣工年月:2004年3月e.発生年月:2005年 1月 暖房運転時

f.ガス漏れ部位:φ 12.7mm 室外機バイパス液管

g.冷媒の流れ方向:室内機から室外機方向h.処置:空調機メーカーサービス代行業者は、フレア部ガス漏れと判断し、配管施工業者へ連絡、修理

i.事故状況:フレア部変形、フレア部及びフレア加工部が縮径、内径側に亀裂発生

j.対処:フレア部再作成後、冷媒ガス再充填。正常運

転する。図-1にフレア管の脱管品事例を示す。

1.2 事故例 2

1)事故例1の現場で、2006 年 8 月に別系統の同一機種で同様な事故が発生した。又他施工業者社でも同一

機種で、同様な事故の発生が確認されている。

図-1 事故例1 銅管フレア部の正常品と

事故品の比較 (計測数値なし)

1.3 事故例 3

a.施設概要:事務所ビルb.機 種:冷房能力 56kW ビル用冷暖フリ-マルチエ

アコン

正常品

事故品

縮径

正常品断面

事故品断面

内側にくぼむ

縮径

空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集{2008.8.27 〜 29(草津)} -2139-

H-58

Page 2: H-58mura-sho.co.jp/news/pdf/news_080901.pdfReview on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system , from the copper flare fitting joint Part 1:

- 2 -

c.冷媒の種類:R- 410Ad.竣工年月:2004年 8月e.発生年月:2006年 8月 冷房運転時

f.ガス漏れ部位:φ 15.88mm 液管 室内機接続部、及

び空調機メーカー附属フレア加工済み短管部

g.冷媒の流れ方向:室外機から室内機方向h.状況:フレア部変形及び縮径i.対処:フレア部再作成後、冷媒ガス再充填、再運転

1.4事故例 4*2

a.施設概要:事務所ビル 広島 H ビル及び浜松 T ビルb.機種:能力不明、ビル用冷暖フリーマルチエアコンc.冷媒の種類: R- 410Ad.竣工年月:2005年e.発生年月:竣工後1年、冷房開始から1カ月f.ガス漏れ部位:φ 15.88mm ガス管、室内機接続部、

及び冷暖切り替えユニット部(図-2参照)

g.冷媒の流れ方向:室内機から室外機方向h.処置:冷媒の追加充てんi.状況:フレア部変形縮径、図-3参照

j.対処:不明

図-3 事故例4フレア部と JIS規格の比較*2

フレア外径φA19.7mm±0.4mm C

JIS B 860715.88φの規格

フレア穴径

JIS B 8607

φD16.0mm +0.1

19.3~

19.7

16.7~16.3

正常品 事故品

図-2 事故例1~4 フレア管継手抜け箇所

液配管

ガス配管

事故例 4漏洩箇所(Hビル)

液配管

ガス配管

事故例 4

漏洩箇所(Tビル)

冷暖切換

ユニット

フレアナット管継手

室外機

室内機

凡例高圧液(冷房) 高圧ガス(暖房)

低圧ガス(冷房)高圧液(暖房)事故例 3

室外機

2. 施工業者の施工管理

2.1 事故例1,2,3の施工管理状況3 事例は、次のように施工管理がなされていた。

1)3件ともフレア施工管理手順に従い施工。2)締め付けトルクはトルクレンチにて管理。3)気密試験は 3.8MPa あるいは 4.3MPa で 24 時間の放置試験を実施、ガス漏れのないことを確認。

4)試運転は空調機メーカーサービス代行業者が実施、試運転成績記録があり、異常のないことを確認して

おり、施工後ガス漏れ事故以外の事故・故障はない。

2.2 事故例4の施工管理状況*3

(1)事故品の検証

1)事故フレア加工部の目視検査でフレア加工の異常は認められなかった。

2)気密試験は 4.3MPa で行われていて手締め等の締め忘れはなかったと推測される。

(2)再現実験結果

事故原因を推定するため、再現実験を行った。次に

その結果を示す。

1)フレアナット、フレアユニオン、銅配管との線膨張係数の違いは運転条件を変えることで、確認した

が異常は認められなかった。

2)フレア管は、試験においては 2.5mm の変位で事故品と同様な縮径が認められた。締め付けトルクを変化

させても変位量は変わらず抜けた。

3)手締めでは引張力 3kN程度でフレア部は抜けた。

3. 追加実験(参考)3.1 引抜き実験

引抜かれた場合の形状を確認するため、引張力は不

明であるが、引抜き実験を試みた。管種は外径 15.88mmの L管のなまし管を使用し、フレアナットは手締めと、300mm のスパナで力一杯締め込

んだ試験体と、

1/8 回転程度締め込んだ 3試験体 図ー4 手締めの引抜き試験結果

とした。その結果手締めは図-4に示すようにフレア

19.52mmから16.12mm

に縮径

空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集{2008.8.27 〜 29(草津)}

Page 3: H-58mura-sho.co.jp/news/pdf/news_080901.pdfReview on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system , from the copper flare fitting joint Part 1:

- 3 -

部が縮径し、脱管した。 1/8 回転締め込んだ試験体は図-5に示すように同一の引抜き力では抜けなかった。

事故例の形状は手締め状態で引き抜かれた管と酷似

していることから、何らかの引抜き力が働いたものと

推定される。

図-5 締込み力による違い

3.2 冷媒配管フレア部が引抜かれる内圧力

Hビル、Tビルの検証報告によれば*3適正トルクで

締め込まれていれば、接合管の引抜き力は約 4.6kN 以上であり、内圧に直すと約 30MPa とあるので、それ以上の引抜き力と内圧が加わったものと思われる。

4 引抜きに働く要因の検討

4.1 内部要因による作用

1)配管部の液封現象による異常高圧

配管内で封鎖状態にある液冷媒の温度が運転停止

時より上昇した場合に液冷媒が膨脹して、配管破損事

故の原因となる。次項2)で述べるように R - 410Aの液冷媒の体積膨張率は非常に大きい。

2)液冷媒の温度上昇による体積膨張率の変化

R- 410A の場合、液冷媒温度が 36 ℃~ 46 ℃に 10℃上昇した場合、6.6 %の体積増加がある。また 14 ℃の上昇では約 10 %ある。水の場合 0 ℃~ 100 ℃で 4.3%であるので、体積膨張率は水に比べて非常に大きい。

水の体積膨張と圧力の関係は、水温 20℃、0MPaが 20℃上昇した 40 ℃では 12MPa 程度になる*1。水の体積

膨張率は 20℃から 40℃に 20℃上昇した場合は約 0.6%であるので液冷媒に比較して非常に小さい。

R- 410A の同じ条件での体積膨張率 は、11.0 %であるので桁違いに大きい、このため圧力上昇は非常に

大きいといえる。しかし液封による内圧の異常上昇の

場合、図-6のようにろう付部分の近傍で銅管が管軸

方向にバーストするので、液封のみによりフレア管の

脱落が発生すると

は考えにくい。

図-6 加圧ポンプによる銅管の破損形状*4

(管径φ 15.88 管種 L管 26.478MPa)

水が溜り凍結する空間(4.2.1項参照)

1/8回転締込 力一杯締込

3)液ハンマによる動圧圧力上昇

次のような場合に瞬間的に液ハンマが発生し異常な

圧力の上昇が考えられる。

a.液冷媒の脈動による動圧による圧力上昇b.電磁弁類の急開閉による圧力上昇c.霜取り時や四方弁による冷暖房運転の切り替わり時の液、ガスの流れ方向の急変による圧力上昇

d.その他、液冷媒の流れが短時間で切り替わる時が考えられる。管内圧が高い状態で、運動のエネルギーの

大きい液冷媒が高速で流れ、フレア管継手近傍に曲り

がある場合、当該部に大きな衝撃(液ハンマ)が加わ

ると推定される。この場合は加圧ポンプで内圧(静圧)

を上昇させた場合と違い、流れのエネルギー(動圧)

が大きい状態であるので管軸と直角方向に働く圧力は

少なく、管軸方向に大きな力が働く。通常負荷運転時

の冷媒液流速は 1.5m/s程度と計算されるので通常運転では液ハンマーは発生し難い。

4)過充てんの可能性について

最近のエアコンでは、リキッドタンク(受液器)の

容量が少ないか、又は全く無い製品がある。冷媒配管

や、凝縮器にリキッドタンクの機能を持たせているた

め、室外機の冷媒液貯留能力が非常に低下している。

適正量の冷媒を的確に充てんすることは技術的に困難

を伴う。過充てんの場合、余剰液冷媒を貯留する機能

がないので、予想外の場所に貯留したり、液圧縮等で

冷媒が大きな脈動がを発生させる可能性が大きい。

5)液圧縮の可能性

過充てんや、潤滑油戻し運転時及び除霜運転等では

液圧縮となり、液管に脈動を生じるので、液圧縮によ

る脈動の可能性があるが、この関係は不明な点が多い。

4.2 外部要因による作用

1)凍結、解氷の繰り返しによる押し出し

結露水のフレア部侵入と凍結の関連性も問題がある。

低圧、低温となる管については、図-5に示すフレア

ナット空間部に、呼吸作用や毛管作用で侵入した結露

水が凍結、融解を繰り返しフレア部を押し出すとした

実験結果がある。一要因と考えられる。

2)制御上の問題

ビル用マルチエアコンはマイコン制御であるので、

プログラムミス(バグ)や電気的な外部ノイズの影響

による誤作動も考えられる。またセンサの計測時間と

制御の隙間で液ハンマや液封を生じる可能性は否定で

きない。特に電気的ノイズによる誤作動は、高調波を

発生する電気製品が市場に多数流通している現状を考

えるとこのことは否定できない。

空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集{2008.8.27 〜 29(草津)}

Page 4: H-58mura-sho.co.jp/news/pdf/news_080901.pdfReview on slipping-out accident of the refrigerant copper tube for the Buil-Multi AC system , from the copper flare fitting joint Part 1:

- 4 -

3)配管の線膨張による引抜きが働く場合

冷媒配管は温度変化により線膨張による引抜きが働

くが、室内機は 4 本の吊りボルトで吊られているので数㎝程度の変位では機器本体は、配管に引かれるか、

押されて移動するので、フレア管継手部が脱管する程

の力が作用するとは考えにくい。

4)温度変化によるフレアナットのゆるみ

冷媒配管は、油戻し運転時の- 20℃を下回る温度から、暖房時の 100 ℃近い温度まで 100 ℃以上の大きな温度変化がある。緩慢な温度変化ではなく急激な温度

変化である。したがってフレアナット、フレアユニオ

ン、銅管の 3 部材がこの温度変化による膨脹、収縮にどう追従するか不明であるため検証が必要である。

5)フレアナットの締め忘れ

施工時確認されている上、4.3MPa で気密試験を行っているのでその時点で発見できるため、その可能性は

排除できる。

6)規格外れのフレアナットの使用

本報、その 2 で報告するが、フレアナットは全数検査をする商品でないので、JIS の寸法公差外れ品が多くあるようだ。特にフレアナットシート部、ユニオン

シート部の角度が抜け方向に開くような組み合わせの

場合、管内部から外部に向かって冷却する形となるの

でユニオン部が早く収縮する。フレアナット部の締め

付け力が小さくなると推定される。

5.対策・対応

5.1 事故が起きてしまったら

1)施工ミスとして片付けず、事故の検証を行う

不幸にして事故が起きてしまった場合は、単なる施

工ミスとして片付けずに、事故管を含めたシステムの

調査・検証を詳細に行い、後日でも十分な検証が可能

なように的確な関連データを作成・検討し、保存する。

2)関係者間でよく話し合う

フレア管継手に接続する銅管フレア部が抜けるとい

う事故は、まだ、衆知の事実ではないので関係者間で

よく話し合い、関係者に書面で報告する。

5.2 今後の対策

1)機器附属のフレア管継手以外は使用しない

市販品のフレア管継手は、規格外れの製品が多い様

なので使用しないこと(第 2報参照)。当面、確実な品質の追求可能な空調機メーカー附属品をのみ使用する。

2) 適正なトルクレンチを使用する

フレアサイズに適合した、トルクレンチを用い、規

定トルクで締め付けたことを示すマーキングを施す等

の管理をする。トルクレンチの締付けトルクは定期的

に検査・検定を受ける。

3)フレア管継手を使用しないで、ろう付接続とする

接続部の安全性を高めるためには、全てろう付接続

とすることも一つの方法であり、接続部が全て安全な

永久接続となる。ビル用マルチエアコン施工業者は、

同配管ろう付技能を有している人が多いので有効な手

段と考える。 配管技能者のろう付技能検定を行う必

要もある。

4)冷媒の充填てんを守る

ガス漏れ等で充填量が不明の場合は、システム内の

冷媒ガスを一旦回収して規定量を再充填する。

5)電気ノイズを排除する

空調機は、高調波を発生させる電気機器の近傍に設

置することは避ける。不明の場合は、電気設備業者に

確認する。

7)作業環境限界濃度を守る

ゾーニングや換気等で(社)高圧ガス保安協会、施

設ガイドライン(JRA-GL13)の作業環境限界濃度を考慮し、設計・施工・管理することが望まれる。

まとめ

冷媒がR-22を使用していた頃は、ほとんど聞か

なかった、冷媒配管用銅管のフレア管継手からの脱管

事故が、近年、相当件数起きており、一般的にはその

殆どが、工事ミス(配管施工不良)として処理されて

いるため、詳細な原因追及がなされていない。しかし、

いくつかの事故事例を調査すると、工事は確実に行わ

れ、工事施工ミスではないと思われる事例に遭遇し、

事故の詳細な調査・検討が望まれた。また、事故部位

が狭隘な場所の場合、非常に重大な事故に結びつく可

能性が大であり、十分な調査・解析を行い、抜本的な

対策を講じる必要がある現象であると思れる。

現状本件は工事施工ミスとして処理されているケー

スが殆どで、斯界関係者の多くの方はこの問題を認識

しておらず、その重要性も感じておられないと思われ、

重大事故が起きないうちに一刻も早く有効な対策が取

られることを願う。

参考文献*1フシマンのホームページ*2 JIS B 8607*3冷媒管継手ガス漏れ原因調査研究会 報告書*4空調用冷媒配管 設計・施工技術ガイドブック

空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集{2008.8.27 〜 29(草津)}