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機能性フィルム グンゼ株式会社 電子部品事業部 GUNZE Electronic Components Division

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Page 1: GUNZE Electronic Components Division · これらのプラス チック基材は吸水性が高く、加工工程で基材に残った水分が時間経過や環境変化を受け、ガスとなって発生することがアウトガスの一因とみられて

機能性フィルム

グンゼ株式会社 電子部品事業部GUNZE Electronic Components Division

Page 2: GUNZE Electronic Components Division · これらのプラス チック基材は吸水性が高く、加工工程で基材に残った水分が時間経過や環境変化を受け、ガスとなって発生することがアウトガスの一因とみられて

高耐光ITOフィルムHigh Light-fast Indium Tin Oxide FIlm

多機能OCAMultifunctional Optical Clear Adhesive

高硬度HDフィルムHigh Hardness High Durability Film

機能性フィルムグンゼの高機能フィルムは、市場での更なる高付加価値化に貢献いたします。

高機能フィルムは電子部品、自動車、建材、医療、食品包装など様々な分

野で活躍しています。高機能フィルムには、加工に耐えうる機械耐久性や

使用に耐えうる環境耐久性などが高いレベルで求められます。また、ディ

スプレイにおいては、表示を綺麗にするための光学性能も必要です。

スマートフォンやタブレット PC といった民生品を始め、飲食店のオーダシ

ステムやカーナビといった用途で私たちがタッチパネルを使用する機会が

増え、今や当たり前になっています。今後、生活用品として、誰もが簡単に

操作できる商品スタイルになっていくことでしょう。ここにも高機能フィル

ムは使用され、進化を続けています。

グンゼはこれまで光学用途の高機能フィルムの開発で培ってきた技術を用

い、光学用途だけでなく、その他の多くの製品にも使用できる高機能フィ

ルムを開発・販売しています。高硬度や光学性能といった薄層技術を活かし、

多方面の市場での更なる高付付加価値化に貢献します。

〇独自の光学設計技術によって、透明な

導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)

を成膜。高い視認性を維持しながら、耐

光性に優れた、車載/屋外用途に好適

なITOフィルムを提供しています。

〇高い透明性、加飾印刷等の印刷段差

への追従性、剥がれや気泡といった課題

への対応とともに、マイグレーション抑

制機能、UV(紫外線)カット機能、耐アウ

トガス機能といった多機能性を付与し

たOCA(Optical Clear Adhesive)です。

〇グンゼの成型加工技術によって生ま

れた、単幕で最大9Hの鉛筆硬度(ガラ

ス同等)を有するフィルムです。高硬度

に加えて、高耐熱・高耐光を兼ね備えた

光学フィルムです。

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高耐光ITOフィルム

●特長

紫外線に強い透明導電フィルム

●ITOフィルムとは

レアメタルのIn(インジウム)を主原料とするITO(indium tin oxide)をフィルム上に成膜したフィルムです。ITO は導電性を持ちながら高い透明性を有する特長があり、ディスプレイなどの電極として使用されています。しかし、金属であ

るため、薄く柔軟なフィルム上に成膜するためには特別な技術が必要です。

●コア技術を生かしたフィルム素材開発

グンゼは光学用途において培われたフィルム表面の機能薄膜形成技術(スパッタリング、ウェットコート)を活かした製品開発に取り組んでいます。

透明導電素材としてはITOを厚み数十ナノメートルでフィルム表面に成膜したものが用いられますが、これだけではITO膜のパターニングが見えてしまいます(図1)。ディスプレイを始めとする光学用途において致命的な課題であり、パターニングを見えなくする(インビジブル特性付与)ことが必要です。

また、ITOフィルムは長期間、太陽光下に設置されると薄膜が劣化する傾向があり、車載や屋外での使用には課題がありました。グンゼでは独自の光学設計技術でこれらの課題を改良し、紫外線に強い透明導電フィルムを開発し提供しています。

●金属膜の結晶化

ITOフィルムは、金属膜の結晶化が必要になります。通常、市販されているITOフィルムは未結晶のまま売られており、買い手側でアニール*処理をします。グンゼでは自社アニール設備にて結晶化させ、抵抗値を安定化したITOフィルムを提供いたします。

耐光性に優れた、車載/屋外用途に好適なITOフィルムです。長期間、太陽光下に設置されることにより発生する白化現象を改善しました(図2参照)。

紫外線劣化に強い!

高感度低抵抗 ITO フィルム!

●低抵抗化

●ラインナップ

ディスプレイなどのアプリケーションの大画面化を実現するには、透明導電フィルムの低抵抗化が必要です。しかし、低抵抗化を進めることでインビジブル特性付与をさらに困難なものにしてしまいます。グンゼはこの課題を改良し、高い視認性を維持しながら、低抵抗化に取り組み、高感度、大型サイズへ好適なITOフィルム生産を目指しています。

(図2)白化現象

改善後

(図1)インビジブル

特性特性あり 特性なし

画像)キセノンランプ照射試験 60W/m2 500 時間後   ITO膜の表面状態比較 (弊社製品比較)

【概略構成】ITOIM層(Index Matching Layer)

Clear Hard Coat

Clear Hard Coat

PET Film

※上記は実測値であり、保証値ではありません。

品番フィルム厚み表面抵抗値全光線透過率HAZEb*インビジブル特性

125μmIPF-19H125-01 IPF-20G125-01 IPF-21H188-01 IPF-22G188-01

188μm80Ω/□89%1%2良好

150Ω/□89%1%1.8良好

80Ω/□89%1%2良好

150Ω/□89%1%1.8良好

素材:PET250

200

150

100

50

0

ITO抵抗値(Ω/sq)

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018(年)

低抵抗化

150

8050

Ω/□

Ω/□Ω/□

*アニールとは焼きなまし(Annealing)のことで、フィルムなどの樹脂が冷却する 過程で生じた内部歪みを加熱することにより取り除く熱処理のことです。

改善前

High Light-fast Indium Tin Oxide Film

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多機能OCA

●NNXシリーズ/NNEシリーズ ~金属配線のショートを抑制する粘着~

透明光学粘着

●OCA(Optical Clear Adhesive)とは

貼り合わせ時に使用するフィルム状の光学粘着シートです。ガラスやアクリル、ポリカーボネート、フィルムといった様々な被着体を貼り合わせる際に使用します。ディスプレイの表示部分に使用される粘着材には、表示性能に直接影響するため、光学的に均一で透明であることや、剥がれや気泡が発生しないことなどが求められます。

●コア技術を生かした粘着開発

薄型、軽量化が進むディスプレイ機器において、高品質、高性能な粘着材(OCA)が使用されています。OCAは高い透明性、加飾印刷等の印刷段差への追従性、剥がれや気泡といった課題への対応とともに、使用環境に応じた機能付与が必要になります。グンゼは材料設計とコーティング技術を活かして、これらの課題解決と OCA の高機能化に取り組んでいます。剥がれや気泡といった課題に加え、紫外線で劣化しないことなどが求められるため、OCAは貼り合わせる被着体に応じて、必要な特性を選択する必要があります。高機能OCAの一例として、マイグレーション抑制機能、UV(紫外線)カット機能、耐アウトガス機能を付与した当社OCAを提供します。

被着体の表面には、金属配線が設置されていることが多くあります。銀等の金属配線は、水分(湿度)の多い環境下で電圧印加した場合、マイグレーションと呼ばれる電極間をイオン化した金属が移動することによって短絡が生じる課題がありました。グンゼは独自の配合設計により、粘着材でマイグレーションを抑制することを可能にしました。

マイグレーション抑制

【概略構成】

Multifunctional Optical Clear Adhesive

【被着体】

【試験サンプル】

マイグレーション抑制

Ag Ag Ag

PETフィルム

PETフィルム

粘着材

Ag Ag Ag試験条件Ag配線:L/S 60/90μm60℃95%RH 240hrDC 16V

NNX 従来品

発生なし 発生

OCA

Release PET

Release PET

OCAOCA

ガラス+

フィルム

フィルム+

フィルム

●NNEシリーズ ~紫外線から下地を保護する粘着~

屋外で長期間、太陽光下に設置された場合、下地層が劣化し、黄変する課題がありました。マイグレーション抑制機能を維持しながら、UV(紫外線)カット機能を付与したOCAです。下地層を紫外線劣化から保護し、耐光性向上に好適です。

UV(紫外線)カット

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●耐アウトガスOCA ~アウトガスによる気泡発生抑制粘着~

被着体には、様々な素材や性質・特性があるため、それに応じたOCAを選択する必要があります。アクリルやポリカーボネートなどのプラスチック基材は特に注意が必要です。非対策のOCAを使用した場合、時間経過と共に、気泡が発生する課題を「アウトガス」と呼んでいます。これらのプラスチック基材は吸水性が高く、加工工程で基材に残った水分が時間経過や環境変化を受け、ガスとなって発生することがアウトガスの一因とみられています。被着体を繋ぐのはOCA。グンゼはアウトガス抑制機能に、さらに従来は両立が困難と言われていたUV(紫外線)カット機能を付与したOCAを提案します。

ポリカーボネート対応 開発品

試験構成

試験条件

状態写真

ポリカーボネート耐アウトガスOCAガラス

85℃/90%R.H.×500時間

85℃/90%R.H.×500時間

ポリカーボネート一般粘着材ガラス

【試験サンプル】

紫外線カットにより下地層の劣化を抑制 黄色味抑制設計

弊社配合設計により、UV吸収性の付与と黄色味(b*)上昇の抑制を両立

素ガラス

PETフィルムITO

粘着材

試験条件キセノンランプ 60W/m2240hr(素ガラス面側より照射)

NNE75 従来品

黄変を抑制 ΔE=0.2 黄変が発生 ΔE=2.7

耐アウトガスOCA

(UVカット付与)

一般粘着材

項目

b*

ΔE

b*

ΔE

0.4

-

0.3

-

0.4

0.06

0.6

0.28

初期値 120hr 後

■耐アウトガス機能 ■UVカット機能

気泡、剥がれなし 気泡、剥がれ発生

試験条件:キセノンランプ 60W/m2

【被着体】

OCA

●ラインナップ

厚 み

全光線透過率

HAZE

粘着力

マイグレーション抑制UVカット耐アウトガス酸フリー

粘着機能

品 番NNXシリーズ NNEシリーズ

μm

%

%

N/25mm

90.4

0.5

10.0

NNX50M

NNX75M

NNE75M

NNEA0M

耐アウトガスOCATBD

NNXA0M

NNXA2M

JIS K7361-1測定サンプル構成:フィルム/粘着層/素ガラス

JIS K7136測定サンプル構成:フィルム/粘着層/素ガラス

13.5(対ガラス)12.2(対ポリカーボネート)

JIS Z0237 準拠

測定方法

90.5

0.5

11.0

90.5

0.5

11.5

90.5

0.5

13.5

50 75 100

90.5

0.5

10.8

90.6

0.5

11.7

75 100

90.3

0.6

100125

※上記は実測値であり、保証値ではありません。

ガラス+

ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム

【被着体】

OCAOCA

ガラス+

フィルム

フィルム+

フィルム

機能性フィルム

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高硬度HDフィルム高硬度フィルム

鉛筆硬度は塗膜の硬さを表現するためのもので、JIS で規格化されています。樹脂やプラスチック、塗膜の引っ掻き傷への耐性を測る場合に鉛筆硬度が用いられ、JIS規格では6B~9Hの17段階があります。HDフィルムは最大値の9Hを発現します。

ガラス転移点という用語は、プラスチックに対して使用されます。プラスチックは、ある温度以下では分子の運動が制限され、硬質な性質を示します。ところが、ある温度以上に加熱すると、分子が運動しやすい状態になり、軟質の性質を示します。この温度のことをガラス転移点(Tg)といいます。

HDフィルムはガラス転移点が非検出であり、高温でも軟質化しにくく、加工プロセスなどに対する耐熱性があります。(200℃)

傷に強い!

高耐久!

■表面硬度比較

■高耐久

50 100 150 200 250

←endo

Heat Flow(mW)

Temperature(℃)

0.5

ガラス転移点

高耐熱フィルム基板

COP(シクロオレフィンポリマー)

ポリカーボネート

DSC測定

一般3H PET 9H HD

鉛筆硬度 4H~9H 3H H 3H H

PETフィルム種類 PC PES COPHD

Tg(℃)

UV(紫外線)耐久性キセノンランプ 60W/m2

>200

69

150

223

×

160

PETフィルム種類 PC PES COPHD

Protection FilmHD

Film

Protection Film

【概略構成】

HDフィルムPET

ハードコート

ハードコート

High Hardness High Durability Film

●HDフィルム(High Durability Film)とは

PETフィルムに硬度を付与するためには、ハードコートが不可欠です。しかし、9Hの発現には難易度が高いことやハードコートが紫外線劣化することが課題となっていました。

グンゼは成型加工により、特殊原料を用いた高硬度膜単体でのフィルム化を実現しました。原料配合の工夫と基材レス化により、高硬度・高耐熱・高耐光を両立させたフィルムです。

●高い耐久性が求められる用途に

HDフィルムは最大9Hの鉛筆硬度を有し、アクリル板と同等の硬度を維持しながら、重さ・厚みを軽減します。スマートフォン、タブレットPC等の最表面カバー、カーナビ等の高耐久性が要求される用途に好適です。

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ハードコートが付与されたPETフィルムの場合は、紫外線によってハードコートの劣化が生じる課題があります。

HD フィルムは単層で形成されたフィルムであり、ハードコートがないため、紫外線によって剥離することがありません。

●ラインナップ

■紫外線耐久性 (0hr) (528hr)

HDフィルム

ハードコートPET ハードコート

剥離

■光等方性

■光学特性

クリア面容

フィルム断面図

AG面容

ノンフィラーで表面凹形状を形成

一般PET HDフィルム

リタデーション(nm) <10 >100 <10 12 <10

PETフィルム種類 PC PES COPHD

虹ムラ発生無し!

結晶構造や高分子の配向などの影響を受け、2つ以上の屈折率を持つ特性のことを複屈折と呼びます。複屈折は屈折率の差で表され、屈折率差とフィルムの厚さの積をリタデーション(位相差)といいます。

PETフィルムなどは複屈折性を示し、リタデーションの高い材質であるため、光が通過すると光の干渉が生じ、虹ムラが発生します。HD フィルムはリタデーションが低く、偏光サングラス越しでも虹ムラが発生しません。

低反射機能付与の方法の一つにAG処理(Anti-Glare処理)があります。AG処理は、一般的にフィラーと呼ばれる数 um の粒子をハードコートへ添加することで発現します。HDフィルムは、表面へ直接凹凸形状を形成することで、AG処理を施すことが可能であり、ハードコート塗工の必要がありません。

機能性フィルム

※上記は実測値であり、保証値ではありません。

200μm

91~92%

1.0%以下

9H

68°

>200

<10

4%

550gf×100 回傷なし

100μm

90~91%

16±4%

9H

85°

>200

<10

<2%

550gf×100 回傷なし

膜厚計(接触式)

JIS K7361-1

JIS K7136

JIS K5600(750gf)

スチールウール (#0000)

DSC法

KOBRA

380 ~ 780nm

HD900CCSA HD900AG7CS4 備考

フィルム厚み

全光線透過率

HAZE

鉛筆高度

スチールウール

接触角度

ガラス転移点(Tg)

リタデーション(nm)

平均反射率

品番

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より良いインターフェイスで、人と、社会と、未来をつなぐ。

F I N E R I N T E R F A C Ec r e a t e s b e t t e r r e l a t i o n s h i p s .

●改良のため予告なく仕様を変更することがありますのでご了承ください。 ●このカタログは2019年 7月現在のものです。●グンゼ株式会社ウェブサイト http://www.gunze.co.jp

グンゼ株式会社 電子部品事業部

西日本エリア〒530-0001 大阪市北区梅田 2丁目 5番 25号 ハービスOSAKAオフィスタワー 21階TEL(06)7731-5770

東日本エリア〒103-0027 東京都中央区日本橋2丁目 10-4 グンゼ日本橋ビル9階TEL(03)3276-8717 

亀岡工場〒621-0806 京都府亀岡市余部町新堂10番地 TEL (0771)24-2681

【お問い合わせ先】

http://www.gunze.co.jp/denzai/