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ダニ媒介脳炎 (TBE) Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME) ダニ媒介脳炎(英名: Tick-borne encephalitis (TBE)) は、ある種のダニにかまれることにより感染 し中枢神経を侵される病気です。リスク地域の森林等 に立ち入ることにより感染する可能性があります。パ スチャライズ(加熱滅菌)されていない乳製品をこれ らの地域で摂取することによっても感染の危険性があ ります。以下にダニ媒介脳炎の発生エリアを列挙しま す。 西および中央ヨーロッパ(西部型) 次の国の森林・山岳地域:オーストリア、エストニア、ラ トビア、リトアニア、チェコ共和国、スロバキア、ドイ ツ、ハンガリー、ポーランド、スイス、ロシア西部、ウ クライナ、ベラルーシ、ルーマニア、クロアチア、旧ユー ゴスラビア北部、など。 発生頻度は以下の国では少しだけ低下しますが、可能性 は否定できません:ブルガリア、デンマーク、フランス、 スウェーデンのオーランド諸島と対岸域フィンランド、 スウェーデン南部沿岸はウプサラからカールスハムン付 近。 毎年、春の終わりから初秋まで何千例の発症が報告さ れ、西ヨーロッパのみでも年間平均3,000例の罹患者が出 ています。 アジア・シベリア(東部型、別名: RSSEV) ロシア東部(シベリア)、ブルガリア、イラン、さらには 韓国・中国および日本(北海道)の森林山間部。季節は 春から夏いっぱい。 特にシベリアでは局地的な流行もあると言われてます。 渡航者・海外勤務者などのリスク 発生地域の森林や山間部にハイキング・トレッキン グ・キャンプに行かれる方、同様の地域に勤務される 方は感染リスクが高いと思われます。これらの地域で 加熱滅菌されていない乳製品を摂取することによって 感染することもあります。 最も発生頻度が高いのは4月から9月にかけて。標高 1,000m以上では原因ウィルスは希です。 オーストリア政府は公式に居住者と旅行者にも警告を 発表しています。 予防接種の効果を出すためには早めの接種が必要です。余裕 を持ってスケジュールを組んでください。 THE KING CLINIC 03-3409-0764

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Page 1: Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME)thekingclinic.com/wp-content/themes/kingclinic/pdf/tbe-j.pdf · ダニ媒介脳炎 (TBE) Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME) ダニ媒介脳炎(英名:

ダニ媒介脳炎 (TBE)Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME)

ダニ媒介脳炎(英名: Tick-borne encephalitis (TBE)) は、ある種のダニにかまれることにより感染し中枢神経を侵される病気です。リスク地域の森林等に立ち入ることにより感染する可能性があります。パスチャライズ(加熱滅菌)されていない乳製品をこれらの地域で摂取することによっても感染の危険性があります。以下にダニ媒介脳炎の発生エリアを列挙します。西および中央ヨーロッパ(西部型)

• 次の国の森林・山岳地域:オーストリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、チェコ共和国、スロバキア、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スイス、ロシア西部、ウクライナ、ベラルーシ、ルーマニア、クロアチア、旧ユーゴスラビア北部、など。

• 発生頻度は以下の国では少しだけ低下しますが、可能性は否定できません:ブルガリア、デンマーク、フランス、スウェーデンのオーランド諸島と対岸域フィンランド、スウェーデン南部沿岸はウプサラからカールスハムン付近。

• 毎年、春の終わりから初秋まで何千例の発症が報告され、西ヨーロッパのみでも年間平均3,000例の罹患者が出ています。

アジア・シベリア(東部型、別名: RSSEV)

• ロシア東部(シベリア)、ブルガリア、イラン、さらには韓国・中国および日本(北海道)の森林山間部。季節は春から夏いっぱい。

• 特にシベリアでは局地的な流行もあると言われてます。

渡航者・海外勤務者などのリスク

• 発生地域の森林や山間部にハイキング・トレッキング・キャンプに行かれる方、同様の地域に勤務される方は感染リスクが高いと思われます。これらの地域で加熱滅菌されていない乳製品を摂取することによって感染することもあります。

• 最も発生頻度が高いのは4月から9月にかけて。標高1,000m以上では原因ウィルスは希です。

• オーストリア政府は公式に居住者と旅行者にも警告を発表しています。

• 予防接種の効果を出すためには早めの接種が必要です。余裕を持ってスケジュールを組んでください。

THE KING CLINIC 03-3409-0764

Page 2: Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME)thekingclinic.com/wp-content/themes/kingclinic/pdf/tbe-j.pdf · ダニ媒介脳炎 (TBE) Frühsommer Meningo-Enzephalitis (FSME) ダニ媒介脳炎(英名:

症状ダニ媒介脳炎の潜伏期間は

通常7-14日を言われていますが、前後することもあります。感染者の凡そ3分の2は、1週間ほどの感冒様症状を経験します。この後、3分の1は1~20日間の発熱である第1期を経て、または直接、病気の第2期に入ります。高熱と髄膜炎を伴う神経症状(頭痛、けいれん、麻痺など)が出ます。これら、悪化した方々のうち3分の1から2分の1は麻痺を含む後遺症を一生背負うことになります。 有症状者の致死率は西部型で0.5~2.0%、東部型で5~

20%と報告されています。通常、神経症状が発症してから5~7日後に死亡すると報告されています。

治療法

ダニ媒介脳炎に治療法はありません。熱を下げたり、痙攣を止めたり、呼吸を維持するのに人工呼吸器による管理などの対症療法ぐらいしか存在しません。

予防法

虫さされ予防策をとれば、ダニ媒介脳炎に罹るリスクを軽減できるかもしれません。また、発生地域で加熱滅菌されてない乳製品を避けることも肝要です。洋服は念入りに虫除けスプレーを施し、ズボンの裾はソックスの中に入れましょう。しかし、これらの対策には完璧な安全の保証はありません。

ダニ媒介脳炎ワクチンは発生地域に行かれる旅行者や業務によるリスクのある方には有用です。このワクチンは日本国内で製造販売または流通していませんので、個人輸入をしているごく僅かな診療所でしか接種できません。国内未承認ですので、使用は許可されていますが、流通の認可はありません。

ダニ媒介脳炎の免疫グロブリンも一部のヨーロッパ諸国で入手可能でしたが、その効果が疑問視され、最近では推奨されなくなりました。

ダニ媒介脳炎ワクチン接種した方がよい方:

• ダニ媒介脳炎ウィルスが伝染している地域の住民全員。

• 発生地域に業務上行かなければならない方。例)農園・森林管理者、森林・環境調査団、軍人・傭兵、政府・国際団体などでそれらの地域に赴く方。

• 春から秋にかけての季節に発生地域に旅行される方。キャンプ、ハイキング・トレッキング、スカウト、など。

ワクチンのスケジュール概要:

• 初めて受ける方は3回の接種が必要です。

• 上記3回のうち、最初の2回で凡そ1年間の免疫が持続します。

ワクチンを受けない方がよい方:

• 12歳未満  (Encepur は12歳以上用です)• 高熱のある方。• 卵白を含む、ワクチンの材料にアレルギーをお持ちの方。• 自己免疫疾患のある方は注意が必要です。• 妊娠の可能性、または接種スケジュール期間中に妊娠する可能性のある方は担当医にお申し出ください。

起こりうる副作用:

• 注射した局所の腫れ、発赤、痛み。

• 頭痛や微熱を含む、感冒様症状。ふらつき、めまい、かゆみやしびれ感も一時的に出るかもしれません。

• 上記より希になりますが、嘔気、倦怠感、筋肉痛、関節痛も報告されたものがあります。対症療法で治ります。

• 上記のような症状は通常24時間以内に消失します。

• アナフィラキシーショック。

ワクチン (Encepur) のスケジュール:免疫力は2回目の注射の14日後からつきます。

早めの接種をおすすめします。

<通常接種>

1回目の接種の1~3ヶ月後に2回目。2回目の接種の9~12ヶ月後に3回目。

<緊急接種>

渡航スケジュールの都合で「通常接種」では間に合わない場合、1回目接種後7日目に2回目の接種。(これより14日後にはとりあえずの免疫力がつきます。)時間があれば、3回目は2回目の14日後に接種。その後、1

年後にブースター1回で通常接種同様、3年間維持されます。

免疫力の持続期間:

<通常接種の場合>

3 年

<緊急接種3回>

12~18 ヶ月(2回のみの場合、約1年)

追加接種(ブースター)を1回行うことにより、さらに3年間の効果延長。

THE KING CLINIC 03-3409-0764