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平成26年度 ゼミ成果発表会 講演要旨集 拓殖大学北海道短期大学環境農学科 日 時:平成27年2月5日(木) 会 場: 101教室 午前の部 1.大道ゼミ「野菜の生産と栽培」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.1 2.岡﨑ゼミ「花卉の生産と活用」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.3.八谷ゼミ「農薬・害虫天敵・外来生物」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.午後の部 4.岡田ゼミ「水田土壌と窒素施肥」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.5.東田ゼミ「畑作物と施肥改善」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.6.古屋ゼミ「農業農村の食と生活文化」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.12 7.村上ゼミ「歴史と地域を見すえ日本農業の可能性を探る」・・・・・・・・・・・・ p.13 8.満月ゼミ「農業で世界の未来を拓く」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.14 2年生実行委員 山本 大河 副委員長 工藤 駕司・杉田 宏貴 実行委員: 小野 曜・棚橋 勇太・吉永 貴紀 ・牧野 竜並・坂本 賢哉

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平成26年度

ゼミ成果発表会 講演要旨集

拓殖大学北海道短期大学環境農学科

日 時:平成27年2月5日(木)

会 場: 101教室

午前の部

1.大道ゼミ「野菜の生産と栽培」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.1

2.岡﨑ゼミ「花卉の生産と活用」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.3

3.八谷ゼミ「農薬・害虫天敵・外来生物」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.5

午後の部

4.岡田ゼミ「水田土壌と窒素施肥」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.7

5.東田ゼミ「畑作物と施肥改善」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.9

6.古屋ゼミ「農業農村の食と生活文化」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.12

7.村上ゼミ「歴史と地域を見すえ日本農業の可能性を探る」・・・・・・・・・・・・ p.13

8.満月ゼミ「農業で世界の未来を拓く」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.14

2年生実行委員

委 員 長 : 山本 大河

副委員長 : 工藤 駕司・杉田 宏貴

実行委員: 小野 曜・棚橋 勇太・吉永 貴紀

・牧野 竜並・坂本 賢哉

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< 午 前 の 部 >

1.大道ゼミ 「野菜の生産と栽培」 ・・・・ 9:05~10:00

1.カリ過剰ほ場におけるカリ施用がサツマイモの塊根に与える影響

菅原 直樹

カリが過剰に含まれている拓殖大学北海道短期大学において、カリ施肥量の違い

がサツマイモの塊根に与える影響について 2012年、2013年、2014年の 3年間検討

した。カリ施肥量の違いがサツマイモのいも重や規格内収量に与える影響に差は見

られなかったが、いも重がやや小さくなる傾向が見られた。また、2S+S規格はカ

リ施肥量が多くなるにつれて増加する傾向が見られた。カリ過剰ほ場ではカリの施

肥量が少なくても規格内収量に影響が少ないことから、カリの減肥を行うことがで

きると考えられた。

2.植え付け方法がサツマイモの塊根に与える影響

工藤凌司

サツマイモの植え付け方法の違いが塊根に及ぼす影響について 2012年、2013年、

2014年の 3年間検討したことをまとめた。

品種は、ベニアズマ、なると金時、コガネセンガンを使用し舟底植え、斜め植え、

直立植えの3方法で行った。3年間の平均を比較した結果、植え方別 A品芋数(青

果用販売が可能な見栄えの良い芋)割合は品種により異なる傾向もみられたが、3

品種をあわせた結果は、斜め植えと直立植えが多くなる傾向であった。青果用のサ

ツマイモを生産するには斜め植え、直立植えが適していると考えられた。今後はさ

らに疎植と密植での収量、品質の違いなどの栽植密度との関係性について検討して

いく予定である。

3.ポット栽培における潅水中断時期がサツマイモの生育・塊根に与える影響

亀山 由樹

拓大北海道短大でこれまでサツマイモの試験を実施してきた中で近年多くの規格

外品が多く見られた。特に 2013年は B品(条溝、変形いも等)が多かった。条溝の

発生は主要生産地においても問題になっている。2013年の気象条件から干ばつまた

は、長雨が影響を与えていると考えられる。そこで、ポットを利用して潅水を中断

した乾燥状態を作り、サツマイモの生育、塊根に影響を与えるかを検討した。今回

の試験では明確な影響は見られなかった。サツマイモ栽培圃場では 2014 年も 9月の

長雨が有り、条溝の発生が多かった。

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4.道北におけるラッカセイの適品種

佐々木 孝斗

拓大北海道短大では 2007年からラッカセイの栽培試験を行っており、2014年は

中生、晩生品種について検討し、道北におけるラッカセイの適品種について 2010年

に検討した晩生品種のデータも含め比較したので報告する。2010年の報告から道北

では‘郷の香’が直播栽培で莢収量が 600kg/10aの規格内莢収量は確保できていた

が、2014年は全品種において、600kg/10aにはとどかなかった。郷の香はそのなか

で規格内莢収量が高く、製品粒率も高く、今回の試験品種の中では道北に適した品

種と考えられた。

5.道北におけるリーキ栽培と糖度

大澤 圭介

道北で高品質のリーキ生産のための、定植時期及び収穫時期の違いによる収量と

糖度について検討した。調整葉鞘径は 6月定植区が太くなる傾向がみられた。6月

定植区収穫時期別比較で、収穫時期が遅くなると 1本重は徐々に重くなり、調整葉

鞘径も徐々に太くなる傾向が見られた。加熱後に Brixの上昇が見られ 1%の有意差

がみられた。道北における高品質なリーキ生産には大苗を定植し、収穫時期を定植

後 130日以降にすることが茎径 30mm以上のリーキ生産が可能と考えられた。30mm

以上の製品率の向上についてもさらに検討が必要である。

6.四季成イチゴの収量と作物体硝酸態窒素含量及び養分吸収量

水留 大

近年、新しい四季成り品種が開発されているが、収量と作物体硝酸態窒素含量及

び養分吸収についての報告はすくない。今回、新しい種子繁殖型品種を含めた四季

成り性イチゴ 3品種について検討を行った。四季成りイチゴの株当たり収量はアル

ビオンが最も多く 319g(約 1000kg/10a)であった。の養分吸収量は、窒素が 1.53

~2.19g、リン酸が 0.65~1.24g、カリが 1.96~2.73gであった。平成 25年の吸収

量と比べると平成 26 年は全体的に少なく、窒素吸収量は平成 20年の道南農試の成

績とほぼ同等の数字であった。

7.光照射技術を利用したパプリカの増収効果

須藤 拓也

近年、収穫したパプリカに光照射することで着色が促進されるということが明ら

かになり、その技術を利用し、着色 20%で早どりすることでパプリカの増収を図れ

るか検討した。

商品果数は試験した 2品種とも早どり区のほうがやや多くなる傾向にあった。1

株あたりの商品収量では、両品種とも試験区のほうが多くなる傾向にあった。光照

射技術による早どり収穫をすることにより、完熟果を収穫するより商品果数は多く

なった。

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8.湛液栽培における養液水温がホウレンソウの生育に与える影響

安宅 海熙

近年、野菜類を安定供給するためには施設園芸は必要不可欠な状態で、養液栽培

は全国及び北海道においても面積は増加傾向にある。湛液式養液栽培方法の気温、

養液水温が生育に影響を与えるか、高温区、低温区を設け7月と10月の二回試験

を行った。7月どり作型は気温にともない水温も上昇し生育不良が見られた。10月

どり作型は、最高養液水温と最低養液水温の差が大きかったが、ホウレンソウの生

育適水温の 15~20℃前後の水温に近く、生育が良かった。

2.岡﨑ゼミ 「花卉の生産と活用」 ・・・・・・ 10:10~11:10

9、10.花壇用草花の栽培管理(育苗編・栽培編)

石川 逸人・大畑 佑平

花壇用に供される一年草は、多種多様であるが、11 科、21 品種、27 種類の一年

草を栽培し、花壇に定植した。

花壇苗の育苗管理のポイントをまとめるとともに、花壇に植栽した草花の栽培管

理についてその概要をまとめた。

11.シーベリーの挿し木繁殖試験

山本 大河

近年、注目を集めているシーベリーという小果樹は北海道の奨励果樹に認定され

ている。

今回はこのシーベリーを挿し木で繁殖させる試験を実施した。挿し木に用いた木

用土が、その種類や pH 等の違いによって、発根の適否が異なることが判った。

また、シーベリーを僅かであるが、収穫できたことから、ジャム加工を試みた。

種子や果皮をどの時点で除去するか、また、添加する糖分量等について検討した。

12.シーベリーの茎頂培養

臼井 貴央

シーベリーはグミ科ヒッポファエ属の小果樹である。北海道のような冷涼な気候

を好む傾向があり、-30℃以下の低温に耐性を持っている。昨年、挿し木試験を試

みたが、オス品種の発根が皆無であった。

オス品種の個体増殖を目的として茎頂培養を行った。なお、茎頂培養の培地は½MS

および WPM 培地及びその修正培地を用いるなどして、培養を試みた。また、茎頂は

主に腋芽を供試材料とした。

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13.ヒマワリ播種時の処理の違いが初期生育に及ぼす影響

辻 貴将

ヒマワリはキク科ヒマワリ属の 1 年草または多年草で北アメリカ原産の花卉であ

る。近年、種苗会社では通常の種子よりも初期生育が良いコーティング処理をおこ

なった種子が販売されているが、新品種ついては、コーティング処理されている種

子が販売されていない。

そのため、播種時の吸水処理の有無が生育初期におよぼす影響を調査した結果、

種子に予め吸水させる処理が効果的であることが判った。また、ヒマワリ栽培の収

益性を上げる方法を検討した。

14.モデルガーデンの植栽植物を APG分類体系で分類

東本 恵

APGとは Angiosperm Phylogeny Groupの略で、この APG分類体系は遺伝子の情報

に基づいた分類体系である。本学のモデルガーデンの被子植物をエングラー分類か

ら APG 分類に変更される場合の大きな変化や目・科・属の統廃合や配置換え等を調

査した。

APG 分類によって、被子植物の科数が増え、今後すべての属の分子情報が解析さ

れることによって、さらに科が増える可能性がある。APG 分類体系は進化と多様性

を知る重要な手がかりをもっているといえる。

15.シネンシス系ハイブリットスターチスの栽培

永野 志津子

スターチスはリモニウム属の「Limonium」の旧学名であり、L.sinensis を中心と

したシネンシス系品種は、装飾花として人気がある。シネンシス系ハイブリットス

ターチスの採花までの生育状況を把握するとともに、収益性を左右する要因を検証

した。

その結果、5 月上中旬の高温によって、正常な抽台数を確保できず、株の生育が

不良となったことから、期待する採花本数、草丈を達成することができなかった。

定植後の温度管理を適正化する必要があることが判った。

16.エディブルフラワーのビタミン C

中橋 芙弥子

エディブルフラワーは、観賞用とは違い野菜と同じように安心して食べることが

できる花卉であり、品種も豊富にあることから、それらの花卉の花器(花弁・雄蕊・

雌蕊・子房・萼片)に含まれるビタミン C含有量を調査した。

採花後のビタミン C の増減を調査し、輸送に適するエディブルフラワーを検討し

た結果、インパチェンスやサルビアファリナセア等の花器が 15℃の低温輸送におい

てもビタミン Cの低下がなく、輸送に適することが判った。

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17.ユーストマ栽培における高分子ポリマーの効果

藤田 涼太郎

ユーストマはリンドウ科ユーストマ属の 1・2 年草である。日本国内では、トルコ

ギキョウの名で親しまれ、各産地の連携で周年生産されている。育苗中の水分保持

が大変重要であることから、本試験では水分保持とかん水作業の軽減を期待し播

種・育苗段階で高分子ポリマーを培養土に混和させた。

発根、発芽及び定植後の生育に及ぼす影響を調査、草丈、総花蕾数等の切り花品

質について 2 か年に渡り比較検討した結果、高分子ポリマーを添加した苗は、短日

処理及び長日処理を施すことによってより高品質な切り花生産ができることが判っ

た。

3.八谷ゼミ 「農薬・害虫天敵・外来生物」・・11:20~12:00

18.各種天然物質が持つ意外に高い害虫防除効果

岡崎 允彦

環境に配慮した農業を行うためには、環境にやさしい防除を行う必要がある。そ

こで、天然物質に由来する農薬(粘着くん液剤、サンクリスタル乳剤、スピノエー

ス顆粒水和剤)や農薬以外で殺虫効果があるとされているもの(木酢液、とうがら

し抽出液、にんにく抽出液、粉わさび)が、どのような防除効果を持っているかを、

キャベツ害虫を対象にして試験した。その結果、薬剤によっては一般的な化学農薬

(オルトラン水和剤)と比較しても遜色ない意外に高い防除効果が認められた。

19.イネアオムシと野菜のアオムシには寄生蜂が高率で寄生!

山崎 慎太郎

環境保全型農業(クリーン農業)を広めるためには、害虫に対する土着天敵の保全

やその利用を更に行っていく必要があるが、普通の害虫であっても、その害虫の天

敵に関する知見は少ない。そこで、調査が比較的容易な野菜のアオムシ(モンシロ

チョウ)および水稲のイネアオムシ(フタオビコヤガ)に対する寄生蜂の寄生を調

査した。その結果、アオムシ幼虫の 29~50%にはアオムシコマユバチおよびそれに

寄生する二次寄生蜂が寄生し、イネアオムシの幼虫(蛹)の 46%にはアオムシヒラタ

ヒメバチが寄生していて、害虫の多発生を抑える重要な力となっていることが分か

った。

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20.無農薬水田のイネドロオイムシは寄生蜂でほとんど死亡する!

松井 暁

農薬で害虫を効率的に防除したり、農薬の使用量を減らすためには、害虫の天敵

などを含む農地の生態系をよく知っておくことが重要である。そこで、農地の生態

系の実態を明らかにする取りくみの一つとして、水田の代表的害虫であるイネドロ

オイムシを対象にして、農薬を使っていない有機栽培水田

において、寄生性天敵の寄生率と種類を調べた。その結果、

卵に対してはホソハネコバチ科(世界最小の昆虫)の 1種、

繭に対してはヒメバチ科の 2 種とそれに二次寄生するコガ

ネコバチ科の 2 種が寄生していて、時期と場所によっては

90%を大きく超える寄生率であることが分かった。

体長 0.5mmの寄生蜂

21.農場で簡単に見つかる害虫とそれを捕食する天敵たち

鈴木 大介

農作物を栽培すると、害虫やその天敵類がたくさん発生する。昨年の卒論研究(竹

内、2013)では害虫、捕食性天敵、寄生性天敵など 6 作物から害虫 12 種、捕食性天

敵 10種、寄生性天敵 12種、全部で 34種の生息の確認がされた。だが、既に知られ

ている種のほんの一部だった。そこで、今回も実際にどんな害虫や天敵類が発生す

るのか、どの作物に生息しているのかを明らかにし、それらの写真を撮り、生態と

名前を調べた結果、新たに害虫 5種、捕食性天敵 7種を記録した。

22.地域住民とタッグ ――“ひきがえるバスターズ”の活動記録

小野 曜

本来北海道には生息していなかった国内外来種であるアズマヒキガエル。人の手

によって北海道に定着し、北は旭川市から南は函館市まで広い範囲でその存在が確

認されている。本種の天敵は北海道には生息しておらず、際限なく増殖を続けてい

るため、もともとあった生態系に悪影響を及ぼす可能性が危惧されている。数年前

より深川市内においても急速に増殖・蔓延しつつある本種に対応するべく、平成 25

年に結成された“ひきがえるバスターズ”。深川市の後援と緑町東町内会との連携

によって行われたアズマヒキガエルの駆除活動の記録を取りまとめた。

23.生態系を食い荒らすアズマヒキガエルの胃袋の中身

黒田 啓太

近年、深川市への侵入・分布拡大が認められている国内外来種アズマヒキガエル

(Bufo japonicas formosus)の胃内容物を調べ、本種がどんな地上歩行性の小動物を、

いつ、どれくらい捕食しているかを明らかにしたので、これをもとに、本種が地域

の生態系に与える影響について述べる。また、本学が主体となって行っている「ひ

きがえるバスターズ」のヒキガエル駆除活動の意義についても考察する。

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< 午 後 の 部 > 4.岡田ゼミ 「水田土壌と窒素施肥」 ・・・・ 13:00~14:00

24.大規模経営において塩安・尿素を使用したときの水稲初期生育比較

大田 翔也

経営規模の拡大に伴い、施肥後の耕起入水の遅延が想定される。そこで施肥後 10

日間おき、耕起入水を行う区(表層区)を設け、肥料として塩安と尿素をそれぞれ施

用した際の初期生育への影響を明らかにした。

塩安区比べ、尿素区は土壌中無機態窒素量が幼穂形成期まで少なく、生育も劣る。

硝酸態窒素は入水による溶脱量は少なく、施肥直後の降雨が尿素区の生育低下につ

ながったものと推測される。幼穂形成期以降、尿素区の土壌中無機態窒素量は塩安

区に次第に差が縮まり、成熟期の生育に差はない。

25.水稲の生育収量に及ぼす尿素の影響

小澤 直哉

近年、肥料価格の高騰を受け、コスト削減は農業者にとって課題の一つになって

いる。そこで窒素成分あたりの価格が安い尿素を使用し、2014年、2013年

の結果を見ながら実用性を検証した。結果は、施肥後直後に耕起入水する慣行区で

は塩安と比べ尿素の生育はやや劣るが収量は変わらない。施肥から10日間おき入

水した表層区は塩安と比べ尿素の生育は変わらず、収量は多くなる。昨年は慣行区、

表層区ともにタンパクが塩安より尿素はやや高くなる傾向にあった。

26.窒素質肥料に尿素を使用した時の水稲の生育に及ぼす影響

村岡 治

尿素は一般的な窒素質肥料の塩安よりも窒素あたりの価格が安価なため、水田の

使用が期待されている。しかし、尿素は水に溶けやすく、水田には不向きとされて

いる。 そのため施肥後の耕起を早め(全層処理区)、入水までに尿素を水に流され

にくいアンモニア態窒素とすることが安全とされている。

施肥後すぐ耕起をしない表層処理区と比べ、全層処理区は土壌中のアンモニア態

窒素量が少ないため、初期生育が遅れることがわかった。しかし出穂期以降は生育

が表層処理区に追いついた。

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27、28.水稲の大規模経営における窒素施肥法

山本 一貴、平田駿也、本間龍司

一農家当たりの経営面積の増加につれて施肥から耕起までの期間は長くなる傾向

にある。このことから、施肥・耕起・入水を同時に行う慣行区を基準とし、施肥し

てから 10日後に耕起・入水を行う表層区を設けた。また、窒素質肥料として尿素を

使用した場合、施肥後の耕起が早いと尿素はアンモニア態窒素に変わるのが早い。

そこで、施肥・耕起を同時に行い、10日おいてから入水を行う全層区の計3区を設

けた。

尿素区を使用した場合、慣行区と比べると精玄米重は表層区、全層区ともに変わ

らず、精米タンパクは表層区は変わらず、全層区は高い。

29.北空知における水稲の初期生育不良

坂本 賢哉

深川市北部の多度志において水稲の初期生育障害が認められる(平成25年岡田

ゼミ卒論)。今年は障害の見られた圃場内で微量要素(鉄、銅、亜鉛)の葉面散布

試験を行った。

拓大と比べ多度志の水稲は、草丈は出穂期は低く、葉色は幼穂形成期に高く、出

穂期には低くなり、茎数は全ての生育期で少ない。葉面散布効果は幼穂形成期で銅

区の茎数が多くなるが、出穂期は全ての区で散布の効果は見られない。全乾物重は

幼穂形成期、出穂期共に銅区で良くなる傾向が見られた。

30.ニッケルが水稲の生育に及ぼす影響

荻野 準一

北海道内はニッケルの多く含まれる土壌が分布する。本試験では水耕栽培を行い

ニッケル濃度を変え、水稲の幼穂形成期、出穂期、成熟期の草丈、葉色、茎数、乾

物重への影響を明らかにした。品種は「ななつぼし」を使用し、処理区は Ni濃度 0、

15、30、60、120、240、320、640ppmの 8区とした。

Ni濃度が高まるにつれ生育は悪くなる。幼穂形成期の生育阻害程度は地下部>地

上部>草丈=葉色=茎数となり、根から養水分の吸収が阻害され、茎は一本一本細

くなると考えた。

31.深川市における早晩性の異なる水稲品種の生育・収量・品質特性

塚田 圭祐

北海道は早生から晩生まで早晩性の異なる数種類の奨励品種が栽培されている。

そこで、短大圃場で、早生の「ほしまる」、中生の「ななつぼし」、晩生の「ふ

っくりんこ」を使用して、早晩性の異なる水稲の生育・収量・品質特性を調べた。

「ほしまる」は茎数・穂数は多いが、一穂籾数が少なく減収する。精米タンパク

含有率は高く粘りは弱いが軟らかい。「ふっくりんこ」は茎数が早く揃い収量は取

れるが屑米が多い。精米タンパク含有率は低く、食味は総合的にバランスが良い。

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32.水稲複合経営におけるトマト導入の可能性

青山 侑太

私は将来母方の実家の石狩の浜益で水稲を中心に経営している後藤農場に就農す

る。自分が将来、就農するときには現在よりも収益を上げていきたいため、農業研

修の時に水稲とトマトの相性がいいと聞いたトマトの導入を検討した。

浜益では 12 月から 2 月までは根雪となるので、3 月から 11 月までトマトの栽培

が可能である。トマトのハウス抑制栽培は他の作型と比べ収益は低いが、水稲と作

業が重ならないことから最もよい。

5.東田ゼミ 「畑作物と施肥改善」 ・・・・・・・ 14:10~15:10

33.播種時期の違いによる緑肥作物の生育量の違いと積算気温の関係

田中 涼

緑肥栽培は土壌への有機物供給や土壌病害軽減などの目的で広く取り組まれてい

る。緑肥作物であるエンバク野生種、キガラシ、ヒマワリの生育量は春播き条件で

370~1650kg/10aであり、秋播きでは小麦後播種で 190~570kg/10aであった。乾物

重を比べると、春播きではヒマワリ、秋播きではキガラシが適していた。いずれの

播種期も窒素施肥は乾物重を増やした。乾物 300kg/10a を得るための日積算気温は

春播きでは 330~732、秋まき小麦跡では 417~882 であった。美幌町の平均気温か

ら算出した乾物生産 300kg を得るための播種晩限は、エンバク野生種、キガラシ、

ヒマワリでそれぞれ、7/30、9/23、8/30だった。

34.秋まき小麦「ゆめちから」の高収、高タンパクのための窒素追肥法

高橋 彰仁

パン用小麦「ゆめちから」は日本麺用小麦に比べて高い窒素含量を求められる。

そのため、窒素施肥量を大幅に増やさなければならない。起生期 8kg、止葉期 6kg

を基本とし、多収と高タンパクを目的に施肥条件を変えた処理区を設けた。最も多

収だったのは、起生期の追肥を幼形期まで遅らせた区だった。出穂期に追肥すると

減収したが、出穂後 17 日目の追肥では増収しタンパクが高まる処理区もあった。本

年は雨が少なかったために土壌が乾燥し、追肥の効果が不安定だった。「ゆめちか

ら」では施肥量が多いので、高浸透圧の障害が出た可能性がある。

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35.秋まき小麦の起生期分肥に用いる硫安、塩安の肥効の違い 牧野 竜並

秋まき小麦起生期追肥に用いる硫安の値段は近年高騰している。昨年までの実験

の結果では、塩安は硫安よりも多収であった。本年は窒素施肥量の多いパン用小麦

「ゆめちから」を供試し、両者の肥効を比較した。塩安は硫安に比べて硝酸化成が

遅く、塩安区の小麦の葉色は硫安に比べて葉色は薄かった。標準施肥量では昨年ま

でと同様に塩安の方が多収だった。高たんぱくを狙って出穂期に追肥した処理では

硫安区の収量はほとんど変わらずタンパクを1.5%ポイント高めた。塩安は標準施

肥量区に比べてタンパクをわずかに高め収量は減収した。ECを高める塩安は施肥

量が多い場合の追肥には不向きと判断した。

36.てんさいの合理的な窒素肥料 鎌田 誠貴

てんさいに対する最適な窒素肥料を明らかにする目的で、硫安+硝酸 30%、硫安

50%+尿素 50%、硫安 100%、塩安 100%の4つ処理区を設けて比較した。初期の葉

色は硝酸化成の遅い塩安が薄かった。7月に入るとその差はなくなった。7月の干ば

つ時期に塩安区は葉が立っていたが、他の区はしおれていた。収穫時の乾物重は塩

安区で最も高く、糖分含有率、糖量も高かった。塩安施用によって葉の浸透圧が高

まり、干ばつ時に乾物生産を維持できた可能性がある。よって、てんさいの施肥に

価格の安い塩安を活用できる。

37.施肥条件の違いがばれいしょのデンプン価と収量に及ぼす影響 平林 隆

拓大圃場で実施した過去の実験では、ばれいしょは無リン酸でも減収せず、でん

ぷん価は高まった。EC の高い処理で窒素の肥効が遅れることがでんぷん価を下げた

原因と考えた。本年は EC を高めないリン酸肥料としてリン安、逆に EC を高める塩

安を供試し、それらの収量およびでんぷん価に及ぼす影響を調べた。ECを高めない

硫安―P区とリン安+尿素区は収量が多かった。ECを高める硫安+P、塩安―P区と

硫安―P+CaCl2区の収量は低く、でんぷん価も低かった。EC を高めない施肥は収

量を高め、塩素系の肥料は減収させることを確認できた。

38.大豆の土壌リン酸肥沃度別の施肥反応の違い 小関 奈月

豆類はリン酸施用を減らすことは難しいとされるが、拓大のこれまでの実験では

大幅減肥が可能だった。本年は土壌のトルオーグリン酸を二水準とし、リン酸減肥

と収量、品質の関係を検討し、経済コストの面の考察を加えた。

初期生育時のリン酸吸収量、含有率は土壌リン酸の肥沃な系列で高かったが、草

丈や生重などの生育に差は生じなかった。収穫時の子実重や収穫指数には処理によ

る違いはなかった。百粒重はリン酸肥沃度の高い系列で小さかった。トルオーグリ

ン酸が診断基準値を越えたあたりから大豆のリン酸施肥量を大幅に減肥できた。

20ha規模の作付けで、リン酸を半量にすれば、約 47万円を節約できる。

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39.小豆のリン酸施肥反応

栗城 俊之介

小豆にリン酸を多肥すると登熟が早まり、濃赤化や小粒化する可能性がある。本

実験では、リン酸施肥量違いが諸形質に及ぼす影響を明らかにしようとした。1 番

から4番までの処理区を設け、それぞれ 0,5,10,20kg/10a のリン酸を施肥した。リ

ン酸の施肥量により初期生育には違いはなかった。収穫期の子実リン酸含有率には

区間差はなかった。子実収量は 5kg で最も高く、10kg、,20kg では低下した。百粒

重には差がなかった。有効態リン酸 35mg/100g 程度の圃場でもリン酸を 50%程度削

減できることがわかった。

40.土壌亜鉛濃度が各種作物の生育に及ぼす影響

渡部 敦也

堆肥の施用など通常の土壌管理を継続すると土壌の亜鉛含有率は徐々に高まる。

本実験では土壌亜鉛濃度が作物体の生育量に及ぼす影響を調べる。方法としては供

試作物 9 種類を Zn 濃度 0、20、40、80ppm となるように硫酸亜鉛を添加したポット

で栽培した。結果としては低pH系列ではほうれんそう、コマツナなど 40ppm を超

えると生育量が低下するものがあった。高pH系列では亜鉛の障害は低pH系列よ

り小さいものの、てんさい、ヒマワリなど高Zn処理では生育量が低下した。ほう

れんそうを除けば作物体の亜鉛含有率 700ppm までは生育量に低下は見られなかっ

た。現在の土壌診断基準値 40ppm 以下でも作物によっては生育量が低下したので土

壌の Znは 20ppmを超えない水準にとどめるべきである。

41.高等学校実験実習圃場の土壌化学性

湯浅 洋直

適正な施肥と土壌管理は環境保全型農業の前提である。高校の実習圃場でも慣行

的な施肥により養分蓄積および不足が起こっている可能性がある。その点を明らか

にするため高等学校から土壌試料を提供いただき、土壌分析を行った。

土壌分析の結果、通年被覆ハウスでは硝酸をはじめとする養分の過剰蓄積が認め

られた。普通畑を含め、多くの圃場でリン酸、カリが診断基準値を大幅に超えてお

り、施肥量を減らすことができる。亜鉛で高濃度耐性の小さな作物で低収化する恐

れのある圃場があった。銅のみ全ての圃場で基準値以下、基準値内だった。このよ

うに一部の圃場では、施肥改善が必要であると考えられる。

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6.古屋ゼミ 「農業農村の食と生活文化」 ・・・ 15:20~15:50

42.北空知の山菜とその加工

天方 文博

私は山菜に興味があり、採取と料理について新たな可能性を探求した。深川市近

隣での自生調査を行い山菜の自生適地での調査を行った。山菜料理と現代食の調和

についても研究した。山菜を採取し自宅に持ち帰り、食味試験を行った。塩蔵等の

保存試験も行った。本学にてクルミを採取し、土に埋めて一月後掘り起こし、水で

洗浄してみかんネットでぶら下げて乾燥させた。さらに行者ニンニクについて調理

を研究した。塩蔵は漬け方にも工夫が必要であると分かった。今後私は食生活に山

菜を多く摂りいれ、健康な体づくりを目指していく。

43.藁細工と祭儀

中村 優希

本発表はゼミの俵製作実習での俵作りを通じ、納内神社新嘗祭に俵を奉納する機

会があった。藁文化が農業に密接していることから、どのようにして密接に関係し

ているのか、また祭儀との繋がりについて調査・研究した。また、自身が沖縄出身

ということもあり、地域によっての違いや類似した細工がないかを調べた。このこ

とから、細工は現代の私生活にはほとんど関わりはないが、歴史を語る上で大切な

農村文化遺産として残すべきであると考える。

44.黒千石の新品種実証調査

棚橋 勇太

極小粒黒色種皮品種「黒千石」は緑肥用品種として栽培されていたもので、子実

用目的の栽培極晩生・耐倒伏性・少収などの欠点が多い。しかし、黒千石にはイソ

ブラホンやポリフェノール含量が多く、健康食品として注目を集め栽培上脚光を浴

びた。これまでの欠点を改良するため「黒千石」×「ユキシズカ」の交雑種から栽

培が進められた。そこで私は、深川の現地調査を通して新品種の固定に貢献したい

と考え、研究をすすめた。この結果、早生化・耐倒伏性について一部向上できた。

収量は他の品種に比べて増加していることが理解できた。

45.北海道におけるヤマウドの実生繁殖および育苗

小林 正二

ウドは古くから知られている山菜である。北海道では温室栽培されたものが 1 月

中旬から 5 月初旬に、露地栽培されたものが 5,6 月に流通している。このことから

ウドの栽培では他の農作物と繁忙期がずれており、栽培技術が確立されれば耕作放

棄地の対策になると考えられる。短期間での栽培株増加には実生繁殖が適している

こと、栽培技術の応用で生態系維持にも寄与できると考え、北海道におけるヤマウ

ドの実生繁殖に必要な好適発芽条件の検討および育苗についての留意点を報告する。

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7.村上ゼミ 「歴史と地域を見すえ日本農業の可能性を探る」

・・・・・・・・ 16:00~16:40

46.食の方向性を考える ―本学学生アンケートを手がかりに―

馬渕 孝

本学学生(保育を除く)に食に関するアンケートを実施し、食に関する意識の把握

を試みた。アンケート結果からは、「食育」の認知度・関心度は4割の人が「知ら

ない」、「関心がない」と回答するなどある程度予測されるものもあった。

食生活上の課題は、経済社会環境に加え、個人の嗜好に基づくものだけに、一律

の方向付けや政策的な誘導が難しいという特徴を有している。本報告では食「育」

として、地道かつ、国民運動的に盛り上げる必要性を中心に取り上げて行う。

47.食糧自給率向上への期待を背負う飼料用米

吉永 貴紀

近年、米の過剰対策と食糧自給率向上の一石二鳥をねらって期待されているのが

飼料用米です。そこで飼料用米に関わるコストや畜産物の影響について調査しまし

た。結果として畜産物に対して大きな影響はないことがわかりました。今後の品種

改良による単収の増加、交付金の増額、また保管や流通体制の確立などが課題とし

てあげられます。課題改善に成功すれば、飼料用米は、輸入トウモロコシの代替と

して大きな期待が出来ると思います。

48.深川市におけるソバ生産の現状と課題

工藤 正嗣

深川市のソバ生産は紆余曲折を経ながらも作付面積を拡大させている。その背景

にはコメ政策の変遷にともなう様々な交付金政策展開の影響が大きい。

本報告では、深川市におけるソバの作付面積・単収・価格の推移を確認しながら、

JAが取り組んでいる生産振興策、市場開拓戦略の一端を紹介しソバ生産の展望をし

めすことを課題としたい。

49.深川市一已町における農家戸数の推移とその時代背景

末松 直樹

現在、日本の農家戸数は減り続けている。農家戸数減少の過程を、深川市一已地区

の農家戸数の変遷を見て、その時代背景と照らし合わせて分析し、今後の方向性を

探る。

一已は、屯田兵の入植により開拓が始まり、まもなく、米つくりが始まる。用水

ができ、産業組合ができ、第二次大戦後、農協が設立される。深川では、先駆的か

つ典型的な地区である。本報告では、戦後を5つの画期に分け、それぞれの主要的

特徴点を示しながら、当該地区における農家経営の課題、行政の施策のあり方を考

えてみたい。

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50.地域農業の多様性と両立しうる6次産業化の展望-池田町を事例に-

増野 幹也

昨今の日本では農業の6次産業化が大きな流れになっているが、果たして法人化

していない家族経営の農家が6次産業化をすることが唯一の方法なのか?地域レベ

ルでの6次産業化もありうるのではないかとの問題意識から池田町の農業を成功事

例として考察をした。

方法は農業センサスや農業関連の情報誌からのデータ収集と地域へのヒアリング

である。

結論として、すべての個人経営の農家が6次産業化をすることが出来るわけでは

無く、土地や地域、農家等様々な環境や条件を考慮しなければ6次産業化をするの

は難しいと考える。

51.農協の農家支援における課題 ―川西長いもの取り組みを事例に―

澤本 雄平

近年、全国的に農家の農協離れが進んでいる。これは農協にとって深刻な問題の

一つであり、農協離れを食い止めることが課題である。

そこで農協の地域農業への貢献事例の一つとして、私は地元である JA帯広かわに

しの十勝川西長いもの取り組みに着目した。川西長いもは成功事例として大きく取

り上げられている。一部には TPP が導入されてしまっても大丈夫ではないかという

声もある。しかし、長いもも十勝輪作体系の中でしっかり位置づけられている。TPP

参加で他の輪作作物が崩壊すれば長いもも生き残れない。報告では農協としてはや

はり TPP参加を阻止することが課題である。

ヒアリングなどで得たデータ等も参考にしながら農協が農家支援も含む課題につ

いて取り上げる。

8.満月ゼミ 「農業で世界の未来を開く」 ・・・・ 16:50~17:10

52.シネンシス系スターチスの鮮度保持剤の効果試験

森 康哲

深川市を含む北空知地域はスターチス類の秋夏採り産地として道内産切り花生産

額の上位 3 品目の一つであり、その主産地として全国有数の規模を誇っている。そ

こで、シネンシス系スターチス(L.sinensisとの交配種)の開花状況について花茎・

草丈・茎径等の相関を調査するとともに、採花後の延命剤の経済的な希釈濃度を検

討した。

今回の試験で、クリザール処理で使用する希釈率が 10倍でも十分に効果があるこ

とがわかった。

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53.バイテク技術を用いたベゴニアの増殖

北嶋 瑠子

4 月に農業基礎実験でトレニアという植物体を用いてバイテク実験に取り組み、

植物細胞の全能性を実際に体験した。この実験で根や茎、葉から植物体が再生する

ということに驚き、感動した。そして、もう 1 度自分で体験してみたい、植物バイ

テクについての知識を深めたいと思い、今回の研究テーマにバイテク実験を選んだ。

実験は、殺菌洗浄をうまく行うことができずコンタミが発生し失敗が続いたが、最

終的にはカルス形成まで進めることができた。バイテク実験の難しさを痛感した。

54.窒素肥料および有機資材を用いた水田転換畑の団粒化促進比較試験

杉田 宏貴

本実験では TPP 参入によるコメの市場での競争力弱体化を想定し、コメではなく

野菜の栽培に適した土壌を作るため、水田転作土壌を効率的に団粒構造の土壌に変

える方法を検討した。

水田土壌に麦稈と様々な種類の窒素肥料を施用し、窒素肥料の違いによる団粒化

促進を比較した。結果として、窒素肥料による団粒化に違いは少なかったが、有機

物である麦稈と窒素肥料を施用することで団粒化が大きく促進されることが分かっ

た。硝酸カルシウムと麦稈を使用した区が最も効果が表れた。

コメの価値はこれから大きく変わってくると考えられる。そのために生産者は水

田経営から野菜・畑作経営への移行といった対策を講じておくべきであると考える。