水溶性チタン化合物水溶性チタン化合物...
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水溶性チタン化合物~その特徴と架橋剤としての応用~
松本製薬工業株式会社研究グループマネージャー
理学博士 小林 芳照
当社の開発思想
環境・健康をキイワードにした製品開発
松本製薬工業(株)の概要松本製薬工業(株)の概要
取締役会長:松本 伊兵衛取締役社長:伴 釼三設立 :昭和20年8月8日資本金 :2,000万円従業員 :30名
会社の特徴:研究開発型の企業お客様のニーズに即した商品・環境に優しい商品の開発を目指す
事業内容 :各種有機金属化合物の商品開発と製造チタン、ジルコニウム等の金属の有機化合物の製造と商品開発ケイ素系コーティング剤の製造。各種化粧品原料の製造。
有機チタン化合物の概要有機チタン化合物の概要
有機チタン化合物とはA) Ti-C型:有機基が直接結合したもの
B) TiーXーC型:中間にX(O、N等)を介して有機基が結合したものB)型は「金属有機化合物」とも言うが、ここでは
有機金属化合物と称する。
C) キレート配位型B)型化合物の誘導体として位置付け
本セミナーではB)型のX=OおよびC)型に
ついて解説する
有機チタン化合物の分類有機チタン化合物の分類1.1. 有機チタンアルコキシド有機チタンアルコキシド
一般式:Ti(OR)4 R=Me、Et、Bu、C5~C18等。加水分解性大
オルトチタン酸エステルとしてアルキルチタネートと呼称
2.2. 有機チタンポリマー/オリゴマー有機チタンポリマー/オリゴマー
アルコキシドおよび/またはアシレート等の部分加水分解物
[Ti(OR)nO]m n=1~2、 R=n-Bu:m=2,4 R=i-Pr:m=10
3.3. 有機チタンアシレート有機チタンアシレート
一般式:Ti(OCOR’)n(OR)4-n 有機酸誘導体。
加水分解性はアルコキシドよりは低い
4.4. 有機チタンキレート有機チタンキレート⇒水溶性チタン化合物
キレート化合物が配位した錯体。水に対する安定性が高い。
表ー1有機チタン化合物:当社製品の分類表ー1有機チタン化合物:当社製品の分類
*1)C18~20等必要に応じて他の誘導体可能 *2)Acac:Acetylacetone *3)Etac:Ethylacetoacetate
チタン化合物分類 商品名 置換基/配位子 性 質 用 途
アルコキシド
TA-10TA-25TA-30TA-80
i-PrOn-BuO2-EtHex(C8)Ot-BuO
加水分解性大アルコール、n-ヘキサン、トルエンに易溶
触媒:エステル化、重縮合、ポリオレフィン、シリコーン硬化促進架橋剤:絶縁ワニス、耐熱塗料、無機塗料
アシレート TPHSC17CO2(Ti-O-Ti構造を有するオリゴマー) *1)
淡黄色個体水、アルコールに不溶、n-ヘキサン、トルエンに可溶
撥水剤、界面活性剤、分散剤
キレート
TC-100TC-401TC-200TC-750
i-PrO/Acac 2*)AcacC8O/HOC8Oi-PrO/Etac 3*)
加水分解性大アルコール、n-ヘキサン、トルエンに易溶
触媒:エステル化、シリコーン硬化促進架橋剤:塗料、インキ等酸化チタン膜材料
水溶性チタン
TC-310
TC-400
乳酸
i-PrO/N(C2H4OH)3
水溶性、アルコール可溶。n-ヘキサン不溶
架橋剤:水溶性ポリマー塗料、インキ接着剤:有機、無機、金属間のバインダー、他触媒:エステル化、重合酸化チタン膜材料
有機チタンアルコキシドの性質有機チタンアルコキシドの性質
[1]物理的性質
1. 性状
u C1は白色固体であるが、C2以上では液体
u 殆どの有機溶剤に易溶(水には分解)。着色しやすい。
2. アルコキシド分子会合度
C1>>C2(2.4)>n,i-C3、n-C4(1.4)>i-C4(1.2)>t-C4(1.0)
[2]化学的性質
1. 高い加水分解性
2. エステル交換反応
有機酸との反応 エステル化触媒反応
RORO
加水分解反応と機構加水分解反応と機構
加水分解反応速度
①低級アルコキシドほど大:C3>>C8
②分岐大、立体障害大ほど速度大:3級>2級>1級アルキル
ORRO
TiOR
+ H2O
ORRO
TiRO OR
ORRO
TiOH
HOH
ROH+
[A]
[A] + Ti(OR)4 (RO)3TiOTi(OR)3 ROH+
x[(RO)3Ti-O-Ti(OR)3] + xH2O [ Ti(OR)2O ]2x+ 2xROH
[-Ti(OR)2O-]x + xH2O
Ti-O-Ti-O-Ti-
Ti-O-Ti-O-Ti-
O O O 2xROH+
酸化チタン
エステル交換反応エステル交換反応1. アルコール交換反応
Ti(OR)4+nR’OH Ti (OR)4-n(OR’)n+nROH
u 基本的には平衡反応
u 加水分解反応も同様に進行するが、脱水縮合反応は非可逆
u 架橋反応の場合:R‘が高分子鎖
2. 有機酸との反応
Ti(OR)4+nR’COOH Ti (OR)4-n(OCOR’)n+nROH
nROH +nR’COOH R’COOR+H2O
3. エステル化触媒
Ti (OR)3(OCOR’) +ROH R’COOR+ O=Ti (OR)2
TiTiポリマーポリマー
R’COOHROH
加水分解反応
エステル交換反応
Ti-OR+HOR’ Ti-OR’+HOR
加水
分解
酸化チタン形成剤Ti-O-Ti
接着/表面処理剤Ti-O-M
加水
分解
脱水
・脱
アル
コー
ル
R’=金属表面・無機
R’=H
R’=高分子鎖
架 橋 剤バインダー
触媒
反応
エステル化エステル重縮合
R’=(ジ)カルボン酸、アルコール、ジオール
Si樹 脂硬 化 促 進 剤
R’=Si樹脂
有機チタンの性質:アルコキシド、アシレート有機チタンの性質:アルコキシド、アシレート
有機チタン化合物の機能/用途有機チタン化合物の機能/用途
1. 架橋機能
2. 金属、セラミックス、樹脂接着・表面処理機能
3. 酸化チタン形成剤(薄膜、光触媒等)
4. 触媒:エステル化、RTVシリコーン硬
化促進剤等 スズ代替として注目
第3および4項については今回は除外
架橋剤の作用機構架橋剤の作用機構
チタンアルコキシド化合物
OH HO + Ti(OR)4 +
OH HO
チタンキレート化合物
O O
Ti +4ROH
O O
有機チタン化合物利用上の問題点有機チタン化合物利用上の問題点
n チタンアルコキシド
高活性/加水分解性大
1. 保存安定性に難:シェルフライフ、ポットライフに制限水分により分解、粘度上昇等の外観変化
2. 水溶性樹脂等、水分共存下での利用に問題
3. 経時的に活性低下:架橋度、触媒、接着等
n キレート錯体
1. 加水分解に対する安定性は良好
2. アルコキシドに比較して活性低下
3. 化合物自身または使用後に着色しやすい
環境負荷低減
廃液・排水処理排気処理作業環境
安全性向上
安全設備等運搬・保管設備等作業環境
スズ(触媒)代替ノンクロム対策
なぜ水溶性チタンか?松本製薬の開発思想:『環境』と『健康』
水溶性チタンの開発水溶性チタンの開発
水溶性チタン化合物への期待水溶性チタン化合物への期待
水系で利用できる着色の少ないまたは無色のチタン化合物を開発できないか?
水溶性チタン化合物の分類
1. 無機系化合物
2. ペルオキソチタネート
3. キレート系チタネート
表1 金属としてチタンのみを含むチタン化合物の水への溶解度と安定性※
チタン化合物名 化 学 式 純水への溶解度 安 定 性
一酸化チタン TiO × 空気酸化を受ける三酸化チタン Ti
2O
3 × 空気酸化を受ける二酸化チタン TiO
2 × 安定炭化チタン TiC × 安定窒化チタン TiN × 安定硫化チタン TiS
2× 湿った空気により分解する
二塩化チタン TiCl2 � 空気中ないし水により分解
三塩化チタン TiCl3 ○ 湿気の存在で空気酸化を受ける
四塩化チタン TiCl4 ○ 冷水に溶けるが難溶性のオキシ塩化物、水酸化物を生じる
硫酸チタン(III) Ti2(SO
4)
3 × 水と煮沸すれば加水分解し沈殿を生じる硫酸チタン(IV) Ti(SO
4)
2○ 水には発熱して溶けるが加水分解を受けやすい
オキシ硫酸チタン(IV) TiO(SO4) � 水により加水分解を受ける
オキシしゅう酸チタン(IV) (TiO)2O C
2O
4× 安定
チタンアルコキシド Ti(OR)4
� きわめて容易に加水分解を受け、難溶性沈殿を生じる(Rはアルキル基)
トリスアセチルアセトナト [Ti(C5H
7O
2)
3]X � 水で容易に分解する
チタン塩 (Xは1価隠イオン)
※チタン化合物には酸化数+II �+ I Vのものが多い。チタン(II)、(III)塩溶液は空気酸化を受けやすく、使用に際してはすべ
ての操作を窒素または二酸化炭素気流中で行わなければならず、また保存に際しては空気との接触を避けねばならない。有機チタン化合物は不安定であまり知られていない。チタン(IV)アルコキシドは多数知られているが、いずれも非常に加水分解を受け易いので、不活性ガス下での操作・保存が必要である。
出典:垣花眞人、現代化学、#3,25(2000)
表ー2 ペルオキソチタネート表ー2 ペルオキソチタネート
特開平9-71418
特開2004-18477
特開平11-228113
特開2001-10816
現代化学(2000年)
特開2000-159786
文献/特許文献/特許 用 途用 途研究者/出願人研究者/出願人構造/組成構造/組成
光触媒原料
安定な水溶液佐賀県TiCl4+アンモニア水+過酸化水素水
光触媒原料
薄膜形成剤出光興産
チタン原料に酸化チタン使用
金属薄膜形成剤
ナガセケムテックス
(旧帝国化学)
TPT/ニトリロ三酢酸+Bu2NH+過酸化水素水
1.他金属との複合酸化物原料
2.酸化チタン形成剤
垣花(東北大)
[O2TiCA ]4
(NH4)8
CA:クエン酸
紫外線吸収
チタンペルオキソクエン酸錯体チタンペルオキソクエン酸錯体構造と構造とUVUVスペクトル(東北大・垣花教授より)スペクトル(東北大・垣花教授より)
新規水溶性チタン化合物の開発経緯新規水溶性チタン化合物の開発経緯キレート系チタネートキレート系チタネート
従来知見:水系チタンはキレート系で安定化する
キレート系ではないが水系可能な方法
特開2001-322815:岐阜大学
Ti(OPri)4[TPT]+アミン+水 水溶性チタン
[問題点]
u系が水に溶解するまで時間がかかる
u大量の水を添加する必要あり、チタン濃度低い
透明液体1006
透明液体505
透明液体5ジエチルアミン/ TPT /EG =1/1/4
(当社方法)
4
白濁 透明1003
白濁502
白濁5ジエチルアミン/ TPT
=1/1
(岐阜大特許)
1
液の状態水モル比ベースの配合 モル比No
表ー3 ジオールの安定化効果表ー3 ジオールの安定化効果
EG:エチレングリコール
*)TEA:トリエタノールアミン PG:プロピレングリコール
**)pH:代表値
環状アミン/PG
アミン系/PG
アルカノールアミン/PG
カルボン酸系/PG
アミン系/PG*)
TEA*)
乳酸
配位子
10 微黄色液体3.0C
1微白濁液体3.0B
11 微白濁液体3.0E
10 淡黄色液体3.0D
12 微黄色液体3.0A
9黄色液体8.3TC-400
1淡黄色液体8.2TC-310
pH**)溶液外観[Ti]
Wt%化合物
表-4 新規水溶性チタン化合物表-4 新規水溶性チタン化合物
水溶性樹脂の架橋水溶性樹脂の架橋
水系チタンにより架橋反応の可能性のある以下の樹脂について検討
1. ポリビニルアルコール(PVA)
2. ポリアクリル酸(PAA)
3. ポリアクリルアミド
4. ポリアリルアミン
5. その他水酸基含有樹脂
EVOH、メチルセルロース
有機チタンによるPVAの架橋反応有機チタンによるPVAの架橋反応各種水溶性樹脂の架橋性能を評価する基準
不溶化率:架橋度の指標として採用
[測定方法]
製膜したサンプルに対して約100倍重量の水(場合により
有機溶剤)を加えて煮沸、30分処理。
乾燥後に重量測定、以下の式に従って不溶化率を算出する。
[サンプル製膜法]
5%樹脂溶液と所定量の架橋剤を混合し、PPまたはアルミ
製のカップに約5gを注入、所定温度で乾燥・硬化、製膜する膜厚=120~130μm
不溶化率=熱水濾過残量
処理前サンプル重量×100(%)
I. 化合物による影響(表ー5)
u 架橋効果に対するチタン化合物の影響はない
u チタン無しでは不溶化率は0% ⇒Tiが架橋点を形成
II. 架橋膜の性状
u 使用するチタン化合物により無色(低着色)の膜
u 溶液安定性(ポットライフ)が低く、短時間でゲル化
III. 有機チタン添加後のポリマー溶液の安定化法(表ー6)
u ヒドロキシカルボン酸の添加により、溶液が安定化
u 特定のカルボン酸が効果的
有機チタンによるPVAの架橋反応有機チタンによるPVAの架橋反応
表ー5 表ー5 PVAPVAの架橋の架橋
不溶化率の測定法:水煮沸×30min(試料/水=1/100重量比)
架橋条件:Ti / PVA=1/66(モル比)、105℃×2hr
無色透明 0%
環状アミン/PG
アミン系/PG
アルカノールアミン/PG
カルボン酸系/PG
アミン系/PG
TEA
乳酸
配位子
微橙色透明78%C
無色透明80%B
無色透明81%E
淡黄色透明80%D
無色透明81%A
淡黄色透明84%TC-400
無色透明77%TC-310
膜性状不溶化率化合物
5945978化合物A
762677784TC-400
化合物A
TC-400
Ti化合物
無色・ゲル化せず経時でゲル化
経時でゲル化
不溶化率(%)
硬化条件:上段 40℃×16hr 下段 105℃×2hr
無色・ゲル化せずすぐにゲル化
69
62
添加剤A
8068 8181
62277
PVA 混 合 液 外 観
添加剤C添加剤BPG
表-6 表-6 PVAPVA不溶化率に対する添加剤効果不溶化率に対する添加剤効果
各種有機チタンとその各種有機チタンとそのPVAPVA架橋膜の性状架橋膜の性状
TC-400 化合物A 化合物CTC-310
Ti液外観
PVA架橋膜
架橋条件の影響架橋条件の影響
I.I. チタン濃度チタン濃度(図ー1)u Ti/PVA(モル/PVA重量)
Ti/PVA= 0.26(mmol/g-PVA)で飽和
II.II. 硬化温度硬化温度(図ー2)A) 化合物AやTC-400では、低温(40℃)と高温(105℃)
に差が殆ど無い(図ー1)
B) 乳酸チタンでは硬化温度増大で不溶化率大
C) チタン化合物の構造、その安定性と相関有りそう
D) チタン無しでは不溶化率は5%以下→Tiの架橋効果
III.III. pHの影響pHの影響(図ー3):乳酸チタン系(TC-310)低温硬化では影響有り:pH増大→不溶化率大
高温硬化ではpHの影響殆ど見えない
図ー1 チタン/PVAと架橋度図ー1 チタン/PVAと架橋度
Ti濃度と硬化温度依存性
0
20
40
60
80
100
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6Ti/PVA(mmol/g)
不溶
化率
(%
)105℃×2hr
40℃×16hr
Ti/PVA =0.26mmol/g
=1/80(重量比)
架橋剤:化合物A
38 4045
56
65
77
8692 94
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 50 100 150 200
再加熱温度(℃ )
不溶
化率
[%
]
PVA+Ti
PVA
40℃×16hrで硬化後、再加熱加熱時間は30min
図ー2 架橋度と加熱の影響図ー2 架橋度と加熱の影響
架橋剤:TC-310 Ti/PVA=1/60(重量比)
架橋剤なし
図ー3 架橋度に対するpHの影響図ー3 架橋度に対するpHの影響
pHの影響
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
チタン化合物のpH
不溶
化率
[%]
Ti/PVA=1/60 高温硬化
Ti/PVA=1/60 低温硬化
Ti/PVA=1/40 高温硬化
Ti/PVA=1/40 低温硬化
架橋剤:TC-310
PVA/Ti:重量比
低温硬化
高温硬化
水溶性チタンと水溶性チタンとPVAPVA架橋~まとめ~架橋~まとめ~
1. アルコキシチタンとキレート配位子およびジオールから安定な水溶性チタンが得られた
2. 無色(低着色)のチタン溶液が得られ、架橋膜も殆ど着色なし
3. 低温でも高活性であり架橋反応が進行
メラミン樹脂は40℃で架橋せず
4. 高活性故にPVA溶液と架橋剤の混合時の安定性に問題⇒混合系の粘度上昇またはゲル化
5.5. 混合溶液の安定化に対しては混合溶液の安定化に対しては特定のヒドロキシカルボン酸の添加が有効
1. チタン化合物と不溶化率(表ー7)
A) アルカノールアミン系キレート錯体が架橋効果大他のアミン系および乳酸系チタンでは架橋効果ほとんど無い
B) 硬化温度の影響大。90℃以下では硬化せず
2. 混合溶液安定性と性状
A) 混合溶液は着色なく、経時安定性大
B) アミン系キレート錯体の方がやや着色あり
3. PAA分子量と金属塩の影響
A) 分子量=80万、化合物C:Ti/官能基=1/2,300 ⇒不溶化率 90%(硬化条件:125℃×2hr)
B) ナトリウム塩:同一条件では全く硬化しない
ポリアクリル酸(ポリアクリル酸(PAAPAA))の架橋の架橋
表ー7 ポリアクリル酸の架橋表ー7 ポリアクリル酸の架橋
環状アミン/PG
アミン系/PG
アルカノールアミン/PG
カルボン酸系/PG
アミン系/PG*)
TEA*)
乳酸
配位子
淡黄色65 C
淡黄色20 B
淡黄色25 E
淡黄色10 D
淡黄色1 A
淡黄色70 TC-400
淡黄色0 TC-310
膜性状不溶化率
(%)化合物
5%PAA水溶液。PAA分子量:10,000
Ti/PAA官能基=1/20(モル比) 硬化条件:125℃×2hr
その他の水溶性樹脂の架橋その他の水溶性樹脂の架橋
u エチレンビニルアルコール共重合体:EVOHEVOH:ソアノール16DX(日本合成化学)
[エチレン含有量29mol%]
1. 不溶化率で比較すると、チタン化合物の影響なし。
2. 膜形状や鋼板との密着性において大きな差有り。
u ポリアリルアミン:PAA-10C(日東紡績)5%ポリアリルアミン水溶液
Ti/ポリマー官能基=1/30(モル比)
不溶化率=5~10%(硬化温度=105℃×2hr)
u ポリアクリルアミド:ホープロン520B(三井化学)Ti/ポリマー官能基=1/30(モル比) 但し、溶液安定性に難
硬化条件同様:不溶化率=75%
表ー8 その他の水溶性樹脂の架橋表ー8 その他の水溶性樹脂の架橋
50~75水/IPA=1/1~90℃で測定
105℃×2hr化合物A,C
(1/52)
EVOH(ソアノール16DX)
73105℃×5hrTC-310
(1/30)
ポリアクリルアミド*)
(ホープロン520B)
5~1040℃×16hr
105℃×2hrTC-400、他
(1/30)
ポリアリルアミン
(PAA-10C)
30105℃×2hrTC-400
(1/13)
メチルセルロース(信越化学 SM-15)
不溶化率不溶化率(%)(%)
硬化条件硬化条件チタン化合物チタン化合物((TiTi//官能基)官能基)
水溶性樹脂水溶性樹脂
(商品名)(商品名)
*)すぐにゲル化し、溶液安定性に難
水溶性樹脂に対する架橋効果(まとめ)水溶性樹脂に対する架橋効果(まとめ)
1. チタンによる架橋は水酸基に対して最も効果的:PVA、EVOH
• セルロースに対しては効果が小さい
2. カルボキシル基、アミド基に対しては硬化温度およびチタン濃度の増加が必要。
アクリルアミドでは溶液安定性に難(ゲル化)
ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド
3. アミノ基に対してはチタン化合物による架橋は困難
TiTiの架橋効果:の架橋効果:PVA PVA ≧≧ EVOHEVOH>>PAAPAA≧≧アミド>>アミンアミド>>アミン
水溶性チタン化合物の架橋以外の利用水溶性チタン化合物の架橋以外の利用
1.1. 金属・セラミックス基材金属・セラミックス基材との接着(密着)剤接着(密着)剤または表面処理剤
u 金属またはセラミックスの表面の官能基との反応を利用
2. 酸化チタン薄膜形成剤または光触媒原料
u 安定な水溶液の製造方法の特許は多いが、本セミナーの主旨に反するので除外
3. 他金属との複合酸化物形成用原料
u 架橋剤のような助剤ではなく、上記同様除外
表面処理鋼板への有機皮膜形成助剤として水溶性チタン化合物は利用できるか?
n 亜鉛メッキ鋼板の化成処理の研究例
有機皮膜または有機無機複合被膜の形成(助)剤として利用
Ø耐食性防錆被膜形成剤 特開2002-285070
EVOH+乳酸チタン/水溶液
Ø有機樹脂層と酸化チタン皮膜層 特開2004-52057
n アルミ基板上への皮膜形成
ポリアクリル酸と炭酸ジルコニルアンモニウム/水溶液
クロメートフリー皮膜への利用の可能性クロメートフリー皮膜への利用の可能性
新規水溶性チタンの金属との密着性新規水溶性チタンの金属との密着性
EVOH皮膜と亜鉛メッキ鋼板の密着性皮膜形成条件:5%EVOH+水/NPA(1/1重量比)
架橋剤としてチタン化合物を使用:Ti/OH=1/50
硬化条件:250℃×20sec 膜厚約1μm(推定)
[結果]
アルカノールアミン系キレート錯体に密着性の効果有り
EVOH EVOH+Ti試験片外観変化
ジンコートMO (パルテック)
沸騰水浸漬 30分
水溶性チタンによる可能性はあるか?
1. 沸水浸漬試験によりチタンの効果は明らか
2. 現在は予備試験の段階。最適樹脂とチタン化合物の組み合わせの検討が必要
3. 新規チタン錯体への展開
クロメートフリー皮膜への利用と展開クロメートフリー皮膜への利用と展開
チタン以外の水溶性有機金属チタン以外の水溶性有機金属
1. 有機ジルコニウムについてu チタン化合物同様にアルコキシ化合物は加水分解
性大
u 着色無く、安全性大
2. 水溶性Zr化合物の分類(表ー9)基本的にチタン同様の安定化手法
u 無機系
u 有機系:有機酸塩u キレート系:アルコキシZrとのキレート錯体
①ヒドロキシカルボン酸系:グリコール酸、乳酸
②アルカノールアミン系:トリエタノールアミン
3. 新規水溶性Zr化合物
表ー9 水溶性表ー9 水溶性ZrZr化合物の分類化合物の分類
微緑色水溶液
ZrO(NO3) 2・4H2O硝酸ジルコニル
微緑色水溶液
ZrOSO4・nH2O硫酸ジルコニル
ヒドロキシカルボン酸系
酢酸ジルコニル
ZB-115
炭酸ジルコニルアンモニウム
酸塩化ジルコニウム
製品名
塩基で水溶性塩
固体、水に微溶
H 3ZrOH(O2CCH2
O) 3キレート系
微褐色水溶液
ZrO(CH3O2) 2有機系
微褐色水溶液
(NH4 ) 2ZrO(CO3) 2
白色針状結晶
ZrOCl2・8H2O無機系
備考性状組成/構造分類
新規水溶性新規水溶性ZrZr化合物化合物
アミノカルボン酸系ジルコニウム組成:ジルコニウム+アミノカルボン酸+アミン/
水溶液無色微濁の安定な水溶液が得られる。
① 室温では3ヶ月以上外観変化および物性変化無し② 溶液安定性はpH依存性あり
③ PVAの架橋剤として作用し、無色の膜が得られる④ ZB-120*)+5%PVA水溶液
⇒60℃×2週間粘度変化無し(TC-310では、同条件下で粘度上昇、ゲル化)
*)ZB-120:表ー10参照
水溶性水溶性ZrZr化合物による架橋反応化合物による架橋反応
PVAの架橋(表ー10)チタンと同様の方法で硬化、不溶化率を評価した。
1. チタン系に比較すると不溶化率小
2. 塩化ジルコニルはチタン系と同等の効果但し、中性領域では安定性に難の為に適用性に制限
3. アミノカルボン酸系キレート錯体ZB-120、 ZB-125、 ZB-126
表ー10 表ー10 PVAPVAの架橋の架橋
401.0Ti/乳酸TC-310
131.5Zr/アミノカルボン酸ZB-125154.0Zr/アミノカルボン酸ZB-120
3.0Zr/アミノカルボン酸ZB-126
103.5酢酸ジルコニルZB-115
0グリオキザール
108~9炭酸ジルコニウムアンモニウム
401~2塩化ジルコニル
不溶化率pH組成/構造架橋剤
5%PVA水溶液 架橋剤添加量:Zr/PVA官能基=1/67(モル比)。有機架橋剤/PVA=1/0.28(wt比)
硬化条件:40℃×16hr
図ー4 有機ジルコニウム化合物の架橋効果図ー4 有機ジルコニウム化合物の架橋効果
添加量の影響
0
10
20
30
40
50
60
70
80
0.00 0.50 1.00 1.50
Zr/PVA(mmol/g)
不溶
化率
(%
)
ZB-120
ZB-115
TC-310
硬化条件:40℃×16hr
標準添加量
Zr/PVA=0.34mmol/g
1/32(重量比)
2.8
3.3
3.8
4.1
7
2.8
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2.8 3.3 3.8 4.1 7
pH(25℃)
不溶
化率
(%
)
図ー5 Zr/キレート化合物のPVA架橋効果
~pHの影響~
架橋剤:Zr/アミノカルボン酸系化合物
酢酸ジルコニル
溶液性状
不安定領域
水溶性チタン化合物および水溶性チタン化合物および 水溶性金属化合物の将来展望 水溶性金属化合物の将来展望水溶性金属化合物:環境に優しく、安全性が高い
(1)架橋剤
ØPVA、PAA以外の水溶性樹脂への展開
Ø金属/無機基材との密着性付与
(2)金属、セラミックスおよび樹脂等の表面処理剤または機能性付与剤
Ø各種媒体への分散性付与
Ø同種または異種基材間の接着
(3)酸化チタン形成剤
Ø改良された化合物の設計:使用目的に応じた 機能設計
Ø安定な水溶液の提供
(4)他金属との複合酸化物形成剤またはその原料
(5)水溶性Zr化合物の応用展開
Ø架橋剤としてはTiより低活性であるが、
無着色性の特徴あり。
Ø新規機能の開発