メーカー「次の一手」 従来設備に新...きる。さらに色間窒 ちっそ 素パー...

調調13 使調52 13 13 13 13 湿使調調使便使調12 13 18 検査 2 部の河村拓海部長(前列左)とソフトウェア 部の山崎孝洋リーダー(同右)。後列左の田上葉月氏 と中里博紀氏もアスミルビジョンの開発に従事する 軟包装用 水な し  オフ間欠機開発 独自機構搭載で PET12㎛の薄型基材にも対応 10 Asmil Vision 新たな軟包装向けソリューションとして開発された「VPP13WL」。独自開発の間 欠送り機構を搭載したことで、薄型フィルムへの印刷に対応する(上)。3 月の「OPEN HOUSE2019 春」で初披露され、デモンストレーションで来場者の注目を浴びた 新元号が公表され、平成は間もなく幕を閉じる。時代と 共に消えるものもあれば次の時代へ残るものもある中、今 回の 2 社は「残る側」。加えて言えば「進化を果たし次の時 代へ生き残る」例だ。オフセット間欠機の基礎技術を進化 させ軟包装印刷を実現した事例に、検査装置の役割が進化 し業務改善まで支援する試みを追う。令和は、もう目の前だ。 第1194号 平成31年4月15日 【昭和449 30日第三種郵便物認可】 5

Upload: others

Post on 09-Oct-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: メーカー「次の一手」 従来設備に新...きる。さらに色間窒 ちっそ 素パー 臭気化にも対応する。ジ機構を採用しており、低 軟包装は軽量で柔軟性に

きる。さらに色間窒ち

っそ素パー

ジ機構を採用しており、低

臭気化にも対応する。

軟包装は軽量で柔軟性に

富み、透明性によって内容

物を消費者に訴求できるほ

か、バリア性にも優れるな

ど、メリットが多数ある。

このため、食品やトイレタ

リーなどの分野で需要を伸

ばしており、本紙調査によ

ると、2018年の軟包装

市場は前年比1・1%増の

8640億円となり、過去

4年間にわたって順調に成

長を遂げている。

同市場における近年の傾

向として、環境対応や多品

種小ロットへのニーズが高

まっている。軟包装はグラ

ビア印刷が一般的だが、製

版コストやジョブチェンジ

の観点から大ロット向けで

あり、またVOC排出に対

する環境対応としての課題

を不安視する声も少なくな

い。そのため、ニーズ対応

を目的に、水性フレキソ印

刷やデジタル印刷などへの

切り替えも進むが、再現性

やコスト対応といった面

で、グラビア同等までには

至っていない。

VPP13WLには、水な

しオフセット方式や間欠式

などの採用により、これら

のニーズに応える機能が付

与されている。ただし、軟

包装に使用されるOPPや

PETなどの薄型基材は、

従来の間欠式のように高め

のテンションで印刷した場

合、延伸して見当ズレの原

因になったり、状況次第で

は破損したりするトラブル

が発生する可能性もある。

これに対し、開発に携

わったミヤコシの担当者は

「ラベル印刷機の間欠送り

とは構造の異なる独自の機

構を新たに開発した。第1

にパスはストレートではな

くジグザグとなっており、

テンションを適正に調整。

第2に、圧胴がステップ

バックすることで、薄型基

材へのダメージを軽減しつ

つ、高い見当精度を可能に

した。この機構は世界初の

試み。なお今回の出展機は

研究目的のプロトタイプだ

が、ご要望があれば水なし・

水ありに限らず新たに製造

して提供したい」と話す。

同社は、OPEN

HO

USE2019春で、包装

紙向け水性フレキソ印刷ユ

ニットとインラインシート

カット装置を連動した「M

FX52S」や、UV・水性

プライマー対応の軟包装用

スリーブ式オフセット輪転

機「MHL13A」とともに、

VPP13WLを実演。来場

した包装関連業界人らが稼

動状況や印刷サンプルを熱

心に見学した。

今後の展望として、同社

では「新たな軟包装向けソ

リューションとして、パッ

ケージやラベル市場に向け

て提案する。近年は、ラベ

ルと軟包装の印刷に関し

てボーダーレスの時代を

迎えている。そもそもV

PP13WLは、ラベル向け

オフセット間欠機『MLP

300H』をベースに開発

したもの。ラベル印刷会社

が、軟包装市場へ参入する

きっかけとなるべく、新機

種の開発に取り組みたい」

とコメントしている。

VPP13WLは、国立研

究開発法人新エネルギー・

産業技術総合開発機構(N

EDO)の「戦略的省エネ

ルギー技術革新プログラム

/革新省エネルギー軟包装

印刷システムの開発」プロ

ジェクトのもと、東レ(水

なし平版)、ミヤコシ(印

刷機)、T&K

TOKA(U

Vインキ)、光村印刷(ユー

ザー)、以上4社が共同で

開発に取り組むことによ

り、今回の発表へと至った。

新機種は、印刷工程にお

ける環境負荷の軽減と省エ

ネルギー化をコンセプトに

掲げ、揮発性有機化合物(V

OC)を含む湿し水を使用

しない水なしオフセット印

刷方式を採用。さらに、L

ED―UVシステムや対応

の水溶性UVインキなどと

いった最新技術も多数盛り

込まれている。

最大の特徴は、紙送り方

式に間欠式を選択した点。

これによりジョブチェンジ

の際、シリンダーを交換す

る必要がなく、また天地サ

イズの調整も、215・9

㍉から406・4㍉までの

数値入力により、デジタル

制御で準備を完了する。そ

のため、オペレーターの作

業負担と大幅な時間短縮化

を可能にするほか、自動見

当調整機構の搭載により、

ヤレ紙の削減も実現する。

新機種の基材幅は350

㍉、印刷幅は330㍉で、

ナローウェブ向け。印刷部

は6ユニットで、CMYK

はもとより、白の2度刷り

や特色、ニスなども印刷で

印刷をする上で、文字の

太り細り、伸び縮みや歪み、

ズレや曲がりは避けられな

いもの。同社の検査装置が

採用するナビタスチェッ

カーは「輪郭ファジー処理」

や「伸縮補正処理」で、マ

スターデータとのわずかな

差異を検出してNG品と判

断し、機械を止める過検出

を回避。人の目と同じよう

に良品を選別できる。

ナビタスビジョンは

2016年春、次世代画

像検査システム「アスミル

ビジョン」を

発表した。ア

ルゴリズムを

引き継ぐも既

存コードを使

わずゼロから

開発し、ユー

ザーインター

フェースも大

きく変更。ス

マートフォン

を操作するようにタッチパ

ネルを通じた最小限の操作

のみで、設定から検査開始

までソフトが自動で処理を

実行する。簡便な操作性と

検査に費やす時間の短縮化

を先進テクノロジーで実現

する、次世代の名にふさわ

しい新システムだ。

初期版のアスミルビジョ

ンⅤ1・0のリリースから

3年を経た今春、「数多く

の目玉機能を搭載した新

バージョン『アスミルビ

ジョンⅤ2・0』をリリー

スした。この新バージョン

では安定性を追求するとと

もに、速度を大幅に向上さ

せることにも成功した。大

きく進化した新バージョン

に期待してほしい」とソフ

トウエア部の山崎孝洋リー

ダーは自信を持って語って

いる。

「現場で使える、現場志

向の画像検査ソフトウエ

ア」を開発コンセプトとし

て掲げるナビタスビジョン

が、新たな世代を創ると強

調する待望の製品がアスミ

ルビジョンⅤ2・0だ。

山崎リーダーと同期入社

という検査2部の河村拓海

部長は「前職で名のある企

業に勤め鉄道情報システム

の開発に携わっていた山

崎は、アスミルビジョンⅤ

1・0が誕生した後にチー

ムへ加わった。当初Ⅴ1・

0には、高速化と安定性追

求のために改善すべき課題

があったが、ソフトの先進

性やコンセプトに共感さ

れ、Ⅴ1・0を複数台導入

いただいた企業があった。

その企業から急ぎの改善要

求があると、いっしょに現

場に入り、ホテルにこもっ

て開発することもあった。

この時の苦労があったから

こそ、大きく進化した現場

志向のアスミルビジョンⅤ

2・0が生まれたと言える」

と山崎リーダーの苦労をね

ぎらった。

Ⅴ2・0の特長

新バージョンⅤ2・0が

掲げるのは「過検出せずに

微細欠陥を検出できる検査

エンジンをベースとした操

作性の追求」と「検査処理

速度の飛躍的な向上」。品

質不良品の流出防止を支え

る充実の新機能と、生産シ

ステム分析ソフト(製品品

質マネジメントツール)の

提供といった特長を有して

いる。

具体的には①見当モニタ

リング機能②インライン

PDF検版・検査③不良

分析機能④モデル情報のD

B化⑤測色機能⑥寸法計測

枠の自動設定⑦可変情報自

動サーチ機能と可変検査対

応、など多彩。このほかに

も「IoT対応」や「AI

実装に向けた研究開発」も

実装を目指して開発中とい

う。こ

のうち①は、全面検査

用のカメラで静止画像装置

を兼用するというもの。横

長のCISカメラを印刷機

上に実装してインラインで

全面検査を実行する場合、

モニターを別途用意すれば

「1台のカメラで全面検査

と静止画像と別の2つの機

能に振り分けられる」と河

村部長。この機能はインラ

イン検査を前提とするが、

同社はすでに運用のトータ

ルフローを構築している。

「欠陥を検出しても印刷

機をその場で止められない

ので、ネットワーク経由で

検査履歴を品質保証部など

のフロアに飛ばして別ライ

ンで検証するのがインライ

ン検査の流れ。運用するに

は停止位置の確実性が生命

線となるが、異なる場所に

設置された一定の速度化で

搬送する機械を、間違いな

くピタッと止めることは容

易でない。われわれはこの

制御技術を確立しており、

国内に次いで欧州企業でも

導入が決まった」(同)

また③の狙いについて同

氏は次のように説明する。

「われわれは、検査装置

とソフトの役割を2つに大

別する。1つ目は品質不良

品の流出防止。これは検査

装置メーカーとして当然

だ。2つ目は、日々の生産

活動で蓄積した検査履歴

データを、生産や経営の業

務改善へ有機的にフィード

バックしていく役割を担っ

ていけるのではと認識して

いる」

「現場では小集団活動や

さまざまなカイゼン活動を

実践し、それぞれでPDC

Aを回してい

る。われわれ

のデータ履歴

は、検査工程

にどれくらい

の時間を費や

しているか・どんなNG品

がどれくらい発生している

のか、といったもの。これ

を生産プロセス全体、工場

全体を改善していく一助に

したい、というコンセプト

だ。それを分析するには時

間やコストを要するため、

われわれは分析ツールを、

アスミルビジョンユーザー

に提供していく」

Ⅴ2・0はほかにも、「同

社エンジニアが多様な基材

に対して常に最適な照明状

況にセッティングするイ

メージ」と登録した照明条

件を呼び出す機能や、人の

手で枠をドラッグして面付

けの領域を選択していた作

業の自動化も実現。「これ

まで〝次へ〟だけクリック

していけば運用できたが、

もはやクリックも不要でソ

フトが最適な選択をしてす

べて自動で運用できる」と

説く山崎リーダーから、Ⅴ

2・0への自信がのぞく。

「明日」から「未来」へ

「Ⅴ2・0を生み出すまで

の山崎の苦労は大きかった

が、それでも『もっと高い

所を目指す』『いいソフト

を世に届ける』との信念で

開発チームを引っ張ってく

れた」と説く河村部長は、

非常に優秀でいいチームに

恵まれたと笑顔を見せる。

「開発に携わる者が誇りを

持てるシステムとともに、

機械性能は引き続き追求し

つつ、検査装置を今の解釈

とは異なるそれ以上の存在

にしていきたい。そのため

に、日本の印刷現場の声を

アスミルビジョンに注ぎ込

み続けると同時に、世界の

現場にも出ていく。日本発

の当社検査技術が世界の印

刷現場に浸透していくの

が、『明日のビジョン』と

なる日も近いと思う」と総

括した。

◇◇◇

苦労の日々を経て生まれ

たⅤ2・0の達成感を語る

一方、山崎リーダーは「Ⅴ

2・0はただの過程」、河村

部長も「いかにⅤ3・0へ

つなげていけるか」と冷静

に評する。検査装置の役割

を次のステージへ引き上げ

るべく、両氏の展ビジョン望はすで

に明日の先の未来を見つめ

ていた。

従来設備に新た  

役割

メーカー「次の一手」

新技術ウォッチングSP「さあ、新元号へ!」

ミヤコシ

㈱ミヤコシ(千葉県習志野市津田沼、宮腰亨社長、

☎047・493・3854)はこのほど、基材厚み

12~300㍃㍍の軟包装フィルムを対象とした小

ロット印刷を可能にする水なしオフセット間欠機

「VPP13WL」を開発した。独自機構により、間

欠式でありながら薄物フィルムでも高い見当精度

と、毎分300ショッ

といった高速印刷を実現する。

同社は3月18日から2日間、秋田県大仙市の宮腰精

機㈱国見工場で開催した「OPEN HOUSE

2019春」で新機種を初披露し、実演を行った。

検査 2 部の河村拓海部長(前列左)とソフトウェア部の山崎孝洋リーダー(同右)。後列左の田上葉月氏と中里博紀氏もアスミルビジョンの開発に従事する

軟包装用水なし オフ間欠機開発

独自機構搭載で PET12㎛の薄型基材にも対応

ナビタスビジョン

設立から8年が経過した4月1日、新たな社名で再出発を果たしたナビタスビ

ジョン㈱(横浜市港北区新羽町、辻谷潤一社長、☎045・710・0584)。

創業から10年を待たず販売台数1000台を達成した同社検査装置のコアテクノ

ロジーが、独自の検査アルゴリズムで構成する高速高精度検査ソフトウエア「ナ

ビタスチェッカー」だ。その次世代版と位置付ける画像検査システム「Asmil

Vision

(アスミルビジョン)」の新バージョン「Ⅴ2・0」が、このほど発売された。

新たな軟包装向けソリューションとして開発された「VPP13WL」。独自開発の間欠送り機構を搭載したことで、薄型フィルムへの印刷に対応する(上)。3月の「OPEN HOUSE2019 春」で初披露され、デモンストレーションで来場者の注目を浴びた

新元号が公表され、平成は間もなく幕を閉じる。時代と共に消えるものもあれば次の時代へ残るものもある中、今回の 2社は「残る側」。加えて言えば「進化を果たし次の時代へ生き残る」例だ。オフセット間欠機の基礎技術を進化させ軟包装印刷を実現した事例に、検査装置の役割が進化し業務改善まで支援する試みを追う。令和は、もう目の前だ。

業務改善の分析も

次世代システム〝2・0〟を上市

「アスミルビジョン」が見る検査のミライ

V2・0は「次へ」すら選択する必要もない程検査の設定から実行までの自動

化を追及。蓄積した検査履歴データを業務改善にフィードバックする試みも

第1194号平成31年4月15日 ラ ベ ル 新 聞 【昭和44年 9月30日第三種郵便物認可】( )5 資 機 材