バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨 …2)3-13.pdfthe...

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3 March 2007Strength & Conditioning ジャンプシュートはバスケットボー ルで最も重要な、また最も頻繁に行わ れるシュートの1つである。素早いシ ュートとしてディフェンスに対して優 位であるばかりでなく、正確なオープ ンシュートの際にも行われる。タイミ ング、繊細なタッチ、パワフルな脚の 伸展など、ジャンプシュートには多様 な要素が結びついている。効果的にジ ャンプシュートを決める能力を向上さ せるためには、これらの各要素の練習 とトレーニングを積まなければならな い。 バスケットボール選手のコンディシ ョンを整える際には、様々な要素のト レーニングが必要である。試合で要求 される身体特性として、筋力、体格、 スピード、パワー、無酸素性コンディ ショニング、柔軟性、そしてスキルな どがある。傷害のリスクを減らし、パ フォーマンスを最適化するためには、年 齢やレベルを問わず、すべてのバスケ ットボール選手に適切なトレーニング が必要である。 ©NSCA JAPAN Volume 14, Number 2, pages 3-13 SPORTS PERFORMANCE SERIES 5 The Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations for Strength and Conditioning Programs. バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨される ストレングス&コンディショニングプログラム Russ Ball, CSCS Assistant Strength and Conditioning Coach Kansas City Chiefs Football, Kansas City, Missouri 僧帽筋 広背筋 上腕三頭筋 上腕筋 腕橈骨筋 大殿筋 大腿筋膜張筋 ハムストリングス 外側広筋 腓腹筋 ヒラメ筋 縫工筋 内側広筋 大腿直筋 内転筋群 長橈側手根伸筋 三角筋 大胸筋 上腕二頭筋 腹直筋 大円筋 図1 スタンス

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Page 1: バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨 …2)3-13.pdfThe Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations for Strength

3March 2007•Strength & Conditioning

ジャンプシュートはバスケットボー

ルで最も重要な、また最も頻繁に行わ

れるシュートの1つである。素早いシ

ュートとしてディフェンスに対して優

位であるばかりでなく、正確なオープ

ンシュートの際にも行われる。タイミ

ング、繊細なタッチ、パワフルな脚の

伸展など、ジャンプシュートには多様

な要素が結びついている。効果的にジ

ャンプシュートを決める能力を向上さ

せるためには、これらの各要素の練習

とトレーニングを積まなければならな

い。

バスケットボール選手のコンディシ

ョンを整える際には、様々な要素のト

レーニングが必要である。試合で要求

される身体特性として、筋力、体格、

スピード、パワー、無酸素性コンディ

ショニング、柔軟性、そしてスキルな

どがある。傷害のリスクを減らし、パ

フォーマンスを最適化するためには、年

齢やレベルを問わず、すべてのバスケ

ットボール選手に適切なトレーニング

が必要である。

©NSCA JAPANVolume 14, Number 2, pages 3-13

SPORTS PERFORMANCE SERIES 5

The Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations forStrength and Conditioning Programs.

バスケットボールのジャンプシュート:運動学的分析と推奨されるストレングス&コンディショニングプログラム

Russ Ball, CSCSAssistant Strength and Conditioning Coach Kansas City Chiefs Football, Kansas City, Missouri

僧帽筋

広背筋

上腕三頭筋

上腕筋

腕橈骨筋

大殿筋

大腿筋膜張筋

ハムストリングス

外側広筋

腓腹筋

ヒラメ筋

縫工筋

内側広筋

大腿直筋

内転筋群

長橈側手根伸筋

三角筋

大胸筋

上腕二頭筋

腹直筋

大円筋

図1 スタンス

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March 2007•Strength & Conditioning4

局面の特定

あらゆるパフォーマンススキルは、連

続する5つの局面に分けることができ

る。スタンス、準備、動作、フォロー

スルー、そしてリカバリーである(8)。今

回のバスケットボールのジャンプシュ

ートに関する解析において、スタンス

とは、動作を開始する前の身体姿勢を

意味する。準備局面は、ジャンプのた

めにしゃがむときに始まる。動作局面

は、ジャンプの開始からボールのリリ

ースまでを指す。フォロースルー局面

は、ボールが手から放たれた直後に始

まり、着地した瞬間に終わる。リカバ

リー局面では、その後すぐに始まる次

の動作の要求に対して準備を整える(8)。

この局面は、着地したときに始まり、次

の動作が始まるときに終わる。

本稿では、静止姿勢からのジャンプ

シュートを取り上げる。動作に続けて

行うジャンプシュートは水平方向のモ

ーメントと身体部位の加速と減速を伴

うため(6)、本稿ではこれについては論

じない。

動作分析

スタンス(図1):両足は少しずらして

おき(シューティングハンドと同じ側の

シューティングフットが前)、シュート

の間も適度に近い距離を保つ。前方の

足は直接バスケットの方向を指し、後

方の足はやや開いておく必要がある(15)。

ジャンプ時に脚が最大の力を発揮でき

るように、両足は左右に13~25cm離

すべきである(9,15)。左右それぞれの

手でボールの両側を持ち、ボールを奪

われないように、また必要な場合には

別のシューターにパスできるように、身

体の近くに構える(6)。

準備局面:選手がジャンプのためにし

ゃがみだしたときから始まる(図2)。重

力によって、股関節と膝が屈曲し、足

関節が背屈して身体が引き下ろされる

(14)。これらの関節は、ジャンプに必

要な力に応じて屈曲する必要がある

(4,6)。個人の筋力の強さに関わらず、

あまり深くしゃがみ過ぎてはならない

(5)。筋の弾性エネルギーを最大限に利

用するためには、素早いしゃがみ込み

が必要である(9)。ボールは、相手から

守るためにスタンスと同様の位置で保

持する。しかし、ボールを回転させ始

めてシューティングハンドをボールの

後ろに位置させ、肘がバスケットの方

を向くようにする必要がある(9)。表1

を参照。

動作局面:この局面は、ジャンプを始

めてからボールをリリースするまでの

間を指す。垂直跳びは、以前のスポー

ツパフォーマンスシリーズ(13,14)(注:

参考文献14は、協会誌『ストレング

ス&コンディショニング』未掲載。参

考文献13は、NSCAジャパンウェブサ

イトに掲載中。http : / /www.nsca-

japan.com/m/017m/061-003.htm)です

でに検討された。これらの記事は、足

僧帽筋

三角筋中部

小円筋

大円筋

三角筋後部

広背筋

上腕三頭筋

長橈側手根伸筋

大殿筋

ハムストリングス

腓腹筋

ヒラメ筋

大胸筋

上腕二頭筋

上腕筋

腕橈骨筋

腹直筋

腹直筋

大腿四頭筋

三角筋前部

図2 準備局面

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5March 2007•Strength & Conditioning

SPORTS PERFORMANCE SERIES

僧帽筋

三角筋前部

三角筋中部

棘下筋

大円筋

大殿筋

大腿四頭筋

ハムストリングス

腓腹筋

ヒラメ筋

長橈側手根伸筋

腕橈骨筋

上腕筋

上腕二頭筋

上腕三頭筋

三角筋後部

腹直筋

大腿筋膜張筋

図3 動作局面の開始

関節、膝、股関節の強力な伸展につい

て論じている。この局面にボールが加

わることにより、従来説明されている

垂直跳びの動作が変化する。脚と腕の

動作の組み合わせはキネティックチェ

ーンの好例であり、一連の動作順序、

動きの連続性、そして大きな筋活動か

ら小さな筋活動への移行などの特徴が

ある(9)。

バスケットからの距離と選手のパワ

ーによって、垂直方向の動作が決定す

る。その動作を行うために、足関節、

膝、股関節の伸展に伴って力が発揮さ

れる(図3)。ボールは、肩の屈曲によ

表1 準備局面

関節/部位

足関節

股関節

肩甲帯

肩甲上腕関節

橈尺関節

手関節

中手指節関節および指骨間関節

主働筋

長趾屈筋長母趾屈筋

腓腹筋ヒラメ筋

大腿直筋内側広筋中間広筋外側広筋

半膜様筋半腱様筋大腿二頭筋大殿筋

脊柱起立筋

肩甲挙筋僧帽筋菱形筋

三角筋(前部)大胸筋(鎖骨)

上腕二頭筋上腕筋

円回内筋方形回内筋

尺側手根屈筋長掌筋橈側手根屈筋

深指屈筋浅指屈筋長母指屈筋

筋活動

エキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリック

アイソメトリックアイソメトリックアイソメトリック

アイソメトリックアイソメトリックアイソメトリック

運動/位置

過伸展過伸展

背屈背屈

屈曲屈曲屈曲屈曲

屈曲屈曲屈曲屈曲

屈曲

下制外転外転

伸展伸展

屈曲屈曲

回内回内

中間位中間位中間位

屈曲屈曲屈曲

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March 2007•Strength & Conditioning6

って、シューターの目よりやや高い位

置(シューティングハンドと同じ側)ま

で引き上げられる(5,6)。シューティン

グハンドの肘はバスケットの方を向き、

肩、ボールの中心、そしてバスケット

の中心が一直線上に並ぶ必要がある

(5,9)。シュート動作中はこのアライメ

ントを保つ。前腕は床に対して垂直な

位置よりもやや屈曲し、シューティン

グハンドの手関節を過伸展させる(6,9)。

両手の指先で、ジャンプの間しっかり

とボールをコントロールする。ガイド

ハンド(シューティングハンドの反対側

の手)はやや前に置くが、主に下からボ

ールを支える。シューティングハンド

長橈側手根伸筋

腕橈骨筋

上腕二頭筋

腓腹筋

ヒラメ筋

上腕筋

上腕三頭筋

三角筋中部

三角筋後部

小円筋

大円筋

棘下筋

広背筋

腹直筋

図4 動作局面における垂直上昇

表2 動作局面

関節/部位

足関節

股関節

肩甲帯

肩甲上腕関節

橈尺関節

手関節

中手指節関節および指骨間関節

主働筋

長趾屈筋長母趾屈筋

腓腹筋ヒラメ筋

大腿直筋内側広筋中間広筋外側広筋

半膜様筋半腱様筋

大腿二頭筋大殿筋脊柱起立筋

肩甲挙筋僧帽筋前鋸筋

三角筋(前部)大胸筋(鎖骨部)

上腕三頭筋

円回内筋方形回内筋

尺側手根屈筋長掌筋橈側手根屈筋

深指屈筋浅指屈筋長母指屈筋

筋活動

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリック

アイソメトリックアイソメトリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

運動/位置

屈曲屈曲

底屈底屈

伸展伸展伸展伸展

伸展伸展

伸展伸展伸展

挙上上方回旋上方回旋

屈曲屈曲

伸展

回内回内

屈曲屈曲屈曲

屈曲屈曲屈曲

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7March 2007•Strength & Conditioning

SPORTS PERFORMANCE SERIES

の指は、ボールを支え、力を発揮でき

るようにボールの後方に等しく、また

楽な間隔で置く。体幹は直立させ頭を

真っ直ぐ起こし、目はバスケットに焦

点を合わせる。

ボールは垂直に上昇している間にリ

リースされる(16)(図4)。しかし、バ

スケットからの距離とシューターの筋

力とスキルによって、ジャンプのピー

クでリリースされる場合もある(4,6,9)。

ガイドハンドは、リリースと同時にボ

ールから離れて下ろされる。シューテ

ィングハンドと腕は、(肘の伸展と手関

節の屈曲によって)バスケットを通過す

るようにボールを真っ直ぐ押し出す。手

関節の屈曲がボールに最後の推進力を

与え、初速と投射角度を決定する(9)。

顕著な手関節の屈曲によってボールに

バックスピンがかかり、ボールがバス

ケットの縁やバックボードに当たると、

ボールの水平方向の速度を「鈍らせ」、

ボールがバスケットを通過する可能性

を高める(9)。ボールは、指が少し曲が

った状態のまま、指先からリリースさ

れる。このわずかな指の屈曲によって、

指がボールの下に入りすぎないように

し、バックスピンがかかりすぎるのを

抑える。バックスピンがかかりすぎる

と、ボールがバスケットまで届かない

(6,2)。ボールは4本の指全部を使って

押すが、中間の3本がほとんどの仕事

をする(5)。表2参照。

フォロースルー局面:ボールがリリー

スされてしまうと、その後の身体動作

はボールの飛び方やシュートの正確さ

にはなんら影響を及ぼさない(9,16)。し

かし、ボールリリースの直後に腕や手

首の動作を止めようとする早めの筋活

動が起こると、ボールを放つ動作に影

響を与える可能性がある。シュートの

すぐ後に手を止めようとすると、イン

パルスが筋へ送られるタイミングによ

っては、神経筋系はボールがリリース

される前に発火する。従って、シュー

トに最適な神経筋の電気的パターンに

対する干渉が生じて、結果的にパフォ

ーマンスが低下する(9)。従ってボール

をリリースするときには、滑らかな連

続動作を行うことが推奨される。角運

動量が消失するまで、シューティング

アームは前方そして下方へ動き続ける。

フォロースルーの間、前腕の回内を強

調すると有益である(9)。ガイドハンド

は頭の真正面にあり、シューティング

ハンドは、バスケットに向かって下方

へ動く。床に近付くにつれて足はほぼ

肩幅に広げられ、安定した着地に備え

る。表3参照。

リカバリー局面:この局面は、床に着

地した瞬間から始まり、次の動作を開

始するときに終わる(図5)。着地は、股

関節、膝、および足関節伸筋群のエキ

セントリックな筋活動によって制御さ

れている(9,14)。これらの筋群は、着

地の衝撃吸収を助け、直ちに運動を開

始するために再度弾性エネルギーを放

三角筋前部

三角筋中部

三角筋後部

外側広筋

腓腹筋

ヒラメ筋

上腕二頭筋

上腕筋

上腕三頭筋

腹直筋

大腿筋膜張筋

大殿筋

図5 リカバリー局面

Page 6: バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨 …2)3-13.pdfThe Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations for Strength

March 2007•Strength & Conditioning8

出する(9)。表4参照。

ジャンプシュートのための

トレーニング

動作分析の結果を検討すると、ジャ

ンプシュートの大部分が垂直方向のジ

ャンプ能力に大きく依存していること

が明らかとなった。上半身の筋力と同

様に、スキルの向上も重要な役割を果

たす。本稿では論じないが、水平方向

の運動量を垂直方向のジャンプに変え

る能力には、スピード、筋力、そして

パワーの向上が必要である。他の多く

の競技と同様に、バスケットボールに

おいても、試合中のスキルを最適化す

る適切なコンディショニングが必要で

ある。柔軟性は、関節可動域を広げ(そ

れによりパワーの向上を図り)、傷害の

可能性を低減するために必要である。

ジャンプシュートは、多面的な試合の

中の1つの技術にすぎない。しかし、今

日のバスケットボールでは、高度なト

レーニングを積んだ選手が必要である。

試合で競い合う選手の身体能力が高ま

るにつれて、成功に必要な身体特性も

上がっている。

筋力:ジャンプシュートは、ほとんど

すべての大筋群の力を必要とする。足

関節、膝、股関節、体幹、肩、肘、手

関節は、いずれもジャンプシュートに

関与しており、トレーニング機器を用

いて筋力を強化する必要がある。トレ

ーニングに変化をもたせることは、望

ましい結果をもたらす助けとなるだろ

う。表5~9に、トレーニングの順序

とプログラム例を示した。

スピードとパワー:バスケットボール

に要求されるスピードとパワーは、コ

ートを縦横無尽に走る能力だけではな

く、ジャンプシュートにおける垂直跳

表3 フォロースルー局面

関節/部位

手関節

中手指節関節および指骨間関節

主働筋

上腕二頭筋上腕筋

尺側手根伸筋短橈側手根伸筋長橈側手根伸筋

指伸筋示指伸筋小指伸筋

筋活動

エキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリック

運動/位置

伸展伸展

屈曲屈曲屈曲

屈曲屈曲屈曲

表4 リカバリー局面

関節/部位

足関節

股関節

肩甲帯

肩甲上腕関節

橈尺関節

手関節

中手指節関節および指骨間関節

主働筋

長指屈筋長母指屈筋

腓腹筋ヒラメ筋

大腿直筋外側広筋中間広筋内側広筋

大腿二頭筋大殿筋半膜様筋半腱様筋

脊柱起立筋

肩甲挙筋僧帽筋前鋸筋

三角筋 (前部)大胸筋 (鎖骨部)

上腕二頭筋上腕筋

上腕二頭筋回外筋

長橈側手根伸筋短橈側手根伸筋尺側手根伸筋

指伸筋示指伸筋小指伸筋

筋活動

エキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリック

エキセントリックエキセントリックエキセントリック

エキセントリックエキセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

コンセントリックコンセントリックコンセントリック

運動/位置

伸展伸展

底屈底屈

屈曲屈曲屈曲屈曲

屈曲屈曲屈曲屈曲

屈曲

下制下方回旋下方回旋

伸展伸展

伸展屈曲

回外回外

伸展伸展伸展

伸展伸展伸展

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9March 2007•Strength & Conditioning

びにも関連している。最大の力で素早

くジャンプする能力に関与する筋群と、

着地後の動作を向上させる筋群もトレ

ーニングする必要がある。従って、ス

ピードとパワーのプログラムを作成す

るときには、水平方向、垂直方向、そ

して側方のスピードとパワーをすべて

考慮しなければならない。そのために、

上半身と下半身両方のプライオメトリ

クスとスピードトレーニングが活用で

きるであろう。表10参照。

無酸素性コンディショニング:バスケ

ットボールでは、無酸素性コンディショ

ニングが果たす役割が大きい(3,10,14)。

この要素は様々な方法でトレーニング

することができるが、バスケットボー

ルはランニングが主体の競技であるた

め、ランニングを主要なトレーニング

方法にするべきであろう。表11参照。

柔軟性:ジャンプシュートの最良のパ

フォーマンスには、柔軟性が必要であ

SPORTS PERFORMANCE SERIES

表5 トレーニングの順序

トレーニングの種類

ウォ-ムアップ

柔軟性

スピードとパワー

(基礎筋力向上後)

筋力

コンディショニング

スキルの練習

オフシーズン

1

2

3

4

5

各自

プレシーズン

1

2

3

4

5

各自

インシーズン

1

2

3

6

5

4

表7 オフシーズンとプレシーズンのプログラム例-週4日のスプリットルーティン(1)

月曜

シットアップ

ハイパーエクステンション

*ベンチプレス

-インクラインプレス

-ダンベル・ベンチプレス

-トライセップスエクステンション

*バックスクワット

-レッグカール

-レッグエクステンション

-カーフレイズ

火曜

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

-プッシュプレス

-ショルダーレイズ

-ダンベルプルオーバー

-ラットプルダウン

-シーティッドロウ

-バイセップスカール

-リバースカール

-リストカール

水曜

休息

木曜

シットアップ

ハイパーエクステンション

*ベンチプレス

-ダンベル・インクラインプレス

-ダンベルフライ

-トライセップスエクステンション

-フロントスクワット

-レッグカール

-レッグエクステンション

-カーフレイズ

金曜

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

-ビハインドネックプレス

-ダンベルプレス

-ダンベルプルオーバー

-ラットプルダウン

-ダンベルロウ

-バイセップスカール

-リバースカール

-リストカール

表6 シーズン計画

コアおよび補助エクササイズの強度(負荷)、量/レップ数、セット数の例

注:オフシーズンとプレシーズンにおいては、トレーニング期(筋肥大、基礎筋力、筋力とパワー)に注意し、できれば超過時間を計画に入れる。

*コアリフト   - 補助リフト

エクササイズ

レップ数

セット数

休息/セット

強度

インシーズン

30秒~2分

60~85%1RM

*オフシーズンプレシーズン

2~3分

60~95%1RM

コア

10~6

1~3

補助

12~8

1~2

コア

10~3

3~5

補助

10~6

2~4

Page 8: バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨 …2)3-13.pdfThe Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations for Strength

週3日(1)

March 2007•Strength & Conditioning10

表10 プライオメトリクスのプログラム例

ワークアウト1

オフシーズンのワークアウト 週2回

パワースキップ(注:できるだけ高く、爆発的に行うスキップ)

ロングジャンプ

カーフジャンプ

タックジャンプ

パワーシャッフル

スキー(注:ダブルレッグ・ジグザグホップ、写真1~4)

総接地回数

2×10

2×3

2×10

2×5

2×6

2×6

80

ワークアウト2

パワースキップ

スピードホップ

ボックスジャンプ

バーティカルジャンプ

パワーキャリオカ

スケーター(写真5~7)

2×10

2×8

2×6

2×4

2×10

2×4

74

表8 オフシーズンとプレシーズンのプログラム例

表9 インシーズンのプログラム例

1日目

週2日(1)

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

*ベンチプレス

*バックスクワット

-レッグカール

-プッシュプレス

-ラットプルダウン

-リストカール

2日目

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

*ベンチプレス

*バックスクワット

-レッグカール

-ビハインドネックプレス

-シーティッドロウ

-リバースカール

ワークアウト1

インシーズンのワークアウト 週1回

パワースキー

ボックスジャンプ(水平)

パワーシャッフル

ボックスシャッフル

総接地数

2×10

2×4

2×10

2×10

68

ワークアウト2

スピードホップ

ボックスジャンプ(側方)

パワーキャリオカ

スケーター

2×8

2×4

2×10

2×6

56

ワークアウト1

プレシーズンのワークアウト 週2回

スピードホップ

トリプルジャンプ

バーティカルジャンプ

ボックスジャンプ(側方:ステップは狭く)

スケーター

ボックスシャッフル(注:ストライドジャンプ・クロスオーバー、写真8~11)

総反復回数

2×15

3R3L*

2×6

3×5

2×8

2×12

115

ワークアウト2

ランニングバウンド(注:軽いランニングを始め、途中からバウンディングに移行する)

5回連続ホップ

カーフジャンプ

ボックスジャンプ(水平)

ボックスシャッフル

ラテラルジャンプ

2×6

2R2L**

2×12

2×6

2×8

2×3R2×3L

96

*接地数3回を1レップとして数える。R=右足先、L=左足先**接地数5回を1レップとして数える。R=右足先、L=左足先

*すべての用語および安全上の規則と配慮は、NSCAのプライオメトリックビデオ(11)に基づいている。ワークアウトのプライオメトリクスの種目は、Universityof Southern CaliforniaのS&Cアシスタントコーチ、Robb Rogersが作成した。

月曜(高負荷)

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

*ベンチプレス

-インクラインプレス

*バックスクワット

-レッグカール

-レッグエクステンション

-プッシュプレス

-ラットプルダウン

-トライセップスエクステンション

-バイセップスカール

水曜(低負荷)

シットアップ

ハイパーエクステンション

-ダンベル・インクラインプレス

-ダンベルフライ

-フロントスクワット

-レッグカール

-レッグエクステンション

-ダンベルプレス

-シーティッドロウ

-リバースカール

-リストカール

金曜(中程度)

シットアップ

ハイパーエクステンション

*パワークリーン

*ベンチプレス

-ダンベル・ベンチプレス

*バックスクワット

-レッグカール

-レッグエクステンション

-ビハインドネックプレス

-ダンベルプルオーバー

-トライセップスエクステンション

-バイセップスカール

*コアリフト   - 補助リフト

*コアリフト   - 補助リフト

Page 9: バスケットボールのジャンプシュート: 運動学的分析と推奨 …2)3-13.pdfThe Basketball Jump Shot: A Kinesiological Analysis with Recommendations for Strength

*ワークアウトの前にウォームアップとストレッチを適切に行うことFox(3)より

A look Inside the Biomechanics and Dynamics of Speed(10)を参照。

11March 2007•Strength & Conditioning

SPORTS PERFORMANCE SERIES

表11 バスケットボールのためのオフシーズン、プレシーズン、およびインシーズンのコンディショニング

バスケットボールにおけるエネルギー機構の割合

ホロウスプリント

インターバルトレーニング

スプリントトレーニング

*バスケットボールに推奨されるトレーニング法

ATP-PC系と乳酸系:90%

乳酸系と有酸素系:10%

有酸素系のみ:0%

スプリントを2回行った後に、ジョギングまたはウォ-キングを行う「ホロウ(谷間、中空。高強度スプリント間の低強度運動)」の時間を設ける。例:スプリント27m、ジョギング27m、ウォ-キング27mを疲労するまで反復する

運動と休息を交互に繰り返す。例:30秒以内のペースで200mランを4本繰り返す。休息は1分30秒。(1:3の運動-休息比)記録方法:4x200m、30秒(1:30)。

最大スピードのスプリントを、完全に回復してから繰り返す。例:27mスプリントをできるだけ速く、2~3分の休息時間を挟んで4本行う。

表12 ウォ-ムアップと柔軟性

ウォームアップ:一般的な種目から特異的な種目へ

柔軟性

(1)ダイナミックウォームアップの例

ハイニー

バットキック

スキップ with ハイニー

スキップ withフォアレッグキック

マーチング

(2)スタティックストレッチ-すべての大筋群をストレッチする

(3)その日のトレーニング

(4)PNF-ワークアウトの最後に、問題のある筋群を改善させるようなストレッチを行う

表13 各シーズンの優先度

トレーニングすべき身体特性

筋力

スピードとパワー

無酸素性コンディショニング

柔軟性

スキルの向上

オフシーズン

低~中

中~高

低~中

プレシーズン

中~高

中~高

インシーズン

低~中

低~中

NSCA-CPT認定試験・受験前講座使用テキスト

NSCAパーソナルトレーナー

のための

基礎知識

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March 2007•Strength & Conditioning12

る。適切な柔軟性を獲得するためのト

レーニングとして、ダイナミック、ス

タティック、そしてPNFストレッチの

3つの様式が利用できるだろう。表12

参照。

スキル:ジャンプシュートは極めて高

度なスキルであり、可能な限り競技特

異的な方法で練習を積む必要がある。

望ましい向上をもたらすためには、ト

レーニングを積んだ専門のコーチが、ド

リルとテクニックを指導すべきである。

栄養:本稿の範囲外ではあるが、適切

なトレーニング効果を得ようとするの

であれば、競技に対する栄養上の問題

も十分に認識し、適切に対応しなけれ

ばならない。

シーズン:各シーズンによって、トレ

ーニングの重点が異なるため、ピリオ

ダイゼーションに従って計画を立てる

べきである。シーズンの各期毎の要素

は、すべてが総合的で完全な1つのプ

ログラムに統合されている必要がある。

オフシーズンは、インシーズン終了後、

秋に新学期が始まるまでの2~3週間

である。プレシーズンは、学校の始ま

りと同時に開始し、練習初日まで続く。

インシーズンプログラムは、練習初日

から最終試合までである。各シーズン

で強調すべき身体特性の優先順位につ

いては、一覧表を参照して欲しい(表

13)。◆

4. Hay, J. G. 1973. The Biomechanics of Sports

Techniques. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall.p.236.

5. Hess, C. 1980. Analysis of the jump shot. Athletic

Journal. 61:30-38.6. Kirby, C. and J. A. Roberts. 1985. Introductory

Biomechanics. Ithaca, NY: MovementPublications. pp.340-343.

7. Linsenbardt, S. 1986. Analysis and comparison ofthe one handed jump shot using non-cinemato-graphic techniques. Unpublished paper.Southwest Missouri State University.

8. Logan, G. and W. McKinney. 1983. Anatomic

Kinesiology. Dubuque, IA: William C. BrownCompany Publishers. p.224.

9. Martin T. P. 1981. Movement analysis applied tothe basketball jump shot. Physical Educator.

38:127-133.10. McFarlane, B. 1987. A look inside the biome-

chanics and dynamics of speed. National

Strength and Conditioning Association

Journal. 9 (5) :35-41.11. 1989. Plyometric Training: Understanding

and Coaching Power Development for Sport.

National Strength and Conditioning Association.Videotape.

12. O'Bryant. H. S. 1984. Anaerobic capacity: pro-grams for basketball, wrestling, football.National Strength and Conditioning

Association Journal. 5 (6) :41.13. Richardson, T., Schmotzer, P., Brandenburg, J.,

and W. J. Kreamer. 1983. Improved reboundingperformance through strength training. National

Strength and Conditioning Association

Journal. 4 (6) :6-7, 70-71.14. Seminick, D. M. and K. O. Adams. 1987. The ver-

tical jump: A kinesiological analysis with recom-mendations for strength and conditioning pro-gramming. National Strength and

Conditioning Association Journal. 9 (3) :5-9.15. Stewart, N. and G. Scholz. 1980. Basketball:

Building the Complete Program. Marceline,MO: Walsworth Publishing Company. pp.38-44.

16. Szymanski, F. 1967. A clinical analysis of thejump shot. Scholastic Coach. 37:8-9, 59-61.

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2. Baumgartner, D. 1975. Thrust, release and followthrough in the jump shot. Scholastic Coach.

45:24.3. Fox, E. L. 1984. Sports Physiology. Philadelphia,

PA: Saunders College Publishing. pp.207-212.

謝辞:本稿の準備に関し、University of Missouri

の運動学部長、Dr. John A Robertのご協力に謝意を表します。

写真1 スキー 1

写真3 スキー 3

写真2 スキー 2

写真4 スキー 4

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13March 2007•Strength & Conditioning

SPORTS PERFORMANCE SERIES

写真5 スケート 1

写真9 ボックスシャッフル 2写真6 スケート 2

写真10 ボックスシャッフル 3写真7 スケート 3

写真11 ボックスシャッフル 4

写真8 ボックスシャッフル 1

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ストレングストレーニング&コンディショニング

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