【ネットワークlsiシステム(藤野)研究室】 …...キングする技術.fpga...
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様々な研究(左上から反時計周り)
(1) 実車ハッキング実験 (2) ソナーセンサへの攻撃基礎実験 (3) 赤外線と可視光画像の比較 (4) ラズパイ版 GSSE 監視カメラ (5) CMOS イメージセンサ PUF
【ネットワーク LSI システム(藤野)研究室】 ~IoT(Internet Of Things)セキュリティ~
○研究室の基礎データ
○研究テーマの概要
ネットワーク LSI システム研究室においては,「通信ネットワークにより相互に接続された LSI システム」に
関連する研究を行ってきました.近年では,多様な LSI システムがインターネットに接続されるようになり, IoT(Internet Of Things)という名称で呼ばれています.IoT を用いて生活を便利にする,IoT で収集したデー
タを人工知能などでビッグデータ解析して役立てる,ということが実現されてきていますが,その一方で,以下
表内のような様々なセキュリティに関するインシデント(事例)が発生しています. IoT セキュリティは,「機器の種類や用途が多様」「PC やスマートフォンと比較すると,計算リソースが格段
に少なく,セキュリティ対策が困難」かつ「自動車や社会インフラへのハッキングは,生命の危機や社会全体に
与える影響が甚大」であるため,非常にやりがいのある研究です.当研究室が蓄積してきたハードウエアセキュ
リティ技術を用いて,安心・安全な生活を実現できる IoT セキュリティの研究を行っていきたいと思います.
所在地・連絡先 ローム記念館3F 南側(RO301 藤野個研室,並びでエ
レベータに向かって第1~第4研究室) Web ページ http://www.ritsumei.ac.jp/se/re/fujinolab/ 電話(教授室)077-561-5150(内線 8391)
研究室スタッフ 【教授】藤野 毅(たけし) [email protected]【研究准教授】白畑 正芳,汐崎 充 【研究員】久保田 貴也 【秘書】松田 詩織,清水 明恵
IoT セキュリティに関連するインシデント (日経 BP 社「IoT セキュリティ」より) ・遠隔操作で自動車制御を乗っ取り ・狙われた自動車のスマートキー ・遠隔イモビライザーを不正使用 ・ネット接続の複合機で蓄積データが丸見え状態に ・ハックされたネットワークカメラが全世界で公開 ・スマート冷蔵庫がログイン情報のぞかれる可能性 ・ハッキングチップ内蔵の中国製アイロン ・ホテルの電子錠を小型デバイスで開錠 ・道路案内表示板をハッキング ・14歳の少年が ATM に進入 ・心臓ペースメーカを不正操作 ・自動照準のスマートライフルのハッキング
当研究室の保有する技術 ★耐タンパ AES 暗号回路技術 2009 年~2015 年まで,国プロ「CREST」で研究し,
以下2点で日本トップレベルの技術力 >サイドチャネル攻撃対策 AES 暗号回路 >PUF(Physically Unclonable Function) ★車載セキュリティ技術 模型および実車を使って,車載 CAN バスに侵入しハッ
キングする技術.FPGA ボードを使った対策回路も実
装.パナソニックおよびヴィッツと2種の国プロ実施中
★超低消費電力センサ技術 赤外線アレイセンサと可視光カメラを使った GSSE(Green Smart Secure Eyes)という低消費電力監視カ
メラを実装.STARC の研究として実施中.
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(5)
○研究設備の例 当研究室のポリシーは,モノを作って評価するというところです.セキュリティにおいて重要な役割を果たす,暗
号 LSI では,暗号鍵データが攻撃者に知られないことが重要です.2000 年以降,LSI 動作時の消費電力や,漏えい
電磁波を使って暗号鍵を窃取するサイドチャネル攻撃が現実の脅威となっており,当研究室は図1に示すような,国
内トップクラスの攻撃評価環境を用意しています.当研究室で開発しローム社で試作した攻撃対策回路や,IC カー
ドを評価する実験を行っています.また,車載セキュリティの実験は実車以外では,図2に示すような模型を使って
実装を行っています.自動車で用いられているマイコンやリアルタイム OS 上でのプログラミングを学び,かつ各種
車載センサの機能や動作のさせ方など,実践的なエンジニアとしての技術を身につけていくことができます.
○応用演習の進め方
昨年度配属の学生より,全員に Raspberry Pi を配布して,応用演習期間中は,そのセットアップと初歩的なプログ
ラミング実習を行いました.応用演習後,3つの班にわかれて,自由テーマで電子工作を春休みに行うという実習を
行い,3月下旬に発表会を行いました.今年の卒研生からは,「カメラ付きリモコン戦車」,「赤外線人物検知メール発
信装置」,「カメラモーション検知自動ツイッター装置」,という非常に興味深い発表がありました.3チームとも,ボ
ードコンピュータに各種センサ(カメラ)を取付け,WiFi ネットワークに接続し,動作させる体験を自主的に行った
ということで,有益な演習となったと思います.今年度の配属学生にも同じような実習を予定しています.
○卒業研究の進め方・大学院での研究
応用演習が終了する2月中旬以降,週1回,英文書(暗号技術に関する入門書)の輪講が始まります.4月に入る
と,上記に加え,ネットワークに関するゼミ輪講をおこなうほか,大学院生から,各種プログラミングや FPGA 実装,
回路シミュレータなどのツール実習を週2回程度受け,卒業研究に必要な知識を修得していきます.院進学希望学生
は,並行して,4回生の4月に仮研究テーマを選択して,院生と一緒に研究を開始します.7月の上旬に発表会を行
い,夏休み前後に卒研での研究テーマを最終決定して本格的に卒業研究を開始します. 大学院に関してですが,研究および技術開発職に就きたいのであれば進学を勧めます.修士課程で,学会発表や企
業との共同研究の打ち合わせに参加することで,企業で実際に求められている技術スキルの内容やレベルを実際に感
じて,自分の能力をどのような企業のどんな分野で活用したいのかが分かってくると思います. 当研究室では国内学会・国際学会などに積極的に参加してもらっており,この数年間は,毎年国内学会に 20 件以上,
国際学会に 5 件以上を発表しています.当研究室の研究発表は評価が高く,2013 年~2016 年の4年連続,春に行わ
れる国際学会で当研究室の M2 および M1 が表彰されています.さらに,セキュリティの国内シンポジウムでも2年
連続 M2 が表彰されました.皆さんも,日本のトップレベルの研究を行って,その技術を世界にアピールしていきま
しょう.学会発表等で得られた,論理的思考力とプレゼンテーション能力は,就職活動でも非常に有益で,学会発表
でがんばった学生ほど,早く希望の会社から内定を得られるという傾向があります.
○さいごに
・資源のない日本が今後も繁栄していくためには,やはり高い技術力を持ち続けることが一番大事だと考えています.
それを担っていく技術者の卵である皆さんには,学生時代には,技術スキルだけでなく,新しい技術に対する好奇心
を持って欲しいと思います.新しい技術分野で,自分のアイデアとそれを実現する技術を持ち,それを他の人に広め
るプレゼンテーション能力を身に着けて,日進月歩の電子情報技術分野で長く活躍できる力をつけてください. ・そのための環境をこの研究室では用意していきたいと考えています.高い好奇心と意欲を持ったセキュリティやモ
ノづくりに興味ある学生,自分の研究を国内外で発表したい学生を歓迎します.
図2.模型を用いた車載セキュリティ実験設備 図1.電磁波を用いたサイドチャネル攻撃実験設備
試作暗号 LSI