パラマウントニュース vol.24 2017春〈2〉 24 2017年春号...

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2017 年春号 パラマウント ニュース (業務推進部) 〒102-0083  東京都千代田区麹町 2-4-1 麹町大通りビル TEL:03-4582-5370 http://www.pgm.co.jp Vol. 24 2017 〈1〉 24 使15 75 30 30 20 15 10 調国交省が 中間報告 調調調調調10 調10 調調エネルギー消費性能基準 (適合義務、届出、 省エネ基準適合認定表示) 誘導基準 (性能向上計画認定・ 容積率特例) 住宅事業 建築主基準 (案) ※3 建築物省エ ネ法施行 (H28.4.1) 後に新築さ れた建築物 建築物省エ ネ法施行の 際限に存す る建築物 建築物省エ ネ法施行 (H28.4.1) 後に新築さ れた建築物 建築物省エ ネ法施行の 際限に存す る建築物 上段: ~H31年度 下段: H32年度~ 非住宅 一次エネ基準(BEI) 1.0 1.1 0.8 1.0 外皮基準(PAL*) 1.0 住 宅 一次エネ基準(BEI) ※1 1.0 1.1 0.9 1.0 0.9 0.85 外皮基準:住戸単位 ※2 (UAAC1.0 1.0 1.0 ※1 住宅の一次エネ基準については、住棟全体(全住戸+共用部の合計)が表中の値以下になることを求める。 ※2 外皮基準については、H25基準と同等水準。 ※3 住宅事業建築主基準は平成28年度中の公布(平成29年4月1日施行) 建築物省エネ法に基づく基準の水準 ZEHのイメージ 出典:経済産業省

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2017年春号

パラマウントニュース (業務推進部)〒102-0083 

東京都千代田区麹町2-4-1麹町大通りビル

TEL:03-4582-5370

http://www.pgm.co.jp

Vol.24 2017 春号

〈1〉 24

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法

律」(建築物省エネ法)の規制措置が4月1日に施

行される。その大きなポイントは省エネ基準の適

合義務化で、まず2000平方㍍以上の大規模非

住宅建築物からスタートする。省エネ基準の適合

義務化は建築物の規模によって段階的に実施され、

2020年までには新築住宅も実施される予定だ。

今回の施行で、省エネ基準の適合義務化がいよい

よ具体的に動き出した。

建築物省エネ法は、「エネ

ルギーの使用の合理化等に関

する法律」(省エネ法)に代

わり、建築物の省エネ基準を

組み直すために設けられた新

たな法律。適合義務化や届出

のベースとなる「エネルギー

消費性能基準」(いわゆる省

エネ基準)や、一次エネル

ギー消費量基準より高いレベ

ルを求めた「誘導基準」、年

間150戸以上の建売戸建住

宅を販売する住宅事業者に適

合を求める「住宅事業建築主

基準」が位置づけられている。

そのほか、容積率の緩和特

例が受けられる制度や、住宅

や建築物のエネルギー消費性

能を表示する「エネルギー消

費性能表示制度」なども盛り

込まれている。

施行は二段階で実施され、

建築物省エネ法の規制措置が

4月1日に施行

住宅の省エネ化促進に対す

る優遇施策は、ZEHや省エ

ネリフォームなどを中心に充

実しており、2017年も提

案の好機が続く。ここでは、

住宅の省エネ化促進に向けた

主な優遇施策を紹介する(紹

介する情報は2月15日時点の

もので、変更される場合があ

ります)。

新築でまずあげられるのが

ネット・ゼロ・エネルギー・

ハウス(ZEH)に対する優

遇施策だ。経済産業省では

2016年度に続きネット・

ゼロ・エネルギー・ハウス支

援事業の実施を予定している。

年間の一次エネルギー消費量

がネットでゼロになる住宅を

対象に、ZEHを実現するた

めの住宅システムの導入費を

補助する。

2017年度の補助額は一

戸当たり定額で75万円。公募

省エネ住宅への行政の優遇施策

は5月頃から8月頃の実施が

予定されている。ZEHビル

ダーへの登録などが要件とし

て検討されている。

一方、国土交通省でも地域

型住宅グリーン化事業でZE

Hに対する補助を行う。一

戸あたりの補助額の上限は

165万円としている。

リフォームで、まずあげら

れるのが住宅ストック循環支

援事業だ。2016年度の補

正予算で予算化されたもので

あり、予算がなくなり次第終

了する。

これは、外壁や屋根・天井

または床の断熱改修、開口部

の断熱改修、設備のエコ改修

などのエコリフォームを実施

した場合、一戸当たり30万円

を上限に補助を行う。

2017年5月1日〜6月

30日に2回目の交付申請受付

を行う予定となっている。

2016年4月1

日から、まず「省

エネ基準」や「誘

導基準」の運用や、

容積率の緩和制

度、エネルギー消

費性能表示制度が

スタート。そして、

この4月1日から

規制措置が実施さ

れる。これによっ

て建築物省エネ法

が本格的に動き出

したことになる。

今回の規制措置

の大きなポイント

が省エネ基準の適

合義務化だ。省エ

ネ基準の適合義務

化は建築物の規模

大規模非住宅から適合義務化

によって段階的に実施される

予定となっており、今回は

2000平方㍍以上の非住宅

建築物が建築確認手続きに連

動した適合義務となる。

一方、住宅についても規制

が強化されている。2000

平方㍍以上の大規模な住宅に

ついては、届出が義務化され

ており、さらに基準に適合せ

ず、必要と認める場合、所

管行政庁が指示・命令を行

う。また、300平方㍍以上

2000平方㍍未満のものに

ついては届出が義務化され、

基準に適合せず、必要と認め

る場合、所管行政庁が指示・

命令を行うとしている。

新たな住宅トップランナー

基準の運用もスタート

一方、住宅の分野で運用が

スタートするのが「住宅事業

建築主基準」、いわゆる住宅

トップランナー基準である。

住宅トップランナー基準は、

年間150戸以上の建売戸建

住宅を販売する住宅事業者に

対し、目標年度までに一次エ

ネルギー消費量を基準で定め

た水準以下に抑えることを求

めたもの。

新たな住宅トップランナー

基準では、次期目標年度を

2020年に設定し、クリア

を求める水準については、一

次エネルギー消費量を平成

20年の標準住宅に比べて概

ね20%削減する水準とした。

エネルギー消費性能基準の一

次エネルギー消費量基準と比

一方、高性能建材を導入し、

住宅全体の省エネ性能を向上

する改修工事に対して補助す

る住宅省エネリノベーション

促進事業を経済

産業省が実施す

る。高

性能な断熱

材、窓などを用

いた改修工事の

ほか、蓄電池や

高効率給湯器

の設置も対象。

2017年度の

補助額は現時点

では未定だが、

2016年度は

高性能建材の補

助上限は一戸当

たり150万円

だった。

そのほか、長

期優良住宅化リ

フォームを行っ

較すると15%の削減であり、

大幅な強化となる。

ただし、2019年度まで

は現行とエネルギー消費性能

基準の一次エネルギー消費量

基準に比べて10%削減であっ

てもよいこととした。

住宅トップランナー基準に

適合しない場合は、必要に応

じて国土交通大臣が勧告・公

表・命令を行うとしている。

対象となる住宅事業者は、

これまで以上の省エネ性能の

向上が求められる。

断熱改修で居住者の血圧が低下傾向に

断熱化と健康への影響調査

国交省が中間報告

断熱改修による室温の上昇

に伴い、居住者の血圧が低下

する傾向がみられたことが、

国土交通省が発表した「住宅

の断熱化と居住者の健康への

影響に関する調査の中間報

告」で分かった。

この調査は(一社)日本サ

ステナブル建築協会が国土交

通省の補助事業として実施し

ている「スマートウェルネス

住宅等推進事業」の一環で

行ったもの。断熱改修を予定

する住宅とその居住者を対象

に、改修前後における居住者

の血圧や生活習慣、身体活動

量といった健康への影響を調

査、検証する。今回の中間報

告は2759人の改修前調査

を実施するとともに、165

人の改修後調査を行った。

それによると、まず、血圧

と室温の関連を分析。その結

果、冬季における起床時の室

温が10℃低い朝は、血圧が平

均7・3㎜Hg高くなる傾向

がみられ、室温と血圧の関連

性が強いことが確認できた。

特に高齢者ほど住宅の室温

低下による血圧の上昇量が大

きくなっており、高齢者は室

温が低くならないように注意

する必要があるとしている。

そして、改修前後の室温や

血圧の変化についても調べて

いる。

その結果、断熱改修した住

宅は室温が平均2・7℃上昇

した。なかには10℃以上も上

昇した住宅がもあった。これ

に伴い、居住者の血圧も平均

で1・0㎜Hg低下した。調

査では断熱改修後の室温上昇

量が大きいほど、血圧低下量

も大きくなる傾向がみられて

おり、断熱改修による室温の

上昇が、居住者の血圧に良い

影響を及ぼしたと言えそうだ。

今回の報告は中間報告であ

り、調査は2017年度まで

実施していく。

た場合に、決められた基準を

クリアした住宅に対して補助

する長期優良住宅化リフォー

ム推進事業もある。

エネルギー消費性能基準(適合義務、届出、

省エネ基準適合認定表示)

誘導基準(性能向上計画認定・

容積率特例)

住宅事業建築主基準(案)※3

建築物省エネ 法施行(H28.4.1)後に新築された建築物

建築物省エネ法施行の際限に存する建築物

建築物省エネ 法施行(H28.4.1)後に新築された建築物

建築物省エネ法施行の際限に存する建築物

上段:~H31年度下段:H32年度~

非住宅一次エネ基準(BEI) 1.0 1.1 0.8 1.0 ―外皮基準(PAL*) ― 1.0 ― ―

住 宅一次エネ基準(BEI)※1 1.0 1.1 0.9 1.0 0.9

0.85 外皮基準:住戸単位※2

     (UA,ηAC) 1.0 ― 1.0 ― ―1.0

※1 住宅の一次エネ基準については、住棟全体(全住戸+共用部の合計)が表中の値以下になることを求める。※2 外皮基準については、H25基準と同等水準。※3 住宅事業建築主基準は平成28年度中の公布(平成29年4月1日施行)

建築物省エネ法に基づく基準の水準

2017年度も好機が続く

ZEHのイメージ

出典:経済産業省

2017年春号〈2〉 24

“この街がみる夢を叶えたい”がモットーメンテナンスまで考えた住まいを丁寧に建築

目標は、すべての顧客に

満足いただく建物をつくること

福岡県をエリアに事業を展開する黒木工務店は、黒田藩に仕えた大工の家系で近代建築を学んだ創業者が昭和3年に設立した会社だ。技術を大切に、時間をかけた丁寧な木造注文住宅を建設している。長い歴史を背景に地域に密着した事業を展開している。

黒木工務店は、昭和3年に

創業と、長い歴史を持つ企業

である。

福岡県内を中心に、一般ビ

ル、ヘーベルハウス、木造住

宅、リフォームと総合建設業

を営んでいる。

住宅事業は、30数年前から

手がけるヘーベルハウスを年

間120棟程度、新築の木造

住宅を年間2〜3棟程度建設

していることに加え、近年は

リフォーム事業の拡大に力を

注いできている。

「すべての顧客に満足いた

だく建物をつくること」を目

標に掲げ、「この街がみる夢

を叶えたい」が黒木工務店の

モットーだ。

メンテナンスコストまで

考えた家づくりの提案

木造住宅事業は、注文住宅

ならではの丁寧で柔軟な対応

が大きな特徴だ。

まず、打ち合わせの段階で、

しっかりお客様の要望を聞き、

プランを詰めていく。見積り

が決まるまでに3〜4カ月を

かける。

また、建設も平均的な30〜

35坪の家の場合、外構まで含

めて5カ月程度と、丁寧に施

工していく。

図面を決め、見積もりを提

出し、工事の着工の準備と、

打ち合わせから竣工までおよ

そ1年をかけて1棟の住宅を

つくり上げるわけだ。

「大手ハウスメーカーでは、

多くの種類の平面プランニン

グを持ち、そこから選んだら

すぐに見積り金額も出る。私

たちはプランを決めてから図

面を引き、それから拾い出し

を行いますから、どうして

も長くならざるをえません。

ゆっくりと時間をかけて家を

つくりたいという方が私たち

のお客様です」

また、打ち合わせを踏まえ

たうえで「先々のメンテナン

スまでを考えたお金のかから

ないご提案」を行っているこ

ともポイントだ。

例えば、陶器瓦の使用、な

るべく木の化粧を見せない、

良質なサイディングの使用な

どである。イニシャルコスト

は高くなるが、メンテナンス

までを考えて、使用する建材

や部品の一つひとつを考え、

提案しているのである。また、

内装などの消耗品については、

なるべく高くないものを提案

しているという。

技術を大切にし

技術者を大切にする

着工以降の途中変更への対

応も同社ならでは。

いくら事前に細かく打ち合

わせを行っても、工事が進む

につれてお客様から「やはり

ここはドアではなく引き戸に

したい」といった声は出てく

るもの。

そうした時は構造を考えな

がらできるだけ柔軟にご要望

に応えていく。基本的には施

工図などをつくり打合せを

行っていくが、大きな変更で

なければ大工さんと打ち合わ

せをし、その場で対応すると

いう。

現場の大工の力量が高くな

ければ対応が難しいと考えら

れるが、「つきあいが40年以

上の大工さんも多い」ことな

どから現場に対する信用は高

い。こうした対応が取れるこ

とがお客様の満足度につな

がっているといえる。

同社の品質方針では、「全

社員、日々、人として、技術

者としての修練、研鑽を積み

…」と謳っている。

この〝技術者〟という言葉

がポイントで、黒木工務店が

技術、また、技術者を大切に

している姿勢があらわれてい

る。例

えば、「今は何でもでき

なければならない時代ですか

ら、一般建築のRCも、木造

住宅も覚えなければなりませ

ん」という。こうした人材育

成に対する考え方が黒木工務

店の技術者を育てているので

ある。

たまたま見かけた住宅を

気に入っての受注も

お客様の層は、年齢的には

幅広いが、40代から上の層が

多く、最近の若年層がメイン

のマーケットからみると若干

高めのようだ。

そのためか、設計事務所の

依頼の工事が多いという。ま

株式会社黒木工務店取締役 住宅部長

小野安男氏福岡県福岡市中央区大手門1丁目5番1号

Tel.092-781-4631http://www.kuroki-koumuten.co.jp

た、デザインを重視するお客

さまが多いとも。

昨年にお引渡したお客様は、

たまたま通りかかった建物を

見られて気に入り、わざわざ

お住まいの方にどこで建てた

かを聞いて黒木工務店を訪れ

たという。

一方、性能面では、建物内

の明るさや風通し、省エネな

どが求められているようだ。

特に省エネについては、以

前住んでいた家が非常に寒い

などの理由で高い断熱性能を

求める人が多いという。

こうしたニーズに対し、「な

るべく気密性の高く厚みのあ

るグラスウール断熱材を使

用」して快適な家を実現して

いる。そして、現在、福岡県

太宰府市で建築中の2階建て

住宅の断熱材は、ノンホルム

アルデヒドの住宅用グラス

ウール断熱材「ハウスロンZ

ERO」を採用した。

こだわりを持つお客様が多

いものの、住宅の坪単価は標

準で45万〜50万円程度と、近

辺エリアのなかで中ぐらい。

打ち合わせの段階でしっかりお客様の要望を聞き、先々のメンテナンスまで考えたプランの提案を行うのが黒木工務店の住まいづくりの特長だ

太宰府市で建築中の2階建ての住宅は、急こう配の屋根を持つデザイン性の高いもの

壁や天井の断熱材には、ホルムアルデヒド「ゼロ」の住宅用グラスウール断熱材「ハウスロン ZERO」が使われた

先のように余計な所にコスト

をかけない提案がコストパ

フォーマンスの良さにつな

がっている。

ストック事象に対応し

リフォームに注力

黒木工務店は、今、リ

フォームの拡大に力を入れて

いる。ストックマーケットへ

の対応が目的だ。ヘーベルハ

ウスのリフォームを中心に、

これまで引渡したOB顧客へ

の営業活動を展開している。

実績は年40〜50件ほどとなっ

ている。

長い歴史を持つだけに、「昔

からずっと改装や増改築を続

け、住宅一軒分の金額になっ

たお客様もいらっしゃる」と

いうくらい地域での実績があ

り信用力も高い。

こうした地域のつながりを

ベースに「ちょっと直したい

と言われた時の素早い対応を

心がけている」というフット

ワークの良さで、リフォーム

事業を拡大中だ。

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