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資料6 ハリケーン・サンディの被害概要について

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Page 1: ハリケーン・サンディの被害概要について - MLITニューヨーク都市水害の概要① ハリケリケ サ ディ 、米国 ク市 大規模な都市水害 発ーン・サンディによって、米国ニューヨーク市で大規模な都市水害が発生

資料6

ハリケーン・サンディの被害概要について

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ニューヨーク都市水害の概要①

■ ハリケーン・サンディによって、米国ニューヨーク市で大規模な都市水害が発生リケ サ ディ 、米国 ク市 大規模な都市水害 発

【ハリケーンの概要】10月29日東部標準時刻20時頃、「サンディ」は、ニュージャージー州

アトランティックシティ近くに 最高風速80mph(約36m/s) 130km/hのアトランティックシティ近くに、最高風速80mph(約36m/s)、130km/hの威力を保ったまま上陸。ニューヨークに上陸したハリケーンとしては、1821年以来の高水位

(今回は0.8m上回る)。1938年のハリケーン(死者約200名、NY市内で 大規模な火災が

ニューヨーク

は10名)以来の被害規模。

【人的被害】死者: アメリカ全土及びカナダ 132名(うち、43名がNY市内) 海岸沿いの被害が

発生した地区(ニューヨーク市

クイーンズ)

者 う 、 市避難者: 沿岸部で数十万人に避難指示(NY市は37.5万人に避難指示)

【主な死因】溺死 倒木が主な死因 災害に脆弱な高齢者 子どもの犠牲も多い

海岸沿いの被害が大きい地区が点在

背景図:地球地図(国土地理院提供)

溺死、倒木が主な死因。 災害に脆弱な高齢者、子どもの犠牲も多い。

【停電】ニューヨーク市やニュージャージー州で大きな被害をもたらし、東部一帯で800万世帯・事業所が停電となっ

た。 主な原因は、地下変電施設の浸水および送電線の倒壊。

【火災】ニューヨーク市クイーンズ地区では浸水した地域で10月29日深夜に大規模な火災が発生 死者は発生しなニュ ヨ ク市クイ ンズ地区では浸水した地域で10月29日深夜に大規模な火災が発生。死者は発生しな

かったが、約100棟の家屋が焼失。消防署にも高潮が押し寄せ、消防車が120センチの水に浸かったこと、さらには、消火に向かう道路や火災現場が1メートル近く冠水していたことにより、消火活動が難航。

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ニューヨーク都市水害の概要②

■ ハリケーン・サンディによって 米国ニューヨーク市の交通機関が麻痺 利用者に影響■ ハリケ ン サンディによって、米国ニュ ヨ ク市の交通機関が麻痺、利用者に影響

【交通機関(地下鉄)への影響】ニューヨーク都市交通公社(MTA)は2012年10月28日夕方までに地域内すべての地下鉄とバスの運行を中止。

■9日間で一部区間(運休区間:下図の赤色区間)をのぞき、ほぼ全線で復旧。

ク都市交通 社( ) 年 月 夕方 域 す 鉄 行を中 。1日540万人の利用に影響。29日夜、地下鉄トンネル(8本)、地下鉄駅(8駅)、道路トンネル(2本)に海水が流入。

特に地下鉄では海水とその後に残る残留物により、モーターや金属の留め金のほか、システムを作動させている電子部品が腐食。

■ 日間で 部区間(運休区間 下図の赤色区間)をのぞき、ほぼ全線で復旧。

1週間以内に57%、9日後には98%が復旧98%が復旧

R線は12月21日に復旧。

ただし、2013年4月1日時点で、マンハッタン島の南端に位置する1線のサウスフェリー駅が閉鎖、A線の

ジャマイカ湾~ロッカウェイ東部が不通となっている

湾を渡る直通運転が休止

不通となっている。

NY地下鉄復旧状況 1)

(左図:2012.11.1、右図:2012.11.20)

運休区間(2012.11.20時点)運休区間(2012.11.1時点)

出典: 1)MTA HP, http://www.mta.info/、および調査時MTA提供資料 2

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ニューヨーク都市水害の概要③

■ 大都市における水害は、金融機関等ビジネスへの被害を通じて、経済被害も甚大通勤困難等により多数の事業所等が事業停止(NY証券取引場も数日閉鎖)

【被害額推計】災害リスク評価に当たる米企業Eqecatは災害リスク評価に当たる米企業Eqecatは

11月3日、米東部地域などを直撃したハリ

ケーン「サンディ」による経済損失が最大で500億ドル(約4兆円)に達する可能性があると報告。

経済調査企業ムーディーズ・アナリティック経済調査企業ム ディ ズ アナリティックスは、経済損失額は499億ドルと推定。個

人世帯、ビジネス界や鉄道、道路、上下水道など公共インフラ基盤が被った物的被害を約 億ド 残 ビジ 動 停を約300億ドル、残りはビジネス活動の停止等による損失額と推定。

ハザードマップ:事前の被害想定(ニューヨーク市) 1)

出典: 1) ニューヨーク市ホームページhttp://project.wnyc.org/news-maps/hurricane-zones/hurricane-zones.html 3

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ニューヨーク都市水害の概要④

■ 地下空間からの排水を懸命に実施■ 地下空間からの排水を懸命に実施

■深さ30~40 mの地下トンネルが冠水、陸軍工兵隊は排水ポンプを設置し懸命に作業■それでも、排水完了までにかかった日数は数日から1週間程度

(11月8日には一部区間を除き、ほぼ全路線で運行開始)( 月8日には 部区間を除き、ほぼ全路線で運行開始)

■深さ約41 mのトンネルのほぼ入り口まで浸水。■10月30日~11月7日の間で、約33万 m3を排水。

サウスフェリー駅(2012.11.5) 1) 浸水した86ストリート駅4)

Hugh L. Carey Tunnel(Brooklyn-Battery Tunnel)の排水作業 3)

(1gal=0.003785m3)

MTAによる排水活動(2012.11.6) 2)出典: 1), 2) MTAホームページ

3) 2012.11.9, 工兵隊本部 Facebook掲載図4) 現地調査時MTA提供資料 4

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ニューヨーク都市水害の概要⑤

■ ニューヨーク市は、高潮による海水の地下空間への侵入に対して無防備■ ュ ヨ ク市は、高潮による海水の地下空間 の侵入に対して無防備

■既往最大高潮位を上回る高潮への予防対策は不十分■大規模沿岸防波堤の建設計画が持ち上がったが、予算と環境への配慮から中断。

•1960年代からニューヨークとニュージャージーを高潮から守ることを計画1960年代から ュ ヨ クと ュ ジャ ジ を高潮から守ることを計画•陸軍工兵隊は、防潮堤、湿地帯、大規模な砂丘の組合せによる防護を検討•陸軍工兵隊は、1997年に工学的検討を終了し、環境アセスメント文書を作成•予算が多額であることと環境面のさらなる検討が必要との理由で中断2012年前半 共和党議員からの要請に応じて 陸軍工兵隊は2014年までの検討を表明

■止水板の設置等の地下空間への浸水防止対策も不十分■ただし、早期の運行停止措置により地下鉄における人的被害はなし

•2012年前半、共和党議員からの要請に応じて、陸軍工兵隊は2014年までの検討を表明•ハリケーン・サンディによる被災後、被災者等から事業の早期実施について強い要望

ただし、早期 運行停 措置 より地下鉄 おける人的被害はなし

□ 地下空間の被害と事前の対策状況

施設分類 施設名 被害状況 事前対策 応急対策

鉄道・地下鉄関係 河川を横断するトンネル 高潮により12 本のトンネルが浸水 LCE (Lower Critical Elevations): 事前に鉄道の運行を停止鉄道・地下鉄関係 河川を横断するトンネル 高潮により12 本のトンネルが浸水 LCE (Lower Critical Elevations):危険水位の設定

事前に鉄道の運行を停止

駅 駅出入り口、換気口等から浸水 止水板等の対策は無い 土嚢による防御

車両基地 高潮により浸水 MTAは高潮堤防の嵩上げを検討中であ た

可搬型水嚢設置による止水あった

道路 河川を横断するトンネル 高潮により4本のトンネルが浸水 LCE (Lower Critical Elevations):危険水位の設定

電力施設 地下変電所(C Edi 社)

14フィートの高潮により浸水、爆発 12.5フィートの高潮対応で整備(ConEdison社)

地下街・地下駐車場 コンドミニアムの駐車場 高潮により浸水

一般住宅 自宅地下室 物を取りに行くなどして被災 パンフレット等で注意喚起 5