システムズエンジニアリングの 超々上流を目指して · 入れ子構造...

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システムズエンジニアリングの 超々上流を目指して システムデザイン マネジメント射程 システムデザインマネジメント射程前野 隆司 (慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科) (独)情報処理推進機構 (独)情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター( ソフトウェア・エンジニアリング・センター(IPA/SEC) IPA/SEC)主催セミナー 主催セミナー

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  • システムズエンジニアリングの超々上流を目指して

    システムデザイン マネジメント学の射程―システムデザイン・マネジメント学の射程―

    前野 隆司 (慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科)

    (独)情報処理推進機構(独)情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(ソフトウェア・エンジニアリング・センター(IPA/SEC)IPA/SEC)主催セミナー主催セミナー

  • 私も感じてきたこと=言葉の意味が違う!

    システム、システムズエンジニアリング、システムアーキテクティング、要求定義(要件定義)・・・

    ソフトウエア業界 その他の業界

  • 私も感じてきたこと=言葉の意味が違う!

    システム

    情報システム

    目的達成のために要素間が関係しあうもの(システムズ ン

    宇宙システム

    機械システム

    プラントソフトウエア

    コンピュータシステムインターネット

    生産システム

    建築

    ソフトウエア業界

    (システムズエンジニアリング)

    あらゆる社会のつながり(社会学)

    都市

    組織

    NPO

    地域

    政策

    人間

    ソフトウエア

    教育

    NGO

    外交

    政治

    経済

    農業

    建築

  • 私も感じてきたこと=言葉の意味が違う!

    アーキテクティング

    • コンセプトを具体化し、• 物理的な/情報的な機能(プロセス)を、

    形のある要素(オブジェクト)に割り当て、

    Systemic phase

    Systematic • オブジェクト間のインタフェース構造の

    定義をおこなうこと。

    国立新美術館

    phase

  • システマチックとシステミックSystematic and Systemic

    【Systematic】組織的な、体系的な、系統的な、規則正しい、整然とした 計画的な

    【Systemic】組織の、系統の、体系の、[生理]全身の 全身性の 全体整然とした、計画的な、

    分類(法)の、偶発的に生じるのでないdone according to a system or a plan, in a thorough, efficient or determined way

    の、全身性の、全体にわたるof or relating to a system as a whole≒holistic(全体論の、部分の総和以上の全体としての)

  • システム

    WHY?背景、価値、要求

    システミック

    Systematic and Systemicアーキテクティングの2つのフェーズ

    システムアーシステム

    WHAT? HOW?WHO? WHEN?機能・運用・インタフェースサブシステム・要素に分解(要素還元論的システム理解)

    システマチック

    ーキテクティング

  • システムアーキテクトの定義

    • アーキテクトはプロダクト(製品、成果物)開発の最も抽象的でハイレベルな機能を受け持つ

    • アーキテクトはコンセプト(概念)フェーズのドライビングフォース

    • アーキテクトは– 境界と機能を定義する境 義– コンセプトを創造する– インタフェースと抽象概念を定義し、機能を分配する– アーキテクトはジェネラリストではなく、不確実性(ambiguity)

    を減少させ、創造性(creativity)を発揮し、複雑性(complexity)を単純化するスペシャリスト

    • (職種としての)アーキテクトの仕事がアーキテクト• 他のすべてのよいプロダクトの属性を全体的

    (holistically)に考え、アーキテクティングする

  • 言葉の意味の違い!

    要求定義(要件定義)

    【requirement】要求、必要なもの、必需品、必要条件Something that you need or wantSomething that you need or wantSomething that you must have in order to do something else

    他人からの要求ではなく、あなたが、システムにとって何が必要かを定義するのがrequirement definition (必要条件定義)

  • 言葉の意味の違い!

    要求定義(要件定義)

    顧客の要求顧客

    意識無意識

    【requirement】 要求、必要なもの、必需品、必要条件

    ソフトウエア業界(!?) 本来の要求の範囲

    顧客

    顧客以外他者

    自己

    無意識

    要求

  • 超々上流の要求とは何か?

    顧客

    顧客以外

    他者

    自己

    意識無意識要

    求顧客の意識的要求:顧客に聞けばわかる

  • 超々上流の要求とは何か?

    顧客

    顧客以外

    他者

    自己

    意識無意識要

    求顧客の意識的要求:顧客に聞けばわかる

    顧客の無意識的要求:顧客に聞 てもわからな

    意識意識

    顧客に聞いてもわからない創造的に想像すべきex) 医療ロボットへの医師の要求

    無意識無意識

  • 超々上流の要求とは何か?

    顧客

    顧客以外

    他者

    自己

    意識無意識要

    求顧客の意識的要求:顧客に聞けばわかる

    顧客の無意識的要求:顧客に聞 てもわからな顧客に聞いてもわからない創造的に想像すべき

    顧客以外の要求:顧客に聞いてもわからない社会のニーズを創造的に想像すべき

    ex) 環境、安全、想定外

  • 地球マーケティング 安心安全

    自己と他者の入れ子構造

    超々上流の要求とは何か?

    顧客

    顧客以外

    他者

    自己

    意識無意識要

    文化哲学

    環境 文化環境

    安全性

    南北問題

    納期

    コスト

    性能

    価格

    耐久性

    人工物人工物サービスサービス

    設計者設計者運用者運用者

    組織

    関連業者

    顧客

    ライバル業者

    社会環境

    用途 仕様

    行政

    生産システム

    サプライチェーン

    物流

    関連製品

    製品展開

    マ ケティング

    他社製品

    健康安心安全

    上司

    部下

    外交

    防衛文明

    倫理 思想・信条環境

    人間関係

    幸福ストレス

    競争

    文化

    歴史

  • 地球マーケティング 安心安全

    文化哲学

    環境 文化

    サイエンスからアートまで、自然科学から哲学・思想まで、人類のあらゆる知恵を結集しなければ解決不可能。=超々上流システムズエンジニアリング

    環境

    安全性

    南北問題

    納期

    コスト

    性能

    価格

    耐久性

    人工物人工物サービスサービス

    設計者設計者運用者運用者

    組織

    関連業者

    顧客

    ライバル業者

    社会環境

    用途 仕様

    行政

    生産システム

    サプライチェーン

    物流

    関連製品

    製品展開

    マ ケティング

    他社製品

    健康安心安全

    上司

    部下

    外交

    防衛文明

    倫理 思想・信条環境

    人間関係

    幸福ストレス

    競争

    文化

    歴史

  • WHY?

    地球環境の向上のため

    想定外の事態に対処するため

    安全に配慮 給料を得る

    社会に役立つため

    より良い世界を築くため

    人類の幸福のため

    自分の幸福のため

    社会に貢献するため

    安定した生

    自己実現のため

    売り上げを

    社会から承認されるため

    社会から尊敬されるため

    充実感

    人類の文化・文明に貢献するため

    要求定義

    よりよい社会を築くため

    How‐Why Diagram

    システム開発HOW&WHAT?

    顧客の要求に合わせるため

    安全に配慮するため

    給料を得るため

    上司の要求に合わせるため

    家族を養うため

    他社に勝つため

    コストダウンのため

    より良い生活のため

    余暇を楽しむため

    出世のため

    納期に間に合わせるため

    安定した生活のため

    売り上げを伸ばすため

    耐久性向上のため

    充実感のため

    安全な生活のため

    何をどのように? ブレイクダウン分解と統合・設計と評価

    概念設計基本設計詳細設計 プロジェクト

    マネジメントVモデル

  • システムデザイン・マネジメント研究科とは?

    システムとは?

    システムズエンジニアリングとは?

    アーキテクティングとは?

    アコモデーションとは?

    科学技術から哲学・思想までをシームレスに接続したシステム論とは?

  • システム思考

    ポスト・システム思考

    システム思想

    システムとして考える論理的・分析的世界理解 MECE

    システムを複雑系として考える論理的・分析的世界理解の限界を論理的に理解する「木を見て森も見ている自分」も見る

    論理の限界の理解複雑系としての理解哲学としての理解

    二項対立の解消主 客 非 離

    論理と感性を超えてすべてのシステムのつながりに納得する論理的・分析的世界理解の限界を論理的に理解することの限界を理解し超越する「木を見て森も見ている自分」も見る自分を体感し受け入れる

    論理を超越する解決することを超越するあらゆる境界を超越システムは自己であり同時に自己でないことをわかる

    感じる

    要素還元思考

    要素に分けて考える論理的・分析的世界理解木を見て森を見ず

    論理的 分析的世界理解木を見て森も見る

    MECEロジックツリーループ図ネットワーク図マトリクス図Vモデル分解と統合多目的最適化解ける問題にモデリング客観的世界観

    主観・客観の非分離自他非分離科学とアートの非分離最適化から満足化へ合意からアコモデーションへ

    感じる受け入れる満足する楽しむ動じないありのままなすがまま

    図8 システム思考、ポスト・システム思考、システム思想の関係

  • まとめ

    超々上流工程とは、科学技術~哲学・思想までのシームレスな(WHYの)システムデザイン。Requirementの対象は、

    (1)意識と無意識(1)意識と無意識、(2)顧客と顧客以外(3)対象とするシステムと、自己というシステム

    つまり、製品システムデザインから、人生システムデザインまで。

  • Systems of Systems Engineering (S SE)

    SEの一分野。Directed, Acknowledged, Collaborative, Virtual の4種類がある。ただし、現時点での SoSE Guideline の対象は Acknowledged まで。

    システムデザイン・マネジメント学

    DirectedAcknowledged

    CollaborativeVirtual

    超上流のための学問の関係

    System Engineering(SE)

    (SoSE)

    Soft Systems Methodology(SSM)

    目的を定義し、スコープを明確にする。トップダウン的に構成要素間の整合を取る。

    「社会」「組織」といった目的や定義があいまいな対象を扱う際に介入したり実践的指針を与える。

  • システムデザイン・マネジメント研究科とは?

    システムズエンジニアリングを基盤に、複雑に絡み合った問題をシステムとして解決するための方法を伝授する、これまでにない、文理融合型の大学院。文 融 大 院

    日吉駅徒歩0分。

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  • システムデザイン・マネジメント研究科とは?

    ●2008年新設(慶應義塾150年)●既に何らかの専門性を有する者への教育●過半数は社会人学生●文理融合●システムズエンジニアリングが学問基盤

    メーカー、サービス、シンクタンク、金融、建築、アート、マスコミ、コンサルタント、法曹、省庁、教育、経営者

    生涯学習(大人の大学院)のニーズ(予想以上)20~60代

    ●システムズエンジニアリングが学問基盤●企業経験・起業経験・国際経験豊富な教授陣

    ●授業の重視(研究も重視)●国際的チームプロジェクトの重視

  • SDMのコンセプト

    環境共生 社会協生

    健康・福祉

    安心・安全

    政治経済科学技術

    国際問題問題解決相互理解

    全体最適バランス

    国・地方

    大学・研究所

    産業界デザイン力

    システム力

    マネジメント力

    SDM研究科の人材育成 SDM研究所の国内外連携

    リーダーシップ力

    創造力

    コミュニケーション能力

    国際性 連携マネジメント

    社会貢献

    人材育成

    ビジネス化

    国際的学術成果

    実行力

    自我作古

    SDM SDM

    グローバル人間理解

  • ユニークな教育コンセプト

    デザインプロジェクトALPS(Active Learning Project Sequence)によるデザイン力教育

    プロジェクトマネジメントやビジネス系科目によるマネジメント力教育

    システマティックに学ぶ手法を駆使した新コンセプトデザ

    PMP(Project Management Professional)認定につながる科目群

    デザイン力

    システム力

    マネジメント力

    リーダーシップ力

    創造力

    コミュニケーション能力

    国際性

    実行力

    自我作古

    SDM

    システムズエンジニアリングを基盤とするシステム力教育

    インと検証科目群

    必修コア科目を中心に基礎を徹底的に教育

  • SDM研究所の社会貢献活動

    ACTIVE & INNOVATIVE大学の教育・研究機能を生かした活動の場としてのSDM研究所。

    SYSTEM, DESIGN&MANAGEMENT盤石なSDM学に基づくため、システマチックな連携、着実なマネジメント、クリエイティブでホリスティックな技術・社会デザインの提言が可能。

    国・地方

    大学・研究所

    産業界

    SDM研究所の国内外連携

    連携マネジメント

    社会貢献

    人材育成

    ビジネス化

    国際的学術成果

    自我作古

    SDM

    INDEPENDENT& CREATIVE行政からも民間企業からも独立な教育機関だからできる他に例を見ない斬新な提言

  • おわりに

    システムデザイン・マネジメント研究科は、

    (1)これまでにない文理融合型の学問(SDM学)の構築、(2)人類の平和、安全、幸福に資する、

    社会で本当に役に立つシステムの具体的なデザイン、(3)それらを実現できる、これまでの日本に不足していた

    新しいタイプの人材の育成つまり、「詳細デザインの視点」および「システムを俯瞰する視点」の両面から様々な問題を解決できる先導者の育成

    を先導します。

    これからも、ご指導、ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。

  • Design the Future!Design the Future!

    www.sdm.keio.ac.jpwww.sdm.keio.ac.jp