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ハードウエアの変遷にみるオーディオメーカーの歴史[第31回] ラックスマンの夢顔(畳紙) FMチュ-ナ-と録音機株と 柴崎功sHIBAZAKiIscO �(ノr���ツ���?「��h爾� ラックスマンは「オーディオソース機器」に関しても独創的な �����

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Page 1: ラックスマンの夢顔(畳紙)03...もRFl段増幅で3連バリコン採 用という点はWZ50と同じだが FMフロントエンドには3本のニュ ービスタGCW4をカスコード接続

ハードウエアの変遷にみるオーディオメーカーの歴史[第31回]

ラックスマンの夢顔(畳紙)FMチュ-ナ-と録音機株と

柴崎功sHIBAZAKiIscO �((ノr����ツ���?「��h爾�菰野一一日□痛

ラックスマンは「オーディオソース機器」に関しても独創的な �������

アイデアを多数盛り込み音質や使い勝手にとことんこだわつ ��

た製品群を世に送り出している.今回はFMチューナー,カセ

'」テープを外に引き出して走行させる0ループ武力

くくることにしよう.セットチッ 刄G キD-05の試作機

真空管時代のFMチューナー

1965年に発売された写真1の

WZ50は 当時の人気プリメイン

アンプSQ5B (1962年発売)やそ

の後継機SQ5Bb (1965年発売)

とペアになる真空管式FM/AMチ

ューナーで AM用フェライトバ

ーアンテナをリアパネルに装備し

ている.フロントエンドはFM/

AMとも3連バリコンを採用し,

FMフロントエンドのRFアンプに

VHF用ニュービスタ3極管dCW4

を1本投入FM/AM用高〟双3

極管6AQ8をカスコード接続して

高感度を実現した.同調指示器に

は,緑の帯が横に伸縮するマジッ

クアイ同調指示管6R-E1 3が採用さ

れている.

FM検波されたコンポジット信

号をLとRの信号に分離するステ

レオ復調回路には,マトリックス

方式よりもセパレーション特性が

言やヾ∴',.∴

暮ー「臆題顕SS_∴_-

∴●∴●●∴◆一子

Lチャンネル成分

Rチャンネル成分

砦震lu9 0^パルス  OFF

Rチャンネル OI\

スイッチングoFFパルス

(a)動作原理

60

[写真1] 1965年に発売され

た, SQ5Bbとペアになる真空

管式FM/AMチューナーWZ50

(発売時価格39,000円)

38kHz副搬送波              複合信号

スイッチング回路

(b)基本橘成

[図1]スイッチング式ステレオ復調回路のしくみ

優れたスイッチング方式を採用.

これは図1のように,時分割でLと

Rの信号が合成されているコンポ

ジット信号から, 38kHz副搬送波

周波数で電子スイッチを切り換え

てLとRの信号を切り出す方式で

ある.局間ノイズを消すミューテ

イング回路にはリレーが用いられ

ている.

WZ50と同じ年に発売された写

真2のWZ30は38 (サンバチ)

シリーズの第2世代機SQ38Dとペ

アになる真空管式FM/AMチュー

ナーである.これはウッドケース

を採用してAMフェライトバーア

ンテナを本体に収納. FM/AMと

もRFl段増幅で3連バリコン採

用という点はWZ50と同じだが

FMフロントエンドには3本のニュ

ービスタGCW4をカスコード接続

のRFアンプとミクサー回路に投

入して感度をさらに向上.パネル

左側の同調指示器には丸い可動部

を持つメーターが用いられ,同調

点で回転角が最大になる.ミュー

テインクは本機もリレー式だ

半婆体式FMチューナー

1971年に発売された写真3の

WL500は 同年発売のプリメイン

MJ

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ラックスマンの歩み

~ 申

[写真2] 1965年に発売された, SQ38Dとペアになる真

空管式FM/AMチューナーWZ30 (発売時価格59,500円)

__一〇〇〇〇〇〇°-,i,i,

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[写真4] 1 973年に発売された半導体式FM/AMチューナーT550 (発売時価格54,500円)

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[写真3] 1971年に発売された半導体式FM/AMチューナーWL500 (発売時価格69,500円)

一〇                           」 _一書

[写真5] T550の内部 本体左後方にAM用フェライトバーアンテ

ナを内蔵.その手前のシールドケース内がフロントエンドでハリコンに

はFM4連/AM3造型を採用

[写真6] 1975年に発売されたアナログ(パリコン)方  [写真7] 1 977年に発売されたデジタルシンセサイザー方式FM専

式FM専用チューナーT-1 1 0 (発売時価格96,000円)  用チューナー5T50 (発売時価格220,000円)

アンプSQ503Ⅹ/505Ⅹ/507Xと

ペアになる半導体式FM/AMチュ

ーナーである. FM/AMともRFl

段増幅で AMが3連バリコンであ

る点は従来と同じだがFMには4

遵バリコンを用いて選択度を向上

FMフロントエンドはRFアンプと

周波数変換回路にデュアルゲート

MOS-FETを採用して.感度とリ

ニアリティが高められている.

メーターにはシグナルストレン

グスメーターと,センターチュー

ニングメーターの2つが装備され

て使い勝手が向上し,ミューテイ

ングはリレーより応答が速い純電

子式に変更された またマルチパ

201 6/2

ス検出端子が装備されたので こ

こにオシロスコープを繋げばアン

テナの最適方向がチェックできる.

写真4は1973年に発売された

FM/AMチューナーT550である

バリコンはFM4遵/AM3連で

低価格機なのでFMフロントエン

ドのRFアンプのみにデュアルゲ

ートMOS-FETを採用.シグナル

ストレングスメーターとセンター

チューニングメーターを装備し,

マルチパス検出端子も搭載.内部

は写真5に示す構造だ

写真6は1975年に登場した メ

ーターとダイヤルを一体化した薄

型設計のFM専用チューナーT-

110である.これはFM専用5連バ

リコンを搭載し,フロントエンドの

RFアンプと周波数変換回路にデ

ュアルゲートMOS-FETを採用し,

RFアツテネ一夕-を装儒.位相特

性を重視したIF回路は 4素子

LC型ブロックフィルター2組とセ

ラミックフィルターを組み合わせ

て,選択度と低歪率特性の両立を

狙った設計になっている.ステレ

オ復調回路には,低歪率のPLL-IC

が初採用された

これまで紹介したチューナーは

同調回路にバリコンを用いたアナ

ログ方式であるが1977年になる

と同調回路に図2のようにバリキ

61

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ラックスマンの歩み

[写真10] 1979年に発売されたアナログ方式FM/AMチューナーT-50A (発売時価格69,000円)

[写真12] 1978年に発売されたラックスマン初のシングル

キャプスタン方式2ヘッド構成カセットデッキK-1 2 (発売時価

格158.000円)

■葵-騰貴甲富l

⑥㊥●~~〇〇〇~~

[写真1 3] 1979年に発売されたデュアルキャプスタン方式

独立3ヘッド構成カセットデッキ5K50 (発売時価格280.

000円)

鰭 唸謦�

に:∴:_-I_=I [写真14] 5K50の独立3ヘット構成でデュアルキャプスタン方式のテープ走行メカニスム

式で 高周波バイアスが録音アン

プに回り込むのを防ぐバイアスト

ラップ(バイアス周波数で高イン

ピーダンスになるLC並列共振回

路)が不要になって録音リニアリ

ティが向上する.このほかに連続

可変式バイアスコントロール.ヘ

ッドアジマス調整機構,キュー/

レビュー機能を装備するなど

5K50はハイエンドユーザー向け

仕様になっている.写真16の

K-10はK-12の下位モデルで カ

ウンターを電子式からメカニカル

式にし,ディスプレイが簡素化さ

ZO1 6/2 63

・\\←←\\

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[写真1 ll 1987年に発売された初代BSチューナーTS・

1 17 (発売時価格99,800円)

[写真15] 5K50の内部 独立3モーターのテープ走行メカニズムを搭載し,録音系も再生系もDCアンプ構成 コント

ロール回路には汎用ロジックICが多用されている

高周波バイアス廟発振回路

(8)一段的なドライブ方式      (b) 5K50のBRBSドライブ方式

[図3]録音ヘットドライフ方式の比較

れている.

nループトランスポート

1982年に晴海で行われた第31

回全日本オーディオフェアに参考

出品された話題作が,写真17のQ

(オメガ)ループトランスポート搭

載カセットデッキである.当初は

X-3Kと表記されだが後にタイト

ル写真のようにD-05となった

カセットデッキはカセットハーフ

の窓からヘッドを挿入して記録再

生を行うが これだとヘッドの形

状 配置,個数に制約があるし,

テープ走行系の精度がカセットハーフに左右される.そこでカセット

ハーフからテープを引き出し.シャ

シーに固定された最適形状かつ最

適配置のヘッド辞にテープを当て

て走行させる写真18のトランスポ

ートが開発され テープがQの形

になるのでQ (オメガ)ループト

ランスポートと命名された.これは

カセットデッキの革命だが カセッ

トテープは幅が381mmと狭くて

引っ張り強度が低く.テープを引き

出す際にワカメ状に変形しがちな

ので商品化はされなかった

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ラックスマンの歩み

[写真23] LUX

ブランドのオーディ

オパーツ群.かつ

てはスイッチやツマ

ミに至るまで アン

プ製作に必要な各種のパーツがラックスマンから商品化さ

れていた

[写真25]取材風景.左から願に長妻部長,土井社長,筆

者(柴崎)

[写真24]ラ

ックスマンのキーパーソン土

井和幸代表取締役社長(左)と開発本部の長妻雅一部長

クスの発展に大きな貢献をした

写真24の両氏からうかがった話

を要約すると.ラックスマンは長

い歴史の中で事業規模や経営母体

が大きく変化し.土井社長が入社

した1974年当時に比べて現在は

約1/10の人数になった

90周年記念ポスターの製品一覧

を見ると,製品のデザインはさま

ざまである.しかし,昔から変わ

らないポリシーは「どんなに時間

がかかっても開発者が納得のでき

ない製品は発売しない」というも

のだ このポリシーは製品の音質

にも表れており.エンジニアが変

わっても基本となる音質や音色の

傾向は同様である.そのこだわり

の結果,製品開発に時間がかかり

発売時期が年を跨いでしまうこと

も多々あった

時としてそのやり方は経営を圧

迫し.ほかの製品で得た利益を食

いつぶすこともあった しかしそ

の独自のこだわりを支持する多く

の販売店やユーザーに支えられて,

創業90年を迎えることができた

これまで携わったさまざまなジ

ャンルのオーディオ機器の開発ノ

ウハウは,現在のラインアップに

も大いに活かされている.そのよ

うな90年と, 100周年を見据えた

これからの10年の方針は,やはり

これまで通り,一つ一つの製品を

徹底的にこだわって創り続け. 「気

づ㍉いたら100周年を迎えている」

ということになるだろう,とのこと

である

※取材協力

ラックスマン株式会社

●代表取締1茹上長 土井和幸氏

●開発本郡部長一長妻雅一氏

●広報部 小島康氏

※写真提供

写真5/17/23/24とタイトル写真は筆者撮

影 写真25はMJ編集部提供 写真9/14

/15はカタログから引用 それ以外はラック

スマン提供

MJ

ダンパー

[図5]振動系とLMC発電機構

に発売したのが写真22のMCカートリッジLMC-1である.これは

図4, 5に示す構造で 本体にはシ

ェル取付面に鏡面仕上げを施した

制撮亜鉛合金SPZ削り出しブロッ

クシャシーを採用.発電系には同

軸上に大小2つの円筒形磁石を用

いて発電コイルと直交する均一な

磁界を作り出すLMC (Linear

Magnetic-field Cross)発電機構

を採用したサファイヤカンチレバーのMCカートリッジである.

1983年にはカンチレバーをチタ

ンテーパーパイプに変更した下位

モデル, LMC-2 (発売時価格29.

000円)が発売された

90年を振り返る

ラックスマンは海外情報をいち

早く採り入れた早川家の電子回路

エキスパート集団でスタートし,日

本初のテスターを発売したり,写

真23のようなアンプ製作パーツを

発売するなど 国内エレクトロニ

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