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平成 28 年度 産業経済研究委託事業 ベンチャー企業に対する 資金供給の円滑化に関する調査 報告書 平成 29 2 PwC あらた有限責任監査法人

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Page 1: ベンチャー企業に対する 資金供給の円滑化に関する調査 - METI28 年12月に、「平成29年度税制改正大綱」におけ る経済産業省関係の税制改正ポイントとして、企業ベンチャー投資促進税制の延長・強化を図

平成 28 年度

産業経済研究委託事業

ベンチャー企業に対する

資金供給の円滑化に関する調査

報告書

平成 29 年 2 月

PwC あらた有限責任監査法人

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はじめに

【本調査の背景と目的】

我が国産業の新陳代謝を活性化し、経済成長の発展を図るためには、イノベーションや新

たな雇用を生み出すベンチャー企業の創出・発展が不可欠である。一方で、我が国の起業活動

は世界各国と比較しても高い水準にあるとはいえず、ベンチャー企業創出のためにエコシステム

の構築が重要な課題となっている。

ベンチャーエコシステムの構築を推進するためには、ベンチャー企業に対する十分なリスクマ

ネーの供給が行われることが、非常に重要な主軸の1つであるといえよう。よって、大企業等の事

業会社からベンチャー企業、投資家からベンチャー企業への出資を始めとした資金の流れを、

より一層円滑化させる必要があると考える。

これらを踏まえ、本調査では、ベンチャー企業への資金供給・資金循環を円滑化する制度に

関する調査・分析を行い、政策減税など既存の支援措置に関する制度の利用実態と課題等を

明らかにして、我が国におけるベンチャーエコシステムの構築につながる政策課題を抽出するこ

とを目的とする。

加えて、ベンチャー企業への投資促進につながる既存の税制措置等について、制度の利用

が想定される事業者・投資家などにおいて、十分に認知されていないことが課題であり、周知方

策も検討する必要がある。本調査では、既存制度に関する調査・分析を通じて、制度の認知状

況についての現状把握と効果的な周知手段についても調査・検討を行い、より一層の制度利用

を促進することを目的とする。

【調査の実施内容】

本調査は、以下の構成内容で実施した。

事業会社によるリスクマネーの供給促進を目的にベンチャー投資促進税制を平成 25 年度に

創設し、また、投資家によるリスクマネーの供給促進を目的にベンチャー投資促進税制を平成 9

年度に創設するなど支援施策の整備を行ってきている。本調査では、ベンチャー企業への投資

促進につながる当該税制措置について、制度の利用が想定される事業者・投資家などで、十分

に認知されているか等、既存制度に関する調査・分析を通じて、制度の認知状況について現状

把握を行うとともに周知手段の有効性の調査も同時に行った。

具体的には、ベンチャーキャピタル(以降 VC)対面で行うヒアリング調査と、ベンチャー投資関

連制度エンジェル税制や企業のベンチャー投資促進税制にそれぞれ関係する VC、LP、投資

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家、税理士等を対象に Web アンケートを実施した。

また、我が国のベンチャー投資に対する税制が他国との比較においてどのような状況にあるの

かを把握することは今後の税制の在り方について検討する一助となると考え、ベンチャー投資関連

税制に関する国際比較も同時に行った。

調査の後半では、ヒアリング調査と Web アンケート調査結果を受けて、エンジェル税制の一層の

制度利用、認知度向上を促進することを目的としてPR動画の作成等PR活動について検討を行っ

た。

(1) ベンチャー企業への投資を促す制度の調査・分析

本報告書のⅠ.VC へのヒアリング調査

本報告書のⅡ.Web アンケート調査

(2)ベンチャー企業への投資促進につながる支援制度の内容及び運用面での課題の抽出、並び

に支援制度の国際比較等

本報告書のⅢ.ベンチャー投資関連税制の国際比較

(3)税制措置に関する効果的なPR方法の検討

本報告書のⅣ.税制措置に関する効果的なPR方法の検討

なお、本調査業務の過程において、平成 28年 12月に、「平成 29年度税制改正大綱」におけ

る経済産業省関係の税制改正ポイントとして、企業ベンチャー投資促進税制の延長・強化を図

る具体的取り組みも行われた。調査では税制改正の検討に資する基礎情報の提供を図るように

した。

「平成 29 年度税制改正大綱」経済産業省関係の税制改正に関する資料

:http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2017/161215a/pdf/161215a002.pdf

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目次 .................................................................................................................................... 4

I. VC へのヒアリング調査 ............................................................................................. 6

ヒアリング調査の概要 ................................................................................................ 6

VC へのヒアリング調査結果 ....................................................................................... 7

(1) 調査結果のまとめ ............................................................................................. 7

(2) ヒアリング結果 ................................................................................................ 8

II. Web アンケート調査 ................................................................................................ 18

調査概要 .................................................................................................................... 18

(1) 調査目的 .......................................................................................................... 18

(2) 調査対象 .......................................................................................................... 18

(3) 調査手法 ......................................................................................................... 20

VC 及び LP に対する調査 ......................................................................................... 22

(1) 企業属性 ......................................................................................................... 23

(2) 資金調達及び投資の実態 ............................................................................... 28

(3) 資金調達及び投資の実態 ............................................................................... 39

(4) 資金調達及び投資の実態 ................................................................................ 52

(5) アンケート結果のまとめ ............................................................................... 66

投資家に対する調査 ................................................................................................. 68

(1) 回答者の属性 ................................................................................................. 69

(2) エンジェル投資の利用実態 ............................................................................ 73

(3) ベンチャー投資関連税制の利用実態と意見 .................................................. 80

(4) アンケート結果のまとめ ............................................................................... 86

税理士に対する調査 ..................................................................................................87

(1) 回答者の属性 ................................................................................................. 88

(2) ベンチャー投資関連税制の認知度と利用実態 ............................................... 91

(3) ベンチャー投資関連税制に対する意見 ......................................................... 96

(4) アンケート結果のまとめ .............................................................................. 103

III. ベンチャー投資関連税制の国際比較 ................................................................... 104

調査結果の概要 ....................................................................................................... 104

各国個別の調査結果 ................................................................................................ 105

............................................................................................. 105

.................................................................................................... 116

............................................................................................................... 118

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........................................................................................................... 122

................................................................................................ 124

IV. ベンチャー投資関連税制の効果的な PR ............................................................. 128

PR 実施の検討 ......................................................................................................... 128

(1) PR 実施検討の背景 ....................................................................................... 128

(2) PR 対象 ......................................................................................................... 128

(3) PR 方法の検討 .............................................................................................. 129

(4) PR 方法の決定 .............................................................................................. 129

(5) PR 動画の内容 .............................................................................................. 129

PR 動画制作実施の内容 ........................................................................................... 130

(1) 動画制作会社の選定 ..................................................................................... 130

(2) 動画制作の方針 ............................................................................................. 130

(3) 制作企画の決定 ............................................................................................. 131

(4) インタビュー対象者の選定 .......................................................................... 131

(5) 制作・撮影・編集の実施内容 ....................................................................... 132

PR 波及の拡散手法の立案 ....................................................................................... 135

(1) PR 波及の立案 .............................................................................................. 135

(2) 掲載媒体 ........................................................................................................ 135

(3) 拡散方法 ........................................................................................................ 135

(4) 今後 ............................................................................................................... 136

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I. VC へのヒアリング調査

本調査では、リスクマネーの供給状況、VC の投資状況を把握するために東京及び東京以外

の地域(東京都以外の道府県を意味する)の VC へのヒアリングを実施した。

ヒアリング調査の概要

リスクマネーの供給状況、ベンチャー企業の状況についてどのように感じているかを

把握するとともに、VC が運用するファンド及び活動状況を把握する。

合わせて、ファンドに係る税制優遇制度としてベンチャー投資促進税制が存在するが、

税制の認知状況、利用状況、課題等についても把握する。

全国のリスクマネーの状況を把握するため、東京に本社のある VC17 社以外に、北海道

1 社、東北地方 2 社、神奈川 1 社、関西地方 1 社、中国地方 1 社、九州地方 1 社の VC に

協力依頼を行い、ヒアリングを実施した(東京 17 社、東京以外の地域 7 社)。また、ベ

ンチャー企業と関わりのある税理士 1 名、ベンチャー企業に直接投資している銀行 1 行、

事業会社 1社及び投資を受け入れるベンチャー企業 1社に対してもヒアリングを実施した。

本ヒアリングでは、リスクマネー、ベンチャー企業及び VC の状況、VC が運用するフ

ァンドの状況、ベンチャー投資促進税制及びエンジェル税制の認知、利用実態等をヒア

リングした。

(4) 実施時期

ヒアリングの実施時期は、2016 年 7 月中旬~8 月下旬である。

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VC へのヒアリング調査結果

ベンチャー投資について各地域の状況を把握するために、リスクマネーの供給状況を把握

すると共に、ベンチャー投資について、どのような課題を認識しておりどのように対応して

いるかを把握するため、ベンチャー企業の状況及びベンチャー投資の状況をヒアリングした。

合わせて、ベンチャー投資促進税制及びエンジェル税制が VC の投資に与える影響を把握する

ためにヒアリングを実施した。

なお、ベンチャー企業のステージの定義は下記によっている。

シード 商業的事業がまだ完全に立ち上がっておらず、研究及び製品開発を継続している

企業

アーリー 製品開発及び初期のマーケティング、製造及び販売活動に向けた企業

エクスパンション 生産及び出荷を始めており、その在庫または販売量が増加しつつある企業

レイター 持続的なキャッシュフローがあり、IPO 直前の企業等

(ベンチャー白書 2016 I-11 より定義は引用)

リスクマネーの状況について、ヒアリングした結果、東京及び東京以外の地域におい

てもリスクマネーの供給が増えている状況であった。一方で、ベンチャー企業の起業は

増えているが、投資を行いたいと思う優良なベンチャー企業数は以前とあまり変わらな

いので、優良な企業に投資が集中することで投資のバリュエーションが高くなりすぎて

いると感じている VC が多数を占めた。また、VC 投資が本業ではない事業会社の直接投

資、及び CVC を設立しての投資で、投資することが目的となってしまい投資できる価格

を付けてしまうことが、バリュエーションが高くなってしまっているもう一つの要因と

考えられる。

なお、ベンチャーへの投資を促進するために税制の面で優遇策を設けているが、その

うちの一つであるベンチャー投資促進税制については、認知はされているが、細かい制

度内容まで認識している VC は少なかった。これは東京と東京以外の地域で理由は異なっ

ていた。東京は税制優遇を受けなくても LP 出資を集めやすいということで、そもそも利

用を検討していないという点が大きい理由であった。一方、東京以外の地域は、制度の

利用を考えたがファンドの認定要件のファンド規模要件20億のハードルが高すぎてそれ

以上の検討を行わなかったことが大きな理由であった。

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リスクマネーの供給状況について

東京だけではなく東京以外の地域においてもリスクマネーの供給量は増加していると

いう回答を得た。増加要因としては、今までベンチャー投資に疎遠であった事業会社が

成長のためにベンチャー企業との協業を視野に入れ、ベンチャー企業へ直接又はコーポ

レートベンチャーキャピタル(CVC)を設立し投資を行っていることや、政府系機関によ

るファンドからの投資が増えていることが考えられる。

なお、リスクマネーの供給は増えているが、投資先の業種についてはどの業種も増え

ているわけではなく、IT 系ベンチャーに偏っているのではないかと回答した VC が複数

存在した。

(以下、ヒアリングより抜粋)

リスクマネーの供給状況について

[東京]

リーマンショック前と比較すると格段によくなっている。

フィンテック等が登場して今までベンチャーに関心がなかった企業までがベンチャ

ーに興味を持つようになった。結果として、企業が直接又は CVC を設立してベンチ

ャー企業に投資しているため、リスクマネーの供給は増えてきていると実感してい

る。

リスクマネーの供給という点では非常に良好、資金がダブついている感じさえある。

近年は、リスクマネーの供給が増えているが、IT 系ベンチャーに偏りすぎている。

[東京以外の地域]

東京から 2 年遅れてという感じではあるが、リスクマネーの供給は増えてきたと感

じる。

東京と比べると劣るが、リスクマネーの供給は活発になってきた。

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ベンチャー企業の状況について

ベンチャー企業の状況について、各地域で認識に格差があった。東京では起業が活発

でありベンチャー企業数も増えているが、東京以外の地域では起業があまり活発ではな

いという状況が浮かびあがった。

ただし、東京以外の地域でも福岡だけは他の地域とは状況が異なった。東京と同様ベ

ンチャー企業の状況は良好であり、最近では九州の他の地域でも有力なベンチャー企業

が出てきているという回答を得た。福岡の状況は、行政による支援がうまくいっている

ことが考えられるが、一方で行政の支援があってもベンチャー企業がなかなか出てこな

いと感じている地域があり、行政の支援が直接起業に結びついていない状況も垣間見え

る。

東京以外の地域で起業が活発でない一番大きな要因としては、起業して IPO や M&A

を経験したという成功事例が少ないため、後に続く人が成功体験を共有できず起業を目

指す若者が出てこないというものを挙げている VC が多かった。

なお、ベンチャー企業数が増えているからといって、投資を行いたいと考えるベンチ

ャー企業数についてはあまり変わっていないという回答もいくつかの VC で聞こえた。

以下、ヒアリングコメントより抜粋:

ベンチャー企業の状況

[東京]

起業しやすい環境で起業自体の数は増えていると思うが、シードからアーリー、ア

ーリーからエクスパンション、エクスパンションからレイターへ段階的に成長する

ために必要な資金調達を行い着実に成長できているベンチャー企業の数は以前とあ

まり変わらない印象を持っている。

ベンチャー企業は玉石混合で、優良な会社は不足していると感じる。資金の供給は

増えているので資金が足りずに成長できないというわけではなく、事業が成長しな

いというエクスパンションの谷がある。

[東京以外の地域]

今までは企業が活発なのは福岡だけだったが、最近は九州の他の地域にも有力なベ

ンチャー企業が出てきている。

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優秀な人材は、地元地域の優良企業に就職する傾向が強く、最初から起業しようと

考える人や、就職後退職して起業しようと考える人が少ないと感じる。

市がベンチャー企業の母集団を大きくしようと色々な取り組みを行っているが、IPO

の成功体験の共有が少ないためか起業があまり出てこない。

バリュエーションについて

投資をする際のバリュエーションについて、実態と合っていないと回答した VC が多数

存在した。これは、優良なベンチャー企業が現れると多くの VC が投資を申込むためバリ

ュエーションが高くなってしまっていることが一つ挙げられる。また、今までベンチャ

ー投資をしてこなかった事業会社が投資の実績を作るために、通常なら投資しない先に

対しても高いバリュエーションで投資してしまっていることもバリュエーションが高く

なっていることの一つの要因として考えられる。

以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

案件自体は増えているが、シードで少しバリュエーションが高くなりすぎていると

感じる。要因としては、リスクマネーの規模に対して優良な企業が少ない現状があ

るのではないか。

資金が特定の会社に集まる傾向にあり、バリュエーションが崩れていると感じるこ

とがある。

ベンチャー企業の目線が高くプライシングが合わずに投資を受けられないベンチャ

ーもいる。

政府系ファンドの投資により、価格調整機能が働かなくなっていると感じることも

ある。

VC が運用するファンド規模

VC が組成するファンド規模は東京とそれ以外の地域では大きな差があった。東京のVC

では数十億~数百億のファンドを組成し運用しているが、東京以外の地域におけるファ

10

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ンドでは、5 億~20 億規模のファンドがほとんどであった。要因としては、投資部員が 2

名~3 名程度でファンドの運用を行っているので、投資企業数が限られるというものと、

投資先企業が少ないといった声が聞かれた。

以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

日本以外に米国等でファンドを組成している。総計は 200 億弱。

運用中のファンドは 10 数本。規模は 10 億~40 億程度。

現在複数のファンドを運営している。規模は 50 億~80 億程度。

[東京以外の地域]

規模は 5 億から 10 億規模が多い。東京の VC と比べると規模は小さいが、現状の人

数では 10 億を超えるファンドの組成は想定していない。

ファンドの規模は 5 億~10 億。適正規模は 10 億~20 億程度と考えている。

2人,

50%

4人,

17%

5人,

33%

1社あたりのハンズオンの人数の割合_東京

2人,

14%

3人,

71%

4人,

14%

1社あたりのハンズオンの人数の割合

_東京以外の地域

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VC の運営をファンドの管理報酬で考えると 30 億規模が適正と考えている。ただ、

以前組成したファンドは 10 億程度。これは、LP から出資が集まらなかったため。

投資方針について

投資先企業のステージではシード・アーリーからレイターまで様々であった。投資先

企業の所在地については、東京の VC は日本及び海外を投資対象としていたが、東京以外

の地域の地銀系 VC は地域活性化のための投資を主目的にしているので、VC の所在地域

の企業への投資が主になっている。また、エグジット戦略については、IPO と M&A の

いずれも選択肢に入れているとの回答が多かった。なお、最初から M&A を考えての投

資はしないという回答もあった。

以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

アーリーを中心にレイターまで幅広く投資しているが、シリーズ A への投資に重点

を置いている。

全業種、全てのステージを対象に投資している。

リーマンショック前に 1 社当たりの投資額が大きくなりすぎてパフォーマンスが悪

くなったので、現在は厳選分散投資を行っている。

[東京以外の地域]

LP に地銀が入っているので、原則として投資対象は VC 所在地域の会社。ステージはシ

ード中心。

人員が少ないためシードに投資してもハンズオンできないので、シード以外のステージ

を対象にしている。

VC 所在地域に貢献するすべてのステージの会社に投資している。

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LP の出資目的について

LP の出資目的としては、適格機関投資家の場合は金融収益の獲得のみ考えている。一方、

地銀については地域の企業の成長が目的であるため、金融収益についてはあまり考えていな

い状況である。また、事業会社の場合、自社との協業やベンチャー関連の情報の入手等、自

社の事業に関連性を求めての出資となっている。なお、一般事業会社が LP として出資する場

合、情報の提供等の作業が追加されること等で VC の業務が増えるため LP に一般事業会社を

入れたくないと考える VC も存在した。さらに、事業会社はブームで投資をするので LP とし

て好ましくないと考えている VC もいた。

以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

金融収益と事業収益の両方を考えている。

金融収益のみ考えている。中にはベンチャーとの連携を考える LP もいるが、VC と

しては金融収益で返すことのみ考えている。

事業シナジーや情報収集等の営業支援を求めている。その対応が出来る VC に資金が

集まるようになっている。

[東京以外の地域]

ベンチャーは玉石混合なので、VCを通してのフィルタリング及びLP自身が将来CVC

を設立する際に活用できるノウハウの蓄積を期待している。

今後の融資先の開拓及びフィンテック等の新分野の情報の入手を期待している。

今後の融資先の開拓。地域貢献がメインなのでリターンに対して経済性という観点

はない。

ベンチャー投資促進税制の認知について

ヒアリングを行ったすべての VC はベンチャー投資促進税制について認知していた。ただし、

実際の制度の利用に関しては、東京の VC では税制が出来たときに聞いたが利用しようと思っ

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ていないので詳しい内容まで知らないという結果であった。一方、東京以外の地域の VC は認

知していて、実際に利用を検討しようとした時に、要件が厳しくて断念したので詳しい内容

は知らない、という結果であった。認知しているという点では東京と東京以外の地域で差異

はないが、詳しい内容を知らない理由は東京と東京以外の地域では異なる結果となった。

以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

制度自体は知っているが、全く考慮に入っていないため、詳細は知らない。

認識しているが、活用を検討したことはないため、詳細は知らない。

認識しているし、また事業会社から聞かれたこともあるが、利用を検討したことは

ない。

[東京以外の地域]

以前活用しようと思ったことがあったが、内容がよく理解できなかった。また、LP

は制度の存在そのものを知らないようだった。

認知していたが、要件に合致するファンドがなく活用しなかった。

制度自体は認知している。最近も新潟のファンドで認定されたニュースを見て関心

を持っている。ただし、要件の制約が難しく活用の検討はしていない。

100%

100%

0%

0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

東京以外の地域

ベンチャー投資促進税制の認知度

認知している 認知していない

14

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ベンチャー投資促進税制利用の阻害要因について

ベンチャー投資促進税制を利用しない理由については、東京と東京以外の地域で異なって

いた。東京の場合、税制を利用しなくても LP 出資が集まることや、VC としてそもそもその

ような税制を利用したいからファンド出資するようなLPには出資してほしくないという意見

も聞かれた。一方で東京以外の地域の場合は、ベンチャー投資促進税制の一つの要件である

ファンド規模 20 億というのが大きなハードルになっているとの回答が多かった。先でも記載

した通り、東京以外の地域のファンドの場合 5 億~20 億未満のファンド組成がほとんどなの

で、ファンド要件に合致しないことが大きな阻害要因になっていたことが分かった。

18%

9%

82%

91%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

規模要件(20億円)

IRR要件(15%)

投資促進税制を利用しない要因 (規模要件、IRR要件)_東京

利用しない要因にあたる 利用しない要因にあたらない

89%

44%

11%

56%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

規模要件(20億円)

IRR要件(15%)

投資促進税制を利用しない要因 (規模要件、IRR要件)_東京以外の地域

利用しない要因にあたる 利用しない要因にあたらない

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以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

LP が中小企業であればメリットはあるかもしれないが、大企業ではあまりメリットはな

いのではないか。

認定を得るまで投資できないというのは厳しい。ファンド組成においては、通常ある一

定の金額を集めてから投資をスタートし、その後追加出資という形態をとっているので、

ファンドの設計が税制の考えるファンドと合っていない。

ファンド組成に必要性を感じない。

[東京以外の地域]

20 億円のファンド規模は厳しい。また、LP がファンドに出資した時ではくファンドか

ら投資した時に損金算入されるため、損金算入できる金額及び時期が明確にならないた

め LP として使いづらいのではないか。

20 億円のファンド規模は厳しい。税制に関して金融機関は興味を持たないだろうが、事

業会社の LP は興味を持つ可能性はある。今後ファンド要件が緩和されるのであれば、事

業会社 LP を増やすための一つの手段とし検討したい。

東京以外の地域でファンド規模 20 億円は厳しい。また、認定を取得したり書類を提出し

たりといった手続きが煩雑と感じる。

エンジェル税制の認知について

VC としてエンジェル税制が関係することはないが、認知について確認を行った。結果とし

てすべての VC がエンジェル税制について認知していた。利用が少ない理由としては、そもそ

もエンジェル投資家がいない、税務目的で投資しているわけではない投資家が増えると IPO

審査の時に手間がかかるので投資家を株主に加えたくない等の理由があげられた。

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以下、ヒアリングより抜粋:

[東京]

認知している。上場会社 CEO や IPO した CEO 等で成功した人がエンジェル投資をして

いると思うが、実際税制を使っているかは不明。

認知している。ただ、エンジェル投資をしている人をあまり聞かない。資産管理会社か

らの投資が多いのではないか。

認知しているが、感覚としてあまり利用されていないと感じる。ベンチャー企業側でも

手続が発生することと、エンジェル投資家にとっても、税務申告の際に資料を集めるの

に手間がかかり、それに比べて微々たる減税額ということが影響しているのではないか。

[東京以外の地域]

認知しているが、活用している人は聞いたことがない。

認知しているが、そもそもエンジェル投資家がいない。

認知している。ただ、ベンチャー企業は個人から投資を受けたいと考えていない。投資

家が多いと、VC も主幹事証券会社も嫌う傾向がある。

100%

100%

0%

0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

東京以外の地域

エンジェル税制の認知度

認知している 認知していない

17

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II. Web アンケート調査

調査概要

本調査は、ベンチャーエコシステムを構成する VC、LP、投資家及び税理士の 4 プレー

ヤーを対象にして調査を行い、ベンチャー企業への資金供給に関する実態を把握するこ

とを目的とする。

すなわち、ベンチャー企業に投資する際に各出資者がどのようなニーズを持って出資

活動を行っており、それら出資者のニーズに対してベンチャー投資促進税制やエンジェ

ル税制といったベンチャー投資関連制度がインセンティブとしてどのように働いている

のかを Web アンケートを通して把握する。

本 Web アンケートでは、ベンチャー投資を促進するための政策に対する課題や意見に

ついても幅広く聞いており、今後の我が国におけるベンチャーエコシステムの構築につ

ながる政策課題に資する情報を提供することを目的とする。

VC, LP, 投資家及び税理士の4プレーヤーを対象に調査を行った。

VC ベンチャーファンドを組成し、LP を募集しファンドの資金を集

める。その後、ベンチャー企業を選定し、集めた資金を出資する

LP ベンチャーファンドへ出資し、ベンチャーファンドを通じてベン

チャー企業へ資金供給を行う

投資家 直接ベンチャー企業を選定し、自身の資金より出資を行う

税理士 ベンチャー投資を考えている投資家に対して、税制面よりアドバ

イスを行っている

VC

下記の VC に対して、調査を依頼した

・一般財団社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の会員企業

・ベンチャー白書 2015 におけるアンケート回答企業

・インタビュー実施先など経済産業省や PwC とリレーションを持つ企業より、下

18

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記抽出条件に該当する先を選定

【抽出条件】

・全国

・全業種

・ベンチャーファンド設立経験あり

LP

Web 検索を行い、下記抽出条件に該当する母集団より、無作為抽出により 225 件

を選定

【抽出条件】

・全国

・全業種

・ベンチャーファンドへの出資経験あり

投資家

実際にベンチャー企業に出資したことがある投資家に限らず、今後ベンチャー企

業へ出資する可能性がある下記のいずれかを満たす者を選定

【抽出条件】

・未上場企業やベンチャー企業に出資・投資をしたことがある

・ベンチャー企業経営の経験者で IPO 等、一定の成功をおさめ、ベンチャー企業

への投資資金を有する

・投資だけでなく、自らの経験により、アーリーステージのベンチャー企業に対

し、ハンズオン支援も可能

・ベンチャー企業経営の経験はないが、投資資金を有し、今後状況次第では、ベ

ンチャー企業に対し、資金支援が可能

具体的には、次の組織等の協力を得て、上記要件に該当する全国の会員や関係者

に対してアンケートを実施した

【アンケート配布協力先】

・一般社団法人 新経済連盟

・日本ニュービジネス協議連合会

・日本スタートアップ支援協会

税理士

PwC 税理士法人及び東京税理士会 麹町支部の協力を得て、税理士に対してアンケ

ートを依頼した。また、弊法人とのリレーションを有している税理士に対しても

19

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協力を依頼した。

【抽出条件】

・全国

・税理士の資格を有する

1) 調査方法 Web アンケート調査

2) 調査期間 VC 及び LP

2016 年 9 月 9 日から 2016 年 11 月 7 日まで

投資家及び税理士

2017 年 1 月 20 日から 2017 年 2 月 16 日まで

3) 調査手順 ①調査対象リストの作成

②Web アンケートの依頼

③メール、電話による回収催促

④問い合わせ等への対応

⑤回答結果の収集、集計

4) 調査項目 ・基本情報

・資金調達又は投資の実態

・資金調達時又は投資時の目的及びニーズ

・ベンチャー投資関連税制(※)のインセンティブと課題

・ベンチャー投資関連税制(※)の認知と理解 等

※VC 及び LP に対してはベンチャー投資促進税制に関する質問を行い、投資家及

び税理士へは主にエンジェル税制に関する質問を行っている。

5) 有効回答企業数 ・ベンチャー企業:66 件

・LP:44 件

20

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・投資家:32 件

・税理士:52 件

21

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VC 及び LP に対する調査

VC 及び LP はいずれもベンチャーファンドを通じてベンチャー企業への資金供給に関与

しており、ベンチャー企業へのリスクマネーの供給における重要なプレーヤーとなってい

る。近年、大企業をはじめとした事業会社からの資金供給の動きも活発になってきており、

これら資金の流れをより一層活発化させる必要がある。ここでは、VC 及び LP の活動実態、

ベンチャー投資促進税制の認知度や利用状況、及び、税制に対する意見を把握するべく、

Web アンケートによる調査を実施した。

<分析手法>

本セクションでは。本社所在地が東京都に所在する VC または LP(以下、本セクション

では、「東京」という。)と本社所在地が東京都以外に所在する VC または LP(以下、本セ

クションでは、「東京以外」という。)の回答結果の比較分析を行っている。

ベンチャー投資促進税制を適用したベンチャーファンドは東京都に集中しており、それ

以外の地域での適用は進んでいない。そのような実態から、東京都には、ベンチャー投資

に係る人、金、物、情報が集中しており、東京都とそれ以外の地域ではファンドの組成ま

たは出資に係る行動や考え方において違いが存在するとの仮説をたてた。

東京都とそれ以外の地域の特徴を浮き彫りにすることで、東京都に加えて、東京都以外

の地域においても効果のある政策を立案していけるようにすることを目的としている。

<本セクションを読む際の留意点>

分析結果の数値について特に「東京」または「東京以外」の説明が付記されていない場合

は、全体の数値を表している。

22

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本アンケートに回答した VC 及び LP の企業属性を把握する。

VC [VC] 本社住所地(都道府県)

本社所在地のうち、「東京都」が最も多く 55%となっている。全国各地の東京都以

外の地域の企業も回答しており、その他東京都以外は 45%となっている。

全体(N=66)

3%0%2%

0%0%0%0%0%0%0%0%0%

55%6%

2%0%0%0%0%0%0%2%3%

0%2%3%5%

0%0%0%

5%2%

0%6%

2%0%0%2%

0%2%

0%0%2%2%

0%0%0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都

神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県

和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県

鹿児島県沖縄県

23

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[VC] 従業員数

1 社当たりの従業員数は、「5 以上 - 10 名未満」が 27%と最も多く、次いで、「2 名

以上 - 5 名未満」が 26%、「10 名以上 – 20 名未満」が 23%となっている。「2 名

以上 - 20 名未満」で合計 76%を占める。

全体(N=66)

東京/東京以外

6%

26%

27%

23%

8%

6%

2%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2名未満

2名以上 - 5名未満

5名以上 - 10名未満

10名以上 - 20名未満

20名以上 - 30名未満

30名以上 - 50名未満

50名以上 - 100名未満

100名以上

3%

19%

31%

19%

14%

8%

3%

3%

10%

33%

23%

27%

0%

3%

0%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2名未満

2名以上 - 5名未満

5名以上 - 10名未満

10名以上 - 20名未満

20名以上 - 30名未満

30名以上 - 50名未満

50名以上 - 100名未満

100名以上

東京(N=36) 東京以外(N=30)

24

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[VC] 投資担当者数

投資担当者数は、「2 名以上 - 5 名未満」が 50%と最も多く、次いで「5 名以上 - 10

名未満」が 29%となっている。「10 名以上」に該当する企業は全て東京である。東

京は、東京以外と比べて投資担当者数が多い傾向にある。

全体(N=66)

東京/東京以外

9%

50%

29%

8%

2%

2%

0%

2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2名未満

2名以上 - 5名未満

5名以上 - 10名未満

10名以上 - 20名未満

20名以上 - 30名未満

30名以上 - 50名未満

50名以上 - 100名未満

100名以上

3%

39%

36%

14%

3%

3%

0%

3%

17%

63%

20%

0%

0%

0%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2名未満

2名以上 - 5名未満

5名以上 - 10名未満

10名以上 - 20名未満

20名以上 - 30名未満

30名以上 - 50名未満

50名以上 - 100名未満

100名以上

東京(N=36) 東京以外(N=30)

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LP

[LP] 本社住所地(都道府県)

本社所在地のうち、「東京都」が最も多く 27%、東京都以外は 63%となっている。

全体(N=44)

9%2%2%2%2%2%

5%5%

0%0%0%0%

27%0%

5%0%0%0%0%0%0%0%

5%2%

0%2%

9%0%0%0%0%0%0%

5%0%0%

2%2%2%2%

0%0%0%

2%5%

0%0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都

神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県

和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県

鹿児島県沖縄県

26

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[LP] 業種

「金融機関(適格機関投資家)」が 70%と最も高く、次いで「一般事業会社(大企

業)」が 20%となっている。

全体(N=44)

東京/東京以外

70%

0%

0%

20%

7%

2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

その他

42%

0%

0%

42%

17%

0%

81%

0%

0%

13%

3%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

その他

東京(N=12) 東京以外(N=32)

27

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VC及びLPのファンド組成時またはファンドへの出資時の活動実態を把握する。また、

VC 及び LP が組成時または出資時においてどのような点に期待しており、どのような点

に課題があると考えているのかを把握する。

VC

[VC] 運営しているベンチャーファンドの想定 IRR

「5%以上 - 10%未満」が 30%と最も多く、次いで「10%以上 - 15%未満」が 20%

となっている。15%未満と回答したVCが 58%にもおよび、認定ファンドの目標 IRR

要件 15%が高いと感じる VC が一定の割合で存在していると考えられる。特に東京

以外においては、15%未満と回答した VC の割合は 80%に及ぶ。

全体(N=66)

東京/東京以外

8%

30%

20%

18%

15%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5%未満

5%以上 - 10%未満

10%以上 - 15%未満

15%以上 - 20%未満

20%以上 - 25%未満

25%以上

3%

14%

22%

25%

19%

17%

13%

50%

17%

10%

10%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5%未満

5%以上 - 10%未満

10%以上 - 15%未満

15%以上 - 20%未満

20%以上 - 25%未満

25%以上

東京(N=36) 東京以外(N=30)

28

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[VC] ベンチャーファンドの1口あたり平均投資額

「3000 万円未満」(30%)及び「5000 万円以上 - 1 億円未満」(26%)が多い。地

域別では、東京は「1 億円以上」が 42%を占めるが、東京以外では「1 億円以上」

は 10%程度であり、「3000 万円未満」が 47%と最も多い。

全体(N=66)

東京/東京以外

30%

17%

26%

17%

3%

8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3000万円未満

3000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上 - 1億5000万円未満

1億5000万円以上 - 2億円未満

2億円以上

17%

17%

25%

25%

6%

11%

47%

17%

27%

7%

0%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3000万円未満

3000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上 - 1億5000万円未満

1億5000万円以上 - 2億円未満

2億円以上

東京(N=36) 東京以外(N=30)

29

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[VC] ターゲットとしている投資先ベンチャー企業のステージ

「アーリー」が 50%と最も多い。「アーリー」との回答比率は東京においては 64%

と高く、東京以外の比率(33%)よりも高い。

全体(N=66)

東京/東京以外

11%

50%

20%

2%

18%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

シード

アーリー

エクスパンション

レーター

特にターゲットは設定していない

11%

64%

11%

0%

14%

10%

33%

30%

3%

23%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

シード

アーリー

エクスパンション

レーター

特にターゲットは設定してい

ない

東京(N=36) 東京以外(N=30)

30

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[VC] 組成ファンドの投資先候補および実際の投資先

① [VC] 組成ファンドの投資先候補(複数回答可)

「大企業から子会社としてスピンアウトした会社(子会社等)」が最も多く 65%、

次いで「外国会社」が 47%となっている。企業のベンチャー投資促進税制の適用

要件において、上記投資先も認定対象とすることで、税制活用できる企業が増加

すると考えられる。

全体(N=66)

東京/東京以外

65%

47%

44%

17%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

大企業から子会社としてスピンアウト

した会社(子会社等)

外国会社

社会問題解決型のソーシャルビジネ

スを行っている企業

この中にはない

69%

56%

42%

14%

60%

37%

47%

20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

大企業から子会社としてスピンア

ウトした会社(子会社等)

外国会社

社会問題解決型のソーシャルビ

ジネスを行っている企業

この中にはない

東京(N=36) 東京以外(N=30)

31

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② [VC] 組成ファンドの実際の投資先(複数回答可)

実際の投資先となると、「外国会社」が最も多く 55%、次いで「大企業から子会社

としてスピンアウトした会社(子会社等)」が 36%となっている。

東京以外においては、「この中にはない」が 37%となっており、投資候補としては

大企業子会社や外国会社を考えているが、実際には投資対象が見当たらない VC が

存在することがうかがえる。

全体(N=66)

東京/東京以外

36%

55%

27%

26%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

大企業から子会社としてスピンアウトした

会社(子会社等)

外国会社

社会問題解決型のソーシャルビジネスを

行っている企業

この中にはない

39%

72%

36%

17%

33%

33%

17%

37%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

大企業から子会社としてスピンア

ウトした会社(子会社等)

外国会社

社会問題解決型のソーシャルビ

ジネスを行っている企業

この中にはない

東京(N=36) 東京以外(N=30)

32

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[VC] ベンチャーファンドの LP の業種構成(複数回答可)

ベンチャーファンドを構成する LP は「金融機関(適格機関投資家)」が最も多く、

73%であり、次いで「一般事業会社(大企業)」の 50%となっている

全体(N=66)

東京/東京以外

73%

6%

32%

50%

30%

26%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

その他

67%

6%

42%

58%

31%

17%

80%

7%

20%

40%

30%

37%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

その他

東京(N=36) 東京以外(N=30)

33

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[VC] LP になってもらいたい事業会社または金融機関(複数回答可)

ベンチャーファンドを構成する LP は「金融機関(適格機関投資家)」が最も多く、

68%、次いで「一般事業会社(大企業)」(56%)、「政府系金融機関」(47%)、とな

っており、信用力及び資金がある先が求められていることがわかる。

全体(N=66)

東京/東京以外

68%

27%

47%

56%

26%

14%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

特になし

78%

39%

53%

64%

28%

11%

57%

13%

40%

47%

23%

17%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

金融機関(適格機関投資家)

金融機関(適格機関投資家以外)

政府系金融機関

一般事業会社(大企業)

一般事業会社(中小中堅企業)

特になし

東京(N=36) 東京以外(N=30)

34

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LP

[LP] ベンチャーファンド出資時の一口当たりの平均出資額

「3000 万円未満」(34%)が最も多く。次いで「5000 万円以上 - 1 億円未満」(23%)

及び「2 億円以上」(23%)となっている。東京は「2 億円以上」が 50%と平均出

資額が多いが、東京以外では「1 億円未満」が 85%と平均出資額が少ない傾向にあ

る。

全体(N=44)

東京/東京以外

34%

14%

23%

2%

5%

23%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3000万円未満

3000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上 - 1億5000万円未満

1億5000万円以上 - 2億円未満

2億円以上

25%

8%

0%

8%

8%

50%

38%

16%

31%

0%

3%

13%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3000万円未満

3000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上 - 1億5000万円未満

1億5000万円以上 - 2億円未満

2億円以上

東京(N=12) 東京以外(N=32)

35

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[LP] ベンチャーファンドに出資する目的(複数回答可)

東京と東京以外で結果の傾向が異なる。東京では、「経済的利益の獲得」が 67%と

最も多く、次いで「協業可能なベンチャー企業の情報の入手」(58%)及び「ベン

チャーキャピタルから業界動向などの情報の入手」(58%)となっている。一方、

東京以外では、「経済的利益の獲得」(41%)も多いものの、「地域経済への貢献」

(94%)が最も多い。

全体(N=44)

東京/東京以外

48%

75%

39%

30%

11%

5%

5%

7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済的利益の獲得

地域経済への貢献

協業可能なベンチャー企業の情報の入手

ベンチャーキャピタルから業界動向などの情報の入手

将来のCVC設立のための、ベンチャー投資に関するノウハウの獲得

取引先の勧めによる出資

継続的に出資している先だから

その他

67%

25%

58%

58%

17%

0%

8%

17%

41%

94%

31%

19%

9%

6%

3%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済的利益の獲得

地域経済への貢献

協業可能なベンチャー企業の情報の入手

ベンチャーキャピタルから業界動向などの情報の入手

将来のCVC設立のための、ベンチャー投資に関するノ

ウハウの獲得

取引先の勧めによる出資

継続的に出資している先だから

その他

東京(N=12) 東京以外(N=32)

36

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[LP] ベンチャーファンドに出資時の課題や問題点(複数回答可)

「投資したものの経済的利益を十分に獲得できない」が 61%と最も多い、次いで、「ベン

チャーキャピタルが投資実績に乏しく、出資判断が難しい」(34%)及び「ベンチャーフ

ァンドが出資した企業と事業シナジーがあるか分からない」(34%)となっている。

「投資したものの経済的利益を十分に獲得できない」は、東京(42%)と東京以外(69%)の差

異が大きい。東京以外においては、東京よりも将来の投資に対するリターンが魅力的な投

資先ベンチャー企業を見つけることが難しいことがうかがえる。

全体(N=44)

東京/東京以外

18%

34%

34%

0%

61%

9%

30%

14%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ベンチャーファンドに出資する事に対して社内の理解が得られない

ベンチャーキャピタルが投資実績に乏しく、出資判断が難しい

ベンチャーファンドが出資した企業と事業シナジーがあるか分からない

人事異動でファンド側の担当者が変わるので、ファンドの出資方針に

一貫性がない

投資したものの経済的利益を十分に獲得できない

ベンチャーキャピタルのLPへの対応があまりよくない

出資したいベンチャーファンドが少ない

特になし

17%

25%

33%

0%

42%

17%

33%

25%

19%

38%

34%

0%

69%

6%

28%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ベンチャーファンドに出資する事に対して社内の理解が得ら

れない

ベンチャーキャピタルが投資実績に乏しく、出資判断が難し

ベンチャーファンドが出資した企業と事業シナジーがあるか

分からない

人事異動でファンド側の担当者が変わるので、ファンドの出

資方針に一貫性がない

投資したものの経済的利益を十分に獲得できない

ベンチャーキャピタルのLPへの対応があまりよくない

出資したいベンチャーファンドが少ない

特になし

東京(N=12) 東京以外(N=32)

37

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[LP] ベンチャーファンドに期待する収益率(IRR)

「15%上 - 20 未満」が 36%と最も多く、次いで、「5%以 - 10%未満」(20%)及び

「5%未満」(20%)となっている。

全体(N=44)

東京/東京以外

20%

20%

16%

36%

2%

5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5%未満

5%以上 - 10%未満

10%以上 - 15%未満

15%以上 - 20%未満

20%以上 - 25%未満

25%以上

8%

0%

25%

50%

0%

17%

25%

28%

13%

31%

3%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5%未満

5%以上 - 10%未満

10%以上 - 15%未満

15%以上 - 20%未満

20%以上 - 25%未満

25%以上

東京(N=12) 東京以外(N=32)

38

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VC 及び LP がベンチャー投資促進税制に対してどのような点に魅力を感じ、また、ど

のような点を課題として考えているかを把握する。

VC

[VC] ベンチャー投資促進税制の魅力度

「やや魅力的」(35%)、「魅力的」(9%)の合計は 44%であり、「あまり魅力的でな

い」(14%)、「魅力的ではない」(3%)の合計 17%よりも比率が高い。

東京以外では、「魅力的」(13%)、「やや魅力的」(47%)の合計は、60%と半数を

超えているが、東京では、「やや魅力的」(25%)、「魅力的」(6%)の合計は 31%

と半数を下回る。また、東京では、「あまり魅力的でない」が 22%、「魅力的では

ない」が 6%と厳しい評価もある。

全体(N=66)

東京/東京以外

3% 14% 39% 35% 9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

6%

0%

22%

3%

42%

37%

25%

47%

6%

13%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=36)

東京以外

(N=30)

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

39

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① [VC] 魅力的と回答した理由(複数回答可)

*ベンチャー投資促進税制を「魅力的」「やや魅力的」と回答した対象者への質問

「LP 出資を集めやすくなる」との回答が 72%と最も多く、次いで「認定されること

でファンドの信用力が高まる」が 48%となっている。

全体(N=29)

東京/東京以外

72%

48%

14%

14%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

LP出資を集めやすくなる

認定されることでファンドの信用力が高まる

ファンドの管理体制強化につながる

LPからの要望に答えられる

認定ファンドの要件を満たすファンドの組成を検討している

その他

64%

36%

18%

0%

0%

0%

78%

56%

11%

22%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

LP出資を集めやすくなる

認定されることでファンドの信用力が高まる

ファンドの管理体制強化につながる

LPからの要望に答えられる

認定ファンドの要件を満たすファンドの組成を検討している

その他

東京(N=11) 東京以外(N=18)

40

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② [VC] 魅力的でないと回答した理由(複数回答可)

*ベンチャー投資促進税制を「魅力的ではない」「あまり魅力的ではない」と回答した対象者への

質問

「LP出資を集めるのに、税制は訴求ポイントにならない」(64%)及び「ファンド

認定までの手続きが煩雑に思える」(64%)が最も多い。次いで、「税制がなくても

LP出資を集めることができる」(36%)及び「毎期の報告が面倒」(45%)となっ

ている。

全体(N=11)

東京/東京以外

64%

36%

45%

36%

64%

27%

9%

9%

27%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

LP出資を集めるのに、税制は訴求ポイントにならない

認定まで出資できないことが制約になる

毎期の報告が面倒

税制がなくてもLP出資を集めることができる

ファンド認定までの手続きが煩雑に思える

わかりやすい説明資料がなく、理解が難しいそうに思える

どこに相談すればよいかわからず、実際に利用することが難しそう…

認定までの期間が長いように思える

その他

70%

40%

50%

40%

60%

20%

10%

10%

20%

0%

0%

0%

0%

100%

100%

0%

0%

100%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

LP出資を集めるのに、税制は訴求ポイントにならない

認定まで出資できないことが制約になる

毎期の報告が面倒

税制がなくてもLP出資を集めることができる

ファンド認定までの手続きが煩雑に思える

わかりやすい説明資料がなく、理解が難しいそうに思える

どこに相談すればよいかわからず、実際に利用することが難しそうに

思える

認定までの期間が長いように思える

その他

東京(N=10) 東京以外(N=1)

41

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[VC] ベンチャー投資促進税制の認定要件を満たすファンド組成の検討

制度を利用するために、認定要件を満たすファンドを組成することを検討した比

率は、32%となっている。

全体(N=66)

東京/東京以外

32% 68%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%ある なし

33%

30%

67%

70%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京(N=36)

東京以外

(N=30)

ある なし

42

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[VC] ベンチャー投資促進税制の認定を得るための要件のうち、厳しいと感じる

要件(複数回答可)

「認定まで出資できない」(47%)、「ファンドの規模がおおむね 20 億円以上」(44%)、

「ファンドの目標 IRR が 15%以上」(39%)、「ファンドの投資計画対象として外国

会社は含まれない」(32%)及び「事業拡張期にあるベンチャーに5割投資しなけ

ればならない」(29%)との回答が多い。

「ファンドの投資計画対象として外国会社は含まれない」は特に東京に多く(47%)、

「ファンドの規模がおおむね 20 億円以上」(63%)及び「ファンドの目標 IRR が

15%以上」(60%)は、東京以外における回答が多い。

全体(N=66)

東京/東京以外

44%

39%

32%

14%

47%

29%

5%

8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ファンドの規模がおおむね20億円以上

ファンドの目標IRRが15%以上

ファンドの投資計画対象として外国会社は含まれない

ファンドの投資計画対象として大企業(又は大規模法人)の子会社は含まれない

認定まで出資できない

事業拡張期にあるベンチャーに5割投資しなければならない

その他

特になし

28%

22%

47%

17%

47%

17%

6%

8%

63%

60%

13%

10%

47%

43%

3%

7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ファンドの規模がおおむね20億円以上

ファンドの目標IRRが15%以上

ファンドの投資計画対象として外国会社は含まれない

ファンドの投資計画対象として大企業(又は大規模法人)の子会社は

含まれない

認定まで出資できない

事業拡張期にあるベンチャーに5割投資しなければならない

その他

特になし

東京(N=36) 東京以外(N=30)

43

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[VC] ベンチャー投資促進税制を適用した場合に、煩雑と思う事務続き(複数回答

可)

株式譲渡の都度行う報告を煩雑と考えている VC が最も多く 65%となっている。

全体(N=66)

東京/東京以外

53%

53%

65%

3%

18%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

認定の際に投資実績等を経済産業省に提出しなければなら

ないこと

毎事業年度、実施業況報告書及び財務諸表を経済産業省に

提出しなければならないこと

株式の譲渡等あった場合に、その都度、その事由が生じた旨

をLP及び経済産業省に報告しなければならないこと

その他

特になし

44%

56%

67%

6%

25%

63%

50%

63%

0%

10%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

認定の際に投資実績等を経済産業省に提出しなければな

らないこと

毎事業年度、実施業況報告書及び財務諸表を経済産業省

に提出しなければならないこと

株式の譲渡等あった場合に、その都度、その事由が生じた

旨をLP及び経済産業省に報告しなければならないこと

その他

特になし

東京(N=36) 東京以外(N=30)

44

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LP

[LP] ベンチャー投資促進税制の利用意向

「やや利用したい」(5%)、「利用したい」(20%)の合計は 25%であり、「あまり利

用するつもりはない」(20%)、「利用するつもりはない」(9%)の合計 29%よりも低

く、利用意向は高くない。特に、東京以外における利用意向が低い傾向にある。

全体(N=44)

東京/東京以外

9% 20% 45% 5% 20%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

利用するつもりはない あまり利用するつもりはない どちらでもない やや利用したい 利用したい

0%

13%

17%

22%

50%

44%

0%

6%

33%

16%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

利用するつもりはない あまり利用するつもりはない どちらでもない やや利用したい 利用したい

45

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① [LP] 利用意向が高い理由(複数回答可)

*ベンチャー投資促進税制を「利用したい」「やや利用したい」と回答した対象者への質問

「出資額の 80%損金算入ができるためキャッシュ・アウトが抑えられる」を全員

が回答(100%)しており、経済的便益が理由として最も多い。次いで多いのは、「認

定の審査が厳格に行われているため、ファンドの信頼性が高い」(45%)、「ファン

ドの目標 IRR が 15%以上のしっかりとした投資計画を持っていると感じるため」

(36%)となっている。

全体(N=11)

東京/東京以外

100%

36%

45%

27%

18%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出資額の80%損金算入ができるためキャッシュ・アウトが抑えられる

ファンドの目標IRRが15%以上のしっかりとした投資計画を持ってい

ると感じるため

認定の審査が厳格に行われているため、ファンドの信頼性が高い

大臣が認定したファンドのため信頼性が高く、社内稟議が通りやすい

ため

大臣が認定したファンドのため信頼性が高く、対外的な出資理由の説

明がしやすくなる

その他

100%

25%

25%

50%

25%

25%

100%

43%

57%

14%

14%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出資額の80%損金算入ができるためキャッ

シュ・アウトが抑えられる

ファンドの目標IRRが15%以上のしっかりとし

た投資計画を持っていると感じるため

認定の審査が厳格に行われているため、ファ

ンドの信頼性が高い

大臣が認定したファンドのため信頼性が高く、

社内稟議が通りやすいため

大臣が認定したファンドのため信頼性が高く、

対外的な出資理由の説明がしやすくなる

その他

東京(N=4) 東京以外(N=7)

46

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② [LP] 利用意向が低い理由(複数回答可)

*ベンチャー投資促進税制を「利用するつもりはない」「あまり利用するつもりはない」と回答

した対象者への質問

「認定ファンドへの出資機会が見当たらない」が 62%と最も多く、仮に税制を活

用したいと考えても認定ファンドへの接触機会がないため、利用できない状況で

あることが推察される。

全体(N=13)

東京/東京以外

62%

23%

15%

31%

23%

8%

0%

23%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

認定ファンドへの出資機会が見当たらない

追加の手続きによる負担と比べて、損金算入のメリットを感じない

ファンドへの出資時点ではなく、ファンドがベンチャー企業に出資した

時点で、損金算入されるため、タックスプランニングが難しい

ファンドへの出資目的に税制は関係ないため

決算処理が面倒になる

わかりやすい説明資料がなく、理解が難しい

どこに相談すればよいかわからず、実際に利用することが難しそうに

思える

その他

100%

0%

0%

0%

0%

0%

0%

50%

55%

27%

18%

36%

27%

9%

0%

18%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

認定ファンドへの出資機会が見当たらない

追加の手続きによる負担と比べて、損金算入のメリットを感じない

ファンドへの出資時点ではなく、ファンドがベンチャー企業に出資し

た時点で、損金算入されるため、タックスプランニングが難しい

ファンドへの出資目的に税制は関係ないため

決算処理が面倒になる

わかりやすい説明資料がなく、理解が難しい

どこに相談すればよいかわからず、実際に利用することが難しそう

に思える

その他

東京(N=2) 東京以外(N=11)

47

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[LP] 税制優遇策の内容を変更した場合の魅力度

① [LP] ファンドがベンチャー企業へ出資した時点での出資額の 80%損金算入(現

行制度)

「やや魅力的」(32%)と「魅力的」(11%)の回答を合わせると 43%となる。東京以

外では、東京に比べて「あまり魅力的ではない」(13%)「魅力的ではない」(19%)

と回答した比率が高い。

全体(N=44)

東京/東京以外

14% 11% 32% 32% 11%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

0%

19%

8%

13%

42%

28%

33%

31%

17%

9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

48

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② [LP] ファンドがベンチャー企業へ出資した時点での出資額の 100%損金算入

「魅力的」(20%)と「やや魅力的」(32%)の回答を合わせると 52%となり、現行制

度と比較すると「魅力的」と「やや魅力的」の合計は 8%高くなる。現行制度と同

様に、東京以外では、東京に比べて、「あまり魅力的ではない」(13%)「魅力的では

ない」(16%)と回答した比率が高い。

全体(N=44)

東京/東京以外

11% 11% 25% 32% 20%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

0%

16%

8%

13%

42%

19%

33%

31%

17%

22%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

49

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③ [LP] ベンチャーファンドへの出資時点での出資額の 80%損金算入

「やや魅力的」(30%)と「魅力的」(32%)の回答を合わせると 62%となり、現行

制度と比較すると「やや魅力的」と「魅力的」の合計は 19%高くなる。出資時点に

なると魅力度が高まるのは、損金算入の時期が明確になるからだと考えられる。

全体(N=44)

東京/東京以外

11% 5% 23% 30% 32%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

0%

16%

8%

3%

33%

19%

17%

34%

42%

28%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

50

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④ [LP] キャピタルゲインに対する軽減税率

「やや魅力的」 (30%)と「魅力的」(43%)の回答を合わせると 73%となり、現行

制度と比較すると「やや魅力的」と「魅力的」の合計は 30%高くなる。東京におい

ては、魅力的でないと回答した会社はおらず、キャピタルゲインに対する軽減税率

は、LP にとって魅力的であると考えられている。

全体(N=44)

東京/東京以外

5% 2% 20% 30% 43%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

0%

6%

0%

3%

17%

22%

25%

31%

58%

38%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

魅力的ではない あまり魅力的ではない どちらでもない やや魅力的 魅力的

51

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VC 及び LP がベンチャー投資促進税制をどの程度認知をしており、内容をどの程度理解

しているかを把握する。

VC

[VC] ベンチャー投資促進税制の認知度

「知っている」が 65%、「制度の内容は知らないが、名前を聞いたことがある」が

26%となっており、制度の存在は 91%が認知している。一方で、これまでの周知

活動を考えると税制を詳細に知っているはずの VC でも、9%は「知らない」と回

答している。

全体(N=66)

東京/東京以外

65% 26% 9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

75%

53%

14%

40%

11%

7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=36)

東京以外

(N=30)

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

52

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[VC] ベンチャー投資促進税制の内容及び要件の理解

① 内容:出資額の 80%を上限に損金算入

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 75%。一方で、損金算入の上限額という基本的な内容を知らな

い人も 4 分の 1 存在している。

全体(N=60)

東京/東京以外

75% 25%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

78%

71%

22%

29%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=32)

東京以

外(N=28)

知っている 知らない

53

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② 要件: ファンドの規模がおおむね 20 億円以上

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 67%。東京と東京以外で比率に大きな差異はない。

全体(N=60)

東京/東京以外

67% 33%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

66%

68%

34%

32%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=32)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

54

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③ 要件:ファンドの目標 IRR が 15%以上

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 52%と規模要件よりは知られていない。東京と東京以外で比率に

大きな差異はない。

全体(N=60)

東京/東京以外

52% 48%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

53%

50%

47%

50%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=32)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

55

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④ 要件:ファンドの投資計画の対象として外国会社や大企業子会社は含まれない

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 67%。内訳は、東京が 75%であり、東京以外(57%)よりも比率

が高い。東京は、外国会社や大企業子会社への投資に対して、東京以外よりも関心

があると思われる。

全体(N=60)

東京/東京以外

67% 33%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

75%

57%

25%

43%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=32)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

56

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[VC] ベンチャー投資促進税制に関する情報を見聞きしたことがある先(複数回答

可)

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

ベンチャー投資促進税制に関する情報の入手先として、55%が経済産業省の HP

やパンフレットと回答している。次いで、マスメディア(30%)やインターネット

(28%)といった経済産業省以外の情報源が制度の認知度向上に寄与している。

全体(N=60)

東京/東京以外

55%

30%

23%

13%

28%

5%

2%

18%

8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、インターネット

検索

銀行・証券など金融機関

税理士

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

50%

25%

25%

19%

28%

6%

3%

16%

13%

61%

36%

21%

7%

29%

4%

0%

21%

4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、インターネッ

ト検索

銀行・証券など金融機関

税理士

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

東京(N=32) 東京以外(N=28)

57

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LP

[LP] ベンチャー投資促進税制の認知度

「知っている」が 50%、「制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある」が

36%となっており、制度の存在の認知度は 86%となっている。制度そのものの認

知度は高いと言える。

全体(N=44)

東京/東京以外

50% 36% 14%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

33%

56%

50%

31%

17%

13%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=12)

東京以外

(N=32)

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

58

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[LP] ベンチャー投資促進税制の内容及び要件の理解

① 内容:出資額の 80%を上限に損金算入

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 66%。一方で、34%が損金算入の上限を知らないと回答してい

る。制度の存在は認知されているものの、内容の理解は十分とは言えない状況で

ある。

全体(N=38)

東京/東京以外

66% 34%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

60%

68%

40%

32%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=10)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

59

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② 要件:ファンドの規模がおおむね 20 億円以上

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 45%であり、「知らない」が 55%となっている。

全体(N=38)

東京/東京以外

45% 55%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

20%

54%

80%

46%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=10)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

60

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③ 要件:ファンドの目標 IRR が 15%以上

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 32%であり、規模要件より知られていない。

全体(N=38)

東京/東京以外

32% 68%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

20%

36%

80%

64%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=10)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

61

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④ 要件:ファンドの投資計画の対象として外国会社や大企業子会社は含まれない

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「知っている」が 45%であり、「知らない」が 55%となっている。

全体(N=38)

東京/東京以外

45% 55%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 知らない

20%

54%

80%

46%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=10)

東京以外

(N=28)

知っている 知らない

62

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[LP] ベンチャー投資促進税制に関する情報を見聞きしたことがある先(複数回答

可)

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

「経済産業省の HP やパンフレット」が 42%と最も多く、次いで「マスメディア」

が 39%となっている。「ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)」(26%)

及び「インターネット情報」(24%)からの情報入手もある程度存在している。

全体(N=38)

東京/東京以外

42%

39%

11%

5%

24%

13%

5%

26%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、インターネッ

ト検索

銀行・証券など金融機関

税理士

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

30%

20%

20%

0%

20%

0%

0%

30%

10%

46%

46%

7%

7%

25%

18%

7%

25%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、インター

ネット検索

銀行・証券など金融機関

税理士

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

東京(N=10) 東京以外(N=28)

63

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[LP] ベンチャー投資促進税制について VC に話した事があるか

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

VC に対しベンチャー投資促進税制について話を持ちかけたことがあると回答し

た LP は 24%に留まっている。

全体(N=38)

東京/東京以外

24% 76%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ある ない

20%

25%

80%

75%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京(N=10)

東京以外

(N=28)

ある ない

64

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[LP] ベンチャー投資促進税制についてベンチャー企業から話があったか

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」と回答した対象者への質問

VC から投資促進税制について話を持ちかけられたことがあると回答した LP は

26%に留まっている。

全体(N=38)

東京/東京以外

26% 74%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ある ない

40%

21%

60%

79%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=10)

東京以外

(N=28)

ある ない

65

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1) VC 東京は東京以外よりもファンドの規模が大きく一口当たり投資額が多い VC が多く存在

する。東京では投資担当者数が 10 名以上の VC の比率は 22%であり、一口当たり平均投資

額が 1 億円以上と回答した VC の割合も多い。一方、本調査において 10 名以上の投資担当

者数がいると回答した東京以外の VC はおらず、一口当たり平均投資額も 1 億円未満が 90%

を占めている。

VC のファンドの想定 IRR にも違いがみられる。東京ではファンドの想定 IRR が 15%以

上は 61%と半数を超えているが、東京以外では想定 IRR が 15%以上との回答は 20%に留ま

っており、ベンチャー投資促進税制のファンド要件である目標 IRR15%を満たすことがで

きる東京以外のファンドは限定されると考えられる。

ベンチャー投資促進税制については、東京、東京以外ともに魅力的との回答が魅力的で

ないとの回答を上回ったものの、東京における評価は東京以外よりも厳しい。東京以外で

は、税制がファンドの信用力を高め、LP 出資を集めやすくなるものとして期待されている

ことがうかがえる。一方で、東京では税制は LP 出資の訴求ポイントにならず、税制がなく

ても出資を集めることができるため、メリットがないわりに手続や報告などで業務が煩雑

になるという意見が結果から読み取れた。

税制認定要件の中で厳しい条件として、東京は投資計画対象として外国会社が含まれな

いとの比率が東京以外よりも高く、東京以外ではファンド規模や目標 IRR といったファン

ド要件の比率が東京よりも高い。このような差異は、東京はファンドの規模が大きく投資

対象が広いが、東京以外はファンド規模が小さく投資対象も限られていることに起因する

ものと考えられる。

ベンチャー投資促進税制の認知については、全体で 91%とほとんどが認知している。し

かし、東京以外では内容は知らないが、名前は聞いたことがあるとの回答が 40%に及び内

容面での認知は半分程度に留まっている。制度の具体的な内容に関する認知は、出資額の

80%を上限に損金算入がなされるという基本的な内容であっても 75%の認知度であり、フ

ァンド要件や投資先要件となると認知度はさらに下がり、制度の内容の理解はしっかりと

なされていない。ベンチャー投資促進税制に関する情報の接触先として、経済産業省の HP

やパンフレットが最も多くあげられているため、HP やパンフレットの中身を充実させるな

どして制度の中身の認知度を高めていくことが重要である。

66

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2) LP 東京は、一口当たりの平均出資額が大きく、ファンドに期待する収益率も高い。

出資の目的にも差異がみられた。東京は主に経済的利益の獲得と情報の入手を目的とし

ているが、東京以外では経済的利益の獲得を目的との回答は多いものの 41%にとどまり、

地域経済への貢献が 94%とほとんどの LP が回答している点に特色がみられる。

ベンチャー投資促進税制の利用意向については、東京以外の評価は東京よりも低い。そ

もそも認定ファンドへの出資機会が見当たらないという理由に加えて、地域経済への貢献

という目的からすると税制はそこまで魅力的ではなく、決算処理が煩雑になるなど負担面

が目につくという LP の意見が読み取れる。

税制優遇策の内容を変更した場合の魅力度として、キャピタルゲインに対する軽減税率

及び出資時点での出資額の損金算入が、東京及び東京以外ともに、現行制度と比較すると、

魅力的と回答した比率が大きく上昇した。手続きなど税制を利用することによる負担が懸

念されている中、負担を上回るメリットある税制として LP からどのようにしたら認識され

るかを検討する上での示唆を与える結果となった。

ベンチャー投資促進税制の認知度は、全体で 86%であるが、内容は知らないが、名前は

聞いたことがあるとの回答が 36%におよび内容面も知っているとの回答は半分程度に留ま

っている。制度の具体的な内容に関する認知は、基本的な内容でも 66%程度の認知度であ

り、ファンド要件や投資先要件の認知度はさらに下がる。ベンチャー投資促進税制に関す

る情報の接触先としては、VC と同様に経済産業省の HP やパンフレットが最も多くあげら

れているため、HP やパンフレットの中身を充実させるなどなどして制度の中身の認知度を

高めていくことが重要である。

67

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投資家に対する調査

投資家によるベンチャー企業への投資は、ベンチャーファンドからの資金供給と共に、

ベンチャー企業へのリスクマネーの供給において重要な役割を担っている。ここでは、投

資家及び潜在的投資家である企業経営者やアントレプレナー(※)に対して、Web アンケ

ートによる調査を実施し、ベンチャー企業への投資の実態やこれら投資に対する課題やニ

ーズ及びエンジェル税制の利用実態や税制に対する意見を把握する。

※「3.投資家に対する調査」においては、投資家及び潜在的投資家を合わせて“投資

家”と記載する。

68

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本アンケートに回答した投資家の属性を把握する。

[投資家] 居住地

回答者の居住地の比率は、「東京」50%、「東京以外」50%と半々になっている。

(N=32)

0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%

6%0%

50%6%

9%6%

0%0%0%0%

3%0%

3%0%0%0%

9%3%

0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%

3%0%0%0%0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都

神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県

和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県

鹿児島県沖縄県

69

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[投資家] 年齢

回答者の年齢構成は、全員が 30 代以上となっている。そのうち、50 代以上が 44%

を占める。

(N=32)

[投資家] 職業

回答者の職業のうち、最も多いのは「経営者(法人・個人事業)」で 31%を占める。

これは、本アンケートの対象者に、潜在的投資家として企業経営者が含まれてお

り、経営者が多く所属している経済団体の会員をアンケート対象としているため

である。

(N=32)

0% 19% 38% 25% 19%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

10代、20代 30代 40代 50代 60代以上

13%

31%

16%

16%

13%

3%

6%

0%

0%

3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

投資家

経営者(法人・個人事業)

会社員[役員レベル/大企業]

会社員[役員レベル/中堅中小企業]

会社員[一般/大企業]

会社員[一般/中堅中小企業]

士業(医師、弁護士、税理士など)

自由業

無職

その他

70

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[投資家] 年収 *任意回答 回答者のうちの 80%以上が 1000 万円以上であり、我が国の年収構造の中でも、

高い年収層が多く回答している。

(N=30)

[投資家] 金融資産額

*任意回答

回答者のうちの 89%以上が 1000 万円以上、65%以上が 3000 万円以上の金融資産

を保有しており、我が国の中でも金融資産の保有額の多い層が多く回答している。

(N=28)

7%

13%

43%

30%

0%

7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

500万円未満

500万円以上 - 1000万円未満

1000万円以上 - 2000万円未満

2000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上

11%

25%

18%

18%

21%

0%

4%

4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1000万円未満

1000万円以上 - 3000万円未満

3000万円以上 - 5000万円未満

5000万円以上 - 1億円未満

1億円以上 - 10億円未満

10億円以上 - 50億円未満

50億円以上 - 100億円未満

100億円以上

71

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[投資家] 起業経験の有無

起業経験が1回以上あると回答した割合は、53%と半分以上を占めている。本アン

ケートでは、起業家を潜在的投資家としてアンケートの対象としており、起業家

が多く所属している経済団体の会員をアンケート対象としているため回答者の中

での起業経験者が多くなっている。

(N=32)

47% 31% 9% 13%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

なし 1回 2回 3回以上

72

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[投資家] エンジェル投資をした経験

31%がエンジェル投資の経験があると回答している。

(N=32)

[投資家] エンジェル投資経験者の属性

エンジェル投資をしたことがある回答者を対象にした質問結果を利用する際の基

礎情報として、エンジェル投資の経験がある回答者の属性を記載する。

① 年齢

回答者の内訳として「40 代」が最も多かった(50%)。

(N=10)

31% 69%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ある ない

0% 30% 50% 0% 20%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

10代、20代 30代 40代 50代 60代以上

73

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② 職業

回答者の内訳として「投資家」が最も多く(40%)、「会社員[一般/大企業]」が

次に多くを占めている。(20%)

(N=10)

[投資家] エンジェル投資をした会社数

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

5 社以上との回答が 60%である一方で、2 社以下が 40%となっている。エンジェ

ル投資を既に何社も行っている投資家と 1,2 社程度しか行っていない投資家に二

極化している。

(N=10)

40%

0%

10%

10%

20%

0%

10%

0%

0%

10%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

投資家

経営者(法人・個人事業)

会社員[役員レベル/大企業]

会社員[役員レベル/中堅中小企業]

会社員[一般/大企業]

会社員[一般/中堅中小企業]

士業(医師、弁護士、税理士など)

自由業

無職

その他

30%

10%

0%

0%

20%

40%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1社

2社

3社

4社

5社~9社

10社以上

74

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[投資家] 主なエンジェル投資先の設立後経過年数

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

「設立時」、「1 年未満の会社」がそれぞれ 30%と創業時または創業まもない会社へ

の投資と回答した比率が多い。また、「5 年以上の会社」との回答はなく、シード

またはアーリーステージの企業を中心に投資がなされていると考えられる。

(N=10)

[投資家] 主な投資先の1回あたりの出資額

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

「1000 万円以上 - 1 億円未満」(30%)が最も多いが、100 万円から 1 億円まで広

く回答は分散している。

(N=10)

30%

30%

20%

20%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

設立時

1年未満の会社

1年以上3年未満の会社

3年以上5年未満の会社

5年以上10年未満の会社

10年以上の会社

20%

10%

20%

20%

30%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

100万円未満

100万円以上 - 300万円未満

300万円以上 - 500万円未満

500万円以上 - 1000万円未満

1000万円以上 - 1億円未満

1億円以上

75

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[投資家] 投資先企業の業種(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

「インターネット・モバイル・ソフトウエア」が最も比率が高く(80%)、次いで、

「バイオ・医療」、「ヘルスケア・福祉」(40%)となっている。

(N=10)

[投資家] 投資先企業との関係(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

「経営者が友人・自社の従業員だった」が 60%と最も多くなっている。「自分で投

資先を探した」(30%)も一定の比率で存在しているが、VC(30%)や知り合い(30%)

による紹介も同程度に存在している。

(N=10)

80%

10%

40%

40%

0%

20%

30%

30%

20%

10%

0%

0%

10%

20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

インターネット・モバイル・ソフトウエア

ITハードウエア・半導体

バイオ・医療

ヘルスケア・福祉

製造業

卸・小売業

飲食店・宿泊

教育・学習支援

金融(フィンテック含む)・保険

建設・不動産

運輸

エネルギー

農林水産

その他

60%

30%

30%

30%

10%

10%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経営者が友人・自社の従業員だった

知り合いから頼まれた

VCから紹介された

自分で投資先を探した

交流会等で出会った

その他

76

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[投資家] 投資先企業に実施している活動(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

資金調達支援、人材や取引先の紹介などの具体的な支援から励まし、意欲づけま

で投資家が幅広く投資先企業の会社に関与していることがわかる。

(N=10)

[投資家] 投資先のエグジット(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

M&A(50%)及び IPO(40%)によるエグジットが多いが、エグジットができず「廃

業」になった(20%)との回答も存在している。

(N=10)

80%

70%

50%

50%

70%

20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

励まし・意欲づけ・相談相手

経営状況のチェック・経営支援

人材の紹介

取引先の紹介

資金調達の支援

その他

40%

50%

20%

0%

50%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

IPO

M&A

廃業

株式買い戻し

株式を持ち続けている

その他

77

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[投資家] エグジットのリターン

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

投資したものの、実際には購入価格を上回るリターンを達成した投資先の比率は

40%に留まっている。 (N=10)

[投資家] エンジェル投資をした理由(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

「投資のリターンを期待(キャピタルゲイン)」(60%)や「配当を得ることを期

待」(10%)のような経済的利益の獲得を目的とした理由の回答が多い一方で、「社

会に貢献したい」(40%)や「地域経済に貢献したい」(40%)のような社会や地域

への貢献を理由とした回答も多い。 (N=10)

20%

0%

0%

40%

0%

10%

30%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

値がつかなかった

半分未満

半分~購入価格未満

購入価格と同じ

1~2倍未満

2~5倍未満

5倍~10倍未満

10倍~100倍未満

100倍以上

60%

10%

0%

0%

30%

0%

40%

40%

0%

40%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

投資のリターンを期待(キャピタルゲイン)

配当を得ることを期待

投資先のサービスや優待を期待

自社の事業のプラスになる

企業の成長プロセスを楽しみたい

自分の果たせなかった夢を実現してくれる

社会に貢献したい

地域経済に貢献したい

頼まれて断ることができなかった

その他

78

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[投資家] エンジェル投資をして良かったと思っているか

*エンジェル投資の「経験あり」と回答した対象者への質問

90%がエンジェル投資を行い良かったと回答しており、一度投資を経験した者の

満足度は概して高いことがわかる。

(N=10)

[投資家] エンジェル投資をしない理由(複数回答可)

*エンジェル投資の「経験なし」と回答した対象者への質問

「エンジェル投資について思いつかなかった」が 45%と最も多く、次いで「投資

を行う十分な資金がない」(32%)、「企業の情報が乏しく、投資先がわからない」

(27%)、「投資判断の相談をできる相手がいない」(27%)となっている。

(N=22)

90% 10%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

45%

18%

5%

9%

32%

27%

18%

23%

27%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

エンジェル投資について思いつかなかった

株式を売却できないリスクがある

株価が大きく下がるリスクがある

他の投資商品の方が魅力的

投資を行う十分な資金がない

企業の情報が乏しく、投資先がわからない

投資先の評価ができない

投資にかかる手続きがわからない

投資判断の相談をできる相手がいない

その他

79

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[投資家] エンジェル税制の認知度(使ったことがあるか、知っているか)

エンジェル税制を認知している割合は 84%であり、制度の内容を把握している割

合は 28%、利用経験のある割合は 9%となっている。日本においてエンジェル税制

が平成 9 年度に創設されてからすでに長い期間が経っていることを考えると、制

度はまだ十分に浸透しているとは言い難い。

(N=32)

[投資家] エンジェル税制の内容の各項目についての認知度

*エンジェル税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

① 「投資金額が所得控除となり減税される」ことを知っている

「知っている」が 63%。質問したエンジェル税制の内容の中では、最も認知され

ている。

(N=27)

0%

9%

19%

56%

16%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

使ったことがある(1回だけ)

使ったことがある(2回以上)

制度の内容は知っているが、使ったことがない

名前は聞いたことがあるが使ったことはない

知らない

63% 37%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

80

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② 「投資金額が株式譲渡益から控除される」ことを知っている

「知っている」が 33%。優遇 A と比較すると、優遇 B は優遇 A の半分程度の認知

度となっている。

(N=27)

③ 「株式売却による損失を 3 年間にわたり株式譲渡益と相殺(通算)できることを

知っている

「知っている」が 30%。優遇 B の認知度との差異は 3%程度と近い認知率であっ

た。

(N=27)

33% 67%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

30% 70%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

81

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④ 「株式譲渡益からの控除(優遇 B)はファンド経由の投資も含まれ、手続きが簡

易である」ことを知っている

「知っている」が 19%。他のエンジェル税制の内容と比較すると認知度が低く、

十分に認知がされていない。

(N=27)

⑤ 「平成 28 年度よりエンジェル税制の相談窓口が各都道府県にできた」ことを知

っている

「知っている」が 11%と、ほとんどの投資家が相談窓口の変更について認知してい

ない。

(N=27)

19% 81%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

11% 89%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

82

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[投資家] エンジェル税制を使った感想(複数回答可)

*エンジェル税制を「使ったことがある」回答者対象

(N 数は 3 人と少ないものの)全回答者が税制を魅力的であり、また使いたいと

回答している。

(N=3)

[投資家] エンジェル税制を使わなかった理由(複数回答可)

*エンジェル税制を「知っていたのに使わなかった」回答者対象

「説明してくれる人がいなかった」が 42%と最も多くなっている。次に、「利用し

てもメリットがないと思った」が 17%となっているが、最も多い理由とは大きな

開きがある。3 番目は「手続きが面倒だった」の 13%であった。

「企業の要件が合致しなかった」は 4%程度であり、投資先企業側の事情を理由と

した回答は少なかった。

(N=24)

100%

100%

33%

0%

33%

0%

33%

0%

0%

33%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

税制は魅力的であった

また機会があったら使いたい

友人等に利用をすすめたい

減税効果(減税額)が十分でなかった

投資対象企業の各種要件が厳しかった

相談窓口がわからなかった

手続きが面倒、煩雑だった

税理士などの報酬がかさんだ

税務署の対応がたいへんだった

その他

13%

4%

17%

42%

33%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

手続きが面倒だった

企業の要件が合致しなかった

利用してもメリットがないと思った

説明してくれる人がいなかった

その他

83

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[投資家] エンジェル税制の要件のうち緩和すれば利用意向が最も高まると思う

要件

「所得控除の控除上限 1,000 万円の引き上げ(優遇 A)」が 31%と最も多くなって

いる。優遇 A に関する要件として「赤字要件の撤廃」(19%)及び「年数要件の延長」

(13%)も多く挙げられている。

(N=32)

31%

13%

19%

13%

9%

6%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

所得控除の控除上限1,000万円の引き上げ(優遇A)

所得控除制度の対象企業の年数要件(3年未満)の延長(優

遇A)

所得控除制度の対象企業の赤字要件の撤廃(優遇A)

特定株主グループ(経営者及び親族等)の出資割合が5/6

(約83%)以下の要件の緩和

株式譲渡損の繰越年数(3年)の延長

株式取得の対価のみでなく、新株予約権の取得費用などを

対象とする

その他

84

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[投資家] エンジェル投資を普及させるために必要な施策(複数回答可)

「気軽に投資が出来る仕組み(ファンド、クラウドファンディング等)」(47%)、

「投資に対する税制優遇」(47%)及び「投資先候補となる企業の情報」(44%)が多

く挙げられている。

(N=32)

44%

22%

22%

47%

16%

13%

47%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

投資先候補となる企業の情報

投資に関する専門知識の提供

投資先候補を適切に評価する仕組み

気軽に投資が出来る仕組み(ファンド、クラウドファンディ

ング等)

エンジェル同士が情報交換できる仕組み

投資マニュアルやモデル投資契約

投資に対する税制優遇

その他

85

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エンジェル投資をして良かったとの回答は 90%とエンジェル投資経験者のエンジェル投

資への満足度は高い。また、回答者のうち 5 社以上に投資している割合は 60%、10 社以上

への投資は 40%と、リピートしてエンジェル投資をしている投資家も多く存在している。

エンジェル投資をする理由は、キャピタルゲインなど経済的利益の獲得と回答するもの

が多い一方で、社会や地域への貢献を理由とする回答や企業の投資先の成長プロセスを楽

しみたいという回答も挙げられている。

エンジェル投資をしない理由としては、エンジェル投資をすることを思いつかなかった

という回答が最も多く(45%)、そもそも投資の選択肢としてエンジェル投資が検討されてい

ない回答者が多く存在することが判明した。投資手続きを知らない(23%)、投資判断を相談

できる相手がいない(27%)という回答も挙げられており、エンジェル投資を経験したことが

ない層に対する、エンジェル投資の活用事例の紹介などによるアプローチが必要とされて

いる。

エンジェル投資の普及のための施策として多く挙げられていたのは、①気軽に投資でき

る仕組み(47%)、②投資に対する優遇税制(47%)、③投資先候補の企業の情報の開示(44%)

であった。①本調査での 1 回あたりの投資額は 100 万円未満から 1 億円まで回答が広く分

散しており、小口のエンジェル投資も存在していることがわかる。このような小口の投資

に対して、気軽に投資できる仕組みがほしいといったニーズがあるものと考えられる。②

投資に対する優遇税制はエンジェル税制として既に存在しており、認知度は 84%と高いも

のの、利用経験度は 9%に留まっており、制度内容や適用要件の変更など利用意向を高める

施策の検討が必要である。③20%がエンジェル投資のエグジット時に値がつかなかったと回

答したように、エンジェル投資は成功した時のリターンが大きい反面、購入価格を大きく

下回るリスクも存在する。そのため、エンジェル投資においては、特に投資先候補の十分

な企業情報をもとに慎重に投資判断を行いたいという投資家の意図が感じられる。

エンジェル税制の認知度は 84%と高いが、制度の内容まで知っているとの回答率は 3 割

程度、利用経験度は 1 割を下回る。制度の内容に関する認知度は、優遇 A は 63%とある程

度認知されているが、優遇 B や 3 年間の繰延通算については 30%程度と優遇 A と比較する

と認知度は低い。制度自体の認知はあるが、基本的な内容についての認知はまだ十分とは

言えない状況である。

エンジェル税制を使わなかった理由としては、説明してくれる人がいなかったが 42%と

最も多く、手続きが面倒との回答は 13%に留まった。平成 28 年度よりエンジェル税制の相

談窓口が各都道府県に設置されたが、認知度は 11%とほとんど知られておらず、今後は利

用者に活用されるよう周知していくことが課題となる。

86

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税理士に対する調査

税理士は、税務のプロフェッショナルとして、投資家や企業の経営者に対して税務面の

アドバイスを行っており、エンジェル税制やベンチャー投資促進税制といったベンチャー

投資関連制度の活用を考える際の相談相手になっていると考えられる。そこで、本調査で

は税理士のベンチャー投資関連制度に対する認知や内容の理解、及び、業務での利用状況

を Web アンケートにより調査することで、税理士がどの程度顧客に税務アドバイスを行っ

ており、認知や内容の理解においてどのような点に課題があるのかを把握する。また、こ

こでは税務の専門家としての立場からベンチャー投資関連制度に対する意見も聞いている。

87

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本アンケートに回答した税理士の属性を把握する。 [税理士] 勤務所在地

勤務地が東京にある税理士が 77%であり、東京以外に勤務地がある税理士は 13%

となっている。これは、東京には VC や投資家、ベンチャー企業が多く、ベンチャ

ー投資関連税制に詳しい税理士が多いと考えられたため、東京に所在する税理士

会支部や税理士法人の協力を得ながらアンケートを実施したことによる。

全体(N=52)

4%0%2%

0%0%0%0%0%0%2%2%

0%77%

4%0%2%

0%0%0%0%0%2%2%

0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%0%2%

0%0%0%0%0%2%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都

神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県

和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県

鹿児島県沖縄県

88

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[税理士] 年齢 回答者は、30 代以上が 88%、40 代以降が 67%となっており 10 代、20 代の税理

士のサンプルは 12%と少なくなっている。

(N=52)

[税理士] 税理士資格取得からの年数

税理士取得から 10 年未満の比率が 60%となっており、5 年未満が 35%と最も多い。

一方で、20 年以上のベテラン税理士も 19%存在している。

(N=52)

12% 21% 40% 21% 6%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

10代、20代 30代 40代 50代 60代以上

35%

25%

21%

17%

2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5年未満

5年以上 - 10年未満

10年以上 - 20年未満

20年以上 - 30年未満

30年以上

89

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[税理士] 専門とする税務領域(複数回答可)

回答者の専門領域のうち最も多かったのが、「法人税」で 85%。次いで、「所得税」、

「相続税」がともに 62%となっている。3 番目は「消費税」で 50%であった。

(N=52)

[税理士] 顧客層(複数回答可)

回答者の主な顧客層は、「法人(同族経営・中小企業)」が 87%と最も多い。ベン

チャー企業を顧客層としている税理士も 25%存在する。また、投資家または潜在

投資家である個人を顧客層としている税理士も、「個人(資産家・富裕層)」に対

して 56%、「個人(事業主)」に対して 40%、「個人(一般)」に対して 29%存在し

ている。

(N=52)

85%

62%

62%

19%

2%

50%

4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

法人税

所得税

相続税

国際税務

移転価格税制

消費税

その他

33%

87%

25%

56%

40%

29%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

法人(大企業)

法人(同族経営・中小企業)

法人(ベンチャー企業)

個人(資産家・富裕層)

個人(事業主)

個人(一般)

90

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[税理士] エンジェル税制の認知度

「知らない」は 2%程度であり、98%が制度を認知している。一方で、21%が制度

の内容を「知らない」と回答している。ほとんどの税理士が制度自体の認知はし

ているが、制度内容について詳細には把握していない税理士も存在する。

(N=52)

[税理士] エンジェル税制の内容の各項目についての認知度

*エンジェル税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

① 「投資金額が所得控除となり減税される」ことを知っている

「知っている」が 84%。基本的な税制の内容であるが、16%は「知らない」と回

答している。

(N=51)

77% 21% 2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

84% 16%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

91

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② 「投資金額が株式譲渡益から控除される」ことを知っている

「知っている」が 74%。優遇 A より認知度が 9%低い。

(N=51)

③ 「株式売却による損失を 3 年間にわたり株式譲渡益と相殺(通算)できることを

知っている

「知っている」が 76%。優遇 B と同程度に認知されている。

(N=51)

④ 株式譲渡益からの控除(優遇 B)はファンド経由の投資も含まれ、手続きが簡易

である」ことを知っている

「知っている」が 31%。認知度は半分を切っておえり、十分に認知がされていな

い。

(N=51)

75% 25%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

76% 24%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

31% 69%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

92

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⑤ 「平成 28 年度よりエンジェル税制の相談窓口が各都道府県にできた」ことを知っ

ている

「知っている」が 20%。多くの税理士が相談窓口の変更について認知をしていな

い。税務内容の概要は知っていても、手続きなどの実務に関する事項となると認

知度は一気に低くなった。

(N=51)

[税理士] エンジェル税制に関する情報との接触(複数回答可)

*エンジェル税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

「経済産業省の HP やパンフレット」が 47%と最も多い。次いで、「同業者(税理

士)」(37%)、「マスメディア」(35%)となっている。他の媒体は 20%以下であり、

主に上位 3 つの媒体により情報を見聞きしている。

(N=51)

20% 80%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

はい いいえ

47%

35%

10%

37%

20%

0%

14%

10%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者(税理士)

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、イン

ターネット検索

銀行・証券など金融機関

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

93

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[税理士] ベンチャー投資促進税制の認知度

税制自体の認知は 75%であるが、内容を知っているとの回答は 27%に留まる。ま

た、25%はベンチャー投資促進税制自体を知らないと回答している。エンジェル税

制と比較すると認知度は低い。

(N=52)

[税理士] ベンチャー投資促進税制に関する情報との接触(複数回答可)

*ベンチャー投資促進税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

「経済産業省の HP やパンフレット」(33%)及び「マスメディア」(27%)の比率が

高い。「同業者」の比率は 14%とエンジェル税制の結果と比較すると低く、税理士

の間で話題になることは少ないと考えられる。

(N=51)

27% 48% 25%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っている 制度の内容は知らないが、名前は聞いたことがある 知らない

33%

27%

6%

14%

14%

0%

8%

6%

2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

経済産業省のHPやパンフレット

マスメディア(新聞、テレビ、雑誌)

各種イベント・セミナー

同業者

インターネット情報(SNS、ブログ、ニュースまとめなど)、イ

ンターネット検索

銀行・証券など金融機関

税理士

ベンチャー業界の知人、専門家(会計士・弁護士など)

その他

94

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[税理士] 顧客からエンジェル税制の相談を受けた回数

*エンジェル税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

「なし」の回答が 78%と最も多く、1 回以上と回答した比率は 22%であった。エ

ンジェル税制に実務上携わる機会があった税理士は多くないことがうかがえる。

(N=51)

[税理士] エンジェル税制を顧客の税務申告に利用した回数

*エンジェル税制を「知っている」「聞いたことがある」回答者対象

「なし」の回答が 94%であり、1 回以上と回答した比率は 6%にすぎなかった。

(N=51)

78% 16% 4%2%0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

なし 1回 2回 3回 4回以上

94% 4%2% 0%0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

なし 1回 2回 3回 4回以上

95

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[税理士] 顧客にエンジェル税制を勧める意向

「勧める意向がある」(「勧めたい」と「やや勧めたい」の合計)は 46%であり、「勧

める意向がない」(「勧めるつもりはない」と「あまり勧めるつもりはない」の合

計)の 19%よりも比率が高い。「どちらでもない」が 35%存在するものの、全体と

しては肯定的な意見の方が否定的な意見よりも多い。

(N=52)

① 勤務所在地

「勧める意向がある」と回答した税理士のうち、東京都に勤務所在地がある税理

士(以下「東京」という。)が占める割合は 48%、東京都以外に勤務所在地がある

税理士(以下「東京以外」という)が占める割合は、42%と東京の比率が高い。反

対に、「勧める意向がない」と回答した税理士は東京が 15%、東京以外が 33%とな

っている。東京は、「勧めるつもりはない」と回答したものがいない一方で、東京

以外は 25%と四分の一の回答者が「勧めるつもりはない」と否定的な回答をして

いる。

6% 13% 35% 35% 12%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

0%

25%

15%

8%

38%

25%

38%

25%

10%

17%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

東京

(N=40)

東京以

(N=12)

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

96

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② 年齢

「勧める意向がある」の比率が最も高かったのが、40 代で 57%であり、次に 50

代の 45%となっている。40 代は「勧めたい」においても 19%と他の年代よりも比

率が高い。一方、「勧める意向がない」は 30 代において 27%と最も高く、「勧める

つもりはない」においても他の年代の回答率が 5%以下であるのに対して、18%と

否定的な意見も多い。

③ 税理士取得からの年数

「勧める意向がある」は「20 年以上-30 年未満」が 67%と最も比率が高く、次に

「5 年未満」が 56%となっている。「10 年以上-20 年未満」においては「勧める

意向がある」(36%)が「勧める意向がない」(36%)と同じ割合ではあるが、N が 1

である「30 年以上」を除くそれ以外の取得後の年数セグメントでは全て「勧める

意向がある」が「勧める意向がない」よりも比率が高くなっている。

0%

18%

5%

0%

0%

17%

9%

14%

18%

0%

50%

36%

24%

36%

67%

33%

27%

38%

36%

33%

0%

9%

19%

9%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10代、20代(N=6)

30代(N=11)

40代(N=21)

50代(N=11)

60代以上(N=3)

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

6%

8%

9%

0%

0%

6%

8%

27%

22%

0%

33%

54%

27%

11%

100%

50%

15%

36%

33%

0%

6%

15%

0%

33%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5年未満(N=18)

5年以上-10年未

満(N=13)

10年以上-20年

未満(N=11)

20年以上-30年

未満(N=9)

30年以上(N=1)

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

97

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④ 専門とする税務領域

「勧める意向がある」は「法人税」が 45%と最も比率が高い。一方で、「相続税」

は「勧める意向がある」が 34%と最も低く、「勧める意向がない」が 25%と最も高

くなっている。ただし、「相続税」も含めたすべての各専門領域セグメントにおい

て、「勧める意向がある」は「勧める意向がない」よりも比率が高くなっており、

肯定的な意見の方が否定的な意見よりも多い。

5%

0%

9%

0%

0%

0%

0%

14%

19%

16%

10%

0%

19%

0%

36%

41%

41%

50%

0%

46%

50%

34%

28%

25%

30%

0%

31%

50%

11%

13%

9%

10%

100%

4%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

法人税(N=44)

所得税(N=32)

相続税(N=32)

国際税務(N=10)

移転価格税制(N=1)

消費税(N=26)

その他(N=2)

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

98

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⑤ 顧客層

「勧める意向がある」は、「法人(ベンチャー企業)」が 77%と他と差をつけて最も

比率が高く、「勧める意向がない」と回答したものはいない。エンジェル税制は投

資家に対する優遇税制であるが、資金を受けるベンチャー企業側でも資金調達の

ための手段として検討されていることが結果よりうかがえる。「個人(事業主)」

が「勧める意向がある」においては最も低く 33%であったが、「勧める意向がない」

(20%)より比率は高い。また、他の各顧客層のセグメントにおいても同様に「勧め

る意向がある」の方が「勧める意向がない」よりも多く回答されている。

0%

4%

0%

3%

10%

7%

0%

16%

0%

14%

10%

20%

59%

36%

23%

41%

48%

33%

18%

33%

54%

31%

19%

33%

24%

11%

23%

10%

14%

7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

法人(大企業)(N=17)

法人(同族経営・中小企

業)(N=45)

法人(ベンチャー企

業)(N=13)

個人(資産家・富裕

層)(N=29)

個人(事業主)(N=21)

個人(一般)(N=15)

勧めるつもりはない あまり勧めるつもりはない どちらでもない やや勧めたい 勧めたい

99

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[税理士] エンジェル税制の利用を勧める理由(複数回答可)

*エンジェル税制の利用を「勧めたい」「やや進めたい」回答者対象

「優遇措置 A」が 79%と最も高い。次いで、「優遇措置 B」(50%)、「損失の 3 年間

の繰延」(46%)となっている。勧められる理由として減税措置を挙げる税理士が多

かったが、その中でも優遇措置 A を挙げた税理士が多い。

(N=24)

79%

50%

46%

38%

13%

17%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

「投資額-2000円」を総所得額から控除できる点(優遇措置

A)

投資額全額を当年度の株式譲渡益から控除できる点(優遇

措置B)

通算しきれなかった売却損失を翌年以降3年にわたり株式譲

渡益と通算(相殺)できる点

減税効果が高く、リスクの高い投資先に投資が行えるように

なる

エンジェル税制の審査を経ているため、投資先のベンチャー

企業の信頼性が増す

減税分で顧問報酬を上げられる

その他

100

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[税理士] エンジェル税制の利用を勧められない理由(複数回答可)

*エンジェル税制の利用を「勧めるつもりはない」「あまり勧めるつもりはない」回答者対象

勧められない理由として、そもそも「ベンチャー企業に投資をするような顧客が

いない」との回答が 70%と最も多く挙げられた。次に、「エンジェル税制について

の理解が浅く、実務経験がないため」が 30%となっている。いずれも、エンジェ

ル税制に携わる機会がない又は少ないことに起因する理由となっている。

(N=10)

70%

30%

0%

0%

10%

10%

0%

20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ベンチャー企業に投資をするような顧客がいない

エンジェル税制についての理解が浅く、実務経験が

ないため

税理士としての経済的メリットが少ない

手続きが面倒・煩雑になる

税制適用先企業が少ない

投資対象企業の各種要件が厳しい

減税効果が十分でない

その他

101

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[税理士] エンジェル税制の要件のうち緩和すれば利用意向が最も高まると思う

要件

「所得控除の控除上限 1,000 万円の引き上げ(優遇 A)」が 27%と最も多くなって

いる。次いで、「特定株主の出資割合要件の緩和」が 21%となっている。優遇 A に

関する要件としては、「赤字要件の撤廃」(19%)が「年数要件の延長」(12%)より

も多く挙げられていた。

(N=52)

27%

12%

19%

21%

15%

0%

6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

所得控除の控除上限1,000万円の引き上げ(優遇

A)

所得控除制度の対象企業の年数要件(3年未満)の

延長(優遇A)

所得控除制度の対象企業の赤字要件の撤廃(優遇

A)

特定株主グループ(経営者及び親族等)の出資割合

が5/6(約83%)以下の要件の緩和

株式譲渡損の繰越年数(3年)の延長

株式取得の対価のみでなく、新株予約権の取得費用

などを対象とする

その他

102

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エンジェル税制への認知度は 98%とほとんどの税理士に知られているが、制度の内容は

知らないが名前は聞いたことがあると回答をしたものも 21%いた。制度の内容に関する認

知度は、優遇 A が 84%、優遇 B が 74%、3 年間の繰延通算が 76%と基本的な税制の内容に

ついては概ね知られている。一方で、優遇 B におけるファンド経由の投資の適用(31%)や相

談窓口が各都道府県にできたこと(20%)など、より詳細な実務レベルでの事項となると認知

度は大きく下がる。これは、エンジェル税制の税務相談を受けたことがある割合は 22%、

エンジェル税制を税務申告に利用したことがある割合は 9%に留まっており、実務上エンジ

ェル税制にかかわったことがある税理士が少ないことによるものと考えられる。

エンジェル税制に関する情報との接触は、経済産業省の HP やパンフレット(47%)、同業

者(税理士)(37%)及びマスメディア(35%)が多い。VC 及び LP におけるベンチャー投資促

進税制への情報接触と同様に、経済産業省が発信している情報が最も多い情報接触元とな

っている。

エンジェル税制を顧客へ勧める意向として、勧めたいは 47%であり、勧めるつもりはな

いの 20%よりも多い。勧めたい理由としては、優遇 A(79%)、優遇 B(50%)、3 年間の繰延

通算(46%)と減税面の理由が多い。VC 及び LP への調査において、ベンチャー投資促進税制

が魅力的な理由としてベンチャーファンドの信用力が高まるとの回答が選ばれていたが、

エンジェル税制においてはベンチャー企業の信頼性が増すとの回答は 13%に留まっている。

勧められない理由としては、そもそもベンチャー企業に投資するような顧客がいないから

が 70%と最も多く挙げられていた。このような結果から、エンジェル税制を利用する潜在

的な顧客がいないため、エンジェル税制の理解を深めるための動機を持つことができない

税理士も存在することが推察される。

エンジェル税制の利用意向が高まる要件としては、投資家の回答と同様の傾向が見られ

た。すなわち、内容面では優遇 A の控除上限 1000 万円の引き上げ(27%)が最も多く挙げ

られており、要件面では特定株主グループの要件(21%)や優遇 A の赤字要件の撤廃(19%)が

挙げられている。

ベンチャー投資促進税制への認知度は 75%であり、制度の内容は知らないが名前は聞い

たことがあると回答をしたものは 48%にも及ぶ。内容も知っているとの回答率は 27%に留

まり、エンジェル税制と比較して認知度及び内容の理解度ともに低く、VC 及び LP への税

務面での相談相手として税理士が広く活用されていくためには、ベンチャー投資促進税制

に対する税理士の理解をより深めていくことが必要となる。

103

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III. ベンチャー投資関連税制の国際比較

本調査では、我が国におけるベンチャー投資関連税制の目指すべき姿を検討するうえでの参

考情報として、諸外国におけるベンチャー投資関連税制の動向を把握するために各国制度の比

較を実施した。

調査結果の概要

我が国においても、ベンチャー投資に対する企業向けの税制支援として「ベンチャー投

資促進税制」、個人向けに「エンジェル税制」が存在しているが、諸外国においてもそれぞ

れ税制支援制度が整備されている。

今回の調査から、各国の税制支援制度の特徴として、自国の法人税、所得税制度とのバラ

ンスがとられた内容となっている事が明らかになった。

<各国におけるベンチャー投資関連税制の比較表>

米国 イスラエル 英国 ドイツ シンガポール

カテゴリとその

定義

ベンチャーへの投資金額の割合・成

長率が世界最高峰の規模を誇るとと

もに多くの先進的なベンチャー企業

を排出し続けている。

ベンチャーへの投資金額の割合・成

長率は相対的にピークを過ぎたもの

の、依然として多くのベンチャー企

業を排出している。

近年ベンチャー

への投資金額の

割合・成長率が増

進し、ベンチャー

企業の排出数も

伸びている。

ベンチャー企業

投資における対

法人の税制優遇

措置

米国全体で共通

した税制優遇措

置は存在しない。

各州において税

制優遇措置があ

る。

税制優遇措置が

存在する。

税制優遇措置は

存在しない。

税制優遇措置は

存在しない。

税制優遇措置が

存在する。

ベンチャー企業

投資における対

個人の税制優遇

措置

米国全体で共通

した税制優遇措

置が存在する。

税制優遇措置は

存在しない。

税制優遇措置が

存在する。

税制優遇措置は

存在しない。

税制優遇措置が

存在する。

104

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税額控除

各国個別の調査結果

企業に対するベンチャー投資促進税制について

米国では連邦ベースで企業に対するベンチャー投資に対する税制優遇措置は存在しない。

しかしながら、各州ベースで、認可資本会社(CAPCO)と呼ばれるベンチャー投資会社に

投資をする保険会社に対して税制優遇措置が存在する。

制度の概要は、州内のベンチャー企業に対して投資を行うベンチャーキャピタルに資

金を提供する民間の保険会社に対して、州税法上の保険料税に対する税額控除を認める

制度である。

なお、認定資本会社(CAPCO)とは、各州の適格事業に投資(「適格投資」)を行うた

めに設立され、本店登記がなされた組織体(株式会社、パートナーシップ、信託または

LLP)であり、各州政府から認可を受けた組織体をいう。

州政府

保険会社 CAPCO

(VC) ベンチャー企業

投資

株式

投資

株式

【CAPCO を用いたベンチャー投資の概要】

1

3

4

2

5

105

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i. アラバマ州制度(2002 年制定、Alabama Code Title § 40-14B)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、8 年間に渡り、1 年あたり投資額の 12.5%の特別税

額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・アラバマ州に本店を置いていること。

・従業員数は、100 名未満であること。

・総従業員の 80%がアラバマ州で働いていること。

・売上高や資産は考慮せず、製造業、研究開発、サービス業分野における高度なテ

クノロジー分野(Professional service 除く)であること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

アラバマ州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投資

を行う必要がある。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本の 35%を投資していること。

・設立から 5 年以内に割り当てられた資本の 50%を投資していること。

ii. コロラド州制度(2001 年制定、Colorado Revised Statutes Title 10. Insurance §

10-3.5)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、10 年間に渡って、1 年あたり投資額の 10%の特別

税額控除を受けることができる。

106

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主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・米国中小企業庁の定義に準拠していること。

・コロラド州に本店を置いていること。

・法務・会計分野ではないこと。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

コロラド州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投資

を行う必要がある。

・設立から 2 年以内に割り当てられた資本金の 30%を投資していること。

・設立から 5 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること。

iii. ワシントン D.C 制度(2003 年制定、Washington Revised Code Title

15/87CERTIFIED CAPITAL COMPANIES ACT OF 2003)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、4 年間に渡って、1 年あたり投資額の 25%の特別税

額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・米国中小企業庁の定義に準拠していること。

・ワシントン D.C に本店を置いていること。

・総従業員の 25%は、居住者であること。

・総従業員の 75%は、ワシントン D.C.で働いていること。

・ビジネス分野によって投資割合を変化させていること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

107

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【適用対象となる CAPCO の要件】

ワシントン D.C 税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格

投資を行う必要がある。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 20%を投資していること。

・設立から 4 年以内に割り当てられた資本金の 40%を投資していること。

・設立から 5 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること。

・設立から 10 年以内に割り当てられた資本金の 100%を投資していること。

iv. フロリダ州制度(1998 年制定、Florida Statutes Title XIX. Public Business § 288

Part XI : Certified Capital Company Act)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、10 年間に渡って、1 年あたり投資額の 10%の特別

税額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・米国中小企業庁の定義に準拠していること。

・フロリダ州に本店を置いていること。

・従業員数は 200 名未満であること。

・総従業員の 75%がフロリダ州で働いていること。

・石油やガス、法律、会計・税務アドバイザリー等の Professional service 以外の分

野であること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

フロリダ州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投資

を行う必要がある。

・設立から 2 年以内に割り当てられた資本金の 20%を投資していること。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 30%を投資していること。

・設立から 4 年以内に割り当てられた資本金の 40%を投資していること。 108

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・設立から 5 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること(そのうち

の 50%は、高度なテクノロジー新興企業に投資をしていること)。

v. ルイジアナ州制度(1983 年制定、THE LOUISIANA CAPITAL COMPANIES TAX

CREDIT PROGRAM TITLE 51 - CHAPTER 26)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、8 年間に渡って、1 年あたり投資額の 12.5%の特別

税額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・従業員数は 500 名未満であること。

・純資産額が 18 百万ドル未満であること。

・当期純利益が 8 百万ドル未満であること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

ルイジアナ州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投

資を行う必要がある。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること(そのうちル

イジアナ州の技術に基づく事業、及びルイジアナ州の新興事業に該当する適格事業

に、40%を投資していること)。

・設立から 5 年以内に割り当てられた資本金の 80%を投資していること(そのうちル

イジアナ州の技術に基づく事業、及びルイジアナ州の新興事業に該当する適格事業

に、50%を投資していること)。

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vi. ミズーリ州制度(1996 年制定、Missouri Revised Statutes Title X. Taxation and

Revenue § 135)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、10 年間に渡って、1 年あたり投資額の 10%の特別

税額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・ミズーリ州に本店を置いていること。

・従業員数は 200 名未満であること。

・総従業員の 80%がミズーリ州で働いていること。

・売上高や資産は考慮せず、法律、会計・税務アドバイザリー等の Professional service

以外の分野であること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

ミズーリ州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投資

を行う必要がある。

・設立から 2 年以内に割り当てられた資本金の 25%を投資していること。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 40%を投資していること。

・設立から 4 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること。

vii. ニューヨーク州制度(1997 年制定、New York Tax Law § 11)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、10 年間に渡って、1 年あたり投資額のうち 10%の

特別税額控除を受けることができる。(10%の投資が行われた年度、残り 90%につい

ては 9 年間にわたり均等申告する)

110

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主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・ニューヨーク州に本店を置いていること。

・従業員数は 100 名未満であること(200 名未満である場合には、売上高 5 百万ド

ル未満である場合も適用要件を満たす)。

・総従業員の 80%がニューヨーク州で働いていること。

・売上高や資産は考慮せず、高度なテクノロジーやサービス分野(法律、会計・税務

アドバイザリー等の Professional service 以外)であること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

ニューヨーク州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適

格に投資を行う必要がある。

・設立から 2 年以内に割り当てられた資本金の 25%を投資していること。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 40%を投資していること。

・設立から 4 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること(そのうちの

50%は、初期段階事業に投資していること)。

viii. テキサス州制度(2007 年制定、Texas Insurance Code § 228 PREMIUM TAX

CREDIT FOR CERTAIN INVESTMENTS)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、4 年間に渡って、1 年あたり投資額のうち 25%の特

別税額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・テキサス州に本店を置いていること。

・従業員数は 100 名未満であること。

・総従業員の 80%がテキサス州で働いていること。

・投資額の 30%がテキサス州により制定されている「戦略的エリア」に投資されて

111

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いること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をする保険会社

【適用対象となる CAPCO の要件】

テキサス州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適格投

資を行う必要がある。

・3 年以内に CAPCO の認定資本金の 30%を投資していること。

・5 年以内に CAPCO の認定資本金の 50%を投資していること(そのうちの 50%は、

設立間もない会社に投資していること)。

ix. ウィスコンシン州制度(1997 年制定、Wisconsin Act 215)

主な優遇措置について

CAPCO に出資を行う保険会社は、10 年間に渡って、1 年あたり投資額の 10%の特別

税額控除を受けることができる。

主な適用条件について

【ベンチャー企業の適用要件】

・ウィスコンシン州に本店を置いていること。

・従業員数は 100 名未満であること。

・総従業員の 75%がウィスコンシン州で働いていること。

・課税所得が 2 百万ドル未満であること。

・純資産額が 5 百万ドル未満であること。

・金融・不動産・法律、会計・税務アドバイザリー等の Professional service 分野以

外であること。

・投資額の 30%がウィスコンシン州によって制定されている「戦略的エリア」に投

資されていること。

【税額控除の適用対象となる投資企業】

・CAPCO に投資をしている保険会社

112

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【適用対象となる CAPCO の要件】

ウィスコンシン州税法上の CAPCO 認定を受け続けるために以下のスケジュールで適

格投資を行う必要がある。

・設立から 3 年以内に割り当てられた資本金の 30%を投資していること。

・設立から 5 年以内に割り当てられた資本金の 50%を投資していること。

個人に対するベンチャー投資促進税制について

米国では、個人に対するベンチャー投資促進税制について 3 種類の制度が設定されてい

る。その制度は米国全体で共通している。

i. 制度 I(Section 1045 税制)

主な優遇措置について

・キャピタルゲイン課税の繰り延べ適格小規模法人の株式買換え時の譲渡益に係る課

税の繰延べが可能(上限なし) 。

・適格小規模法人の株式買換え時の譲渡益に係る課税の繰延べ(上限なし)が認められ

る。当該譲渡益は、取得した適格小規模法人株式を譲渡した時点で課税される。

・適格小規模法人が発行した株式を 6 か月以上所有している場合は、当該所有株式を

他の適格小規模法人株式と買換えた場合、キャピタルゲインの繰延の適用を受けるこ

とができる。

なお、当初所有していた株式の時価が買換えを行った株式の簿価を上回る場合には、

その上回った部分については譲渡益を認識する必要がある。

主な適用条件について

【投資家側の要件】

・直接株式を取得する場合、役務提供の対価として株式を取得する場合も適用可能。

・6 ヶ月超保有していること。

【適格小規模法人側の要件】

・株式発行時の総資産額が 5 千万ドルを超えないこと。

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・発行直後の総資産額が、株式発行により払い込まれた金額を含めて、5 千万ドルを超

えないこと。

・株式の保有期間中、適格小規模法人が実際に取引または事業を行っていること。

ii. 制度 II(Section 1202 税制)

主な優遇措置について

適格小規模法人の株式を 5 年以上保有している場合は、譲渡益の 50%について課税の免

除(上限額: 1 千万ドルと投資簿価の 10 倍の大きいほうの金額)が認められている。(2009

年 2 月 17 日から 2010 年 9 月 27 日までに投資が行われた場合には譲渡益の 75%、2010

年 9 月 28 日から 2011 年 1 月 1 日までに投資が行われた場合には譲渡益全額について、課

税が免除)

主な適用条件について

【投資家側の適用要件】

・直接株式を取得する場合、役務提供の対価として株式を取得する場合も適用可能。

・5 年超保有していること。

【適格小規模法人側の適用要件】

・株式発行時の総資産額が 5 千万ドルを超えないこと。

・発行直後の総資産額が、株式発行により払い込まれた金額を含めて、5 千万ドルを超

えないこと。

・株式の保有期間中、適格小規模法人が実際に取引または事業を行っていること。

iii. 制度 III(Section 1244 税制)

主な優遇措置について

小規模法人株式を発行時から所有している場合は、株式の譲渡損失のうち、5 万ドル

まで(夫婦共同申告の場合には 10 万ドルまで)を限度として通常損失として取扱うこ

とが認められる。

114

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主な適用条件について

【投資家側の適用要件】

・直接株式を取得すること(発行時から所有していること)。

【適格小規模法人側の適用要件】

・株主による払込資本が 100 万ドルを超えていないこと。

・発行直後の総資産額が、株式発行により払い込まれた金額を含めて、5 千万ドルを

超えないこと。

・株式の保有期間中、適格小規模法人が実際に取引または事業を行っていること。

115

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企業に対するベンチャー投資促進税制について

i. 外国投資に対する税制優遇措置

主な優遇措置について

イスラエル企業の株式を保有している国外企業が、当該株式を売却しキャピタルゲイ

ンが発生した場合には免税となる。

主な適用条件について

・投資先企業の株式の過半数を外国投資企業が保有していること。

・当該キャピタルゲインが外国投資企業のイスラエルにおける恒久的施設(PE:

Permanent Establishment)に起因するものでなく、かつ関連当事者から取得した株式

によるものでないこと。

(イスラエル国内法では通常キャピタルゲインに対して 25%~30%での課税されるこ

とになっているが、もしもファンドがイスラエルに拠点または駐在員事務所を有して

いたとしても、その拠点または駐在員事務所はイスラエルでの恒久的施設とは見なさ

れないため、国内法が適用されない可能性がある。)

ii. Advance Tax Ruling - 16A:

主な優遇措置について

一般的に、イスラエルの税務署(Income Tax Authorities, ITA)は、ベンチャーキャピタ

ルファンドやプライベートエクイティファンドから外国投資企業が得られたキャピタル

ゲインに免除を与えている。

(イスラエル財務省は、これまで外国投資家がイスラエルのエクイティファンドに投

資した場合に課税していたキャピタルゲイン税(税率:個人 15%、法人 25%)を廃

止した。)

116

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・ベンチャーキャピタル投資による利子所得、配当金所得への免税、プライベートエ

クイティ投資に対する税率を引き下げる。

・免税はイスラエルに居住している国内投資家、国外投資家の両方に適用される。

主な適用条件について

・ファンドには最低 10 人の投資家(イスラエル人を含む)の在籍が必要であり、かつ

各投資家のファンド保有比率が 20%以下であること。

・一つの投資先に対して投資可能な金額はファンド総額の 20%以下であること。

(なお、同ファンドは 4~5 社以上の投資ポートフォリオを持たなければならない。)

・VC ファンドの場合には、イスラエル企業に対する投資金額の最低 75%は資本拠出

で行われなければならない。(既存株主からの株式取得は認められない。)

また、最低 1,000 万 US ドルを投資しなければならず、かつその金額のうちの 500

万 US ドルをイスラエル国外の投資家から調達しなければならない。

個人に対するベンチャー投資促進税制について

調査時点で具体的な投資促進税制は認められなかった。

117

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企業に対するベンチャー投資促進税制について コーポレート・ベンチャリング・スキーム(CVS)という法人投資家向けのベンチャー

企業投資促進のための税制優遇措置が存在したが、法律の適用時期が 2010 年 3 月 31 日

まででありその後延長されていないため、2010 年 4 月以降当該税制優遇措置は適用され

ていない。

(当時の内容は、法人投資家がベンチャー企業に 3 年間投資を行った場合、投資額の 20%

の法人税額控除を得ることが出来るという内容であった。)

個人に対するベンチャー投資促進税制について

英国においては、個人に対するベンチャー投資促進税制について 2 種類の制度が設定

されている。一つは、個々の企業に直接投資を行う、エンタープライズ・インベストメン

ト・スキームといわれるものである。二つ目は、ベンチャー・キャピタル・トラストとい

われるもので、リスク分散するためにファンド等を通じて多数の企業に投資する形態のも

のである。

i. Enterprise Investment Schemes (EIS)

EIS は、株式による資金調達が困難な小規模企業への投資を促進するために導入さ

れた制度である。

投資家

【EIS を用いたベンチャー投資の概要】

小規模企業

税務当局

投資

優遇処置

1

2

118

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主な優遇措置について

それぞれの優遇措置の対象となるには、EIS を利用した株式投資を開始してから 3 年

以上、株式を保有しておく必要がある。

・キャピタルゲインに対する課税の繰り延べ

資産の売却等により発生したキャピタルゲインを EIS が適用される企業に投資した

場合、その投資額分についてはキャピタルゲイン課税の支払いを猶予する。

なお、売却によりキャピタルゲインが発生した資産の種類は問われない。

また、キャピタルゲインの課税の繰り延べ対象となる金額に特段制限はなく、投資家

と投資先企業がどのような関係にあるかに関わらず適用される。

・所得税額控除

投資額に対する 30% が税額控除される。

(ただし、EIS を利用した投資金額の上限は 100 万ポンドである。)

・キャピタルゲイン課税の免除

EIS を利用した投資から得たキャピタルゲインから税額控除額を差し引いた部分を

キャピタルゲイン免税とする。

・キャピタルロス控除

税額控除が認められた EIS 株式で譲渡において損失が生じた場合、その年の通常所得

に対して控除が認められる。

主な適用条件について

【投資家側の適用要件】

・ベンチャー企業の新株を引き受けた投資家(3 年間の株式保有期間要件あり)

【ベンチャー企業側の適用要件】

・在英国の未上場企業であること。

・株式発行前総資産が 1,500 万ポンド以下、株式発行後は 1,600 万ポンド以下。

・株式発行時の従業員数 250 人未満。

・年間株式発行額は 500 万ポンドを上限とする。

119

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ii. The Seed Enterprise Investment Scheme(SEIS)

SEIS は起業段階のベンチャー企業への投資を対象とした、投資家がベンチャー企業に出

資する際に利用できる税制優遇措置である。

SEIS は EIS と比較して 50%と税額控除割合が高い。ただし、SEIS を利用した投資金

額の上限は 10 万ポンドと EIS の 100 万ポンドと比較して少額である。

起業段階のベンチャー企業への投資に EIS を適用することも可能だが、投資規模によっ

ては SEIS が選択される傾向がある。

主な優遇措置について

・キャピタルゲイン課税の繰り延べ

・キャピタルゲイン課税の免除

・キャピタルロス控除

(前述した Enterprise Investment Schemes (EIS)と同様)

・所得税額控除

投資額に対する 50% が税額控除される。

(ただし、SEIS を利用した投資金額の上限は 10 万ポンドである。)

主な適用条件について

SEIS はアーリーステージのベンチャー企業への投資促進のために導入されており、

EIS の適用条件が基本的には SEIS にも適用される。

【投資家側の適用要件】

(基本的には前述した Enterprise Investment Schemes (EIS)と同様)

【ベンチャー企業側の適用要件】

(基本的には前述した Enterprise Investment Schemes (EIS)と同様だが、以下の条件

は EIS と異なる)

・株式発行前総資産が 200 千ポンド以下。

・株式発行時の従業員数 25 人未満。

・株式発行額は 15 万ポンドを上限とする。

iii. Venture Capital Trusts (VCT)

120

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VCT 税制は投資家が小規模な非上場会社への投資を促進させることを目的とした優

遇税制であり、投資家がベンチャーキャピタルの運営するファンドに出資す間接投資

を促進するものである。

主な優遇措置について

・キャピタルゲイン課税の免除

VCT 株式を譲渡した場合にはキャピタルゲイン課税が免除される。

・所得税控除

VCT の新株引受に当たり 30%の個人所得税額の控除 (限度額 60,000 ポンド)

・配当金の免税

VCT から受領する配当について、個人所得税の免税

主な適用条件について

【VCT 側の適用要件】

・VCT の持分が市場取引されていること。

・VCT の投資額の 70%(時価)以上が非上場会社である等一定の要件を満たす法人

への投資であること。

【VCT を用いたベンチャー投資の概要】

投資家

税務当局

投資

優遇処置

ベン

チャー

ベン

チャー

投資

ベン

チャー

VCT

(VC)

1

2

3

121

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【投資家側の適用要件】

・新株を引き受けた投資家(5 年間の株式保有期間要件あり)

企業に対するベンチャー投資促進税制について 企業に対するベンチャー投資促進税制は制定されていない。

なお、企業が株式を売却した場合にはその売却益に優遇措置が適用(法人税法 8b)され

ることで、売却益の 95%が非課税となり、5%部分のみに課税されることになる。

個人に対するベンチャー投資促進税制について

2008 年のベンチャーキャピタル法 (Wagniskapitalbeteiligungsgesetz –“WKBG”) に

おいて、投資家のベンチャー企業投資に対するキャピタルゲインに関する特別免税措置

が規定されていた。しかし、同法は欧州委員会によって承認が見送られたため発効され

ず、2013 年 12 月 24 日に同法は廃止されている。規定されていたときの特別免税措置

の内容は以下のとおり。

i. 制度(ベンチャーキャピタル法(Wagniskapitalbeteiligungsgesetz –“WKBG”))

主な優遇措置について

・投資家が適用条件を満たす場合、保有するベンチャー企業の株式譲渡益について、

株式保有割合に応じた免税措置を受けることができた。

・免税対象額は20万ユーロに譲渡株式の保有割合を乗じた金額までとされていた。(適

用条件にもあるようにベンチャー企業の株式の保有割合は最大で 25%であるため、

免税額の上限は 5 万ユーロとされていた)

122

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主な適用条件について

【ベンチャー企業側の適用要件】

・設立後 10 年を経過していないこと。

・純資産が 2 千万ユーロを超えていないこと。

・そのベンチャー企業自体よりも前に設立された法人を支配していないこと。

・そのベンチャー企業自体よりも前に設立された法人を被合併会社とする合併を行っ

ていないこと。

・ドイツのグループ法人税制上の支配会社ではないこと。

【投資家側の適用要件】

・株式譲渡前 5 年間、ベンチャー企業に対する株式保有割合がベンチャー企業の総株

式の 3%以上かつ 25%以下であること。

・株式の譲渡時において、ベンチャー企業への投資期間が 10 年以下であること。

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企業に対するベンチャー投資促進税制について i. Exemption of income of venture company (Section 13H, CHAPTER 134, Income

Tax Act)

主な優遇措置について

・認定ベンチャー企業に対する投資によって発生した所得には、免税または 10%以

下の税率での課税が適用される。

(上記課税の優遇期間は 10 年間以内、または特定の事例が 10 年を過ぎる場合に

は当局より承認を得られることを条件として 5 年間以内を限度とした延長が可能。

ただし優遇期間の合計は、15 年間を超えてはならない。)

主な適用条件について

【投資企業側の適用要件】

・特段設定はない。(2020 年 4 月 1 日以降は本事項の適用は認められない)

【ベンチャー企業側の適用要件】

・特段設定はない。

ii. Financial Sector Incentive - Fund Management ("FSI-FM")

主な優遇措置について

ファンド運用や投資アドバイザリーの活動の実施による対象所得(投資目的のための

外国投資家の資金管理、または投資に関する外国投資家に対する投資顧問業務の提供

によって得られる所得など)に対して、コンセッション税率の 10%での課税優遇措置

を受けることが出来る。

主な適用条件について

ファンド運用企業は最低 3 人のプロフェッショナルスタッフを採用し、ファンド運用

資産の最低金額が 2.5 億シンガポールドルであること等の条件がある。

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iii. Venture capital fund management companies(FMC)

主な優遇措置について

Income Tax Act Section 13H に該当するファンドを運用するベンチャーキャピタルに

対して、コンセッション税率の 5%での課税優遇措置を与える。

主な適用条件について

承認期間は、2015 年 4 月 1 日から 2020 年 3 月 31 日までとなる。

個人に対するベンチャー投資促進税制について

i. Angel Investors Tax Deduction (AITD)

主な優遇措置について

・認定されたエンジェル投資家は、2 年間の保有期間の末に投資に対して 50%減税優

遇を受けられる。

・各評価年に対象となる投資に対して、50 万シンガポールドルの減税金額上限が適用

される。

主な適用条件について

【投資家側の適用要件】

・同スキームを管理する政府機関である SPRING Singapore より個人がエンジェル投

資家として認定されるために同機関に申請し、認可される必要がある。

<認可エンジェル投資家の適格性について>

① 個人レベルで投資を行っていること。

(企業、機関ファンド等を通じて実施された投資は対象外)

② 下記いずれかの 3 つのカテゴリに属していること。

アーリーステージへの投資実績がある投資家

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複数回の起業実績がある起業家

企業の上級マネジメント経験がある経営等のプロフェショナル

③ 投資先企業を育成する能力を証明するため、以下のことを求められる。

ビジネスにおける豊富な経験や識見。

成長戦略、新規市場参入についてのアドバイザリーをするための経営・ビジ

ネスに関する高い能力。

業界のトレンド、発展に関する深い知見。

技術、科学に関する深い知見。

業界、ビジネスへの強いネットワーク。

・2010 年 3 月 1 日から 2020 年 3 月 31 日までの期間に対象ベンチャー企業に投資す

る個人。

・一つのベンチャー企業を対象に、同企業に初回投資をする日付から 12 か月以内に最

低 10 万シンガポールドルの投資を行う個人。

・上記に加えて、ベンチャー企業開発スキーム(Startup Enterprise Development

Scheme (SEEDS))またはビジネスエンジェルスキーム(Business Angel Scheme (BAS))

によって政府から認可されたエンジェル投資家についても対象とするように強化され

た。

【ベンチャー企業側の適用要件】

・投資時点で投資先企業が下記の全ての条件を満たさなければならない。

シンガポールで過去 3 年間以内に法人登録されている企業(保証有限責任会

社を除く)であり、シンガポールや海外の証券取引所で上場していないこと。

シンガポールで本格的な事業を行っており、投資対象期間の全期間において

税法上の居住者となっていること。

発行株式の資本全額の 50%以上が 19人以下の個人株主により保有されている

こと。

株主に「認可エンジェル投資家」の関係者がいないこと。

・実施事業が下記に該当しない事。

違法な事業

売春、ホスト・ホステスに係るサービス、賭博、マッサージーパーラー等の

好ましくない活動

投機的な事業

投資の目的での全ての資産の保有

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不動産開発事業

その他シンガポール政府に指定される事業

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IV. ベンチャー投資関連税制の効果的な PR

PR 実施の検討

ベンチャー投資促進税制及びエンジェル税制の認知状況や魅力について、ヒアリング及

び Web アンケートにて調査を実施したが、ベンチャー投資促進税制は概ね認知されていた。

一方、エンジェル税制は、投資家への Web アンケート調査結果によると、「名前は聞い

たことがある」「知らない」の割合が 72%と高く、また「知っているが使ったことはない(19%)」

理由は、半数近くが「説明してくれる人がいなかった(42%)」と回答した*。

さらに、当該税制の要件(優遇措置 B など)や各都道府県庁が相談窓口であることの認

知状況は 10%~30%程度と低かった*。

そのため、ベンチャー投資関連税制に関する PR については、エンジェル税制のみを対象

とし、PR 実施の検討をすることとした。

*「Ⅱ.Web アンケート調査 3.投資家に対する調査 (3)ベンチャー投資関連税制の利用実態と意見」を

参照

すでに、ベンチャー企業へ投資をしている投資家(エンジェル投資家)へのエンジェル

税制利用の訴求だけでなく、リスクマネーの供給増加、エンジェル投資家やベンチャー起

業家をさらに生み出すエコシステムの構築、地方創生及び地域活性化との結びつきを目的

とした施策とするため、対象は下記とした。

エンジェル投資家 未上場会社やベンチャー企業にすでに投資をしている投資家

潜在的エンジェル投資家 ベンチャー企業経営の経験者で、上場や M&A 等で事業をエ

グジットしたような一定の成功をおさめ、ベンチャー投資の

資金を有する。また、投資だけでなく、自らの経験により、

アーリーステージのベンチャー企業に対し、ハンズオン支援

も可能。

資産家 投資資金があっても起業経験がない資産家、例えば、地方の

中堅企業のオーナーや大企業の元経営者など、ベンチャー投

資に関する関心・知識がない可能性が高いが、今後状況次第

ではエンジェルになりうる。

ベンチャー起業家 自ら出資し創業したベンチャー企業の経営者。エンジェル税

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制を知り、資金調達の方法としてエンジェル投資家から投資

を受けることができる。

PwC あらた有限責任監査法人(PwC)内で、PR 方法について、イベントやセミナーの

開催、経済産業省の Web サイトの拡充、Web 広告への出稿、ソーシャルメディアの活用

など、様々な検討(メリット・デメリットの列挙等)がなされた。その中で、セミナー

開催と動画視聴を使用した PR について、詳細な検討を実施した。

(セミナー開催と動画制作の比較)

項目 セミナー開催 動画制作

PR 対象者 セミナー参加者のみ Web サイト等にて視聴可能な人

理解度 開催毎に深堀した内容や質疑

応答などが可能だが、端的な理

解は難しい

端的に理解が得られる

汎用性 一度きり

継続開催・各地開催が難しい

繰り返し視聴可能

実行性 参加者や協力者の日程調整が

難しい可能性あり。

首都圏開催の場合は、地方在住

者の参加が難しい。

長時間拘束される。

スピーカーと撮影者の日程が合え

ば制作が可能。

動画を視聴できる環境があれば、

いつでもどこでも視聴可能。

すきま時間を利用できる。

「セミナー開催と動画制作の比較」を基に PwC から経済産業省へ説明がなされた。

経済産業省内で検討した結果、動画を利用した PR 方法に決定した。理由としては、下

記が主に挙げられた。

短い時間で、端的に税制の概要が理解しやすいと推測される

対象者が繰り返し視聴することができる

説明会などでの放映、ソーシャルメディアにて投稿、Web サイトへの掲載などで

拡散効果が期待される

投資家への Web アンケート調査の結果によると、優遇措置 A(所得税の控除)の認知状

況は 63%であったが、優遇措置 B(株式譲渡益の控除)については 33%と半数程度の結果

となった。 129

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また、「知っているが使ったことはない(19%)」理由は「説明してくれる人がいなかった

(42%)」との回答が多かったため、主に下記を、PR 動画の内容として決定した。

① エンジェル投資家及びエンジェル税制とは

② 優遇措置 A と優遇措置 B について

③ エンジェル税制利用までの手続き

④ 各都道府県庁の相談窓口に問合せ可能なこと

PR 動画制作実施の内容

エンジェル税制の PR 動画制作にあたり、大手広告代理店ではなく、近年スタートアップ

企業や地方企業などの利用も増えている「クラウドソーシング」会社、さらに当該税制に

関連して、ベンチャー企業へ委託することを検討した。

数あるベンチャー企業の「クラウドソーシング」会社の中でも、地方創生に力を入れてい

る*ランサーズ株式会社に制作の依頼をすることに決定した。

*「熱意ある地方創生ベンチャー連合(https://netsui.or.jp/)」の幹事メンバーであり、代表取締役社長

CEO の秋好陽介氏が代表理事のひとり

2016 年 12 月 12 日 経済産業省の会議室にて、ランサーズ株式会社、経済産業省、PwC

の各担当者にて、動画制作方針の打合せを実施した。

ランサーズ株式会社が、サンプル動画を 2~3 紹介し、企画・プランニング・キャスティ

ングの工程や納品までの期間や、各要因での費用変動の説明をした。

経済産業省は、PR 動画のイメージや対象者などを説明した。

PwC は、納期についての確認をした。ランサーズ株式会社より、2 月末の納期までに時

間がないため、フリーランサーへ直接依頼をする「コンペ方式」ではなく、ランサーズ株

式会社の「クリエイティブディレクターが、フリーランサーと依頼主との間で、スムーズ

な工程管理やクオリティの向上を調整する方式」が提案され、三者合意した。

主な内容は下記の通り。

既存のパンフレット(http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/)を視覚で

わかりやすくできるようにする

優遇税制の内容を咀嚼して伝わるようにする

2 本制作(ショート版・ロング版)

ショート版:プロモーション的に使用。エンジェル投資家だけでなく、潜在的エン

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ジェル投資家や資産家、ベンチャー起業家にも訴求し、ベンチャー企業への投資と

エンジェル税制活用の裾野を広げる目的

ロング版:ショート版より詳細な説明用。エンジェル税制利用者だけでなく、税理

士や各都道府県の相談窓口担当者向けに使用予定

首都圏のエンジェル投資家等だけでなく、地方創生・地域活性化にもつながるよう

に、地方にも拡げたい

2016 年 12 月 15 日 経済産業省の会議室にて、ランサーズ株式会社、経済産業省、PwC

の各担当者にて、企画の打合せを実施した。

ランサーズ株式会社のクリエイティブディレクターが、予算内の手法として、インフォ

グラフィック+実写(撮影)の組合せの提案をした。

経済産業省が、実写は、すでにエンジェル税制を利用しているエンジェル投資家や、実

際にエンジェル投資家から投資を受けて成長したベンチャー企業のインタビューを動画に

使用する提案をした。

インフォグラフィックにて優遇税制 A・B と手続きの説明+実写によるインタビューで進

めることで、三者合意した。

2017 年 1 月 5 日 経済産業省の会議室にて、ランサーズ株式会社、ランサーズ株式会社と

契約しているフリーランサー(映像作家)、経済産業省、PwC の各担当者にて、企画のプレ

ゼンテーションを実施した。

ランサーズ株式会社のクリエイティブディレクターと映像作家が、インフォグラフィッ

ク+実写を使った PR 動画のプレゼンテーションを口頭とイメージ資料にて説明をした。ま

た、二人より税制や優遇措置の説明動画を制作する上で不明な点について質問がなされた。

それに対し、経済産業省は、エンジェル税制や優遇措置 A・B の説明などをし、質問に答

え、齟齬がないよう両者で確認した。

PwC は、ランサーズ株式会社に、経済産業省から依頼したインタビュー対象者(下記(4)

参照)と映像作家とのスケジュール調整を依頼した。

また、ショート版はロング版からインダビュー部分と手続きの説明部分を除き、優遇措

置 A と優遇措置 B の説明のみとすることを、三者で合意した。

すでに、ベンチャー企業へ投資を行い、エンジェル税制も利用しているエンジェル投資

家と、実際にエンジェル投資家から投資を受けたベンチャー企業の起業家、双方からのイ

ンタビューを動画に入れ込むことにより、より当該税制のメリットや効果を訴求できると

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経済産業省から提案があり、経済産業省を通じて、インタビュー対象者に依頼をした。

依頼者(対象者)と依頼理由等は下記の通りである。

依頼者(対象者) 依頼理由 依頼テーマ

エンジェル

投資家

日本 IBM 相談役/経済

同友会 元代表幹事

北城 恪太郎 氏

エンジェル税制の創設直後よ

り、当該税制を利用している

ため。

未来への投資

投資家/慶應義塾大学

SFC 研究所 上席所員

千葉 功太郎 氏

元ベンチャー起業家で、IPO

にてエクジット成功者でもあ

る。現在は投資のみならず、

ハンズオンに近い支援も実施

しているため。

サクセスのバト

ンタッチ

ベンチャー

起業家

株式会社マネーフォワー

ド 代表取締役社長 CEO

辻 庸介 氏

設立当初に、エンジェル投資

家から投資を受け、現在、急

成長しているベンチャー企業

のであるため。

エンジェル投資

家との出会い

日程 工程 実施場所

2017 年 1 月 8 日

~2 月 7 日

インフォグラフィック制作 映像作家事

務所

2017 年 1 月 13 日 インフォグラフィックのイメージ確認・インタビ

ュー撮影の事前打合せ

経済産業省

会議室

2017 年 1 月 20 日 インタビュー撮影 ①

株式会社マネーフォワード

代表取締役社長 CEO 辻 庸介 氏

株式会社マ

ネーフォワ

ード

会議室

2017 年 1 月 25 日 インタビュー撮影 ②

投資家/慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員

経済産業省

会議室

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千葉 功太郎 氏

2017 年 1 月 31 日 インタビュー撮影 ③

日本 IBM 相談役/経済同友会 元代表幹事

北城 恪太郎 氏

日本 IBM

会議室

2017 年 1 月 20 日

~2 月 7 日

インタビュー映像等編集 映像作家事

務所

2017 年 2 月 8 日

~2 月 12 日

ロング版初回試写

修正

e-mail・TEL

映像作家事

務所

2017 年 2 月 13 日

~2 月 19 日

ロング版修正版試写

ショート版初回試写

修正

e-mail・TEL

映像作家事

務所

2017 年 2 月 20 日 ランサーズ株式会社より PwC へ完成版納品 File 便

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2017 年 2 月 28 日 PwC より経済産業省へ完成版納品 CD-ROM

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PR 波及の拡散手法の立案

まだベンチャー企業へ投資をしていない潜在的エンジェル投資家、資産家及び地方在住

者も視聴機会が得られるように、ベンチャー企業や投資あるいはエンジェル税制に興味が

ある方々からの SNS による拡散を主な方法とする。全国各地にいるフォロワーからの投稿

のシェアやリツイートにより首都圏だけでなく、地方への拡散も大いに期待できる。

下記①②に掲載することにより、第三者(個人・法人など)の個別アカウントが Twitter

や Facebook などの SNS にて投稿し、拡散していくことを期待。また、③については、ロ

ング版はエンジェル税制の解説の補助ツール等に使用し、ショート版は休憩などの合間に

CM 的に放映できる。

① 経済産業省 Youtube チャンネルへアップロード

https://www.youtube.com/user/metichannel

② 経済産業省 Web サイト「エンジェル税制のご案内」ページへの埋め込み

http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/

③ 各種セミナーやカンファレンスでの放映

下記①②に投稿することにより、フォロワーから拡散していくことを期待。また、③に

ついては、クリックにより動画を視聴し、興味があれば SNS への投稿が期待できる。

① 経済産業省 Twitter での投稿

http://www.meti.go.jp/sns/index.html#twitter

(例)経済産業省公式アカウント/ @meti_NIPPON:ショート版・ロング版

60 秒解説 経済産業省 / @METI_60sec:ショート版

② 経済産業省 Facebook での投稿

http://www.meti.go.jp/sns/index.html#facebook

(例)経済産業省(学生向け)/ @meti4students:ショート版・ロング版

60 秒解説 経済産業省 / @meti60sec:ショート版

METI Journal:ショート版・ロング版

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TaM TaM:ショート版・ロング版

③ 経済産業省 メールマガジンにてメール配信:ショート版・ロング版

http://www.meti.go.jp/mailservices/index.html

Web トラッキングにて、どこから誘導されて動画を閲覧しているかを分析し、効果的に

エンジェル税制の PR をしていくことが可能となる。

また、本動画について、継続的にアンケート等の調査を実施していくことにより、より

分かりやすい動画を制作することができ、投資家のエンジェル税制への理解の浸透、及び、

ベンチャー企業への投資拡大へつながると考えられる。

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免責事項

本文書は、貴省と当法人との間で平成 28 年 7月 12 日に締結した「平成28年度産業経

済研究委託事業(ベンチャー企業に対する資金供給の円滑化に関する調査)」に基づき作成

されたものです。本件業務以外の目的や貴省以外の第三者に本報告書が開示された、ある

いは本報告書を利用した場合、何らの契約上又はその他の責任を負いません。

本報告書の内容は、受託期間において、実施した作業を通じて入手した情報、仕様書、及

び貴省の支持に基づいてのみ作成されています。当法人の業務は日本公認会計士協会その

他会計基準委員会によって制定された基準に従って監査、レビュー、証明、その他の保証

をしたものではありません。

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