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新ブランド志向の萌芽 ──大学生のブランドへの意識調査報告── 1.は じ め に なぜ,多くの大学生たちはブランドの鞄,時計,靴,洋服などを所持し ているのか.わざわざ高額なブランド品を購入するのか.高額なブランド 品とは,前述した鞄,時計,靴,洋服,アクセサリー,化粧品などを代表 とするファッションに関する品目である.世の中の雑誌が取り上げるほど に,本当に大学生たちは高額なブランド品を身につけているのであろう か.また,それらに対して何を感じているのであろうか.ブランド志向 1と呼ばれているわりには,これらのブランド品とは反対側に位置する 100 円ショップにも気軽に足を運ぶのはなぜか.このような素朴な数々の疑問 が本研究の起点となった. 本研究の目的は,ファッションに関するブランド品を購入するという行 為に着目し,そこから大学生が何を感じ,あるいは何を求め,どのような ブランド意識やイメージを有しているのかを明確にすることである.かつ て,筆者は女子大学生を調査対象としてブランド品の購入動機という視点 ──────────── 1) ブランド志向については,久世俊雄・斉藤耕二監修『青年心理学事典』福 村出版,312 頁,2000 年には次のように定義されている.「ブランド志向と は,自己の感性に合致したブランドを好むこと,またはそのようなブラン ドを求める気持ちがあることをいう.」 ―370―

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Page 1: 新ブランド志向の萌芽 - InfoLib-DBR(Login) · 2012-07-07 · 新ブランド志向の萌芽 ──大学生のブランドへの意識調査報告── 辻幸恵 1.はじめに

新ブランド志向の萌芽──大学生のブランドへの意識調査報告──

辻 幸 恵

1.は じ め に

なぜ,多くの大学生たちはブランドの鞄,時計,靴,洋服などを所持し

ているのか.わざわざ高額なブランド品を購入するのか.高額なブランド

品とは,前述した鞄,時計,靴,洋服,アクセサリー,化粧品などを代表

とするファッションに関する品目である.世の中の雑誌が取り上げるほど

に,本当に大学生たちは高額なブランド品を身につけているのであろう

か.また,それらに対して何を感じているのであろうか.ブランド志向1)

と呼ばれているわりには,これらのブランド品とは反対側に位置する 100

円ショップにも気軽に足を運ぶのはなぜか.このような素朴な数々の疑問

が本研究の起点となった.

本研究の目的は,ファッションに関するブランド品を購入するという行

為に着目し,そこから大学生が何を感じ,あるいは何を求め,どのような

ブランド意識やイメージを有しているのかを明確にすることである.かつ

て,筆者は女子大学生を調査対象としてブランド品の購入動機という視点

────────────1) ブランド志向については,久世俊雄・斉藤耕二監修『青年心理学事典』福

村出版,312頁,2000年には次のように定義されている.「ブランド志向とは,自己の感性に合致したブランドを好むこと,またはそのようなブランドを求める気持ちがあることをいう.」

―370―

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でアンケート調査を実施した.その結果,彼女たちが抱くブランド品の購

入動機としては,「友人に自慢ができる」「流行だから」「お洒落だから」

などという理由で購入がなされていた2~5).しかしながら,ブランドも数

多く日本に紹介され,混合玉石になっている現状では,友人などに「自

慢」できるブランドとそうではないブランドもあるはずである.それで

も,多くの女子大学生や OL たちが抱いてきたかつてのブランド観は,今

も健在なのであろうか.これらの解明のために,本研究では,主に大学生

を対象としたアンケート調査を実施した.なお,本研究の仮説は,「若者

のブランド志向が従来とは変わってきている」ということである.つまり

新しいブランド志向になりつつあるのではないかと考えている.

本研究の意義は,若者のブランドに対する考え方や感じ方の特徴が浮き

彫りにできること,そこから若者に向けての新しいブランド戦略が提案で

きることである.

────────────2) 井手幸恵(辻幸恵)・磯井佳子・風間健「ブランドが衣服の購買行動に与え

る諸効果(第 1報)ブランドを念頭に置く購買者の属性──女子大生とその母親の場合──」『繊維製品消費科学』Vol. 37, No. 11, 607−613頁.(1996年)

3) 井手幸恵(辻幸恵)・磯井佳子・風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果(第 2報)──女子就労者が有名ブランドの鞄を希望する要因──」『繊維製品消費科学』Vol. 38, No. 5, 265−270頁.(1997年)

4) 井手幸恵(辻幸恵)・磯井佳子・風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果(第 3報)──T シャツからみた女子大生が抱くスポーツブランドのイメージ──」『繊維製品消費科学』Vol. 38, No. 9, 512−518頁.(1996年)

5) 辻幸恵「ブランド選択の基準──女子大学生とその母親がブランドの鞄を選択する場合──」京都学園大学経営学部論集第 9 巻第 3 号 pp. 47−72,2000年.ブランドの鞄を購入する基準として,女子大学生は「現実-あこがれ」「感性-実用」「自己評価-他者評価」の 3つの要因が得られ,母親たちは「流行-定番」「自己評価-他者評価」「感性-実用」の 3つの要因がえられた.

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2.ブランドの定義

「ブランド」の意味としては日本マーケティング協会が次のように定義

づけている.「ブランド brand または銘柄.同一カテゴリーに属する他の

製品(財またはサービス)と明確に区別する特性,すなわち名前,表現,

デザイン,シンボルその他の特徴を持った製品.法律上ブランドの名前に

相当する用語は,商標(trademark)である」6).ブランドは本来,牛の焼

印に由来するものであると言われている.放牧中の自分の牛と他者の牛と

の区別のために焼印をつけたことが,ブランドのはじまりと言われている

のである.つまり,ブランドは自分のモノと他人のモノとの区別からはじ

まる7).

ブランドは法律の方面からは次のように規定されている.商標法の第 2

条第 1号には「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上

の信用の維持を図り,もって産業の発展に寄与し,あわせて需要者の利益

を保護する目的とする」.

ブランドを求める心的構造の定義としては,ドイツの社会学者であるジ

ンメルのトリクル・ダウンセオリー(滴下理論)が応用できる.ジンメル

のトリクル・ダウンセオリーは,以下のような階層間の流れをつくってい

る.王様→貴族→大富豪→市民→貧民である.つまり,王様のライフスタ

イルやファッションを貴族が模倣をする.貴族をみて大富豪が模倣をす

る.大富豪をみて市民が模倣をする.そして市民があきてしまったら廃棄

────────────6) 日本マーケティング・リサーチ協会 101頁.(1995年)7) 久世俊雄・斉藤耕二監修『青年心理学事典』福村出版,312頁,2000年に

は次のように説明されている.「ブランドは,牛の所有牧場判別を目的とする焼印(burn)を語源としている.ブランドは,一般的には特定業者の商品・サービスであることを明示し,競争者と区別することを目的とした名称,用語,記号,シンボル,デザインまたはこれらの総合である.」

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王  様

貴  族

大 富 豪

市  民

貧  民

する.それらを最下位の貧民層が利用するという流れである.これはライ

フスタイルやファッションの流れの例示ではあるが,模倣,すなわち同調

する気持ちを表現している.今日では,ブランド戦略においては,この

人々の同調する気持ちと,他者との差別化したい気持ちの両面を考慮する

戦略が用いられているのである.

すなわち,同調とは,人々が一緒にしたいと思う気持ちである.同じブ

ランド品を持ちたい,同じものを食べたいなど同じ状況に身をおきたい状

態も含まれる.これに対して差別化は,他者とは異なるモノを持ちたい.

違った行為(服装や化粧)をしたいと思う気持ちである.

ブランド品は多くの人々に認知してもらう場合,同調者がいなければな

らない.そのブランドに対してあこがれや夢という統一された良いイメー

ジを抱いてもらうためだ.だから具体的にはそのブランドを宣伝するため

に,有名人などを起用するのである.しかしながら,昭和の時代に流行し

たような大ブームになることはない.そこには差別化の気持ちが働いてお

り,メガヒット,ブームと呼ばれるような大きな波はこないのである.同

調と差別化のバランスの中で多くのブランドは戦略的に消費者に自社のブ

ランド品をアピールしていることが現状である.

図 1 ジンメルのトリクルダウン・セオリーのイメージ図

新ブランド志向の萌芽

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3.調 査 方 法

本研究では,予備調査と本調査の 2つの調査を実施した.

3−1 予備調査

(1)予備調査の目的

大学生に対するインタビューを実施し,そこからキーワードになる言葉

を選択する.本調査で使用するアンケート項目設定のためのキーワードを

選出することが目的である.

(2)予備調査の概要

追手門学院大学経営学部に在籍する学生たちを対象とした.2005年 12

月 14日に 3 つのグループに前述の学生たちを分けた.3 つのグループ

(A, B, C)共に 80分ずつインタビューを実施した.すべてのグループの

構成人員は女子 4名,男子 4名の合計 8名である.グループ内で話し合う

テーマは,「ファッションに関するブランド品購入について」である.こ

れを実施する際に,ルールを 4つ定めた.漓1人が続けて 1分以上は話さ

ないこと,滷必ず 1人 3回は発言すること,澆主語を明確にすること,潺

誰の意見に対する賛否なのかを明確にした上で意見を述べることである.

これらの 4つのルールを設定した理由は,特定の人物がひとりで長く話す

ことを防止したかったからである.また,筆者が後日,インタビューを録

音したテープを聞いて再生をした場合に,誰の何に対する意見なのかを明

確に聞き取れるようにするためである.

なお,ここでの学生たちの平均年齢は 20.1歳で多くは 2回生,3回生で

あった.通学時間の平均は 55分,1か月に自由に裁量できる金額の平均

値は 26,500円であった.また,クラブ・同好会への参加率は各グループ

共に平均が 37.5%であった.グループごとの属性(年齢,通学時間,1ヶ

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月の自由裁量金額,クラブなどの参加率)についての有意差は t 検定の結

果,得られなかった.

具体的な小テーマを次の 3つ定めた.ファッションに関する漓ブランド

品購入についてどのように思うのか(反対か賛成か),滷ブランド品を購

入している大学生についてどのように感じているのか(反対か賛成か),

澆ブランド品を所持することによってどのような思いがあるのか,であ

る.

(3)予備調査の結果

予備調査の結果をグループごとにまとめた.漓ブランド品購入について

どのように思うのかと滷ブランド品を購入している大学生についてどのよ

うに感じているのかという 2つの質問については,議論を始める前にあら

かじめ,どちらかと言えば賛成なのか反対なのかという基本的な態度を尋

ねた.もちろん基本的な態度や考え方なので,インタビュー中に反対者が

ある部分は肯定的に認め,賛成者と同じ意見になってもよいと筆者から調

査対象者である学生たちには説明をした.なお,3グループ共に主な意見

の下にはアンダーラインをひいた.

A グループ

漓 ブランド品購入について:反対 1名・賛成 7名

反対理由:大学生だから高額商品は不必要.成金趣味,自己満足の

み.下品.派手.ゴージャス.贅沢.定番っぽくて保守

的.流行のおっかけ.

賛成理由:大学生でも「本物」を買うことは良い.ブランド品は品質

がよい.ステイタスがある.大人としてふさわしい.上品

さがある.格好良い.ブランド品は品質が良いと思う,そ

れをわかる眼があることは良い.自分に似合っているブラ

ンドをみつけることは楽しい.

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滷 購入している大学生について:反対 2名・賛成 6名

反対理由:ちゃらちゃらしている.無駄使いしてそう.偉そうに見え

る.権威に頼っていそう.自慢しそう.自己満足におわっ

ていそう.贅沢なルイ・ヴィトンを持っていても本人のキ

ャラとあっていない.

賛成理由:似合っていれば問題がない.自己表現のひとつ.お洒落で

良い.ブランド好きな友人もまじめな人だし,大学生とし

ても普通だ.

澆 ブランド品の所持について

基本的には本人の自由である.所持している人の中にはコレクター

も含まれる.

所持していることによって自信がつく.自慢したくもなる.高級品

も 1つはいる.

使用する状況によると思う.フォーマルな場面ではむしろブランド

品の方が良い.

B グループ

漓 ブランド品購入について:反対 2名・賛成 6名

反対理由:大学生のくせに贅沢だ.持つ状況がない.似合っていない.

下品だ.ワゴンセールや中古ブランドをあさって買う姿は

美しくない.定価で買えないなら購入しないでほしい.

賛成理由:伝統をわかっている.大人なのだから贅沢ではない.流行

を取り入れている.お洒落でセンスがよい.色やデザイン

がわかっている.定番だ.個性的.

滷 購入している大学生について:反対 2名・賛成 6名

反対理由:見えを張っていそう.非常識そうな感じがする.ギャルっ

ぽい.派手.親の金で買っているなら最低だ.ほしいもの

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と似合うものがわかってない.

賛成理由:良いものを知っている.本物志向.プライドがある.定番

となっている.彼女の個性とマッチしている.デザインが

よいものをもっている.似合うブランドを身につけている

と品がよくて素敵だ.

澆 ブランド品の所持について

ひとつくらいは本物のブランド品をもっていたい.いざという時に

は必要だ.

高額ではあるが,それだけの価値があるのだから所持することは良

いことだ.

さりげなく持っているものが,ブランド品という持ち方にあこがれ

る.

C グループ

漓 ブランド品購入について:反対 3名・賛成 5名

反対理由:大学生には不必要.贅沢品だ.流行におどらされている.

高額商品は通学時や学内では,浮いた存在になる.

賛成理由:流行を取り入れている.自覚をして購入している.本物志

向だ.デザインがよい.素材がよい.上品.センスがよ

い.お洒落だ.

滷 購入している大学生について:反対 4名・賛成 4名

反対理由:迎合している.軽そう.無理をしている.わかっていな

い.派手.目立つ.下品.ゴージャスっぽい.流行にのっ

ていそう.

賛成理由:ワンランク上を目指していそう.向上心がある.情報をも

っている.良いモノ,本物を知っていそう.素材にこだわ

りがありそう.

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澆 ブランド品の所持について

就職後,自分の身丈にあったブランド品を所持することは良い.し

かし大学生の時代には不必要だ.見栄だけで所持していると思う.高

額すぎる.非日常.

伝統を感じさせる本物は 1つくらいはいざという時のために所持し

ておきたいと思う.

以上の 3つのグループからわかったことは,賛成している理由として

は,本物志向をはじめ,ブランドの価値を認めていることである.品質の

良さや伝統に対する理解である.どのグループにも共通して,インタビュ

ー中にキーワードとして多く現れた言葉を上位から示すと以下のようにな

った.「自慢」「贅沢」「派手」「本物」「デザインがよい」「素材がよい」

「上品」「センスがよい」「お洒落」「定番」であった.

これらのキーワードは 1997年 10月に筆者が女子大学生,女子就労者,

女子大学生の母親たちという 3つの対象群に実施した時のアンケート項目

に似通ったキーワードである8).そこで,本調査のアンケート項目は 1997

年 10月に筆者が実施したアンケート項目に,今回の予備調査であらたに

出た項目を追加する形で作成することとした.そのことによって,ダイレ

クトではないにしても,9年前の調査結果(1997年)と現在(2006年)

の調査結果の比較もある程度は可能になるからである.

3−2 本調査

(1)本調査の目的

ここでは,前述したように,1997年 10月に使用したアンケート項目に

予備調査からキーワードになる言葉を選択したものを追加する.本調査の────────────8) 井手幸恵(辻幸恵)『ブランドと日本人──被服におけるマーケティングと

消費者行動──』,白桃書房,148−152頁.(1998年)

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目的は,調査対象である大学生たちがどのようなブランド意識を有してい

るのかを明確にすることである.

(2)本調査の概要

漓質問項目設定

質問事項は基本的な属性のフェイスシートの部分と,この研究で明らか

にしたいブランドへの購入動機や意識を調査するなどの部分との 2つの質

問群から成立する.

基本属性での質問としては以下の 7項目を設定した.これらは筆者の先

行研究と同じ質問項目とした.漓性別,滷居住地,澆年齢(回生),潺ア

ルバイトの有無,潸1ヶ月に自由に使えるこづかいの金額,澁恋人の有

無,澀現在愛用するブランド名と採用理由(ある人だけ記述,採用理由と

はそのブランドを愛用する理由)

質問項目は 1997年 10月に筆者が実施した以下の 28項目のアンケート

項目をベースとした(表 1).

この 28項目に予備調査から得たキーワードとして次の「贅沢である」

「派手だ」「本物だ」「軽薄だ」「新しい情報がある」の 5項目を追加した.

よって,本調査では 33項目の質問項目を設定した.なお「軽薄だ」は

「ちゃらちゃらしている」という言葉をこのように表現した.

表 1 1997年 10月実施のアンケート調査に用いた 28の質問項目

持っていると自慢できる デザインが好き 素材が好き 色が好き 価格が手頃 丈夫である あきがこない センスが良い 上品さがある 自分に似合う 皆がもっている 流行している おしゃれである 着ごこちが良いシンプルだ ゴージャスだ 無難である 定番である ブランド名が有名高価格 目立つ ブランドだから安心できる 個性的である 変わっている今まで着慣れている 雑誌に載っている TV で良く見るブランドである話題の人が着ている(持っている)

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滷設定尺度

質問項目ごとに,以下の 5段階の評価をすることにした.1と 2がその

質問項目に対してネガティブは回答になり,4と 5がその質問項目に対し

てはポジティブな回答になる.

1:ぜんぜんそうではない,2:ややそうではない,3:どちらとも言え

ない,4:ややそうである,5:まったくそのとおりである,の 5つの回答

を用意した.質問ごとに調査対象者自身があてはまると判断した番号の箇

所に○をつけてもらった.

4.分 析 方 法

本調査は 2006年 1月中旬に大阪府茨木市にある追手門学院大学で実施

した.男子については,すべて経営学部在籍者で 2回生から 4回生であ

る.女子は 45名が追手門学院大学の学生で男子同様に 2回生から 4回生

であるが,残りは 3つの女子大学に依頼をした.それらはすべて大阪府に

立地している大学である.3大学ともに 50部ずつのアンケート用紙を送

付したが,すべて回収率は 50%前後となった.

本調査においてデータは調査対象である大学生たちが回答をした 1から

5までの数値である.本調査では大学生のうち,男子 158名,女子 127名

に調査を依頼した.結果,男子は 147名,女子は 121名からの回答を得

た.これらの回答を主因子法による因子分析(バリマックスス回転)を用

いて分析をした.

5.先行研究の結果の例示

ここでは 1997年 10月に筆者が女子大学生,女子就労者,女子大学生の

母親たちを対象に実施したブランド T シャツに対する購入動機の結果を

新ブランド志向の萌芽

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以下に示した.1997年のデータも本研究と同じく因子分析を用いて分析

をしている.このアンケートでは,具体的には「ブランドの T シャツを

購入する時に気になることは何か」を問うている.女子大学生,女子就労

者,女子大学生の母親たちを対象としていたが,得られた回答に偏りはな

かったので,データを一括して因子分析を用いた.なお,有効回答数は 567

となった.その結果,以下の表に示したとおり,3つの因子が得られた.

ここでは第 1因子に「ブランド名が有名」「目立つ」「持っていると自慢

できる」という項目に対する因子負荷量が高い数値になっている.T シャ

ツを購入するときには,このような気持ちが大きくうごくと言えよう.つ

まりブランド T シャツを着ると目立つ.その T シャツを持っていること

(この場合,着ていること)を自慢できる.そのように思うからこそ,ブ

ランド T シャツを購入するのである.

表 2 1997年 10月実施のアンケート調査を因子分析した結果 n=567

符号 第 1因子 第 2因子 第 3因子

ブランド名が有名 0.82目立つ 0.70持っていると自慢できる 0.65

ブランドだから安心 0.80自分に似合う 0.75着ごこちがよい 0.65色が好き 0.65

高価格 0.80流行している 0.79TV で良く見る 0.65話題の人が着ている 0.65

丈夫である -0.80シンプルだ -0.75無難である -0.65あきがこない -0.65

雑誌に載っている-0.83変わっている -0.66

価格が手頃 -0.78丈夫である -0.68

寄与率累積寄与率

38.2 21.659.8

12.171.9

注 1)絶対値が 0.65以上の項目のみを挙げた.注 2)小数点以下第 3位を四捨五入.出典 井手幸恵(辻幸恵)著『ブランドと日本人──被服におけるマーケティングと消費者

行動──』白桃書房,p. 151, 1998年.

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6.本調査から得られた結果

次に本調査の結果を以下に示す.本調査では,ファッションに関するブ

ランド品ということで,特に品目を限定しているわけではない.ブランド

イメージを優先させたかったからである.当然,着るものではなく,鞄の

ような持ち物をイメージしたりもするが,それは,回答者各人のイメージ

にまかせた.

6−1 平均値の比較

本調査対象の大学生に質問ごとに 1から 5までの数値の中か○をつけて

もらった.男子大学生は 147名からの回答,女子大学生は 121名からの回

答を得た.これらを性別に平均値を算出したのが表 3である.その平均値

を t 検定によって有意差の有無をみた結果を表内の右はしの検定結果に示

した.*は 5%で有意差が,**は 1%で有意差があるという判断の目印で

ある.

表 3の結果を見ると,男女の平均値の有意差が大きい項目は「持ってい

ると自慢ができる」「価格が手頃」「皆がもっている」「流行している」の

4つであり,その次には「ブランドが有名」「贅沢である」の 2つであっ

た.

6−2 平均値からの考察

「持っていると自慢できる」については男子大学生の平均値 3.2に対し

て,女子大学生は 4.5であった.すなわち,ブランド品の購入あるいはブ

ランド品そのものに対して,女子大学生は「自慢できる」,「自慢をするこ

と」があるのだが,これに対して,男子大学生は「自慢すること」は,ど

ちらでもよいという判断であり,ブランド品と自慢という感情の結びつき

新ブランド志向の萌芽

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が少ないと考えられる.

「価格が手頃」という質問項目に対する回答は男子大学生の平均値が 2.5

に対して,女子大学生は 3.8であった.つまり,男子大学生はブランド品

の購入時に価格的にはけっして手頃だとは思っていない.これに対して女

表 3 本調査で得た質問項目に対する平均値と検定結果

質問項目 男子平均 女子平均 検定結果

持っていると自慢できるデザインが好き素材が好き色が好き価格が手頃丈夫であるあきがこないセンスが良い上品さがある自分に似合う皆がもっている流行しているおしゃれである着ごこちが良いシンプルだゴージャスだ無難である定番であるブランド名が有名高価格目立つブランドだから安心できる個性的である変わっている今まで着慣れている雑誌に載っているTV で良く見るブランド話題の人が着ている贅沢である派手だ本物だ上品だ情報がある

3.23.03.63.72.53.54.04.22.84.22.12.54.13.04.03.53.84.03.44.51.52.94.13.73.04.02.02.54.03.64.53.24.0

4.53.23.43.63.83.73.84.23.04.04.34.04.23.23.83.43.63.84.24.51.73.04.03.63.13.92.12.53.23.54.43.33.9

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新ブランド志向の萌芽

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子大学生はブランド品に対しては手頃な値段だと思っているのである.

「皆がもっている」については男子大学生の平均値 2.1に対して,女子

大学生は 4.3であった.男子大学生は「皆がもっている」とは思わないと

いう回答が多い.他者が持っていてもいなくても,自分には関係がないと

思っているのである.自分がもっていればそれでよい.男子大学生にとっ

ては「皆」という周囲である他者は関係ないのである.これに対して女子

大学生は 4.3という数値が示しているように他者がもっているかどうかと

いうことが重要になっている.これは次の項目である「流行している」も

同様の結果である.男子大学生の方は平均値が 2.5女子大学生が 4.0であ

る.女子大学生は「流行している」ということがブランド購入のおりには

重要な要因になってくると考えられる.

「ブランド名が有名」については男子大学生の平均値 3.4に対して,女

子は 4.2であった.この場合,女子大学生は有名なブランドは購入対象で

あるが,無名なブランドを購入対象にはしていないとも考えられる.

「贅沢である」については男子大学生の平均値 4.0に対して,女子大学

生は 3.2であった.ブランド品やブランド品を購入することを贅沢だと思

っているのは男子大学生の方が多いという結果であった.

6−3 因子分析の結果

ここでは上記に示したように 33の質問項目のうち,6つの質問項目で

有意差があらわれた.そこでここでは男女別々に因子分析を用いた.男子

大学生の結果を表 4に,女子大学生の結果を表 5に示した.形式は筆者の

先行研究の結果(表 2)と比較しやすいように,表 2にあわせる形で示し

ている.絶対値 0.65以上の項目のみを表内に記した.

男子大学生の結果である表 4を見てわかったことは,第 1因子には「セ

ンスがよい」「デザインが好き」「色が好き」「自分に似合う」というよう

に,自分がどう判断するのかということが大きな要因になっている.いわ

新ブランド志向の萌芽

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ば自分の好き嫌いであり,こだわりの部分でもある.自分がそのブランド

品をどのように,評価しているのかという問題である.よって,第 1因子

を自己評価の因子と名付けた.第 2因子には「本物だ」「素材がよい」「丈

夫である」「定番である」というような重厚な感じ,あるいは伝統として

ブランドを受け止めている.また,素材や丈夫さに目がいっており,製品

に対する信頼感が感じられる.よって,これを信頼の因子を名付けた.第

3因子は寄与率 10%以上とはいえ,先の 2つの因子と比較すると,寄与

率も低くなっている.「おしゃれだ」「シンプル」「無難」というように,

しっとりとしたおしゃれ感がある.いわば大人のおしゃれである.よって

第 3因子を大人のおしゃれと名付けた.男子大学生からは 3つの要因が得

られ,それぞれ「自己評価」「信頼」「大人のおしゃれ」と名付けた.男子

大学生にとっては,ファッションに関するブランド品の購入要因やイメー

ジには,このような要因があることがわかった.

女子大学生の結果である表 5を見てわかったことは,第 1因子には「本

物だ」「高価格だ」「個性的である」「あきがこない」というように,ブラ

表 4 本調査(2006年)のアンケート調査を因子分析した結果(男子) n=147

符号 第 1因子 第 2因子 第 3因子

センスがよい 0.85デザインが好き 0.82色が好き 0.74自分に似合う 0.69

本物だ 0.80素材がよい 0.75丈夫である 0.74定番である 0.68

シンプル 0.73おしゃれだ 0.70無難だ 0.68

高価格だ -0.83贅沢だ -0.75雑誌に載っている-0.69上品だ -0.65

ブランドだから安心-0.70テレビでよく見る-0.69皆がよくもっている -0.65

軽薄だ -0.78ゴージャスだ -0.68目立つ -0.66

寄与率累積寄与率

20.3 18.939.2

10.851.0

注 1)絶対値が 0.65以上の項目のみを挙げた.注 2)小数点以下第 3位を四捨五入.

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ンド品の特徴が大きな要因になっている.いわばブランド品と他製品との

違いである.差別的要因ともいえよう.よって,第 1因子を差別化の因子

を名付けた.第 2因子には「おしゃれである」「センスがよい」「デザイン

が好き」「色が好き」というような自己判断の要因である.自分がそのブ

ランド品をどのように評価するのかということが基準になっている.よっ

て,これを自己評価の因子を名付けた.第 3因子は寄与率 10%以上とは

いえ,先の 2つの因子と比較すると,寄与率も低くなっている.「流行し

ている」「持っていると自慢ができる」「新しい情報がある」「皆がもって

いる」というように,他者との比較の部分が大きい.この傾向は筆者の先

行研究結果には大きな要因ではあったが,今回は第 3因子に含まれてい

る.第 3因子を「他者評価」の因子と名付けた.女子大学生からは 3つの

要因が得られ,それぞれ「差別化」「自己判断」「他者評価」と名付けた.

表 5 本調査(2006年)のアンケート調査を因子分析した結果(女子) n=121

符号 第 1因子 第 2因子 第 3因子

本物だ 0.90高価格だ 0.84個性的である 0.71あきがこない 0.65

おしゃれである 0.88センスがよい 0.82デザインが好き 0.67色が好き 0.65

流行している 0.72持っていると自慢できる 0.68新しい情報がある 0.66皆がもっている 0.65

軽薄だ -0.90雑誌に載っている-0.76話題の人が着ている

-0.69価格が手頃だ -0.65

派手だ -0.75贅沢だ -0.73ゴージャスだ -0.68目立つ -0.65

無難である -0.73定番である -0.65

寄与率累積寄与率

24.9 16.441.3

10.051.3

注 1)絶対値が 0.65以上の項目のみを挙げた.注 2)小数点以下第 3位を四捨五入.

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7.考察とまとめ

最初にインタビュー調査からの結果としては,現在の学生はいわば,ひ

とつ上のランキング・グループにあこがれをもっている者が多い.そのた

めに,こづかい(1ヶ月に自由に使える金額)の金額が全体の平均よりも

下回っていたとしても高額なブランドの鞄や時計を購入したいという希望

がつよい.これは階層社会と呼ばれている社会の到来によって,下にはお

ちたくないという意識が働いているためとも考えられる.特にブランドの

鞄などには出費をおしまない傾向がみられる.このグループの特徴をフェ

イスシートからみると,通学に時間がかかっている者が多いこと,恋人が

いると回答したものが平均よりも多かったことである.

次に因子分析の結果から言えることは,1997年とは異なる点として,

女子大学生の意識の変化である.自慢できるから鞄を持つ,買うという行

動から,自己判断や自己の基準,あるいは他者との差別化から,ブランド

品を購入するのである.これは自己を中心とした価値基準が,9年前より

も強くなってきたとも考えられる.あるいは最初に述べたように,多くの

ブランド品が店頭に並ぶことによって選択眼も養われてきたのかもしれな

い.よって,どのような付加価値があるのかということが,明確ではない

ようなブランドは,ブランド品としても価値が下がってくるであろう.ブ

ランド品はもはや,他者にみせびらかし,自慢するものではなく,自分が

どのように使うのかという基準になってきたのである.

しかしながら,ファッションに関するブランド品において,男子大学生

には,贅沢品というイメージも残されている.インタビューの中でも大学

生が持つには贅沢だという意見や,学生のうちは不必要であるという意見

もきかれた.このような意見に対して,女子大学生たちは「普段の通学時

にはともかく,いざという時のために 1つは本物をもっておきたい」とい

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う意見が多かった.その代表的なブランドとしては,ルイ・ヴィトンが挙

げられていた.多くの大学生たちはブランドの鞄,時計,靴,洋服を所持

しているひとつの理由として,差別化の気持ちや,いざというときの備え

であったりすることがわかった.高額であるブランド品を購入することも

彼らなりの自己防衛であったり,価値観の表現であったりする.ただし,

まだまだ贅沢であるという気持ちもあるので,世の中の雑誌が取り上げる

ほどには所持しているのか否かは疑問が残った.これは今後,所持してい

る品目や実際に購入した金額の調査が必要になるであろう.ファッション

に関するブランド品に対しては,特に男子大学生などは信頼を感じていた

し,女子大学生の中には新しい情報を感じる者がいた.なお,このような

ブランド品とは反対側に位置する 100円ショップにも気軽に足を運ぶ理由

は,今回の調査では明確にはならなかったが,インタビューの中では,日

常品や消耗品は安い方がよいという意見が多かった.消費する品目によっ

て,購入の 2極化がなされてきているのであろう.この点も今後の調査課

題である.

参 考 文 献

1)赤坂俊一/乳原孝/辻幸恵『流行と社会──過去・現在・未来──』白桃書

房,2004年.

2)青木幸弘/岸志津江/田中洋編『ブランド構築と広告戦略』日経広告研究

所,1−475頁,2000年.

3)青木幸弘/恩蔵直人編『製品・ブランド戦略』有斐閣アルマ,2004年

4)井手幸恵『ブランドと日本人──被服におけるマーケティングと消費者行動

──』白桃書房,1998年.

5)井手幸恵/磯井佳子/風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果

(第 1報)──ブランドを念頭に置く購買者の属性──女子大学生とその母

親の場合──」繊維製品消費科学会,Vol. 37, No. 11, 607−613頁,1996年.

6)井手幸恵/風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果(第 2報)──

女子就労者が有名ブランドの鞄を希望する要因──」繊維製品消費科学会,

Vol. 38, No. 5, 265−270頁,1997年.

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7)井手幸恵/風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果(第 3報)──

T シャツからみた女子大学生が抱くスポーツブランドのイメージ──」繊維

製品消費科学会,Vol. 38, No. 9, 512−518頁,1997年.

8)小川進『競争的共創論』白桃書房,2006年.

9)風間健「21世紀における消費のかたち」繊維製品消費科学,Vol. 42, No. 1,

31−35頁,2001年.

10)角田政芳『知的財産権小六法』成文堂,vi, 615頁,1997年.

11)久世敏雄/斎藤耕二監修『青年心理学事典』福村出版,2000年.

12)小林茂雄『装いの心理学』アイ・ケイコーポレーション,2003年.

13)陶山計介/妹尾俊之『大阪ブランド・ルネッサンス』ミネルヴァ書房,2006

年.

14)高木修監『消費行動の社会心理学』北大路書房,2000年.

15)辻幸恵/風間健「ブランドが衣服の購買行動に与える諸効果(第 4報)──

Fishbein 理論の子ども服ブランド選好への適応──」繊維製品消費科学会,

Vol. 40, No. 6, 387−398頁,1999年.

16)辻幸恵「ブランド選択の基準──女子大学生とその母親がブランドの鞄を選

択する場合──」京都学園大学経営学部論集,京都学園大学経営学部学会,

Vol. 9, No. 3, 47−72頁,2000年.

17)辻幸恵「ブランド選択の基準とブランド戦略──女子大学生とその母親たち

の調査より」TRI-VIEW,東急総合研究所,Vol. 14, No. 10, 32−38頁,2000

年.

18)辻幸恵/風間健「男子大学生の流行に対する知識,態度(第 1報)流行を積

極的に取り入れる男子大学生の特徴──」繊維製品消費科学会,Vol. 41,

No. 11, 895−902頁,2000年.

19)辻幸恵『流行と日本人──若者の購買行動とファッション・マーケティング

──』白桃書房,2002年.

20)辻幸恵/梅村修『アート・マーケティング』白桃書房,2006年.

21)辻幸恵/田中健一『流行とブランド──男子大学生の流行分析とブランド視

点──』白桃書房,2004年.

22)辻幸恵/梅村修『ブランドとリサイクル』リサイクル文化社,2005年.

23)藤村邦博/大久保純一郎/箱井英寿編『発達心理学エッセンス』北大路書

房,2000年.

24)間々田孝夫『消費社会論』有斐閣,2000年.

(2006年 7月 31日受理)

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