· ドローンの社会実装に向けて、以下に示す課題の解決が求められる。...
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Ⅱ 2050年の社会情勢
(1)人口:国内と国外
<世界の人口>
*毎年約8300万人の人口増に
より、現在76億人の世界人口は、
2050年に98億人に急拡大。
*アジア・アフリカ圏の人口急増
(資料)United Nations (2017).
World Population Prospects: The 2017 Revision.
【世界の人口】
※1950〜2015年は推定値。2015〜2100年は95%信頼区間の予測値
*2050年には1億192万人。現
時点より2500万人の減少で高
度経済成長期末に相当。
*老年人口は3840万人
(382万人増、37.7%)。
*一般世帯数は、2023年5419
万世帯をピークに減少。2040
年には5076万世帯(257万
世帯減少)。
*人口の地域間偏在 【年齢3区分別人口及び人口割合の推移と予測】 資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」
<国内の人口>
Yukihiro Kadono
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Ⅱ 2050年の社会情勢
(3)生活
ワーク・ライフ・バランスの進展
*働き方の多様化 ・テレワーク、フレックスタイム、地域限定業務、 サテライトオフィス、在宅勤務等が普及 ・兼業・副業を認める企業が拡大 ・ライフスタイルにあわせて働くフリーランスが増加
*多様な人材の社会進出 *生涯現役 ・高齢者が経験や技能を活かして活躍。 ・生産年齢人口概念の消滅
*起業家の増加
*「所有」から「利用」の シェアリング・エコノミー
*個×個(Peer 2 Peer)プラットフォームによるオンデマンド社会へ
*消費者と生産者の垣根が曖昧になる
プロシューマー化
*社会を牽引するクリエイティブクラス
*人生100年時代の到来
*社会保障費増大、財政力低下
社会システム・価値観変化
*開発・成長の可能性の拡大とともに、全世
界的な競争の激化と格差の拡大が懸念。
*インバウンド(訪日外国人)の増加
(2030年6千万人目標)。
*グローバルの対極にあるローカルの再評価
グローバル化の進展 新産業の創造、旧産業の再生
*高次医療産業の拡大普及
*環境関連産業の振興
*農林水産業が基幹産業として再生
・農業経営体の組織化・法人化が進展
・農のスマート化、高度な環境制御技術の導入
Yukihiro Kadono
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2050年の社会情勢 Ⅱ
(4)技術
技術革新 Society5.0
*大量の情報を基に人工知能
が自ら考えて最適な行動をと
る自律的な最適化を可能に
する第四次産業革命(AI、
IoT、ビッグデータ等、情報とモ
ノ・コトの融合等)の進展。
*「必要なもの・サービスを、必
要な人に、必要な時に、必要
なだけ提供し、社会の様々な
ニーズにきめ細かに対応でき、
あらゆる人が質の高いサービス
を受けられ、年齢、性別、地
域、言語といった様々な違い
を乗り越え、活き活きと快適に
暮らすことのできる社会。」
(第5期科学技術基本計画)
暮らし ○モバイル決済、デジタル通貨 ○AI家電、自動翻訳
○シェアリングエコノミー
移 動 ○自動運転 ○コネクティッドカー
○ドローン配送 ○トラックの隊列走行
健 康 ○遠隔診療 ○先制医療、個別化医療
○介護ロボット ○AIを用いた診断支援
産 業 ○省人化・無人化工場 ○消費者デー タによる需要予測
○スマート農業 ○バックオフィス業務の自動化
兵庫県作成資料
経団連作成資料
Yukihiro Kadono
<ドローン実装の進展可能性>
*安全性等のリスクを勘案すると、自動走行自動車が先
行し、空域ドローンでも全自動運転が追随。
「水素×ドローン」の可能性と課題 Ⅲ
(1)ドローンビジネスの現状と可能性
<ドローンビジネスの現状と可能性>
*2016年度の国内のドローンビジネス市場規模は前年
度比102%増の353億円、22年度には2116億円に
拡大。農業、検査等のサービス市場が拡大。
*映像分野では実用段階。土木・測量分野、農業分野
では一部実用段階にあり、実証事業も進展。
(資料)インプレス総合研究所
【国内のドローンビジネス市場規模の予測】
(2) ドローン普及の隘路となる現状課題
*重量化への対応・長時間航行を可能する新たな動力
源の開発はじめとして、技術的、制度的、社会的課題
が存在。
【無人航空機の飛行の許可が必要となる空域】
(3) 水素ロータリーエンジン搭載ドローンの開発
*重量化への対応、長時間航行を可能とする水素ロータ
リーエンジン搭載ドローンの開発検討を開始 Yukihiro Kadono
未来の社会課題・社会ニーズに対応したドローンが当たり前に航行し、活用される社会を想定
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2050年の未来都市像と「水素×ドローン」 Ⅳ
(1) 未来社会のイメージ
(2) 社会課題等への対応ステップ
*現状の規制等の制度的課題や社会的課題を踏まえ、航行エリアとしては、人口集中エリア
に先行して、地方都市や農山村地域でのドローン航行が進展すると想定。
*有人航行については、安全性能、社会的な許容、保険制度等の社会システムの整備が必
要であり、実装には時間を要すると想定。
留意点
大都市 想定されるエリア
イノベーションを促す国内外から多くの人・モノ・
情報が集まる高密度なエリア
都市と地方をつなぐ拠点として機能するエリア
交通不便地であるが、豊かな自然や文化資源を
背景に豊かなくらしを提供するエリア
地方都市
農山村
大都市 (想定する移動範囲:数km圏内)
郊外中核都市、地方都市 (想定する移動範囲:10km程度)
地方小都市、中山間地域 (想定移動範囲:数10km程度)
◯特区等の実証実験フィールド、民有地等で展開 現状
◯ドローンの飛行性能の向上、ドローンポート等の整
備による長距離・長時間航行の実現
長距離・長時間航行の可能なドローンの社会実装 STEP①
◯重量輸送に対応したドローンの飛行性能の向上
◯安全性の確立
重量輸送・有人化に対応したドローンの社会実装 STEP②
Yukihiro Kadono
◯農業・サービス業分野の人材不足、生産性向上ニーズへの対応
◯AI、ビッグデータとの統合による高付加価値産業化
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2050年の未来都市像と「水素×ドローン」 Ⅳ
(3) 導入分野 ④スマート産業
*全国の農業の生育状況
の把握・解析等のスマー
ト農業の普及(計画、
農作業の制御)
*地域課題対応のコンシュー
マー向けの代行サービス提
供(防犯、清掃、点検等
の代行サービス)
STEP②:重量輸送・有人化対応
新サービスの提供
農山村
大都市
地方都市
農山村
役
割
新サービスの提供
*生育管理等の精密農業
への活用、鳥獣被害防
止(見回り・捕獲)
*漁業、林業等への展開
*警備用ドローンの普及
STEP①:長距離・長時間航行可能
地方都市
農山村
地方都市
農山村
大都市
地方都市
平常時
*農作業(防除、施肥、
播種、生育調査等)
*森林資源調査等に活用
*警備業での巡回監視シ
ステム(セコム)、広域
監視システム
(ALSOK)
現状
Yukihiro Kadono
◯「見る」から「体験型」エンターテインメントへの展開
◯シニア世代や過疎地Iターン層の活動をサポート
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2050年の未来都市像と「水素×ドローン」 Ⅳ
(3) 導入分野 ⑤ライフ/ワークスタイル
平常時
*空撮による映像撮影
(従来の目線と異なる
鳥瞰映像・観光プロモー
ション映像)
*ドローンレース
*イベント活性のためのエン
ターテインメント利用(ド
ローンショー)
*チームスポーツのゲーム・
プレー分析
現状
情報収集を拡張する
*パーソナルロボットとしての
ドローン活用
STEP①:長距離・長時間航行可能
大都市
地方都市
農山村
*一般的な人体飛行等に
よるエンターテインメント・
アクティビティ
*身体浮揚型ドローンによ
り高齢者の外出をサポー
ト
*豊かな自然・文化の体
験型ツーリズムの提供
STEP②:重量輸送・有人化対応
現場業務のロボット化
大都市
大都市
農山村
役
割
Yukihiro Kadono
ドローンの社会実装に向けて、以下に示す課題の解決が求められる。
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2050年の未来都市像と「水素×ドローン」 Ⅳ
(4)社会実装に向けた課題
*安全性確保(複数機体による運行管理、衝突回避等)、補完のための技術的対応
*ドローン墜落による第三者被害の防止対策
*騒音レベル等の低減
*機体制御、アプリケーション等のソフトウェア技術者の育成
技術的課題
の解消
*補助者配置義務、目視外飛行時の基準等航空法に基づく規制の改革
*プライバシーや肖像権保護、安全性確保、騒音対策等、社会的認知や受容に向けた
ムーブメントの創出(実証実験等)
*将来的に多数のドローンが飛び回ることを想定して機体、操縦プログラムの認証制度の設立
制度的課題
の解消
*社会的認知のための特区や私有地、テストフィールド等での社会実験・検証
*上記、ドローン運航のためのガイドライン整備
*事業性確保のためのリスク分析(保険整備、地方自治体との連携などリスク分担
のための制度設計)、コスト分析(インフラ維持コストとの比較等)
社会的課題
の解消
Yukihiro Kadono